説明

平滑剤およびへこみ防止剤

【課題】少なくとも一つのフッ素化された単位を含む重合体の、平滑剤またはへこみ防止剤を提供する。
【解決手段】式Iで表される、少なくとも一つのフッ素化された単位を含む重合体の、平滑剤またはへこみ防止剤としての使用。


[式中、RはC2n+1−(CH−、AC2n−(CH−等の基、Rは、H、金属部分、(アルキル)アンモニウム部分、アルキル基、C2n+1−(CH−等の基、R及びRは独立して、H、アルキル基又はフェニル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロエステルを含む重合体の、平滑剤(levelling agent)またはへこみ防止剤(anti-cratering agent)としての使用に関する。本発明は、さらに、フルオロエステル部分を有する特定の重合体にも関する。
【0002】
ペイント、印刷インク、プラスチック配合物などのような液体樹脂溶液(液体系)の、固体の基体への塗布に関する難点は、特に、液体系の表面張力が高く、固体の基体の表面張力がより低いときに、当技術に広く知られている。
【0003】
そのような液体系は、代表的には、溶媒、樹脂、ならびに場合により顔料、増量剤および添加物で構成される。特に、現代の合成樹脂は、設計および機能の上で、天然の脂肪酸および油に基づく昔からの樹脂に比べて、より高い固有表面張力を有する。したがって、現代の液体系、たとえばエポキシ類、ポリエステル/メラミン類またはポリウレタン類のような現代の二成分系を塗布するのは、(慣用の)アルキド類を塗布するより困難であり得る。
【0004】
水を溶媒として用いるならば、当然、液体配合物の表面張力は高い。これは、専門技術者に、均質な薄膜によって保護機能を確保する美的な表面を得るために、平滑剤およびへこみ防止剤を用いることを余儀なくさせる。液体系の表面張力を、基体の表面張力を下回る値まで低下させることによって、液体の展性が改良され、表面を平滑にすることができ、美的に、より魅力的な薄膜が得られる。あばたは、外部から液状の薄膜に入りこむ汚染物によって生じるか、または基体に既に存在する。へこみ形成を回避するには、液体系は、汚染物自体(通常はシリコーンまたは鉱油の微滴)より低い表面張力を有する必要がある。
【0005】
平滑化、基体のぬれ、およびへこみ防止の目的で、市場は、有機的に修飾されたポリシロキサンから、フッ化炭化水素類、蝋およびその他の陰イオン性、陽イオン性、または電気的に中性の有機界面活性剤にわたる、様々な製品を提供するが、それらは、気泡形成、気泡の安定性、表面滑り、上塗り適合性の問題、および液体系における不相溶性のような周知の短所を示して、あばた、曇り、光沢消失、マイグレーション、汗かき、および不充分な貯蔵安定性を生じさせる。
【0006】
図らずも、ある量のフッ化炭化水素を重合体に与えることによって、液体樹脂系の平滑化およびへこみ防止作用を、上塗り適合性の問題を引き起こすことなく達成できることが見出された。
【0007】
汚れおよびシミ防止剤として数多くのフッ素化重合体を用いることは、米国特許第4,075,237号および第5,770,656号明細書から公知である。本明細書記載の重合体は、仕上がった基体に塗布される。そのようにして塗布されたとき、そのような重合体は、通常、汚れおよびシミ防止剤としての性能のベースである疎水性、極めて低い表面張力、およびその高い過フッ化炭化水素含量を原因とする、あばたの形成と上塗り適合性の問題をもたらす。
【0008】
ここに、ある種のフッ素化単位をもつ不飽和ジカルボン酸の一定のエステル部分の有効量を含む、特定の重合体が、非常に適切なへこみ防止剤および/または平滑剤であることが見出された。
【0009】
上記により、本発明は、平滑剤またはへこみ防止剤としての重合体の使用であって、該重合体が、式I:
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、
1は、Cn2n+1−(CH2m−、ACn2n−(CH2m−、Cn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p、Cn2n+1−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−またはCn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−で表される部分であって、
A=H、Cl、Br、I、C1〜C12アルキルまたは−OC1〜C12アルキルであり、
4≦n≦20、0≦m≦4、かつ0≦p≦20であり、
Xは、エステル、アミド、スルホアミド、メルカプト基、ポリウレタン基およびアルキル基からなる群より選ばれるスペーサー部分であり;
2は、H、金属部分、(アルキル)アンモニウム部分、アルキル基、Cn2n+1−(CH2m−、ACn2n−(CH2m−、Cn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p、Cn2n+1−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−またはCn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−であって、
Aは、H、Cl、Br、I、C1〜C12アルキルまたは−OC1〜C12アルキルであり、
4≦n≦20、0≦m≦4かつ0≦p≦20であり、
Xは、エステル、アミド、スルホアミド、メルカプト基、ポリウレタン基およびアルキル基からなる群より選ばれるスペーサー部分であり;
3およびR4は、独立して、H、アルキル基およびフェニル基からなる群より選ばれ;
5は、それぞれ、Hまたはメチル基である]
で表される、1個またはそれ以上のフッ素化された単位を含む使用に関する。
【0012】
本発明による重合体の使用は、基体の完全なぬれのような利益を与える。また、あばたおよびピンホールの形成を防止し、乾燥塗膜の改善された美的価値をもたらす、滑らか、かつ/または均等に平滑したオレンジピールなしの塗膜を与えるのにも役立ち得る。また、乾燥工程の間の縁部のめくれ、エアードラフト感度、フィッシュアイおよび/またはその他の液体樹脂溶液の膜の乾きの作用も、回避されるか、または少なくとも有意に低減され得る。また、ベナール(Benard)セルは隠蔽され、テレグラフィングは回避または削減され得る。ベナールセルは、乾燥の際に、ペイントなどにおける、顔料の乱流運動によって生じる。テレグラフィングは、基体の、異なる表面張力領域が塗装膜の上面に伝達されることにより生じる。本発明による平滑剤を加えることによって、表面を平坦化することができる。
【0013】
加えて、そのような重合体は、ポリシロキサン、イオン性および電気的中性の有機化合物、フッ化炭化水素などのような、消泡剤として用いられる慣用の界面活性剤に比べて、使用を拡大する、低い発泡特性を示す。これらのすべてが、乾燥薄膜の上塗り適合性を失うことなく達成され得る。
【0014】
好ましい実施態様では、重合体の一つまたはそれ以上のフッ素化された単位は、nが4〜14、より好ましくは6〜10である式Iによって表される。
【0015】
重合体のフッ素化単位の50%以上、好ましくは70〜100%が、nが4〜10、好ましくは6〜10、特にnが6または8である式Iによって表される、重合体を用いたとき、非常に優れた結果が得られている。
【0016】
もう一つの好ましい実施態様では、R1、および場合によりR2のCH2単位の数(m)は、1、2または3である。より好ましくは、R1および/またはR2のmは、2である。
【0017】
もう一つの好ましい実施態様では、R1、および場合によりR2の−(OCH2CHR5)単位の数(p)は、0、6、7または8である。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、フッ素化された単量体単位の50%以上、好ましくは90〜100%が、モノエステルである。高レベルのモノエステルを有する重合体を用いることの利点は、そのようなエステルを製造する容易さに関連する。そのような重合体のもう一つの利点は、残存したCO2H−基の中和によって効率的なやり方で、水溶性にすることができるという事実である。
【0019】
非常に優れた結果は、R1部分の少なくとも大部分、および場合によりR2の少なくとも大部分が直鎖状フルオロアルキル部分を表す、重合体を用いても達成された。
【0020】
特に好ましいフッ素化単位(R1、R2)の例は、(1H,1H,2H,2H)ペンタデカフルオロオクチル、(1H,1H,2H,2H)ヘプタデカフルオロデシル、(1H,1H,9H)ヘキサデカフルオロノニル、(1H,1H,7H)ドデカフルオロヘプチル、N−ブチルおよびN−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチル、(1H,1H,2H,2H)ペンタデカフルオロオクチルヘプタエトキシラートおよび(1H,1H,2H,2H)ヘプタデカフルオロデシルヘプタエトキシラートである。
【0021】
1および/またはR2のスペーサー(X)の好ましい例は、エステル、たとえば−O−CO(CH2x−または−CO−O(CH2x−、アミド、たとえば−NRCO(CH2x−または−CONR(CH2x−、スルホアミド、たとえば−SO2NR(CH2x−、メルカプト基、たとえば−S(CH2x−、ポリウレタン、たとえば−O−CONH(CH2x−または−NH−CO2(CH2x−、エーテル、たとえば−O(CRHCH2x−、直鎖状または分枝鎖状アルキル、たとえば−(CRH)x−またはアルケニル、たとえば−CR=CR(CRH)x−(式中、x=0〜12であり、R=HまたはC1〜C12アルキルである)を包含する。
【0022】
本発明は、様々な適用、たとえば、水性系(たとえば、エマルションラッカー、たとえばポリウレタン、アルキド、アクリル、ポリエステルメラミンに基づくラッカー)、水還元性系(2Kポリウレタン、アルキド、アクリル、エポキシ、ビニル共重合体)、(有機)溶媒に基づく系(たとえば、ポリウレタンに基づく、焼付けアルキド/メラミンまたはポリエステル/メラミンに基づく、エポキシに基づく、自然乾燥性アルキド、ニトロセルロース、CAB、不飽和ポリエステル、アクリル、シリコーン樹脂、UV/EB硬化性樹脂、ビニル共重合体、塩素化ゴム)、およびプラスチック配合物(熱および室温硬化性不飽和ポリエステル、エポキシ、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル)のような、コーティングおよびインクに、非常に優れたへこみ防止の特徴を与え、かつ/または平滑剤として非常に申し分なく用い得ることが見出された。
【0023】
本発明に従って用いられる重合体は、式Iによって定義される、異なるフッ素化単位の共重合体であってよい。しかし、重合体は、その他の単量体単位(共単量体とも呼ばれる)を含んでもよい。
【0024】
適切な共単量体の例は、アルキルビニルエーテル類、たとえば、メチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、イソアミルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、(2−エチルブチル)ビニルエーテル、(ジイソプロピル)メチルビニルエーテル、(1−メチルヘプチル)ビニルエーテル、n−デシルビニルエーテル、n−テトラデシルビニルエーテルおよびn−オクタデシルビニルエーテルである。
【0025】
また、下記のアミノアルコール類のビニルエーテル類:すなわち、エタノールアミンビニルエーテル、2−(ジメチルアミノ)エタノールビニルエーテル、N−ヒドロキシルエチル−m−トルイジンビニルエーテル、(ヒドロキシルエチル)ブチルアニリンビニルエーテル、およびβ−ピペリジノエタノールビニルエーテルなども包含される。
【0026】
また、有用なのは、γ−置換エーテル類、たとえば、(α−メチルビニル)メチルエーテル、(α−メチルビニル)エチルエーテル、(α−アミルビニル)メチルエーテルおよび(α−フェニルビニル)エチルエーテル;脂環式およびアラルキルビニルエーテル類、たとえばシクロヘキサノールビニルエーテル、メントールビニルエーテル、カルバクロールビニルエーテル、ベンジルアルコールビニルエーテル、β−フェニルエタノールビニルエーテル、テトラヒドロナフトールビニルエーテル、β−デカヒドロナフトールビニルエーテル、メチルフェニルカルビノールビニルエーテル、ブチルシクロヘキサノールビニルエーテルおよびジヒドロアビクチノールビニルエーテルである。
【0027】
加えて、ビニルアリールエーテル類、たとえば、ビニルフェニルエーテル、α−ブロモビニルフェニルエーテル、(α−フェニルビニル)フェニルエーテル、ビニルm−クレジルエーテル、(α−メチルビニル)p−クレジルエーテル、ビニルp−クロロフェニルエーテル、ビニル2,4,6−トリクロロフェニルエーテルおよびビニルα−ナフチルエーテルもそうである。
【0028】
重合体の有用な共重合体は、ビニルエステル類で、たとえば、ビニルアセタート、置換された酸のビニルエステル類、たとえばビニルメトキシアセタート、ビニルトリメチルアセタート、ビニルイソブチラート、イソプロペニルブチラート、ビニルラクタート、ビニルカプリラート、ビニルペラルゴラート、ビニルミリスタート、ビニルオレアートおよびビニルリノラート;芳香族酸のビニルエステル類、たとえばビニルベンゾアート、ビニルアルコキシベンゾアート、ビニルオクチルフタラート、ビニルテトラクロロベンゾアート、ビニルβ−フェニルブチラート、ビニルβ−ナフトアートおよびビニルエチルフタラート;ビニルホルマートおよびビニルカルボナート誘導体、たとえばビニルホルマート、ビニルクロロホルマート、メチルビニルクロロホルマート、ビニルメチルカルボナート、ビニルエチルカルボナート、ビニルフェニルカルボナートおよびビニリデンカルボナート;ビニルチオエステル類、たとえばビニルメチルスルフィド、ビニルn−ブチルスルフィド、1−クロロエチルビニルスルフィド、2−クロロエチルビニルスルフィド、ビニルドデシルスルフィド、ビニルフェニルスルフィド、ビニルo−クレジルスルフィド、ビニル2,5−ジメチル−4−クロロフェニルスルフィド、ビニル8−クロロナフチルスルフィドおよびビニル2−ベンゾチアジルスルフィドで形成されてもよい。
【0029】
やはり共単量体として有用なのは、本発明の新規なエステル類と容易に共重合するスチレンおよび関連単量体、たとえばo−メチルスチレン、p−メチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、m−エチルスチレン、2,5−ジエチルスチレン、p−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−ベンジルスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、6−メトキシ−3−メチルスチレン、2,6−ジメトキシスチレンおよび2−メトキシ−5−イソプロピルスチレン;α−メチルスチレン誘導体、たとえば4−クロロ−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−α−メチルスチレン、3−ブロモ−2−メチル−α−メチルスチレンおよび2,5−ジクロロ−α−メチルスチレン;クロロスチレン誘導体、たとえばm−クロロスチレン、2,3−ジクロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、トリクロロスチレンおよびペンタクロロスチレン;ブロモ−およびフルオロオロスチレン誘導体、たとえばp−ブロモスチレン、m−フルオロスチレン、m−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンおよびペンタフルオロスチレン;その他のスチレン誘導体、たとえばp−ホルミルスチレン、p−ビニル安息香酸メチルエステル、p−ビニルベンジルアルコール、1,4−ジメチル−2−ヒドロキシスチレン、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシスチレン、2−ニトロ−4−イソプロピルスチレン、p−N,N−ジメチルアミノスチレン、N−(ビニルベンジル)ピロリジンおよびスルホアミドスチレン;ビフェニル、ナフタレンおよび関連芳香族化合物のビニル誘導体、たとえば4−クロロ−4′−ビニルビフェニル、o−イソプロペニルビフェニル、p−ビニルジフェニルオキシド、4−クロロ−1−ビニルナフタレン、1−クロロ−4−ビニルナフタレンおよび1−ビニルアシナフタレン;ビニルフラン、ビニルベンゾフラン、ビニルイミダゾールおよびビニルピリジン、たとえば2−ビニルジベンゾフラン、5−エチル−2−ビニルチオフェン、5−クロロ−2−ビニルチオフェン、3,4,5−トリクロロ−2−ビニルチオフェンおよび2−ビニルジベンゾチオフェンである。
【0030】
追加的な有用な共単量体は、エチレン、ならびにアルキレンのクロロ−、フルオロ−およびシアノ−誘導体、たとえばエチレン、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、ビニルフルオリド、ビニリデンフルオリド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン;アクリラートおよびメタクリラート単量体、特にエステル基に1〜12個の炭素原子を有するもの、たとえばモノフルオロエチルメタクリラート、n−プロピルメタクリラート、2−メチルシクロヘキシルメタクリラート、エチレングリコールモノメタクリラート、β−ブロモエチルメタクリラート、β−フェニルエーテルメタクリラート、o−クレジルメタクリラートおよびβ−ナフチルメタクリラート、メチルメタクリラート、t−ブチルメタクリラート、n−ブチルメタクリラート、メチルアクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、ブチルアクリラート、3−メチル−1−ペンチルアクリラート、オクチルアクリラート、テトラデシルアクリラート、s−ブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、2−メトキシエチルアクリラートおよびフェニルアクリラート、アクリル酸、メタクリル酸、α−ハロゲンアクリラート類、たとえばメチルクロロアクリラート、メチルブロモアクリラート、エチルクロロアクリラート、s−ブチルクロロアクリラート、シクロヘキシルクロロアクリラート、フェニルクロロアクリラート、シクロヘキシルブロモアクリラート、n−プロピルクロロアクリラート、イソプロピルクロロアクリラート、n−ブチルクロロアクリラートおよびメチルフルオロアクリラート;ジエン類、特に1,3−ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレン、2−フルオロブタジエン、1,1,3−トリフルオロブタジエン、1,1,2,3−テトラフルオロブタジエン、1,1,2−トリフルオロ−3,4−ジクロロブタジエン、トリ−およびペンタフルオロブタジエンならびにイソプレン;窒素−ビニル単量体、たとえばN−ビニルイミド類、アミド類、およびビニルスクシンイミド、ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどのような第二級環状アミンである
【0031】
好ましい共単量体は、アルキル(メタ)アクリラート単位および/もしくは(メタ)アクリル酸、ならびに/または重合可能な基を形成することができるその他のビニル性化合物(たとえば、スチレン、n−プロピルメタクリラート、2−メチルシクロヘキシルメタクリラート、エチレングリコールモノメタクリラート、t−ブチルアクリラート、イソブチルメタクリラート、イソブチルアクリラート、o−クレジルメタクリラート、t−ブチルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルメタクリラート、3−メチル−1−ペンチルアクリラート、オクチルアクリラート、テトラデシルアクリラート、s−ブチルアクリラート、s−ブチルメタクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラート、2−メトキシエチルアクリラート、フェニルアクリラート、アクリル酸、メタクリル酸、1,3−ブタジエン、イソプレン、ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルイミダゾールおよびビニルピリジン、p−メチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、m−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、2,6−ジメトキシスチレン、イソプロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、(2−エチルブチル)ビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、(α−メチルビニル)エチルエーテル、シクロヘキサノールビニルエーテル、ベンジルアルコールビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルアセタート、ビニルメトキシアセタート、ビニルイソブチラート、ビニルオレアート、ビニルベンゾアート、ビニルオクチルフタラート)を包含する。
【0032】
共重合体は、たとえば、ランダム共重合体、交互共重合体またはブロック共重合体であってよい。好ましくは、共重合体はランダム共重合体である。
【0033】
へこみ防止剤または平滑剤として用いられるフッ素化重合体は、(たとえば上記で特定したような)生成物中に広い濃度範囲内で存在してよく、その範囲内で、当業者は、特定の適用に適する濃度を決定することができる。
【0034】
とりわけ、重合体を水性溶媒または有機溶媒に基づくラッカー中で用いたときは、非常に優れた結果が、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜2.5重量%、より好ましくは0.4〜1.5重量%のフッ素化重合体を含む生成物で達成された。共重合体中のフッ素化単位の量は、広範囲fr変化させてよい。本発明の使用の好ましい実施態様では、フッ素化重合体は、0.1〜30重量%のフッ素化単位を含む。平滑剤として用いたときは、非常に優れた結果が、0.2〜10重量%のフッ素化単位を含むフッ素化重合体を含有する組成物(例えば、水性溶媒または有機溶媒に基づく樹脂溶液)で達成された。特に優れた結果は、フッ素化重合体が0.5〜4重量%のフッ素化単位を含む、フッ素化重合体を平滑剤として含む組成物で達成された。
【0035】
へこみ防止剤としての特に好ましい使用では、フッ素化重合体は、2〜25重量%のフッ素化単位を含む。優れた結果は、とりわけ、10〜18重量%のフッ素化単位を含むフッ素化重合体を用いたときに達成された。
【0036】
本発明は、さらに、式Iで表される少なくとも1個のフッ素化単量体の単位を含み1個またはそれ以上のアルキル(メタ)アクリラート単位および/もしくは(メタ)アクリル酸、ならびに/または基を形成することができるビニル性化合物に由来するその他の部分(たとえば、スチレン、n−プロピルメタクリラート、2−メチルシクロヘキシルメタクリラート、エチレングリコールモノメタクリラート、t−ブチルアクリラート、イソブチルメタクリラート、イソブチルアクリラート、o−クレジルメタクリラート、t−ブチルメタクリラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタクリラート、メチルアクリラート、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、プロピルアクリラート、イソプロピルメタクリラート、3−メチル−1−ペンチルアクリラート、オクチルアクリラート、デトラデシルアクリラート、s−ブチルアクリラート、s−ブチルメタクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、2−エチルヘキシルメタクリラート、2−メトキシエチルアクリラート、フェニルアクリラート、アクリル酸、メタクリル酸、1,3−ブタジエン、イソプレン、ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルイミダゾールおよびビニルピリジン、p−メチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、m−エチルスチレン、p−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、2,6−ジメトキシスチレン、イソプロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、(2−エチルブチル)ビニルエーテル、n−オクタデシルビニルエーテル、(α−メチルビニル)エチルエーテル、シクロヘキサノールビニルエーテル、(ベンジルアルコール)ビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルアセタート、ビニルメトキシアセテート、ビニルイソブチラート、ビニルオレアート、ビニルベンゾアート、ビニルオクチルフタラート)をさらに含む、新規重合体にも関するものである。これらの重合体は、湿潤剤、へこみ防止剤、平滑剤、結合剤、汚れ/シミ防止剤またはサイジング剤として非常に適切であることが見出されている。本発明による新規重合体、または本発明に従って用いられる重合体に特に好ましいアルキル(メタ)アクリラートは、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、s−ブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、エチルヘキシル(メタ)アクリラート、および(メタ)アクリル酸を包含する。
【0037】
本発明による、より好ましい重合体では、R1、および場合によりR2は、直鎖状フルオロアルキル部分を表す。
【0038】
本発明による重合体、または本発明に従って用いられる重合体は、1,000〜50,000g/molの範囲内、より好ましくは2,000〜20,000g/molの範囲内、たとえば2,500〜4,00g/molの範囲内の数平均分子量を有する、
【0039】
非常に優れた結果は、1〜4、たとえば1.1〜2の範囲内の多分散度(Mw/Mn)を有する重合体によっても達成された。
【0040】
この重合体は、たとえば、アニオン重合、原子移動機構、ニトロキシド介在手法その他の制御された重合手法によって得られる、リビングポリマーであってよい。リビングポリマーの利点は、より狭い融点範囲、およびより低い粘度をもたらす、より狭い分子量分布と組み合わされた、テーラーメードの分子構成である。
【0041】
非常に優れた結果は、有機溶媒もしくは水に可溶であるか、または酸性部分の中和後に水溶性にされる、液体または固体(たとえば粉末)形態の重合体によっても達成された。そのような系は、水に基づく系に特に適する。
【0042】
酸性部分を中和するのに適する中和剤は、たとえばジメチルエタノールアミン、アンモニア、その他の第一級、第二級もしくは第三級アミン、またはアルカリ水酸化物である。揮発性アミンの中和剤を用いることの利点は、塗膜の乾燥段階の間に、アミン中和剤が蒸発して、より耐水性に富む重合体を後に残すことである。
【0043】
原則として、式Iで表される少なくとも1個のフッ素化単位を含む重合体は、いかなる方法によって、たとえば、熱ラジカル、制御されたラジカル、アニオンまたはカチオン重合の手法によって製造してもよく、それをどのように実施するかは、当業者に公知であろう。本発明の単量体化合物は、当業者に熟知された手順を追って製造し得る。
【0044】
用いられる出発材料は、一般的には、商業的に入手することができ、かつ/または当業者に熟知された方法に従って容易に製造し得る。
【0045】
基本的な出発材料は、様々な長さのフルオロアルキル基を生じるテロメリゼーションによって得られることが多いことから、ペルフルオロアルキル基は、望みであれば、様々な鎖長の混合物であり得ることを理解しなければならない。米国特許第3,226,449号明細書は、本発明の重合体を製造するための単量体の製造に出発材料として用い得る、特定のペルフルオロアルキルヨージドの製造に役立つ方法を例示している。
【0046】
本発明のエステル単量体は、一般的には、環状無水物と過フッ素化アルコールとの、酸と過フッ素化アルコールとの、またはアルキルエステルと過フッ素化アルコールとの、周知のエステル化反応によって製造することができる。言うまでもなく、対応するメルカプタンおよびアミンも、アルコールに代用してよいことが理解される。エステル化は、触媒の不在下で実施してよい。
【0047】
代表的には、フッ素化アルコールを、当モル量の無水マレイン酸と混合し、>40℃に加熱すると、この温度で、環状無水物の発熱開環が起こり始め、フッ素化アルコールのモノマレイン酸エステルを形成する。この反応は、溶媒または触媒を添加せずに実施することができるが、場合により、50%以上の濃度のエステル、芳香族炭化水素、ケトンなどのような非プロトン性溶媒中で実施することもできる。触媒としては、金属塩および金属錯体、たとえばジラウリン酸ジブチルスズおよびチタン酸テトライソプロピルを<1%で加えることができる。この転換率は、1H−NMRによってか、または酸価の測定によって決定することができる。
【0048】
マレイン酸のジエステルを合成するには、実用上は、上記のとおりにモノエステルを形成し、第二のエステルを、形成される反応水との共沸混合物を形成する、キシレンのような溶媒、およびp−トルエンスルホン酸のような触媒の存在下で、150℃を越える温度でエステル化する。
【0049】
フッ素化アルコールからマレイン酸のモノ−およびジ−フルオロアルキルエステルを得る他の方法は、低沸点アルコールのマレイン酸ジエステル、たとえばジエチルマレアートおよびジブチルマレアートとのエステル交換反応であって、これによって、エステルのアルキル基が、有機チタン酸エステル、および場合により高温の溶媒の存在下、遊離されるアルキルアルコールの除去の下で、フルオロアルキル鎖と交換される。
【0050】
対応するアミン、たとえばペンタデカフルオロオクチルアミンをアルコールに代えて用いるときは、反応を、当モル量の無水マレイン酸またはマレイン酸とフッ素化アミンとで実施するならば、マレイミドがマレイン酸の半エステルに代えて形成される。
【0051】
得られたマレイン酸モノ−またはジ−フルオロアルキル誘導体の重合は、塊状、溶液、懸濁液または乳濁液中で実施してよい。
【0052】
上記に示したとおり、本発明による重合体を製造するのに適する単量体は、1種類またはそれ以上の、その他のエチレン性不飽和の共単量体と共重合させてよい。好ましい重合手法は、熱ランダム溶液重合である。
【0053】
熱ランダム溶液重合では、単量体または単量体混合物を、ある時間にわたって、反応容器内の適切な溶媒、たとえば、芳香族および脂肪族炭化水素(たとえばキシレン、トルエン)、ケトン(たとえばアセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトン)、エステル(たとえばエチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセタート)、アルコール(たとえばs−ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール)、水、氷酢酸またはそれらの混合物に、0.1〜5.0%の濃度の開始剤、たとえばアゾビスイソブチロニトリルもしくは他のアゾ開始剤、またはジ−t−ブチルペルオキシドもしくは他のペルオキシドおよびペルオキシエステルを用いて、40〜160℃の反応温度で、たとえば窒素下で加える。
【0054】
価値ある共重合体が、前述の過フッ素化単量体と、エチレン性不飽和を有するその他の重合性単量体、たとえば上記のものとの重合によって得られる。
【0055】
本発明は、さらに、本発明による新規な重合体を含む組成物にも関する。本発明による重合体は、たとえば、コーティング、印刷インクまたはプラスチック配合物のような組成物に、非常に適切に用い得る。
【0056】
そのような製品は、たとえば、フタロシアニン、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化第一鉄、アルミシリカート、キナクリドン、アントロキノン、ジケトピロロピロール、ベンズイミダゾロンおよびイソインドリノンからなる群より選ばれる、1種類またはそれ以上の顔料と、1種類またはそれ以上の増量剤、たとえば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ケイ素、三水酸化アルミニウム、有機繊維、ガラスと、場合により、1種類またはそれ以上の分散剤、たとえば、ポリウレタン分散剤、ポリエステル分散剤、ポリアクリラート分散剤、ポリエーテル誘導体、脂肪酸誘導体、アルキルスルファートをさらに含んでもよい。
【0057】
本発明による重合体は、0〜85重量%、好ましくは3〜70重量%の顔料および/または増量剤と、0.1〜5重量%、好ましくは0.4〜1.5重量%の本発明によるフッ素化重合体と、10〜95重量%、好ましくは25〜40重量%の樹脂と、0〜90重量%、好ましくは20〜50重量%の水および/または非水性液体と、0〜15重量%、好ましくは1〜5重量%の分散剤とを含む、分散中に用いるのが非常に適切であり得る。非常に優れた結果は、主としてこれらの成分からなる分散剤によって達成された。
【0058】
ここで、本発明を、いくつかの実施例によって例示することにする。
【0059】
実験
フッ素化中間体のための一般的手順
中間体A:
窒素雰囲気下で、無水マレイン酸(8.6g、1当量)およびZonyl FSO-100(MW:約725.64g、1当量)を、室温で反応器に入れ、120℃に1時間加熱した。溶媒または触媒は、全く加えなかった。3時間後、中間体Aを、帯黄色液体として得た。
【0060】
同様にして、下記の中間体(B〜F)を製造した:
中間体B:無水マレイン酸4gおよびZonyl BA-L(MW:約443)18.1gにより、黄色固体。
中間体C:無水マレイン酸16gおよびFluowet EA800(MW:約464)75.8gにより、白色固体。
中間体D:無水マレイン酸15.5gおよびZonyl FSN-100(MW:約950)150gにより、ワックス状固体。
中間体E:シトラコン酸無水物2.84gおよびFluowet EA612(MW:約448)11.35gにより、白色固体。
中間体F:無水マレイン酸5.66gおよびForalkyl EOH-6N-LW(MW:約475)27.45gにより、白色固体。
中間体G:窒素雰囲気下で、無水マレイン酸(5.66g、1当量)、キシレン(60g)、Foralkyl EON-6N-LW(54.83g、MW:約475、2当量)、およびトルエン−4−スルホン酸(0.5g)を還流した。反応水を、共沸条件下で留去した。算出された量の反応水が分離されたとき、エステル化は完了した。溶媒を除去した後、中間体Gを帯黄色のワックスとして得た。
【0061】
商標のフルオロアルコールの化学的組成に対する解説:
Zonyl BA-L:Rf=C49<4%、C61350+/−3%、C81729+/−2%、C102111+/−2%である、直鎖状フルオロアルコールRfCH2CH2OHと、6%未満のフッ素化化合物C1225との混合物。混合物の平均MWは、443g/molであり;混合物は、DuPont社に由来する。
Zonyl FSO-100:y=0〜15、Rf=C49<4%、C61350+/−3%、C81729+/−2%、C102111+/−2%である、ポリオキシエチレン直鎖状フルオロアルコールRfCH2CH2O(CH2CH2O)Hと、6%未満のフッ素化化合物C1225との混合物。混合物の重量平均分子量は、725g/molであり;混合物は、DuPont社に由来する。
Zonyl FSN-100:y=0〜25、Rf=C61350<6%、C81750+/−3%、C102129+/−2%、C122511+/−2%である、ポリオキシエチレン直鎖状フルオロアルコールRfCH2CH2O(CH2CH2O)Hと、C1429<4%との混合物。混合物の重量平均分子量は、950g/molであり;混合物は、DuPont社に由来する。
Fluowet EA800:直鎖状フルオロアルコールC817CH2CH2OH790%、重量平均分子量464g/mol;Clariant社に由来する。
Fluowet EA612:Rf=C61342+/−4%、C81731+/−3%、C102114.5+/−2.5%である、直鎖状フルオロアルコールRfCH2CH2OHと、10%未満のフッ素化化合物C1225との混合物であり;混合物の重量平均分子量は、448g/molである;混合物は、Clariant社に由来する。
Foralkyl EON-6N-LW:Rf=C61345+/−10%、C81736+/−10%、C102112+/−5%である、直鎖状フルオロアルコールRfCH2CH2OHと、10%未満のフッ素化化合物C1225との混合物であり、混合物の重量平均分子量は、475g/molである;混合物は、Atofina社に由来する。
Fluorad FC10:直鎖状フルオロアルコール:N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアルコール85+/−5%、N−エチルペルフルオロC4〜C7アルキル−スルホンアミドエチルアルコール15+/−5%の混合物であり、混合物の重量平均分子量は、約575g/molである;混合物は、3M社に由来する。
【0062】
平滑剤:
アクリル系重合体合成のための一般的手順:
例1:
キシレン(30g)を、窒素雰囲気下の三つ口フラスコに入れ、還流温度(140℃)まで加熱した。n−ブチルアクリラート76.18g、イソブチルメタクリラート21.13g、中間体A0.73g、およびジ−t−ブチルペルオキシド1.96gからなる予備混合物を、3時間加えた。予備混合物を加えた後、フラスコの内容を、140℃でさらに4時間撹拌した。キシレン6gの添加によって、固体内容を70%に補正して、帯黄色の澄明な液体を得た。製造された重合体の分子量計算値は、約3,700g/mol(Mn)であった。
【0063】
下記の実施例では、類似の重合手順を追った。
【0064】
例2:
下記の予備混合物による平滑剤:
n−ブチルメタクリラート 65.08g
イソブチルアクリラート 21.46g
メタクリル酸 9.00g
中間体B 2.21g
ジ−t−ブチルペルオキシド 2.25g
s−ブタノール中60%、帯黄色のやや混濁した液体。
【0065】
この混合物を、例1に記載したとおりに重合させた。
【0066】
例3:
下記の予備混合物による平滑剤:
n−ブチルアクリラート 85.40g
エチルヘキシルアクリラート 11.89g
中間体C 0.91g
ジ−t−ブチルペルオキシド 1.80g
キシレン/s−ブタノール(4:1)中50%、帯黄色のやや混濁した液体。
【0067】
この混合物を、例1に記載したとおりに重合させた。製造された重合体の分子量計算値は、約4,000g/mol(Mn)であった。
【0068】
例4:
下記の予備混合物によるへこみ防止剤:
イソブチルメタクリラート 14.38g
メタクリル酸 15.23g
n−ブチルアクリラート 51.90g
中間体A 16.54g
t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート 1.95g
s−ブタノール中60%、澄明な微黄色の液体。
【0069】
この混合物を、例1に記載したとおりに重合させた。
【0070】
例5:
下記の予備混合物によるへこみ防止剤:
イソブチルメタクリラート 14.38g
メタクリル酸 15.23g
n−ブチルアクリラート 51.90g
中間体D 16.54g
t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート 1.95g
キシレン中75%、帯黄色のやや混濁した液体。
【0071】
この混合物を、例1に記載したとおりに重合させた。
【0072】
例6:
下記の予備混合物によるへこみ防止剤:
n−ブチルアクリラート 65.71g
イソブチルメタクリラート 18.16g
中間体E 14.19g
ジ−t−ブチルペルオキシド 1.94g
キシレン中50%、帯黄色のやや混濁した液体。
【0073】
この混合物を、例1に記載したとおりに重合させた。
【0074】
例7:
下記の予備混合物によるへこみ防止剤のin situ添加:
n−ブチルアクリラート 65.71g
イソブチルメタクリラート 18.16g
無水マレイン酸 2.07g
ジ−t−ブチルペルオキシド 1.94g
キシレン中60%。
【0075】
条件は、例1のとおりであったが、予備混合物を重合させた後、フッ素化化合物Fluorad FC10(MW:約575)を12.12gの量で、100℃で反応混合物に加え、6時間撹拌して、最終生成物を、帯黄色の液体として得た。
【0076】
例8:
下記の予備混合物によるへこみ防止剤:
イソブチルメタクリラート 12.46g
メタクリル酸 13.24g
n−ブチルアクリラート 42.35g
中間体F 30.00g
t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート 1.95g
s−BuOH/IPA(3:2)中50%、帯黄色のやや混濁した液体。
【0077】
この混合物を、例1に記載したとおりに重合させた。
【0078】
例9:
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルMW:350(60.0g)および中間体F(19.6g)を、窒素雰囲気下の三つ口フラスコに加え、120℃に加熱した。n−ブチルアクリラート94.2g、アクリル酸15.3g、およびt−ブチルペルオキシベンゾアート10.9gからなる予備混合物を、3時間にわたって加えた。予備混合物を加えた後、フラスコの内容を、120℃でさらに4時間撹拌した。得られた重合体は、やや混濁した帯黄色の液体であった。
重合体を、KOH水溶液(濃度:11%)134.0gで中和して、活性物質が45%である帯黄色の澄明な液体を得た。
【0079】
応用試験
例A1:水性ラッカー:アクリル系エマルション
【0080】
【表1】

【0081】
成分を逐次加え、2,000rpmの分散機で5分間撹拌した。サンプルを、75μmバーコーターによりドローダウンとしてポリエステルホイルに塗布した。自然乾燥させた後、平滑化を肉眼で調べると、例2のフッ素化重合体、および中和するためのアミン以外は同じ成分を含有する、比較ラッカー組成物で処理されたサンプルよりも有意に優れた平滑性を示した。
【0082】
例A2:溶媒に基づくラッカー:ポリウレタン
【0083】
【表2】

【0084】
成分を逐次加え、均質化するまで手で撹拌した。次いで、硬化剤(上記配合物に対してDesmodur N75 35g)を加え、均質化するまで手で撹拌した。サンプルを、75μmバーコーターによりドローダウンとしてポリエステルホイルに塗布した。24時間自然乾燥させた後、平滑化を肉眼で調べると、例1のフッ素化重合体以外は同じ成分を含有する、比較ラッカー組成物で処理されたサンプルよりも、有意に優れた平滑化を示した。
【0085】
例A3:溶媒に基づくラッカー:ポリウレタン
【0086】
【表3】

【0087】
成分を逐次加え、4,000rpmの分散機で15分間撹拌した。次いで、硬化剤(上記配合物に対してDesmodur N75 35g)を加え、均質化するまで手で撹拌した。サンプルを、75μmバーコーターによりドローダウンとしてポリエステルホイルに塗布した。24時間自然乾燥させた後、平滑化を肉眼で調べた。自然乾燥させた後、平滑化を肉眼で調べると、例8のフッ素化重合体以外は同じ成分を含有する、比較ラッカー組成物で処理されたサンプルよりも、有意に優れた平滑化を示した。
【0088】
例A4:溶媒に基づくラッカー:焼付けアルキドメラミン
【0089】
【表4】

【0090】
例7の混合物以外の組成物を逐次加え、均質化するまで手で撹拌した。2個のサンプルを、75μmバーコーターによりドローダウンとしてポリエステルホイルに塗布した。10分間の揮発時間の後、サンプルを、135℃で30分の焼付けによって硬化させた。第二の層(一方は例7の混合物を含有し、他方は含有しない)を、第一の層上に同じ膜厚で塗布し、揮発時間を含めて同じ条件下で硬化させた。平滑性および湿潤性を、肉眼で調べ、例7のフッ素化重合体以外は同じ成分を含有する、比較ラッカー組成物と比較した。例7のフッ素化重合体を含むラッカーは、はるかに優れた平滑性および湿潤性を示した。
【0091】
例A5:溶媒に基づくラッカー:エポキシ
【0092】
【表5】

【0093】
成分を逐次加え、均質化するまで手で撹拌した。次いで、硬化剤(上記の配合を参照されたい)68.7gを、上記エポキシ配合物に加え、均質化するまで手で撹拌した。サンプルを、75μmバーコーターによりドローダウンとしてポリエステルホイルに塗布した。24時間自然乾燥させた後、平滑化を肉眼で調べた。サンプルは、例6の重合体を添加しなかった同じ比較サンプルよりも、優れた平滑性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑剤またはへこみ防止剤としての重合体の使用であって、該重合体が、式I:
【化1】


[式中、
1は、Cn2n+1−(CH2m−、ACn2n−(CH2m−、Cn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p、Cn2n+1−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−またはCn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−からなる群より選ばれる部分であって、
Aは、H、Cl、Br、I、C1〜C12アルキルおよびOC1〜C12アルキルからなる群より選ばれ、
4≦n≦20、0≦m≦4かつ0≦p≦20であり、
Xは、エステル、アミド、スルホアミド、メルカプト基、ポリウレタン基およびアルキル基からなる群より選ばれるスペーサー部分であり;
2は、H、金属部分、(アルキル)アンモニウム部分、アルキル基、Cn2n+1−(CH2m−、ACn2n+1−(CH2m−、Cn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p、Cn2n+1−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−X−、ACn2n−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−およびCn2n+1−(CH2m−(OCH2CHR5p−X−からなる群より選ばれ;
Aは、H、Cl、Br、I、C1〜C12アルキルおよびOC1〜C12アルキルからなる群より選ばれ、
4≦n≦20、0≦m≦4かつ0≦p≦20であり、
Xは、エステル、アミド、スルホアミド、メルカプト基、ポリウレタン基およびアルキル基からなる群より選ばれるスペーサー部分であり;
3およびR4は、独立して、H、アルキル基およびフェニル基からなる群より選ばれ;そして
5は、Hおよびメチル基からなる群より選ばれる]
で表される、少なくとも1個のフッ素化された単位を含む、使用。
【請求項2】
該重合体が、0.1〜30重量%のフッ素化単位含量を含む、請求項1記載の使用。
【請求項3】
フッ素化単位の50%以上、好ましくは90〜100%がモノエステルである、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
重合体のフッ素化単位の50%以上、好ましくは70〜100%が、nが4〜14である式Iで表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
mが2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
pが0または6〜8である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
1および/またはR2が直鎖状フルオロアルキル部分を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
式Iで表される少なくとも1個のフッ素化された単量体単位を含む重合体であって、該重合体が、少なくとも1個のアルキル(メタ)アクリラート単位、スチレンまたはビニルアセタートをさらに含む重合体。
【請求項9】
1個またはそれ以上のアルキル(メタ)アクリラートが、n−プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、s−ブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、エチルヘキシル(メタ)アクリラートおよび(メタ)アクリル酸からなる群より選ばれる、請求項8記載の重合体。
【請求項10】
0.1〜30重量%のフッ素化単位含量を含む、請求項8または9記載の重合体。
【請求項11】
フッ素化単量体単位の50%以上、好ましくは90〜100%がモノエステルである、請求項8〜10のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項12】
重合体のフッ素化単位の50%以上、好ましくは70〜100%が、nが6〜8である式Iで表される、請求項8〜11のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項13】
1が、直鎖状フルオロアルキル部分を表す、請求項8〜12のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項14】
ランダム共重合体、ブロック共重合体、好ましくはランダム共重合体の形態を有する、請求項8〜13のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項15】
1,000〜50,000g/molの範囲内、好ましくは2,000〜20,000g/molの範囲内の数平均分子量を有する、請求項8〜14のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項16】
1〜4の範囲内の多分散度(Mw/Mn)を有する、請求項8〜15のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項17】
リビングポリマーであることを特徴とする、請求項8〜16のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項18】
有機溶媒にか、もしくは水に直接溶解できるか、あるいは酸性部分の中和後に水に溶解できる、液体、固体(たとえば粉末)の形態である、請求項8〜17のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項19】
請求項8〜18のいずれか一項に記載の重合体、顔料、および場合により分散剤を含む、コーティング用、印刷インク用またはプラスチック配合物。
【請求項20】
増量剤を含む、請求項19記載のコーティング、印刷インクまたはプラスチック配合物。
【請求項21】
顔料および/または増量剤0〜85重量%、請求項8〜18のいずれか一項に記載の重合体0.1〜5重量%、樹脂10〜95重量%、水および/または非水性液体0〜90重量%ならびに分散剤0〜15重量%を含む分散液。
【請求項22】
請求項8〜18に記載の重合体を用いてか、あるいは請求項19または20に記載のコーティング、プラスチック配合物もしくは印刷インクを用いてか、あるいは請求項21記載の分散液で処理した物品。
【請求項23】
平滑剤、湿潤剤、へこみ防止剤、結合剤、汚れ防止剤またはサイジング剤としての、請求項8〜18に記載の重合体の使用。
【請求項24】
重合体性平滑剤または重合体性へこみ防止剤の製造における、式Iで表されるフッ素化された単位を含む部分の使用。

【公開番号】特開2009−84575(P2009−84575A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−270660(P2008−270660)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【分割の表示】特願2003−536335(P2003−536335)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】