説明

干渉顔料

本発明は、(A)屈折率が2.0以上である被膜、(B)屈折率が1.8以下である無色被膜、および(C)屈折率の高い非吸収性被膜、ならびに要すれば(D)外部保護層を含む少なくとも1つの層配列を有する複被覆小板状基材に基づく干渉顔料に関する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、複被覆小板状基材に基づく干渉顔料に関する。
【0002】
(背景技術)
光沢顔料または特殊効果顔料が、産業の種々の分野、特に自動車仕上げ、装飾被覆、プラスチック、塗料、印刷インクおよび化粧製剤の部門において用いられている。
【0003】
2以上の干渉色の間における角度依存性の色の変化を示す光沢顔料は、自動車仕上げ用としておよび偽造から保護される貴重な文書と関連して、特に興味を持たせるような色のはたらきを有する。複被覆小板状基材に基づくこの種の顔料が知られている。
【0004】
干渉顔料は、通常、厚さが50〜300nmの屈折率の高い金属酸化物または金属酸化物混合物で被覆された厚さが200〜1000nmの小板状基材(Platelet-shaped substrate)からなる。これらの顔料の光学的特性は、金属酸化物層の屈折率により決められる。高密度であり最適に近い屈折率を有する金属酸化物層を調製するために化学的蒸着(CVD)または物理的蒸着(PVD)技術を用いる可能性に加えて、例えばDE1467468およびDE2009566に記載のように、基材の存在下に水性の、通常は酸性の金属塩溶液を水酸化ナトリウム溶液に対して滴定することにより、細かく粉砕された小板状基材上に金属酸化物を付着させることがしばしば成されている。
【0005】
蒸着技術の不利益は、高いコストを伴うことである。例えば、US4,434,010は、アルミニウムのような反射性金属の中心層、および例えば二酸化チタンと二酸化ケイ素とのような、それぞれ屈折率が高いものと低いものの2つの透明誘電材料の交互層からなる複層干渉顔料を開示している。この複層顔料は、偽造から保護される有価証券に好ましく用いられている。
【0006】
JP H7−759は、基材が二酸化チタンと二酸化ケイ素との交互層で被覆されてなる、金属光沢を有する複層干渉顔料を開示している。基材は、アルミニウム、金または銀の薄片、または金属で被覆された雲母またはガラスの薄片からなる。しかしながら、干渉顔料の特徴であると共に干渉顔料に望まれる深み効果を創出することができない。これは、核を形成する金属層における光の全反射のためである。その結果、干渉効果は、金属層上に配された層にのみ限定される。さらに、基材の透明性の欠如は、適用に関連のある製剤においてさらなる顔料と組み合わせる種々の可能性を大幅に制限する。
【0007】
例えば、US3,438,796およびUS5,135,812は、例えば、二酸化ケイ素またはフッ化マグネシウムのような屈折率の低い誘電性フィルムと、クロムまたはアルミニウムのフィルムのような十分には透明でない金属フィルムとで両面が交互に被覆された中心不透明アルミニウムフィルムを有する金属光沢顔料を記載している。調製方法のために、これらの顔料の中心金属フィルムは、小板の上と下側のみが被覆されており、側部領域は破壊端をなし媒体に対して開放されている。
【0008】
DE4405494、DE4437753、DE19516181およびDE19515988は、CVDまたは湿潤化学的技術を用いて、金属小板、特にアルミニウム薄片を、二酸化ケイ素のような屈折率の低い金属酸化物層、および非選択的吸収性金属酸化物層または屈折率の高い金属層で被覆することにより調製される光沢顔料を開示している。
【0009】
金属基材に基づく光沢顔料は、優れた不透明性を含む良好な性能特性を有することが多いが、例えば塗料におけるような適用の結果として、望まれないことが多い「硬い」金属光沢が得られる。
【0010】
WO93/12182の主題はこの「硬い」金属光沢を有さない透明小板状基材に基づく光沢顔料である。雲母薄片が、TiO2のような屈折率の高い金属酸化物層と、非選択的吸収性層とに被覆される。TiO2層の厚さによるが、これらの顔料を真っ直ぐに見ると、視角が斜めになるにつれて次第に弱くなると共に最終的に灰色または黒色になる特定の干渉色が示される。干渉色は変化しないが、色飽和の低下は見られる。
【0011】
JP1992/93206は、不透明金属層および、SiO2とTiO2との交互層で被覆されたガラス薄片または雲母薄片に基づく光沢顔料を特許請求している。
【0012】
EP0753545は、屈折率が高く、可視光に対して少なくともいくらか透過性であり、低屈折率の無色被膜と選択的または非選択的吸収性の反射性被膜とを含む少なくとも1つの層集合体を有する、複被覆非金属小板状基材に基づく光沢顔料を開示している。この発明の不利益は、技術的に非常に複雑で費用のかかる調製方法であり所望の製品品質で顔料を再び製造することがしばしば困難であることである。
【0013】
本発明の目的は、その有利な性能特性が著しいと共に簡単な方法で調製することができる、強い干渉色および/または干渉色の強度の角度依存性を有する本質的に透明な干渉顔料を提供することである。
【0014】
(発明の開示)
驚くべきことに、複被覆小板状基材に基づいてなり、特別の光学的効果を達成する光学的機能層の特別の配列を含む干渉顔料が見出された。
【0015】
すなわち、本発明は、 (A)屈折率が2.0以上である被膜、 (B)屈折率が1.8以下である無色被膜、および (C)屈折率の高い非吸収性被膜、ならびに要すれば (D)外部保護層を含む少なくとも1つの層配列を有する複被覆小板状基材に基づく干渉顔料を提供する。
【0016】
本発明は、塗料、ラッカー、印刷インク、プラスチック、セラミック材料、ガラスおよび化粧製剤における本発明の顔料の使用も提供する。
【0017】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の複層顔料のために好適な基材は、第1には不透明であり、第2には透明な小板状基材である。好ましい基材は、葉状珪酸塩および金属酸化物で被覆された小板状材料である。特に好適なものは天然および合成雲母、タルク、カオリン、小板状酸化鉄、オキシ塩化ビスマス;ガラス、SiO2、Al23またはTiO2の薄片、合成セラミック薄片、キャリアの無い合成小板、LCPsまたは他の類似の材料である。
【0018】
基材それ自体の寸法は重要でなく、特定の標的用途に適合させることができる。通常、小板状基材は、厚さが0.1〜5μm、特に0.2〜4.5μmである。2つの他の寸法の程度は、通常、1〜250μm、好ましくは2〜200μm、特に5〜50μmである。
【0019】
基材上の屈折率の高いものと低いものの個々の層の厚さは、顔料の光学的特性にきわめて重要である。強度の干渉色を有する顔料については、個々の層の厚さは相互に精確に調節しなくてはならない。
【0020】
nが薄層の屈折率でありdがその厚さである場合、この層の干渉色は、積n・d(n・d=光学的厚さ)により定められる。反射光における垂直光入射によりそのようなフィルムから得られる色は、
【0021】
【数1】


【0022】
で示される波長の光の増強から生じ、
【0023】
【数2】


【0024】
で示される波長の光の減衰により生じる。 Nは正の整数である。
【0025】
フィルム厚さの増加により生じる色の変化は、干渉を通しての特定の光波長の増強または減衰の結果である。複層顔料中の2以上の層が同じ光学的厚さを有する場合、反射光の色は、層数の増加と共により強くなる。これに加え、層厚の適当な選択により、視角の関数としての色の特に強い変化を達成することができる。顕著ないわゆる色フロップ(flop)が進む。個々の金属酸化物層の厚さは、その屈折率に関係無く、使用分野により、通常、10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0026】
本発明の光沢顔料は、屈折率の低い無色被膜(B)と組み合わされた(A)屈折率の高い被膜と、そこに配された屈折率の高い非吸収性被膜を特徴とする。顔料は、2以上の同一または異なった組み合わせの層集合体を含み得るが、1つのみの層組み合わせ体(A)+(B)+(C)で基材を被覆することが好ましい。色フロップをより強くするために、本発明の顔料は4層までの集合体を含んでよいが、基材上の全層の厚さは3μmを超えるべきでない。
【0027】
屈折率の高い層(A)は、屈折率nが2.0以上、好ましくは2.1以上である。層材料(A)として好適な材料は、屈折率が高く、フィルム状態であり、基材粒子に永続的に付着させることができる、当業者に知られている全ての材料である。特に好適な材料は、TiO2、Fe23、ZrO2、ZnOまたはSnO2のような金属酸化物または金属酸化物混合物、または例えばチタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、酸化クロム、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルトのような屈折率の高い化合物、およびこれらの化合物相互のまたはこれらの化合物と他の金属酸化物との混合物または混合相である。
【0028】
層(A)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0029】
被膜(B)に好適な低屈折率の無色材料は、好ましくは、SiO2、Al23、AlO(OH)、B23、のような金属酸化物または対応する酸化物水和物またはこれらの金属酸化物の混合物である。層(B)の厚さは10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。
【0030】
屈折率の高い非吸収性被膜(C)に特に好適な材料は、TiO2、ZrO2、SnO2、ZnOおよびBiOClのような無色金属酸化物ならびにこれらの混合物である。層(C)の厚さは10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0031】
本発明の顔料中に4重まで存在してよい標準層集合体(A)+(B)+(C)に加えて、他の好ましい態様がある。例えば、基材(S)と層(A)との間、層(A)と(B)との間、層(B)と(C)との間、および/または層(C)と最上層(D)との間に、本発明の顔料は、さらなる吸収性または非吸収性層[(S1)、(A1)、(B1)、(C1)]を有してよい。層の厚さは1〜50nm、好ましくは1〜40nm、および特に1〜30nmである。
【0032】
好ましい態様は、以下の層集合体で基材を被覆することである:(S1)任意の、SnO2(A)TiO2またはFe23(B)SiO2(B1)任意の、SnO2(C)TiO2(D)適用に関連する最終被膜覆。
【0033】
屈折率の高い層(A)および(C)、屈折率の低い層(B)および、要すれば、さらなる着色または無色被膜で基材を被覆すると、その色、光沢、不透明性、および知覚色の角度依存性が広い限定内で変えられる顔料が得られる。
【0034】
本発明の顔料は、屈折率が高いおよび低いものからなる2以上の干渉層の生成、精確に定められる厚さ、および微細な小板状基材上の平滑層のために製造が容易である。
【0035】
金属酸化物層は好ましくは湿潤化学的手段により施され、例えば、DE1467468、DE1959988、DE2009566、DE2214545、DE2215191、DE2244298、DE2313331、DE2522572、DE3137808、DE3137809、DE3151343、DE3151354、DE3151355、DE3211602、DE3235017、またはさらなる特許文献および他の出版物に記載されている種類の、真珠光沢顔料を製造するために開発された湿潤化学的被覆技術を用いることができる。
【0036】
湿潤被覆の場合、基材粒子が水中に懸濁され、1種以上の加水分解性金属塩が、加水分解に適当であると共に、二次沈殿することなく金属酸化物または金属酸化物水和物が小板上に直接沈殿するように選択されたpHにおいて添加される。通常、塩基および/または酸を同時に計量添加することによりpHは一定に維持される。続いて、顔料を分離し、洗い乾燥し、要すれば焼成し、存在する特定の被膜に関して焼成温度を最適化することが可能である。通常、焼成温度は250〜1000℃、好ましくは350〜900℃である。要すれば、個々の被膜の適用に続いて、顔料を分離し、乾燥し、および要すれば、沈殿によるさらなる層の適用のために再懸濁させる前に焼成することができる。
【0037】
気相被覆により流動床反応器において被覆を行うこともでき、その場合、真珠光沢顔料の調製のためにEP0045851およびEP0106235に提案された技術を適当に利用することができる。
【0038】
用いられる高屈折率の金属酸化物は、好ましくは二酸化チタンおよび/または酸化鉄であり、好ましく用いられる低屈折率の金属酸化物は二酸化ケイ素である。
【0039】
二酸化チタン層の適用のためには、US3,553,001に記載の技術が好ましい。
【0040】
チタン塩水溶液が、被覆すべき材料の約50〜100℃に加熱されている懸濁液にゆっくりと添加され、例えばアンモニア水溶液またはアルカリ金属水酸化物水溶液のような塩基を同時に計量添加することにより約0.5〜5の実質的に一定のpHが維持される。TiO2沈殿の所望の層厚が達成されると直ぐに、チタン塩溶液と塩基との両方の添加を終了する。
【0041】
滴定プロセスとも呼ばれるこの技術は、チタン塩の過剰を避けることが注目に値する。これは、加水分解に、水和TiO2での均一被覆に必要であると共に被覆すべき粒子の利用できる表面積により単位時間当り受け入れることができる量のみを供給することにより達成される。したがって、被覆すべき表面上で沈殿しない水和二酸化チタン粒子は生成されない。
【0042】
二酸化ケイ素層の付着は、例えば、次のように行うことができる。珪酸カリウムまたは珪酸ナトリウム溶液が、被覆すべき基材の約50〜100℃に加熱されている懸濁液に計量添加される。pHは、HCl、HNO3またはH2SO4のような希鉱酸を同時に添加することにより約6〜9の一定に維持される。SiO2の所望の層厚が達成されると直ぐに、珪酸塩溶液の添加を止める。続いて、バッチを約0.5時間攪拌する。
【0043】
光安定性および耐候安定性を向上させるために、仕上げられた顔料を、使用分野による後被覆または後処理プロセスに付することが望ましいことが多い。適当なそのようなプロセスは、例えば、DE−C2215191、DE−A3151354、DE−A3235017またはDE−A3334598に記載のものである。そのような後被覆は、さらに化学的安定性を増加させ、または顔料の取り扱い、特に異なる媒体へのその組み込みを容易にする。
【0044】
本発明の顔料は、多くの着色系、好ましくはラッカー、塗料および印刷インク、特に有価証券の印刷インクの部門に適合性がある。複写不可能な光学的効果があるため、本発明の顔料は、特に、紙幣、小切手、銀行発行のクレジットカード、クレジットカード、身分証明カード等のような偽造から保護される貴重な文書の作成に用いることができる。さらに、この顔料は、紙およびプラスチックのレーザー印刷、および例えば温室フィルムのような農業部門における用途にも好適である。
【0045】
したがって、本発明は、塗料、印刷インク、ラッカー、セラミック材料およびガラスのような製剤における、および化粧製剤のための顔料の使用も提供する。
【0046】
もちろん、種々の標的用途において、複層顔料を他の顔料と混合して用いることもでき、その例は透明および遮蔽性の白色、着色および黒色顔料であり、小板状酸化鉄、有機顔料、ホログラフィー顔料、LCPs(液晶ポリマー)および、従来の金属酸化物被覆雲母およびSiO2小板等に基づく透明、着色および黒色顔料と混合して用いることもできる。この複層顔料は従来の市販顔料および展着剤と任意の割合で混合することができる。
【0047】
以下の実施例により本発明を説明するが、いかなる限定も与えるものではない。
【0048】
(実施例)
実施例1 脱イオン水2リッター中の雲母(PSD 10〜60μm)100gを80℃に加熱する。この温度で、塩化鉄(III)溶液(14.25%Fe)430gを、激しく攪拌しつつ計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを4.0に維持する。続いて、塩酸(15%HCl)を用いてpHを1.8に下げ、このpHにおいて、TiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)30mlを添加する。この添加中のpHは、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いて一定に維持する。続いて、pHを、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いて7.5に上昇させ、このpHにおいて、脱イオン水252g中に珪酸ナトリウム(27%SiO2)252gを含む溶液を添加する。この添加中、塩酸(15% HCl)を用いてpHを一定に維持する。
【0049】
続いて、塩酸(15% HCl)を用いてpHを2.0に下げ、このpHにおいて、脱イオン水90ml中にSnCl4・5H2Oを3gおよび塩酸(37% HCl)を10ml含む溶液を計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。続いて、塩酸(15% HCl)を用いてpHを1.8に下げ、このpHにおいて、TiCl4溶液(400g/リッター)655mlを計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。TiCl4溶液の添加に続いて、混合物を15分間攪拌し、生成物を濾去し、脱イオン水で洗い、約110℃で乾燥し、850℃で45分間焼成する。得られた干渉顔料は、強度の赤みがかった紫色の干渉色を有する。
【0050】
実施例2 脱イオン水2リッター中の雲母(PSD 10〜60μm)100gを80℃に加熱する。この温度で、塩化鉄(III)溶液(14.25%Fe)430gを、激しく攪拌しつつ計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを4.0に維持する。続いて、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを7.5に上げ、このpHにおいて、脱イオン水252g中に珪酸ナトリウム(27%SiO2)252gを含む溶液を添加する。この添加中、塩酸(15% HCl)を用いてpHを一定に維持する。
【0051】
続いて、塩酸(15% HCl)を用いてpHを2.0に下げ、脱イオン水90ml中にSnCl4・5H2Oを3gおよび塩酸(37% HCl)を10ml含む溶液を計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。続いて、塩酸(15% HCl)を用いてpHを1.8に下げ、TiCl4溶液(400g/リッター)476mlを計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。TiCl4溶液の添加に続いて、混合物を15分間攪拌し、生成物を濾去し、脱イオン水で洗い、110℃で乾燥し、850℃で30分間焼成する。得られた干渉顔料は、強度の赤い干渉色を有する。
【0052】
実施例3 脱イオン水2リッター中の白雲母(粒径 10〜60μm)100gを80℃に加熱する。次に、激しく攪拌しつつ、脱イオン水90ml中にSnCl4・5H2Oを3gおよび塩酸(37% HCl)を10ml含む溶液をpH2.0で添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。続いてpH1.8において、TiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)155mlを添加する。この添加中、pHは、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いて一定に維持する。続いて、pHを、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いて2.6に上昇させ、このpHにおいて、脱イオン水中にTiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)25ml、FeCl3溶液(14.25% Fe)48gおよびAlCl3・6H2Oの4.8gを含む溶液100mlを添加する。この添加中、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。
【0053】
続いて、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを7.5に上げ、このpHにおいて、脱イオン水271g中に珪酸ナトリウム(27%SiO2)271gを含む溶液を添加する。塩酸(10% HCl)を用いてpHを一定に維持する。続いて、塩酸(10% HCl)を用いてpHを2.0に下げ、脱イオン水90ml中にSnCl4・5H2Oを3gおよび塩酸(37% HCl)を10ml含む溶液を計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(50%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。続いて、pH1.8において、TiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)45mlを添加し、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。その後、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを2.6に上げ、このpHにおいて、脱イオン水157ml中にTiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)129ml、FeCl3溶液(14.25% Fe)206gおよびAlCl3・6H2Oを10.2g含む溶液230mlを添加する。この添加中、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。最後に、顔料を吸引濾去し、脱イオン水で洗い、110℃で乾燥し、850℃で30分間焼成する。得られる生成物は、オレンジ色から強度の黄色がかった緑色に変化する強度の赤みがかった紫色の干渉顔料である。
【0054】
実施例4 実施例2からの乾燥顔料を、形成ガス雰囲気(N2/H2;85/15)中で850℃で30分間焼成する。このように調製された顔料は強度の青銅効果および強度の光沢を示す。
【0055】
実施例5 脱イオン水2リッター中の白雲母(粒径 10〜60μm)100gを80℃に加熱する。次に、激しく攪拌しつつ、脱イオン水90ml中にSnCl4・5H2Oを3gおよび塩酸(37% HCl)を10ml含む溶液をpH2.0において4ml/分の計量割合で添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。続いてpH1.8において、TiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)155mlを計量速度2ml/分の割合で添加する。この添加中、pHは、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いて一定に維持する。続いて、pHを、水酸化ナトリウム水溶液を用いて2.6に上昇させ、このpHにおいて、脱イオン水中にTiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)25ml、FeCl3溶液(14.25% Fe)48gおよびAlCl3・6H2Oを4.8g含む溶液100mlを添加する。この添加中、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。
【0056】
続いて、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを7.5に上げ、このpHにおいて、脱イオン水297g中に珪酸ナトリウム(27%SiO2)297gを含む溶液を2ml/分の割合で計量添加する。塩酸(10% HCl)を用いてpHを一定に維持する。続いて、塩酸(10% HCl)を用いてpHを2.0に下げ、脱イオン水90ml中にSnCl4・5H2Oを3gおよび塩酸(37% HCl)を10ml含む溶液を4ml/分の割合で計量添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。続いて、pH1.8において、TiCl4溶液(400gTiCl4/リッター)250.5mlを2ml/分の割合で添加し、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを再び一定に維持する。
【0057】
その後、顔料を吸引濾去し、脱イオン水で洗い、110℃で乾燥する。この工程の後に、得られた顔料は黄色がかった緑色に変化する強度の赤みがかった紫色である。
【0058】
最後に、顔料を850℃で30分間焼成する。得られる生成物は、黄色がかった緑色に変化する黄色がかった赤色光沢を有する干渉顔料である。
【0059】
実施例6 金属酸化物層を実施例5のように沈殿させる。さらに、pH2.6において、TiCl4溶液(400g TiCl4/リッター)129ml、FeCl3溶液(14.08% Fe)147ml、AlCl3・6H2Oの10.2g及び脱イオン水157mlの混合物130mlを1ml/分の計量割合で添加する。この添加中に、水酸化ナトリウム水溶液(32%NaOH)を用いてpHを一定に維持する。
顔料を実施例1〜5のように処理する。
乾燥した顔料は、オレンジ色に変化する光沢の高い強度の赤みがかった紫色を示す。焼成後、顔料は、光沢の高い黄色に変化する黄色がかった赤色光沢を有する。
【0060】
実施例7 実施例4からの乾燥生成物を、形成ガス雰囲気(N2/H2;85/15)中で850℃で30分間焼成する。このように調製された顔料は赤色青銅効果、高い光沢、および増加した不透明性も示す。色変化は、強度の黄色がかった緑色への変化である。
【0061】
実施例8 実施例5からの乾燥生成物を、形成ガス雰囲気(N2/H2;85/15)中で850℃で30分間焼成する。このように調製された顔料は深赤色青銅効果、高い光沢、および増加した不透明性も示す。色変化は、強度の黄金色への変化である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)屈折率が2.0以上である被膜、 (B)屈折率が1.8以下である無色被膜、および (C)屈折率の高い非吸収性被膜、ならびに要すれば (D)外部保護層を含む少なくとも1つの層配列を有する複被覆小板状基材に基づく干渉顔料。
【請求項2】 基材(S)と層(A)との間、層(A)と(B)との間、層(B)と(C)との間、および/または層(C)と(D)との間に、さらなる着色または無色金属酸化物層(S1)、(A1)、(B1)および/または(C1)が存在する請求項1に記載の干渉顔料。
【請求項3】 小板状基材が天然または合成雲母、ガラス、Al23、SiO2またはTiO2薄片、または金属酸化物で被覆された小板状材料である請求項1または2に記載の干渉顔料。
【請求項4】 層(A)、(B)および(C)が本質的に金属酸化物からなる請求項1ないし3のいずれかに記載の干渉顔料。
【請求項5】 層(A)が本質的に二酸化チタン、酸化鉄、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛、亜酸化チタン、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、酸化クロム、バナジウム酸ビスマス、アルミン酸コバルトまたはそれらの混合物からなる請求項1ないし4のいずれかに記載の干渉顔料。
【請求項6】 層(B)が本質的に二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウムまたはそれらの混合物からなる請求項1ないし5のいずれかに記載の干渉顔料。
【請求項7】 層(C)が本質的に二酸化チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化亜鉛またはそれらの混合物からなる請求項1ないし6のいずれかに記載の干渉顔料。
【請求項8】 層配列(A)〜(C)が4重までである請求項1ないし7のいずれかに記載の干渉顔料。
【請求項9】 層配列(A)〜(C)が1重のみである請求項8に記載の干渉顔料。
【請求項10】 請求項1〜8のいずれかに記載の干渉顔料を調製する方法であって、金属酸化物を、水性媒体中での金属塩の加水分解的分解により小板状基材に湿潤化学的に付着させることを特徴とする方法。
【請求項11】 塗料、ラッカー、印刷インク、プラスチック、セラミック材料、ガラスまたは化粧製剤における請求項1に記載の干渉顔料の使用。

【公表番号】特表2001−520296(P2001−520296A)
【公表日】平成13年10月30日(2001.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−517024(P2000−517024)
【出願日】平成10年10月14日(1998.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP98/06508
【国際公開番号】WO99/20695
【国際公開日】平成11年4月29日(1999.4.29)
【出願人】
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】