説明

平滑な表面にイージークリーン特性を備えるための、二成分コーティング系

本発明は、組成物1と組成物2とからなり、かつこの両方の組成物が適用の直前に一緒に混合される、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性コーティングを表面に備えるための二成分系に関する。本発明は更に、前記二成分系を表面に対して適用する方法に関する。本発明は更には、前記二成分系の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性コーティングを表面に備えるための新規の系に関する。本発明は更に、前記の新規の系を表面に対して適用する方法、及び前記の新規の系の使用にも関する。
【0002】
撥油性、撥水性、及び撥汚れ性特性を有する表面は、今日の技術において「イージークリーン(easy−to−clean)」と呼ばれる。
【0003】
公知のイージークリーンコーティング、即ち、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性特性を有するコーティングは、フルオロアルキルシラン又はアルキルシランに基づいて特に公知である(例えば、DE834002,US3012006,GB935380,US3354022,DE1518551,DE3836815,DE4218657,DE19544763,EP0748357,EP0799873,EP0846716,JP2001/115151,EP1033395,EP1101787)。
【0004】
このイージークリーン特性に関して、存在するコーティング系のうち最も適するものは、フルオロ有機官能性のシラン及び/又はシロキサンに基づいたものである。イージークリーンコーティングを製造するために説明された系は、100%系、溶媒含有系、エマルション、及び水系を含む。
【0005】
しかしながら使用者の大半にとっては、前記の公知のイージークリーンコーティングは、実施するのに不便であり、かつ複雑である。
【0006】
前記コーティング系の調製のためには、この成分、例えば溶媒、フルオロアルキルシラン、水、及び触媒(この安全性の面は注意されなくてはならない)を、一般的にはまず、適した撹拌容器中で量り取り、かつ撹拌により、制御して数時間反応させる。最終消費者の大半は、この複雑な手順を実施することが可能でない。
【0007】
一般的には、前記コーティングは高温(DE10135684)で焼付けられなくてはならず、これにより前記コーティングはある種の適用、例えば風防ガラスには不適当となる。
【0008】
市場のその他の製品は前記の不利な点は有しないものの、しかしこれから得られたコーティングの短い貯蔵安定性又は低い耐摩耗性を有する(EP0 846 715)。
【0009】
更に、前記の公知のコーティング材料のいくつかは、毒性で、かつ環境面で好ましくない溶媒、例えばハロゲン化炭化水素又はベンジンを含有する。
【0010】
更に、金属酸化物、特に酸化セリウムのスラリーの水性組成物の、ガラスコーティングの付着特性を改善するための研磨剤としての適用は、長い間公知であった(Glass Technology, Vol. 12, No. 5, October 1971, pp. 131−135)。
【0011】
本発明の目的は、最終消費者にとって便利であり、かつ同時に効果のある、イージークリーン適用のためのコーティング系を提供することである。本発明の特別な関心は、平滑な表面上にイージークリーンコーティングに適した系を提供することである。
【0012】
前記目的は、請求項において特定した本発明により達成される。
【0013】
このようにして意外にも、前記イージークリーンコーティングは、
−処理すべき表面を清浄化し、かつ場合により前処理し、即ちこの清浄化した表面を有利には、十分に研磨性の水含有組成物でもって研磨し、その際前記表面は光学的に可視できるほど粗くはなく、かつ反応性の表面の基が更に増加していて、
−前記二成分系の組成物1及び2を有利には塗布の直前に一緒して、かつ強力に混合し、有利には振盪又は撹拌によって混合し、
−前記混合物を少なくとも2分間、有利には3〜5分間反応させ、とりわけ効果的には一般的に前記二成分系の組成物が一緒になった後100時間まで反応させ、かつ
−その後前記混合物を前記表面に対して塗布しかつ反応させる場合に、
有機官能性ケイ素化合物をベースとした特別な二成分系の使用により、容易でかつ使用者にやさしい方法において、効果的に、耐久性があって、表面に、特に平滑な表面に塗布されることが見出された。ほぼ水不含の組成物1と、組成物2とからなる本発明の二成分系は有利には、一年超の貯蔵安定性を有する。
【0014】
更に本発明により、前記二成分系をベースとする、前記の処理すべき表面に対して塗布すべき混合物は、前記使用者にとって簡単に適用可能で、一般的には2〜5分後には活性化され、有利には約100時間まで良好に使用可能であった(これはポットライフとも呼ばれる)。これに加えて、本質的には再現可能な適用特性を有する優れたコーティング品質が得られた。更には、本発明により得られるコーティングは優れたイージークリーン特性を有するが、特に優れた疎水性及び疎油性の特性を有する。特に特筆すべき特徴は、本発明により得られるコーティングは、予想外の、非常に高い、素晴らしい耐摩耗性をも有することである。
【0015】
従って、本発明により特に有利に、平滑な表面に、例えば風防ガラス、ガラスのシャワー室、家のガラスファサード、及び壁のタイル、及び衛生的なセラミックにも、有利にかつ耐久的に、イージークリーンコーティングを備えることが可能である。
【0016】
これらの特性に加えて、本発明により得られるイージークリーンコーティングは、優れた耐摩耗性が顕著である。
【0017】
本発明は従って、組成物1と組成物2とからなり、かつこの両方の組成物が適用の直前に一緒に混合される、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性コーティングを表面に備えるための二成分系を提供する。
【0018】
一般的に、本発明の前記二成分系は、前記組成物1のためのそれぞれの成分を一緒にし、これとは別に前記組成物2のためのそれぞれの成分を一緒にすることで得られる。前記の二成分系の組成物1及び2は一般的に、2つの分かれた、有利には密閉可能な容器中で、これらが使用される直前まで保存され、これにより室温で、活性の損失なく、1年以上、優れた方法で貯蔵されてよい。
【0019】
前記の本発明の二成分系の組成物1は一般式I
−Y−(CHSi(CH(R3−q (I)
[前記式中、Rは線形、分枝状、又は環状であって、かつ1〜13つの炭素原子を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はペルフッ化したアルキル基又はモノフッ化、オリゴフッ化、又はペルフッ化したアリール基であり、Yは−(CH)、O又はS基であり、かつuは0又は1、Rは塩素原子又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基であり、有利にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、及び/又は2−メトキシエトキシであり、かつqは0又は1である]のフルオロアルキルシラン少なくとも1つ、及び/又は一般式II
Si(CH(R3−p (II)
[前記式中、Rは、1〜18つの炭素原子を有する線形、分枝状、又は環状のアルキル基、Rは塩素原子又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基であり、かつpは0又は1であり、有利にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、及び/又は2−メトキシエトキシである]のアルキルシラン少なくとも1つを適したように含有する。
【0020】
組成物1中の前記式I及び/又はIIのシランの量は、組成物1に基づいて、0.1〜60質量%、有利には0.5〜10質量%、特に有利には1〜4質量%である。
【0021】
この二成分系の本発明の組成物1は、一般式III
Si(R (III)
[前記式中、R基は同一又は異なっていて、かつRは塩素原子、又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基、有利にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、及び/又は2−メトキシエトキシである]
のシラン、有利にはケイ酸エステル少なくとも1つ、及び/又は一般式IV
(RSiO(4−n)/2 (IV)
[前記式中、R基は同一又は異なっていて、かつRはヒドロキシ基、又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基、有利にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、及び/又は2−メトキシエトキシであって、かつnは1、2又は3であって、その際このオリゴマー状シランは、2〜40、有利には3〜20の、平均重合度、即ち一分子当たりのSi単位を適したように有し、かつ線形、分枝状、又は環状の形状で存在してよく、かつ三次元構造を有してもよい]のオリゴマー状ケイ酸エステル、有利にはアルキルシリケート、例えばDYNASIL(R)少なくとも1つ、及び/又は前記式I〜IVの前述のケイ素化合物の縮合体及び/又は共縮合体及び/又は前述のケイ素化合物の混合物を含有してもよい。
【0022】
組成物1中の、式IIIのシラン及び/又は式IVのケイ酸エステルの量は、組成物1に基づいて、適したように全部で≦10質量%、かつ有利には前記量は0.001〜2質量%、より有利には0.1〜0.6質量%である。
【0023】
式I、II、III又はIVの有利なモノマー状又はオリゴマー状ケイ素化合物は以下である:トリデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラエチルオルトシリケート、エチルポリシリケート、例えばDYNASIL(R)40。
【0024】
本発明の二成分系の組成物1は更に、組成物1に基づいて、40〜99.9質量%の量で溶媒又は希釈剤を少なくとも1つ含有してもよい。組成物1は有利には溶媒及び/又は希釈剤90〜99.5質量%、より有利には96〜99質量%を含有する。
【0025】
本発明の二成分系の組成物2は、組成物2に基づいて、有利には0.001質量ppm〜100質量%、より有利には1〜99.9質量%、特に有利には10〜99.9質量%の量で水を含有する。
【0026】
本発明の二成分系の組成物2は更に適したように、組成物2に基づいて、有利には0.001〜10質量%の量で有機酸又は無機酸を含有する。これに関して、特に0.05〜1質量%、とりわけ0.1〜0.2質量%が有利である。従って、例えば、HX、HX、又はHX(Hはアニオン)の種類の酸が使用されてよい。有利に組成物2を調製するための酸の例は以下を含む:ギ酸、酢酸、硝酸、塩酸、硫酸、及びリン酸。本発明において、加水分解条件下でHClを生じるクロロシラン、例えばSiClを使用することも可能である。
【0027】
組成物2は、組成物2に基づいて、<100質量%の量で、溶媒又は希釈剤を含有してもよい。特にこれに関連して、溶媒及び/又は希釈剤0.01〜90質量%が有利であり、より有利には0.1〜20質量%である。
【0028】
排他的でない例として、本発明の二成分系の1つの組成物又は両方の組成物は、塩素不含の溶媒及び/又は希釈剤を、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、又はブタノール、グリコール、例えばブチルグリコール、エチルグリコール、プロピルグリコール、又はブチルグリコール、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、ケトン、例えばアセトン又はメチルエチルケトン、及びエステル、例えば酢酸エチルのグループから少なくとも1つ含有してよい。エタノール及びイソプロパノールは特に有利に使用される。
【0029】
更に、組成物1又は2は、湿潤剤、例えばブチルグリコール、1−メトキシ−2−プロパノール又はポリエーテルシロキサン、アルコールアルコキシラート、ポリエーテル、及びポリエーテル変性トリシロキサンを例えば、それぞれの組成物に基づいて≦10質量%、有利には2〜6質量%の量で含有してよい。
【0030】
一般的に、本発明の二成分系の組成物1及び2は、単純にかつ経済的に、前記のそれぞれの成分を混合することで得られてよい。本発明において述べられた量(質量%)はそれぞれの場合において、相応する組成物に関し、その際1つの組成物のそれぞれの成分は一緒になって100質量%以下である。
【0031】
本発明は同様に、
−表面を清浄化し、かつ場合により前処理し、
−前記二成分系の組成物1と2をと一緒にして、かつ混合し、
−前記混合物を少なくとも2分間反応させ、かつ
−その後に前記混合物を前記表面に対して塗布する
ことを含む、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性コーティングを表面に備える方法を提供する。
【0032】
この処理すべき表面を本発明により、適したようにまず、脂肪溶解液体、例えばイソプロパノール、アセトン又は、例えば前記表面を清浄化又は磨くための従来のガラスクリーナーを用いて前清浄化した。
【0033】
加えて、前記表面を前処理してもよい。従って本発明の方法において前処理を実施するために、このように、6μmより小さい、有利には0.05〜5μmの平均直径(d50)を有する、酸化物粒子を適したように含有する研磨性の、水性組成物が有利である。前記研磨性組成物は、スラリー又は分散体又はペーストの形状にあってよく、本発明においては以下金属酸化物スラリーと呼ばれる。本発明の方法において、特に有利には、水性又は水性/アルコール性金属酸化物スラリーを使用し、これは有利には、酸化セリウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化水酸化アルミニウム(aluminum oxide hydroxide)、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、例えば二酸化チタン、メタチタン酸、酸化ジルコニウム、二酸化スズ、ケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、熱分解シリカ、例えばAEROSIL(R)、又は沈殿シリカ、又は上述の酸化物の混合物を含有する。
【0034】
従って本発明により、表面、特に平滑な表面、例えば風防ガラス、ガラスのシャワー室、家のガラスファサード、及び壁のタイル、及び衛生的なセラミックにも、有利にかつ耐久的に、耐摩耗性のイージークリーンコーティングを備えることが可能である。
【0035】
清浄化及び/又は前処理後に、本発明の二成分系の混合物を適したように塗布した。組成物1と2とから形成された前記混合物の前記表面に対する塗布は、有利には吹付け、はけ塗り、フローコーティング、浸漬、へら付け、又は研磨により行われる。
【0036】
本発明の方法において、前記処理すべき表面のコーティングを、適したように、(表面)温度0〜50℃、有利には5〜25℃で実施し、この得られたコーティングは室温で適したように架橋される。しかし組成物1と2とから形成された混合物が塗布された後に、更に熱処理を実施することも可能である。例えば、完全な架橋を加速するために、330℃までの、有利には280℃までの、特に50〜150℃までの温度で熱処理を実施することも可能である。この目的のために例えば、送風機、加熱可能な乾燥室、又はドライヤーを使用することも可能である。
【0037】
本発明による方法のための一般的な手順は、処理すべき基材表面、一般的には、平滑な基材表面を清浄化することである。適切であれば、前記表面を更に前処理してよく、即ち活性化してよい。前記二成分系の組成物1と2とを周囲温度で一般的には適用の直前に一緒にして、かつ十分に混合し、有利には強力な振盪又は撹拌によって混合する。この目的のために、組成物1及び2は、これらが1:1の割合で、有利には体積に関しても、及び質量に関しても1:1の割合で混合されるように調節されてよい。このように得られた混合物を適したように、少なくとも2分間反応させる。この活性化操作は、強力な振盪又は撹拌によって援助されてよい。この後で、前記混合物を前記表面に対して塗布する。このポットライフは一般的には1時間までである。しかしながら普通は、前記混合物は組み合わせ後100時間まで、効果的に使用してよい。更に、このように得られたこのコーティングを、熱的に後処理してよい。
【0038】
コーティングと、これに対して置かれた液滴との接触角は、前記表面のイージークリーン特性の尺度であり、かつ一般的にはDIN EN828により決定される。本発明のコーティングは有利には>80゜、より有利には90〜130゜の接触角を有する。
【0039】
本発明により得られる前記コーティングは従って、優れたイージークリーン特性において、及び様々な種類の影響、例えば天候、薬品、溶媒に対する耐性においても、及び特に非常に良好な耐摩耗性において優れている。
【0040】
本発明はこれにより、撥水性、撥油性、及び撥汚れ性特性を備えるために、かつ耐候性、耐腐食性、耐摩耗性、及び耐薬品性、特に耐溶媒性をも改善するために、かつ落書きに対して保護する(耐落書き性効果とも呼ばれる)ために、表面をコーティングするための本発明による二成分系の使用を提供する。
【0041】
本発明は更に、本発明による二成分系の、コーティングのための使用を提供し、同様に本発明により基材表面、例えばガラス表面、風防ガラス、窓ガラス、ガラスファサード、及びシャワー室、例えばセラミック表面、特にうわぐすり、金属表面、例えば銅及びアルミニウム、及びポリマー表面のコーティングのための使用を提供する。
【0042】
本発明は以下の実施例によってその主題が制限されることなく説明される:
比較例
比較例1から4までに示した組成物は直接的に平滑な表面のために使用されてよい。
【0043】
比較例1:DYNASYLAN(R)F 8263、Degussaより
活性化したフルオロアルキルシランベースの使用準備済みのコーティング系は<6ヶ月の貯蔵安定性を有する。
【0044】
比較例2:CLEARSHIELD(R)、RITECより:
NMR分析から以下の組成物を有するコーティング系:
ジメチルポリシロキサン約10mol%
イソプロパノール約32mol%
1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン約58mol%
比較例3:CRYSTAL GUARD(R)、Chemetallより:
トリエトキシオクチルシラン2.5〜10%
トリメトキシフェニルシラン1〜2.5%
ヘプタン>50%
比較例4:AQUAPERL(R) PPGより
石油及びシランからなる。
【0045】
本発明による実施例
以下は、実施例1〜5に当てはまる:
コーティング系の調製のためにまず全ての2つの組成物を、それぞれの場合においてねじぶたを有する1lガラス瓶を混合容器として用いて、別々に調製した。
【0046】
実施例1:
組成物1(K−1):
DYNASYLAN(R)F 8261(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)10.0gをイソプロパノール240.0gと混合した。
組成物2(K−2):
O 224.0gと、イソプロパノール25.0gと、塩酸1.0g(37%度)とを混合した。組成物2は−4℃の融点を有した。
【0047】
実施例2:
組成物1(K−1):
DYNASYLAN(R) F 8261(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)10.0gと、DYNASIL(R)A(テトラエトキシシラン)1.5gとを、イソプロパノール238.5gと共に混合した。
組成物2(K−2):
O 224.0gと、イソプロパノール25.0gと、塩酸(37%)1.0gとを混合した。
【0048】
実施例3:
組成物1(K−1):
DYNASYLAN(R)OCTEO(n−オクチルトリエトキシシラン)10.0gをイソプロパノール240.0gと混合した。
組成物2(K−2):
O 224.0gと、イソプロパノール25.0gと、塩酸(37%)1.0gとを混合した。
【0049】
実施例4:
組成物1(K−1):
DYNASYLAN(R)F 8261(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)10.0gをエタノール240.0gと混合した。
組成物2(K−2):
O 124.0gと、イソプロパノール125.0gと、塩酸(37%)1.0gとを混合した。この組成物2は、融点−4℃を有し、霜に対して非常に低い感受性を有した。
【0050】
実施例5:
組成物1(K−1):
DYNASYLAN(R)F 8261(トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン)10.0gをイソプロパノール240.0gと混合した。
組成物2(K−2):
O 187.15gと、イソプロパノール62.5gと、塩酸(37%)0.35gとを混合した。
【0051】
適用の際には以下の手順が実施例1から5に対して実施された:
前記二成分系の組成物K−1とK−2とのブレンドは、それぞれの使用者によって実施された:従って、適用の前に、まずK−2 250gをK−1 250gに添加し(実施例1〜4)、又はK−2 20mlをK−1 20mlに添加し(実施例5)、この蓋をきつく密閉し、前記混合物を2分間振盪した。
2分後、この溶液は使用準備済みであった。
【0052】
この個々の組成物(K−1及びK−2)はこれまで約1年間貯蔵安定であり、かつこれから製造された適用系は有利には約2日間使用されてよい。
上述の組成物、比較例1〜3及び本発明による実施例1〜5から、ガラスに対してコーティングを製造した。この表面は、塗布の前に清浄化されたので、これらは特に脂を有しなかった。前記ガラス表面(前記ガラスプレートの大きさ:0.15m×0.15m)の前処理:前記ガラスプレートを、イソプロパノールで前清浄化し、かつ酸化セリウム水性スラリーでの研磨により活性化した(本発明による実施例1〜5、及び比較例も)。この乾燥して付着した酸化セリウムを、ペーパークロスを用いて残分なしに取り除いた。
【0053】
この使用組成物、言い換えるとK−1とK−2とのブレンドから形成された溶液、又は比較例の溶液を、それぞれ、前記ガラス表面に対して、前記組成物の前記の耐性を試験するために塗布した。本発明による実施例1〜5の溶液を、それぞれの場合において、2分間(混合直後)、15分間、及び6時間のポットライフ後に塗布した。前記の総組成物のそれぞれの場合に、約50mlがコーティングのために必要であった。
【0054】
この使用準備済みの組成物を、前記ガラス表面上に液体層として分散させ、ペーパークロスを用いてこすり、次に残分なしに研磨した。疎水効果は一般的にちょうど5分後に室温で生じた。
【0055】
性能試験:
Glitziスポンジたわし、1kgの適用質量、及び水を用いた一定の回数の摩耗サイクル後の耐摩耗性(水又は3質量%ケイ酸アルミニウム水性スラリーのもとで)。
【0056】
各耐摩耗生試験前後の、DI水及び接触角測定装置G−15(Kruess)を用いたこの静的接触角(CA)の複数回の測定。
【0057】
表1:
比較例のための性能試験の結果(摩耗機械のために水を潤滑剤として使用した摩耗試験)
撥油性、撥水性、及び撥汚れ性の特性、即ちイージークリーン特性を、平滑な表面に備えるための2−成分コーティング系
表1:
この比較例のための性能試験の結果
【0058】
【表1】

【0059】
表2
摩耗機械のために水を潤滑剤として用いた、実施例1〜3から形成されたコーティングの性能試験の結果
【0060】
【表2】

【0061】
前記摩耗機械のための摩耗溶液を用いたこの摩耗試験は更に、前記コーティングの耐引掻性又は耐摩耗性を示す。このために以下の例を、3質量%アルミニウムシリケート水溶液を用いて試験した(前記ケイ酸アルミニウム粒子は約80μmのサイズを有する)。80゜未満の接触角では、前記コーティングはもはやイージークリーンであるとは呼ばれないので、この値に達すると前記測定を止めた。
【0062】
表3:
前記摩耗機械のための潤滑剤として3質量%ケイ酸アルミニウム水性スラリーを用いた摩耗サイクル
【0063】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物1と組成物2とからなり、かつこの両方の組成物が適用の直前に一緒に混合される、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性コーティングを表面に備えるための二成分系。
【請求項2】
一般式I
−Y−(CHSi(CH(R3−q (I)
[前記式中、Rは線形、分枝状、又は環状であって、かつ1〜13つの炭素原子を有するモノフッ化、オリゴフッ化、又はペルフッ化したアルキル基又はモノフッ化、オリゴフッ化、又はペルフッ化したアリール基であり、Yは−(CH)、O又はS基であり、かつuは0又は1、Rは塩素原子又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基であり、かつqは0又は1である]のフルオロアルキルシラン少なくとも1つ、及び/又は一般式II
Si(CH(R3−p (II)
[前記式中、Rは、1〜18つの炭素原子を有する線形、分枝状、又は環状のアルキル基、Rは塩素原子又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基であり、かつpは0又は1である]のアルキルシラン少なくとも1つを含有する組成物1を有する、請求項1記載の二成分系。
【請求項3】
前記組成物1中の式I及び/又はIIのシランの量は、組成物1に基づいて、0.1〜60質量%である、請求項1又は2記載の二成分系。
【請求項4】
一般式III
Si(R (III)
[前記式中、R基は同一又は異なっていて、かつRは塩素原子、又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基である]
のシラン少なくとも1つ、及び/又は一般式IV
(RSiO(4−n)/2 (IV)
[前記式中、R基は同一又は異なっていて、かつRはヒドロキシ基、又は1〜4つの炭素原子を有するアルコキシ基であって、かつnは1又は2又は3である]のオリゴマー状ケイ酸エステル少なくとも1つを含有する組成物1を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項5】
前記組成物1中の、式IIIのシラン及び/又は式IVのケイ酸エステルの量は、組成物1に基づいて、≦10質量%である、請求項1から4までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項6】
前記組成物1は、組成物1に基づいて、40〜99.9質量%の量で溶媒又は希釈剤を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項7】
前記組成物2は、組成物2に基づいて、0.001質量ppm〜100質量%の量で水を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項8】
前記組成物2は、組成物2に基づいて、0.001〜10質量%の量で有機酸又は無機酸を含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項9】
前記組成物2は、組成物2に基づいて、≦100質量%の量で溶媒又は希釈剤を含有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項10】
アルコール、グリコール、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテル、ケトン、及びエステルのグループからの溶媒及び/又は希釈剤を少なくとも1つ含有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項11】
前記組成物1又は2は、それぞれの組成物に基づいて、≦10質量%の量で湿潤剤を含有する、請求項1から10までのいずれか1項記載の二成分系。
【請求項12】
−処理すべき表面を清浄化し、かつ場合により前処理し、
−前記二成分系の組成物1と2とを一緒にして、かつ混合し、
−前記混合物を少なくとも2分間反応させ、かつ
−その後に前記混合物を前記表面に対して塗布する
ことを含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の、撥油性、撥水性、及び撥汚れ性コーティングを表面に備える方法。
【請求項13】
前記表面を脱脂し、かつ金属酸化物スラリーを前記前処理の実施のために使用する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
このコーティングを0〜50℃の温度で実施する、請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
前記組成物1と2とから形成された前記混合物を前記表面に対して、吹付け、はけ塗り、フローコーティング、浸漬、へら付け、又は研磨により塗布する、請求項12から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
撥水性、撥油性、及び撥汚れ性特性を備えるために、又は耐候性、耐腐食性、耐摩耗性、及び/又は耐薬品性を改善するために、又は落書きに対して保護するために、表面をコーティングするための請求項1から11までのいずれか1項記載の二成分系の使用。
【請求項17】
ガラス表面、セラミック表面、金属表面、又はポリマー表面をコーティングするための請求項1から11までのいずれか1項記載の二成分系の使用。

【公表番号】特表2007−501304(P2007−501304A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522338(P2006−522338)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051072
【国際公開番号】WO2005/014731
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】