説明

平行光ソーラシミュレータ

【課題】容易に高精度の平行光を照射できる平行光ソーラシミュレータを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の平行光ソーラシミュレータは、太陽電池に平行光を照射してその出力特性を測定する平行光ソーラシミュレータ10であって、太陽電池17の受光面18に直交した軸と平行な軸Lpを主軸とする放物面鏡15と、放物面鏡15の焦点Fと等価な位置となるように焦点Fから離間して配置された光源11とを有する。焦点Fと等価な位置に配置された光源11から照射された光は、放物面鏡15によって反射され、高精度な平行光となって太陽電池17の受光面18に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池(以下、太陽電池セルを含む)の被測定物に平行光の擬似太陽光を照射し、被測定物の出力特性を測定する平行光ソーラシミュレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルを製造したり使用したりする段階で、太陽電池セルが光エネルギーを設計通りに電気エネルギーに変換・出力するかを検証する性能測定試験や、太陽電池セルが経年的に使用された場合にその劣化の程度を検証する加速劣化試験等が行なわれる。このような試験を行うために太陽電池セルに擬似太陽光を照射して、太陽電池セルからの出力特性を測定するソーラシミュレータが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで近年、太陽電池の中には光入射角に依存して出力特性が大きく異なる太陽電池が増えている。このような太陽電池としては、例えば、フレネルレンズを用いた集光型太陽電池や球状シリコンを用いた球状シリコン太陽電池等がある。このような太陽電池では、その受光面に対して直交する平行光が照射されたときに、最も変換効率が向上し、受光面に対して直交しなくなるに応じて極端に変換効率が減少する。例えば、集光型太陽電池の場合、太陽電池セルの受光面と直交する角度から1degずれた光であると、定格の50パーセントしか出力することができない。
したがって、集光型太陽電池等の出力特性を測定するソーラシミュレータの場合、その光は太陽電池の受光面と直交する平行光であることが要求される。より具体的には、受光面と直交する角度から0.5degまでの平行光であることが望まれる。
【0004】
従来、太陽電池セルの受光面と直交するような平行光を照射して太陽電池セルの出力特性を測定するソーラシミュレータとして図11に示すような平行光ソーラシミュレータがある。図11は、従来の平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
図11に示す平行光ソーラシミュレータ80は、光源81、インテグレータレンズ82、第1の反射鏡83、第2の反射鏡84、コリメートレンズ85を含んで構成されている。また、測定対象とする太陽電池セル86は、受光面をコリメートレンズ85と平行になるようにして、コリメートレンズ85の下側に配置される。
【0005】
このような平行光ソーラシミュレータ80では、光源81から発光された光が、第1の反射鏡83により反射されて、インテグレータレンズ82に照射される。インテグレータレンズ82に照射された光は、集光されると共に光量の分布が均一化されて、インテグレータレンズ82を通過する。インテグレータレンズ82を通過した光は、第2の反射鏡84により反射されて、コリメートレンズ85に照射される。コリメートレンズ85に照射された光は、平行光となってコリメートレンズ85を通過する。そして、コリメートレンズ85を通過した平行光が、太陽電池セル86の受光面と直交するように照射される。したがって、図11に示す平行光ソーラシミュレータ80によれば、集光型太陽電池等の太陽電池セル86であっても、太陽電池セルの出力特性を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−31825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した平行光ソーラシミュレータ80では、平行光を照射させるためには、より高精度なコリメートレンズ85を用いる必要があり、平行光ソーラシミュレータ80の装置コストが増大してしまうという問題がある。また、最近では、検査コストを削減させるために、一度に複数の集光型太陽電池等の太陽電池セルの出力特性を測定したいという要求や、複数の太陽電池セルを電気的に接続して受光面積を大面積にした太陽電池の出力特性を測定したいという要求がある。しかし、上述した平行光ソーラシミュレータ80では、例えば、太陽電池の受光面積S1が略300mm×300mmより大きくなると測定は困難である。平行光ソーラシミュレータ80の照射面積を広げるには、コリメートレンズ85を大きくしなければならず、技術的に容易ではない。更に、コリメートレンズ85を大きくすることができたとしても、所定の光量を複数の太陽電池セルに照射させるために、光源81に用いるランプを大容量にする必要がある。しかし、このような大容量のランプを用いた場合、発熱が大きくなり、光学系部品の熱歪により高精度な平行光を得られなかったり、光学系部品が早期に劣化してしまったりする問題がある。
【0008】
一方、従来、一度に複数の太陽電池セルの出力特性、又は大面積の太陽電池の出力特性を測定するようなソーラシミュレータとして図12に示すようなものがある。図12は、従来のソーラシミュレータの構成を示す図である。
図12に示すソーラシミュレータ90は、筐体91、光源92、反射鏡93、インテグレータレンズ94を含んで構成されている。また、測定対象とする大面積の太陽電池95は、受光面をインテグレータレンズ94と平行になるように、インテグレータレンズ94と離間して配置される。ここで、例えば、太陽電池95は、受光面積S2が1m×1m〜2m×2mの大きさを有している。また、インテグレータレンズ94から太陽電池95までの距離T2は、4m〜6mである。
【0009】
このようなソーラシミュレータ90では、筐体91内に配置された光源92から発光された光が、反射鏡93により反射されて、インテグレータレンズ94に照射される。インテグレータレンズ94に照射された光は、集光されると共に光量の分布が均一化されて、太陽電池95の受光面に照射される。しかしながら、インテグレータレンズ94を通過した光は、扇状に拡散して、太陽電池95の受光面に照射される。したがって、太陽電池95の受光面の中央では、受光面と直交した光が照射されるものの、受光面の周縁に向かうにしたがい、受光面と直交しない光が照射される。そして、図12に示すように、太陽電池95の最周縁では、受光面と直交する角度に対して、角度D2が、5〜14degずれた光になってしまう。すなわち、従来のソーラシミュレータ90では、平行光を照射することができないために、集光型太陽電池等の光入射角に依存して出力特性が大きく変化してしまう太陽電池セルの出力特性の測定には用いることができないという問題がある。
【0010】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、例えば、光入射角に依存して出力特性が大きく異なるような太陽電池セルの出力特性を測定する場合に、容易に高精度の平行光を照射できるようにすることを目的とする。また、一度に、複数の太陽電池セルの出力特性を測定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明の平行光ソーラシミュレータは、被測定物に平行光を照射してその出力特性を測定する平行光ソーラシミュレータであって、前記被測定物の受光面に直交した軸と平行な軸を主軸とする放物面鏡と、前記放物面鏡の焦点と等価な位置となるように前記焦点から離間して配置された光源とを有することを特徴とする。
また、本発明の平行光ソーラシミュレータは、被測定物に平行光を照射してその出力特性を測定する平行光ソーラシミュレータであって、前記被測定物の受光面に直交した軸と平行な軸を主軸とする放物面鏡と、前記放物面鏡の焦点と等価な位置となるように前記焦点から離間して配置された光源とを有する測定ユニットを複数個備え、前記複数の測定ユニットの放物面鏡は、前記放物面鏡によって反射された光の光軸がそれぞれ平行になるように配置されていることを特徴とする。
前記複数の測定ユニットの放物面鏡のうち少なくとも2つは、それぞれの前記放物面鏡の放物面を隙間なく並列させて配置して構成することができる。
前記複数の測定ユニットの放物面鏡のうち少なくとも2つは、それぞれの前記放物面鏡の放物面を隙間なく相反させて配置して構成することができる。
前記複数の測定ユニットの放物面鏡によって反射された光の光量をそれぞれ検出する複数の光量センサと、前記複数の光量センサによって検出された光量に基づいて、前記光源の発光を制御する光源発光装置とを有して構成することができる。
前記光源から前記放物面鏡までの光路上に配置される第1の反射鏡及び第2の反射鏡と、前記第1の反射鏡により反射された光を集光して前記第2の反射鏡に照射するインテグレータレンズとを有し、前記インテグレータレンズ、前記第1の反射鏡及び前記第2の反射鏡は、前記光源が前記放物面鏡の焦点と等価な位置になるように配置して構成することができる。
前記被測定物を載置する測定台と、前記測定台を前記放物面鏡の放物面によって反射された光軸に対して任意に傾動及び回転させる測定台傾動回転装置とを有して構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、太陽電池セルの受光面に対して受光面と直交する高精度の平行光を容易に照射させることができる。
また例えば、被測定物の受光面に直交した軸と平行な軸を主軸とする放物面鏡と、放物面鏡の焦点と等価な位置となるように焦点から離間して配置された光源とを有している。この場合、放物面鏡の焦点と等価な位置に配置された光源から照射された光は、放物面鏡に反射することで高精度の平行光を被測定物としての太陽電池セルに対して照射させることができる。
また例えば、被測定物の受光面に直交した軸と平行な軸を主軸とする放物面鏡と、放物面鏡の焦点と等価な位置となるように焦点から離間して配置された光源とを有する測定ユニットを複数個備え、複数の測定ユニットの放物面鏡は、放物面鏡によって反射された光の光軸がそれぞれ平行になるように配置されている。この場合、簡単な構成で広範囲に亘って平行光を照射させることができるので、一度で、複数の太陽電池セルの受光面に平行光を照射させたり、大面積の太陽電池の受光面に平行光を照射させたりすることができる。したがって、検査コストを削減することができる。
また例えば、複数の測定ユニットの放物面鏡のうち少なくとも2つは、それぞれの放物面鏡の放物面を隙間なく並列させたり、複数の測定ユニットの放物面鏡のうち少なくとも2つは、それぞれの放物面鏡の放物面を隙間なく相反させたりする。この場合、簡単な構成で広範囲に亘って平行光を照射させることができる。
また例えば、複数の測定ユニットの放物面鏡によって反射された光の光量をそれぞれ検出する複数の光量センサと、複数の光量センサによって検出された光量に基づいて、光源の発光を制御する光源発光装置とを有する。この場合、広範囲に亘って照射される平行光の光量を均一にすることができる。
また例えば、光源から放物面鏡までの光路上に配置される第1の反射鏡及び第2の反射鏡と、第1の反射鏡により反射された光を集光して第2の反射鏡に照射するインテグレータレンズとを有し、インテグレータレンズ、第1の反射鏡及び第2の反射鏡は、光源を放物面鏡の焦点と等価な位置になるように配置している。この場合、光源は、放物面鏡の焦点に配置する必要がないので、平行光ソーラシミュレータの構成部品の配置を自由に変更することができる。特に、光源を光学系部品から離間するように配置することで、光源の発熱による光学系部品の熱歪等をなくすことができる。
また例えば、被測定物を載置する測定台と、測定台を放物面鏡の放物面によって反射された光軸に対して傾動及び回転させる測定台傾動回転装置とを有する。この場合、測定台傾動回転装置が測定台を傾動及び回転させることにより、例えば、太陽が昇ってから沈むまでの一日の太陽光の被測定物に対する光入射角を再現することができるので、一日の太陽電池セルの出力特性等を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図2】放物面鏡の形態について説明するための図である。
【図3】第2の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図4】光源発光装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の遮光機能について説明するための図である。
【図6】第2の遮光機能について説明するための図である。
【図7】第3の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図8】第4の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図9】太陽電池に対して太陽光の光入射角の変化を説明するための概念図である。
【図10】第5の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図11】従来の平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図12】従来の大面積の太陽電池に対応したソーラシミュレータの構成を示す図である。
【図13】フレネルレンズを用いた集光型太陽電池の一部を示す斜視図である。
【図14】球状シリコン太陽電池の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここでは、本実施形態の平行光ソーラシミュレータにより出力特性を測定する被測定物について説明する。まず、フレネルレンズを用いた集光型太陽電池について図13を参照して説明する。図13は、集光型太陽電池の一部を示す斜視図である。集光型太陽電池100は、フレネルレンズ101と太陽電池セル103とを含み、フレネルレンズ101のレンズ面102と太陽電池セル103の受光面104とが所定距離、離間し、両者が平行になるように構成されている。また、フレネルレンズ101のレンズ面102の面積は、太陽電池セル103の受光面104の受光面積の500倍程度である。フレネルレンズ101がレンズ面102に照射された光をレンズ面102の直下に配置された太陽電池セル103の受光面104に集光させることで、太陽電池セル103の変換効率が向上する。すなわち、フレネルレンズ101のレンズ面102に直交しない光の場合、フレネルレンズ101は、太陽電池セル103の受光面104に集光させることができず、太陽電池セル103の出力特性が大きく異なってしまう。
【0015】
次に、球状シリコンを用いた太陽電池について図14を参照して説明する。図14(a)は、球状シリコン太陽電池の一部を示す斜視図である。図14(b)は、図14(a)を矢印A方向から見た球状シリコン太陽電池の一部を示す側断面図である。
球状シリコン太陽電池110は、内周が半球状に形成された反射鏡111と、この反射鏡111の内部の中央に固定された球状シリコン112とを含んで構成されている。ここで、図14(a)、(b)に示すような球状シリコン112及び反射鏡111の中心軸Lと平行な光は、直接、球状シリコン112に照射されるだけではなく、反射鏡111に反射された後、球状シリコン112に照射されるために、球状シリコン太陽電池110の変換効率が向上する。しかし、球状シリコン112及び反射鏡111の中心軸Lから角度がずれた光の場合、反射鏡111に照射された光は、球状シリコン112に集光させることができず、球状シリコン112の出力特性が大きく異なってしまう。
このように光入射角度より出力特性が大きく異なる太陽電池をまとめて、以下では集光型太陽電池と称する。
【0016】
上述したような集光型太陽電池の出力特性を測定するには、集光型太陽電池の太陽電池セルの受光面に対して直交する角度の高精度な平行光を照射する必要がある。なお、球状シリコン太陽電池110では、球状シリコン112及び反射鏡111の中心軸Lと平行な光を照射させる必要があるが、球状シリコン112及び反射鏡111の中心軸Lと平行な光は、集光型太陽電池100の太陽電池セル103の受光面104に対して直交する角度の平行光と等しいものである。
そして、後述する実施形態では、集光型太陽電池の太陽電池セルを1つ配置した状態のもの、複数個単に並べた状態のもの又は複数個の太陽電池セルを電気的に接続した状態の太陽電池を測定対象とする。以下、実施形態の説明では、上記の被測定物である集光型太陽電池には、符号17を付与している。
【0017】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る高精度の平行光を照射させる平行光ソーラシミュレータについて図1を参照して説明する。図1は、平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
平行光ソーラシミュレータ10は、光源11、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13、第2の反射鏡14、放物面鏡15、測定台31を含んで構成されている。
光源11は、例えば、キセノンランプ等であり、擬似太陽光を発光する。また、光源11には、この光源11の下部の周りを囲むように、楕円凹状の反射鏡19が配置されている。この反射鏡19によって、光源11から拡散して発光する光を収束させ、第1の反射鏡13を介してインテグレータレンズ12に照射させることができる。
【0018】
第1の反射鏡13は、平板状に形成され、光源11から照射された光をインテグレータレンズ12に向かって反射させる位置に配置されている。
インテグレータレンズ12は、第1の反射鏡13によって反射された光を集光して、光量の分布を均一化させて、第2の反射鏡14を介して放物面鏡15に照射させることができる。
第2の反射鏡14は、平板状に形成され、インテグレータレンズ12から照射された光を放物面鏡15に向かって反射される位置に配置されている。
【0019】
また、放物面鏡15は、第2の反射鏡14によって反射された光を高精度の平行光にして、放物面鏡15の下側に配置された測定対象の集光型太陽電池17の受光面18に照射する。放物面鏡15は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等をマシニングセンターで加工することにより形成されている。また、放物面鏡15の放物面16は、鏡面仕上げをして光の反射率を向上させている。
【0020】
ここで、本実施形態に用いられる放物面鏡の形態について、図2を参照して説明する。図2は、放物面鏡の形態について説明するための図である。図2には、X−Z平面及びY−Z平面にそれぞれ同一放物面上の放物線C1、C2が図示されている。ここで、放物線C1、C2をZ軸すなわち、主軸を中心に回転させると、その軌跡によって、放物面(回転放物面)が形成される。このとき形成される放物面の一部Sを切り出した形状が、図1の放物面鏡15の放物面16の形状と同一である。ここで、放物面の特性として、放物面の焦点から照射された光が放物面に反射されると、この反射された光は平行光になるという特性を有している。より具体的に説明すると、図2に示すように、Z軸上に位置する焦点F1に光源を配置すると、その光源から拡散されて照射された光は、放物面に反射され、平行光となって、X−Y平面に直交するように照射される。
【0021】
この特性を用い、図1に示すように、放物面鏡15と光源11との配置を、あたかも放物面鏡15の焦点Fに光源11があるかのように、第1の反射鏡13、第2の反射鏡14及びインテグレータレンズ12を配置する。言い換えると、光源11を、放物面鏡15の焦点と等価な位置となるように、光源11から放物面鏡15までの光路上に第1の反射鏡13、第2の反射鏡14及びインテグレータレンズ12を配置する。
更に、図1に示すように、集光型太陽電池17の受光面18が、放物面鏡15の焦点Fを通る放物面16の主軸Lpと直交する仮想線Lqと平行になるように集光型太陽電池17を測定台31上に配置する。このとき、集光型太陽電池17の受光面18に直交する軸と放物面16の主軸Lpとが平行になる。
【0022】
このように配置された平行光ソーラシミュレータ10及び集光型太陽電池17によれば、放物面鏡15により反射された光は、高精度な平行光となって集光型太陽電池17の受光面18に直交して照射される。したがって、測定対象が光入射角に依存されるような集光型太陽電池であっても、正確な出力特性を測定することができる。
【0023】
また、上述したように光源11は、放物面鏡15の放物面16の焦点Fと等価な位置であって、焦点Fと離間した位置に配置している。具体的には、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13及び第2の反射鏡14を用いて、光源11を放物面鏡15の焦点と等価な位置になるように配置している。したがって、光源11は、焦点Fに配置される場合に限られないので、光源11の配置にとらわれず、平行光ソーラシミュレータ10を設計するときの自由度を広げることができる。また、光源11を焦点Fの位置に配置した場合に、光源11が集光型太陽電池17を配置する位置と干渉してしまうことを防止することができる。更に、光源11を光学系部品等から離間して配置することにより、光源11の発熱による光学系部品に対する熱歪や早期の劣化等の悪影響を防ぐことができるので、より高精度な平行光を継続して照射することができる。
【0024】
なお、上述した実施形態では、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13及び第2の反射鏡14を用いて、光源11を放物面鏡15の焦点と等価な位置になるように配置する場合について説明したが、この場合に限られない。すなわち、例えば、反射鏡は1つ又は3つ以上であってもよく、光源から光量の分布が均一化された光を得ることができるのであれば、インテグレータレンズ12はなくてもよい。すなわち、光源11が、放物面鏡15の焦点と等価な位置になるように配置されているのであれば、どのような構成であってもよい。このような構成は、以下で説明する実施形態でも同様である。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、一度に複数の太陽電池セルの出力特性を測定したり、複数の太陽電池セルを電気的に接続した大面積の太陽電池の出力特性を測定したりする場合、上述した第1の実施形態では、所望する照射面積に応じた、大きな放物面鏡を用いなければならない。しかしながら、大きな放物面鏡を製造するのは技術的及びコスト的に容易ではない。また、定格の光量を確保するために大容量の光源ランプを用いなければならず、光源の発熱によって光学系部品に悪影響が生じ、現実的ではない。本実施形態では、簡単な構成により広範囲に亘って平行光を照射することができる平行光ソーラシミュレータについて説明する。
【0026】
第2の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータについて図3を参照して説明する。図3(a)は、平行光ソーラシミュレータのうち放物面鏡の配置を示す平面図である。図3(b)は、図3(a)に示す放物面鏡の配置を矢印A方向からみた正面図である。
本実施形態に係る平行光ソーラシミュレータ20は、第1の実施形態の平行光ソーラシミュレータ10を一つの測定ユニットとした場合、第1測定ユニット10aと第2測定ユニット10bとを組み合わせて構成している。
【0027】
ここで、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bは、それぞれ第1の実施形態の平行光ソーラシミュレータ10の構成にそれぞれ光量センサを追加した構成である。すなわち、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bは、それぞれ光源11、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13、第2の反射鏡14、放物面鏡15、測定台31、光量センサ28を含んで構成されている。なお、光量センサ28は、測定台31に照射される光量を検出するためのセンサであって、その作用については後述する。また、測定台31は、第1測定ユニット、第2測定ユニットで共通のものとし、一つとすることもできる。
【0028】
また、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bは、放物面鏡15が同一形状である。また、各測定ユニット10の光源11、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13及び第2の反射鏡14の配置は、同一である。また、光源11は放物面鏡15の放物面の焦点と等価な位置となるようにインテグレータレンズ12、第1の反射鏡13及び第2の反射鏡14が配置されている。図3(a)では、第1測定ユニット10aの放物面鏡15(15a)及び第2測定ユニット10bの放物面鏡15(15b)のみを取り上げて図示している。また、図3(b)では、第2測定ユニット10bは、第1測定ユニット10aと重なった背面(紙面垂直方向に見て前方側)に位置しているために図示されていない。
【0029】
ここで、第1測定ユニット10aと第2測定ユニット10bとは、並列に隣接するように配置されている。より具体的には、図3(a)に示すように、第1測定ユニット10aの放物面鏡15aと第2測定ユニット10bの放物面鏡15bとを並列させて、隙間がないように隣接させて配置されている。
このように、放物面鏡15a、15bを配置することにより、放物面鏡15a、15bによって反射された光の光軸が全て平行になる。
すなわち、例えば、図3(a)に示すように、放物面鏡を平面で見たときの1つの放物面鏡の大きさt×tが、800mm×800mmである場合、平行光ソーラシミュレータ20全体では、800mm×1600mmの照射面積に拡大することができる。したがって、例えば、700mm×1400mmのような大面積の太陽電池の出力特性を測定したり、一度に複数の太陽電池セルの出力特性を測定したりすることができる。
【0030】
なお、このとき、第1測定ユニット10aと第2測定ユニット10bとの間で、被測定物に対してむらのない同一の光量を照射することが要求される。したがって、本実施形態の平行光ソーラシミュレータ20では、光量センサ28によって検出された光量に基づいて、測定台31における光量が均一になるように、第1測定ユニット10aの光源11と第2測定ユニット10bの光源11との光量を制御する光源発光装置21を有している。
【0031】
ここで、図3(b)を参照して、光量センサ28について説明する。ここでは、第1測定ユニット10aの光量センサ28aを取り上げて説明する。光量センサ28aは、第1測定ユニット10aの光源11により発光された光が放物面鏡15aにより反射された後、照射される測定台31に配置されている。すなわち、光量センサ28aは、放物面鏡15aにより反射されて測定台31に照射された光量を検出する。同様に、図示しない第2測定ユニット10bの光量センサ28bは、放物面鏡15bにより反射されて測定台31に照射された光量を検出する。
【0032】
次に、光源発光装置について、図4を参照して説明する。図4は、光源発光装置のブロック図である。なお、図4では、第1測定ユニット10aの光源11及び第2測定ユニット10bの光源11としてキセノンランプ11(11a)、11(11b)を用いる場合について説明する。
まず、光源発光装置21は、ランプ発光用電源回路22と、トリガ電源回路23と、電流制御回路27(27a)、27(27b)とを含んで構成されている。ランプ発光用電源回路22は、キセノンランプ11a、11bを発光させるための電源回路である。図4では、1つのランプ発光用電源回路22が、複数のキセノンランプ11a、11bを発光させるように構成されている。
トリガ電源回路23は、トリガパルス発生回路24と、トランス25とを含んで構成されている。トリガ電源回路23は、トリガパルス発生回路24によって、トランス25の2次側に、キセノンランプ11a、11bの絶縁破壊を行うためのトリガパルスを発生させる。なお、図4では、トランス25の2次側に発生したトリガパルスが、複数のキセノンランプ11a、11bに対して絶縁破壊できるように構成されている。
【0033】
電流制御回路27a、27bは、各光量センサ28a、28b及び各キセノンランプ11a、11bに接続されている。電流制御回路27a、27bは、それぞれ各光量センサ28a、28bにより検出された信号に基づいて、各光量センサ28a、28bにより検出される光量が均一になるように、それぞれのキセノンランプ11a、11bの発光を制御する。
【0034】
次に、この光源発光装置21の動作について、説明する。まず、操作者が平行光ソーラシミュレータ20の図示しないスイッチ等を介してキセノンランプ11a、11bの発光開始を指示すると、トリガ電源回路23のトリガパルス発生回路24は、発光開始指示信号26を受信する。すると、トリガパルス発生回路24は、トランス25の二次側から各キセノンランプ11a、11bに対してトリガパルスを印加する。このトリガパルスにより各キセノンランプ11a、11b内の電気的な絶縁状態が破壊される。この後、ランプ発光用電源回路22は、放電待機電圧を各キセノンランプ11a、11bに印加する。これにより各キセノンランプ11a、11b内部での主放電が誘発されて、各キセノンランプ11a、11bの管内抵抗が急激に低下し、ランプ発光用電源回路22のコイルとコンデンサとの組み合せにより決められる所定時間の間、各キセノンランプ11a、11bが発光する。
【0035】
各キセノンランプ11a、11bにより発光された光が、放物面鏡15a、15bにより反射されて測定台31の各光量センサ28a、28bに照射される。すると、電流制御回路27a、27bは、それぞれ各光量センサ28a、28bにより検出された信号に基づいて、各光量センサ28a、28bにより検出される光量が均一になるように、それぞれのキセノンランプ11a、11bの発光を制御する。その後、測定台31に測定対象の複数の太陽電池セルや大面積の太陽電池を載置することで、全ての太陽電池セル及び太陽電池の全ての受光面に対してむらのない均一の光量を照射させることができる。
【0036】
なお、本実施形態の光源発光装置21は、キセノンランプ11が2つの場合について説明したが、後述する第3及び第4の実施形態のようにキセノンランプ11が2つ以上、追加された場合であっても、同様に構成することができる。すなわち、光源発光装置21は、ランプ発光用電源回路22からの放電待機電圧及びトリガ電源回路23からのトリガパルスを追加されたキセノンランプに分岐するように構成すればよい。また、このとき、追加されたキセノンランプに対応させて、追加されたキセノンランプの発光を制御する電流制御回路27を追加して構成する。また、追加されたキセノンランプにより発光された光が反射鏡に反射された光の光量を検出する光量センサ28を追加して構成する。
【0037】
また、図4に示す光源発光装置21では、1つのランプ発光用電源回路22が、複数のキセノンランプ11を発光させるように構成したが、この場合に限られず、キセノンランプ11毎にランプ発光用電源回路22を設けてもよい。また、図4に示す光源発光装置21では、1つトリガ電源回路23が、複数のキセノンランプ11の絶縁破壊を行うように構成したが、この場合に限られず、キセノンランプ11毎にトリガ電源回路23を設けてもよい。また、図4に示す光源発光装置21では、電流制御回路27によりキセノンランプ11の発光を制御する場合について説明したが、この場合に限られず、電圧制御回路によりキセノンランプ11の発光を制御してもよい。
【0038】
次に、図3に示す平行光ソーラシミュレータ20の構成の場合、第1測定ユニット10aの第2の反射鏡14により反射された光が、第2測定ユニット10bの放物面鏡15(15b)にも照射される可能性がある。同様に、第2測定ユニット10bの第2の反射鏡14により反射された光が、第1測定ユニット10aの放物面鏡15(15a)にも照射される可能性がある。このような場合、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bでは、被測定物に対して、光量にむらがある光を照射してしまう。したがって、図5及び図6を参照して、一の光源から発光された光が隣接する測定ユニットの放物面鏡に照射されないように遮光する機能について説明する。
【0039】
まず、図5は、第1の遮光機能を説明するための図である。図5(a)は、遮光機能を備えた平行光ソーラシミュレータ20の一部の斜視図である。図5(b)は、上述した図3(b)の平行光ソーラシミュレータ20に遮光機能を追加した図である。なお、図3と同様な構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bそれぞれには、第2の反射鏡14a、14bと放物面鏡15a、15bとの間に遮光部材70a、70bが配置されている。なお、図5(b)では、遮光部材70bが、遮光部材70aと重なった背面(紙面垂直方向に見て前方側)に位置しているために図示されていない。遮光部材70a、70bは、平板状であり、矩形状の窓71と窓71の周りの枠72から形成されている。遮光部材70aは、第2の反射鏡14aにより反射された光を放物面鏡15aのみに照射させ放物面鏡15bには照射させないように、枠72により遮光する。同様に、遮光部材70bは、第2の反射鏡14bにより反射された光を放物面鏡15bのみに照射させ放物面鏡15aには照射させないように、枠72により遮光する。このように、遮光部材70は、各測定ユニット10の光源11から発光された光を各測定ユニット10の放物面鏡15のみに照射させるので、各測定ユニット10において、被測定物に対して光量にむらがない光を照射することができる。
【0040】
次に、図6は、第2の遮光機能を説明するための図である。図6(a)は、遮光機能を備えた平行光ソーラシミュレータ20の一部の斜視図である。図6(b)は、上述した図3(b)の平行光ソーラシミュレータ20に遮光機能を追加した図である。なお、図3と同様な構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、平行光ソーラシミュレータ20には、第1測定ユニット10aの放物面鏡15aと第2測定ユニット10bの放物面鏡15bとの間に薄板状の遮光部材73が配置されている。遮光部材73は、第2の反射鏡14aにより反射された光を放物面鏡15aのみに照射させ放物面鏡15bには照射させないように遮光する。同様に、遮光部材73は、第2の反射鏡14bにより反射された光を放物面鏡15bのみに照射させ放物面鏡15aには照射させないように遮光する。このように、遮光部材73は、各測定ユニット10の光源11から発光された光を各測定ユニット10の放物面鏡15のみに照射させるので、各測定ユニット10において、被測定物に対して光量にむらがない光を照射することができる。なお、以下の実施形態においても上述した第1及び第2の遮光機能の少なくとも何れかを備えているものとする。
【0041】
このように本実施形態によれば、複数の測定ユニットのうち、少なくとも2つの放物面鏡の放物面をそれぞれ並列させて隣接させたので、広範囲に亘って高精度な平行光を照射することができる。したがって、測定対象が光入射角に依存されるような集光型太陽電池の太陽電池セルの出力特性を一度に複数測定したり、大面積の太陽電池の出力特性を測定したりすることができる。
また、同形状の放物面鏡を隣接させるだけの簡単な構造で、広範囲に亘って高精度な平行光を照射することができるので、大きな放物面鏡を用いる必要がなく、平行光ソーラシミュレータの製造コストを削減することができる。
更に、光源の発光を制御する光源発光装置を有するので、広範囲に亘って照射される平行光の光量を均一にすることができるので、全ての太陽電池セル又は大面積の太陽電池に対してむらのない同一の光量を照射することができる。
【0042】
(第3の実施形態)
本実施形態では、簡単な構成により、より広範囲に亘って高精度な平行光を照射することができる平行光ソーラシミュレータについて説明する。
第3の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータについて図7を参照して説明する。図7(a)は、平行光ソーラシミュレータのうち放物面鏡の配置を示す平面図である。図7(b)は、図7(a)に示す放物面鏡の配置を矢印A方向からみた正面図である。
本実施形態に係る平行光ソーラシミュレータ30は、第1の実施形態の平行光ソーラシミュレータ10を一つの測定ユニットとした場合、第1測定ユニット10a〜第4測定ユニット10dを組み合わせて構成している。
【0043】
ここで、第1測定ユニット10a〜第4測定ユニット10dは、それぞれ第1の実施形態の平行光ソーラシミュレータ10の構成にそれぞれ光量センサを追加した構成である。すなわち、第1測定ユニット10a〜第4測定ユニット10dは、それぞれ光源11、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13、第2の反射鏡14、放物面鏡15、測定台31、光量センサ28を含んで構成されている。また、第1測定ユニット10a〜第4測定ユニット10dは、放物面鏡15が同一形状である。また、各測定ユニット10の光源11、インテグレータレンズ12、第1の反射鏡13及び第2の反射鏡14の配置は、同一である。また、光源11は放物面鏡15の放物面の焦点と等価な位置となるようにインテグレータレンズ12、第1の反射鏡13及び第2の反射鏡14が配置されている。なお、図7(a)では、第1測定ユニット10aの放物面鏡15(15a)、第2測定ユニット10bの放物面鏡15(15b)、第3測定ユニット10cの放物面鏡15(15c)及び第4測定ユニット10dの放物面鏡15(15d)のみを取り上げて図示している。また、図7(b)では、第2測定ユニット10b及び第4測定ユニット10dが、第1測定ユニット10a及び第3測定ユニット10cそれぞれと重なった背面(紙面垂直方向に見て前方側)に位置しているために図示されていない。また、測定台31は、全ての測定ユニットについて共通のものとし、一つとしてもよい。
【0044】
ここで、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bは、上述した第2の実施形態の平行光ソーラシミュレータ20と、同一の配置である。一方、第3測定ユニット10c及び第4測定ユニット10dの放物面鏡15は、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bに対して、それぞれ相反して隣接するように配置されている。そして、各放物面鏡15a〜15dは、各放物面の主軸の方向が一致するように配置する。すなわち、第3測定ユニット10c及び第4測定ユニット10dと、第1測定ユニット10a及び第2測定ユニット10bの放物面鏡15は、図7(b)に示すように、対向する放物面鏡15の境界を通る軸であって、各放物面鏡15により反射される平行光と平行な軸Lcに対して、対称に配置されている。このとき、各放物面鏡15a〜15dは、隙間がないように隣接させて配置されている。
【0045】
このように、放物面鏡15a〜15dを配置することにより、放物面鏡15a〜15dによって反射された光の光軸が全て平行になる。
すなわち、例えば、図7(a)に示すように、放物面鏡を平面で見たときの1つの放物面鏡の大きさt×tが、800mm×800mmである場合、平行光ソーラシミュレータ30全体では、1600mm×1600mmの照射面積に拡大することができる。したがって、例えば、1400mm×1400mmのような大面積の太陽電池の出力特性を測定したり、一度に複数の太陽電池セルの出力特性を測定したりすることができる。
【0046】
このように本実施形態によれば、複数の測定ユニットのうち、少なくとも2つの放物面鏡の放物面をそれぞれ相反させて隣接させたので、広範囲に亘って高精度な平行光を照射することができる。
なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、図示しない光源発光装置の電流制御回路が、それぞれ各光量センサ28により検出された信号に基づいて、各光量センサ28により検出される光量が均一になるように、それぞれのキセノンランプ11の発光を制御する。したがって、全ての太陽電池セル又は大面積の太陽電池に対してむらのない同一の光量を照射することができる。
また、第3の実施形態の別形態として、第1測定ユニット10aと第3測定ユニット10cの2つの測定ユニット(又は第2測定ユニット10bと第4測定ユニット10d)のみを図7(a)のように、配置した構成とすることもできる。
【0047】
(第4の実施形態)
本実施形態では、簡単な構成により、より広範囲に亘って高精度な平行光を照射することができる平行光ソーラシミュレータについて説明する。
第4の実施形態に係る平行光ソーラシミュレータについて図8を参照して説明する。図8(a)は、平行光ソーラシミュレータのうち放物面鏡の配置を示す平面図である。図8(b)は、図8(a)に示す放物面鏡の配置を矢印A方向からみた正面図である。
本実施形態に係る平行光ソーラシミュレータ40は、第1の実施形態の平行光ソーラシミュレータ10を一つの測定ユニットとした場合、第1測定ユニット10a〜第6測定ユニット10fを組み合わせて構成している。
【0048】
ここで、第1測定ユニット10a〜第4測定ユニット10dは、上述した第3の実施形態の平行光ソーラシミュレータ30と、同一の構成及び同一の配置である。そして、第5測定ユニット10e及び第6測定ユニット10fが、それぞれ第2測定ユニット10b及び第4測定ユニット10dに並列に隣接するように配置されている。なお、図8(a)では、第1測定ユニット10aの放物面鏡15(15a)〜第6測定ユニット10fの放物面鏡15(15f)のみを取り上げて図示している。また、図8(b)では、第2測定ユニット10b及び第5測定ユニット10eが、第1測定ユニット10aと重なった背面(紙面垂直方向に見て前方側)に位置しているために図示されていない。また、第4測定ユニット10d及び第6測定ユニット10fが、第3測定ユニット10cと重なった背面(紙面垂直方向に見て前方側)に位置しているために図示されていない。ここで、追加した第5測定ユニット10eと第6測定ユニット10fの構成は、第1測定ユニット10a〜第4測定ユニット10dの構成と同じである。さらに、測定台31は、全ての測定ユニットについて共通のものとし、一つとしてもよい。
【0049】
このように、放物面鏡15a〜15fを配置することにより、放物面鏡15a〜15fによって反射された光の光軸が全て平行になる。
すなわち、例えば、図8(a)に示すように、放物面鏡を平面で見たときに1つの放物面鏡の大きさt×tが、800mm×800mmである場合、平行光ソーラシミュレータ40全体では、1600mm×2400mmの照射面積に拡大することができる。したがって、例えば、1400mm×2200mmのような大面積の太陽電池の出力特性を測定したり、一度に複数の太陽電池セルの出力特性を測定したりすることができる。
【0050】
このように本実施形態によれば、広範囲に亘って高精度な平行光を照射することができる。なお、本実施形態では、第2の実施形態と同様に、図示しない光源発光装置の電流制御回路が、それぞれ各光量センサ28により検出された信号に基づいて、各光量センサ28により検出される光量が均一になるように、それぞれのキセノンランプ11の発光を制御する。したがって、全ての太陽電池セル又は大面積の太陽電池に対してむらのない同一の光量を照射することができる。
【0051】
また、上述した放物面鏡15の配置は、上述した第2〜第4の実施形態で説明した配置に限られない。すなわち、一度に出力特性を測定したい太陽電池セルの個数や、大面積の太陽電池の大きさに合わせて、適宜測定ユニットを配置する位置や数を変更することができる。
【0052】
(第5の実施形態)
次に、実際に太陽電池を屋外に固定して設置した場合について図9を参照して説明する。図9は、太陽電池に対して太陽光の光入射角の変化を説明するための概念図である。太陽光から照射される光は、高精度な平行光である。しかしながら、図9に示すように太陽電池を固定して設置した場合、朝方(日の出)の太陽51は、太陽電池50の受光面に対して、光入射角θ1で照射される。また、昼間の太陽52は、太陽電池50の受光面に対して、光入射角θ2で照射される。また、夕方(日の入り)の太陽53は、太陽電池50の受光面に対して、光入射角θ3で照射される。このように、太陽が昇ってから沈むまでに太陽光が太陽電池50の受光面に照射される光入射角度は、経時的に変化する。この光入射角の変化は一日の変化に限られず、一年を通じて、季節によっても変化する。特に、集光型太陽電池では、光入射角に依存するために出力特性に大きく影響する。
【0053】
そこで、本実施形態では、実際に太陽電池を屋外に設置した場合を想定した出力特性を測定することができる平行光ソーラシミュレータについて図10を参照して説明する。図10は、本実施形態に係る平行光ソーラシミュレータの構成を示す図である。
本実施形態の平行光ソーラシミュレータ60は、上述した第1の実施形態〜第4の実施形態の何れかの平行光ソーラシミュレータに、測定台31を傾動回転させる測定台傾動回転装置61を追加して構成したものである。ここで、図10に示す測定台31の面が、ちょうど放物面鏡15から反射された光と直交して照射されている場合において、測定台31の面に直交する軸をQ軸、測定台31の面と平行な軸をP軸及びP軸と直交する軸をR軸とする。
【0054】
このとき測定台傾動回転装置61は、Q軸を中心にして、測定台31を任意の角度に旋回させることができる旋回軸62を有している。また、測定台傾動回転装置61は、R軸を中心にして、測定台31を任意の角度に傾斜させることができる駆動軸63を有している。すなわち、測定台傾動回転装置61は、測定台31を放物面鏡15により反射された光軸に対して任意に傾動回転させることができる。したがって、測定台傾動回転装置61は、例えば、図9で説明したような、一日の太陽光の光入射角又は季節に応じた太陽光の光入射角に一致させるように、旋回軸62及び駆動軸63を駆動して、測定台31を傾動回転させることができる。
【0055】
このように、測定台傾動回転装置61が、測定台31を経時的に太陽光の光入射角に応じた角度に傾動回転させることにより、平行光ソーラシミュレータ60は、測定台31に載置した太陽電池の一日の出力特性や、一年の出力特性等を測定することができる。したがって、例えば、太陽電池の一日の発電量や年間の発電量等を一定の条件で繰り返して測定することができる。なお、太陽光のスペクトルや光量は、一日に時々刻々と変化する。したがって、平行光ソーラシミュレータ60では、太陽光の光入射角に応じて測定台31の角度に傾動させると共に、フィルタを変更して太陽電池に照射させるスペクトルを変更させたり、光源の強度を増減させて太陽電池に照射させる光量を変更させたりして測定評価を行ってもよい。
【0056】
なお、上述した第1の実施形態〜第5の実施形態の平行光ソーラシミュレータは、集光型太陽電池等の太陽電池の出力特性を測定する場合についてのみ説明したが、この場合に限られない。すなわち、光入射角に依存しない通常の太陽電池の出力特性を測定する場合でも用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
10 平行光ソーラシミュレータ
10a 第1測定ユニット
10b 第2測定ユニット
10c 第3測定ユニット
10d 第4測定ユニット
10e 第5測定ユニット
10f 第6測定ユニット
11 光源
11a 光源
11b 光源
12 インテグレータレンズ
13 第1の反射鏡
14 第2の反射鏡
15 放物面鏡
15a 放物面鏡
15b 放物面鏡
15c 放物面鏡
15d 放物面鏡
15e 放物面鏡
15f 放物面鏡
17 太陽電池
18 受光面
20 平行光ソーラシミュレータ
21 光源発光装置
22 ランプ発光用電源回路
23 トリガ電源回路
24 トリガパルス発生回路
25 トランス
27 電流制御回路
27a 電流制御回路
27b 電流制御回路
28 光量センサ
28a 光量センサ
28b 光量センサ
30 平行光ソーラシミュレータ
31 測定台
40 平行光ソーラシミュレータ
60 平行光ソーラシミュレータ
61 測定台傾動回転装置
70 遮光部材
70a 遮光部材
70b 遮光部材
73 遮光部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物に平行光を照射してその出力特性を測定する平行光ソーラシミュレータであって、
前記被測定物の受光面に直交した軸と平行な軸を主軸とする放物面鏡と、
前記放物面鏡の焦点と等価な位置となるように前記焦点から離間して配置された光源とを有することを特徴とする平行光ソーラシミュレータ。
【請求項2】
被測定物に平行光を照射してその出力特性を測定する平行光ソーラシミュレータであって、
前記被測定物の受光面に直交した軸と平行な軸を主軸とする放物面鏡と、前記放物面鏡の焦点と等価な位置となるように前記焦点から離間して配置された光源とを有する測定ユニットを複数個備え、
前記複数の測定ユニットの放物面鏡は、前記放物面鏡によって反射された光の光軸がそれぞれ平行になるように配置されていることを特徴とする平行光ソーラシミュレータ。
【請求項3】
前記複数の測定ユニットの放物面鏡のうち少なくとも2つは、それぞれの前記放物面鏡の放物面を隙間なく並列させて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の平行光ソーラシミュレータ。
【請求項4】
前記複数の測定ユニットの放物面鏡のうち少なくとも2つは、それぞれの前記放物面鏡の放物面を隙間なく相反させて配置されていることを特徴とする請求項2に記載の平行光ソーラシミュレータ。
【請求項5】
前記複数の測定ユニットの放物面鏡によって反射された光の光量をそれぞれ検出する複数の光量センサと、
前記複数の光量センサによって検出された光量に基づいて、前記光源の発光を制御する光源発光装置とを有することを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の平行光ソーラシミュレータ。
【請求項6】
前記光源から前記放物面鏡までの光路上に配置される第1の反射鏡及び第2の反射鏡と、
前記第1の反射鏡により反射された光を集光して前記第2の反射鏡に照射するインテグレータレンズとを有し、
前記インテグレータレンズ、前記第1の反射鏡及び前記第2の反射鏡は、前記光源が前記放物面鏡の焦点と等価な位置になるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の平行光ソーラシミュレータ。
【請求項7】
前記被測定物を載置する測定台と、
前記測定台を前記放物面鏡の放物面によって反射された光軸に対して任意に傾動及び回転させる測定台傾動回転装置とを有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の平行光ソーラシミュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−186890(P2010−186890A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30442(P2009−30442)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000004374)日清紡ホールディングス株式会社 (370)
【Fターム(参考)】