説明

平坦な表面の効率的な薄膜液体処理のための方法および装置

本発明は、洗浄を工程の間に挟むことなく、生体試料の薄膜液体処理をするための方法および装置に関し、この装置は、向かい合った表面を有し、それらの間で空間を規定する第一(96)および第二(86)の基材を包含し、該空間内で生体試料を液体試薬(94)で処理でき、該第一の基材はスライド試料(96)のような相対的に液体非透過性の要素からなり、該第二の基材は膜シート(86)のような相対的に可撓性の気体透過性要素からなる、生体試料を液体試薬で処理するための処理帯域を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表面の液体処理において有用な方法および装置に関するものである。それは、処理用液体を指定された処理帯域に固有の薄膜の形に拡げることにより液体消費を極小化するのに有用である。本発明は、平坦な基材の液体処理、より詳しくはスライドガラス上の生体組織試料の染色に関連して特に有用であり、他の有用性も考えられるが、以下、かかる有用性との関連から本発明を記述する。
【背景技術】
【0002】
生体組織試料の分析は、病理医が多くの疾患を診断するのに、また医学研究者が細胞構造についての情報を得るために、使用する貴重な診断手段である。
【0003】
生体組織試料から情報を得るためには、分析用の試料を調製するためのいくつかの予備操作を行なう必要がある。試験のための組織試料を調製する操作法には多くの変法があるが、これらの変法は、そのプロセスを個々の組織に適合させるための改良であると考えることもでき、あるいは、組織試料内の特定の化学物質または酵素を同定・確認するのにある特定の手法がより適しているからでもある。しかし、基本的な調製手法は、本質的には同じである。生体組織試料は、組織生検などからの固体組織から導くことも、塗抹標本(たとえばPAP塗抹標本)などからの細胞懸濁液という液体を主成分とするサンプルから導くこともある。
【0004】
概して、そのような操作は、固定、脱水、浸潤および包埋による組織の処理;該組織のスライドガラス上への搭載、次いでの試料の染色;種々の構成成分の検出を通じての組織の標識;組織切片の、たとえば電子顕微鏡による碁盤目分析または培養皿中での試料細胞の培養を包含することになろう。
【0005】
実施すべき分析または試験に応じて、試料は、それが含む情報の分析の用意ができるまでに、多くの予備の段階または処理あるいは操作を受けなければならないかもしれない。概して、それらの操作は複雑で、時間を要するものであり、高価で毒性のある材料を使用することの多いいくつかのきちんと順序だった工程を包含する。
【0006】
たとえば、ある典型的な組織試料は、種々の細胞の相互の関係を調べ、あるいは異常を発見すべく、光学顕微鏡検査を受けるであろう。それに伴って、その組織試料は、光が透過できるよう、きわめて薄い組織片でなければならない。組織試料または薄片(しばしば切片と呼ばれる)の平均厚みは、2〜10マイクロメートル程度(1マイクロメートル=1mmの1/1000)である。概して、組織試料は、凍結するか、または、細胞構造を維持するだけでなく、組織の腐敗または自己融解をきたす可能性のあるさらなる酵素の作用をも停止させる物質(固定液)中で固定する。
【0007】
固定後、組織試料は次に、濃度を増しながらのアルコールの使用により試料から水を除去することによって脱水する。次に、蝋と混合する化学薬品、あるいは、組織試料に浸透でき、崩壊または分裂なしに薄い切片を調製するのに適したコンシステンシーをこれに与えることのできる他の可塑性物質含浸剤でアルコールを置換する。
【0008】
次に、ミクロトームを用いて、組織試料から薄い切片を切り出す。それらの切片は、厚さが5〜6マイクロメートル程度で、直径は5000〜20000ミクロン程度の長さであってよい。切り出した薄い切片は、水に浮かべて切片を拡げ、あるいは平らにする。次に、この切片を、普通寸法が約8×2.5cm(1×3インチ)のスライドガラスに載せる。
【0009】
次に、試料を溶媒に曝露して、蝋または他の含浸剤を除去し、その溶媒をアルコールにより除去し、最終的にもう一度水が組織に浸透するまで、アルコール濃度を低下させることによってアルコールを除去する。試料への水の浸透により、水溶性染料による細胞構成要素の染色が可能になる。
【0010】
組織試料調製のための自動操作を展開するに先立って、組織を顕微鏡下で調べることができるまでに、2から10日間を要することがしばしばであった。より近年では、所定の間隔で試料を一つの液体から他の液体へ移動させる装置を利用する自動化されたプロセスが開発されており、その結果、調製時間が12〜36時間まで有意に減じている。
【0011】
上記先行技術の考察は、主として、バーンスタインらに付与された特許文献1に由来するものであるが、この明細書は、x座標およびy座標に沿って配置された複数の処理ステーションに沿って異なる組織試料を移動させるロボットアームを同時に包含し、それらのステーションで組織試料が種々の処理過程に付されるようになっている、複数の個別分析操作を実施するための自動化されたシステムを記述している。試料支持回転コンベヤと共同して、前もって選択された一連の試薬を試料の各々に供給する試薬回転コンベヤを包含し、それと共同する混合、インキュベーションおよびすすぎの各工程が挿入された自動化スライド処理システムを記述しているコウプランドらの特許文献2も参照されたい。特許文献3および特許文献4等に従って作成された装置は、アリゾナ州トゥーソンのヴェンタナ・メディカル・システムズ社から市販されており、実質的な商業的成功を収めており、生体試料検査の時間および費用を有意に減少させている。
【0012】
生体組織試料は、最後に、スライドガラスに搭載されたままの状態で、病理学者が観察する。それゆえ、生体試料の処理の多くは、1インチx3インチのスライドガラスフォーマットの上の実質的に二次元の処理帯域への多種の液体の順次の適用および除去に適応させられる。
【0013】
【特許文献1】米国特許第5675715号明細書
【特許文献2】米国特許第5595707号明細書
【特許文献3】米国特許第5675715号明細書
【特許文献4】米国特許第5595701号明細書
【発明の開示】
【0014】
本発明は、所望の生物学的反応を実施するために必要な液体の体積量の減少を可能ならしめることによって、上記およびその他の先行技術に比しての改善をもたらすものである。反応物の液体体積の減少は、試薬費用の節約となり、また、必要な洗浄液の量の減少にもつながり、このことは、処理する必要のある廃液量の減少を意味する。液量の減少は、さらに、液体管理の複雑さを軽減させることとなり、そのことが、結局は、処理のより高い信頼性を可能にする。それは、廃液処理の軽減を可能にし、あるいは無視することをも可能にする。
【0015】
本発明は、さらに、生体試料を処理するための処理時間を短縮することによって、改善をもたらす。液体所要量の減少は、迅速な処理およびそれらの順次実施を可能にし、これにより、時間を中心としてのより大きい処理量および/または試料回転が可能になる。さらに、本発明は、一つ以上の処理が驚くべきことに洗浄それ自体を必要としないことを規定し、さらに所要液量および処理時間の減少を可能ならしめる。
【0016】
本発明は、ミクロの液量を扱うためのシステム、すなわち方法および装置を提供する。本発明は、一側面では、スライドと疎水性要素などの対向要素との間に形成された染色室または反応室を設けることにより、染色または生物学的反応を実施するための所要液量および処理時間を極小化するための方法および装置を提供する。より詳しくは、本発明は、閉じ込められた気泡の制御された受動的逃げ道を設け、同時に有意の蒸発損失を避けながら、スライド表面に少量の液体を展着する方法および装置を提供する。
【0017】
本発明の好ましい一具体化態様では、スライドを、前記対向要素に向けてある角度をなして運び、気泡の閉じ込めが行なわれないようにする。
【0018】
本発明は、向かい合った表面を有し、それらの間で空間を規定する第一および第二の基材を包含し、該空間内で生体試料を液体試薬で処理でき、該第一の基材が相対的に液体非透過性の要素からなり、該第二の基材は相対的に可撓性の気体透過性要素からなる、生体試料を液体試薬で処理するための処理帯域を有する装置に向けられる。
【0019】
本発明は、また、向かい合った表面の間に規定された空間内に試料および液体試薬を供給する工程と、それらの表面を押し合わせて、それらの間の空間を縮小させ、それらの間に閉じ込められた気体を排出する工程からなる、生体試料を液体試薬で処理する方法に向けられる。
【0020】
本発明は、さらに、向かい合った表面を有し、それらの間で空間を規定する第一および第二の基材を包含し、該空間内で処理帯域内において生体試料を液体試薬で処理でき、該第一の基材が相対的に液体非透過性の要素からなり、該第二の基材は気体透過性要素からなり、さらに、該第一および第二の基材を該処理帯域の下流で分離する機構を包含する、生体試料を液体試薬で処理するための装置に向けられる。
【0021】
本発明は、また、生体試料処理のための前記装置を準備し、前記の向かい合った表面の間で規定された空間に液体試薬中の該試料を供給し、両基材を押し合わせて、それらの間の空間を縮小させ、それらの間に閉じ込められた気体を排出し、該両基材を分離する諸工程を包含する、生体試料を液体試薬で処理する方法に向けられる。
【0022】
本発明のさらなるその他の特徴は、添付の図面を参照しての以下の詳細な説明から理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明を詳細に考察するに先立ち、濡れおよび展着性という現象を見直すことが本発明の適切な理解に有用であろう。
【0024】
展着性とは、液体の表面上での関係をいう。ある液体が該表面に対して拡がる傾向をもつか否かを決定する下記の力のバランスが存在する:
i) 液−液相互作用(張力)
ii) 液−表面相互作用
iii)液および表面との環境(通常は空気)の相互作用
【0025】
図1を参照しながら、水平面22上に静止している液滴20を考える。他の力がなければ、液滴は、その表面積を極小化しようとして、その表面張力によって引寄せられて球になろうとする。言い換えれば、液−液間力が優勢なときには、液体は、表面よりもより強くそれ自体と相互作用する。たとえば、水性(HO)系に当てはめれば、HO系液体中の水素結合が十分に強いので、多くの環境下で水性液体は、可能性として、液−表面よりも液−液相互作用をするであろう;たとえば、その液体が脱イオンHOであって、表面がその液体と比較的低い相互作用を示すとき、すなわちその表面が「疎水性」であるときである。その液体は表面上で「球状になる」傾向があり、容易に不安定化されうる。たとえば少し揺り動かして、表面から転がり落とすことができる。しかし、重力および液滴とその環境との間の表面張力が通常はこの表面張力に反して作用するので、液滴は他の形態をとる。親水性表面は、水性系液と表面との相互作用が顕著な場合である。液−表面相互作用力が強いときには、液体は表面に接触することを優先し、それによりその表面上に拡がる。
【0026】
接触角は、この力のバランスを示す。90°より大きい接触角は、液−表面相互作用力が比較的弱いことを示す;90°より小さい接触角は、液−表面相互作用が相対的に強く、展着性の状態を示す。表面「湿潤性」は、液−表面相互作用が強く、液体が展着する傾向があることであると定義される。
【0027】
展着可能な状態では、液体は展着しようとする。これは熱力学的な状態である。速度論的限定によって、それが展着しなかったり、展着が抑制されたり、時間的に影響されたりすることもある。対向接触面を使用すると、液体をきわめて速やかに展着させて、熱力学的状態を満足させることができる。その接触面は、液体に対して展着性であっても、なくてもよい。液体が2つの対向する表面の間にあれば、一方の面のみが液体と相互作用して、それを展着させればよい。すなわち、液体で湿潤されうる表面の場合、液滴20は表面22に沿って拡がる。液体と固体との間に形成される角θは、二面角または接触角と呼ばれる。完全な湿潤の場合、θは0°である。しかし、展着の過程では、気孔が偶然に混入し、生じた液体層の中に閉じ込められる可能性がある。本発明は、一部では、混入し、閉じ込められた気孔を消散させるための解決法を提供する。
【0028】
図2a〜2cおよび図3は、液−表面が湿潤性および非湿潤性の場合のスライドと基材を先行技術に従って合わせたときに何が起るかを示している。特に図2a〜2cを参照すると、表面22aと22bがぴったり合わせられたとき、まず、液滴20が合わさって、より大きい液体24を形成する。液が表面22aと22bとの間の面間間隙中を拡がり、液体が薄い液膜の形状をとるとき、1個以上の気孔26が閉じ込められる可能性がある。液の体積が十分であれば、直接2つの対向面の間にある実質的にすべての空間が液で満たされ、上記の形状をとるであろう。その形状の若干の部分は他の部分よりも先に充満し、他の進行してくる液部分と接触する。このようにして、より遅い部分は湿潤のチャンスをもつことができないかもしれない。それらが先行する部分によって取り囲まれ、かくして付随する気孔により「ベーパーロック」を受けるからである。これの代わりに、展着後に、局所の圧力および/または温度の変化により、溶解していた気体が飽和溶液から出てくるために、気孔が生じることもある。
【0029】
処理液は、特に少量のとき、なんとかして全処理領域に確実に付与し、空間的にそこに保持する必要がある。たとえば、1インチ×3インチの顕微鏡スライド上に置かれた生体試料を染色するためには、液をまず載せ、次に長方形の平坦面から除去する必要がある。上で説明したように、少量の液は、液と雰囲気との間に熱力学的に生じる表面張力を極小化すべく、小液滴形成状態に留まろうとする傾向がある。その結果、表面にわたっての液の展着性は、特に液量が極小のときには、現実の難題となりうる。たとえば、液は、連続的な薄膜よりもむしろ小液滴として表面上に位置しているかもしれない。表面に大量の液を充満させることが、この問題を解決する一方法である;しかし、大量充満には大量の液の使用が必要で、これは経済的ではなく、また大型の貯槽、排水システムおよび複雑な配管の運用・管理も必要である。スライドの長方形をすみずみまで満たすには、さらなる量が必要でもある。これらの流体工学的難題を解決する一つの単純なアプローチは、基材全体または基材の処理区画を液体中に単に浸漬することである。以前の処理方法ならびに若干の慣用的な手による操作法は、この「バケツ化学」アプローチを利用してきている。しかし、現在の技術水準は、「スライド上の液体」というアプローチを、特に液体処理の自動化の点で、きわめて効果的に利用するのに成功している。このアプローチでは、多量使用アプローチを用いる(たとえばデンマーク国コペンハーゲンのダコサイトメーション(株)から入手可能な装置におけるように)のでなければ、スライド上で液量をよりよく管理(極小化、制御)するために、いくつかの装填手段が採用される。以前の先行技術の方法は、正確な体積制御に努めており、ときには体積極小化を念頭において(試薬コストゆえの混成プロセス)、種々の装填形態を採用してきている(たとえばLIQUID COVERSLIPTM−アリゾナ州ツーソンのヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド;スライドチェンバーズ−マサチューセッツ州ケンブリッジのサイトロジックス社;チェンバーウォールズ−カリフォルニア州パロアルトのアジレント・テクノロジーズ社;チェンバーウォールズ−ニュージャージー州ピスカタウェイのアマーシャム・バイオサイエンシズ;TechMateTMキャピラリーガラススライド−カリフォルニア州サンタバーバラのバイオテク・ソリューションズ社)。通常は、なんらかの種類のシールを用い、固定された小室(チェンバー)の境界を介してスライド上の体積を制御している。「液密性」小室を設けることにより、さらに、液体の加圧が可能になり、場合によっては、壁を機械的に動かして、液体の小室への、または小室からの輸送および/または混合を行なうことも可能になる。
【0030】
しかし、液を含有し、基材に対して液を明確に配置する必要性が、種々の技術的難題、問題を提起する。シール手段は、各要素の厳密で正確な結合を必要とするが、それらは通常はプロセスの妨げとなる。シールを介在させた2つの対向要素は、通常、不可欠な面の正確な配列と適切な維持への配慮(たとえば清潔さ)を必要とする。シールには、欠陥や破損が付き物である。たとえば、2表面の間に捕捉されたO−リング(またはガスケット)を介在させたシールは、O−リング中の欠陥、O−リングのねじれ、または不可欠な対合面のいずれかの表面の汚染粒子によって損なわれる可能性がある。他の例では、接着剤を用いたシールは、接着剤の欠陥、接着剤中の空隙、あるいは汚染粒子によって損なわれうる。また、シーリングは、基材自体へ直接に行なわれるのが普通である。種々の顧客による異なるプロセスで到来する基材のシーリングの質は、確固としたシール依存プロセスを管理するのが困難な重大な変数である。本発明は、上記およびその他の技術的問題に取り組むものであり、その一方で、シール手段に頼らずに液体薄膜中の取り込まれた気泡という重要な問題をも解決し、また有意な蒸発損失をも回避するものである。本発明では、小室の「側面」は物理的に結合されず、対向基材の表面は固定されていてもよく、あるいは互いに対して移動できるようになっていてもよい。
【0031】
本発明は、スライド上の生体試料の染色または生体反応を有利に実施するのに用いられる。図4a〜4c、5、6aおよび6bを参照すれば、操作原理は次の通りである。水性系液滴30を、2表面34、36の間に置かれた薄層32として拡げることができる。両面が親水性であれば、表面相互作用が、液の展着に寄与するであろう。しかし、気泡38(図3参照)が、液の展着の間に、または展着後に、溶液由来の溶解気体のために、2面間に空隙を形成するかもしれない。両面が気体非透過性(たとえばガラス)であれば、閉じ込められたまたは形成性の気孔が実質的にその場に固定されて、液層の連続性を破壊する(あるいは「ベーパーロック」の状態と記述される)。その気泡が及ぼす蒸気圧によって液の張力がその気泡を崩壊させるのを妨げられる。言い換えると、気体の行き場所がない。さらに、細い毛管形態中で粘性力が優勢となり、気泡38の取り除きがきわめて困難となりうる。特に図4cおよび5を参照すれば、本発明に従って表面の一方として気体透過性材料40を使用すれば、液の張力の影響下に気体が逃げ出すための通路42が提供される。気体透過性材料40の表面が液と強く相互作用すれば、液が吸収され、その透過性材料への接近を阻害し、図6aに示したように、気泡が液で被覆された2つの表面の間に捕捉されたままとなるだろうゆえに、表面の性質は重要である。他方、表面が液体と十分に非相互作用的であれば、閉塞は起らず、図6bに示したように、液張力の駆動力(受動的)によって気泡が効果的に追い出される。この過程に好都合なのは、この面での液の低い展着性である;たとえば、表面の高い疎水性および水性系液の高い表面張力である。
【0032】
かくして、本発明は、その一面では、薄い液膜の内部から気孔を「ゲップのように放出」させるための圧力軽減をもたらすために、側面の開いた反応小室の境界面を形成するための疎水性で、気体透過性の高い材料40を準備することに基づいている。Gore−Tex(登録商標)などのミクロ細孔性疎水性材料が、そのきわめて高い気体透過性のゆえに好ましい。液の吹き抜けを防止するためには、水入り込み圧(WEP)の高い材料がさらに好ましい。高い水入り込み圧は、細孔寸法の小さい(0.05〜200ミクロン)材料を用いるか、図7に示したように、液透過性裏当て材50に積層された多孔性の疎水性材料を使用することによって達成できる。液透過性裏当て材は、多孔性の疎水性材料が大きい細孔寸法(たとえば200〜2000ミクロン)をもっていても、液の吹き抜けを防止してくれる。材料40は、効率的な液の展着のために平らで平滑な表面を呈していることが好ましい。いかなる表面くぼみも、液の局所的たまりを生ぜしめ、きわめて少量の適用の場合には展着効率に悪影響を及ぼすからである。細孔寸法のより小さい疎水性材料(約200ミクロン未満)は、より平滑な表面をもたらす。さらに、材料中のいかなる有意の反り、ゆがみも、液被覆の欠如という結果をもたらしうる。材料40は、寸法が安定しているが、操作できる程度に可撓性であり、すなわち、面上を滑らせることができ、またはたとえばローラーに巻きつけることができることも、好ましい。
【0033】
現在好ましい材料40は、水漏れ防止のためにパイプのねじ接続時に普通に用いられる「配管工用テープ」、すなわちテフロン(Teflon(登録商標))テープである。配管工用テープは、次の基準に適合するゆえに有用である:
1)それは疎水性であり、Teflon(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)からなる;
2)それはミクロ細孔性である;Teflon(登録商標)は伸展させると、0.05〜5ミクロンの範囲のミクロ細孔性となる;
3)それは比較的高い水入り込み圧をもつ;それは非常に小さい細孔をもちながら比較的に稠密である;
4)それは可撓性で、順応性がある;それは裏当て要素または面の次元性(平坦さと平滑さ)を呈することができる;そして、
5)「静止摩擦」が高い;平滑で硬い表面に押し付ければ、それはそのような表面を把持する傾向がある。
【0034】
表面透過性の高い材料を通しての蒸発は、高度なこともあるので、蒸発を制御するために、材料40に実質的に非透過性材料50を裏当てすることが好ましい。かくして、液相と雰囲気との間の蒸気圧(そしてベーパーロックの解除)が透過性材料40を介して側面方向へ取り次がれ、物品のちょうど末端52における露出された表面領域に限定される。疎水性ミクロ細孔性透過性材料50として好ましいのは、ジョージア州アトランタのマックマスター・カー・サプライ社から入手可能な1.5インチ幅の軍隊用等級のTeflon(登録商標)製のねじ山テープP/N6802K66(「配管工用テープ」)であり、これは実質的に非透過性の可撓性膜または被覆によって裏当てされていて、速やかな圧力平衡をもたらす。他の適当な多孔性の疎水性材料としては、シリコーン処理紙および多孔性ポリプロピレン膜がある。
【0035】
図4a〜4cは、基材34、液滴30および試料スライドガラス36を本発明に従って集合させる方法を一般的に示している。見られるように、試料スライドガラス36と基材34を互いにより近づけるとき、液滴30が、対向表面の間で薄く、一様に拡がり始め、気泡は膜表面で有効裏に排除され、物品の末端を通して排出される。
【0036】
顕微鏡用スライドガラスの寸法は、公称では1インチ×3インチである。ニューハンプシャー州ポーツマスのエリー・サイエンティフィック社が市販している通常のSuperfrostTMスライドは、スライドの末端に0.75インチのラベル領域を含んでおり、約2.25インチ×1インチの活用可能な領域を残している。いくつかのマイクロアレースライドはより広い活用可能領域を使用しており、従ってラベル領域はより小さいか、またはない。今回の場合には、活用可能領域は2インチ×1インチ、すなわち5.0×2.5cmであると仮定する。従って、活用可能領域は、用途に応じて、上下いずれかに向けて調整できる。
【0037】
5.0×2.5cmの領域は12.5cmに相当する。これが、以下の実施例で染色処理および特性評価の体積範囲のために用いた実際の試験面積であった。全体よりも狭いスライドガラス面積を使用すると、ラベル末端を把持してのスライドの取扱いが可能になる。全体より小さい膜物品領域の使用により、該物品の取扱い/把持が可能になる。
【0038】
適用する液量の範囲は、実用的な上限および下限を記述することによって規定できる。これは、スライド1枚当りとして規定できる;しかし、上に説明したように、活用可能領域は変化しうるから、1cm当りで規定するのがより明瞭である。
【0039】
液量の下端0.0007ml/cmでは、液層厚みが7μmで、所与の水性系液、スライドガラスおよび所与の接触膜について、全接触面にわたってほぼ完全に拡げることができるだけの薄さであった。展着は自然には起らず、若干の仕事を必要とした;すなわち、2つの表面は、展着を容易にするために若干の圧Pを必要とした。さらに、一方の表面を他方に対して移動または動揺させて、それらの面の間の隙間を通して液を「押し込む」のを助けることが有利であった。この下限では、液の粘性力が有意で、液の「流れ」が遅延させられる。かくして、下端の体積では、間隙を通して液を動かして、完全に濡れた接触面の熱力学平衡を達成するための追加の一工程が必要なことがあるかもしれない。さらに、下端の体積では、閉じ込められた気孔が容易に「吐き出される」ようには思われなかった。遅い吐き出しが、閉じ込められた気体と液との境界の移動/崩壊を遅らせる高い粘性力と関連していることはきわめてありうることである。
【0040】
0.002〜0.0055ml/cmの液量(20〜55ミクロン厚みの液層)が中間範囲であることが見いだされ、そこでは、深刻な粘性問題を招くことなく、液量を極小化できた。この範囲内では、展着も吐き出しも通常は自然に起り、体積が多いほど、より自然に起る。
【0041】
0.0055ml/cmより多く、およそ0.036ml/cmまでの液量も有用でありうる(55〜360ミクロン厚みの層)。吐き出しおよび展着は容易に進行する。しかし、体積が増すと、境界の液が接触領域から偶然的に搾り出され、主液体から切り取られる傾向が大きくなりうる。そのとき、小液滴は、スライドおよび/または膜のへりまたは外面で制御不可能に終わる可能性がある。かくして、体積増大につれて、不注意な液滴形成は、接触圧およびそれの制御により敏感なものとなる。不注意による液滴は、必ずしもそれ自体が問題であるわけではないが、取扱いに関して若干の注意を必要とする。
【0042】
さらに、比較的大きい量は、一方の基材の他方の上での「浮遊」に通じる;粘性力はもはやあまり優勢ではないように思われる。一つの作用は、液層が「液体ベアリング」として作用するというものである;たとえば、装置がわずかに傾くと、上方の基材が容易に下方基材から滑り落ちる可能性がある。この性質は、処理後の2つの基材の分離に利用できる。処理中の制御不可能な分離を防止するには2つの基材を固定する必要もあるであろう。逆に、体積が少ないと、そこに働く高い粘性力のために2つの基材の分離が行なえずに、装置を著しく傾けることになりうる。
【0043】
このように、最低量形態だけでなく、これらの3つの規定体積範囲のいずれもが有用でありうる。体積要求量は、特定の設計可能性を提供するいくつかの特徴点との取引対象となる。かくして、好ましい設計空間に応じて、現在使用されているよりも多い試薬量が好ましいこともありうる。
【0044】
実際の範囲値は、使用する特定の液および表面に応じて変化しうる。先の例では、諸値は、脱イオン水とSuperfrostTMガラスおよびTeflon(登録商標)配管工用テープ軍隊等級品を反映していた。実際の値はしかるべく変更できたが、低い、中等度および高い範囲がこのように特徴があり、考慮すべき特定の設計空間を規定するものである。スライドの場合、目標とする「処理帯域」は、接触領域によってもたらされる。その接触領域は、中間の液を含めて一緒にされたときに第一および第二の基材(基材およびスライドの面)の対向によって規定される。2つの面の一方が特定の境界で終わっているならば、液の境界はやはりこの境界で実質的に同時終結する;事実上、我々は、薄い液体の形を規定する「制御面」をもつこととなる。逆に、代わりの面が、非制御性であるゆえに液の形状に影響することなく伸びていてもよい。いずれの面が制御性であってもよい。これは図10aおよび10bに示されている。これは、薄い液層の境界がこのように統御可能であり、その一方、面の一方の物理的寸法(一度に、境界当り)は、たとえばスライドガラスのラベル領域の無処理を可能にするために、またたとえば後述のように取扱い目的で基材を大きくするために、融通できるゆえに、重要である。
【0045】
気泡を排除し、比較的大きい表面積に比較的少量の液を展着させるという本発明の能力は、有利な一方、特に少量のときの試料スライドと基材との間の液の有意な接着力ゆえに、その後に試料スライドを基材から分離する際に技術的問題を生じる可能性もある。かくして、本発明は、他の一面において、この分離を容易にするシステムを提供する。図7、8aおよび8bは、可撓性基材34を試料スライド36から「剥離する」ことによって、試料スライド36と基材34との間に生じる有意の液体張力を処理するやり方で、試料スライドガラス36を基材34から分離することを示している。可撓性基材34を横たえ、背後から剥いで、試料スライド36から剥離する種々の手作業による方法および/または機械的手段が考えられる。図8aおよび8bは、手による分離を示しており、図9aおよび9bは、ベルト駆動装置60、62が試料スライド36からの可撓性基材34の剥離および分離の双方を起させ、同時に使用済み液量をベルト駆動装置60、62によって運ばれる吸収剤ベルト64、66上へ投棄し、運び去らせる具体化例を示している。
【0046】
第一の基材は、相対的に液体非透過性要素からなる。典型的には、この基材は、生体基質試料を保持するガラス、プラスチックまたは金属である。第二の基材は、比較的に可撓性で気体透過性の要素からなり、上記のGortex(登録商標)膜がそれに包含される。
【0047】
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、それらは本発明を説明することを意図したものであって、なんらそれを限定するものではない。
【0048】
材料リスト
基材: 予備洗浄したSuperfrost(登録商標)プラス顕微鏡用スライド、25×75×1mm(エリー・サイエンティフィック社)に載せたパラフィン包埋扁桃腺切片を風乾し、処理に先立ち数日間スライドボックス中に保存した。
液体装置接触膜要素: Metricel(登録商標)47mmディスク0.1μm、多孔性ポリプロピレン、ニューヨーク州イーストヒルズのポール・コーポレーション、P/N M5P4047。
流体装置裏当て要素: 透明片側粘着性シリコーンシート、厚さ0.020インチ、マックマスター−カー・サプライ社、P/N R700549PK。
流体装置構築物: シリコーンシートから、約2.7x約6.5cmの長方形切片を切り出した。各切片の最後の約2cmを残して、その全体から粘着剤裏当て材を除去した;この末端は、最終装置の取っ手として役立つ。露出させた粘着剤の上に、47mmのディスクを配置し、粘着させる。次に、積層物を、過剰の張り出した材料を除去するように仕上げする。ディスクの湾曲のゆえに、シリコーンシートを、長方形の四隅にわずかな湾曲を付けて仕上げして、利用可能な処理用接触領域を極小化する。(図10a参照。)膜表面の最終面積は約2.7×4.4cmである。免疫組織化学的染色(IHC)を通じて包含されるすべての水性工程を通じて同じ装置構成を用いた。
溶媒流体装置: 無極性溶媒は上述の装置をすっかり濡らすので、脱パラフィンおよび脱水の操作を通じての試料の処理には、他の材料を用いた。約7cm長さのTissue−Tek(登録商標)SCATMカバースリップフィルム(カリフォルニア州トランスのサクラ・ファインテクUSA、P/N 4770)を用いた。片面が粘着剤を含んでおり、非粘着面を用いて、試料処理用溶媒を展着させた。脱パラフィンおよび脱水におけるすべての無極性工程を通じて、同じ材料を用いた。
カバースリップ: 長さ5.2cmの同じカバースリップ材料を用いて、最終操作時の試料を被覆保護した。
吸収パッド: 水性溶液を吸収するためのものと、無極性溶媒を集めるためのものの2種類を用いた。ニューハンプシャー州キーンのシュライヘル&シュール・バイオサイエンス社から入手したゲルブロットペーパーP/N GB003を、3x6cmの切片に切断して使用した。小片のSotch(登録商標)テープ(ミネソタ州セントポールの3M社)を最後の約0.5cmの両端までテープ留めし、折り返して自身に粘着させて、取っ手として働かせた。水性パッドの場合:それを、脱イオン水で1:10に希釈した反応用緩衝液濃縮物(10×)(ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド、カタログ番号950−300)に浸漬させた。浸漬後、濡れたパッドを軽く圧縮して、過剰を搾り出した。その目的は、効果的な吸収のために湿潤吸収材を入手することであった。当初に吸収された溶液の大部分は、搾り出して、パッドが「ずぶぬれ」であるよりも「湿っている」ものとした。
載物領域: 5×7.5×9.5cmのアルミニウムブロック80を、処理の間にスライドおよび物品を置くための載物台として用いた[図11]。
道具: 正確な試薬量の採取と配量のために、0.010〜0.100mLの範囲のVWRブランドのピペット(ペンシルバニア州ウエストチェスターのVWRインターナショナル社)を用いた。
試薬: ConfirmTM抗CD34(クローンQBEnd/10)ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド、カタログ番号790−2927を、血管内皮細胞染色用の一次抗体として用いた。二次抗体は、Universal Secondary AntibodyTM、ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド、P/N 760−4205であった。その他の試薬は、DAB MAPTMキット、カタログ番号760−124、ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッドであった。この実施例では、ブロッカーD試薬は、ブロッカーの手助けなしには処理の結果としていかに悪いバックグラウンドが得られるかを証明するために、使用しなかった。各試薬(約0.100ml)は、0.2mlの微量遠心管に移して使用した。
【0049】
方法
載物: 図11および12を参照して、実験台上で、上面が平坦なアルミニウムブロックまたは載物台80を直立して据え付ける。方位選択の自由がある−スライドガラスをまずブロックに載せ、液を間に挟んで膜物品を上に載せてもよく、あるいは、膜物品をまず置いて、スライドガラスを上に載せてもよい。処理という観点からは、いずれの操作を選択しても、重要ではないことが見出されている。液滴は、中間工程として配量されるので、手によって適用する場合には、まず膜を置き、次に液を配量し、続いてスライドガラスをその上に対向させる(サンドイッチにする)のがより便利であることが一般的に見出された。これには、透明なガラスの裏面を通して上面から流体の挙動を目視観察できるという追加の利益もあった。小体積を適用するときには、境界への液の過剰発現は、ごくわずかの過剰しかなく、液が高度に粘性的に挙動して液の配置の制御を容易にするので、ほとんど重要でないかまたはまったく重要でない。しかし、比較的大きい体積を適用するときには、液が境界に過剰に現われる傾向があり、過剰分の処理が関心事となりうる。過剰に現われる場合には、載物台からの吸収または接触面がいかなる液境界の近くにもないように載物台の設計に関して注意を払うべきである(たとえば、搭載される基材よりも寸法のわずかに小さい載物台を使用する)。かかる設計は、広い範囲の体積量が用いられるエラー強さのある処理領域に備えるものである。今の場合、膜物品は、ブロックの上に、平らに、多少とも中心に配置して、スライドを次に載せたときに、スライドのラベル端82が載物台のへりから張り出すようにした。(図11参照)。これにより、スライドに容易に接近し、これを取り扱うことが可能になった。スライドを持ち上げることは、液を介してスライドに「接着」されている膜物品を持ち上げることでもあった。この「サンドイッチ」は、諸要素、液を崩壊させることなく、またそれらの相対配置を乱すことなく、空間内で安全に取り扱うことができ、回転させ、ひっくり返すことができた。
接触領域: 膜の表面積は約2.7×4.4cmである。指定されたスライドガラスの処理領域は2.5×約5.0cmである。スライドガラスの幅(2.5cm)が接触領域の幅を規定し、膜の長さ(4.4cm)が接触領域の長さを規定する。換言すれば、膜がガラスの幅寸法から張り出しており、ガラスは膜の長さ寸法から張り出している。(図10aおよび10b参照)。かくして、生じた接触領域は、2.5×4.4=11cmである。組織切片はこの処理帯域内にうまく載った。すべての液の適用に0.020mlの液量を用いた。被覆と気泡吐き出しの両目的にこれが十分であることが先に確定されていたからである。これが、0.020ml/11cmまたは0.0018ml/cmという「流体工学的操作」値という結果になった。これは、体積の下端または粘性処方に当る。高い粘度が明瞭に観察されたが、いずれの工程においても一回の失敗例も気泡吐き出しの遅延もなかった。
IHC処理−配量:適切な免疫組織化学的染色を行なうためには、特定の系列の試薬を特定された時間の曝露のために適用しなければならない。濃度はキットメーカーによって確立されている。すべての試薬を、希釈することなく、十分に濃縮された形で使用することに決定した。これは、処理を加速して、いずれの工程にも標準的な2分間という曝露時間を採用できるようにするためであった。異なる曝露時間を試験することも、この設定を越えて最適化することもしなかった。各配量について、0.020mlという液量をスライドに適用した。SA−HRP処理後に適用した1回を除いて、すべての洗浄液配量を削除することも決定した。予想外の知見は、他の手段で試薬量の大部分を除去できるならば、一つの例外を除いて、試薬工程のいずれにおいても洗浄液の適用は必要でないということであった。該単一の洗浄工程には、反応用濃縮緩衝液(10X)を1:10に希釈したものを用いた(0.020ml)。適用量の配置は、サンドイッチの作用が液を対向面の間で一様に拡げてくれるので、重大なことではなかった。このことは、自動化の場合、装置設計をこの点では緩和できるゆえに、意味のあることである。適用量は、通常、流体装置物品のほぼ中央に配置した。最初の適用量はインヒビターDを含んでいた。0.020mlが全接触領域をかろうじて覆うことが見出された。他方、他の試薬のその後の適用では、被覆範囲についての困難性は示されなかった。処女的膜表面の最初の使用が最適条件に及ばず、好ましくなかった可能性がある。かくして、その膜をタンパク質吸収に曝露したときの条件整備がその後の工程での展着性を増強したのかもしれない。
【0050】
処理順序:
1)インヒビター、2)抗CD34、3)ユニバーサル二次抗体、4)SA−HRP、5)反応用緩衝液洗浄、6)DAB+DAB H、7)銅。
工程6では、2種の試薬をともに適用した。本件の場合、スライドへの配量の直前に、0.020mlのDABを0.020mlのDAB Hと予備混合した。混合物の0.020mlのみを適用した。
IHC処理−液体除去: 2分間の各処理の後、サンドイッチを、スライドガラスのラベル端をつかんで空中へ持ち上げ、流体装置物品の取っ手端をつかみ、膜をスライド表面から剥離した。次に、流体装置をアルミニウムブロック、すなわち載物台に戻し、湿潤ブロットペーパーを上に載せ、次にスライドガラスをブロットペーパーの上に置いた。この新しいサンドイッチの上からわずかな圧力を加えて、流体装置とスライドの双方の面の過剰の液がブロットペーパーの両面に同時に容易に吸収されうるようにした。かかる吸収操作を実施するための合計時間は、10〜20秒間の間であって、主として手の器用さに依存した。実際の吸収時間は、おそらく5秒間未満であったであろう。
溶媒による脱パラフィン処理: パラフィンを効果的に除去し、組織を含水状態に戻すために、特定の一連の溶媒曝露を適用した。処理操作は、若干の顕著な相違を除いて、IHC操作について記述したところと実質的に同じである。スライドガラスを載物台上に上向きに置き、流体装置物品をその上に置いて液をサンドイッチした。すなわち、水性処理に対して上下を逆にした。流体装置物品(サクラ・カバースリッププラスチック片)はきわめて薄く、その濡れた面を載物台面の上方1mmのところに位置するスライドガラスとの境界を液が越えるのを防止する方がより容易であった。さらに、そのプラスチックは透明で、可視化が十分であった。もっとも有意な差は、流体装置がこの場合には気泡吐き出しが不可能なことである。そのプラスチック片を「液体ベアリング」の上で前後に滑らせることで、閉じ込められた気孔にもかかわらず組織を溶媒に適切に曝露させることができた。この方法は、完全な被覆処理を保証する重要でユニークな代替法であり、閉じ込められた気孔の作用を弱める方法である。
各液は、処理帯域に直接適用されるので、流体装置をスライドで直ちに挟み込んで、均質な処理を行なうことが重要である。いずれの場合にも、溶媒類は、1回の適用当り約10秒間だけ適用した。吸収は、IHC水性例の場合と同様に実施したが、過剰の無極性溶媒を集めるために別個の吸収パッド(乾燥品)を使用した。1回の適用当り、0.020ml量を用いた。
【0051】
処理順序:
1)キシレン(反復3回)、2)100%EtOH(反復2回)、3)反応用緩衝液(1回のみ)
処理(工程3における間の)の終わりに、組織が押し固まってきたので、IHCプロセスが進行していたこともあり、反応用緩衝液に数分間「浸漬」した。
脱水処理: 実質的に脱パラフィンと同じ操作を、ただし逆の順序で、適用した。同じ溶媒吸収パッドを用いた。
【0052】
処理順序:
1)100%EtOH(3回反復)、2)キシレン(1回)、3)キシレン+サクラ・カバーガラス。
カバーガラス工程3には、0.020mlが不十分な量であることが認められた。仕上げカバーガラスの周囲に追加の0.020mlを加えて、空気を除去し、最初に適用した量に追加した。
IHC処理の間の銅試薬吸収最終処理と脱水との間に中間工程はなかった−試料はIHCから溶媒適用へと直接に進んだ。
【0053】
最終結果および利点:
ワックスからカバーガラスまでの総処理時間=20分。慣用的な先行技術手法を用いる類似プロセスが脱パラフィン+IHC操作だけで約90分を要することからすれば、これはきわめて迅速である。
総液体消費量:水性0.160ml;キシレン0.120ml;EtOH 0.100ml。これは、慣用のプロセスと比較して約1000Xの低減である。
総液体流廃液:なし;2枚の濡れた吸収膜のみ。
高価な試薬の体積の80%の低減(BenchMarkでの試薬当り0.100mlと比較して0.020ml処理)。
1洗浄工程を除いてすべての洗浄工程の削除。より経済的;より迅速。
すべての混合要件の無視;混合経費なし。
染色およびバックグラウンドとも良好。
脱パラフィン、IHC、脱水およびカバースライド操作の間の保持・待機工程の削除−脱パラフィンからカバーグラスかけまでの連続プロセス。
【0054】
きわめて少量の液体試薬で操作できることから、先行技術と比較してのいくつかの特徴および長所が生じる。一つには、染色液および試薬を、濃縮された、希釈されていない形で使用できる。その結果、液量が有意に減少し、洗浄液またはすすぎ液の量も有意に減少する。また、試薬または染色液およびその後の操作の性格に応じて、1つ以上の洗浄またはすすぎ工程を省略することが可能である。この後者の本発明の特徴および利点は、まったく予測しなかったもので、スライドの適切な(すなわち明瞭な)染色に含まれるプロセスには、順次の試薬の適用の間に洗浄を行なうことが固有のことであるとこれまで認められてきた先行技術の現行の実際に相反するものである。本発明に従って疎水性で可撓性の基材32を採用することによって、使用済み試薬または染色液を洗浄以外の手段で除去することが可能である。言い換えれば、染色を通じてのスライドの処理には、試薬の置換のみで十分なこともあるということが見出されたのである。それゆえ、本発明の他の側面に従えば、いかなる洗浄操作の必要性も排除する代替置換手段を提供できる。たとえば、ゲルブロットペーパー(GB002またはGB003,シュライヘル&シュール・バイオサイエンス社から入手可能)(図9a,9b参照)などのブロットペーパーまたはクロスを用いての吸収により、使用済みの染色液または試薬を除去でき、スライドをなんら洗浄なしにさらに処理できる。これに替えて、使用済み染色液または試薬を、エアナイフィングまたはスピニングによって除去することもできる(図13b参照)。これには、現在市販されているシステムと比較して総液量が約1000分の1に減少するという利点がある。廃液流を生じさせる必要がない;関連する唯一の廃棄物は、試薬収集で生じた水性液で濡れたおよび無極性溶媒で濡れた小型の吸収パッドである。換言すれば、本発明は、一つ以上の染色または試薬工程の間でのすすぎまたは洗浄を省略することによって、液体消耗品および廃液を減少させることを可能にする。
【0055】
洗浄またはすすぎを間に挟むことなく一つ以上の試薬工程を満足裏に実施できるということは、予測されないことであり、古い「バケツ化学」の時代からの現在でも受け入れられている伝承、深く浸透した教義、バックグラウンド、持ち越しおよび化学的単離という理想をめぐる一般的な高い関心に反するところである。体積の減少、プロセスの加速および装置の信頼性の向上への圧力のもとに、すすぎなどのプロセスはより厳密な吟味の対象となってきている。本発明は、先行技術のシステムに内在する短所の多くを排除する最適なスライドの自動染色法を提供する。
【0056】
図13aおよび13bを参照すると、スライドの到来角度の制御および気泡の閉じ込めを阻止する運動の制御ならびに意図しない気泡の閉じ込めを軽減することを可能にする本発明の他の代替具体化態様が示されている。図13aでは、当該システムは、基本ステーション80を包含し、その上に置換可能な表面要素84が据え付けられる。要素84は、射出成形されたプラスチックプレートなどの、定期的に新しい一片と置換できる固定された物品からなりうる。このようにして、よく管理された流体表面特性を維持することができる。これに替えて、図13(b)に示した場合には、表面要素は、供給ローラー88と必要に応じて新しい膜の前進を可能にする引取りローラー90との間にわたされ、緊張下に保持された膜シート86を包含していてもよく、かくして、新しい表面を確保するよく管理された流体表面品質をもたらしうる。ディスペンサー92が、既知量の液滴94を、場合に応じて要素84または86の正しい到来側へ配量する。スライド96が最初は液滴94と接触するようにある角度をなして運ばれてきて(分りやすくするために運搬手段の詳細は示していない)、次いで、さらに左へ運ばれるときに、場合に応じて要素84または86の表面平面に平行に配向される。スライド96の運搬は、場合に応じての要素84または86の運搬から独立していてもよい。角度をなしてのスライドの液滴94との接触および場合に応じての要素84または86との平行配向への運動と組合せての場合に応じての要素84または86に対するスライド96の相対運動とは独立しての運搬を維持することによって、結果として生じた毛管間隙内への実質的に気泡のない液の展着および被覆が保証される。毛管間隙は、液が充満することのできるスライド96と場合に応じての要素84または86との任意の連続した対向であると定義される。スライド96は、装置表面を越えて運ばれ、左の遠方側に達する。運搬速度が、毛管間隙液へのスライド96の表面の曝露(インキュベーション)の時間を制御する。台80の長さを増すことにより、および/または台80の内部に加熱手段98または106を組み込むことによって、処理量を増大させることができる。加熱しながら、運搬速度を増して、均等なインキュベーション効果を維持し、それにより能力を増大させてより多くのスライドを処理することもできる。スライド96がさらに運搬されると、それは漸次装置から取り去られる。液の大部分は、減少していく残留毛管間隙の中に留まる傾向がある。場合に応じての要素84または86の境界を過ぎて運ばれると、液の大部分は液滴100として装置の側面をこぼれ落ちて、過剰の残留液がほとんどない処理されたスライド96面を残す。スライド96はさらに他の場所へ運ばれて、必要ならば、たとえばエアナイフ102処理または吸収性多孔性膜表面要素104処理により、さらなる表面液の除去のための処理を受けてもよい。同様にして一連の化学的表面処理を行なうために、同様の基礎ステーションおよび配量装置などを追加して使用してもよい。
【0057】
また、加熱素子98または106を要素84に組み込んでもよく、システム全体を、制御された加熱能力をもつ小室内に配置してもよい。
【0058】
かくして、本発明が、基材表面上で微小体積を染色またはインキュベートするための有意義な方法およびシステムを提供することが分かる。20〜50μlの規模の液量を、大表面積のスライドガラス(面積12.5cm、>1.6〜4.0μl/cm)上に薄層として展着させることができる。スライド上の液は、シールなしに維持して、特定の処理領域が適切な流体曝露のために接触するようにできる。崩壊なしに連続した水性薄層を維持することは、よく認識された問題である。本発明は、少液量を、有意な蒸発損失を回避しつつ、閉じ込められたまたは形成性の気孔を制御下に受動的に逃避させながら、広い表面積に展着するシステムを提供する。
【0059】
本発明には他の利点もある。濃縮された試薬を直接適用して、プロセスを加速することができ、試薬と希釈剤との混合の必要を排除することができる。濃縮試薬の適用は、体積ではなく濃度が制御因子となるから、液量分配の精度を緩和できることをも意味する。
【0060】
本発明は、特定の化学物質のよく制御された連続インキュベーションを行なうのに有用である。小液量の試薬の適用に関連する骨の折れる洗浄の排除/低減は、小型化、システム統合、複雑なサブシステム(たとえば、廃液処理システム)の排除など、新しい構造体系上の機会を示唆する。たとえば、より高い構造レベルでは、平行処理による高い処理量を目指して多数のスライドステーションを配列することができる。本システムは膜物品を適用し、次にスライド面から剥離するという追加の工程を必要するが、これらの追加工程の「コスト」は、速度、液消費量の低減、廃液量の減少/撤廃によって補われる以上のものである。
【0061】
本発明は他の利点をもたらす。たとえば、なんらかの組織試験システムの大部分または全部を単純な小型化ステーションに統合できるであろう。たとえば、7種の試薬プラス2種の洗浄液を一個の使い捨ての「マイクロ流体カード」上に個々のウエルとして包装して、単一スライドのIHC染色具を提供できるであろう。マイクロ流体アプローチは、個別化したスライド流体を統合して、異なる装置設計空間を可能にするという可能性をもたらす。ステーション全体を、たとえば小型掌中カメラの寸法とすることができよう。配管および大規模な機械的作業を排除できよう。小型化および統合により、単純性、品質管理のための設計、エラー強さおよび種々のタイプの費用低減がもたらされる。モジュールを組にそろえ、真の平行処理手段を提供して、より高い処理量を達成できよう。
【0062】
以上、本発明を主に水性系液との関連で記述したが、本発明は、非水性液にも有利に使用できる。かかる場合には、上に述べたように、第二基材として疎水性の要素を採用する必要がないであろう。このように、本発明の概念、範囲のうちにとどまる多くの変法が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】先行技術に従ったときの液滴による表面の濡れおよび濡れなしを比較したものである。
【図2a】先行技術に従ったときの2つの表面の間に置かれた複数の液体の濡れおよび濡れなしの液滴挙動を示す。
【図2b】先行技術に従ったときの2つの表面の間に置かれた複数の液体の濡れおよび濡れなしの液滴挙動を示す。
【図2c】先行技術に従ったときの2つの表面の間に置かれた複数の液体の濡れおよび濡れなしの液滴挙動を示す。
【図3】先行技術に従ったときの、液体を2つの表面の間に置いたときに共通する蒸気閉じ込め問題を示す。
【図4a】本発明の好ましい一具体化態様を概念的に示す。
【図4b】本発明の好ましい一具体化態様を概念的に示す。
【図4c】本発明の好ましい一具体化態様を概念的に示す。
【図5】図7に類似の図であり、本発明の他の一具体化態様を示す。
【図6a】図7に類似の図であり、本発明の他の一具体化態様を示す。
【図6b】図7に類似の図であり、本発明の他の一具体化態様を示す。
【図7】本発明の好ましい一具体化態様を概念的に示した図4a−cの断面図を示す。
【図8a】本発明に従っての基材からのスライドの手による分離を示す。
【図8b】本発明に従っての基材からのスライドの手による分離を示す。
【図9a】本発明に従っての基材からのスライドの機械的補助による分離を示す。
【図9b】本発明に従っての基材からのスライドの機械的補助による分離を示す。
【図10a】本発明の積層膜物品を示す。
【図10b】本発明の積層膜物品を示す。
【図11】本発明に従って作成されたベンチシステムを示す。
【図12】本発明の一具体化態様のプロセスの概要を図式で示す。
【図13a】本発明に従って作成された他の一システムの図9aおよび9bに類似の図である。
【図13b】本発明に従って作成された他の一システムの図9aおよび9bに類似の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を液体試薬で処理することができる空間をそれらの間に規定する対向面を有する第一および第二の基材を包含し、該第一の基材が相対的に剛性の流体不透過性要素を包含し、該第二の基材が相対的に可撓性の液体不透過性要素を包含する、生体試料を液体試薬で処理するための装置。
【請求項2】
該試料が該第一の基材に担持されている請求項1の装置。
【請求項3】
該第一の基材がスライドガラスを包含する請求項2の装置。
【請求項4】
該生体試料が該スライドに担持された組織切片試料を包含する請求項2の装置。
【請求項5】
該生体試料が該スライドに担持された細胞標本を包含する請求項2の装置。
【請求項6】
該生体試料が該スライドに担持された組織試料アレーを包含する請求項2の装置。
【請求項7】
該生体試料が該スライドに担持されたDNAマイクロアレーを包含する請求項2の装置。
【請求項8】
該生体試料が該スライドに担持されたタンパク質マイクロアレーを包含する請求項2の装置。
【請求項9】
該第二の基材が気体透過性の疎水性要素を包含する請求項1の装置。
【請求項10】
該第二の基材が気体透過性、疎水性、多孔性の可撓性膜を包含する請求項1の装置。
【請求項11】
該気体透過性、疎水性の多孔性膜がポリテトラフルオロエチレンテープまたはシートを包含する請求項10の装置。
【請求項12】
該気体透過性、疎水性の多孔性膜がミクロ細孔性の半透性テープまたはシートを包含する請求項10の装置。
【請求項13】
該気体透過性の多孔性膜が液体不透過性要素によって裏当てされている請求項10の装置。
【請求項14】
該気体透過性の多孔性膜が液体不透過性裏当て要素に積層されている請求項13の装置。
【請求項15】
該気体透過性の多孔性膜が液体不透過性基材と接触して配置されている請求項13の装置。
【請求項16】
該液体試薬が生物学的染色液または生物学的試薬を包含する請求項1に記載の装置。
【請求項17】
該液体試薬が水性系溶液を包含する請求項1に記載の装置。
【請求項18】
該液体試薬が該対向面の間に実質的に一様に拡げられる請求項1に記載の装置。
【請求項19】
該液体が実質的に気泡を含まない請求項1に記載の装置。
【請求項20】
該液体が約7〜360μmの膜厚みを有する請求項1に記載の装置。
【請求項21】
該液体が約100〜300マイクロリットルの体積をもつ請求項1の装置。
【請求項22】
該液体が約5〜50マイクロリットルの体積をもつ請求項21の装置。
【請求項23】
該液体が約20マイクロリットルの体積をもつ請求項22の装置。
【請求項24】
試料と液体試薬を対向面の間に規定された空間へ供給し、該両面を互いに押し付けて、それらの間の空間を縮小させ、それらの間に捕捉された気体を排出する各工程を包含する生体試料の液体試薬による処理方法。
【請求項25】
一方の基材を他方の基材から剥離することによって該両面を分離する工程をさらに包含する請求項24の方法。
【請求項26】
該液体試薬を一方または両方の面から除去する工程を包含する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該試薬を吸収によって除去する請求項26の方法。
【請求項28】
該試薬をエアナイフィングによって除去する請求項26の方法。
【請求項29】
該試薬をスピニングによって除去する請求項26の方法。
【請求項30】
生体試料を液体試薬で処理することができる空間をそれらの間に規定する対向面を有する第一および第二の基材を包含し、該第一の基材が相対的に剛性の流体不透過性要素を包含し、該第二の基材が相対的に可撓性の液体不透過性要素を包含し、さらに該第一および第二の基材を分離する機構を含む、生体試料を液体試薬で処理するための装置。
【請求項31】
該分離機構が、該第一および第二の基材の一方または双方から液体試薬を除去するための多孔性材料を含む請求項30に記載の装置。
【請求項32】
該第二の基材が相対的に可撓性の基材を包含している請求項30に記載の装置。
【請求項33】
該第一および第二の基材の少なくとも一方を加熱するための加熱器をさらに含む請求項30の装置。
【請求項34】
該第一の基材を移動させるためのコンベヤをさらに含む請求項30に記載の装置。
【請求項35】
該コンベヤが該第一の基材を垂直に対して角度をなして移動させるのに適合している請求項35に記載の装置。
【請求項36】
該第二の基材が細長い可撓性膜を包含する請求項30の装置。
【請求項37】
該細長い可撓性テープが供給ローラーと引取りローラーとの間に渡される請求項36の装置。
【請求項38】
エアナイフをさらに含む請求項30に記載の装置。
【請求項39】
ブロッティング装置をさらに含む請求項30の装置。
【請求項40】
該第二の基材が気体透過性の疎水性要素を包含する請求項30に記載の装置。
【請求項41】
該気体透過性の疎水性要素が気体透過性の多孔性膜を包含する請求項40の装置。
【請求項42】
該気体透過性の多孔性膜が液体不透過性裏当て要素に積層されている請求項41の装置。
【請求項43】
該気体透過性の多孔性膜が液体不透過性基材と接触して配置されている請求項41の装置。
【請求項44】
請求項30に記載の装置を準備し、該対向面の間に規定された該空間に液体試薬中の生体試料を供給し、該両基材を押し合わせて、それらの間の空間を縮小させ、それらの間に閉じ込められた気体を追い出し、該両基材を分離する各工程を包含する、生体試料を液体試薬で処理する方法。
【請求項45】
該両基材の一方または双方から過剰の試薬を多孔性材料との接触によって除去する工程を含む請求項44の方法。
【請求項46】
生体試料を液体試薬で処理することができる空間をそれらの間に規定する対向面を有する第一および第二の基材を包含し、該第一の基材が相対的に流体不透過性の要素を包含し、該第二の基材が相対的に可撓性で気体透過性の疎水性要素を包含し、該基材の一方が他の基材を部分的に越えて延びている、生体試料を液体試薬で処理するための処理帯域を有する装置。
【請求項47】
該第一の基材が相対的に剛性の要素を包含する請求項1に記載の装置。
【請求項48】
該第一の基材が相対的に剛性の要素を包含する請求項30に記載の装置。
【請求項49】
該第一の基材が相対的に剛性の要素を包含する請求項46に記載の装置。
【請求項50】
該第一および第二の基材の少なくとも一方が平面図では長方形である請求項46に記載の装置。
【請求項51】
該第一および第二の基材がともに平面図では長方形である請求項46に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【公表番号】特表2007−516447(P2007−516447A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547248(P2006−547248)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042864
【国際公開番号】WO2005/064309
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(500555848)ヴェンタナ メディカル システムズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】