説明

平板パネル製造装置

【課題】基板に有機物薄膜を蒸着する全体の工程時間を最小化できる平板パネル製造装置を提供する。
【解決手段】少なくとも二つの基板10が処理される複数の工程チャンバー110;第1の方向L1に沿って複数の工程チャンバーの間に配置され、第1の方向に直交する第2の方向L2に沿って直線状に往復移動しながら未処理の基板を工程チャンバーに供給したり、処理が完了した基板を工程チャンバーから排出する移送ロボット123を備える移送チャンバー120;移送チャンバーの一側に結合され、供給される基板を収容するローディングチャンバー130;及び移送チャンバーの他側に結合され、排出された基板を収容するアンローディングチャンバー140;を含み、工程チャンバーの内部では、第2の方向に沿っていずれか一つの基板に工程ガスが蒸着されると同時に、残りの基板に対する移送及び位置整列が行われることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板パネル製造装置に関し、より詳細には、有機発光表示素子平板パネルに対して有機物薄膜の蒸着工程を行える平板パネル製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板パネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)を製造する過程では、基板上に薄膜蒸着工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、工程進行時に発生した残留物を除去するための洗浄及び乾燥などの洗浄工程及び各種表面処理工程などの基板処理過程が数回繰り返される。それぞれの工程は、工程チャンバー(PM:Process Module)で進められる。
【0003】
このような工程チャンバーは、移送チャンバーと共にクラスターを構成する。クラスターでは、一つの移送チャンバーに複数の工程チャンバーが連結されることが一般的である。すなわち、クラスターは、基板の処理工程を行う工程チャンバーと、基板を保存した後、これを工程チャンバーに移送し、工程チャンバーから処理された基板を回送する移送チャンバー(TM:Transfer Module)とで構成されることが一般的である。
【0004】
一方、前記のような構造からなる従来のクラスターでは、製造可能な平板パネルとして有機発光表示素子(OLED)平板パネルを提示することができる。有機発光表示素子は、蛍光又は燐光有機物薄膜に電流を流すと、電子と正孔が有機物層で結合しながら光が発生する原理を用いた自体発光型ディスプレイである。最近は、スマートフォンの普及が拡大されながら、低電力で動作する有機発光表示素子平板パネルの使用が増加しており、その結果、有機発光表示素子平板パネルの生産力を向上させる必要性も増加している。
【0005】
有機発光表示素子平板パネルの製造工程では、基板上に有機物薄膜を蒸着する工程が必ず必要である。このような蒸着工程を行うためには、まず、チャンバー内に基板を移送する工程、基板とマスクをアラインするアライン工程などを行わなければならないが、従来の製造装置による場合、基板移送及びマスクアライン時には蒸着工程を進めることが不可能であった。すなわち、基板移送及びマスクアライン工程と蒸着工程とが分離されて行われることによって、全体の工程時間が増加するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、このような従来の問題を解決するために、一つの工程チャンバー内で2個の基板を収容し、一つの基板に対する基板移送及びアライン工程を行うと同時に、残りの他の基板に対する蒸着工程を行うことによって、基板に有機物薄膜を蒸着する全体の工程時間を最小化できる平板パネル製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記のような目的を達成するために、本発明の平板パネル製造装置は、少なくとも二つの基板が処理される内部空間が形成された複数の工程チャンバー;第1の方向に沿って前記複数の工程チャンバーの間に配置され、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら未処理の基板を前記工程チャンバーに供給したり、処理が完了した基板を前記工程チャンバーから排出する移送ロボットを備える移送チャンバー;前記移送チャンバーの一側に結合され、前記移送チャンバーに供給される基板を収容するローディングチャンバー;及び前記移送チャンバーの他側に結合され、前記移送チャンバーから排出された基板を収容するアンローディングチャンバー;を含み、前記移送ロボットは、前記第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら前記工程チャンバーに基板を順次供給又は排出し、前記工程チャンバーの内部では、前記第2の方向に沿っていずれか一つの基板に工程ガスが蒸着されると同時に、残りの基板に対する移送及び位置整列が行われる。
【0008】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記工程チャンバーは、第1の領域と、前記第1の領域と隣接した第2の領域とからなる内部空間が形成され、一側が開口されて前記移送チャンバーと連通した本体部材;前記本体部材に移送された基板を支持し、位置を整列するために前記第1の領域及び前記第2の領域にそれぞれ設置される支持ユニット;前記本体部材の内部空間に配置され、基板に工程ガスを噴射する蒸着源;前記蒸着源を前記第2の方向に沿って直線状に往復移動させる駆動ユニット;及び前記蒸着源が前記第1の領域と前記第2の領域との間を往復するように前記駆動ユニットを制御する制御部;を含む。
【0009】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記制御部は、前記蒸着源を前記第1の領域の初期位置から前記第1の領域内で前記第2の方向に沿って移動させながら一つの基板を処理する過程と、前記蒸着源を前記第2の領域に移動させ、前記第2の領域内で前記第2の方向に沿って移動させながら残りの基板を処理した後、前記第1の領域の初期位置に復帰する過程が繰り返して実行されるように前記駆動ユニットを制御し、前記移送ロボットは、前記第1の領域の基板及び前記第2の領域の基板が全て処理された後、前記第1の領域及び前記第2の領域から処理が完了した基板を排出し、前記第1の領域及び前記第2の領域に新しい基板を供給する。
【0010】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記制御部は、前記蒸着源を前記第2の方向に沿って前記第1の領域及び前記第2の領域に順次移動させながら前記第1の領域の基板と前記第2の領域の基板を処理する過程と、再び前記蒸着源を前記第2の方向に沿って前記第2の領域と前記第1の領域に順次移動させながら前記第2の領域の基板と前記第1の領域の基板を処理する過程が繰り返して実行されるように前記駆動ユニットを制御し、前記移送ロボットは、前記第1の領域の基板が処理された後、前記第2の領域の基板が処理される間、前記第1の領域から処理が完了した基板を排出し、前記第1の領域に新しい基板を供給し、前記第2の領域の基板が処理された後、前記第1の領域の基板が処理される間、前記第2の領域から処理が完了した基板を排出し、前記第2の領域に新しい基板を供給する。
【0011】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記移送ロボットは、前記第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら前記ローディングチャンバーから前記移送チャンバーを経て前記複数の工程チャンバーのうち一つの工程チャンバーに基板を供給し、前記一つの工程チャンバーで処理が完了した基板を前記一つの工程チャンバーから排出し、前記移送チャンバーを経て複数の工程チャンバーのうち他の一つの工程チャンバーに供給し、前記他の一つの工程チャンバーで処理が完了した基板を前記他の一つの工程チャンバーから排出し、前記移送チャンバーを経て前記アンローディングチャンバーに排出する。
【0012】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記蒸着源は、一つ以上の材料を同時に蒸着するために各材料に対応する一つ以上の蒸発源を含む。
【0013】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記蒸着源は、前記第2の方向に沿って複数個が離隔するように配置される。
【0014】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記複数の工程チャンバーは、前記第2の方向に沿って前記移送チャンバーの側面に離隔するように配置される。
【0015】
本発明に係る平板パネル製造装置において、望ましくは、前記移送チャンバーは二つの移送ロボットを含み、前記各移送ロボットは、前記第1の方向に沿って離隔するように、そして、前記第2の方向に沿って直線状に往復移動するように配置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る平板パネル製造装置によると、基板の処理と移送が同時に行われることによって、単位時間当たりにより多くの個数の基板が処理されるので、生産性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明に係る平板パネル製造装置によると、工程チャンバー内で基板を処理する2個の領域を隣接するように配置することによって、工程チャンバーの大きさを最小化して装置全体の大きさを減少させることができ、蒸着源の移送距離及び時間を減少させ、その結果、全体的に蒸着工程時間を減少させることができる。
【0018】
また、本発明に係る平板パネル製造装置によると、複数の工程チャンバーを一列に配置したとしても、工程チャンバーの間を直線状に往復移動できる移送ロボットを備えることによって、工程チャンバーの数量及び配置関係において工場内部の状況に応じて多様な構成を組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る平板パネル製造装置を概略的に示した平面図である。
【図2】図1の平板パネル製造装置の工程チャンバーの内部を示した側面図である。
【図3】図1の平板パネル製造装置の工程チャンバーの外部を示した図である。
【図4A】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図4B】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図4C】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図4D】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図4E】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図4F】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図4G】図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図である。
【図5】図1の平板パネル製造装置の工程チャンバーの他の例を概略的に示した図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る平板パネル製造装置を概略的に示した平面図である。
【図7】本発明の更に他の実施例に係る平板パネル製造装置を概略的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る平板パネル製造装置の各実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る平板パネル製造装置を概略的に示した平面図で、図2は、図1の平板パネル製造装置の工程チャンバーの内部を示した側面図で、図3は、図1の平板パネル製造装置の工程チャンバーの外部を示した図で、図4A〜図4Gは、図1の平板パネル製造装置で基板が処理されながら移送される過程を順次示した図で、図5は、図1の平板パネル製造装置の工程チャンバーの他の例を概略的に示した図である。
【0022】
図1〜図5を参照すると、本実施例の平板パネル製造装置100は、有機発光表示素子平板パネルに対して有機物薄膜の蒸着工程を行えるものであって、工程チャンバー110、移送チャンバー120と、ローディングチャンバー130及びアンローディングチャンバー140を含む。
【0023】
前記工程チャンバー110では基板10が処理され、工程チャンバー110には少なくとも二つの基板10が処理される内部空間が形成される。工程チャンバー110では、有機発光表示素子の製造に必要な有機物薄膜が基板10上に蒸着される。
【0024】
前記移送チャンバー120には複数の工程チャンバー110が結合され、前記移送チャンバー120は、第1の方向L1に沿って複数の工程チャンバー110の間に配置される。移送チャンバー120は、第1の方向L1に直交する第2の方向L2に沿って往復移動しながら未処理の基板10を工程チャンバー110に供給したり、処理された基板10を工程チャンバー110から排出する移送ロボット123を備える。移送チャンバー120の内部は真空状態に維持されることが望ましい。このような移送チャンバー120については後で説明することにする。
【0025】
前記ローディングチャンバー130は、移送チャンバー120の一側に結合され、移送チャンバー120に供給される未処理の基板10を収容する。ローディングチャンバー130の内部空間には多数の基板10が収容されているが、これら基板10は、後方の工程チャンバー110で行われる処理工程が行われていない未処理の基板10であり、ローディングチャンバー130で待機状態に置かれる。
【0026】
前記アンローディングチャンバー140は、移送チャンバー120の他側に結合され、移送チャンバー120から排出される処理が完了した基板10を収容する。アンローディングチャンバー140の内部空間にも多数の基板10が収容されているが、前方の工程チャンバー110で処理された後、後方の工程チャンバー110で行われる処理工程のためにアンローディングチャンバー140で待機状態に置かれる。
【0027】
本発明に係る平板パネル製造装置100の工程チャンバー110は、少なくとも二つ以上の基板10に対する処理を行う。また、工程チャンバー110は、少なくとも二つの基板10が第1の方向L1に供給及び排出されるように形成されたもので、第1の方向L1に直交する第2の方向L2に沿っていずれか一つの基板10に工程ガスが蒸着されると同時に、残りの基板10に対する移送及び位置整列が行われるように構成される。このために、工程チャンバー110には、基板10が出入り可能な大きさで貫通形成された少なくとも二つの開口部115が形成されている。
【0028】
図2及び図3を参照すると、このための工程チャンバー110は、本体部材111、各支持ユニット112、蒸着源113、駆動ユニット114及び制御部(図示せず)を含む。
【0029】
前記本体部材111には内部空間が形成される。内部空間は、第1の領域Aと、第1の領域Aと隣接した第2の領域Bとからなる。ここで、第1の領域Aと第2の領域Bは、本体部材111の内部空間を垂直に半分に分けたとき、それぞれの空間になり得る。このような本体部材111の一側面には、上述した少なくとも二つの開口部115を形成することができる。開口部115は、本体部材111の底面から同一の高さに互いに並んで位置させることができる。このような開口部115を介して移送チャンバー120への基板10の出入りが可能である。
【0030】
前記支持ユニット112は、本体部材111に移送された基板10を支持し、位置を整列する。ここで、一つの支持ユニット112は第1の領域A上に配置され、残りの一つの支持ユニット112は第2の領域B上に配置される。二つの支持ユニット112は、可能な限り密着し、第2の方向L2に沿って隣接するように配置されることが望ましい。これは、支持ユニット112が占める空間を最小化することによって工程チャンバー110の大きさを最小化し、後述する駆動ユニット114が駆動されるストロークを最小化することによって、駆動ユニット114が蒸着源113を第1の領域Aから第2の領域Bにより迅速に移動させるためである。
【0031】
各支持ユニット112の間に多くの余裕空間が形成されたり、蒸着源113が一定時間停止できる空間が形成される場合、余裕空間だけ工程チャンバー110が大きくなるので、製造費用が増加し、駆動ユニット114が蒸着源113を移動させるにおいて、余裕空間を通過する時間だけ基板10の処理が遅延されることによって、基板処理時間が増加し得る。しかし、本発明に係る平板パネル製造装置100の工程チャンバー110には、各支持ユニット112の間に余裕空間が存在しないので、蒸着源113が第1の領域Aと第2の領域Bとの間を迅速に移動し、工程ガスの蒸着作業を迅速に行うことができる。
【0032】
前記蒸着源113は、本体部材111の内部空間に配置され、基板10に工程ガスを噴射する。蒸着源113の一例としては線形蒸着源を挙げることができる。本実施例において、蒸着源113から噴射される工程ガスは、有機発光表示素子を製造する際に使用される有機物質である。
【0033】
図2を参考にすると単一の蒸着源113が本体部材111の内部空間に配置されたが、図5を参考にすると、工程チャンバー110'内には、複数の蒸着源113を第2の方向L2に沿って離隔するように配置することができる。それぞれの蒸着源113は、工程ガスを同時に噴射し、工程チャンバー110'内で噴射量を増加させることによって、蒸着工程に要される時間を短縮させることができる。
【0034】
また、工程チャンバー110'内で基板10に一つ以上の材料を同時に蒸着するために、それぞれの蒸着源113には一つ以上の材料をそれぞれ収容する一つ以上の蒸発源113aを含むことができる。蒸発源113aを通して噴射される各材料が混合されることによって工程ガスを構成する。
【0035】
前記駆動ユニット114は、蒸着源113を第2の方向L2に沿って直線状に往復させる。駆動ユニット114は、一例として、線形モーター及び直線運動ガイドで構成することができる。線形モーターは、蒸着源113を直線状に往復させる駆動力を提供し、駆動力を受けた蒸着源113は、直線運動ガイドによって第2の方向L2に沿って直線状に往復運動する。このような構成は、通常の技術者にとって自明であるので、これについての詳細な説明は省略する。
【0036】
前記制御部は、蒸着源113が第1の領域Aと第2の領域Bとの間を往復するように駆動ユニット114を制御する。制御部は、一つの基板10が蒸着源113によって第1の領域Aで処理された後、蒸着源113は停止せずに第2の領域Bに移動し、残りの基板10が蒸着源113によって第2の領域Bで処理された後、蒸着源113は停止せずに再び第1の領域Aに移動するように駆動ユニット114を制御することが望ましい。このような制御部によって蒸着源113が駆動ユニット114によって第1の領域Aと第2の領域Bを移動しながら、遅延時間なく二つの基板10を迅速に処理することができる。
【0037】
図1を参照すると、移送チャンバー120は、第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら基板10を移送する移送ロボット123を含み、移送ロボット123は、移動ユニット121及びロボットアーム122を含んで構成される。
【0038】
移動ユニット121は、第2の方向L2に沿って直線状に往復移動する。このような移動ユニット121は、ローディングチャンバー130とアンローディングチャンバー140との間で直線状に往復移動する。
【0039】
ロボットアーム122は、移動ユニット121の上部に回転可能に結合され、工程チャンバー110に基板10を第1の方向L1に供給したり、工程チャンバー110から第1の方向L1に基板10を排出する。ロボットアーム122の上側に基板10が載せられた状態でスライディング移動によって基板10を工程チャンバー110に供給したり、工程チャンバー110から排出する。このような構造からなる移送チャンバー120により、工程チャンバー110内で基板10の処理、供給及び排出を同時に行うことができる。
【0040】
移送ロボット123は、第2の方向L2に沿って直線状に往復移動しながら工程チャンバー110に基板10を順次供給又は排出する。工程チャンバー110の一つの開口部115を介して処理された基板10と未処理の基板10を移送し、第2の方向L2に沿って直線状に往復移動して移送チャンバー120内で位置を変更した後、他の開口部115を介して処理された基板10と未処理の基板10を移送する。すなわち、移送チャンバー120内で直線往復移動を繰り返しながら工程チャンバー110と基板10を交換する作業を行う。
【0041】
以下では、制御部と移送ロボット123を用いて基板10を処理する方法を説明する。
【0042】
第1の方法では、制御部は、蒸着源113を第1の領域Aの初期位置から第1の領域A内で第2の方向L2に沿って移動させながら一つの基板10を処理する過程と、蒸着源113を第2の領域Bに移動させ、第2の領域B内で第2の方向L2に沿って移動させながら残りの基板10を処理した後、再び第1の領域Aの初期位置に復帰する過程が繰り返して実行されるように駆動ユニット114を制御する。ここで、第1の領域Aの初期位置とは、第1の領域Aの基板10の蒸着を開始する位置であって、第1の領域Aで工程チャンバー110の側壁に隣接した位置を意味する。
【0043】
このとき、移送ロボット123は、第1の領域Aの基板及び第2の領域Bの基板が全て処理された後、第1の領域A及び第2の領域Bから処理が完了した基板10を排出し、第1の領域A及び第2の領域Bに新しい基板10を供給する。全ての基板10の処理が完了した後、処理された基板10の排出と新しい基板10の供給が順次行われる。
【0044】
第2の方法では、制御部は、蒸着源113を第2の方向L2に沿って第1の領域A及び第2の領域Bに順次移動させながら第1の領域Aの基板と第2の領域Bの基板を処理する過程と、再び蒸着源113を第2の方向L2に沿って第2の領域Bと第1の領域Aに順次移動させながら第2の領域Bの基板と第1の領域Aの基板を処理する過程が繰り返して実行されるように駆動ユニット114を制御する。
【0045】
このとき、移送ロボット123は、第1の領域Aの基板が処理された後、第2の領域Bの基板が処理される間、第1の領域Aから処理が完了した基板10を排出し、第1の領域Aに新しい基板10を供給し、第2の領域Bの基板が処理された後、第1の領域Aの基板が処理される間、第2の領域Bから処理が完了した基板10を排出し、第2の領域Bに新しい基板10を供給する。
【0046】
一つの基板10の処理が完了し、他の一つの基板10の処理が進められる間、新しい基板10の供給が行われるなど、基板の処理と移送が同時に行われることによって、従来の平板パネル製造装置に含まれた工程チャンバーより単位時間当たり多くの個数の基板を処理できるので、生産性を向上させることができる。
【0047】
前記のような構造からなる本発明に係る平板パネル製造装置100の動作過程を図1〜図5を参照して説明する。図4Aに示したように、工程チャンバー110の第1の領域Aで蒸着源113によって基板10bの処理が完了すると、図4Bに示したように、ローディングチャンバー130に位置した未処理の基板10aは、移送ロボット123によって工程チャンバー110に移送される。第1の領域Aで処理が完了した基板10bは、移送ロボット123によって搬出され、処理される基板10aは、第1の領域Aに位置した支持ユニット112に載せられる。支持ユニット112は、蒸着源113から噴射される工程ガスが基板10に均一に蒸着されるようにマスクと共に位置整列する。これと同時に、蒸着源113は、駆動ユニット114によって第2の領域Bに迅速に移送され、第2の領域B内で直線状に往復移動しながら基板10に蒸着される工程ガスを噴射する。そして、図4C及び図4Dに示したように、移送ロボット123は、搬出された基板10をアンローディングチャンバー140に移送する。
【0048】
そして、図4E〜図4Gに示したように、第2の領域Bで基板10bが処理されている間、移送ロボット123はローディングチャンバー130に移動して基板10aを第2の領域Bに移送し、第2の領域Bで処理が完了した基板10bは搬出し、処理される基板10aは第2の領域Bに供給する。すなわち、蒸着源113は、第1の領域Aと第2の領域Bを移動しながら継続して基板10aを処理し、ローディングチャンバー130に位置した基板10aは、移送ロボット123によって工程チャンバー110の第1の領域Aと第2の領域Bに交互に供給される。前記のような過程が繰り返されて実施される。
【0049】
一方、本実施例では、工程チャンバー110で処理された基板10をアンローディングチャンバー140に移送したが、一つの工程チャンバー110で処理された基板10を他の一つの工程チャンバー110に移送して処理した後、これをアンローディングチャンバー140に移送することもできる。
【0050】
すなわち、ローディングチャンバー130から移送チャンバー120を経て複数の工程チャンバー110のうち一つの工程チャンバー110(例えば、移送チャンバーの右側に位置する工程チャンバー)に基板10を供給し、一つの工程チャンバー110で処理が完了した基板10を一つの工程チャンバー110から排出し、移送チャンバー120を経て複数の工程チャンバー110のうち他の一つの工程チャンバー110(例えば、移送チャンバーの左側に位置する工程チャンバー)に供給し、他の一つの工程チャンバー110で処理が完了した基板10を他の一つの工程チャンバー110から排出し、移送チャンバー120を経てアンローディングチャンバー140に排出することもできる。
【0051】
上述したように構成された本実施例に係る平板パネル製造装置100において、蒸着源113は、第1の領域Aで基板10の処理が完了すると、遅延時間なく第2の領域Bに移動されて他の基板10を処理し、持続的に基板10を処理するので、工程時間を最小化することによって生産性を向上させることができる。
【0052】
また、上述したように構成された本実施例に係る平板パネル製造装置100は、二つの支持ユニット112の間の空間がほとんどないように配置し、二つの基板10を収容するとしても工程チャンバー110の大きさを最小化することによって、工程チャンバー110の製造費用を節減することができる。
【0053】
一方、図6を参照すると、本発明の他の実施例に係る平板パネル製造装置200において、工程チャンバー110は複数個であり、移送チャンバー120の側面に第2の方向L2に沿って離隔するように配置することができる。このような構造によって単位時間の間より多くの量の基板を処理できるので、図1に示した平板パネル製造装置100よりも生産性を向上させることができる。
【0054】
前記のように工程チャンバー110が複数個である場合、図7に示したように、移送チャンバー120は、二つの移送ロボット123を含むことができ、各移送ロボット123は、第1の方向L1に沿って互いに離隔するように配置され、第2の方向L2に沿って直線状に往復移動するように配置される。
【0055】
いずれか一つの移送ロボット123は、移送チャンバー120の一側に結合された各工程チャンバー110aに基板10を供給したり、各工程チャンバー110aから基板10を排出し、残りの一つの移送ロボット123は、移送チャンバー120の他側に結合された各工程チャンバー110bに基板10を供給したり、各工程チャンバー110bから基板10を排出する。このような構造により、工程チャンバー110で処理された基板10の排出速度のみならず、工程チャンバー110に基板10が供給される速度もより向上させることができる。
【0056】
本発明の権利範囲は、上述した実施例及び変形例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で多様な形態の実施例に具現することができる。特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しなく、当該発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能な多様な範囲まで本発明の特許請求の範囲の記載の範囲内にあると見なす。
【符号の説明】
【0057】
100:平板パネル製造装置、110:工程チャンバー、111:本体部材、112:支持ユニット、113:蒸着源、114:駆動ユニット、120:移送チャンバー、123:移送ロボット、130:ローディングチャンバー、140:アンローディングチャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの基板が処理される内部空間が形成された複数の工程チャンバー;
第1の方向に沿って前記複数の工程チャンバーの間に配置され、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら未処理の基板を前記工程チャンバーに供給したり、処理が完了した基板を前記工程チャンバーから排出する移送ロボットを備える移送チャンバー;
前記移送チャンバーの一側に結合され、前記移送チャンバーに供給される基板を収容するローディングチャンバー;及び
前記移送チャンバーの他側に結合され、前記移送チャンバーから排出された基板を収容するアンローディングチャンバー;を含み、
前記移送ロボットは、前記第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら前記工程チャンバーに基板を順次供給又は排出し、
前記工程チャンバーの内部では、前記第2の方向に沿っていずれか一つの基板に工程ガスが蒸着されると同時に、残りの基板に対する移送及び位置整列が行われることを特徴とする平板パネル製造装置。
【請求項2】
前記工程チャンバーは、
第1の領域と、前記第1の領域と隣接した第2の領域とからなる内部空間が形成され、一側が開口されて前記移送チャンバーと連通した本体部材;
前記本体部材に移送された基板を支持し、位置を整列するために前記第1の領域及び前記第2の領域にそれぞれ設置される支持ユニット;
前記本体部材の内部空間に配置され、基板に工程ガスを噴射する蒸着源;
前記蒸着源を前記第2の方向に沿って直線状に往復移動させる駆動ユニット;及び
前記蒸着源が前記第1の領域と前記第2の領域との間を往復するように前記駆動ユニットを制御する制御部;を含むことを特徴とする、請求項1に記載の平板パネル製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記蒸着源を前記第1の領域の初期位置から前記第1の領域内で前記第2の方向に沿って移動させながら一つの基板を処理する過程と、前記蒸着源を前記第2の領域に移動させ、前記第2の領域内で前記第2の方向に沿って移動させながら残りの基板を処理した後、前記第1の領域の初期位置に復帰する過程とが繰り返して実行されるように前記駆動ユニットを制御し、
前記移送ロボットは、
前記第1の領域の基板及び前記第2の領域の基板が全て処理された後、前記第1の領域及び前記第2の領域から処理が完了した基板を排出し、前記第1の領域及び前記第2の領域に新しい基板を供給することを特徴とする、請求項2に記載の平板パネル製造装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記蒸着源を前記第2の方向に沿って前記第1の領域及び前記第2の領域に順次移動させながら前記第1の領域の基板と前記第2の領域の基板を処理する過程と、再び前記蒸着源を前記第2の方向に沿って前記第2の領域と前記第1の領域に順次移動させながら前記第2の領域の基板と前記第1の領域の基板を処理する過程とが繰り返して実行されるように前記駆動ユニットを制御し、
前記移送ロボットは、
前記第1の領域の基板が処理された後、前記第2の領域の基板が処理される間、前記第1の領域から処理が完了した基板を排出し、前記第1の領域に新しい基板を供給し、前記第2の領域の基板が処理された後、前記第1の領域の基板が処理される間、前記第2の領域から処理が完了した基板を排出し、前記第2の領域に新しい基板を供給することを特徴とする、請求項2に記載の平板パネル製造装置。
【請求項5】
前記移送ロボットは、
前記第2の方向に沿って直線状に往復移動しながら前記ローディングチャンバーから前記移送チャンバーを経て前記複数の工程チャンバーのうち一つの工程チャンバーに基板を供給し、前記一つの工程チャンバーで処理が完了した基板を前記一つの工程チャンバーから排出し、前記移送チャンバーを経て複数の工程チャンバーのうち他の一つの工程チャンバーに供給し、前記他の一つの工程チャンバーで処理が完了した基板を前記他の一つの工程チャンバーから排出し、前記移送チャンバーを経て前記アンローディングチャンバーに排出することを特徴とする、請求項1に記載の平板パネル製造装置。
【請求項6】
前記蒸着源は、一つ以上の材料を同時に蒸着するために各材料に対応する一つ以上の蒸発源を含むことを特徴とする、請求項2に記載の平板パネル製造装置。
【請求項7】
前記蒸着源は、前記第2の方向に沿って複数個が離隔するように配置されることを特徴とする、請求項6に記載の平板パネル製造装置。
【請求項8】
前記複数の工程チャンバーは、前記第2の方向に沿って前記移送チャンバーの側面に離隔するように配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の平板パネル製造装置。
【請求項9】
前記移送チャンバーは二つの移送ロボットを含み、
前記各移送ロボットは、前記第1の方向に沿って離隔するように、そして、前記第2の方向に沿って直線状に往復移動するように配置されたことを特徴とする、請求項8に記載の平板パネル製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104131(P2013−104131A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237278(P2012−237278)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【出願人】(512096595)エスエヌユー精密股▲ふん▼有限公司 (4)
【Fターム(参考)】