平坦度測定装置及び平坦度測定方法
【課題】コンベアベルトの振動の影響を補正できる平坦度測定装置及び平坦度測定方法を提供する。
【解決手段】コンベアベルト34と、前記コンベアベルト34を回転することにより駆動するロールと、前記コンベアベルト34の振動を検出するための第1のセンサ38と、シート32の先端の高さ位置を測定するための第2のセンサ40と、前記第1のセンサ38からの信号と、前記第2のセンサ40からの信号と、を受信して解析するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記コンベアベルト34の接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のセンサ40からの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサ38からの信号に基づいて前記コンベアベルト34の振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルト34の接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シート32の平坦度を算出しない平坦度測定装置。
【解決手段】コンベアベルト34と、前記コンベアベルト34を回転することにより駆動するロールと、前記コンベアベルト34の振動を検出するための第1のセンサ38と、シート32の先端の高さ位置を測定するための第2のセンサ40と、前記第1のセンサ38からの信号と、前記第2のセンサ40からの信号と、を受信して解析するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記コンベアベルト34の接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のセンサ40からの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサ38からの信号に基づいて前記コンベアベルト34の振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルト34の接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シート32の平坦度を算出しない平坦度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルト上を搬送されるシートの平坦度を測定するための平坦度測定装置及び平坦度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子写真製版等の製版においては、感光性印刷版や感熱性印刷版等の平版印刷版(PS版:Pre−Sensitized Plate)が広く用いられている。平版印刷版は、一般にシート状のアルミニウム板等の支持体に、例えば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光層又は感熱層の塗布、乾燥処理を行ったものであり、一般に帯状に形成され、それを所定の加工ラインで所望のサイズに切断することで最終的な製品とされる。
【0003】
ところで、これらPS版は、ロール上に巻かれた帯状体を巻き戻しながら、デカール装置で巻き癖を直して平坦にし、所定の長さに切断することによって製品にする。
【0004】
しかしながら、デカール装置で巻き癖を完全に矯正できない場合もあり、また、矯正しすぎて逆向きにカールする場合もあるので、所定の長さに切断後のPS版(以後、シートとも称する。)の平坦度が規定値に達しているか否かを測定する必要がある。
【0005】
平坦度が規定値に達していないと、シートを積んだときに、上のシートが下のシートの感光層に傷をつける等の問題が発生するからである。巻き癖量算出する平坦度測定方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、長手方向に移送される搬送張力のかからないウェブにおいて、前記ウェブの支持されていない先端部の垂れによる変位量を、その表面までの距離を測定する距離測定器を長手方向に複数個は位置して測定し、この測定値に基づいて巻き癖量を算出する平坦度測定方法について記載されている。
【0006】
これにより、オンライン上では下向きのそりが自重で平坦になってしまう薄いシートの平坦度もオンライン上で計測できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−50751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の平坦度測定方法では、PS版を搬送しているコンベアベルトの振動の影響により平坦度測定に誤差が含まれていた。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑み、コンベアベルトの振動の影響を補正できる平坦度測定装置及び平坦度測定方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、下記の各発明によって解決することができる。
【0011】
即ち、本発明の平坦度測定装置は、平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しないことを主要な特徴にしている。
【0012】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響により、シートの先端部分が跳ね上げられ、その値を測定することによる誤差を含んだ平坦度測定を回避することができる。
【0013】
また、本発明の平坦度測定装置は、平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出することを主要な特徴にしている。
【0014】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響も補正した平坦度測定が可能になる。
【0015】
更に、本発明の平坦度測定装置は、前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0016】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることを確実に検出することが可能になる。
【0017】
更にまた、本発明の平坦度測定装置は、前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0018】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることをより一層確実に検出することが可能になる。
【0019】
また、本発明の平坦度測定方法は、回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、前記制御部が、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しない平坦度算出ステップと、を備えることを主要な特徴にしている。
【0020】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響により、シートの先端部分が跳ね上げられ、その値を測定することによる誤差を含んだ平坦度測定を回避することができる。
【0021】
更に、本発明の平坦度測定方法は、回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、前記制御部が、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出する平坦度算出ステップと、を備えることを主要な特徴にしている。
【0022】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響も補正した平坦度測定が可能になる。
【0023】
更にまた、本発明の平坦度測定方法は、前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0024】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることを確実に検出することが可能になる。
【0025】
また、本発明の平坦度測定方法は、前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0026】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることをより一層確実に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の平坦度測定装置の説明図である。
【図2】平坦度測定部の概略側面図である。
【図3】平坦度測定部の概略正面図である。
【図4】センサX、Y、Zの測定タイミングチャートである。
【図5】ベルト接合部でのシート先端の挙動変化を示した図である。
【図6】ベルト接合部ではない部分のベルトの振動を測定した図である。
【図7】ベルト接合部分のベルトの振動を測定した図である。
【図8】第1の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【図9】第2の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【図10】第3の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【図11】出側ロール上にベルト接合部が存在したときのベルトの振動を測定した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
【0029】
<シート平坦度測定装置の構成>
本発明のシート平坦度測定装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の平坦度測定装置の説明図である。
【0030】
図1に示すように、本発明の平坦度測定装置は、ロール状に巻かれたアルミ等の薄い金属板をシート状に切断するための切断部10と、シート状に切断された金属板の平坦度を測定するための平坦度測定部と、を主に備えて構成される。
【0031】
ここで、本実施形態の説明では、切断部を備えた形態を例にとって説明するが、切断部を備えることに限定されるものではなく、他の機能を有する部分を含んだ形態であっても、あるいは測定部単体であっても本発明の平坦度測定装置の範囲に含まれるものである。
【0032】
まず、切断部10について説明する。切断部10は、金属板がロール状に巻かれたロール12と、ロール12から引き出された金属板17を搬送するための搬送ローラ13、14、15と、金属板17の巻き癖を矯正するためのデカール装置16と、モータ18に駆動されて金属板17を次工程に送る送りローラ20、20と、送りローラ20から送られた金属板17を所定の長さに切断するカッタ22と、を主に備えて構成される。
【0033】
ロール12は、アルミなどの薄い金属板が巻かれたものであるが、金属に限定されるものではなく、樹脂等で形成されたフィルム等であっても良い。搬送ローラ13、14、15は、図示しない駆動手段によって回転駆動されることによって、金属板17を搬送する。
【0034】
デカール装置16は、例えば、小径の2つのローラ24、25によって構成され、張力をかけて繰り返し曲げ矯正を行うことによって金属板17の巻き癖を矯正する。送りローラ20、20は、モータ18によって回転駆動され、金属板17をカッタ22に供給する。カッタ22は、送りローラ20、20から送られた金属板17を所定の長さに切断する。
【0035】
次に、平坦度測定部30について説明する。平坦度測定部30は、カッタ22によって所定長さに切断された金属板であるシート32を搬送するための上流側コンベアベルト34と、シート32を検出するためのセンサX36と、上流側コンベアベルト34の振動を検出するためのセンサY38と、シート32の先端部の垂れ量を検出するためのセンサZ40と、上流側コンベアベルト34から送られたシート32を搬送する下流側コンベアベルト42と、図示しない制御部と、を主に備えて構成される。
【0036】
上流側コンベアベルト34は、出側ロール50によって駆動され、カッタ22によって所定の長さに切断されたシート32を下流側コンベアベルト42に搬送する。
【0037】
センサX36は、上流側コンベアベルト34上において出側ロール50よりも所定の距離だけカッタ22側に離れた位置に設置され、搬送されているシート32が所定の位置に到達したことを検出する。センサY38は、出側ロール上に設置され、上流側コンベアベルト34表面の振動を検出する。
【0038】
センサZ40、40は、出側ロール50から所定の距離だけ下流側コンベアベルト42の方向に離れた位置に2箇所設置され、上流側コンベアベルト34から突出したシート32の先端部の高さ方向の位置(垂れ量)を測定する。下流側コンベアベルト42は、垂れ量が測定されたシート32を上流側コンベアベルト34から受け取って搬送する。
【0039】
制御部(不図示)は、センサX36、センサY38、センサZ40からの信号を受信するとともに、受信した信号からシート32の平坦度を算出する。更に、制御部は、算出した平坦度に基づいて、平坦度が改善するように、即ち、巻き癖が残っている場合は、更に巻き癖を強く矯正するように、巻き癖の矯正が強すぎて、逆の方向に巻き癖が付いている場合は、巻き癖の矯正を弱くするように、デカール装置16のローラ24、25の位置を変え、張力を調整することにより矯正の程度を制御する。
【0040】
次に、平坦度測定部30について、図面を参照して更に詳しく説明する。図2は、平坦度測定部の概略側面図である。図3は、平坦度測定部の概略正面図である。
【0041】
図2及び図3に示すように、シート32の搬送方向(図2において左右方向)を横方向、図2、図3において上下方向を高さ方向、上流側コンベアベルト34の幅方向(図3において左右方向)を縦方向としたとき、センサX36は、横方向は、出側ロール50の回転中心軸よりも所定の距離Cだけ搬送方向とは逆方向に離れた位置に、高さ方向は、上流側コンベアベルト34よりも上に、縦方向は、出側ロール50の長手方向の中央部に、位置するように設置される。
【0042】
センサY38は、横方向は、出側ロール50の回転中心軸の位置に、高さ方向は、上流側コンベアベルト34よりも上に、縦方向は、上流側コンベアベルト34からの側端部に、位置するように設置される。
【0043】
センサZ40は、横方向は、出側ロール50の回転中心軸よりも所定の距離Aだけ搬送方向に離れた位置に、高さ方向は、上流側コンベアベルト34よりも上に、縦方向は、搬送されるシート32の両側端からそれぞれBだけ内側に寄った位置2箇所に、位置するように設置される。
【0044】
センサX36は、例えば光学センサであり、上流側コンベアベルト上を搬送されてきたシート32を検出する。センサY38は、センサX36が、シートを検出したときから、上流側コンベアベルト34のベルト表面の振動の検出を開始する。センサY38も、光学センサ等を好適に使用することができる。
【0045】
センサZ40は、センサX36が、シート32を検出後、シート32が搬送によってセンサX36の検出エリアから離れ、センサX36が、シート32を検出しなくなったときから所定時間、シート32の先端部の高さ位置(垂れ量)を測定する。
【0046】
よって、センサX36の横方向位置Cは、シート32がセンサX36の検出位置を通り過ぎた直後に、シート32の先端部が出側ロールから所定位置Aだけ突出するように、設定されることが望ましい。これにより、センサX36がシート32を検出する(以後、検出ONとも称する。)、検出しない(以後、検出OFFとも称する。)によって、シート32の位置が決まるので、これに基づいて、センサY38、センサZ40の起動のタイミング、または、センサY38、センサZ40からの信号の読み取りタイミングを決定することができる。
【0047】
<シート平坦度測定装置の作動>
次に、本発明のシート平坦度測定装置の作動の一実施形態について説明する。図1を参照して、ロール12から引き出された金属板17は、搬送ローラ13、14によって搬送され、デカール装置16により巻き癖が矯正される。
【0048】
巻き癖が矯正された金属板17は、搬送ローラ15によって搬送されて、送りローラ20に送られる。送りローラ20は、モータ18によって駆動されて、金属板17をカッタ22に所定の長さだけ送る。
【0049】
カッタ22は、金属板17を所定の長さで切断する。切断された金属板17であるシート32は、上流側コンベアベルト34上に載置されて搬送される。ここで、図2、図3、図4を参照して説明する。図4は、センサX、Y、Zの測定タイミングチャートである。上流側コンベアベルト34によって搬送されたシート32の搬送方向先端がセンサX36の検知位置に達したとき、センサX36は、検出ONの信号を制御装置(図示せず)に送信する。
【0050】
制御装置は、センサX36から検出ONの信号を受信すると、センサY38からの信号の受信を開始する。センサY38は、例えば非接触の高感度微小変位センサ等で構成され、上流側コンベアベルト34のベルト(以後、単にベルトと称する場合がある。)の微小な上下振動を検出する。
【0051】
その後、シート32が更に搬送されて、シート32の搬送方向後端がセンサX36の検出位置から離れたとき、センサX36は、検出OFFの信号を制御装置に送信する。検出OFFの信号を受信した制御装置は、センサZ40からの信号の受信を開始する。センサZ40は、出側ロール50から搬出方向の延長上に突出したシート32の先端部の高さ位置(垂れ量)を測定し、測定結果の信号を制御装置に送信する。
【0052】
制御装置は、センサZ40によって測定されたシート32の先端部高さ位置(垂れ量)と、センサY38によって測定されたベルトの振動と、からベルトの振動による影響を補正した平坦度を計算し、その値を外部装置に送信する。
【0053】
制御装置は、計算された平坦度に基づいて、シート32の巻き癖の矯正が足りない場合は、矯正の度合いを強めるようにデカール装置16を制御し、巻き癖の矯正が強すぎて、逆向きに巻き癖が付いている場合は、矯正の度合いを弱めるように、デカール装置16を制御する。
【0054】
更に、制御装置は、計算された平坦度が、所定の値の範囲から外れている場合は、オペレータにエラー信号を送信し、または、平坦度が所定の範囲から外れたシート32を不良品として、図示しない搬送手段により不良品をストックする場所に搬送するように制御することもできる。
【0055】
センサZ40の測定開始から所定時間経過後、センサY38、センサZ40は、測定を終了する。ここで、制御装置は、センサY38からの信号を解析し、ベルトの振動の波形から、ベルトのつなぎ目部分が、出側ロール50上にあると判断したときは、そのときの、センサY38、センサZ40の信号から平坦度を計算することを中止し、そのときのシートの前後に搬送されたシートの平坦度の平均値をそのときのシートの平坦度として外部装置に送信することもできる。これにより、誤差を含む可能性が高い平坦度測定を回避することができる。
【0056】
あるいは、ベルトのつなぎ目部分が出側ロール50上にあると判断されても、センサY38、センサZ40の信号から平坦度を計算し、その値を外部装置に送信しても良い。その際は、センサZ40の信号に基づいて平坦度を計算する際、センサY38からの信号に基づいてつなぎ目部分の影響も含んだベルトの振動を補正して平坦度を計算することができる。
【0057】
<<ベルトつなぎ目の振動を補正した平坦度算出方法>>
次にベルトつなぎ目の振動を補正した平坦度の算出方法について図面を参照して説明する。図5は、ベルト接合部でのシート先端の挙動変化を示した図である。図6は、ベルト接合部ではない部分のベルトの振動を測定した図である。図7は、ベルト接合部分のベルトの振動を測定した図である。
【0058】
図5を参照すると、図5(a)は、ベルト接合部が、出側ロール50上に無い場合のシート32の垂れ量を示し、図5(b)は、ベルト接合部が、出側ロールの表面に存在する場合のシート32の垂れ量を示している。
【0059】
この図から分かるように、ベルト接合部の凸部により、シート32の先端部が持ち上げられ、または、跳ね上げられることにより、シート32の垂れ量が、本来の値(ベルト接合部の影響を受けない場合)からずれるという問題がある。図5(b)で示す、出側ロール50の90度の範囲(出側ロール断面の円を90度ずつ4等分したときの右上の90度の範囲)にベルト接合部が存在するときに、特に垂れ量に対して影響が大きいことが判明した。
【0060】
ここで、ベルトの上下振動を測定した結果を示す、図6、図7を参照して説明する。出側ロール50上にベルト接合部が無い場合のベルトの上下振動を測定した図5と、出側ロール50上にベルト接合部が存在する場合のベルトの上下振動を測定した図6と、を比較すると、振幅が大きく変化していることが分かる。
【0061】
特に図6を見ると、ベルト接合部が出側ロール50上に移動した、ベルト移動量−15mmのあたりから、急激に振幅が小さくなるとともに、ベルトの位置が大きく変化している。
【0062】
図6、図7から分かるように、ベルト接合部が、出側ロール50上にないときは、振幅は約0.2mmであり、ベルト接合部が、出側ロール50上に存在すると振幅が約0.1mm以下になる。よって、振幅が50%以下になるときに、ベルト接合部が出側ロール50上に移動したと判断することができる。
【0063】
ここで、図6、図7の測定は、図2におけるセンサYの位置に、高精度レーザー変位計(株式会社キーエンス製、型番:LK-H055)のセンサを設置してベルトの変位を測定した。
【0064】
よって、センサY38が、ベルトの振動の振幅が50%以下になったことを検出したとき、制御部は、出側ロール50上にベルト接合部が存在し、そのため、センサZ40の測定値にベルト接合の影響による誤差が含まれたと判断することができる。
【0065】
ここで、図11を参照する。図11は、出側ロール上にベルト接合部が存在したときのベルトの振動を測定した図である。測定条件は、上記と同様である。この図においては、縦軸は振幅を表し、横軸は時間を表す。図11が示すように、−8ms(mSEC)位からベルト接合部が出側ロール上に移動しているが、それに伴って、振幅が約50%以下に低下している。更に、振幅が約50%以下に低下している時間は、横軸の−8msから+26msまで続いており、約28msの間、振幅が50%以下であることが分かる。
【0066】
発明者等の繰り返した評価の結果、ベルト接合部が出側ロール上に移動したとき、最低2msの間は、振幅が50%以下になることが判明した。よって、出側ロール上にベルト接合部が存在するとの判断は、振幅が50%以下の持続時間が2ms以上あったときに、ベルト接合部が存在すると判断することができ、より確実には、振幅が50%以下の持続時間が10msあったときに、更により確実には、振幅が50%以下の持続時間が20msあったときにベルトの接合部が存在すると判断することができる。
【0067】
制御部は、センサZ40の測定値に上記誤差が含まれたと判断したとき、センサZ40の測定値を破棄し、このときのシートの搬送前後の2つのシートの測定値の平均値を算出し、その値をこのときのシートの平坦度として、外部装置に送信することができる。
【0068】
ここで、図6、図7に示されるベルトの振動によるシート32の垂れ量測定値の誤差を補正して平坦度を算出する方法について説明する。
【0069】
本発明者等は、ベルトの振動の影響を補正したシート32の平坦度が、以下の式1により算出されることを鋭意研究により見いだした。
【0070】
y=a1cos(b1y1)+a2sin(b2y2)+C (式1)
y=平坦度、y1=シート垂れ量、y2=ベルトの振動の振幅、
a1、b1、a2、b2、Cは、定数であり、予めシートを流し、平坦度を別の測定装置で測定することにより、求められる値である。
【0071】
この式1で平坦度を算出することにより、ベルトの振動によるシートの垂れ量の測定誤差を小さくすることが可能になる。また、図7に示されるような、ベルト接合部が、出側ロール50上に存在する場合であっても、その振動による垂れ量の測定誤差を小さくすることが可能になる。
【0072】
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る平坦度測定方法について図面を参照して説明する。図8は、第1の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【0073】
図8を参照して、シート32が上流側コンベアベルト34上を搬送され、センサXがシートを検出し信号を制御装置に送る(ステップS10)。次に、制御装置は、センサYに測定を開始させる(ステップS20)。この際、制御装置は、所定の時間経過後(所定の時間は0秒も含む)センサZに測定を開始させることもできるし、センサXが検出OFFになったときにセンサZに測定を開始させることもでき、その後、所定時間経過後、または、所定のタイミングで測定を終了させる(ステップS30)。
【0074】
制御装置は、センサYの測定を終了させる(ステップS40)。センサYの測定を終了させるタイミングは、センサZの測定が終了したタイミングに同期させることができる。
【0075】
制御部は、センサYから受信したベルトの振動の測定を基にしてその振幅の変化からベルト接合部が出側ロール上に存在するか否かの判断を行う(ステップS50)。
【0076】
制御部は、ベルトの接合部が出側ロール上に存在すると判断したとき、そのときのシートの前後に搬送されたシートの平坦度の平均値を算出し(ステップS60)、その値を平坦度として外部装置に出力する(ステップS70)。
【0077】
制御装置は、ステップS50において、ベルトの接合部が出側ロール上に存在しないと判断したときは、センサZが測定したシート先端部の垂れ量から平坦度を算出し(ステップS80)、その値を平坦度として出力する(ステップS90)。この場合の、平坦度の算出は、次の式を用いて算出する。
【0078】
y=d1y1+E (y=平坦度、y1=シート垂れ量)
ここで、d1とEは、予めシートを流し、平坦度を別の測定装置で測定することにより、求められる定数である。
【0079】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る平坦度測定方法について図面を参照して説明する。図9は、第2の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【0080】
図9を参照して、シート32が上流側コンベアベルト34上を搬送され、センサXがシートを検出し信号を制御装置に送る(ステップS110)。次に、制御装置は、センサYに測定を開始させる(ステップS120)。この際、制御装置は、所定の時間経過後(所定の時間は0秒も含む)センサZに測定を開始させることもできるし、センサXが検出OFFになったときにセンサZに測定を開始させることもでき、その後、所定時間経過後、または、所定のタイミングで測定を終了させる(ステップS130)。
【0081】
制御装置は、センサYの測定を終了させる(ステップS140)。センサYの測定を終了させるタイミングは、センサZの測定が終了したタイミングに同期させることができる。
【0082】
制御装置は、センサZが測定したシート先端部の垂れ量から平坦度を算出する(ステップS180)が、その際、センサYが測定したベルトの振動のデータを基に補正を行う(ステップS182)。補正は、式1を使用することができる。制御装置は、補正された平坦度を出力する(ステップS190)。
【0083】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る平坦度測定方法について図面を参照して説明する。図10は、第3の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【0084】
図10を参照して、シート32が上流側コンベアベルト34上を搬送され、センサXがシートを検出し信号を制御装置に送る(ステップS210)。次に、制御装置は、センサYに測定を開始させる(ステップS220)。この際、制御装置は、所定の時間経過後(所定の時間は0秒も含む)センサZに測定を開始させることもできるし、センサXが検出OFFになったときにセンサZに測定を開始させることもでき、その後、所定時間経過後、または、所定のタイミングで測定を終了させる(ステップS230)。
【0085】
制御装置は、センサYの測定を終了させる(ステップS240)。センサYの測定を終了させるタイミングは、センサZの測定が終了したタイミングに同期させることができる。
【0086】
制御部は、センサYから受信したベルトの振動の測定を基にしてその振幅の変化からベルト接合部が出側ロール上に存在するか否かの判断を行う(ステップS250)。
【0087】
制御部は、ベルトの接合部が出側ロール上に存在すると判断したとき、そのときのシートの前後に搬送されたシートの平坦度の平均値を算出し(ステップS260)、その値を平坦度として外部装置に出力する(ステップS270)。
【0088】
制御装置は、ステップS250において、ベルトの接合部が出側ロール上に存在しないと判断したときは、センサZが測定したシート先端部の垂れ量から平坦度を算出する(ステップS280)が、その際、センサYが測定したベルトの振動のデータを基に補正を行う(ステップS282)。補正は、式1を使用することができる。制御装置は、補正された平坦度を出力する(ステップS290)。
【符号の説明】
【0089】
10…切断部、12…ロール、13…搬送ローラ、15…搬送ローラ、16…デカール装置、17…金属板、18…モータ、20…ローラ、22…カッタ、24…ローラ、30…平坦度測定部、32…シート、34…上流側コンベアベルト、36…センサX、38…センサY、40…センサZ、42…下流側コンベアベルト、50…出側ロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルト上を搬送されるシートの平坦度を測定するための平坦度測定装置及び平坦度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子写真製版等の製版においては、感光性印刷版や感熱性印刷版等の平版印刷版(PS版:Pre−Sensitized Plate)が広く用いられている。平版印刷版は、一般にシート状のアルミニウム板等の支持体に、例えば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光層又は感熱層の塗布、乾燥処理を行ったものであり、一般に帯状に形成され、それを所定の加工ラインで所望のサイズに切断することで最終的な製品とされる。
【0003】
ところで、これらPS版は、ロール上に巻かれた帯状体を巻き戻しながら、デカール装置で巻き癖を直して平坦にし、所定の長さに切断することによって製品にする。
【0004】
しかしながら、デカール装置で巻き癖を完全に矯正できない場合もあり、また、矯正しすぎて逆向きにカールする場合もあるので、所定の長さに切断後のPS版(以後、シートとも称する。)の平坦度が規定値に達しているか否かを測定する必要がある。
【0005】
平坦度が規定値に達していないと、シートを積んだときに、上のシートが下のシートの感光層に傷をつける等の問題が発生するからである。巻き癖量算出する平坦度測定方法が、特許文献1に開示されている。特許文献1には、長手方向に移送される搬送張力のかからないウェブにおいて、前記ウェブの支持されていない先端部の垂れによる変位量を、その表面までの距離を測定する距離測定器を長手方向に複数個は位置して測定し、この測定値に基づいて巻き癖量を算出する平坦度測定方法について記載されている。
【0006】
これにより、オンライン上では下向きのそりが自重で平坦になってしまう薄いシートの平坦度もオンライン上で計測できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−50751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の平坦度測定方法では、PS版を搬送しているコンベアベルトの振動の影響により平坦度測定に誤差が含まれていた。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑み、コンベアベルトの振動の影響を補正できる平坦度測定装置及び平坦度測定方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、下記の各発明によって解決することができる。
【0011】
即ち、本発明の平坦度測定装置は、平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しないことを主要な特徴にしている。
【0012】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響により、シートの先端部分が跳ね上げられ、その値を測定することによる誤差を含んだ平坦度測定を回避することができる。
【0013】
また、本発明の平坦度測定装置は、平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出することを主要な特徴にしている。
【0014】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響も補正した平坦度測定が可能になる。
【0015】
更に、本発明の平坦度測定装置は、前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0016】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることを確実に検出することが可能になる。
【0017】
更にまた、本発明の平坦度測定装置は、前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0018】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることをより一層確実に検出することが可能になる。
【0019】
また、本発明の平坦度測定方法は、回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、前記制御部が、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しない平坦度算出ステップと、を備えることを主要な特徴にしている。
【0020】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響により、シートの先端部分が跳ね上げられ、その値を測定することによる誤差を含んだ平坦度測定を回避することができる。
【0021】
更に、本発明の平坦度測定方法は、回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、前記制御部が、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出する平坦度算出ステップと、を備えることを主要な特徴にしている。
【0022】
これにより、コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度測定が可能になる。また、コンベアベルトの接続部(つなぎ目)の凸部の影響も補正した平坦度測定が可能になる。
【0023】
更にまた、本発明の平坦度測定方法は、前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0024】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることを確実に検出することが可能になる。
【0025】
また、本発明の平坦度測定方法は、前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断することを主要な特徴にしている。
【0026】
これにより、コンベアベルトの接続部がロール上にあることをより一層確実に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の平坦度測定装置の説明図である。
【図2】平坦度測定部の概略側面図である。
【図3】平坦度測定部の概略正面図である。
【図4】センサX、Y、Zの測定タイミングチャートである。
【図5】ベルト接合部でのシート先端の挙動変化を示した図である。
【図6】ベルト接合部ではない部分のベルトの振動を測定した図である。
【図7】ベルト接合部分のベルトの振動を測定した図である。
【図8】第1の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【図9】第2の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【図10】第3の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【図11】出側ロール上にベルト接合部が存在したときのベルトの振動を測定した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
【0029】
<シート平坦度測定装置の構成>
本発明のシート平坦度測定装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の平坦度測定装置の説明図である。
【0030】
図1に示すように、本発明の平坦度測定装置は、ロール状に巻かれたアルミ等の薄い金属板をシート状に切断するための切断部10と、シート状に切断された金属板の平坦度を測定するための平坦度測定部と、を主に備えて構成される。
【0031】
ここで、本実施形態の説明では、切断部を備えた形態を例にとって説明するが、切断部を備えることに限定されるものではなく、他の機能を有する部分を含んだ形態であっても、あるいは測定部単体であっても本発明の平坦度測定装置の範囲に含まれるものである。
【0032】
まず、切断部10について説明する。切断部10は、金属板がロール状に巻かれたロール12と、ロール12から引き出された金属板17を搬送するための搬送ローラ13、14、15と、金属板17の巻き癖を矯正するためのデカール装置16と、モータ18に駆動されて金属板17を次工程に送る送りローラ20、20と、送りローラ20から送られた金属板17を所定の長さに切断するカッタ22と、を主に備えて構成される。
【0033】
ロール12は、アルミなどの薄い金属板が巻かれたものであるが、金属に限定されるものではなく、樹脂等で形成されたフィルム等であっても良い。搬送ローラ13、14、15は、図示しない駆動手段によって回転駆動されることによって、金属板17を搬送する。
【0034】
デカール装置16は、例えば、小径の2つのローラ24、25によって構成され、張力をかけて繰り返し曲げ矯正を行うことによって金属板17の巻き癖を矯正する。送りローラ20、20は、モータ18によって回転駆動され、金属板17をカッタ22に供給する。カッタ22は、送りローラ20、20から送られた金属板17を所定の長さに切断する。
【0035】
次に、平坦度測定部30について説明する。平坦度測定部30は、カッタ22によって所定長さに切断された金属板であるシート32を搬送するための上流側コンベアベルト34と、シート32を検出するためのセンサX36と、上流側コンベアベルト34の振動を検出するためのセンサY38と、シート32の先端部の垂れ量を検出するためのセンサZ40と、上流側コンベアベルト34から送られたシート32を搬送する下流側コンベアベルト42と、図示しない制御部と、を主に備えて構成される。
【0036】
上流側コンベアベルト34は、出側ロール50によって駆動され、カッタ22によって所定の長さに切断されたシート32を下流側コンベアベルト42に搬送する。
【0037】
センサX36は、上流側コンベアベルト34上において出側ロール50よりも所定の距離だけカッタ22側に離れた位置に設置され、搬送されているシート32が所定の位置に到達したことを検出する。センサY38は、出側ロール上に設置され、上流側コンベアベルト34表面の振動を検出する。
【0038】
センサZ40、40は、出側ロール50から所定の距離だけ下流側コンベアベルト42の方向に離れた位置に2箇所設置され、上流側コンベアベルト34から突出したシート32の先端部の高さ方向の位置(垂れ量)を測定する。下流側コンベアベルト42は、垂れ量が測定されたシート32を上流側コンベアベルト34から受け取って搬送する。
【0039】
制御部(不図示)は、センサX36、センサY38、センサZ40からの信号を受信するとともに、受信した信号からシート32の平坦度を算出する。更に、制御部は、算出した平坦度に基づいて、平坦度が改善するように、即ち、巻き癖が残っている場合は、更に巻き癖を強く矯正するように、巻き癖の矯正が強すぎて、逆の方向に巻き癖が付いている場合は、巻き癖の矯正を弱くするように、デカール装置16のローラ24、25の位置を変え、張力を調整することにより矯正の程度を制御する。
【0040】
次に、平坦度測定部30について、図面を参照して更に詳しく説明する。図2は、平坦度測定部の概略側面図である。図3は、平坦度測定部の概略正面図である。
【0041】
図2及び図3に示すように、シート32の搬送方向(図2において左右方向)を横方向、図2、図3において上下方向を高さ方向、上流側コンベアベルト34の幅方向(図3において左右方向)を縦方向としたとき、センサX36は、横方向は、出側ロール50の回転中心軸よりも所定の距離Cだけ搬送方向とは逆方向に離れた位置に、高さ方向は、上流側コンベアベルト34よりも上に、縦方向は、出側ロール50の長手方向の中央部に、位置するように設置される。
【0042】
センサY38は、横方向は、出側ロール50の回転中心軸の位置に、高さ方向は、上流側コンベアベルト34よりも上に、縦方向は、上流側コンベアベルト34からの側端部に、位置するように設置される。
【0043】
センサZ40は、横方向は、出側ロール50の回転中心軸よりも所定の距離Aだけ搬送方向に離れた位置に、高さ方向は、上流側コンベアベルト34よりも上に、縦方向は、搬送されるシート32の両側端からそれぞれBだけ内側に寄った位置2箇所に、位置するように設置される。
【0044】
センサX36は、例えば光学センサであり、上流側コンベアベルト上を搬送されてきたシート32を検出する。センサY38は、センサX36が、シートを検出したときから、上流側コンベアベルト34のベルト表面の振動の検出を開始する。センサY38も、光学センサ等を好適に使用することができる。
【0045】
センサZ40は、センサX36が、シート32を検出後、シート32が搬送によってセンサX36の検出エリアから離れ、センサX36が、シート32を検出しなくなったときから所定時間、シート32の先端部の高さ位置(垂れ量)を測定する。
【0046】
よって、センサX36の横方向位置Cは、シート32がセンサX36の検出位置を通り過ぎた直後に、シート32の先端部が出側ロールから所定位置Aだけ突出するように、設定されることが望ましい。これにより、センサX36がシート32を検出する(以後、検出ONとも称する。)、検出しない(以後、検出OFFとも称する。)によって、シート32の位置が決まるので、これに基づいて、センサY38、センサZ40の起動のタイミング、または、センサY38、センサZ40からの信号の読み取りタイミングを決定することができる。
【0047】
<シート平坦度測定装置の作動>
次に、本発明のシート平坦度測定装置の作動の一実施形態について説明する。図1を参照して、ロール12から引き出された金属板17は、搬送ローラ13、14によって搬送され、デカール装置16により巻き癖が矯正される。
【0048】
巻き癖が矯正された金属板17は、搬送ローラ15によって搬送されて、送りローラ20に送られる。送りローラ20は、モータ18によって駆動されて、金属板17をカッタ22に所定の長さだけ送る。
【0049】
カッタ22は、金属板17を所定の長さで切断する。切断された金属板17であるシート32は、上流側コンベアベルト34上に載置されて搬送される。ここで、図2、図3、図4を参照して説明する。図4は、センサX、Y、Zの測定タイミングチャートである。上流側コンベアベルト34によって搬送されたシート32の搬送方向先端がセンサX36の検知位置に達したとき、センサX36は、検出ONの信号を制御装置(図示せず)に送信する。
【0050】
制御装置は、センサX36から検出ONの信号を受信すると、センサY38からの信号の受信を開始する。センサY38は、例えば非接触の高感度微小変位センサ等で構成され、上流側コンベアベルト34のベルト(以後、単にベルトと称する場合がある。)の微小な上下振動を検出する。
【0051】
その後、シート32が更に搬送されて、シート32の搬送方向後端がセンサX36の検出位置から離れたとき、センサX36は、検出OFFの信号を制御装置に送信する。検出OFFの信号を受信した制御装置は、センサZ40からの信号の受信を開始する。センサZ40は、出側ロール50から搬出方向の延長上に突出したシート32の先端部の高さ位置(垂れ量)を測定し、測定結果の信号を制御装置に送信する。
【0052】
制御装置は、センサZ40によって測定されたシート32の先端部高さ位置(垂れ量)と、センサY38によって測定されたベルトの振動と、からベルトの振動による影響を補正した平坦度を計算し、その値を外部装置に送信する。
【0053】
制御装置は、計算された平坦度に基づいて、シート32の巻き癖の矯正が足りない場合は、矯正の度合いを強めるようにデカール装置16を制御し、巻き癖の矯正が強すぎて、逆向きに巻き癖が付いている場合は、矯正の度合いを弱めるように、デカール装置16を制御する。
【0054】
更に、制御装置は、計算された平坦度が、所定の値の範囲から外れている場合は、オペレータにエラー信号を送信し、または、平坦度が所定の範囲から外れたシート32を不良品として、図示しない搬送手段により不良品をストックする場所に搬送するように制御することもできる。
【0055】
センサZ40の測定開始から所定時間経過後、センサY38、センサZ40は、測定を終了する。ここで、制御装置は、センサY38からの信号を解析し、ベルトの振動の波形から、ベルトのつなぎ目部分が、出側ロール50上にあると判断したときは、そのときの、センサY38、センサZ40の信号から平坦度を計算することを中止し、そのときのシートの前後に搬送されたシートの平坦度の平均値をそのときのシートの平坦度として外部装置に送信することもできる。これにより、誤差を含む可能性が高い平坦度測定を回避することができる。
【0056】
あるいは、ベルトのつなぎ目部分が出側ロール50上にあると判断されても、センサY38、センサZ40の信号から平坦度を計算し、その値を外部装置に送信しても良い。その際は、センサZ40の信号に基づいて平坦度を計算する際、センサY38からの信号に基づいてつなぎ目部分の影響も含んだベルトの振動を補正して平坦度を計算することができる。
【0057】
<<ベルトつなぎ目の振動を補正した平坦度算出方法>>
次にベルトつなぎ目の振動を補正した平坦度の算出方法について図面を参照して説明する。図5は、ベルト接合部でのシート先端の挙動変化を示した図である。図6は、ベルト接合部ではない部分のベルトの振動を測定した図である。図7は、ベルト接合部分のベルトの振動を測定した図である。
【0058】
図5を参照すると、図5(a)は、ベルト接合部が、出側ロール50上に無い場合のシート32の垂れ量を示し、図5(b)は、ベルト接合部が、出側ロールの表面に存在する場合のシート32の垂れ量を示している。
【0059】
この図から分かるように、ベルト接合部の凸部により、シート32の先端部が持ち上げられ、または、跳ね上げられることにより、シート32の垂れ量が、本来の値(ベルト接合部の影響を受けない場合)からずれるという問題がある。図5(b)で示す、出側ロール50の90度の範囲(出側ロール断面の円を90度ずつ4等分したときの右上の90度の範囲)にベルト接合部が存在するときに、特に垂れ量に対して影響が大きいことが判明した。
【0060】
ここで、ベルトの上下振動を測定した結果を示す、図6、図7を参照して説明する。出側ロール50上にベルト接合部が無い場合のベルトの上下振動を測定した図5と、出側ロール50上にベルト接合部が存在する場合のベルトの上下振動を測定した図6と、を比較すると、振幅が大きく変化していることが分かる。
【0061】
特に図6を見ると、ベルト接合部が出側ロール50上に移動した、ベルト移動量−15mmのあたりから、急激に振幅が小さくなるとともに、ベルトの位置が大きく変化している。
【0062】
図6、図7から分かるように、ベルト接合部が、出側ロール50上にないときは、振幅は約0.2mmであり、ベルト接合部が、出側ロール50上に存在すると振幅が約0.1mm以下になる。よって、振幅が50%以下になるときに、ベルト接合部が出側ロール50上に移動したと判断することができる。
【0063】
ここで、図6、図7の測定は、図2におけるセンサYの位置に、高精度レーザー変位計(株式会社キーエンス製、型番:LK-H055)のセンサを設置してベルトの変位を測定した。
【0064】
よって、センサY38が、ベルトの振動の振幅が50%以下になったことを検出したとき、制御部は、出側ロール50上にベルト接合部が存在し、そのため、センサZ40の測定値にベルト接合の影響による誤差が含まれたと判断することができる。
【0065】
ここで、図11を参照する。図11は、出側ロール上にベルト接合部が存在したときのベルトの振動を測定した図である。測定条件は、上記と同様である。この図においては、縦軸は振幅を表し、横軸は時間を表す。図11が示すように、−8ms(mSEC)位からベルト接合部が出側ロール上に移動しているが、それに伴って、振幅が約50%以下に低下している。更に、振幅が約50%以下に低下している時間は、横軸の−8msから+26msまで続いており、約28msの間、振幅が50%以下であることが分かる。
【0066】
発明者等の繰り返した評価の結果、ベルト接合部が出側ロール上に移動したとき、最低2msの間は、振幅が50%以下になることが判明した。よって、出側ロール上にベルト接合部が存在するとの判断は、振幅が50%以下の持続時間が2ms以上あったときに、ベルト接合部が存在すると判断することができ、より確実には、振幅が50%以下の持続時間が10msあったときに、更により確実には、振幅が50%以下の持続時間が20msあったときにベルトの接合部が存在すると判断することができる。
【0067】
制御部は、センサZ40の測定値に上記誤差が含まれたと判断したとき、センサZ40の測定値を破棄し、このときのシートの搬送前後の2つのシートの測定値の平均値を算出し、その値をこのときのシートの平坦度として、外部装置に送信することができる。
【0068】
ここで、図6、図7に示されるベルトの振動によるシート32の垂れ量測定値の誤差を補正して平坦度を算出する方法について説明する。
【0069】
本発明者等は、ベルトの振動の影響を補正したシート32の平坦度が、以下の式1により算出されることを鋭意研究により見いだした。
【0070】
y=a1cos(b1y1)+a2sin(b2y2)+C (式1)
y=平坦度、y1=シート垂れ量、y2=ベルトの振動の振幅、
a1、b1、a2、b2、Cは、定数であり、予めシートを流し、平坦度を別の測定装置で測定することにより、求められる値である。
【0071】
この式1で平坦度を算出することにより、ベルトの振動によるシートの垂れ量の測定誤差を小さくすることが可能になる。また、図7に示されるような、ベルト接合部が、出側ロール50上に存在する場合であっても、その振動による垂れ量の測定誤差を小さくすることが可能になる。
【0072】
<第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る平坦度測定方法について図面を参照して説明する。図8は、第1の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【0073】
図8を参照して、シート32が上流側コンベアベルト34上を搬送され、センサXがシートを検出し信号を制御装置に送る(ステップS10)。次に、制御装置は、センサYに測定を開始させる(ステップS20)。この際、制御装置は、所定の時間経過後(所定の時間は0秒も含む)センサZに測定を開始させることもできるし、センサXが検出OFFになったときにセンサZに測定を開始させることもでき、その後、所定時間経過後、または、所定のタイミングで測定を終了させる(ステップS30)。
【0074】
制御装置は、センサYの測定を終了させる(ステップS40)。センサYの測定を終了させるタイミングは、センサZの測定が終了したタイミングに同期させることができる。
【0075】
制御部は、センサYから受信したベルトの振動の測定を基にしてその振幅の変化からベルト接合部が出側ロール上に存在するか否かの判断を行う(ステップS50)。
【0076】
制御部は、ベルトの接合部が出側ロール上に存在すると判断したとき、そのときのシートの前後に搬送されたシートの平坦度の平均値を算出し(ステップS60)、その値を平坦度として外部装置に出力する(ステップS70)。
【0077】
制御装置は、ステップS50において、ベルトの接合部が出側ロール上に存在しないと判断したときは、センサZが測定したシート先端部の垂れ量から平坦度を算出し(ステップS80)、その値を平坦度として出力する(ステップS90)。この場合の、平坦度の算出は、次の式を用いて算出する。
【0078】
y=d1y1+E (y=平坦度、y1=シート垂れ量)
ここで、d1とEは、予めシートを流し、平坦度を別の測定装置で測定することにより、求められる定数である。
【0079】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る平坦度測定方法について図面を参照して説明する。図9は、第2の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【0080】
図9を参照して、シート32が上流側コンベアベルト34上を搬送され、センサXがシートを検出し信号を制御装置に送る(ステップS110)。次に、制御装置は、センサYに測定を開始させる(ステップS120)。この際、制御装置は、所定の時間経過後(所定の時間は0秒も含む)センサZに測定を開始させることもできるし、センサXが検出OFFになったときにセンサZに測定を開始させることもでき、その後、所定時間経過後、または、所定のタイミングで測定を終了させる(ステップS130)。
【0081】
制御装置は、センサYの測定を終了させる(ステップS140)。センサYの測定を終了させるタイミングは、センサZの測定が終了したタイミングに同期させることができる。
【0082】
制御装置は、センサZが測定したシート先端部の垂れ量から平坦度を算出する(ステップS180)が、その際、センサYが測定したベルトの振動のデータを基に補正を行う(ステップS182)。補正は、式1を使用することができる。制御装置は、補正された平坦度を出力する(ステップS190)。
【0083】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る平坦度測定方法について図面を参照して説明する。図10は、第3の実施形態の平坦度測定方法のフロー図である。
【0084】
図10を参照して、シート32が上流側コンベアベルト34上を搬送され、センサXがシートを検出し信号を制御装置に送る(ステップS210)。次に、制御装置は、センサYに測定を開始させる(ステップS220)。この際、制御装置は、所定の時間経過後(所定の時間は0秒も含む)センサZに測定を開始させることもできるし、センサXが検出OFFになったときにセンサZに測定を開始させることもでき、その後、所定時間経過後、または、所定のタイミングで測定を終了させる(ステップS230)。
【0085】
制御装置は、センサYの測定を終了させる(ステップS240)。センサYの測定を終了させるタイミングは、センサZの測定が終了したタイミングに同期させることができる。
【0086】
制御部は、センサYから受信したベルトの振動の測定を基にしてその振幅の変化からベルト接合部が出側ロール上に存在するか否かの判断を行う(ステップS250)。
【0087】
制御部は、ベルトの接合部が出側ロール上に存在すると判断したとき、そのときのシートの前後に搬送されたシートの平坦度の平均値を算出し(ステップS260)、その値を平坦度として外部装置に出力する(ステップS270)。
【0088】
制御装置は、ステップS250において、ベルトの接合部が出側ロール上に存在しないと判断したときは、センサZが測定したシート先端部の垂れ量から平坦度を算出する(ステップS280)が、その際、センサYが測定したベルトの振動のデータを基に補正を行う(ステップS282)。補正は、式1を使用することができる。制御装置は、補正された平坦度を出力する(ステップS290)。
【符号の説明】
【0089】
10…切断部、12…ロール、13…搬送ローラ、15…搬送ローラ、16…デカール装置、17…金属板、18…モータ、20…ローラ、22…カッタ、24…ローラ、30…平坦度測定部、32…シート、34…上流側コンベアベルト、36…センサX、38…センサY、40…センサZ、42…下流側コンベアベルト、50…出側ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、
前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、
前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しない平坦度測定装置。
【請求項2】
平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、
前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、
前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出する平坦度測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項1に記載の平坦度測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項3に記載の平坦度測定装置。
【請求項5】
回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、
第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、
第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、
前記制御部が、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しない平坦度算出ステップと、
を備える平坦度測定方法。
【請求項6】
回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、
第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、
第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、
前記制御部が、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出する平坦度算出ステップと、
を備える平坦度測定方法。
【請求項7】
前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項5に記載の平坦度測定方法。
【請求項8】
前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項7に記載の平坦度測定方法。
【請求項1】
平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、
前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、
前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しない平坦度測定装置。
【請求項2】
平板状のシートを搬送するためのコンベアベルトと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端部に設置され、前記コンベアベルトを回転することにより駆動するロールと、
前記コンベアベルトの振動を検出するための第1のセンサと、
前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定するための第2のセンサと、
前記第1のセンサからの信号と、前記第2のセンサからの信号と、を受信して解析するための制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第2のセンサからの信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のセンサからの信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出する平坦度測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のセンサからの信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項1に記載の平坦度測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項3に記載の平坦度測定装置。
【請求項5】
回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、
第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、
第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、
前記制御部が、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上に無いと判断したときは、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出し、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断したときは、前記シートの平坦度を算出しない平坦度算出ステップと、
を備える平坦度測定方法。
【請求項6】
回転するロールによって駆動されるコンベアベルト上に載置されて搬送される平板状のシートの平坦度測定方法であって、
第1のセンサが、前記コンベアベルトの振動を検出し、制御部に検出した第1のデータ信号を送信する第1センサ検出ステップと、
第2のセンサが、前記コンベアベルトの搬送方向先端から突出した前記シートの先端の高さ位置を測定して、前記制御部に第2のデータ信号を送信する第2センサ検出ステップと、
前記制御部が、前記第2のデータ信号に基づいて前記シートの平坦度を算出する際、前記第1のデータ信号に基づいて前記コンベアベルトの振動による影響を補正した平坦度を算出する平坦度算出ステップと、
を備える平坦度測定方法。
【請求項7】
前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記第1のデータ信号を解析し、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項5に記載の平坦度測定方法。
【請求項8】
前記平坦度算出ステップにおいて、前記制御部は、前記コンベアベルトの振動の振幅が50%以下に低減した時間が2mSEC以上継続したとき、前記コンベアベルトの接続部が前記ロール上にあると判断する請求項7に記載の平坦度測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−137404(P2012−137404A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290592(P2010−290592)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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