説明

平板型表示素子及びその製造方法

【課題】 電気抵抗が小さく、かつ、温度上昇が抑えられた平板型表示素子を提供する。
【解決手段】 平板型表示素子は、同一平面上に配された複数の下電極20と、同一平面上に配された複数の上電極6と、複数の下電極20と複数の上電極6との間に配された発光層4とを少なくとも備える。隣り合う下電極20間にそれぞれ絶縁層27が設けられており、下電極20と絶縁層27とが交互に配設されて下電極基板2を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置等に使用される平板型表示素子とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイデバイスとして平面型のディスプレイが注目されており、一例としてプラズマディスプレイが実用化されている。プラズマディスプレイは大型化が容易であること、高い輝度が得られること、視野角が広いことなどから注目されている。しかし、ディスプレイの構造が複雑であり、その製造工程も複雑であるため、改良が進んではいるものの現時点ではまだ高価である。
【0003】
また、エレクトロルミネッセンス(EL)現象を利用するディスプレイも提案されている。発光材料に無機物を使ったELディスプレイは、無機EL素子と呼ばれている。その無機EL素子では、無機蛍光体に電極を配置し、電圧印加により加速された電子が蛍光体発光層に注入され、蛍光体発光層中の発光中心となる原子又はイオンが励起され、それが元の基底状態に戻る際に発光する。蛍光体発光層はスパッタなどの気相堆積法により形成され、その上下に誘電体層が設けられて蛍光体発光層は電気的に絶縁される。このように無機EL素子は、上下電極間に蛍光体発光層を挟み、前記蛍光体発光層に電界をかけることにより発光する原理を利用して、文字や画像(以下「画像等」という。)を表示する。単一光表示はもちろん可能であるが、単一光を色変換層により色変換してフルカラー表示することもできる。
【0004】
下電極(背面電極)の形成方法としては、従来、アルミナ等のセラミックス基板の上にAg/Ptペーストをスクリーン印刷して乾燥及び焼成して形成する提案(特許文献1参照)や、厚み1〜2μmのITOをガラス基板に埋め込んで形成する提案(特許文献2参照)がある。
【特許文献1】米国特許第5,756,147号明細書
【特許文献2】特公昭58−154107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラー陰極線管の蛍光体ストライプと同様に画面縦方向に延在するストライプ構造を有する色変換層を採用した場合、赤、緑、青の3原色が画面横方向へ並べられることから、上電極よりも下電極の方が電極幅を狭く、およそ上電極の1/3に設計する必要がある。
【0006】
そのため、特に下電極の電気抵抗が問題となる。とりわけ、表示パネルの大型化に伴い電極長が増大するために、下電極の電気抵抗が一層増大し電極配線部におけるエネルギーロスが無視できず発熱の問題が発生する。
【0007】
下電極の低抵抗化を図る手段としては、電極幅を広くする方法や電極の厚みを厚くする方法などがある。しかしながら、前者は表示の解像度を低下させるので高解像度を要求される表示パネルには適用できない。また、後者は、電極の厚さに応じて凹凸が形成されるので、その上に形成する層に変形を与える。すなわち、多数のストライプ状の電極を平行に配置する場合、電極のある部分はその厚み分だけ凸状になり、電極のない部分は凹状になる。この凹凸模様はこの上に積層される層に転写され、蛍光体発光層の均一性にも影響を与える場合がある。より具体的には、多数のストライプ状の下電極が形成された基板表面の凹凸の高低差が大きくなると、その上に形成される誘電体層や蛍光体発光層の厚みが、下電極の側端上の部分において薄くなり、その薄くなった部分で絶縁破壊を生じるといった問題がある。
【0008】
その対策として、特許文献1では、下電極の厚みよりも誘電体層の厚みを厚くして、具体的には誘電体層の厚みを30〜100μmにしてその上に平滑層を設けている。また、特許文献2では基板に下電極を埋め込むことにより表面の凹凸を解消している。
【0009】
しかし、いずれも幅寸法以上に厚みの厚い下電極を形成することはできず、下電極の厚みの上限はおよそ9μmであった。従って、下電極の低抵抗化は不十分であった。
【0010】
さらに、電界エネルギーが光エネルギーへ変換される際のエネルギー変換ロスによって、蛍光体発光層が発熱する問題がある。無機EL素子は、水の進入を防止するため、ガラスなどによって封止され、外部から密閉されているので、電極や蛍光体発光層などパネル内部で発生した熱の多くが蓄積されやすい。その結果として、エネルギー変換ロスはパネル内部や、前面パネルの温度を上昇させ、使用者に不快感を与えるだけでなく、漏洩電流を増加させることから信頼性の低下や消費電力が増大する問題がある。
【0011】
さらに、画面サイズの拡大に伴う課題として、アルミナまたはガラス基板のそり、きず、割れ、たわみや、熱工程での割れに伴う製造歩留まりロスの問題がある。また、大型のアルミナまたはガラス基板上にスクリーン印刷、スパッタ、蒸着などによる成膜工程は、製造設備の大型化が不可欠となり設備投資額が増大する問題がある。また、蛍光体発光層は一般にスパッタもしくは電子ビーム蒸着によって成膜されるが、膜厚や膜質の均一化に課題があって、大画面になるほどディスプレイの画面中央部と周辺部とで輝度差が顕著になるという問題がある。
【0012】
本発明は、電気抵抗が小さく、かつ、温度上昇が抑えられた平板型表示素子とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の平板型表示素子は、同一平面上に配された複数の下電極と、同一平面上に配された複数の上電極と、前記複数の下電極と前記複数の上電極との間に配された発光層とを少なくとも備える。そして、隣り合う前記下電極間にそれぞれ絶縁層が設けられており、前記下電極と前記絶縁層とが交互に配設されて下電極基板を構成していることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の平板型表示素子の製造方法は、同一平面上に配された複数の下電極と、同一平面上に配された複数の上電極と、前記複数の下電極と前記複数の上電極との間に配された発光層とを少なくとも備えた平板型表示素子の製造方法であって、前記下電極を形成するための帯状の導電性材料と絶縁性材料とを交互に積層する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気抵抗が小さく、かつ、温度上昇が抑えられた平板型表示素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発光層として蛍光体発光層を備えたエレクトルミネッセンス素子(以下、「EL素子」という)を例に説明する。
【0017】
本発明のEL素子は、同一平面上に配された複数の下電極を備える下電極基板と、蛍光体発光層(以下、単に「発光層」という)と、同一平面上に配された複数の上電極とを少なくとも備える。これら以外の構成要素を備えていても良く、例えば、図1に示すように、EL素子は、下から上に、封止層1、下電極基板2、誘電体層3、発光層4、上側絶縁層5、上電極6、透明封止層7が、この順に積層されていても良い。図2はこのEL素子の概略斜視図である。以下の説明の便宜のために、図1に示すように、発光層4の発光面の法線方向をZ軸、Z軸と直交し略矩形状の発光層4の長辺と平行な軸をX軸、Z軸と直交し略矩形状の発光層4の短辺と平行な軸をY軸とするXYZ直交座標系を設定する。Z軸方向をEL素子の厚み方向と呼び、Z軸方向において封止層1側を背面側と呼ぶ。
【0018】
下電極基板2は、X軸方向を長辺方向とする略矩形状の平板形状であり、XY平面と平行な面上においてX軸方向に交互に密着して配設された下電極20と絶縁層27とを備える。図3は、下電極基板2の基本構成単位を示した分解斜視図である。下電極20及び絶縁層27は、いずれも略帯状であり、その長手方向をY軸方向にして配置される。このような下電極基板2により以下の効果が得られる。
【0019】
第1に、下電極20のZ軸方向の寸法(厚さ)TEを容易に大きくすることができる。従って、解像度を低下させることなく、下電極20の電気抵抗を小さくすることができ、下電極20の発熱を抑制できる。
【0020】
第2に、下電極20の材料を適切に選択することにより、その熱伝導性能を向上できる。しかも、下電極20は下電極基板2の表裏間に延びている。従って、発光層4で発生した熱を下電極20を介して背面(封止層1側の面)から放出できるので、EL素子の動作中における温度上昇を抑制できる。更に、これにより、電極間に流れる漏れ電流の増加を防止できるので、低消費電力化を実現でき、また、絶縁耐力が向上することにより信頼性が向上する。
【0021】
第3に、下電極20の発光層4側端と絶縁層27の発光層4側端とが略同一面を構成するので、下電極基板2の発光層4側の面には凹凸がほとんど形成されない。従って、従来のEL素子において問題になっていた、下電極の上に形成される誘電体層3や発光層4の厚みが、下電極の側端上の部分において薄くなり、その部分で絶縁破壊を生じるという問題も発生しない。
【0022】
第4に、隣り合う下電極20間の絶縁が、その間の絶縁層27により確実に確保されるので、歩留まりがよく、誤動作の少ないEL素子を実現できる。
【0023】
第5に、下電極20のZ軸方向の寸法TEを容易に大きくすることができるので、下電極20が断線する可能性を低減できる。従って、下電極20の断線による線状の映像欠陥の発生を防止できる。
【0024】
図3に示すように、下電極20のZ軸方向の寸法(下電極20が後述する下電極端子21を備える場合は、これを除いた寸法)をTE、X軸方向の寸法(幅)をWEとすると、TE>WEを満足することが好ましい。これにより、下電極20のXZ断面の面積を容易に拡大できるので、下電極20の低抵抗化が可能になり、発熱を抑制できる。同時に、高解像度化も可能である。下電極20のZ軸方向の寸法TEは、下電極基板2のZ軸方向の寸法(厚さ)とほぼ一致する。なお、図3において、下電極20、絶縁層27、及び上電極6以外のEL素子の構成要素の図示は省略している。
【0025】
下電極20の幅WEはEL素子の解像度設計で決定され、例えば画面サイズが7インチのQVGA表示を行うEL素子であれば0.1mmである。
【0026】
下電極20は、導電性を有する金属板又は金属粉体焼結体を用いて構成することができる。特に、下電極20は金属板からなることが好ましい。下電極20が金属板であると、誘電体層3を積層する前に、誘電体層3を積層する面を研磨することでこの面の平滑性を容易に高めることができる。誘電体層3が形成される下地表面の平滑性が高いと、より薄い膜でも絶縁性を確保でき、静電容量の大きな誘電体層3を形成することができる。その結果、駆動電圧を低減でき、消費電力が小さくなる。また駆動回路をより安価に作製できる。
【0027】
下電極20の材料として、銅、銅合金、鉄ニッケル合金、又は、Cr23膜を有する鉄合金を用いることができる。銅及び銅合金は、下電極20の電気伝導性と熱伝導性とを向上させることができる。この結果、EL素子の温度上昇を低減できる。鉄ニッケル合金は、絶縁層27と熱膨張係数差が小さいので、下電極20と絶縁層27との良好な密着性を確保でき、EL素子の信頼性が向上する。Cr23膜を有する鉄合金は、絶縁層27に含まれるガラス成分との接合強度が強いので、下電極20と絶縁層27との良好な密着性を確保でき、EL素子の信頼性が向上する。
【0028】
下電極20への駆動電圧の印加は、例えば図2において下電極基板2のY軸方向の端から行うことができる。しかしながら、下電極20の上電極6とは反対側の端縁に下電極端子21(後述する図4参照)を設け、これを介して駆動電圧を印加することが好ましい。これにより、EL素子の画面寸法にかかわらず、配線長さを短縮化することができるので、電気抵抗を小さくすることができる。また、下電極端子21を利用して背面から放熱することができるので、熱伝導性が向上し、EL素子の温度上昇を抑制できる。
【0029】
この下電極端子21は、一体成形により下電極20に設けられていることが好ましい。例えば、金属板を用いて下電極20を作製する場合、下電極端子21を含めた形状に金属板を打ち抜き成形することにより作製することができる。これにより、下電極端子21の形成を効率よく行うことができる。
【0030】
この下電極端子21を介してEL素子はプリント回路基板に実装されていることが好ましい。即ち、プリント回路基板上にEL素子の背面を対向させて、下電極端子21をプリント回路基板上の配線パターンにハンダなどで接続する。これにより、配線長を短縮化することができる。また、下電極端子21及びプリント回路基板を介してEL素子の熱を背面から放熱することができる。
【0031】
絶縁層27の材料は、特に限定はないが、例えばガラスセラミックを用いることができる。これにより、焼成温度を1000℃以下にすることができる。その結果、EL素子を、その背面側にてプリント回路基板に実装する場合に、プリント回路基板の配線パターンを形成する材料として、汎用されている銅(融点1084℃)を使用することが可能になる。
【0032】
絶縁層27の材料として用いられる上記ガラスセラミックは、アルミナ粉とホウ珪酸ガラスとの混合物を含むことが好ましい。これにより、発光層4の焼成温度(例えば700〜800℃)で絶縁層27が軟化しないので、下電極基板2の歪み発生を防止できる。
【0033】
あるいは、絶縁層27の材料として用いられるガラスセラミックは、比誘電率が高い物質(例えばチタン酸バリウム)と、ホウ珪酸ガラスとの混合物を含んでいても良い。これにより、比誘電率が高い物質が誘電体層3を焼成する際に種結晶として作用して、誘電体層3の結晶を大きく成長させ、高誘電率の誘電体層3を形成することができる。
【0034】
絶縁層27の上電極6側の面が黒色であることが好ましい。下電極基板2上に積層される発光層4などの膜が薄い場合、外光が反射して表示画像のコントラストを低下させる。絶縁層27の上電極6側の面、即ち、発光層4の非発光領域に対応する部分を黒色にすることにより、外光反射を低減して表示画像のコントラストを向上できる。絶縁層27の側面を黒色にするためには、例えば、Mnが添加されたチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む材料を絶縁層27中に混入させるか、又はその側面に塗布することにより可能である。
【0035】
図2に示すように、下電極基板2の下電極20と絶縁層27との交互配設方向(X軸方向)の一端又は両端にガラスセラミック層28を設けても良い。この場合、このガラスセラミック層28上に上電極6と電気的に導通する上電極端子61を形成することが好ましい。これにより、この上電極端子61を介して上電極6に駆動電圧を印加することができるので、配線が容易になる。このような上電極端子61は、例えば、スパッタ法などにより上電極6を形成する場合に、ガラスセラミック層28上にも上電極6を延長して設けることにより容易に形成できる。なお、ガラスセラミック層28は、絶縁層27と同じ材料を用いて同様の手法で形成することができる。
【0036】
以上のような下電極基板2は、下電極20を形成するための帯状の導電性材料と絶縁層27を形成するための帯状の絶縁性材料とを交互に積層する工程を経て製造できる。得られた交互積層物を、必要に応じて焼成しても良い。このとき、積層方向(X軸方向)に加圧しながら焼成すると、下電極20と絶縁層27との密着性が向上するので好ましい。
【0037】
このような製造方法を採ることにより、一般に下電極のパターン形成方法として行われている、スパッタ法で導電膜を形成した後にフォトリソグラフィー法でパターンニングする一連の工程が不要となる。
【0038】
下電極基板2は、必要な全ての導電性材料と絶縁性材料とを一度に交互に積層して作製しても良いが、例えば図4(A)〜図4(C)に示す工程を経て作製しても良い。即ち、図4(A)に示すように、赤、緑、青の各色に対応した3枚の導電性材料片20aと3枚の絶縁性材料片27aとを交互に積層して、図4(B)に示すようなピース81を得る。次いで、複数のピース81を積層して図4(C)に示すようなブロック82を得る。その後、複数のブロック82を一平面上に配置し接合する。
【0039】
このとき、導電性材料片20aに、下電極端子21を一体に形成しておいてもよい。例えば、導電性材料片20aが金属板からなる場合、下電極端子21を一体に打ち抜き加工しておいてもよい。
【0040】
複数のブロック82の配置方法としては、例えば図5(A)に示すようにブロック82をX軸方向に並べることができる。もちろん、X軸方向及びY軸方向の2方向に碁盤目状に並べても良い。あるいは、図5(B)に示すように、Y軸方向に沿った複数のブロック82の位置をずらしながらX軸方向に並べることもできる。この場合、Y軸方向の両側端にはみ出したブロック82を切断線A−Aに沿って切り落とす。
【0041】
このように、ピース81及びブロック82を作製することにより、画面寸法が異なるEL素子であっても、同一寸法のピース81及びブロック82を用いて、使用個数及び配置を変更するだけで容易に作製できる。また、画面寸法が大きなEL素子を作製する場合であっても、導電性材料片20a及び絶縁性材料片27aの長さを長くする必要がないので、これらの積層工程が容易になり、生産性が向上する。
【0042】
図4(B)に示すように、ピース81は、積層方向(X軸方向)に沿った第1貫通孔81aを有しても良い。位置規制棒(図示せず)を第1貫通孔81aに挿入して複数のピース81の相対位置を規制しながら、複数のピース81を積層することにより、積層精度の良好なブロック82を作製することができる。
【0043】
同様に、図4(C)に示すように、ブロック82は、積層方向(X軸方向)に沿った第2貫通孔82aを有しても良い。位置規制棒(図示せず)を第2貫通孔82aに挿入して複数のブロック82の相対位置を規制しながら、複数のブロック82を配置し接合することにより、積層精度の良好な下電極基板2を作製することができる。
【0044】
このように第1及び第2貫通孔81a,82aを利用して積層すると、側面の凹凸を小さくすることができるので、この上に形成される層(例えば誘電体層3)の厚みの均一性を確保しやすい。
【0045】
第1及び第2貫通孔81a,82aは、図4(A)に示すように、導電性材料片20a及び絶縁性材料片27aに予め貫通孔20b,27bを形成しておくことで形成しても良いし、ピース81及びブロック82を作製した後に形成しても良い。
【0046】
なお、上記の説明では、ブロック82を、予め作製した複数のピース81を積層することにより作製したが、ピース81を予め作製することなく、複数の導電性材料片20aと複数の絶縁性材料片27aとを交互に積層してブロック82を作製することも可能である。
【0047】
前記ブロック82(及び/又は前記ピース81)を作成する場合において、焼成工程は、ブロック82(及び/又はピース81)の状態で行ってもよいし、複数のブロック82(及び/又は複数のピース81)を一平面上に配置し接合した後に行ってもよい。いずれの場合においても、導電性材料と絶縁性材料との交互積層物を焼成した後、積層方法と略平行な側面、即ち誘電体層3が形成される側の面を研磨し、研磨した面に誘電体層3を形成することが好ましい。これにより誘電体層3が形成される面の平滑性を向上させることができるので、薄く且つ絶縁性の良好な誘電体層3を形成できる。
【0048】
前記ブロック82(又は前記ピース81)の下電極端子21が形成された面と反対側の面(発光層4と対向することになる面)に、誘電体層3、発光層4、及び上側絶縁層5を形成した後に、前記ブロック82(又は前記ピース81)を一平面上に配置して接合し、その後、上側絶縁層5上に上電極6、透明封止層7を積層しても良い。この製造方法によれば、以下の効果が得られる。
【0049】
第1に、誘電体層3、発光層4、及び上側絶縁層5を、大面積の下電極基板2ではなく、小面積のブロック82(又は前記ピース81)に成膜すればよいので、膜厚や膜質の均一化が容易に達成できる。したがって、従来技術で課題であった、表示画面の中央部と周辺部との輝度差が解決できる。
【0050】
第2に、成膜設備や搬送設備などの製造設備をEL素子の表示画面の大きさに合わせて個別に製作する必要がないので、設備投資額を小さくできる。
【0051】
第3に、従来技術ではディスプレイが大型化するほど、自重によって基板がたわみ、画像に歪みが生じる問題があった。これに対して、本発明では、下電極基板2は金属とセラミックとが交互積層された構造であり、積層された面に対して直交する面は機械強度が高い。この機械強度の高い面に発光層が積層されるため、被積層面が小面積化されることと相俟って自重によるたわみの問題が発生しない。
【0052】
あるいは、ピース81又はブロック82を焼成した後、EL素子に必要な数のピース81又はブロック82を一平面上に配置し接合し、次いで、下電極端子21が形成された面と反対側の面(発光層4と対向することになる面)に、誘電体層3、発光層4、上側絶縁層5、上電極6、透明封止層7等、必要な層を積層しても良い。これにより、一度に大面積に効率よく成膜できる。
【0053】
図6(A)は、本発明の別の実施形態に係るEL素子の下電極基板を構成する下電極20及び絶縁層27と上電極6とを示した分解斜視図、図6(B)は、図6(A)の矢印6Bから見た下電極及6び上電極6の相対的位置関係を示した拡大側面図である。図6(A)及び図6(B)において、下電極20、絶縁層27、及び上電極6以外のEL素子の構成要素の図示は省略している。本実施形態では、上電極6の側端6aに対向する下電極20の部分に凹部22が設けられている。
【0054】
上電極6と下電極20との間に配される発光層4などが薄い場合、上電極6の側端6aには、いわゆるエッジ効果により電界9が集中しやすい。従って、側端6aと下電極20との間に漏洩電流が流れる可能性がある。ところが、下電極20に凹部22が設けられると、側端6aと下電極20との間の距離が拡大し、電界9が緩和されるので、漏洩電流を低減することができる。
【0055】
凹部22の深さ(Z軸方向寸法)Dは、下電極2の同方向の寸法TEの1/2以下であることが好ましい。下電極基板2の機械的強度を確保するためである。
【0056】
この凹部22には、図6(B)に示すように、絶縁物25が埋められていることが好ましい。これにより、下電極20の発光層4側の面、即ち誘電体層3が形成される面の平滑性を向上させることができるので、薄く且つ絶縁性の良好な誘電体層3を形成できる。
【0057】
絶縁物25の材料としては特に限定はなく、例えばセラミック及びガラスの混合物を用いることができる。セラミック及びガラスの混合物を用いると、含有されるセラミックの粉末が誘電体層3を焼成する際に種結晶として作用して、誘電体層3の結晶を大きく成長させ、高誘電率の誘電体層3を形成することができる。特に、絶縁物25の材料が、結晶構造がプロヴスカイト型である酸化物強誘電体物質を含むと、この効果が大きくなるので好ましい。
【0058】
絶縁物25の上電極6側の面が黒色であることが好ましい。これにより、絶縁層27の上電極6側の面を黒色にするのと同じ理由により、外光反射を低減して表示画像のコントラストを向上できる。絶縁物25の上電極6側の面を黒色にするためには、例えば、絶縁物25中に、Mnが添加されたチタン酸バリウム(BaTiO3)を混入させることにより可能である。
【0059】
図7に示すように、下電極20と絶縁層27との交互配設方向(X軸方向)と直交する下電極20の面に孔23が設けられていても良い。これにより以下の効果が得られる。第1に、下電極20の柔軟性を高めて、修正困難な下電極基板2の反りの発生を防止できる。第2に、下電極20を軽量化でき、EL素子の軽量化が可能になる。第3に、孔23内に絶縁層27の材料が侵入することにより、下電極20と絶縁層27との固着強度を向上させることができる。孔23に代えて非貫通の窪みであっても上記の効果は得られるが、下電極20を貫通する貫通孔であると、下電極20を挟む両側の絶縁層27が孔23を介して接続されるので、下電極20と絶縁層27との固着強度が更に向上する。
【0060】
図3及び図6では絶縁層27のZ軸方向の寸法は、下電極20のZ軸方向の寸法TEとほぼ同じとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図8(A)及び図8(B)に示すように、絶縁層27のZ軸方向の寸法TIは、下電極20のZ軸方向の寸法TEより小さくても良い。このような細幅のストライプ状の絶縁層27を下電極20のZ軸方向の両端縁に沿って配置しても良い。これにより、絶縁層27の材料の使用量を少なくすることにより、コスト及び重量を低減することができる。
【0061】
下電極基板2と発光層4との間に誘電体層3を設けても良い。発光層4を効率よく発光させるためである。
【0062】
誘電体層3の材料として、プロヴスカイト型結晶構造の強誘電体を使用することが好ましい。例えば、BaTiO3,SrTiO3,BaTa26,PbNbO3,PbTiO3,KNbO3,NaNbO3,PbZrO3等を使用できる。中でも、鉛などの環境負荷物質を含まないBaTiO3や、Zrを少量添加したBaZr(x)Ti(1-x)3,0.05≦x≦0.3が好ましい。これにガラスバインダーを添加すると焼成温度を低減できるので好ましい。ガラスバインダーを添加しない場合の焼成温度は1300℃、ガラスバインダーを添加した場合には900℃以下にすることができる。PbNbO3やPbTiO3を用いれば、焼成温度をより低くすることができる。
【0063】
誘電体層3の厚さは、5μm以上300μm以下の範囲であることが好ましい。例えば5μm程度に設定することができる。
【0064】
誘電体層3は、下電極基板2上に、スクリーン印刷法、グリーンシートからの熱転写法、または、エアロゾルデポジション(AD)法で形成することができる。誘電体層3をAD法で成膜すれば緻密な膜を形成できるので、その表面を簡単に研磨すれば、表面凹凸を数nm程度に抑えて、表面を平滑化できる。また、緻密な膜を形成できるので、電気絶縁性が高い。そのため、より一層、薄膜化することが可能であり、その結果、駆動電圧を低減でき、消費電力が小さくなる。また駆動回路をより安価に作製できる。
【0065】
発光層4としては、BaAl24:Eu又はBaSr24:Euを用いることができる。発光層4はスパッタ法又は電子ビーム蒸着法により形成することができる。
【0066】
上側絶縁層5としては、例えばAl23の薄膜を用いることができる。
【0067】
誘電体層3と発光層4との間、及び発光層4と上側絶縁層5との間に、バリア層を設けても良い。これにより、発光層4に酸素が拡散して発光が阻害されるのを防止できる。また、発光層4にH2Oが混入するのを防止できる。バリア層としては、例えば厚さ0.2μm程度のZnS層を用いることができる。
【0068】
上電極6としては、インジウム−錫合金(ITO)からなる透明電極を用いることができる。上電極6は、図1に示されているように、X軸方向に沿った帯状に形成される。ガラスセラミック層28上に上電極端子61を形成する場合、上電極6と上電極端子61とを連続して形成する。
【0069】
透明封止層7としては例えばガラス板を用いることができる。
【0070】
透明封止層7と上電極6との間に、赤、緑、青に対応する色変換層を設けることで、カラー表示が可能なEL素子を実現できる。各色の色変換層は、各下電極20に対応してY軸に沿って帯状に配置される。
【0071】
下電極基板2の上電極6とは反対側の面に、封止層1を設けてもよい。外部からの水の侵入を防止して、EL素子の信頼性を向上させるためである。封止層1は、例えばコーティング等により形成することができる。
【0072】
封止層1の材料は特に制限はないが、下電極基板2と熱膨張係数が近似した材料であると、熱によるEL素子の反りや封止層1と下電極基板2との界面剥離を防止できるので好ましい。
【0073】
例えば、封止層1の材料として低温シール用無鉛フリットであるSnO・P25系ガラスを用いることができる。SnO・P25系ガラスは、低温で溶融するので、封止層1の形成時の熱で発光層4の組成比が変化するのを防止できる。また、良好な熱伝導性を有するので、EL素子の背面からの放熱特性を向上できる。更に、下電極基板2と同等の熱膨張係数を有している。
【0074】
あるいは、封止層1の材料としてエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂は常温で硬化させることができるので、封止層1の形成時の熱で発光層4の組成比が変化するのを防止できる。
【0075】
上記の実施形態では、下電極20は画面の短辺方向(Y軸方向)に沿って延在する例を示したが、画面の長辺方向(X軸方向)に沿って延在していても良い。この場合、上電極6は画面の短辺方向(Y軸方向)に沿って延在することは言うまでもない。
【0076】
また、上記の実施形態では発光層として無機蛍光体発光層を備えたEL素子を例に説明したが、本発明の平板型表示素子はこれに限定されず、上電極と下電極とにより発光位置をアドレス指定する表示素子に広く適用できる。例えば、上電極と下電極との間にガス放電により発光する発光層を備えたプラズマ表示素子であってもよい。
【実施例1】
【0077】
画面サイズが7インチでQVGA表示を行うEL素子の実施例を示す。
【0078】
下電極基板2の絶縁層27を形成するためのセラミックグリーンシートを以下のようにして作製した。
【0079】
セラミック粉末と、ガラス粉末と、有機バインダーと、可塑剤と、溶媒とをボールミルで混合してスラリーを得た。セラミック粉末とガラス粉末の重量比は、7:3〜8:2とした。各成分は以下の通りである。
【0080】
・セラミック粉末:アルミナ
・ガラス粉末:ガラスフリット(旭硝子株式会社のASF-1710)
・有機バインダー:ブチラール樹脂
・可塑剤:ジブチルフタレート
・溶媒:キシレン
上記スラリーをドクターブレード法により成膜し、乾燥させて、厚さ0.05mm、幅5mm、長さ90mmの帯状のセラミックグリーンシートを960枚得た(グリーンシートAという)。
【0081】
誘電体層3を形成するためのセラミックグリーンシートを以下のようにして作製した。
【0082】
セラミック粉末と、ガラス粉末と、有機バインダーと、可塑剤と、溶媒とをボールミルで混合してスラリーを得た。セラミック粉末とガラス粉末の重量比は、7:3〜8:2とした。各成分は以下の通りである。
【0083】
・セラミック粉末:チタン酸バリウム
・ガラス粉末:ガラスフリット(旭硝子株式会社のASF-1500)
・有機バインダー:ブチラール樹脂
・可塑剤:ジブチルフタレート
・溶媒:キシレン
上記スラリーをドクターブレード法により成膜し、乾燥させて、厚さ0.005mm〜0.1mm、幅5mm、長さ90mmのセラミックグリーンシートを得た(グリーンシートBという)。
【0084】
下電極基板2の下電極20となる960枚の導電性材料片20aを以下のようにして作製した。
【0085】
厚さ0.1mmの金属板(材質:銅)をプレス加工により幅3mm、長さ87mmに打ち抜いた。これを脱脂洗浄し、乾燥させ、真空(2×10-3Pa)中で950℃×20分の熱処理を施してプレス加工歪みを除去した。
【0086】
上記導電性材料片20a上に上記グリーンシートAを熱転写により積層してパーツを得た。このパーツを60層積層し、熱圧着してブロックを得た。このブロックを400℃×1時間で脱バインダー処理し、次いで900℃×1時間で焼成した。その後、誘電体層3が積層される面を研磨した。このようなブロックを16個作製した。絶縁層27の厚さは0.06mmであった。
【0087】
上記の各ブロックの研磨された面に上記グリーンシートBを熱転写により積層し、400℃×1時間で脱バインダー処理し、次いで850℃×1時間で焼成して、誘電体層3を形成した。次に、誘電体層3の上に、スパッタ法により厚さ0.3μmのBaAl24:Euからなる蛍光体層4を形成し、その上にスパッタ法により厚さ0.05μmのAl23からなる上側絶縁層5を形成した。
【0088】
このようにして得た16個のブロックを平面上に並べて接合した。その後、上側絶縁層5上にスパッタ法により厚さ0.2μmのインジウム−錫合金(ITO)からなる上電極6を形成し、その上に赤、緑、青の各色に対応する色変換層を積層した。色変換層の赤、緑、青の繰り返しピッチは0.48mmとした。色変換層の上に透明封止層7としてガラス板を密着させて封着した。これによりEL素子を製造できた。
【0089】
得られたEL素子に対して50Hz、220Vの交流電圧を印加して画像表示したところ、均一な画像表示ができた。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の利用分野は特に制限はないが、高精細且つ大画面の無機EL素子として利用価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の概略構成を示した分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子の概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、下電極基板を構成する下電極及び絶縁層と上電極との配置を示した分解斜視図である。
【図4】下電極基板の作製方法を、工程順に示した斜視図である。
【図5】図5(A)は下電極基板を構成するブロックの配置例を示した平面図、図5(B)は下電極基板を構成するブロックの別の配置例を示した平面図である。
【図6】図6(A)は、本発明の別の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、下電極基板を構成する下電極及び絶縁層と上電極との配置を示した分解斜視図、図6(B)は、図6(A)の矢印6Bから見た下電極及び上電極の相対的位置関係を示した拡大側面図である。
【図7】本発明の更に別の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、下電極基板を構成する下電極の正面図である。
【図8】図8(A)は、本発明の更に別の実施形態に係るエレクトロルミネッセンス素子において、下電極基板を構成する下電極及び絶縁層と上電極との配置を示した分解斜視図、図8(B)は、図8(A)における矢印8Bから見た絶縁層付き下電極の側面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 封止層
2 下電極基板
20 下電極
20a 導電性材料片
20b 貫通孔
21 下電極端子
22 凹部
23 孔
25 絶縁物
27 絶縁層
27a 絶縁性材料片
27b 貫通孔
28 ガラスセラミック層
3 誘電体層
4 発光層
5 上側絶縁層
6 上電極
6a 上電極の側端
61 上電極端子
7 透明封止層
81 ピース
81a 貫通孔
82 ブロック
82a 貫通孔
9 電界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上に配された複数の下電極と、同一平面上に配された複数の上電極と、前記複数の下電極と前記複数の上電極との間に配された発光層とを少なくとも備えた平板型表示素子であって、
隣り合う前記下電極間にそれぞれ絶縁層が設けられており、前記下電極と前記絶縁層とが交互に配設されて下電極基板を構成していることを特徴とする平板型表示子素子。
【請求項2】
前記複数の下電極が配された平面の法線方向に沿った前記下電極の寸法をTE、前記下電極と前記絶縁層との交互配設方向に沿った前記下電極の寸法をWEとすると、TE>WEである請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項3】
前記下電極は金属板又は金属粉体焼結体からなる請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項4】
前記下電極は、銅、銅合金、鉄ニッケル合金、又は、Cr23膜を有する鉄合金を含む請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項5】
前記下電極と電気的に導通し、前記下電極に駆動電圧を印加するための下電極端子が、前記下電極の前記上電極とは反対側の端縁に設けられている請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項6】
前記下電極端子は一体成形により前記下電極に設けられている請求項5に記載の平板型表示素子。
【請求項7】
前記下電極端子を介してプリント回路基板に実装されている請求項5に記載の平板型表示素子。
【請求項8】
前記下電極基板を構成する前記絶縁層はガラスセラミックからなる請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項9】
前記ガラスセラミックは、アルミナ粉とホウ珪酸ガラスとの混合物からなる請求項8に記載の平板型表示素子。
【請求項10】
前記ガラスセラミックは、比誘電率が高い物質とホウ珪酸ガラスとの混合物からなる請求項8に記載の平板型表示素子。
【請求項11】
前記下電極基板の前記下電極と前記絶縁層との交互配設方向の一端又は両端に、ガラスセラミック層が設けられている請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項12】
前記ガラスセラミック層上に前記上電極と電気的に導通し、前記上電極に駆動電圧を印加するための上電極端子が設けられている請求項11に記載の平板型表示素子。
【請求項13】
前記上電極の側端に対向する前記下電極の部分に凹部が設けられている請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項14】
前記凹部に絶縁物が詰められている請求項13に記載の平板型表示素子。
【請求項15】
前記絶縁物が、結晶構造がプロヴスカイト型である酸化物強誘電体物質からなる請求項14に記載の平板型表示素子。
【請求項16】
前記下電極基板を構成する前記絶縁層の前記上電極側の面が黒色である請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項17】
前記絶縁物の前記上電極側の面が黒色である請求項14に記載の平板型表示素子。
【請求項18】
前記絶縁物が、Mnが添加されたチタン酸バリウム(BaTiO3)を含む請求項14に記載の平板型表示素子。
【請求項19】
前記下電極と前記絶縁層との交互配設方向と直交する前記下電極の面に孔又は窪みが設けられている請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項20】
前記複数の下電極が配された平面の法線方向に沿った前記絶縁層の寸法TIは、前記法線方向に沿った前記下電極の寸法TEより小さい請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項21】
前記下電極基板の前記上電極とは反対側の面に封止層を備える請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項22】
前記封止層がSnO・P25系ガラスからなる請求項21に記載の平板型表示素子。
【請求項23】
前記封止層がエポキシ樹脂からなる請求項21に記載の平板型表示素子。
【請求項24】
前記発光層が蛍光体発光層である請求項1に記載の平板型表示素子。
【請求項25】
同一平面上に配された複数の下電極と、同一平面上に配された複数の上電極と、前記複数の下電極と前記複数の上電極との間に配された発光層とを少なくとも備えた平板型表示素子の製造方法であって、
前記下電極を形成するための帯状の導電性材料と絶縁性材料とを交互に積層する工程を含むことを特徴とする平板型表示素子の製造方法。
【請求項26】
前記導電性材料と前記絶縁性材料とを交互に積層してブロックを作製し、次いで、複数の前記ブロックを同一平面上に配置する請求項25に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項27】
赤、緑、青の各色に対応した3枚の前記導電性材料と前記絶縁性材料とを交互に積層してピースを作製し、次いで複数の前記ピースを積層してブロックを作製し、次いで複数の前記ブロックを同一平面上に配置する請求項25に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項28】
前記ピースは積層方向に沿った貫通孔を有し、前記貫通孔を利用して前記ピースの位置を規制しながら、複数の前記ピースを積層する請求項27に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項29】
前記ブロックは積層方向に沿った貫通孔を有し、前記貫通孔を利用して前記ブロックの位置を規制しながら、複数の前記ブロックを同一平面上に配置する請求項26又は27に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項30】
前記導電性材料と前記絶縁性材料との交互積層物を焼成し、次いで前記交互積層物の積層方向と略平行な側面を研磨し、次いで前記研磨された側面に誘電体層を積層する請求項25に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項31】
前記ブロックの側面に誘電体層、前記発光層、上側絶縁層をこの順に積層した後、複数の前記ブロックを同一平面上に配置し、次いで前記上側絶縁層上に上電極、透明封止層をこの順に積層する請求項26又は27に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項32】
前記ブロックを焼成した後、複数の前記ブロックを同一平面上に配置し、次いで前記ブロック上に誘電体層を積層する請求項26又は27に記載の平板型表示素子の製造方法。
【請求項33】
前記発光層が蛍光体発光層である請求項25に記載の平板型表示素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−73252(P2006−73252A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252758(P2004−252758)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(503217783)松下東芝映像ディスプレイ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】