干渉防止部材分離装置、及び生化学分析装置
【課題】乾式分析素子から干渉防止シートを自動で除去する。
【解決手段】干渉防止シート除去部34では、ブレード本体37Bの先端が搬送経路35の上面よりも上方に突出しており、この状態で乾式分析素子11をインキュベータ側に搬送させると、ブレード本体37Bの先端に干渉防止シート26の端部が引っかかり、干渉防止シート26が乾式分析素子11から引き剥がされる
【解決手段】干渉防止シート除去部34では、ブレード本体37Bの先端が搬送経路35の上面よりも上方に突出しており、この状態で乾式分析素子11をインキュベータ側に搬送させると、ブレード本体37Bの先端に干渉防止シート26の端部が引っかかり、干渉防止シート26が乾式分析素子11から引き剥がされる
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体中の所定の生化学物質の物質濃度を求める生化学分析装置に用いられる乾式分析素子に取り付けられた干渉防止用の干渉防止部材を除去する干渉防止部材分離装置、及び干渉防止部材分離装置を備えた生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検体の小滴を点着供給するだけでこの検体中に含まれている特定の化学成分または有形成分を定量分析することのできる比色タイプの乾式分析素子が開発され、実用化されている。この乾式分析素子を用いた生化学分析装置は、簡単かつ迅速に検体の分析を行うことができるので、医療機関、研究所等において好適に用いられている。
【0003】
比色タイプの乾式分析素子を使用する比色測定法は、検体を乾式分析素子に点着させた後、これをインキュベータ内で所定時間恒温保持して呈色反応(色素生成反応)させ、次いで検体中の所定の生化学物質と乾式分析素子に含まれる試薬との組み合わせにより予め選定された波長を含む測定用照射光をこの乾式分析素子に照射してその光学濃度を測定し、この光学濃度から、予め求めておいた光学濃度と所定の生化学物質の物質濃度との対応を表す検量線を用いて該生化学物質の濃度を求めるものである。
【0004】
例えば、一般的な検査項目に応じた複数種類の乾式分析素子を纏めて一つの包装体に収納して準備しておくことが考えられる。検査時には、包装体から複数種類の乾式分析素子を取り出して纏めて装置に装填するだけで良く、取り扱いは容易である。
しかしながら、複数種類の乾式分析素子を纏めて一つの包装体に収納しておくと、乾式分析素子に設けられている試薬が、他の乾式分析素子の試薬によって影響(干渉)を受け、測定精度の低下を招く懸念がある。
そこで、乾式分析素子の試薬が、他の試薬等によって影響を受けないように、乾式分析素子に干渉防止シートを貼り付けて、包装体に収容することが考えられる。
なお、特許文献1には、検査部をヒートシールした試験片(乾式分析素子)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−198706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように干渉防止シートを用いることよって、乾式分析素子の試薬が、他の試薬によって影響を受けることは無くなるが、分析装置で分析をする際には、乾式分析素子から干渉防止シートを剥がして除去しなければならず、オペレーターの作業が煩雑になる問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑み、乾式分析素子から干渉防止部材を自動的に除去し、生化学分析装置で効率的に検査を行うことができる干渉防止部材分離装置、及び生化学分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の干渉防止部材分離装置は、試薬部への干渉を防止する干渉防止部材が取り付けられた乾式分析素子を装填する装填部と、前記装填部から前記乾式分析素子を搬送する搬送手段と、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止部材に接触して前記干渉防止部材を除去する除去部材を備えた干渉防止部材除去部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の干渉防止部材分離装置では、干渉防止部材が取り付けられた乾式分析素子が装填部に装填される。
装填部に装填された乾式分析素子は搬送手段によって搬送され、搬送される乾式分析素子の干渉防止部材が干渉防止部材除去部の除去部材に接触することで、干渉防止部材が乾式分析素子から除去される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置において、前記除去部材は、前記乾式分析素子の搬送動作に伴い、当該乾式分析素子の前記干渉防止部材に引っ掛かり、当該干渉防止部材を除去するブレードである。
【0011】
請求項2に記載の干渉防止部材分離装置では、搬送される乾式分析素子の干渉防止部材の先端にブレードが引っ掛けられることで、搬送される乾式分析素子から干渉防止部材を除去することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の干渉防止部材分離装置において、前記ブレードを揺動させる駆動手段を備えている。
【0013】
請求項3に記載の干渉防止部材分離装置では、駆動手段によってブレードを揺動させることができ、これにより、乾式分析素子に対してブレードの先端を接近させたり、離したりすることが出来る。
例えば、ブレードの先端で、搬送されてくる乾式分析素子の干渉防止部材の先端部を引っ掛けた後、ブレードの先端を乾式分析素子から離れる様にブレードを揺動させることで、干渉防止部材の除去性を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置において、前記干渉防止部材は前記乾式分析素子に貼り付けられるシート状の干渉防止シートであり、前記除去部材は、粘着剤が付与され、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートを付着することにより当該干渉防止シートを剥がす粘着部材である。
【0015】
請求項4に記載の干渉防止部材分離装置では、搬送される乾式分析素子に貼り付けられている干渉防止シートが粘着部材の粘着剤に付着することで、搬送される乾式分析素子から干渉防止シートが剥がされる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の干渉防止部材分離装置において、前記粘着部材は、回転自在とされ、かつ外周部に前記粘着剤が付与されたローラであり、前記ローラは回転しながら前記粘着剤の付与された外周部に前記干渉防止シートを順次粘着させる。
【0017】
請求項5に記載の干渉防止部材分離装置では、粘着部材が、外周部に粘着剤が付与されたローラであり、このローラは回転自在とされている。
したがって、搬送される乾式分析素子の干渉防止シートにローラの外周部を付着させ、ローラを回転して干渉防止シートを引き剥がすことで乾式分析素子から干渉防止シートを除去することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の干渉防止部材分離装置において、前記ローラに付着した前記干渉防止シートを剥がすブレードを有する。
【0019】
請求項6に記載の干渉防止部材分離装置では、ローラが回転しながら干渉防止シートが外周に付着される。ローラの外周に付着した干渉防止シートはブレードに引っ掛けられることで、ローラの外周に付着した干渉防止シートがローラの回転に応じて順次剥がれる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置において、前記干渉防止部材は、前記乾式分析素子の孔に嵌められ前記除去部材に引っ掛けられるキャップである。
【0021】
請求項7に記載の干渉防止部材分離装置では、干渉防止部材が除去部材に引っ掛けられるキャップであり、搬送される乾式分析素子の孔に嵌められているキャップが干渉防止部材除去部の除去部材に引っ掛けられることで、キャップが乾式分析素子から除去される。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の干渉防止部材分離装置において、前記除去部材には、前記キャップを引っ掛ける引掛部が設けられている。
【0023】
請求項8に記載の干渉防止部材分離装置では、除去部材にキャップを引っ掛ける引掛部が設けられているので、乾式分析素子の孔に嵌められているキャップは、除去部材の引掛部に引っ掛けられて除去される。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の干渉防止部材分離装置において、前記搬送手段は、前記乾式分析素子がスライドする搬送経路と、前記搬送経路の搬送面に形成され、前記キャップとの干渉を避ける溝と、を有する。
【0025】
請求項9に記載の干渉防止部材分離装置では、乾式分析素子を搬送経路でスライドする際に、搬送経路に設けられた溝が搬送経路とキャップとの干渉を防止する。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置において、前記キャップの端部にはテーパー状の面取りが形成され、前記引掛部の挿入用とされている。
【0027】
請求項10に記載の干渉防止部材分離装置では、キャップの端部にテーパー状の面取りが形成されており、引掛部の挿入用とされているため、キャップにブレードが引っかかり易くなり、キャップを除去し易くなる。
【0028】
請求項11に記載の干渉防止部材分離方法は、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートにブレードを接触させ、前記ブレードを前記乾式分析素子から離間する方向へ移動させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、を有する。
【0029】
先ず、搬送工程では、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子が搬送される。
次の干渉防止部材除去部工程では、搬送される乾式分析素子の干渉防止シートにブレードが接触され、ブレードが乾式分析素子から離間する方向へ移動されて干渉防止シートが乾式分析素子から剥がされる。
【0030】
請求項12に記載の干渉防止部材分離方法は、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートに対して外周部に粘着剤が付与されたローラを回転させながら接触させ、前記ローラによって前記干渉防止シートを順次粘着させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、を有する。
【0031】
先ず、搬送工程では、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子が搬送される。
次の干渉防止部材除去部工程では、搬送される乾式分析素子の前記干渉防止シートに対して外周部に粘着剤が付与されたローラが回転させながら接触され、ローラによって干渉防止シートが順次粘着させて干渉防止シートが乾式分析素子から剥がされる。
【0032】
請求項13に記載の干渉防止部材分離方法は、試薬部への干渉を防止するキャップが孔に嵌められた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、搬送される前記乾式分析素子の前記キャップに除去部材を引っ掛け、前記キャップを前記乾式分析素子から除去する干渉防止部材除去部工程と、を有する。
【0033】
先ず、搬送工程では、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子が搬送される。
次の干渉防止部材除去部工程では、搬送される乾式分析素子のキャップに除去部材が引っ掛けられ、キャップが乾式分析素子から除去される。
【0034】
請求項14に記載の生化学分析装置は、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置と、前記干渉防止部材分離装置によって干渉防止部材の除去された乾式分析素子を用いて検体の検査を行う検査部と、を備えている。
【0035】
請求項14に記載の生化学分析装置では、干渉防止部材分離装置で検査時に不要な干渉防止部材を除去した後、検査部で干渉防止部材の除去された乾式分析素子を用いて検体の検査を行うことが出来る。
【発明の効果】
【0036】
本発明の干渉防止部材分離装置によれば、乾式分析素子から干渉防止部材を自動的に除去することができるので、生化学分析装置で効率的に検査を行うことができる、という優れた効果を有する。
本発明の生化学分析装置によれば、乾式分析素子から干渉防止部材を自動的に除去することができるので、効率的に検査を行うことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生化学分析装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】生化学分析装置の要部機構の平面配置図である。
【図3】(A)は乾式分析素子の分解斜視図であり、(B)は乾式分析素子の斜視図であり、(C)は多層試薬フィルムの斜視図及び拡大断面図である。
【図4】包装体によって真空包装された乾式分析素子の断面図である。
【図5】検体カートリッジの斜視図である。
【図6】干渉防止部材除去部の斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は干渉防止部材除去部の断面図である。
【図8】本発明の生化学分析装置の制御の一例を示すフローチャートである。
【図9】(A)は第2の実施形態に係る干渉防止部材除去部の断面図であり、(B)は第2の実施形態に係る干渉防止部材除去部の粘着ローラ、及び分離ブレードの斜視図である。
【図10】(A)は他の実施形態に係る乾式分析素子の斜視図であり、(B)は更に他の実施形態に係る乾式分析素子の側面図である。
【図11】第3の実施形態に係る乾式分析素子の分解斜視図である。
【図12】第3の実施形態に係る乾式分析素子の断面図である。
【図13】包装体によって真空包装された乾式分析素子の断面図である。
【図14】(A)は第3の実施形態に係る干渉防止部材除去部の斜視図であり、(B)は干渉防止部材除去部の搬送方向に直行する方向の縦断面図である。
【図15】(A)及び(B)は第3の実施形態に係る干渉防止部材除去部の搬送方向に沿った縦断面図である。
【図16】第4の実施形態に係る乾式分析素子の下裏面側から見た斜視図である。
【図17】(A)は第4の実施形態に係る干渉防止部材除去部の斜視図であり、(B)は干渉防止部材除去部の搬送方向に直行する方向の縦断面図である。
【図18】(A)及び(B)は第4の実施形態に係る干渉防止部材除去部の搬送方向に沿った縦断面図である。
【図19】(A)及び(B)は第5の実施形態に係る干渉防止部材除去部の搬送方向に沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1の実施形態]
以下、本発明の生化学分析装置の第1の実施形態を図1乃至図8にしたがって説明する。なお、図1は生化学分析装置の概略機構を示す斜視図、図2は図1とは一部形態が異なる生化学分析装置の要部機構の平面配置図、図3は図2における検体カートリッジの斜視図である。
【0039】
(全体構成)
図1、及び図2に示すように、生化学分析装置1は、装置本体17の前部の一方(矢印A方向とは反対方向側)に円形のサンプラトレイ2が、他方(矢印A方向側)に円形のインキュベータ3が、両者の間に点着部4(図1では図示省略、図2参照)、及び干渉防止部材除去部34が、上部には左右に移動する点着ノズルユニット5がそれぞれ配設されている。また、サンプラトレイ2の近傍には、血液から血漿を分離する血液濾過ユニット6が設置されている。
【0040】
図2に示すように、サンプラトレイ2は、正転方向および逆転方向に回転駆動される円環状(ドーナツ状)の回転台22を有し、この回転台22にはその円環形状が中心から放射状に8個に等分割された検体カートリッジ7および消耗品カートリッジ8が装填され、全部の検体カートリッジ7,消耗品カートリッジ8の装填によって円環状となる。検体カートリッジ7および消耗品カートリッジ8は平面同形状であり、独自に着脱可能である。
【0041】
5つの検体カートリッジ7は、検体を収容した検体容器10を保持する検体保持部71を有すると共に、その測定項目に対応して必要とされる未使用の乾式分析素子11を保持する素子保持部72を有する。3つの消耗品カートリッジ8は、1つが多数のノズルチップ12を配列保持し、他の1つが多数の混合カップ13を保持し、残り1つが希釈液容器14および参照液容器15を保持する。消耗品カートリッジ8にはそれぞれの保持形態に対応した保持凹部が形成されている。
【0042】
上記のような検体カートリッジ7および消耗品カートリッジ8の装填により、サンプラトレイ2には、図1と同様に1つの検体容器10とその測定に必要な未使用の乾式分析素子11を組み合わせた複数組みの検体と乾式分析素子11とを装填すると共に、消耗品としてのノズルチップ12、混合カップ13、参照液容器15および希釈液容器14を予め装填している。
【0043】
サンプラトレイ2の回転台22は、不図示の回転駆動機構により、点着ノズルユニット5の動作位置に正転方向または逆転方向に回転駆動される。その回転位置と、点着ノズルユニット5の移動位置を制御することにより、必要なノズルチップ12を取り出し、必要な検体や希釈液、参照液を吸引し、必要により混合するという、検体点着のための所定の動作が行われる。
【0044】
図2に示すように、サンプラトレイ2の中央部には、乾式分析素子11を搬送する搬送手段9を備える。この搬送手段9は、不図示の機構によってサンプラトレイ2の半径方向にスライド移動可能に配設された素子搬送部材91(挿入レバー)を有し、この素子搬送部材91の前進移動制御によってその先端部で乾式分析素子11を押して検体カートリッジ7から自動的に取り出して点着部4に搬送し、点着後の乾式分析素子11をインキュベータ3に搬送し、測定後にはインキュベータ3の中心方向にさらに乾式分析素子11を搬送して廃却するように設けられている。そして、回転台22の回転位置を制御して、順に検体カートリッジ7を点着部4に対応する位置に停止させて、必要な乾式分析素子11を検体カートリッジ7から取り出すことができる。
【0045】
検体カートリッジ7は、図2の形態のものの斜視図を図5に示すように、平面形状(上面および底面)がサンプラトレイ2を分割した扇形になっており、内側面7aおよび外側面7bが円弧状湾曲面に設けられ、左右側面が中心方向に向く斜面に設けられている。この検体カートリッジ7は検体容器10を保持する検体保持部71および乾式分析素子11を収容する素子保持部72を備えている。
【0046】
素子保持部72は検体カートリッジ7の上面から略角筒状の凹部に形成され、上面に略矩形状に素子装填口72aが開口し、この素子装填口72aから必要枚数の乾式分析素子11が挿入され積み重ねられる。所定の深さ位置の底面72bにおける内側面7aには乾式分析素子11を押し出す素子搬送部材91が挿入できる挿入口72cが、反対側の外側面7bには収納した最下段の乾式分析素子11を挿通させて押し出すことができる素子取出口72dが連通して開口されている。挿入口72cから挿入された素子搬送部材91によって素子保持部72内の最下段の乾式分析素子11が外周側に押され、素子取出口72dから点着部4の方向に取り出される。なお、素子保持部72に挿入した乾式分析素子11の上部に重りを搭載し、乾式分析素子11を下方に押圧して素子搬送部材91による取り出しが確実に行えるようにするのが好適である。
【0047】
挿入口72cは乾式分析素子11の幅より狭く形成され、乾式分析素子11が内側面7aの方向に飛び出さないようになっている。素子取出口72dは1枚の乾式分析素子11のみが挿通可能に、その上下方向の開口高さが乾式分析素子11の2枚の厚み以下に形成されている。なお、素子搬送部材91は素子取出口72dを通ってさらに前進して乾式分析素子11を搬送する。
【0048】
また、検体保持部71は検体カートリッジ7の上面から略円筒状の凹部に形成され、上面に略円形状に装填口71aが開口し、採血管等の検体容器10が挿入され、所定の深さ位置の底面71bに保持される。この検体保持部71は、検体カートリッジ7が内側面7aが狭く外側面7bが広く形成され、矩形状の素子保持部72の側方部が外側面7bの近傍で広くなった部分に配置して、比較的寸法の大きい採血管等の検体容器10の装填が行えると共に、前記素子搬送部材91と干渉しないような構造にしている。また、このような配置にすることにより、面積を有効に使い、サンプラトレイ2を小型化できる。
【0049】
なお、血漿濾過が必要な検体については、図1に示すように、検体カートリッジ7に納めた検体容器10の上端に濾過フィルターを備えたホルダー16を装着しておく。
【0050】
なお、検体カートリッジ7には識別部材が配設され、サンプラトレイ2への検体カートリッジ7の装填が検出され、検体ID、濾過の有無等が識別される。また、上記検体カートリッジ7と同形状である図2に示す消耗品カートリッジ8は、収容した消耗品の残量が少量になったときは、予めノズルチップ12および混合カップ13を載置した新しい消耗品カートリッジ8を用意して入れ替えることができる。
【0051】
ここで、検体カートリッジ7に装填される乾式分析素子11について説明する。
図3に示すように、検体の呈色度合を測定するために使用される比色タイプの乾式分析素子11は、合成樹脂で形成された矩形のプレート状とされたマウント23を備えている。マウント23は、中央に円形の点着孔23Aが形成されており、裏面には、点着孔23Aよりも大きな矩形の凹部23Bが形成されている。
【0052】
凹部23Bには、多層試薬フィルム24が配置されている。
多層試薬フィルム24は、検体(液)を均一に展開するための展開層24A、検体の色を遮断する比色分析の反射板としての反射層24B、検体を点着後、検体に反応し発色する試薬が含まれた反応層24C、及び光線を透過し、全体を平らに支持する合成樹脂製の透明支持体24Dから構成されている。
乾式分析素子11の多層試薬フィルム24は、検体中の検査対象物質の量に比例する発色濃度を分光光度計によって光学的に測定される。
【0053】
マウント23の裏面には、中央に孔25Aの形成されたカバープレート25が接着されている。なお、カバープレート25の表面(下面)には、試薬の種類を識別したり、検査項目などを特定するための情報が記録されたバーコードが印刷されている。
これにより、凹部23Bに配置された多層試薬フィルム24は、凹部23B内に保持され、展開層24Aは表面側の点着孔23Aを介して中央部分が表面側に露出しており、透明支持体24Dは裏面側の孔25Aを介して中央部分が表面側に露出している。
【0054】
さらに、本実施形態の乾式分析素子11は、カバープレート25の表面(下面)全体に、干渉防止シート26が貼り付けられている。干渉防止シート26は、容易に剥がすことができるように粘着剤にてカバープレート25に貼り付けられている。なお、本実施形態では、干渉防止シート26が粘着剤にてカバープレート25に貼り付けられているが、後で剥がし易い様に接着力の弱い接着剤で貼り付けられていても良い。
また、本実施形態の干渉防止シート26は、マウント23の長手方向一方側(搬送方向の前端側)の端縁から一辺全体が突出している。また、干渉防止シート26のマウント23から突出している部分は、図3(A)に示すように、マウント23側とは反対側に曲げ癖が付けられている。
【0055】
干渉防止シート26は、多層試薬フィルム24の反応層24Cに含まれている試薬を透過させない、または透過し難いような素材、例えば、アルミ箔と合成樹脂等からなるフィルムから形成されており、カバープレート25に貼り付けられる部分のみに粘着剤が付与されている。なお、反応層24Cに含まれている試薬を透過させなければ干渉防止シート26の厚み関して特に制限はない。
【0056】
図4に示すように、試薬の種類が各々異なる複数枚の乾式分析素子11は、同じ向きに積層された状態で、包装体27によって真空包装されている。
このように、複数枚の乾式分析素子11が積層されることで、例えば、図4に示す一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11の表面(上面)が、その上側に配置される乾式分析素子11の裏面に貼り付けられた干渉防止シート26に密着するので、展開層24Aは露出していない。
【0057】
ここで、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11は、展開層24Aが露出していないため、乾式分析素子11の試薬が、他の乾式分析素子11の試薬の影響を受けることが防止される(干渉防止)。
一方、一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、他の乾式分析素子11の表面は全て干渉防止シート26が密着して展開層24Aで塞がれているので、複数枚の乾式分析素子11が包装体27の中で積層されている限り、一番上の乾式分析素子11の試薬が他の乾式分析素子11の試薬に影響されることは無い。
【0058】
なお、検体のイオン活性を測定するために使用される電解質タイプの乾式分析素子(図示せず)は、2箇所の液供給孔が形成されている。一方の液供給孔には検体が点着され、他方の液供給孔にはイオン活量が既知である参照液が点着される。また、イオン活量を測定するために電位差測定手段の電位測定用プローブと電気的に接続される3対のイオン選択電極対が形成されている。
【0059】
図1、及び図2に示すように、点着部4は、乾式分析素子11に血漿、全血、血清、尿などの検体を点着するもので、点着ノズルユニット5によって比色測定タイプの乾式分析素子11には検体を、電解質タイプの乾式分析素子11には検体と参照液を点着する。
【0060】
この点着部4には、乾式分析素子11の底面を受ける載置台41と、上方の点着用開口を有する素子押え(図示せず)が設置され、両者の間を乾式分析素子11が移動する。点着部4の前段部分には、図示してないが、乾式分析素子11に設けられたバーコードを読み取るためのバーコードリーダーが設置されている。このバーコードリーダーは、検査項目などを特定し、後の点着、測定を制御するため、および乾式分析素子11の搬送方向(前後、表裏)を検出するために設けられている。
【0061】
図1に示すように、点着ノズルユニット5は検体のサンプリングを行うもので、横方向に水平移動する横移動ブロック51に上下移動する2つの上下移動ブロック52,52が設けられ、2つの上下移動ブロック52,52にそれぞれ固定された2つの点着ノズル53,53を有している。
横移動ブロック51、2つの上下移動ブロック52,52は、図示しない駆動手段により横移動および上下移動が制御され、2つの点着ノズル53,53は、一体に横移動すると共に、独自に上下移動するようになっている。例えば、一方の点着ノズル53は検体用であり、他方の点着ノズル53は希釈液用および参照液用である。
【0062】
両点着ノズル53,53は棒状に形成され、内部に軸方向に延びるエア通路が設けられ、下端にはピペット状のノズルチップ12がシート状態で嵌合される。この点着ノズル53,53にはそれぞれ不図示のシリンジポンプ等に接続されたエアチューブが連結され、吸引・吐出圧が供給される。使用後のノズルチップ12はチップ抜取り部で外されて落下廃却される。
【0063】
(干渉防止部材除去部)
図2に示すように、点着部4とインキュベータ3との間には、干渉防止部材除去部34が設けられている。
図6及び図7に示すように、干渉防止部材除去部34には、搬送経路35の長手方向に対して直交する方向に延びる長孔36が形成されている。
搬送経路35の裏面側には、分離ブレード37が設けられている。分離ブレード37は、基部37Aと基部37Aから延びる側面視で略円弧状に形成されたブレード本体37Bとを含んで構成されている。
【0064】
分離ブレード37の基部37Aには、搬送経路35の長手方向に対して直角に配置された軸38が貫通しており、分離ブレード37は軸38を中心として矢印B方向、及び矢印B方向とは反対方向に揺動可能となっている。なお、軸38は、搬送経路35の下面に設けられた図示しない支持部材に固定されている。
軸38は、長孔36よりもインキュベータ3側(矢印A側)に配置されており、ブレード本体37Bは、基部37Aのインキュベータ3側とは反対側の上端部分からインキュベータ3側とは単体側の斜め上方に位置する長孔36に向けて延びている。
【0065】
基部37Aのインキュベータ3側の上端部分には、引張バネ39の一端が係止されている。引張バネ39の他端は、搬送経路35の下面に設けられたバネ支持突起42に係止されている。この引張バネ39は、分離ブレード37を矢印A方向に回転する方向に張力を作用させている。
【0066】
一方、基部37Aのインキュベータ3側の下端部分には、電磁ソレノイド43のコア軸44の端部がピン45を介して接続されている。電磁ソレノイド43は、図示しないコイルに通電することで、コア軸44が矢印b方向に移動する。
電磁ソレノイド43のコイルに通電をしていない状態では、分離ブレード37のブレード本体37Bの先端は、搬送経路35の上面よりも上方に突出している。なお、ブレード本体37Bの先端の搬送経路35の上面からの突出量は、干渉防止シート26の厚み程度(例えば、0.05〜0.2mm程度であるが、この厚みに限定されるものではない。)である。
コイルに通電をしてコア軸44を矢印b方向に移動することで、引張バネ39は伸ばされ、分離ブレード37は矢印B方向に回転し、ブレード本体37Bの先端が搬送経路35の上面よりも下方へ移動する。
【0067】
長孔36よりもインキュベータ3側には、搬送経路35を搬送される乾式分析素子11を検出する反射型フォトセンサ46が設けられている共に、反射型フォトセンサ46から出射する光ビーム、及び乾式分析素子11で反射した光ビームを通過させる孔47が搬送経路35に形成されている。
【0068】
インキュベータ3は、点着部4の延長位置に配置され、図2に示すように、円盤状の回転部材31が図示しない回転駆動機構によって回転可能に設けられ、回転部材31の上には不図示の上位部材が配設され、回転部材31の円周上に乾式分析素子11を収納する素子室32が所定間隔で複数配設されてなる。素子室32の底面の高さは点着部4の搬送面の高さと同一に設けられ、点着部4から挿入された乾式分析素子11を素子室32内で、上位部材に付設された加熱手段の温度調整によって所定温度にインキュベーション(恒温保持)する。
【0069】
また、回転部材31の中心には廃却口33が形成され、素子室32の測定後の乾式分析素子11がそのまま中心側に移動されると、乾式分析素子11は廃却口33から落下される。なお、インキュベータ3の上面にはカバーが配設され、廃却口33の下方には測定後の乾式分析素子11を回収する回収箱(図示せず)が配設されている。
【0070】
上記インキュベータ3には乾式分析素子11の測定を行う不図示の測定手段を備える。インキュベータ3には比色タイプの乾式分析素子11と電解質タイプの乾式分析素子11とが搬送されるもので、両者の測定が行える測定手段(測光手段と電位差測定手段)を備える。
なお、点着部4の側方に電位差測定手段を備えた第2のインキュベータを配設し、これには電解質タイプの乾式分析素子11を分離搬送して、その電位差測定を行うようにしてもよい。
【0071】
比色測定法の場合は、回転部材31の各素子室32の底面中央に測光用の開口が形成され、この開口を通して測定手段の測光ヘッドによる乾式分析素子11の反射光学濃度の測定が行われる。
インキュベータ3は回転部材31が往復回転駆動され、所定回転位置の下方に配設された測光ヘッドに対して、順次素子室32の乾式分析素子11の呈色反応の光学濃度の測定を行い、この一連の測定の後、逆回転して基準位置に復帰し、次の測定を行うように、所定角度範囲内で往復回転駆動を行うように制御するものである。
【0072】
また、イオン活量を測定する場合は、素子室32の側辺部に、イオン活量測定のための3対の開口が形成され、電位差測定手段の3対の電位測定用プローブが乾式分析素子11のイオン選択電極に接触可能に設けられる。そして、一方の液供給孔に検体が、他方の液供給孔に参照液が点着された乾式分析素子11では、イオン選択電極対の間にそれぞれ参照液と検体との間のイオン活量の差に対応する電位差が発生するため、電位測定用プローブにより各イオン選択電極対から生ずる電位差を測定すれば検体中の各イオン活量が測定できる。
【0073】
次に、血液濾過ユニット6(図1参照。)は、サンプラトレイ2に保持された検体容器10(採血管)の内部に挿入され上端開口部に取り付けられたガラス繊維からなるフィルターを有するホルダー16を介して血液から血漿を分離吸引し、ホルダー16上端のカップ部に濾過された血漿を保持するようになっている。負圧を作用させる吸引部61の先端下方側にはホルダー16と吸着する吸盤部62が設けられ、この吸盤部62は不図示のポンプと接続される。吸引部61は支持柱63に対し、不図示の昇降機構により昇降移動するように支持されている。
【0074】
そして、血液からの血漿の分離は、吸引部61を下降して検体容器10のホルダー16に密着させる。ポンプを駆動して、検体容器10内の全血を吸い上げフィルターにより濾過しカップ部に血漿が供給される。その後、吸引部61を上昇して元の位置に移動して濾過を終了する。
【0075】
図1は上記のような機構を装置本体17(ケース)に設置した生化学分析装置1の外観を示すものであり、インキュベータ3の上部には操作パネル18が配設されている。サンプラトレイ2、点着ノズルユニット5は開閉可能な透明保護カバー19によって覆われている。サンプラトレイ2に対する検体カートリッジ7の装填、交換は、透明保護カバー19を開いて(外して)行われる。
【0076】
(作用)
次いで、本実施形態の生化学分析装置1の動作について説明する。まず、分析を行う前に、装置外で検体カートリッジ7に対し検体を収容した検体容器10およびその測定項目に対応した種類の複数枚の乾式分析素子11を包装体27から取り出して装填する。なお、複数枚の乾式分析素子11は、展開層24Aが上側を向くように検体カートリッジ7に積み重ねて装填する。
この検体カートリッジ7を、透明保護カバー19を外してサンプラトレイ2に装填する。検体が複数の場合には、それぞれの検体に対応した検体カートリッジ7を装填する。また、消耗品であるノズルチップ12、混合カップ13、希釈液容器14および参照液容器15をサンプラトレイ2に装填する。図2の形態では消耗品カートリッジ8を装填する。
【0077】
その後、スタートボタンを押して分析処理をスタートする。図8のフローチャートにしたがって以下に処理の説明を行う。
【0078】
先ず、ステップ92では、血液濾過ユニット6により、検体容器10内の全血を濾過して血漿成分を得る。
次のステップ94では、サンプラトレイ2を回転させて測定する検体の検体カートリッジ7を点着部4に対応する位置に停止させる。
次のステップ96では、搬送手段9の素子搬送部材91によりその検体カートリッジ7から乾式分析素子11を点着部4に搬送する。
次のステップ98では、搬送途中にバーコードリーダーにより乾式分析素子11に設けられたバーコードが読み取られ、乾式分析素子11の検査項目などを検出する。
なお、読み取られた検査項目がイオン活量測定の場合、希釈依頼項目の場合等に応じて異なる処理を行う。
【0079】
読み取られた検査項目が比色測定の場合の処理について以下に説明をする。
ステップ100では、サンプラトレイ2を回転させて点着ノズル53の下方にノズルチップ12を移動させ、点着ノズル53に装着する。
次のステップ102では、続いて検体容器10を移動させ、点着ノズル53を下降してノズルチップ12に検体を吸引し、点着ノズル53を点着部4に移動して、乾式分析素子11に検体を点着する。
【0080】
次のステップ104では、検体が点着された乾式分析素子11を干渉防止部材除去部34側へ搬送する。
なお、初期状態において、ブレード本体37Bの先端は、搬送経路35の上面よりも上方に突出しており、この状態で乾式分析素子11をインキュベータ3側に搬送させると、ブレード本体37Bの先端に干渉防止シート26の端部が引っかかる。
【0081】
次のステップ106では、反射型フォトセンサ46によって乾式分析素子11の先端が検出されたか否かが判断され、乾式分析素子11の先端が検出されるとステップ108へ進み、電磁ソレノイド43のコイルに通電を行い、分離ブレード37を矢印B方向に回転させる。これにより、干渉防止シート26を引っ掛けたブレード本体37Bの先端が下方に移動し、干渉防止シート26が乾式分析素子11からより引き剥がされることとなり、干渉防止シート26の剥離性が向上する。
【0082】
そして、乾式分析素子11が更にインキュベータ3側に移動するにつれて干渉防止シート26がブレード本体37Bによって乾式分析素子11から徐々に剥がされる。なお、剥がされた干渉防止シート26は、ブレード本体37Bの側面に沿って下方に移動する。ブレード本体37Bの側面に沿って干渉防止シート26が滑り易いように、ブレード本体37Bの側面にフッ素樹脂等の低摩擦係数のコーティングを施すことが好ましい。
なお、干渉防止シート26は、最終的には乾式分析素子11から分離して分離ブレード37の下方へ落下して回収箱(図示せず)に廃棄される。
【0083】
次のステップ110では、乾式分析素子11が反射型フォトセンサ46の上を通過しきったか否かが判断され、乾式分析素子11が反射型フォトセンサ46の上を通過しきったと判断されるとステップ112へ進み、電磁ソレノイド43のコイルへの通電が停止する。これにより、コア軸44が矢印a方向に移動し、分離ブレード37が引張バネ39の張力によって矢印A方向に回転し、分離ブレード37は初期位置(ブレード本体37Bの先端が搬送経路35の上面よりも上方に突出した状態)へと戻される。
【0084】
次のステップ114では、乾式分析素子11がインキュベータ3に挿入され、インキュベータ3の素子室32を回転して、挿入された乾式分析素子11を順次測光ヘッドと対向する位置に移動する。そして、所定時間後、インキュベータ3の下側に配置された測光ヘッド(図示せず)により、乾式分析素子11の裏面の孔25Aを介して反応層24Cの反射光学濃度の測定が行われる。
【0085】
次のステップ116では、素子室32を挿入時の位置に戻し、素子搬送部材91によって測定後の乾式分析素子11をインキュベータ3の中心側に押し出し廃却口33を介して回収箱(図示せず)に廃却する。
次のステップ118では、測定結果を出力し、使用済みのノズルチップ12を点着ノズル53から外し、その後、ステップ120へ進む。
ステップ120では、最終の乾式分析素子11を処理したか否かを判断し、最後の乾式分析素子11を処理していないと判断した場合には、ステップ96へ戻り、最後の乾式分析素子11を処理したと判断した場合には、処理を終了する。
【0086】
なお、検査項目が希釈依頼項目の場合、例えば血液の濃度が濃すぎて正確な検査を行うことができないような場合には、サンプラトレイ2を移動してノズルチップ12を点着ノズル53に装着する。次にサンプラトレイ2を移動して検体上で点着ノズル53を下降してノズルチップ12に検体を吸引する。サンプラトレイ2を移動して吸引した検体をノズルチップ12から混合カップ13に分注した後、使用済みのノズルチップ12を外す。次いで、新しいノズルチップ12を点着ノズル53に装着し、希釈液容器14からノズルチップ12に希釈液を吸引する。吸引した希釈液をノズルチップ12から混合カップ13に吐出する。そして、ノズルチップ12を混合カップ13内に挿入して吸引と吐出とを繰り返して撹拌を行う。撹拌を行った後、希釈した検体をノズルチップ12に吸引し、希釈した検体を吸引した点着ノズル53を点着部4に移動して、乾式分析素子11に検体を点着する。以下同様に、干渉防止シート26の除去、測光、素子廃却、結果出力およびチップ廃却を行って処理を終了する。
【0087】
次いで、検査項目がイオン活量の測定の場合について説明する。なお、イオン活量の測定の場合は、電解質タイプの乾式分析素子11が搬送される。まず、一方の点着ノズル53にノズルチップ12を装着し、検体を吸引する。次に、他方の点着ノズル53にノズルチップ12を装着し、参照液容器15から参照液を吸引する。次いで、一方の点着ノズル53により検体を乾式分析素子11の一方の液供給孔に点着し、さらに、他方の点着ノズル53により参照液を乾式分析素子11の他方の液供給孔に点着する。
【0088】
そして、検体および参照液が点着された乾式分析素子11が、点着部4からインキュベータ3の素子室32に挿入される。この乾式分析素子11がインキュベータ3に挿入されると、電位差測定手段によるイオン活量の測定が行われる。測定終了後、素子搬送部材91によって測定後の乾式分析素子11をインキュベータ3の中心部の廃却口33に廃却する。そして測定結果を出力し、両方の使用済みのノズルチップ12,12を両点着ノズル53,53から外して廃却し、処理を終了する。
【0089】
以上説明した様に、本実施形態の装置に用いる乾式分析素子11には、裏面に干渉防止シート26が貼り付けられているが、干渉防止部材除去部34によって干渉防止シート26を自動的に除去できるので、オペレーターが干渉防止シート26を剥がす手間がかからない。このため、効率的に測定処理を行うことが出来る。
また、測定直前に装置で干渉防止シート26を剥がすことの利点として、包装体27の内部、または複数枚の乾式分析素子11を積み重ねた状態で装置に装填した状態において、素子内の薬剤成分のガス化による他素子への影響を最小とすることが可能となり、精度の高い分析を行うことができる。
【0090】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を図9にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態の干渉防止部材除去部34は、分離ブレード37の替わりに、粘着ローラ54が設けられている。粘着ローラ54は、図示しないモータからの駆動力によって矢印D方向に回転する軸55Aを備えており、軸55Aには一対のローラ55が固定されている。
【0091】
ローラ55の表面には、乾式分析素子11の干渉防止シート26を貼り付けている粘着剤よりも粘着力の強い粘着剤がコーティングされており、ローラ表面の粘着剤を干渉防止シート26に接触させて回転させることによって、干渉防止シート26を乾式分析素子11から引き剥がすことが出来る。
【0092】
なお、搬送経路35を搬送される乾式分析素子11の干渉防止シート26が付着(粘着)する様に、ローラ55の上端は長孔36から搬送経路35の上面よりも若干上方に突出している。
ローラ55とローラ55との間には、分離ブレード56が配置されている。この分離ブレード56は、先端がローラ55の外周面よりも径方向内側に位置しており、先端部分を除いたインキュベータ3側(矢印A方向側)の側面がローラ55よりもインキュベータ3側で、かつローラ55よりも下方に延びている。
【0093】
回転するローラ55の粘着剤に干渉防止シート26が付着すると、ローラ55の外周面に、周方向に干渉防止シート26が順次付着して行くことになるが、分離ブレード37が干渉防止シート26をローラ55の外周面から引き剥がすので、乾式分析素子11から剥がされた干渉防止シート26はローラ55に巻き付くことなくローラ55の下方に落下する。
なお、ローラ55の下方へ落下した干渉防止シート26は回収箱(図示せず)に廃棄される。
【0094】
[その他の実施形態]
上記実施形態の乾式分析素子11の形状は一例であり、本発明において乾式分析素子11の形状は上記のものに限定されるものでは無い。
上記実施形態の乾式分析素子11では、図3(B)に示すように干渉防止シート26の一辺側が全体的にマウント23の一辺から搬送方向前方側へ突出していたが、図10(A)に示すように、干渉防止シート26の一辺側の一部分のみがマウント23の一辺から搬送方向前方側へ突出していても良い。
【0095】
また、図10(B)に示すように、干渉防止シート26の一部分(搬送方向前方側)の一部分がマウント23から剥がれていれば分離ブレード56の先端が干渉防止シート26に引っ掛かり易いため、干渉防止シート26の一部をマウント23の搬送方向前方側の一辺から搬送方向前方側へ突出させなくても良い。
【0096】
上記実施形態では、干渉防止部材除去部34を点着部4とインキュベータ3との間に配置したが、干渉防止部材除去部34は、サンプラトレイ2と点着部4との間に配置することも出来る。
【0097】
上記実施形態では、マウント23の裏面側のカバープレート25に干渉防止シート26を貼り付けていたが、本発明はこれに限らず、点着孔23Aを塞ぐ様に干渉防止シート26をマウントの表面(上面)側に貼り付けても良い。点着孔23Aを干渉防止シート26で塞ぐことにより、多層試薬フィルム24の反応層24Cに含まれている試薬が他の乾式分析素子11の多層試薬フィルム24の反応層24Cに影響を与えることは無い。
なお、この場合、干渉防止部材除去部34は、サンプラトレイ2と点着部4との間に配置する。また、干渉防止シート26を剥がす分離ブレード37、及び粘着ローラ54は、搬送経路35の上側に設ける。
【0098】
上記第2の実施形態では、粘着剤がコーティングされた回転するローラ55を乾式分析素子11の干渉防止シート26に接触させたが、乾式分析素子11が剥がされるのであれば、粘着剤の付与された部材の形状は、円弧形状、平面形状等の他の形状であっても良く、ローラ形状に限定されるものではない。また、ローラ55の表面に両面粘着テープを貼り付けても良く、ローラ55を粘着性を有するゴム(ブチルゴム等)や合成樹脂等で形成しても良い。
【0099】
上記第2の実施形態では、粘着剤がコーティングされたローラ55を乾式分析素子11の干渉防止シート26に接触させたが、乾式分析素子11が剥がされるのであれば、粘着剤の付与された部材の形状は、円弧形状、平面形状等の他の形状であっても良く、ローラ形状に限定されるものではない。
【0100】
上記実施形態では、生化学分析装置1に干渉防止部材除去部34が一体的に設けられていた例を示したが、乾式分析素子11を装填する装填部(例えば、乾式分析素子11を積み重ねた状態で保持する素子保持部72に相当する部分)、装填部から乾式分析素子11を搬送する搬送手段(例えば、搬送手段9)、及び干渉防止部材除去部34から構成される単独の干渉防止シート分離装置を生化学分析装置1とは別体で構成することも出来る。
【0101】
[第3の実施形態]
次に、生化学分析装置1の第3の実施形態を図11〜図15にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、本実施形態の乾式分析素子11について以下に説明する。
図11に示すように、本実施形態の比色タイプの乾式分析素子11では、マウント23の裏面に、第1の実施形態よりも肉厚のカバープレート25が接着されている。
本実施形態の乾式分析素子11では、カバープレート25の孔25Aに、キャップ92が嵌めこまれている。
【0102】
図11、及び図12に示すように、キャップ92は、円板部92Aと、円板部92Aと一体に形成された環状の突起である圧入部92Bとを備えて構成されている。
キャップ92は、多層試薬フィルム24の反応層24Cに含まれている試薬を透過させない、または透過し難い合成樹脂等から形成されている。
【0103】
図12に示すように、圧入部92Bの端部には、孔25Aへ挿入し易くするためのテーパー状の面取り94が形成されている。
また、円板部92Aの端部は、ブレード本体37Bの先端が引っ掛かりやすいように、テーパー状の面取り96が形成されている。
【0104】
図13に示すように、試薬の種類が各々異なる複数枚の乾式分析素子11は、同じ向きに積層された状態で、包装体27によって真空包装されている。
本実施形態の生化学分析装置1では、図14に示すように、干渉防止部材除去部34の搬送経路35の幅方向中央に、キャップ92を搬送経路35に接触しないようにするための浅溝35Aが形成されている。
【0105】
(作用)
図13に示すように、複数枚の乾式分析素子11が積層されることで、例えば、一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11の表面(上面)が、その上側に配置される乾式分析素子11の裏面に取り付けられたキャップ92に密着するので、展開層24Aは露出していない。
【0106】
ここで、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11は、展開層24Aが露出していないため、乾式分析素子11の試薬が、他の乾式分析素子11の試薬の影響を受けることが防止される(干渉防止)。
【0107】
一方、一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、他の乾式分析素子11の表面は全てキャップ92が密着して展開層24Aで塞がれているので、複数枚の乾式分析素子11が包装体27の中で積層されている限り、一番上の乾式分析素子11の試薬が他の乾式分析素子11の試薬に影響されることは無い。
【0108】
本実施形態では、搬送経路35には幅方向中央部分に浅溝35Aが形成されているため、乾式分析素子11を搬送経路35上で搬送すると、乾式分析素子11の搬送方向と直交する方向の両端付近の下面が搬送経路35を摺動しながら乾式分析素子11の搬送が行われ、キャップ92の円板部92Aが搬送経路35に接触することは無い。
【0109】
本実施形態では、乾式分析素子11の先端が反射型フォトセンサ46によって検出され、所定時間が経過すると、電磁ソレノイド43のコイルに通電が行われ、図15(A)に示すように分離ブレード37が矢印B方向に回転する。これにより、図15(B)に示すように、キャップ92の円板部92Aを引っ掛けたブレード本体37Bの先端が下方に移動し、キャップ92が乾式分析素子11の孔25Aから除去される。
乾式分析素子11から除去されたキャップ92は、分離ブレード37の下方へ落下して回収箱(図示せず)に廃棄される。
なお、その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
【0110】
[第4の実施形態]
次に、生化学分析装置1の第4の実施形態を図16乃至図18にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、本実施形態の乾式分析素子11について以下に説明する。
本実施形態の乾式分析素子11は第3の実施形態の乾式分析素子11の変形例であり、図16(A),(B)に示すように、カバープレート25の四隅に円柱状の脚部96が一体的に形成されている。図16(B)に示すように、脚部96の高さをa、乾式分析素子11に取り付けたキャップ92の円板部92Aの厚さをbとしたときに、a≦bに設定されている。
【0111】
図17には、本実施形態の複数枚の乾式分析素子11が、同じ向きに積層された状態で、包装体27によって真空包装されている状態が示されており、一番上の乾式分析素子11は、点着孔23Aが開口して展開層24A(図示省略)が露出しているが、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11の表面(上面)は、その上側に配置される乾式分析素子11の裏面に取り付けられたキャップ92に密着するので、展開層24Aは露出していない。
【0112】
なお、乾式分析素子11は、カバープレート25の四隅に脚部96が形成されているため、乾式分析素子11が包装体27の内部で積層されている際に、乾式分析素子11の傾斜が抑制され、乾式分析素子11同士の密着と乾式分析素子11の姿勢の安定をもたらす効果が得られる。
【0113】
図18に示すように、本実施形態では、乾式分析素子11を搬送経路35上で搬送すると、脚部96が搬送経路35を摺動しながら乾式分析素子11の搬送が行われる。なお、搬送経路35には浅溝35Aが形成されているため、仮に脚部96の高さaとキャップ92の円板部92Aの厚さbとの関係がa≦bに設定されていたとしても、キャップ92の円板部92Aが搬送経路35に接触することは無い。
なお、浅溝35Aは、脚部96の高さaがキャップ92の円板部92Aの厚さよりも大きければ、キャップ92は搬送箇所に当らないので、脚部96の高い分だけ浅溝35Aの深さを浅くしても良い。
その他の作用効果は第3の実施形態と同様である。
【0114】
[第5の実施形態]
次に、生化学分析装置1の第5の実施形態を図19にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
上記第3、4の実施形態では、キャップ92を乾式分析素子11のカバープレート25の孔25Aに取り付けたが、本実施形態では、図19(A)に示すように、キャップ92をマウント23の点着孔23Aに取り付けている。包装体27で包装される全ての乾式分析素子11においてキャップ92をマウント23の点着孔23Aに取り付ければ、展開層24Aはキャップ92で塞がれ、乾式分析素子11の試薬が他の乾式分析素子11の試薬に影響されることは無い(干渉防止)。
【0115】
キャップ92をマウント23の点着孔23Aに取り付けた場合、分離ブレード37を搬送経路35の上側に配置すれば、図19(A),(B)に示すように、分離ブレード37を動かすことで、分離ブレード37でキャップ92を引っ掛け、搬送される乾式分析素子11からキャップ92を除去することが出来る。なお、乾式分析素子11から除去されたキャップ92は、回収箱(図示せず)に廃棄することができる。
その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
【0116】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の構成は、上記の実施形態に限定されるものでなく、上記の実施形態以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0117】
1 生化学分析装置
3 インキュベータ(検査部)
7 検体カートリッジ
9 搬送手段
11 乾式分析素子
26 干渉防止シート(干渉防止部材)
34 干渉防止部材除去部
37 分離ブレード(除去部材)
43 電磁ソレノイド
55 ローラ(粘着部材、除去部材)
56 分離ブレード(ブレード)
92 キャップ(干渉防止部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体中の所定の生化学物質の物質濃度を求める生化学分析装置に用いられる乾式分析素子に取り付けられた干渉防止用の干渉防止部材を除去する干渉防止部材分離装置、及び干渉防止部材分離装置を備えた生化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、検体の小滴を点着供給するだけでこの検体中に含まれている特定の化学成分または有形成分を定量分析することのできる比色タイプの乾式分析素子が開発され、実用化されている。この乾式分析素子を用いた生化学分析装置は、簡単かつ迅速に検体の分析を行うことができるので、医療機関、研究所等において好適に用いられている。
【0003】
比色タイプの乾式分析素子を使用する比色測定法は、検体を乾式分析素子に点着させた後、これをインキュベータ内で所定時間恒温保持して呈色反応(色素生成反応)させ、次いで検体中の所定の生化学物質と乾式分析素子に含まれる試薬との組み合わせにより予め選定された波長を含む測定用照射光をこの乾式分析素子に照射してその光学濃度を測定し、この光学濃度から、予め求めておいた光学濃度と所定の生化学物質の物質濃度との対応を表す検量線を用いて該生化学物質の濃度を求めるものである。
【0004】
例えば、一般的な検査項目に応じた複数種類の乾式分析素子を纏めて一つの包装体に収納して準備しておくことが考えられる。検査時には、包装体から複数種類の乾式分析素子を取り出して纏めて装置に装填するだけで良く、取り扱いは容易である。
しかしながら、複数種類の乾式分析素子を纏めて一つの包装体に収納しておくと、乾式分析素子に設けられている試薬が、他の乾式分析素子の試薬によって影響(干渉)を受け、測定精度の低下を招く懸念がある。
そこで、乾式分析素子の試薬が、他の試薬等によって影響を受けないように、乾式分析素子に干渉防止シートを貼り付けて、包装体に収容することが考えられる。
なお、特許文献1には、検査部をヒートシールした試験片(乾式分析素子)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−198706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように干渉防止シートを用いることよって、乾式分析素子の試薬が、他の試薬によって影響を受けることは無くなるが、分析装置で分析をする際には、乾式分析素子から干渉防止シートを剥がして除去しなければならず、オペレーターの作業が煩雑になる問題がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑み、乾式分析素子から干渉防止部材を自動的に除去し、生化学分析装置で効率的に検査を行うことができる干渉防止部材分離装置、及び生化学分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の干渉防止部材分離装置は、試薬部への干渉を防止する干渉防止部材が取り付けられた乾式分析素子を装填する装填部と、前記装填部から前記乾式分析素子を搬送する搬送手段と、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止部材に接触して前記干渉防止部材を除去する除去部材を備えた干渉防止部材除去部と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の干渉防止部材分離装置では、干渉防止部材が取り付けられた乾式分析素子が装填部に装填される。
装填部に装填された乾式分析素子は搬送手段によって搬送され、搬送される乾式分析素子の干渉防止部材が干渉防止部材除去部の除去部材に接触することで、干渉防止部材が乾式分析素子から除去される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置において、前記除去部材は、前記乾式分析素子の搬送動作に伴い、当該乾式分析素子の前記干渉防止部材に引っ掛かり、当該干渉防止部材を除去するブレードである。
【0011】
請求項2に記載の干渉防止部材分離装置では、搬送される乾式分析素子の干渉防止部材の先端にブレードが引っ掛けられることで、搬送される乾式分析素子から干渉防止部材を除去することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の干渉防止部材分離装置において、前記ブレードを揺動させる駆動手段を備えている。
【0013】
請求項3に記載の干渉防止部材分離装置では、駆動手段によってブレードを揺動させることができ、これにより、乾式分析素子に対してブレードの先端を接近させたり、離したりすることが出来る。
例えば、ブレードの先端で、搬送されてくる乾式分析素子の干渉防止部材の先端部を引っ掛けた後、ブレードの先端を乾式分析素子から離れる様にブレードを揺動させることで、干渉防止部材の除去性を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置において、前記干渉防止部材は前記乾式分析素子に貼り付けられるシート状の干渉防止シートであり、前記除去部材は、粘着剤が付与され、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートを付着することにより当該干渉防止シートを剥がす粘着部材である。
【0015】
請求項4に記載の干渉防止部材分離装置では、搬送される乾式分析素子に貼り付けられている干渉防止シートが粘着部材の粘着剤に付着することで、搬送される乾式分析素子から干渉防止シートが剥がされる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の干渉防止部材分離装置において、前記粘着部材は、回転自在とされ、かつ外周部に前記粘着剤が付与されたローラであり、前記ローラは回転しながら前記粘着剤の付与された外周部に前記干渉防止シートを順次粘着させる。
【0017】
請求項5に記載の干渉防止部材分離装置では、粘着部材が、外周部に粘着剤が付与されたローラであり、このローラは回転自在とされている。
したがって、搬送される乾式分析素子の干渉防止シートにローラの外周部を付着させ、ローラを回転して干渉防止シートを引き剥がすことで乾式分析素子から干渉防止シートを除去することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の干渉防止部材分離装置において、前記ローラに付着した前記干渉防止シートを剥がすブレードを有する。
【0019】
請求項6に記載の干渉防止部材分離装置では、ローラが回転しながら干渉防止シートが外周に付着される。ローラの外周に付着した干渉防止シートはブレードに引っ掛けられることで、ローラの外周に付着した干渉防止シートがローラの回転に応じて順次剥がれる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置において、前記干渉防止部材は、前記乾式分析素子の孔に嵌められ前記除去部材に引っ掛けられるキャップである。
【0021】
請求項7に記載の干渉防止部材分離装置では、干渉防止部材が除去部材に引っ掛けられるキャップであり、搬送される乾式分析素子の孔に嵌められているキャップが干渉防止部材除去部の除去部材に引っ掛けられることで、キャップが乾式分析素子から除去される。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の干渉防止部材分離装置において、前記除去部材には、前記キャップを引っ掛ける引掛部が設けられている。
【0023】
請求項8に記載の干渉防止部材分離装置では、除去部材にキャップを引っ掛ける引掛部が設けられているので、乾式分析素子の孔に嵌められているキャップは、除去部材の引掛部に引っ掛けられて除去される。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の干渉防止部材分離装置において、前記搬送手段は、前記乾式分析素子がスライドする搬送経路と、前記搬送経路の搬送面に形成され、前記キャップとの干渉を避ける溝と、を有する。
【0025】
請求項9に記載の干渉防止部材分離装置では、乾式分析素子を搬送経路でスライドする際に、搬送経路に設けられた溝が搬送経路とキャップとの干渉を防止する。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置において、前記キャップの端部にはテーパー状の面取りが形成され、前記引掛部の挿入用とされている。
【0027】
請求項10に記載の干渉防止部材分離装置では、キャップの端部にテーパー状の面取りが形成されており、引掛部の挿入用とされているため、キャップにブレードが引っかかり易くなり、キャップを除去し易くなる。
【0028】
請求項11に記載の干渉防止部材分離方法は、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートにブレードを接触させ、前記ブレードを前記乾式分析素子から離間する方向へ移動させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、を有する。
【0029】
先ず、搬送工程では、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子が搬送される。
次の干渉防止部材除去部工程では、搬送される乾式分析素子の干渉防止シートにブレードが接触され、ブレードが乾式分析素子から離間する方向へ移動されて干渉防止シートが乾式分析素子から剥がされる。
【0030】
請求項12に記載の干渉防止部材分離方法は、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートに対して外周部に粘着剤が付与されたローラを回転させながら接触させ、前記ローラによって前記干渉防止シートを順次粘着させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、を有する。
【0031】
先ず、搬送工程では、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子が搬送される。
次の干渉防止部材除去部工程では、搬送される乾式分析素子の前記干渉防止シートに対して外周部に粘着剤が付与されたローラが回転させながら接触され、ローラによって干渉防止シートが順次粘着させて干渉防止シートが乾式分析素子から剥がされる。
【0032】
請求項13に記載の干渉防止部材分離方法は、試薬部への干渉を防止するキャップが孔に嵌められた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、搬送される前記乾式分析素子の前記キャップに除去部材を引っ掛け、前記キャップを前記乾式分析素子から除去する干渉防止部材除去部工程と、を有する。
【0033】
先ず、搬送工程では、試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子が搬送される。
次の干渉防止部材除去部工程では、搬送される乾式分析素子のキャップに除去部材が引っ掛けられ、キャップが乾式分析素子から除去される。
【0034】
請求項14に記載の生化学分析装置は、請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置と、前記干渉防止部材分離装置によって干渉防止部材の除去された乾式分析素子を用いて検体の検査を行う検査部と、を備えている。
【0035】
請求項14に記載の生化学分析装置では、干渉防止部材分離装置で検査時に不要な干渉防止部材を除去した後、検査部で干渉防止部材の除去された乾式分析素子を用いて検体の検査を行うことが出来る。
【発明の効果】
【0036】
本発明の干渉防止部材分離装置によれば、乾式分析素子から干渉防止部材を自動的に除去することができるので、生化学分析装置で効率的に検査を行うことができる、という優れた効果を有する。
本発明の生化学分析装置によれば、乾式分析素子から干渉防止部材を自動的に除去することができるので、効率的に検査を行うことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る生化学分析装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】生化学分析装置の要部機構の平面配置図である。
【図3】(A)は乾式分析素子の分解斜視図であり、(B)は乾式分析素子の斜視図であり、(C)は多層試薬フィルムの斜視図及び拡大断面図である。
【図4】包装体によって真空包装された乾式分析素子の断面図である。
【図5】検体カートリッジの斜視図である。
【図6】干渉防止部材除去部の斜視図である。
【図7】(A)及び(B)は干渉防止部材除去部の断面図である。
【図8】本発明の生化学分析装置の制御の一例を示すフローチャートである。
【図9】(A)は第2の実施形態に係る干渉防止部材除去部の断面図であり、(B)は第2の実施形態に係る干渉防止部材除去部の粘着ローラ、及び分離ブレードの斜視図である。
【図10】(A)は他の実施形態に係る乾式分析素子の斜視図であり、(B)は更に他の実施形態に係る乾式分析素子の側面図である。
【図11】第3の実施形態に係る乾式分析素子の分解斜視図である。
【図12】第3の実施形態に係る乾式分析素子の断面図である。
【図13】包装体によって真空包装された乾式分析素子の断面図である。
【図14】(A)は第3の実施形態に係る干渉防止部材除去部の斜視図であり、(B)は干渉防止部材除去部の搬送方向に直行する方向の縦断面図である。
【図15】(A)及び(B)は第3の実施形態に係る干渉防止部材除去部の搬送方向に沿った縦断面図である。
【図16】第4の実施形態に係る乾式分析素子の下裏面側から見た斜視図である。
【図17】(A)は第4の実施形態に係る干渉防止部材除去部の斜視図であり、(B)は干渉防止部材除去部の搬送方向に直行する方向の縦断面図である。
【図18】(A)及び(B)は第4の実施形態に係る干渉防止部材除去部の搬送方向に沿った縦断面図である。
【図19】(A)及び(B)は第5の実施形態に係る干渉防止部材除去部の搬送方向に沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1の実施形態]
以下、本発明の生化学分析装置の第1の実施形態を図1乃至図8にしたがって説明する。なお、図1は生化学分析装置の概略機構を示す斜視図、図2は図1とは一部形態が異なる生化学分析装置の要部機構の平面配置図、図3は図2における検体カートリッジの斜視図である。
【0039】
(全体構成)
図1、及び図2に示すように、生化学分析装置1は、装置本体17の前部の一方(矢印A方向とは反対方向側)に円形のサンプラトレイ2が、他方(矢印A方向側)に円形のインキュベータ3が、両者の間に点着部4(図1では図示省略、図2参照)、及び干渉防止部材除去部34が、上部には左右に移動する点着ノズルユニット5がそれぞれ配設されている。また、サンプラトレイ2の近傍には、血液から血漿を分離する血液濾過ユニット6が設置されている。
【0040】
図2に示すように、サンプラトレイ2は、正転方向および逆転方向に回転駆動される円環状(ドーナツ状)の回転台22を有し、この回転台22にはその円環形状が中心から放射状に8個に等分割された検体カートリッジ7および消耗品カートリッジ8が装填され、全部の検体カートリッジ7,消耗品カートリッジ8の装填によって円環状となる。検体カートリッジ7および消耗品カートリッジ8は平面同形状であり、独自に着脱可能である。
【0041】
5つの検体カートリッジ7は、検体を収容した検体容器10を保持する検体保持部71を有すると共に、その測定項目に対応して必要とされる未使用の乾式分析素子11を保持する素子保持部72を有する。3つの消耗品カートリッジ8は、1つが多数のノズルチップ12を配列保持し、他の1つが多数の混合カップ13を保持し、残り1つが希釈液容器14および参照液容器15を保持する。消耗品カートリッジ8にはそれぞれの保持形態に対応した保持凹部が形成されている。
【0042】
上記のような検体カートリッジ7および消耗品カートリッジ8の装填により、サンプラトレイ2には、図1と同様に1つの検体容器10とその測定に必要な未使用の乾式分析素子11を組み合わせた複数組みの検体と乾式分析素子11とを装填すると共に、消耗品としてのノズルチップ12、混合カップ13、参照液容器15および希釈液容器14を予め装填している。
【0043】
サンプラトレイ2の回転台22は、不図示の回転駆動機構により、点着ノズルユニット5の動作位置に正転方向または逆転方向に回転駆動される。その回転位置と、点着ノズルユニット5の移動位置を制御することにより、必要なノズルチップ12を取り出し、必要な検体や希釈液、参照液を吸引し、必要により混合するという、検体点着のための所定の動作が行われる。
【0044】
図2に示すように、サンプラトレイ2の中央部には、乾式分析素子11を搬送する搬送手段9を備える。この搬送手段9は、不図示の機構によってサンプラトレイ2の半径方向にスライド移動可能に配設された素子搬送部材91(挿入レバー)を有し、この素子搬送部材91の前進移動制御によってその先端部で乾式分析素子11を押して検体カートリッジ7から自動的に取り出して点着部4に搬送し、点着後の乾式分析素子11をインキュベータ3に搬送し、測定後にはインキュベータ3の中心方向にさらに乾式分析素子11を搬送して廃却するように設けられている。そして、回転台22の回転位置を制御して、順に検体カートリッジ7を点着部4に対応する位置に停止させて、必要な乾式分析素子11を検体カートリッジ7から取り出すことができる。
【0045】
検体カートリッジ7は、図2の形態のものの斜視図を図5に示すように、平面形状(上面および底面)がサンプラトレイ2を分割した扇形になっており、内側面7aおよび外側面7bが円弧状湾曲面に設けられ、左右側面が中心方向に向く斜面に設けられている。この検体カートリッジ7は検体容器10を保持する検体保持部71および乾式分析素子11を収容する素子保持部72を備えている。
【0046】
素子保持部72は検体カートリッジ7の上面から略角筒状の凹部に形成され、上面に略矩形状に素子装填口72aが開口し、この素子装填口72aから必要枚数の乾式分析素子11が挿入され積み重ねられる。所定の深さ位置の底面72bにおける内側面7aには乾式分析素子11を押し出す素子搬送部材91が挿入できる挿入口72cが、反対側の外側面7bには収納した最下段の乾式分析素子11を挿通させて押し出すことができる素子取出口72dが連通して開口されている。挿入口72cから挿入された素子搬送部材91によって素子保持部72内の最下段の乾式分析素子11が外周側に押され、素子取出口72dから点着部4の方向に取り出される。なお、素子保持部72に挿入した乾式分析素子11の上部に重りを搭載し、乾式分析素子11を下方に押圧して素子搬送部材91による取り出しが確実に行えるようにするのが好適である。
【0047】
挿入口72cは乾式分析素子11の幅より狭く形成され、乾式分析素子11が内側面7aの方向に飛び出さないようになっている。素子取出口72dは1枚の乾式分析素子11のみが挿通可能に、その上下方向の開口高さが乾式分析素子11の2枚の厚み以下に形成されている。なお、素子搬送部材91は素子取出口72dを通ってさらに前進して乾式分析素子11を搬送する。
【0048】
また、検体保持部71は検体カートリッジ7の上面から略円筒状の凹部に形成され、上面に略円形状に装填口71aが開口し、採血管等の検体容器10が挿入され、所定の深さ位置の底面71bに保持される。この検体保持部71は、検体カートリッジ7が内側面7aが狭く外側面7bが広く形成され、矩形状の素子保持部72の側方部が外側面7bの近傍で広くなった部分に配置して、比較的寸法の大きい採血管等の検体容器10の装填が行えると共に、前記素子搬送部材91と干渉しないような構造にしている。また、このような配置にすることにより、面積を有効に使い、サンプラトレイ2を小型化できる。
【0049】
なお、血漿濾過が必要な検体については、図1に示すように、検体カートリッジ7に納めた検体容器10の上端に濾過フィルターを備えたホルダー16を装着しておく。
【0050】
なお、検体カートリッジ7には識別部材が配設され、サンプラトレイ2への検体カートリッジ7の装填が検出され、検体ID、濾過の有無等が識別される。また、上記検体カートリッジ7と同形状である図2に示す消耗品カートリッジ8は、収容した消耗品の残量が少量になったときは、予めノズルチップ12および混合カップ13を載置した新しい消耗品カートリッジ8を用意して入れ替えることができる。
【0051】
ここで、検体カートリッジ7に装填される乾式分析素子11について説明する。
図3に示すように、検体の呈色度合を測定するために使用される比色タイプの乾式分析素子11は、合成樹脂で形成された矩形のプレート状とされたマウント23を備えている。マウント23は、中央に円形の点着孔23Aが形成されており、裏面には、点着孔23Aよりも大きな矩形の凹部23Bが形成されている。
【0052】
凹部23Bには、多層試薬フィルム24が配置されている。
多層試薬フィルム24は、検体(液)を均一に展開するための展開層24A、検体の色を遮断する比色分析の反射板としての反射層24B、検体を点着後、検体に反応し発色する試薬が含まれた反応層24C、及び光線を透過し、全体を平らに支持する合成樹脂製の透明支持体24Dから構成されている。
乾式分析素子11の多層試薬フィルム24は、検体中の検査対象物質の量に比例する発色濃度を分光光度計によって光学的に測定される。
【0053】
マウント23の裏面には、中央に孔25Aの形成されたカバープレート25が接着されている。なお、カバープレート25の表面(下面)には、試薬の種類を識別したり、検査項目などを特定するための情報が記録されたバーコードが印刷されている。
これにより、凹部23Bに配置された多層試薬フィルム24は、凹部23B内に保持され、展開層24Aは表面側の点着孔23Aを介して中央部分が表面側に露出しており、透明支持体24Dは裏面側の孔25Aを介して中央部分が表面側に露出している。
【0054】
さらに、本実施形態の乾式分析素子11は、カバープレート25の表面(下面)全体に、干渉防止シート26が貼り付けられている。干渉防止シート26は、容易に剥がすことができるように粘着剤にてカバープレート25に貼り付けられている。なお、本実施形態では、干渉防止シート26が粘着剤にてカバープレート25に貼り付けられているが、後で剥がし易い様に接着力の弱い接着剤で貼り付けられていても良い。
また、本実施形態の干渉防止シート26は、マウント23の長手方向一方側(搬送方向の前端側)の端縁から一辺全体が突出している。また、干渉防止シート26のマウント23から突出している部分は、図3(A)に示すように、マウント23側とは反対側に曲げ癖が付けられている。
【0055】
干渉防止シート26は、多層試薬フィルム24の反応層24Cに含まれている試薬を透過させない、または透過し難いような素材、例えば、アルミ箔と合成樹脂等からなるフィルムから形成されており、カバープレート25に貼り付けられる部分のみに粘着剤が付与されている。なお、反応層24Cに含まれている試薬を透過させなければ干渉防止シート26の厚み関して特に制限はない。
【0056】
図4に示すように、試薬の種類が各々異なる複数枚の乾式分析素子11は、同じ向きに積層された状態で、包装体27によって真空包装されている。
このように、複数枚の乾式分析素子11が積層されることで、例えば、図4に示す一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11の表面(上面)が、その上側に配置される乾式分析素子11の裏面に貼り付けられた干渉防止シート26に密着するので、展開層24Aは露出していない。
【0057】
ここで、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11は、展開層24Aが露出していないため、乾式分析素子11の試薬が、他の乾式分析素子11の試薬の影響を受けることが防止される(干渉防止)。
一方、一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、他の乾式分析素子11の表面は全て干渉防止シート26が密着して展開層24Aで塞がれているので、複数枚の乾式分析素子11が包装体27の中で積層されている限り、一番上の乾式分析素子11の試薬が他の乾式分析素子11の試薬に影響されることは無い。
【0058】
なお、検体のイオン活性を測定するために使用される電解質タイプの乾式分析素子(図示せず)は、2箇所の液供給孔が形成されている。一方の液供給孔には検体が点着され、他方の液供給孔にはイオン活量が既知である参照液が点着される。また、イオン活量を測定するために電位差測定手段の電位測定用プローブと電気的に接続される3対のイオン選択電極対が形成されている。
【0059】
図1、及び図2に示すように、点着部4は、乾式分析素子11に血漿、全血、血清、尿などの検体を点着するもので、点着ノズルユニット5によって比色測定タイプの乾式分析素子11には検体を、電解質タイプの乾式分析素子11には検体と参照液を点着する。
【0060】
この点着部4には、乾式分析素子11の底面を受ける載置台41と、上方の点着用開口を有する素子押え(図示せず)が設置され、両者の間を乾式分析素子11が移動する。点着部4の前段部分には、図示してないが、乾式分析素子11に設けられたバーコードを読み取るためのバーコードリーダーが設置されている。このバーコードリーダーは、検査項目などを特定し、後の点着、測定を制御するため、および乾式分析素子11の搬送方向(前後、表裏)を検出するために設けられている。
【0061】
図1に示すように、点着ノズルユニット5は検体のサンプリングを行うもので、横方向に水平移動する横移動ブロック51に上下移動する2つの上下移動ブロック52,52が設けられ、2つの上下移動ブロック52,52にそれぞれ固定された2つの点着ノズル53,53を有している。
横移動ブロック51、2つの上下移動ブロック52,52は、図示しない駆動手段により横移動および上下移動が制御され、2つの点着ノズル53,53は、一体に横移動すると共に、独自に上下移動するようになっている。例えば、一方の点着ノズル53は検体用であり、他方の点着ノズル53は希釈液用および参照液用である。
【0062】
両点着ノズル53,53は棒状に形成され、内部に軸方向に延びるエア通路が設けられ、下端にはピペット状のノズルチップ12がシート状態で嵌合される。この点着ノズル53,53にはそれぞれ不図示のシリンジポンプ等に接続されたエアチューブが連結され、吸引・吐出圧が供給される。使用後のノズルチップ12はチップ抜取り部で外されて落下廃却される。
【0063】
(干渉防止部材除去部)
図2に示すように、点着部4とインキュベータ3との間には、干渉防止部材除去部34が設けられている。
図6及び図7に示すように、干渉防止部材除去部34には、搬送経路35の長手方向に対して直交する方向に延びる長孔36が形成されている。
搬送経路35の裏面側には、分離ブレード37が設けられている。分離ブレード37は、基部37Aと基部37Aから延びる側面視で略円弧状に形成されたブレード本体37Bとを含んで構成されている。
【0064】
分離ブレード37の基部37Aには、搬送経路35の長手方向に対して直角に配置された軸38が貫通しており、分離ブレード37は軸38を中心として矢印B方向、及び矢印B方向とは反対方向に揺動可能となっている。なお、軸38は、搬送経路35の下面に設けられた図示しない支持部材に固定されている。
軸38は、長孔36よりもインキュベータ3側(矢印A側)に配置されており、ブレード本体37Bは、基部37Aのインキュベータ3側とは反対側の上端部分からインキュベータ3側とは単体側の斜め上方に位置する長孔36に向けて延びている。
【0065】
基部37Aのインキュベータ3側の上端部分には、引張バネ39の一端が係止されている。引張バネ39の他端は、搬送経路35の下面に設けられたバネ支持突起42に係止されている。この引張バネ39は、分離ブレード37を矢印A方向に回転する方向に張力を作用させている。
【0066】
一方、基部37Aのインキュベータ3側の下端部分には、電磁ソレノイド43のコア軸44の端部がピン45を介して接続されている。電磁ソレノイド43は、図示しないコイルに通電することで、コア軸44が矢印b方向に移動する。
電磁ソレノイド43のコイルに通電をしていない状態では、分離ブレード37のブレード本体37Bの先端は、搬送経路35の上面よりも上方に突出している。なお、ブレード本体37Bの先端の搬送経路35の上面からの突出量は、干渉防止シート26の厚み程度(例えば、0.05〜0.2mm程度であるが、この厚みに限定されるものではない。)である。
コイルに通電をしてコア軸44を矢印b方向に移動することで、引張バネ39は伸ばされ、分離ブレード37は矢印B方向に回転し、ブレード本体37Bの先端が搬送経路35の上面よりも下方へ移動する。
【0067】
長孔36よりもインキュベータ3側には、搬送経路35を搬送される乾式分析素子11を検出する反射型フォトセンサ46が設けられている共に、反射型フォトセンサ46から出射する光ビーム、及び乾式分析素子11で反射した光ビームを通過させる孔47が搬送経路35に形成されている。
【0068】
インキュベータ3は、点着部4の延長位置に配置され、図2に示すように、円盤状の回転部材31が図示しない回転駆動機構によって回転可能に設けられ、回転部材31の上には不図示の上位部材が配設され、回転部材31の円周上に乾式分析素子11を収納する素子室32が所定間隔で複数配設されてなる。素子室32の底面の高さは点着部4の搬送面の高さと同一に設けられ、点着部4から挿入された乾式分析素子11を素子室32内で、上位部材に付設された加熱手段の温度調整によって所定温度にインキュベーション(恒温保持)する。
【0069】
また、回転部材31の中心には廃却口33が形成され、素子室32の測定後の乾式分析素子11がそのまま中心側に移動されると、乾式分析素子11は廃却口33から落下される。なお、インキュベータ3の上面にはカバーが配設され、廃却口33の下方には測定後の乾式分析素子11を回収する回収箱(図示せず)が配設されている。
【0070】
上記インキュベータ3には乾式分析素子11の測定を行う不図示の測定手段を備える。インキュベータ3には比色タイプの乾式分析素子11と電解質タイプの乾式分析素子11とが搬送されるもので、両者の測定が行える測定手段(測光手段と電位差測定手段)を備える。
なお、点着部4の側方に電位差測定手段を備えた第2のインキュベータを配設し、これには電解質タイプの乾式分析素子11を分離搬送して、その電位差測定を行うようにしてもよい。
【0071】
比色測定法の場合は、回転部材31の各素子室32の底面中央に測光用の開口が形成され、この開口を通して測定手段の測光ヘッドによる乾式分析素子11の反射光学濃度の測定が行われる。
インキュベータ3は回転部材31が往復回転駆動され、所定回転位置の下方に配設された測光ヘッドに対して、順次素子室32の乾式分析素子11の呈色反応の光学濃度の測定を行い、この一連の測定の後、逆回転して基準位置に復帰し、次の測定を行うように、所定角度範囲内で往復回転駆動を行うように制御するものである。
【0072】
また、イオン活量を測定する場合は、素子室32の側辺部に、イオン活量測定のための3対の開口が形成され、電位差測定手段の3対の電位測定用プローブが乾式分析素子11のイオン選択電極に接触可能に設けられる。そして、一方の液供給孔に検体が、他方の液供給孔に参照液が点着された乾式分析素子11では、イオン選択電極対の間にそれぞれ参照液と検体との間のイオン活量の差に対応する電位差が発生するため、電位測定用プローブにより各イオン選択電極対から生ずる電位差を測定すれば検体中の各イオン活量が測定できる。
【0073】
次に、血液濾過ユニット6(図1参照。)は、サンプラトレイ2に保持された検体容器10(採血管)の内部に挿入され上端開口部に取り付けられたガラス繊維からなるフィルターを有するホルダー16を介して血液から血漿を分離吸引し、ホルダー16上端のカップ部に濾過された血漿を保持するようになっている。負圧を作用させる吸引部61の先端下方側にはホルダー16と吸着する吸盤部62が設けられ、この吸盤部62は不図示のポンプと接続される。吸引部61は支持柱63に対し、不図示の昇降機構により昇降移動するように支持されている。
【0074】
そして、血液からの血漿の分離は、吸引部61を下降して検体容器10のホルダー16に密着させる。ポンプを駆動して、検体容器10内の全血を吸い上げフィルターにより濾過しカップ部に血漿が供給される。その後、吸引部61を上昇して元の位置に移動して濾過を終了する。
【0075】
図1は上記のような機構を装置本体17(ケース)に設置した生化学分析装置1の外観を示すものであり、インキュベータ3の上部には操作パネル18が配設されている。サンプラトレイ2、点着ノズルユニット5は開閉可能な透明保護カバー19によって覆われている。サンプラトレイ2に対する検体カートリッジ7の装填、交換は、透明保護カバー19を開いて(外して)行われる。
【0076】
(作用)
次いで、本実施形態の生化学分析装置1の動作について説明する。まず、分析を行う前に、装置外で検体カートリッジ7に対し検体を収容した検体容器10およびその測定項目に対応した種類の複数枚の乾式分析素子11を包装体27から取り出して装填する。なお、複数枚の乾式分析素子11は、展開層24Aが上側を向くように検体カートリッジ7に積み重ねて装填する。
この検体カートリッジ7を、透明保護カバー19を外してサンプラトレイ2に装填する。検体が複数の場合には、それぞれの検体に対応した検体カートリッジ7を装填する。また、消耗品であるノズルチップ12、混合カップ13、希釈液容器14および参照液容器15をサンプラトレイ2に装填する。図2の形態では消耗品カートリッジ8を装填する。
【0077】
その後、スタートボタンを押して分析処理をスタートする。図8のフローチャートにしたがって以下に処理の説明を行う。
【0078】
先ず、ステップ92では、血液濾過ユニット6により、検体容器10内の全血を濾過して血漿成分を得る。
次のステップ94では、サンプラトレイ2を回転させて測定する検体の検体カートリッジ7を点着部4に対応する位置に停止させる。
次のステップ96では、搬送手段9の素子搬送部材91によりその検体カートリッジ7から乾式分析素子11を点着部4に搬送する。
次のステップ98では、搬送途中にバーコードリーダーにより乾式分析素子11に設けられたバーコードが読み取られ、乾式分析素子11の検査項目などを検出する。
なお、読み取られた検査項目がイオン活量測定の場合、希釈依頼項目の場合等に応じて異なる処理を行う。
【0079】
読み取られた検査項目が比色測定の場合の処理について以下に説明をする。
ステップ100では、サンプラトレイ2を回転させて点着ノズル53の下方にノズルチップ12を移動させ、点着ノズル53に装着する。
次のステップ102では、続いて検体容器10を移動させ、点着ノズル53を下降してノズルチップ12に検体を吸引し、点着ノズル53を点着部4に移動して、乾式分析素子11に検体を点着する。
【0080】
次のステップ104では、検体が点着された乾式分析素子11を干渉防止部材除去部34側へ搬送する。
なお、初期状態において、ブレード本体37Bの先端は、搬送経路35の上面よりも上方に突出しており、この状態で乾式分析素子11をインキュベータ3側に搬送させると、ブレード本体37Bの先端に干渉防止シート26の端部が引っかかる。
【0081】
次のステップ106では、反射型フォトセンサ46によって乾式分析素子11の先端が検出されたか否かが判断され、乾式分析素子11の先端が検出されるとステップ108へ進み、電磁ソレノイド43のコイルに通電を行い、分離ブレード37を矢印B方向に回転させる。これにより、干渉防止シート26を引っ掛けたブレード本体37Bの先端が下方に移動し、干渉防止シート26が乾式分析素子11からより引き剥がされることとなり、干渉防止シート26の剥離性が向上する。
【0082】
そして、乾式分析素子11が更にインキュベータ3側に移動するにつれて干渉防止シート26がブレード本体37Bによって乾式分析素子11から徐々に剥がされる。なお、剥がされた干渉防止シート26は、ブレード本体37Bの側面に沿って下方に移動する。ブレード本体37Bの側面に沿って干渉防止シート26が滑り易いように、ブレード本体37Bの側面にフッ素樹脂等の低摩擦係数のコーティングを施すことが好ましい。
なお、干渉防止シート26は、最終的には乾式分析素子11から分離して分離ブレード37の下方へ落下して回収箱(図示せず)に廃棄される。
【0083】
次のステップ110では、乾式分析素子11が反射型フォトセンサ46の上を通過しきったか否かが判断され、乾式分析素子11が反射型フォトセンサ46の上を通過しきったと判断されるとステップ112へ進み、電磁ソレノイド43のコイルへの通電が停止する。これにより、コア軸44が矢印a方向に移動し、分離ブレード37が引張バネ39の張力によって矢印A方向に回転し、分離ブレード37は初期位置(ブレード本体37Bの先端が搬送経路35の上面よりも上方に突出した状態)へと戻される。
【0084】
次のステップ114では、乾式分析素子11がインキュベータ3に挿入され、インキュベータ3の素子室32を回転して、挿入された乾式分析素子11を順次測光ヘッドと対向する位置に移動する。そして、所定時間後、インキュベータ3の下側に配置された測光ヘッド(図示せず)により、乾式分析素子11の裏面の孔25Aを介して反応層24Cの反射光学濃度の測定が行われる。
【0085】
次のステップ116では、素子室32を挿入時の位置に戻し、素子搬送部材91によって測定後の乾式分析素子11をインキュベータ3の中心側に押し出し廃却口33を介して回収箱(図示せず)に廃却する。
次のステップ118では、測定結果を出力し、使用済みのノズルチップ12を点着ノズル53から外し、その後、ステップ120へ進む。
ステップ120では、最終の乾式分析素子11を処理したか否かを判断し、最後の乾式分析素子11を処理していないと判断した場合には、ステップ96へ戻り、最後の乾式分析素子11を処理したと判断した場合には、処理を終了する。
【0086】
なお、検査項目が希釈依頼項目の場合、例えば血液の濃度が濃すぎて正確な検査を行うことができないような場合には、サンプラトレイ2を移動してノズルチップ12を点着ノズル53に装着する。次にサンプラトレイ2を移動して検体上で点着ノズル53を下降してノズルチップ12に検体を吸引する。サンプラトレイ2を移動して吸引した検体をノズルチップ12から混合カップ13に分注した後、使用済みのノズルチップ12を外す。次いで、新しいノズルチップ12を点着ノズル53に装着し、希釈液容器14からノズルチップ12に希釈液を吸引する。吸引した希釈液をノズルチップ12から混合カップ13に吐出する。そして、ノズルチップ12を混合カップ13内に挿入して吸引と吐出とを繰り返して撹拌を行う。撹拌を行った後、希釈した検体をノズルチップ12に吸引し、希釈した検体を吸引した点着ノズル53を点着部4に移動して、乾式分析素子11に検体を点着する。以下同様に、干渉防止シート26の除去、測光、素子廃却、結果出力およびチップ廃却を行って処理を終了する。
【0087】
次いで、検査項目がイオン活量の測定の場合について説明する。なお、イオン活量の測定の場合は、電解質タイプの乾式分析素子11が搬送される。まず、一方の点着ノズル53にノズルチップ12を装着し、検体を吸引する。次に、他方の点着ノズル53にノズルチップ12を装着し、参照液容器15から参照液を吸引する。次いで、一方の点着ノズル53により検体を乾式分析素子11の一方の液供給孔に点着し、さらに、他方の点着ノズル53により参照液を乾式分析素子11の他方の液供給孔に点着する。
【0088】
そして、検体および参照液が点着された乾式分析素子11が、点着部4からインキュベータ3の素子室32に挿入される。この乾式分析素子11がインキュベータ3に挿入されると、電位差測定手段によるイオン活量の測定が行われる。測定終了後、素子搬送部材91によって測定後の乾式分析素子11をインキュベータ3の中心部の廃却口33に廃却する。そして測定結果を出力し、両方の使用済みのノズルチップ12,12を両点着ノズル53,53から外して廃却し、処理を終了する。
【0089】
以上説明した様に、本実施形態の装置に用いる乾式分析素子11には、裏面に干渉防止シート26が貼り付けられているが、干渉防止部材除去部34によって干渉防止シート26を自動的に除去できるので、オペレーターが干渉防止シート26を剥がす手間がかからない。このため、効率的に測定処理を行うことが出来る。
また、測定直前に装置で干渉防止シート26を剥がすことの利点として、包装体27の内部、または複数枚の乾式分析素子11を積み重ねた状態で装置に装填した状態において、素子内の薬剤成分のガス化による他素子への影響を最小とすることが可能となり、精度の高い分析を行うことができる。
【0090】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を図9にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態の干渉防止部材除去部34は、分離ブレード37の替わりに、粘着ローラ54が設けられている。粘着ローラ54は、図示しないモータからの駆動力によって矢印D方向に回転する軸55Aを備えており、軸55Aには一対のローラ55が固定されている。
【0091】
ローラ55の表面には、乾式分析素子11の干渉防止シート26を貼り付けている粘着剤よりも粘着力の強い粘着剤がコーティングされており、ローラ表面の粘着剤を干渉防止シート26に接触させて回転させることによって、干渉防止シート26を乾式分析素子11から引き剥がすことが出来る。
【0092】
なお、搬送経路35を搬送される乾式分析素子11の干渉防止シート26が付着(粘着)する様に、ローラ55の上端は長孔36から搬送経路35の上面よりも若干上方に突出している。
ローラ55とローラ55との間には、分離ブレード56が配置されている。この分離ブレード56は、先端がローラ55の外周面よりも径方向内側に位置しており、先端部分を除いたインキュベータ3側(矢印A方向側)の側面がローラ55よりもインキュベータ3側で、かつローラ55よりも下方に延びている。
【0093】
回転するローラ55の粘着剤に干渉防止シート26が付着すると、ローラ55の外周面に、周方向に干渉防止シート26が順次付着して行くことになるが、分離ブレード37が干渉防止シート26をローラ55の外周面から引き剥がすので、乾式分析素子11から剥がされた干渉防止シート26はローラ55に巻き付くことなくローラ55の下方に落下する。
なお、ローラ55の下方へ落下した干渉防止シート26は回収箱(図示せず)に廃棄される。
【0094】
[その他の実施形態]
上記実施形態の乾式分析素子11の形状は一例であり、本発明において乾式分析素子11の形状は上記のものに限定されるものでは無い。
上記実施形態の乾式分析素子11では、図3(B)に示すように干渉防止シート26の一辺側が全体的にマウント23の一辺から搬送方向前方側へ突出していたが、図10(A)に示すように、干渉防止シート26の一辺側の一部分のみがマウント23の一辺から搬送方向前方側へ突出していても良い。
【0095】
また、図10(B)に示すように、干渉防止シート26の一部分(搬送方向前方側)の一部分がマウント23から剥がれていれば分離ブレード56の先端が干渉防止シート26に引っ掛かり易いため、干渉防止シート26の一部をマウント23の搬送方向前方側の一辺から搬送方向前方側へ突出させなくても良い。
【0096】
上記実施形態では、干渉防止部材除去部34を点着部4とインキュベータ3との間に配置したが、干渉防止部材除去部34は、サンプラトレイ2と点着部4との間に配置することも出来る。
【0097】
上記実施形態では、マウント23の裏面側のカバープレート25に干渉防止シート26を貼り付けていたが、本発明はこれに限らず、点着孔23Aを塞ぐ様に干渉防止シート26をマウントの表面(上面)側に貼り付けても良い。点着孔23Aを干渉防止シート26で塞ぐことにより、多層試薬フィルム24の反応層24Cに含まれている試薬が他の乾式分析素子11の多層試薬フィルム24の反応層24Cに影響を与えることは無い。
なお、この場合、干渉防止部材除去部34は、サンプラトレイ2と点着部4との間に配置する。また、干渉防止シート26を剥がす分離ブレード37、及び粘着ローラ54は、搬送経路35の上側に設ける。
【0098】
上記第2の実施形態では、粘着剤がコーティングされた回転するローラ55を乾式分析素子11の干渉防止シート26に接触させたが、乾式分析素子11が剥がされるのであれば、粘着剤の付与された部材の形状は、円弧形状、平面形状等の他の形状であっても良く、ローラ形状に限定されるものではない。また、ローラ55の表面に両面粘着テープを貼り付けても良く、ローラ55を粘着性を有するゴム(ブチルゴム等)や合成樹脂等で形成しても良い。
【0099】
上記第2の実施形態では、粘着剤がコーティングされたローラ55を乾式分析素子11の干渉防止シート26に接触させたが、乾式分析素子11が剥がされるのであれば、粘着剤の付与された部材の形状は、円弧形状、平面形状等の他の形状であっても良く、ローラ形状に限定されるものではない。
【0100】
上記実施形態では、生化学分析装置1に干渉防止部材除去部34が一体的に設けられていた例を示したが、乾式分析素子11を装填する装填部(例えば、乾式分析素子11を積み重ねた状態で保持する素子保持部72に相当する部分)、装填部から乾式分析素子11を搬送する搬送手段(例えば、搬送手段9)、及び干渉防止部材除去部34から構成される単独の干渉防止シート分離装置を生化学分析装置1とは別体で構成することも出来る。
【0101】
[第3の実施形態]
次に、生化学分析装置1の第3の実施形態を図11〜図15にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、本実施形態の乾式分析素子11について以下に説明する。
図11に示すように、本実施形態の比色タイプの乾式分析素子11では、マウント23の裏面に、第1の実施形態よりも肉厚のカバープレート25が接着されている。
本実施形態の乾式分析素子11では、カバープレート25の孔25Aに、キャップ92が嵌めこまれている。
【0102】
図11、及び図12に示すように、キャップ92は、円板部92Aと、円板部92Aと一体に形成された環状の突起である圧入部92Bとを備えて構成されている。
キャップ92は、多層試薬フィルム24の反応層24Cに含まれている試薬を透過させない、または透過し難い合成樹脂等から形成されている。
【0103】
図12に示すように、圧入部92Bの端部には、孔25Aへ挿入し易くするためのテーパー状の面取り94が形成されている。
また、円板部92Aの端部は、ブレード本体37Bの先端が引っ掛かりやすいように、テーパー状の面取り96が形成されている。
【0104】
図13に示すように、試薬の種類が各々異なる複数枚の乾式分析素子11は、同じ向きに積層された状態で、包装体27によって真空包装されている。
本実施形態の生化学分析装置1では、図14に示すように、干渉防止部材除去部34の搬送経路35の幅方向中央に、キャップ92を搬送経路35に接触しないようにするための浅溝35Aが形成されている。
【0105】
(作用)
図13に示すように、複数枚の乾式分析素子11が積層されることで、例えば、一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11の表面(上面)が、その上側に配置される乾式分析素子11の裏面に取り付けられたキャップ92に密着するので、展開層24Aは露出していない。
【0106】
ここで、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11は、展開層24Aが露出していないため、乾式分析素子11の試薬が、他の乾式分析素子11の試薬の影響を受けることが防止される(干渉防止)。
【0107】
一方、一番上の乾式分析素子11は、展開層24Aが露出しているが、他の乾式分析素子11の表面は全てキャップ92が密着して展開層24Aで塞がれているので、複数枚の乾式分析素子11が包装体27の中で積層されている限り、一番上の乾式分析素子11の試薬が他の乾式分析素子11の試薬に影響されることは無い。
【0108】
本実施形態では、搬送経路35には幅方向中央部分に浅溝35Aが形成されているため、乾式分析素子11を搬送経路35上で搬送すると、乾式分析素子11の搬送方向と直交する方向の両端付近の下面が搬送経路35を摺動しながら乾式分析素子11の搬送が行われ、キャップ92の円板部92Aが搬送経路35に接触することは無い。
【0109】
本実施形態では、乾式分析素子11の先端が反射型フォトセンサ46によって検出され、所定時間が経過すると、電磁ソレノイド43のコイルに通電が行われ、図15(A)に示すように分離ブレード37が矢印B方向に回転する。これにより、図15(B)に示すように、キャップ92の円板部92Aを引っ掛けたブレード本体37Bの先端が下方に移動し、キャップ92が乾式分析素子11の孔25Aから除去される。
乾式分析素子11から除去されたキャップ92は、分離ブレード37の下方へ落下して回収箱(図示せず)に廃棄される。
なお、その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
【0110】
[第4の実施形態]
次に、生化学分析装置1の第4の実施形態を図16乃至図18にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
先ず、本実施形態の乾式分析素子11について以下に説明する。
本実施形態の乾式分析素子11は第3の実施形態の乾式分析素子11の変形例であり、図16(A),(B)に示すように、カバープレート25の四隅に円柱状の脚部96が一体的に形成されている。図16(B)に示すように、脚部96の高さをa、乾式分析素子11に取り付けたキャップ92の円板部92Aの厚さをbとしたときに、a≦bに設定されている。
【0111】
図17には、本実施形態の複数枚の乾式分析素子11が、同じ向きに積層された状態で、包装体27によって真空包装されている状態が示されており、一番上の乾式分析素子11は、点着孔23Aが開口して展開層24A(図示省略)が露出しているが、上から2番目から一番下までは乾式分析素子11の表面(上面)は、その上側に配置される乾式分析素子11の裏面に取り付けられたキャップ92に密着するので、展開層24Aは露出していない。
【0112】
なお、乾式分析素子11は、カバープレート25の四隅に脚部96が形成されているため、乾式分析素子11が包装体27の内部で積層されている際に、乾式分析素子11の傾斜が抑制され、乾式分析素子11同士の密着と乾式分析素子11の姿勢の安定をもたらす効果が得られる。
【0113】
図18に示すように、本実施形態では、乾式分析素子11を搬送経路35上で搬送すると、脚部96が搬送経路35を摺動しながら乾式分析素子11の搬送が行われる。なお、搬送経路35には浅溝35Aが形成されているため、仮に脚部96の高さaとキャップ92の円板部92Aの厚さbとの関係がa≦bに設定されていたとしても、キャップ92の円板部92Aが搬送経路35に接触することは無い。
なお、浅溝35Aは、脚部96の高さaがキャップ92の円板部92Aの厚さよりも大きければ、キャップ92は搬送箇所に当らないので、脚部96の高い分だけ浅溝35Aの深さを浅くしても良い。
その他の作用効果は第3の実施形態と同様である。
【0114】
[第5の実施形態]
次に、生化学分析装置1の第5の実施形態を図19にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
上記第3、4の実施形態では、キャップ92を乾式分析素子11のカバープレート25の孔25Aに取り付けたが、本実施形態では、図19(A)に示すように、キャップ92をマウント23の点着孔23Aに取り付けている。包装体27で包装される全ての乾式分析素子11においてキャップ92をマウント23の点着孔23Aに取り付ければ、展開層24Aはキャップ92で塞がれ、乾式分析素子11の試薬が他の乾式分析素子11の試薬に影響されることは無い(干渉防止)。
【0115】
キャップ92をマウント23の点着孔23Aに取り付けた場合、分離ブレード37を搬送経路35の上側に配置すれば、図19(A),(B)に示すように、分離ブレード37を動かすことで、分離ブレード37でキャップ92を引っ掛け、搬送される乾式分析素子11からキャップ92を除去することが出来る。なお、乾式分析素子11から除去されたキャップ92は、回収箱(図示せず)に廃棄することができる。
その他の作用効果は第1の実施形態と同様である。
【0116】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の構成は、上記の実施形態に限定されるものでなく、上記の実施形態以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0117】
1 生化学分析装置
3 インキュベータ(検査部)
7 検体カートリッジ
9 搬送手段
11 乾式分析素子
26 干渉防止シート(干渉防止部材)
34 干渉防止部材除去部
37 分離ブレード(除去部材)
43 電磁ソレノイド
55 ローラ(粘着部材、除去部材)
56 分離ブレード(ブレード)
92 キャップ(干渉防止部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬部への干渉を防止する干渉防止部材が取り付けられた乾式分析素子を装填する装填部と、
前記装填部から前記乾式分析素子を搬送する搬送手段と、
搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止部材に接触して前記干渉防止部材を除去する除去部材を備えた干渉防止部材除去部と、
を備えた干渉防止部材分離装置。
【請求項2】
前記除去部材は、前記乾式分析素子の搬送動作に伴い、当該乾式分析素子の前記干渉防止部材に引っ掛かり、当該干渉防止部材を除去するブレードである、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項3】
前記ブレードを揺動させる駆動手段を備えている、請求項2に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項4】
前記干渉防止部材は前記乾式分析素子に貼り付けられるシート状の干渉防止シートであり、
前記除去部材は、粘着剤が付与され、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートを付着することにより当該干渉防止シートを剥がす粘着部材である、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項5】
前記粘着部材は、回転自在とされ、かつ外周部に前記粘着剤が付与されたローラであり、
前記ローラは回転しながら前記粘着剤の付与された外周部に前記干渉防止シートを順次粘着させる、請求項4に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項6】
前記ローラに粘着した前記干渉防止シートを剥がすブレードを有する、請求項5に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項7】
前記干渉防止部材は、前記乾式分析素子の孔に嵌められ前記除去部材に引っ掛けられるキャップである、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項8】
前記除去部材には、前記キャップを引っ掛ける引掛部が設けられている、請求項7に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項9】
前記搬送手段は、前記乾式分析素子がスライドする搬送経路と、前記搬送経路の搬送面に形成され、前記キャップとの干渉を避ける溝と、
を有する請求項8に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項10】
前記キャップの端部にはテーパー状の面取りが形成され、前記引掛部の挿入用とされている、請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項11】
試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、
搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートにブレードを接触させ、前記ブレードを前記乾式分析素子から離間する方向へ移動させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、
を有する干渉防止部材分離方法。
【請求項12】
試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、
搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートに対して外周部に粘着剤が付与されたローラを回転させながら接触させ、前記ローラによって前記干渉防止シートを順次粘着させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、
を有する干渉防止部材分離方法。
【請求項13】
試薬部への干渉を防止するキャップが孔に嵌められた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、
搬送される前記乾式分析素子の前記キャップに除去部材を引っ掛け、前記キャップを前記乾式分析素子から除去する干渉防止部材除去部工程と、
を有する干渉防止部材分離方法。
【請求項14】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置と、
前記干渉防止部材分離装置によって前記干渉防止部材の除去された前記乾式分析素子を用いて検体の検査を行う検査部と、
を備えた生化学分析装置。
【請求項1】
試薬部への干渉を防止する干渉防止部材が取り付けられた乾式分析素子を装填する装填部と、
前記装填部から前記乾式分析素子を搬送する搬送手段と、
搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止部材に接触して前記干渉防止部材を除去する除去部材を備えた干渉防止部材除去部と、
を備えた干渉防止部材分離装置。
【請求項2】
前記除去部材は、前記乾式分析素子の搬送動作に伴い、当該乾式分析素子の前記干渉防止部材に引っ掛かり、当該干渉防止部材を除去するブレードである、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項3】
前記ブレードを揺動させる駆動手段を備えている、請求項2に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項4】
前記干渉防止部材は前記乾式分析素子に貼り付けられるシート状の干渉防止シートであり、
前記除去部材は、粘着剤が付与され、搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートを付着することにより当該干渉防止シートを剥がす粘着部材である、請求項1に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項5】
前記粘着部材は、回転自在とされ、かつ外周部に前記粘着剤が付与されたローラであり、
前記ローラは回転しながら前記粘着剤の付与された外周部に前記干渉防止シートを順次粘着させる、請求項4に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項6】
前記ローラに粘着した前記干渉防止シートを剥がすブレードを有する、請求項5に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項7】
前記干渉防止部材は、前記乾式分析素子の孔に嵌められ前記除去部材に引っ掛けられるキャップである、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項8】
前記除去部材には、前記キャップを引っ掛ける引掛部が設けられている、請求項7に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項9】
前記搬送手段は、前記乾式分析素子がスライドする搬送経路と、前記搬送経路の搬送面に形成され、前記キャップとの干渉を避ける溝と、
を有する請求項8に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項10】
前記キャップの端部にはテーパー状の面取りが形成され、前記引掛部の挿入用とされている、請求項7〜請求項9の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置。
【請求項11】
試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、
搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートにブレードを接触させ、前記ブレードを前記乾式分析素子から離間する方向へ移動させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、
を有する干渉防止部材分離方法。
【請求項12】
試薬部への干渉を防止する干渉防止シートが貼り付けられた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、
搬送される前記乾式分析素子の前記干渉防止シートに対して外周部に粘着剤が付与されたローラを回転させながら接触させ、前記ローラによって前記干渉防止シートを順次粘着させて前記干渉防止シートを前記乾式分析素子から剥がす干渉防止部材除去部工程と、
を有する干渉防止部材分離方法。
【請求項13】
試薬部への干渉を防止するキャップが孔に嵌められた乾式分析素子を搬送する搬送工程と、
搬送される前記乾式分析素子の前記キャップに除去部材を引っ掛け、前記キャップを前記乾式分析素子から除去する干渉防止部材除去部工程と、
を有する干渉防止部材分離方法。
【請求項14】
請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の干渉防止部材分離装置と、
前記干渉防止部材分離装置によって前記干渉防止部材の除去された前記乾式分析素子を用いて検体の検査を行う検査部と、
を備えた生化学分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−215545(P2012−215545A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215548(P2011−215548)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]