説明

平滑コンデンサの回路基板への実装構造

【課題】 ESRの小さい平滑コンデンサを用いた場合にも、直流安定化電源の制御の安定化を簡単に図ることが出来る平滑コンデンサの回路基板への実装構造を提供する。
【解決手段】 電源ライン用配線パターン11aは電源ライン用配線パターン11bとの間にチョークコイルLが実装される。また、電源ライン用配線パターン11bは、グランド用配線パターン12a,12bの形成箇所が切り欠かれた形状を有し、図示しない一端が出力端子Voutに接続されている。グランド用配線パターン12bはビアホール13を介して接地されている。電源ライン用配線パターン11bは、切り欠き部において、グランド用配線パターン12aとの間に平滑コンデンサCが実装される。また、グランド用配線パターン12a,12b間、および一定の距離を隔てて切り欠かれた電源ライン用配線パターン11b間には3端子コンデンサ3が実装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流安定化電源の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサの回路基板への実装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の高機能化や小型化が進むに連れて電源回路もPMIC(Power Management Integrated Circuit:電源管理用集積回路)に代表されるように小型化されて高密度に実装され、多系統の電源電圧が物理的に近くに存在することが一般的になってきている。また、半導体のプロセス技術の高精度化によってIC自体も小型化が進んでいる。このような状況下、直流安定化電源を構成する部品として、スイッチング電源用ドライバーICが一般的に用いられている。このドライバーICは、直流入力電圧をスイッチングするスイッチング素子のオン、オフを、出力電圧に応じて負帰還アンプによってフィードバック制御する。スイッチング素子によってスイッチングされた直流出力電圧はチョークコイルおよび平滑コンデンサによって平滑化される。
【0003】
平滑コンデンサには、等価直列抵抗(ESR:Eqivalent Series Resistance)が数十mΩと小さな機能性高分子コンデンサが用いられることが多く、上記のようにドライバーICやディスクリート素子の小型化が進んだ現在は、機能性高分子コンデンサ等の平滑コンデンサやチョークコイルが回路基板において最も実装面積を占める部品になりつつある。機能性高分子コンデンサは、電解質に貴金属を使用するために市場における安定供給性に懸念があり、また、故障した時に燃焼することがあり、さらに高湿度に弱く、信頼性が低いという問題がある。このため、市場において安定供給性があって入手し易く、また、故障した時に燃焼することもなく、さらに高湿度に強くて、信頼性の高い、機能性高分子コンデンサよりも小型で安価なセラミックコンデンサを平滑コンデンサとして用いることが、要望されている。
【0004】
しかし、セラミックコンデンサは機能性高分子コンデンサよりもESRがさらに小さく、スイッチング電源において平滑コンデンサとして用いると、ESRが小さすぎて出力電圧の制御が安定しない。従来、このような場合、出力電圧と負帰還アンプのフィードバック電圧との間に位相差があるときには、平滑コンデンサの実効容量CとESRで共振回路が作られ、この共振回路の周波数f(=1/(2πC・ESR))が発振しないように帰還回路が設定されて、制御の安定化が図られる。また、チョークコイルに流れるインダクタ電流iLとESRとの積(iL×ESR)によるIR電圧変動を利用し、コンパレータで出力電圧の高低を基準電圧と比較して、特許文献1に開示されたリップルコンバータのように制御の安定化が図られることもある。
【0005】
特許文献1に開示されたリップルコンバータでは、出力電圧が波形変換手段で波形変換された後に基準電圧と比較されて、負帰還アンプによってフィードバック制御される。波形変換手段は、出力電圧の波形を異なる波形に変換することが出来るので、平滑コンデンサとしてどのようなコンデンサが用いられても、それに応じて波形変換手段の特性を変えることによって所望の発振状態が維持され、制御の安定化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4107209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された直流安定化電源では、上述の多くの利点を有するセラミックコンデンサのようなESRの小さいものが平滑コンデンサとして用いられた場合、制御の安定化を図るためには、所望の発振状態が維持されるように波形変換手段の特性を回路設計する必要があり、手間を要する。また、波形変換手段を構成するのに多くの抵抗素子や容量素子が必要とされ、素子数が増えてコストがかかると共に、波形変換手段が回路基板に占める面積が大きくなって電子機器の小型化の要請に反する。
【0008】
また、出力電圧と負帰還アンプのフィードバック電圧との間に位相差があって共振回路を利用するときに、平滑コンデンサの実効容量Cを変える場合、共振回路が発振しないように帰還回路を再設定する電源回路の再設計が別途必要となり、この場合も手間を要する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
直流安定化電源の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサの回路基板への実装構造であって、
平滑コンデンサは、一端が、直流安定化電源の出力につながる配線パターンに接続され、他端が、3端子コンデンサの一方の内部スルー電極を介して基準電位に接続され、
3端子コンデンサは、他方の内部スルー電極が前記配線パターンに並列に接続される
ことを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、直流安定化電源の出力につながる配線パターンが平滑コンデンサおよび3端子コンデンサの一方の内部スルー電極を介して基準電位に接続されるため、直流安定化電源の出力と基準電位との間には、平滑コンデンサのESR(等価直列抵抗)に、3端子コンデンサの一方の内部スルー電極が有する直流抵抗成分が加わった直流抵抗分が構成される。従って、ESRの小さいコンデンサを電源回路出力の平滑コンデンサとして用いても、ESRの小さくなる分が、チップ抵抗等を用いずに、今までノイズ除去のために不要とされていた3端子コンデンサの内部スルー電極が有する直流抵抗成分により、補われる。このため、上述の多くの利点を有するセラミックコンデンサのようなESRの小さいものを機能性高分子コンデンサに代えて平滑コンデンサとして用いた場合にも、従来の特許文献1に開示された電源のように手間を要する回路設計をする必要なく、機能性高分子コンデンサが使われていた時と同じ回路構成で、直流安定化電源の制御の安定化を簡単に図ることが出来る。また、3端子コンデンサのみを追加することで制御の安定化を図ることが出来、従来のように多くの追加素子が必要とされないので、コストの上昇を抑制することが出来ると共に、回路基板に追加素子が占める面積の増大も抑制できて電子機器の小型化の要請を満たせる。また、出力電圧と負帰還アンプのフィードバック電圧との間に位相差があって共振回路を利用するときには、電源回路の再設計が別途必要となるが、本構成によればESRの減少分を3端子コンデンサの内部スルー電極によって上記のように容易に補えるので、その再設計も容易になる。
【0011】
また、本構成によれば、3端子コンデンサの他方の内部スルー電極が直流電圧が出力される配線パターンに並列に接続されるため、この配線パターンに重畳する高周波ノイズは3端子コンデンサを介して基準電位に逃がされ、平滑コンデンサのみを直流安定化電源の出力に接続している場合に比べて高周波特性が改善される。
【0012】
また、本発明は、3端子コンデンサが、略直方体の形状をしており、基準電位に接続される一方の内部スルー電極が略直方体の長辺方向に形成されるホット内部スルー電極とされ、配線パターンに接続される他方の内部スルー電極が略直方体の短辺方向に形成されるグランド内部スルー電極とされることを特徴とする。
【0013】
略直方体の形状をした3端子コンデンサは、通常、略直方体の長辺方向に形成される導体長の長いホット内部スルー電極が電源ライン用配線パターン、略直方体の短辺方向に形成される導体長の短いグランド内部スルー電極が接地電位等の基準電位に接続される。しかし、本構成では、これとは逆に、導体長の短いグランド内部スルー電極が配線パターンに、導体長の長いホット内部スルー電極が基準電位に接続される。このため、平滑コンデンサのESRに加わる内部スルー電極が有する直流抵抗成分は、ホット内部スルー電極が有する大きな直流抵抗成分となり、内部スルー電極の接続の仕方を適宜逆にすることで、より大きな直流抵抗成分を平滑コンデンサのESRに簡単に加えることが出来る。
【0014】
また、本発明は、3端子コンデンサの一方の内部スルー電極に並列に接続される抵抗値調整用配線パターンが回路基板に形成されていることを特徴とする。
【0015】
本構成によれば、平滑コンデンサに直列接続される3端子コンデンサの一方の内部スルー電極に、抵抗値調整用配線パターンが並列接続される。従って、平滑コンデンサのESRに加えられる直流抵抗成分は、内部スルー電極と抵抗値調整用配線パターンの各直流抵抗成分の並列合成値となる。このため、並列接続する抵抗値調整用配線パターンの形状を適宜設定することで、平滑コンデンサのESRに加わる直流抵抗成分を任意の値に容易に調整することが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、セラミックコンデンサのようなESRの小さいものを平滑コンデンサとして用いた場合にも、手間を要する回路設計をする必要なく、直流安定化電源の制御の安定化を簡単に図ることが出来る。また、従来のように多くの追加素子が必要とされないので、コストの上昇を抑制することが出来ると共に、回路基板に追加素子が占める面積の増大も抑制できて電子機器の小型化の要請を満たせる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本発明の一実施の形態による平滑コンデンサの回路基板への実装構造を示す回路基板の一部平面図、(b)は(a)に示す実装構造の等価回路図、(c)は(a)に示す実装構造を用いたスイッチング電源の回路図である。
【図2】(a)は図1に示す3端子コンデンサの外観斜視図、(b)はその内部構成を示す分解斜視図である。
【図3】図1に示す実施形態の第1の変形例による平滑コンデンサの回路基板への実装構造を示す回路基板の一部平面図である。
【図4】図1に示す実施形態の第2の変形例による平滑コンデンサの回路基板への実装構造を示す回路基板の一部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の一実施の形態による平滑コンデンサの回路基板への実装構造をスイッチング電源の出力回路に適用した場合について、説明する。
【0019】
図1(c)は、直流安定化電源を構成するこのスイッチング電源1の回路図である。
【0020】
スイッチング電源1は、PNP型のトランジスタQ、フライホイールダイオードD、チョークコイルL、平滑コンデンサC、帰還回路2、および3端子コンデンサ3を備えている。トランジスタQのエミッタは入力端子Vinに接続され、コレクタはチョークコイルLを介して出力端子Voutに接続されていると共に、フライホイールダイオードDを介して基準電位に接続されている。本実施形態ではこの基準電位は接地電位に設定されており、入力グランド端子GNDおよび出力グランド端子GNDにつながっている。出力端子Voutは、平滑コンデンサCおよび3端子コンデンサ3の後述するグランド内部スルー電極23を介して、基準電位に接続されている。帰還制御回路2は、コンパレータ4と基準電圧源Vrefとから構成される。コンパレータ4の非反転入力端子は出力端子Voutに接続され、反転入力端子は、一端が基準電位に接続された基準電圧源Vrefの他端に接続されている。また、コンパレータ4の出力はトランジスタQのベースに接続されている。
【0021】
トランジスタQは入力端子Vinに入力される直流電圧をスイッチングする。フライホイールダイオードDはトランジスタQのオフ時にチョークコイルLに電流を流し、トランジスタQによってスイッチングされた直流電圧は、チョークコイルLおよび平滑コンデンサCによって平滑化されて、出力端子Voutから出力される。帰還制御回路2は、出力電圧の変動の大きさをコンパレータ4によって基準電圧源Vrefの基準電圧と比較し、その比較結果に応じてトランジスタQのスイッチングをフィードバック制御して、直流出力電圧を安定化した所定値にする。
【0022】
図1(a)は、スイッチング電源1の出力回路部分の、本実施の形態による平滑コンデンサCの回路基板への実装構造を示す回路基板の一部平面図である。なお、同図において回路基板に実装される部品は点線、回路基板の表面に形成される配線パターンは実線で示している。
【0023】
回路基板の表面には、電源ライン用配線パターン11a,11bおよびグランド用配線パターン12a,12bが形成されており、一方のグランド用配線パターン12bはビアホール13を介して回路基板の内層に形成された図示しないグランドプレーン層に接続されている。グランドプレーン層は接地電位に接続されており、入力グランド端子GNDおよび出力グランド端子GNDにつながっている。
【0024】
電源ライン用配線パターン11aは、図示しない一端がトランジスタQのコレクタに接続されており、電気的に絶縁分離された電源ライン用配線パターン11bとの間に、チョークコイルLが実装される。また、電源ライン用配線パターン11bは、グランド用配線パターン12a,12bの形成箇所が切り欠かれた形状を有し、図示しない一端が出力端子Voutに接続されている。この電源ライン用配線パターン11bは、切り欠き部において、グランド用配線パターン12aとの間に平滑コンデンサCが実装される。また、電気的に絶縁分離されたグランド用配線パターン12a,12b間、および一定の距離を隔てて切り欠かれた電源ライン用配線パターン11b間には3端子コンデンサ3が実装される。
【0025】
図2(a)は3端子コンデンサ3の外観斜視図、同図(b)はその内部構成を示す分解斜視図である。
【0026】
3端子コンデンサ3は、積層セラミック・チップ・コンデンサであり、セラミック層20が積層されて略直方体の形状をした誘電体21内にホット内部スルー電極22およびグランド内部スルー電極23を備えて構成されている。ホット内部スルー電極22は、誘電体21内を直線状に貫通して設けられ、略直方体の長辺方向の両端が一対のホット電極3a,3bに接続されている。また、グランド内部スルー電極23は、略十字状に設けられ、略直方体の短辺方向の両端が一対のグランド電極3c,3dに接続されて、ホット内部スルー電極22との間で容量を形成する。誘電体21内には、ホット内部スルー電極22およびグランド内部スルー電極23と同様な不図示のホット内部スルー電極およびグランド内部スルー電極が交互に複数積層されて、複数の容量が形成されている。これら不図示のホット内部スルー電極およびグランド内部スルー電極も、ホット内部スルー電極22およびグランド内部スルー電極23と同様に、それぞれ、ホット電極3a,3bおよびグランド電極3c,3dに接続されている。
【0027】
上記の3端子コンデンサ3は、グランド電極3dが図1(a)に示すグランド用配線パターン12a、グランド電極3cがグランド用配線パターン12bに接続され、ホット電極3a,3bがそれぞれ電源ライン用配線パターン11bに接続される。図1(b)は同図(a)に示す実装構造の等価回路図である。なお、同図(b)において同図(a),(c)および図2と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0028】
従って、スイッチング電源1の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサCは、一端が、スイッチ電源1の出力端子Voutにつながる電源ライン用配線パターン11bに接続され、他端が、3端子コンデンサ3のグランド電極3c,3d間の一方のグランド内部スルー電極23およびビアホール13を介して接地電位に接続される。また、3端子コンデンサ3は、他方のホット内部スルー電極22の両端がホット電極3a,3bを介して電源ライン用配線パターン11bに並列に接続される。
【0029】
このような構成のスイッチング電源1において、出力端子Voutおよび接地電位間の直流抵抗分は、平滑コンデンサCのESR、グランド用配線パターン12aの直流抵抗成分、3端子コンデンサ3のグランド電極3c,3d間の直流抵抗成分、グランド用配線パターン12bのグランド電極3cからビアホール13までの直流抵抗成分、およびビアホール13の直流抵抗成分の和となる。しかし、これら直流抵抗成分の中で抵抗として主に寄与するのは、平滑コンデンサCのESRと、3端子コンデンサ3のグランド電極3c,3d間の直流抵抗成分である。そして、このグランド電極3c,3d間の直流抵抗成分は、グランド内部スルー電極23の形状に依存し、グランド内部スルー電極23の形状を適宜設定することで、任意の直流抵抗値に変えることが出来る。また、3端子コンデンサ3のグランド電極3c,3d間およびホット電極間3a,3bの各ESRは、機能性高分子コンデンサのESRとほぼ同じ値を有する。
【0030】
このように、本実施形態よる平滑コンデンサCの回路基板への実装構造によれば、スイッチング電源1の出力端子Voutと接地電位との間に、3端子コンデンサ3の一方のグランド内部スルー電極23が有する直流抵抗成分が、平滑コンデンサCのESRに加わった直流抵抗分が構成される。従って、機能性高分子コンデンサよりもESRの小さいセラミックコンデンサを電源回路出力の平滑コンデンサCとして用いても、ESRの小さくなる分が、チップ抵抗等を用いずに、今までノイズ除去のために不要とされていた3端子コンデンサ3のグランド内部スルー電極23が有する直流抵抗成分により、補われる。このため、前述の多くの利点を有する本実施形態のセラミックコンデンサのようなESRの小さいものを、機能性高分子コンデンサに代えて平滑コンデンサCとして用いた場合にも、従来の特許文献1に開示されたリップルコンバータのように手間を要する回路設計をする必要なく、機能性高分子コンデンサが使われていた時と同じ回路構成で、スイッチング電源1の制御の安定化を簡単に図ることが出来る。また、3端子コンデンサ3のみを追加することで制御の安定化を図ることが出来、特許文献1に開示された従来のように抵抗素子や容量素子等の多くの追加素子が必要とされないので、コストの上昇を抑制することが出来ると共に、回路基板に追加素子が占める面積の増大も抑制できて電子機器の小型化の要請を満たせる。また、出力電圧と負帰還アンプのフィードバック電圧との間に位相差があって共振回路を利用するときには、電源回路の再設計が別途必要となるが、本実施形態によれば、ESRの減少分を3端子コンデンサ3のグランド内部スルー電極23によって上記のように容易に補えるので、その再設計も容易になる。
【0031】
また、本実施形態よる平滑コンデンサCの回路基板への実装構造によれば、3端子コンデンサ3のホット内部スルー電極22が電源ライン用配線パターン11bに並列に接続されるため、電源ライン用配線パターン11a,11bに重畳する高周波ノイズは3端子コンデンサ3を介して接地電位に逃がされ、平滑コンデンサCのみをスイッチング電源1の出力端子Voutに接続している場合に比べて高周波特性が改善される。
【0032】
図3は、上述した実施形態の第1の変形例による平滑コンデンサCの回路基板への実装構造を示す回路基板の一部平面図である。なお、同図において図1(a)と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0033】
3端子コンデンサ3は、通常、上記のように、略直方体の長辺方向に形成される導体長の長いホット内部スルー電極22が電源ライン用配線パターン、略直方体の短辺方向に形成される導体長の短いグランド内部スルー電極23が接地電位等の基準電位に接続される。しかし、この第1の変形例による構成では、図3に示すようにこれとは逆に用いられ、ビアホール13を介して接地電位に接続される一方の内部スルー電極が略直方体の長辺方向に形成されるホット内部スルー電極22とされ、電源ライン用配線パターン11bに接続される他方の内部スルー電極が略直方体の短辺方向に形成されるグランド内部スルー電極23とされる
【0034】
従って、導体長の短いグランド内部スルー電極23がグランド電極3c,3dを介して電源ライン用配線パターン11bに、導体長の長いホット内部スルー電極22がホット電極3a,3bを介して接地電位に接続される。このため、平滑コンデンサCのESRに加わる内部スルー電極が有する直流抵抗成分は、ホット内部スルー電極22が有する大きな直流抵抗成分となり、内部スルー電極の接続の仕方を本変形例のように適宜逆にすることで、より大きな直流抵抗成分を平滑コンデンサCのESRに簡単に加え、スイッチング電源1の出力端子Voutと接地電位との間に構成される直流抵抗分を簡単に調整することが出来る。また、ホット電極3a,3b間の直流抵抗成分は、ホット内部スルー電極22の形状に依存し、ホット内部スルー電極22の形状を適宜設定することで、任意の直流抵抗値に変えることが出来る。
【0035】
図4は、上述した実施形態の第2の変形例による平滑コンデンサCの回路基板への実装構造を示す回路基板の一部平面図である。なお、同図において図1(a)と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
【0036】
この第2の変形例は、グランド用配線パターン12a,12b間の回路基板の表面に抵抗値調整用配線パターン31が形成され、3端子コンデンサ3のグランド電極3c,3d間に構成されたグランド内部スルー電極23が抵抗値調整用配線パターン31に並列に接続される点のみが、上述した実施形態と相違する。
【0037】
本変形例の構成によれば、平滑コンデンサCに直列接続される3端子コンデンサ3のグランド内部スルー電極23に、抵抗値調整用配線パターン31が並列接続されるため、平滑コンデンサCのESRに加えられる直流抵抗成分は、グランド内部スルー電極23と抵抗値調整用配線パターン31の各直流抵抗成分の並列合成値となる。このため、本変形例によっても、並列接続する抵抗値調整用配線パターン31の形状を適宜設定することで、平滑コンデンサCのESRに加わる直流抵抗成分を任意の値に容易に調整することが出来る。
【0038】
なお、上述した図3に示す第1の変形例の実装構造において、本変形例のようにグランド用配線パターン12a,12b間の回路基板の表面に抵抗値調整用配線パターンを形成し、3端子コンデンサ3のホット電極3a,3b間に構成されたホット内部スルー電極22が抵抗値調整用配線パターンに並列に接続されるように、構成してもよい。この構成によれば、平滑コンデンサCのESRに加えられる直流抵抗成分は、ホット内部スルー電極22と抵抗値調整用配線パターンの各直流抵抗成分の並列合成値となり、並列接続する抵抗値調整用配線パターンの形状を適宜設定することで、平滑コンデンサCのESRに加わる直流抵抗成分を任意の値に容易に調整することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本実施形態では、平滑コンデンサCの回路基板への実装構造をスイッチング電源1に適用した場合について、説明した。しかし、本発明による平滑コンデンサCの回路基板への実装構造は、スイッチング電源1に限定されるものではなく、その他の直流安定化電源へも同様に適用することが可能であり、その場合にも上述した実施形態と同様な作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0040】
1…スイッチング電源
2…帰還制御回路
3…3端子コンデンサ
3a,3b…ホット電極
3c,3d…グランド電極
4…コンパレータ
11a,11b…電源ライン用配線パターン
12a,12b…グランド用配線パターン
13…ビアホール
20…セラミック層
21…誘電体
22…ホット内部スルー電極(他方の内部スルー電極)
23…グランド内部スルー電極(一方の内部スルー電極)
Q…トランジスタ
D…フライホイールダイオード
C…平滑コンデンサ
L…チョークコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流安定化電源の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサの回路基板への実装構造であって、
前記平滑コンデンサは、一端が、前記直流安定化電源の出力につながる配線パターンに接続され、他端が、3端子コンデンサの一方の内部スルー電極を介して基準電位に接続され、
前記3端子コンデンサは、他方の内部スルー電極が前記配線パターンに並列に接続される
ことを特徴とする平滑コンデンサの回路基板への実装構造。
【請求項2】
前記3端子コンデンサは、略直方体の形状をしており、前記基準電位に接続される前記一方の内部スルー電極が前記略直方体の長辺方向に形成されるホット内部スルー電極とされ、前記配線パターンに接続される前記他方の内部スルー電極が前記略直方体の短辺方向に形成されるグランド内部スルー電極とされることを特徴とする請求項1に記載の平滑コンデンサの回路基板への実装構造。
【請求項3】
前記3端子コンデンサの前記一方の内部スルー電極に並列に接続される抵抗値調整用配線パターンが回路基板に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平滑コンデンサの回路基板への実装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−21800(P2013−21800A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152568(P2011−152568)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】