説明

平板型ディスプレイ装置の冷却構造

【課題】 平板型ディスプレイ装置の効率的な冷却機構を実現する。
【解決手段】 平板型のプラズマディスプレイ部3の背面側に平板型ヒートパイプ1を配し、プラズマディスプレイ部3が備わる筐体6と平板型ヒートパイプ1とを熱的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマディスプレイ装置等の平板型のディスプレイ装置の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年はプラズマディスプレイ装置等の平板型のディスプレイ装置が広く使われてきている。例えば近年普及が著しい鉄道の自動改札機(自動券売機?)にも平板型のディスプレイ装置が使われることが多い。
【0003】このような平板型ディスプレイ装置には、旧来のテレビに使われているブラウン管とは異なり、平板型のディスプレイ部が用いられる。ディスプレイ部はその使用に際し発熱するが、過剰に高温になる場合、その性能や寿命を低下させるので冷却(放熱)の必要性が生ずる。加えて例えば鉄道の自動改札機に用いられるディスプレイ装置の場合、人がそのディスプレイ画面に触れることもあるので、画面が高温になり過ぎることは望ましくない、という事情もある。また近年は、カラーのプラズマディスプレイ装置が普及し、その発熱量も増大する傾向にあるので、冷却の必要性は一層増している。
【0004】その冷却機構としては、従来はそのディスプレイ部が備わる筐体内の空気を冷却する方法や、ディスプレイ部にアルミニウム製のヒートシンクを取り付け、そのヒートシンクを経て自然空冷によって冷却する場合が多かった。またディスプレイ部を駆動する回路基板等の冷却が必要な場合もあり、その場合も筐体内の空気を冷却する方法や、ヒートシンクを取り付け、そのヒートシンクを経て自然空冷によって冷却する場合が多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ディスプレイ部が備わる筐体内を冷却する方法は、筐体内の空間が狭くなると十分な冷却が難しくなることが多い。またディスプレイ部やそれの駆動基板等の発熱部にアルミニウム製のヒートシンクを取り付け、そのヒートシンクを経て自然空冷によって冷却する方法は有効であるが、全体の装置のサイズ的な制約のため、十分な冷却性能を実現させることが簡単ではない。
【0006】冷却性能を向上させるには、例えばヒートシンクに備わるフィンのサイズを大きくすることが有効である。しかし、平板型のディスプレイ装置の場合、特にそのディスプレイ画面に対する奥行き方向の長さを必要以上に大きくすることは好まれないため、ヒートシンクに備わるフィンのサイズを大きくしにくい。
【0007】そこで、平板型のディスプレイ装置の冷却構造として、スペース効率に優れた構造が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述の事情等を鑑み、省スペースで効率的なディスプレイ装置の冷却構造を実現することに努力を払った。その結果、以下の平板型ディスプレイ装置の冷却構造に至った。本発明の平板型ディスプレイ装置の冷却構造は、平板型のディスプレイ部の背面側に平板型ヒートパイプが配され、前記ディスプレイ部が備わる筐体と前記平板型ヒートパイプとが熱的に接続されているものである。また前記平板型ヒートパイプに第2の平板型ヒートパイプを熱的に接続し、ディスプレイ部を駆動するディスプレイドライバ回路基板と前記第2の平板型ヒートパイプとを熱的に接続する場合もある。
【0009】更に、前記平板型ヒートパイプまたは前記第2の平板型ヒートパイプに放熱フィンが取り付けられていると良い。前記放熱フィンを空冷するファン機構を備えていても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】図1、2を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。図1は例えば電車の駅に設置される自動改札機を想定した平板型ディスプレイ装置を示す説明図である。図の点線は自動改札機の筐体を示す。図2はその要部の側面図である。平板型のディスプレイ部であるプラズマディスプレイ部3は自動改札機の筐体6の所定の窓(図2の左右の筐体壁60の間)から外(図2の上方)に画面が表示されるように配置されている。このプラズマディスプレイ部3の下部にはそれを駆動するディスプレイドライバ回路基板5が取り付けられている。
【0011】プラズマディスプレイ部3はその作動に際し発熱する。その発熱量が大きくなり過ぎると、プラズマディスプレイ部3の性能の低下や、その寿命の短縮が著しくなることもある。そこで本発明においては、プラズマディスプレイ部3を冷却するために平板型ヒートパイプ1を取り付ける。プラズマディスプレイ部3と平板型ヒートパイプ1とは、直接或いは伝熱体を介して接触させておくか、或いは接合しておく。この平板型ヒートパイプ1は筐体6と熱的に接続させておく。
【0012】また図1の例ではディスプレイドライバ回路基板5を冷却する意図で、第2の平板型ヒートパイプ2を平板型ヒートパイプ1に並行して設けている。ディスプレイドライバ回路基板5と第2の平板型ヒートパイプ2とは、直接或いは伝熱体を介して接触させておくか、或いは接合しておく。この例では、第2の平板型ヒートパイプ2にはフィン40を左右の2ヵ所に取り付けておく。平板型ヒートパイプ1と第2の平板型ヒートパイプ2とは、フィン40が取り付けられた位置に相当する位置で熱的に接続しておく。これらは、十分に熱抵抗が小さくなるように接触(介在物があっても構わない)させておくか、或いは半田付け等にてこれらを接合しておけば良い。尚、この例では図の上方から改札を通過する人々が画面を見ることになる。従って平板型ヒートパイプ1と第2の平板型ヒートパイプ2、およびディスプレイドライバ回路基板5はプラズマディスプレイ部3の下方に設置することになる。
【0013】ところで、一般にヒートパイプと呼称されるものについて簡単に記しておく。通常、ヒートパイプでは下述のような作動により熱の移動がなされる。即ち、ヒートパイプはその内部に空洞を有し、その空洞内には作動流体が所定量収容されている。そしてその作動流体の蒸発や凝縮(相変態)とその移動等によって熱の輸送が行われるものである。もちろん、ヒートパイプを構成する容器(コンテナ)の材質中を熱伝導することで運ばれる熱もあるが、ヒートパイプは主に作動流体による熱移動作用を意図した熱移動装置である。
【0014】ヒートパイプにて放熱を行う場合、典型的にはヒートパイプの一部に冷却すべき対象物を取り付け、他の一部に放熱用のフィンを取り付ける。こうすることでヒートパイプは冷却すべき対象物の熱を受け、その熱がヒートパイプの他の一部に運ばれ、そこで放熱用のフィンから熱が外部に放出される。このような作動を繰り返して対象物の冷却がなされる。尚、その熱を受ける部分をヒートパイプの吸熱部、熱を放出する部分をヒートパイプの放熱部と本明細書では呼ぶことにする。図1の例では、プラズマディスプレイ部3が位置する部分が平板型ヒートパイプ1の吸熱部、フィン40、41が取り付けられた部分に相当する位置が吸熱部に相当する。
【0015】ヒートパイプ内の作動流体としては通常、水や水溶液、アルコール、その他有機溶剤等が使用される。前述したようにヒートパイプは内部の作動流体の相変態等の作用を利用するものであるから、密封された内部に作動流体以外のガス等の混入をなるべく避けるように製造されることになる。このような混入物は通常、製造途中に混入する大気(空気)や作動流体中に溶存している炭酸ガス等である。
【0016】ヒートパイプの形状としては、代表的なものは丸型のパイプ形状のものである。しかし近年は、特にパワーエレクトロニクス関連の電子部品の冷却に好適な冷却装置として、平板型のヒートパイプの適用が有力視されてきている。平板型のヒートパイプは、平面形状のヒートパイプとか、フラットヒートパイプとかと呼称されたりするが、本明細書においては平板型ヒートパイプとの呼称を用いることにする。
【0017】さて図1、2に示される平板型ヒートパイプ1や第2の平板型ヒートパイプ2でも、上述したような作動により、熱の移動がなされる。図1、2の例では、プラズマディスプレイ部3の熱は概ね平板型ヒートパイプ1に伝わり拡散する。次いでその熱の一部が筐体壁60へ伝わり、更に外部に放出される。この例では、第2の平板型ヒートパイプ2にフィン40を取り付けているので、平板型ヒートパイプ1に拡散した熱の一部は、第2の平板型ヒートパイプ2に伝わり、更にその左右に取り付けられている放熱用のフィン40を経て外部に放出されるので、冷却効果が一層高いものになる。
【0018】尚、この例では放熱用のフィン40は第2の平板型ヒートパイプ2に取り付けられているが、平板型ヒートパイプ1に直接取り付けても構わない。また、フィン40は図1の如く左右2ヵ所に取り付ける必要もない。図3に示す例のように、片方だけにフィン41を取り付けても良い。しかし図1のようにフィン40を両側に取り付けることで、プラズマディスプレイ部3のより効率的な冷却と、より均等な冷却を実現させることができる。
【0019】また、図1のように2ヵ所にフィン40を配置するレイアウトを採用すれば、図1の上下方向の厚さをあまり大きくせず、サイズ的にも効率的な冷却機構が実現していることが判る。
【0020】図4は、例えば自動販売機等を想定し、平板型のディスプレイ部31が縦に配置された平板型ディスプレイ装置の要部を示す説明図である。この図4の場合も、図1の例と同様に、第2の平板型ヒートパイプ21の左右2ヵ所にフィン42を取り付けている。
【0021】図5は、更に空冷用のファンを設けた場合の例を示す説明図である。この図に示されるように、フィン43にファン機構70を設けておけば、強制空冷式によってフィン43から熱がより効率的に外部に放出される。この図5の例では、左右のフィン43に各々ファン機構70を設けているが、左右2箇所のフィン43の両方に送風するようなファン機構を採用しても良いし、場合によっては左右のフィン43の片方にだけファン機構70を設置しても構わない。
【0022】上述に例を示した本発明の平板型ディスプレイ装置の冷却構造は、平板型のディスプレイ部を効率的に冷却することが可能であり、またスペース的にも優れた冷却機構が実現しているので、サイズ的にも優れた平板型ディスプレイ装置となる。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の平板型ディスプレイ装置の冷却構造は、スペース的にも優れた効率的な冷却機構である。効率的な冷却が実現することで、ディスプレイ装置の寿命増大等が期待される。またスペース的に優れた冷却構造であるので、サイズ的にも優れた平板型ディスプレイ装置の実現にも寄与している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる平板型ディスプレイ装置の冷却構造の一例を示す説明図である。
【図2】図1の平板型ディスプレイ装置の冷却構造の要部を示す説明図である。
【図3】本発明に係わる平板型ディスプレイ装置の冷却構造の他の例の要部を示す説明図である。
【図4】本発明に係わる平板型ディスプレイ装置の冷却構造の他の例の要部を示す説明図である。
【図5】本発明に係わる平板型ディスプレイ装置のの冷却構造の他の例の要部を示す説明図である。
【符号の説明】
1 平板型ヒートパイプ
2 第2の平板型ヒートパイプ
10 平板型ヒートパイプ
20 第2の平板型ヒートパイプ
11 平板型ヒートパイプ
21 平板型ヒートパイプ
12 平板型ヒートパイプ
22 第2の平板型ヒートパイプ
3 プラズマディスプレイ部
30 プラズマディスプレイ部
31 プラズマディスプレイ部
32 プラズマディスプレイ部
40 フィン
41 フィン
42 フィン
43 フィン
5 ディスプレイドライバ回路基板
50 ディスプレイドライバ回路基板
51 ディスプレイドライバ回路基板
52 ディスプレイドライバ回路基板
6 筐体
60 筐体壁
61 筐体壁
62 筐体壁
70 ファン機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】 平板型のディスプレイ部の背面側に平板型ヒートパイプが配され、前記ディスプレイ部が備わる筐体と前記平板型ヒートパイプとが熱的に接続されている、平板型ディスプレイ装置の冷却構造。
【請求項2】 前記平板型ヒートパイプには第2の平板型ヒートパイプが熱的に接続されており、前記ディスプレイ部を駆動するディスプレイドライバ回路基板が前記第2の平板型ヒートパイプに熱的に接続されている、請求項1記載の平板型ディスプレイ装置の冷却構造。
【請求項3】 前記平板型ヒートパイプまたは前記第2の平板型ヒートパイプに放熱フィンが取り付けられている、請求項1または2記載の平板型ディスプレイ装置の冷却構造。
【請求項4】 前記放熱フィンを空冷するファン機構が備わる請求項1〜3の何れかに記載の平板型ディスプレイ装置の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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