説明

平衡化ユニット、外部医用機能手段、処理装置、及び、方法

本発明は、少なくとも1つの平衡化チャンバと、平衡化チャンバを充填するための少なくとも1つの搬送手段とを備え、搬送手段が圧力制御される搬送手段であり及び/又は少なくとも1つの動作状態で定圧源として動作されるように設計されて設けられる、医用流体のための平衡化ユニット(100)に関する。また、本発明は、外部医用機能手段(200)、処理装置(300)、及び、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に係る平衡化ユニットに関する。また、本発明は、請求項8に係る外部医用機能手段、請求項11に係る処理装置、及び、請求項15及び16に係る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0867195(B1)号明細書から、血液又は血液処理中に使用される流体などの医用流体の質量及び/又は体積流量を釣り合わせるための平衡化ユニットが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、更なる平衡化ユニットを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する、医用流体を釣り合わせるための、特に透析液を釣り合わせるための平衡化ユニットによって解決される。
【0005】
本発明に係る平衡化ユニットは、少なくとも1つの平衡化チャンバと、少なくとも1つの平衡化チャンバを充填するための搬送手段とを備える。
【0006】
本発明によれば、搬送手段は、圧力制御される或いは圧力制限される搬送手段である。
【0007】
有利な発展が従属請求項及び実施形態の主題である。
【0008】
以下の実施形態の全てにおいて、「であり得る」又は「有することができる」又は「備えることができる」等の用語のそれぞれの使用は、「であることが好ましい」又は「有することが好ましい」又は「備えることが好ましい」等のそれぞれと同義語として理解されるべきである。
【0009】
本明細書中で使用される「平衡化」又は「平衡化プロセス」という用語のそれぞれは、一実施形態では、患者を治療するために患者又は処理装置に供給される或いは患者又は処理装置から引き出される医用流体の質量及び/又は量の比較として理解されなければならない。
【0010】
「患者」という用語は、本明細書中では、不健康又は健康とは無関係に、人又は動物を示すために使用される。
【0011】
本発明の意味において、「平衡化チャンバ」とは、内部又は内容積のそれぞれで釣り合うようになっている医用流体、−又はその医療用流体の一部−、を受けるように設けられ或いは意図されたユニット又は手段又はデバイスのそれぞれのことである。
【0012】
本発明に係る一実施形態において、平衡化チャンバは、移動できるように或いは柔軟に設計され得る少なくとも1つの分離プレート又は膜によって、少なくとも2つの平衡化チャンバ区画室又は平衡化チャンバ部に分離されるチャンバである。平衡化チャンバ区画室又は平衡化チャンバ部のうちの少なくとも1つは、供給される或いは新鮮な医用流体をそれぞれ受けるように設けられ或いは意図され得る。少なくとも1つの更なる平衡化チャンバ区画室又は1つの更なる平衡化チャンバ部は、送出される或いは使用済みの医用流体をそれぞれ受けるように設けられ或いは意図され得る。
【0013】
平衡化ユニットは、複数の平衡化チャンバ、すなわち、例えば、2つ、3つ、4つ、又は、それ以上の平衡化チャンバを備えることができる。
【0014】
幾つかの、例えば2つの平衡化チャンバを例えば有利に使用して、平衡化プロセス中に医用流体の連続した流れを確保することができる。
【0015】
平衡化チャンバは流体連通状態にすることができ或いは流体連通状態にすることができない。平衡化チャンバは、共通に或いは別々に充填可能であり及び/又は送出可能である。
【0016】
各平衡化チャンバは、供給される或いは新鮮な医用流体のための(1つ以上の)供給ラインと、送出される使用済みの医用流体のための出口と接続される排出ラインとを備えることができる。遮断バルブが供給ライン及び/又は排出ラインに配置されてもよい。
【0017】
そのような遮断バルブの例は、処理装置などの機械の一部から引き込まれ及び/又は前記機械へ押し込まれ得るアクチュエータを含む。これらのアクチュエータによって、医用流体の流体システム内の流体流れを防止し或いは解放することができる。そのようなアクチュエータは、「Externe Funktionseinrichtung,Blutbehandlungsvorrichtung zum Aufnehmen einer erfindungsgemaBen externen Funktionseinrichtung,sowie Verfahren」という表題を有するドイツ特許商標局に2009年6月10日に本出願の出願人によって提出された出願102009024468.9における「ファントムバルブ」と称されるアクチュエータを含む。前記出願の内容全体は、参照することにより本願に完全に組み入れられる。
【0018】
本発明の平衡化ユニットの一実施形態に係る平衡化チャンバ及びそれらのそれぞれの機能の例は、本発明の出願人の前述した欧州特許第0867195 B1号明細書に開示されている。その内容全体は、参照することにより先と同様に本願に完全に組み入れられる。
【0019】
搬送手段は、医用流体がそれぞれ存在し或いは収容される流体システムの一部となることができる。搬送手段は、例えば医用流体を搬送するために、流体システムに組み込まれることができ或いは流体システムへ切り換えられることがそれぞれできる。搬送手段には、その使用時又はその使用中に、釣り合わされるべき医用流体が流通され得る。
【0020】
流体システムは、ライン、チューブ、チューブシステム、チャネル、チャンバ、窪み、手段又はデバイスをそれぞれ備えることができ、或いは、流体を蓄える或いは保持するための空間又は領域、並びに、流体の流通などを制御する或いは調整するための制御デバイスを備えることができる。
【0021】
特定の実施形態では、流体システムが透析液のために設けられる。
【0022】
特定の実施形態において、流体システムは、体外血液回路内の血液又は他の流体のために設けられる。そのような他の流体は、クエン酸塩及び/又はカルシウム溶液、水、又は、作動液を含む。
【0023】
充填時に平衡化チャンバ内に存在する圧力は、以下では充填圧力と称される。この充填圧力は変化可能である。充填圧力は増大可能である。充填圧力は、異なる時点で異なる値を有することができる。
【0024】
一実施形態では、本発明に係る平衡化ユニットの最大充填圧力を搬送手段の調整された回転速度によって設定することができる。最大充填圧力は、搬送手段の特性曲線、例えばポンプの特性曲線によって予め決定することができる。
【0025】
一実施形態では、搬送手段の流量及び/又は搬送圧力が適切な手段を使用して測定される。そのために対応する手段が構成されて設けられてもよい。
【0026】
平衡化ユニットの平衡化チャンバを充填するための最大充填圧力を予め決定することができる。本発明に係る一実施形態では、搬送手段の動作パラメータを変えることによって(例えば、ポンプの回転速度に影響を与えることによって)、それぞれ最大充填圧力を設定することができ或いは最大充填圧力が設定される。
【0027】
本発明に係る更なる実施形態では、磁場を変化させることによって(例えば、ポンプの回転速度に影響を与えることによって)搬送手段の動作パラメータがそれぞれ設定可能である、又は、設定される。
【0028】
一実施形態では、最大充填圧力に達した後の最大充填圧力を搬送手段によって特定の時間にわたって一定に維持することができ、或いは、他の実施形態では、最大充填圧力が降下できる。これは前負荷に応じて起こり得る。
【0029】
例えば、釣り合わされるべき1つ以上の医用流体で平衡化チャンバが実質的に或いは完全に満たされるときに最大充填圧力に達することができる。
【0030】
また、平衡化チャンバ区画室又は平衡化チャンバ部が搬送手段を動作させることによって実質的に或いは完全に充填されたときに最大充填圧力に達することもできる。
【0031】
本発明に係る平衡化ユニットの一実施形態において、「圧力制御される搬送手段」又は「圧力制限される搬送手段」はそれぞれ、最大の圧力又は充填圧力に達した後にそれよりも高い圧力を平衡化チャンバ内に何ら生み出さない搬送手段である。
【0032】
本発明に係る平衡化ユニットの他の実施形態では、「圧力制御される搬送手段」又は「圧力制限される搬送手段」がポンプであり、最大充填圧力に達すると、搬送される流体がポンプのインペラを越えて流れる。
【0033】
本発明に係る平衡化ユニットの更なる実施形態において、「圧力制御される搬送手段」は、少なくとも1つの動作状態で定圧源として或いは一定又は略一定の圧力を有する圧力源として動作され得る搬送手段である。
【0034】
本発明に係る平衡化ユニットの更なる実施形態において、「圧力制御される搬送手段」は、少なくとも1つのポンプを備える或いは少なくとも1つのポンプから成る搬送手段であり、ポンプは、任意のオーバーフローバルブ及び/又はバイパスラインを備えず、又は、任意のオーバーフローバルブ及び/又はバイパスラインと機能的に接続されない。
【0035】
本発明に係る平衡化ユニットの更なる実施形態において、「圧力制御される搬送手段」は、平衡化チャンバの充填中に平衡化チャンバ内に存在する充填圧力に応じて搬送手段の圧力をそれぞれ制御する或いは制限する目的のための制御ユニットと接続されない、及び/又は、この目的のために設けられて意図されるとともに対応して構成される制御ユニットを備えない搬送手段である。
【0036】
本発明に係る平衡化ユニットの更なる実施形態において、「圧力制御される搬送手段」は、その形態又は構造にそれぞれ起因して、所定の圧力、ここでは充填圧力、を上回る圧力を生み出さないポンプである。本発明に係る平衡化ユニットの少なくとも1つの実施形態において、圧力制御される搬送手段は、任意の更なる要素又は構成部品、特に、制御ユニット、切り換え機構、バルブ、バイパスゲージ圧バルブ、圧力測定手段などによってそれぞれ、直接的に或いは間接的にそれぞれ、補助され或いはサポートされない。
【0037】
搬送手段によって充填される平衡化チャンバを、機械によって設定された最大圧力又は最大充填圧力に達した後に、容積固定チャンバであると見なすことができる場合、搬送手段は、本発明に係る一実施形態の場合のように「圧力制御される搬送手段」と呼ばれる。
【0038】
本発明に係る一実施形態では、平衡化ユニットが幾つかの搬送手段を備える。
【0039】
本発明に係る一実施形態において、平衡化ユニットは、搬送手段の搬送圧力を制限するのに適するとともに搬送手段の搬送圧力を制限するように設けられ或いは意図され或いは構成されるオーバーフローバルブ、バイパスライン、制御ユニット、切り換え機構、バルブ、バイパスゲージ圧バルブ、圧力測定手段などを何ら備えない。
【0040】
本発明に係る一実施形態において、平衡化ユニットは、バイパスバルブ及び/又は圧力調整を備えるローラーポンプ又はギアポンプを備えない。
【0041】
本発明に係る平衡化ユニットが幾つかの搬送手段を備える場合、前記搬送手段は、一実施形態では、同じ態様で或いは異なって設計され得る。
【0042】
平衡化ユニットの本発明に係る一実施形態では、前記平衡化ユニットは直列に接続される幾つかの搬送手段を備える。このようにすると、平衡化チャンバを制御された態様でそれぞれ排液し或いはアンロードすることができ有益である。
【0043】
平衡化ユニットの本発明に係る一実施形態では、同じ搬送方向でそれぞれ起動し或いは動作されるように、或いは、同じ方向に搬送するようにそれぞれ単一の搬送手段が配置される。
【0044】
本発明に係る一実施形態では、搬送手段がそれぞれ異なる方向で起動し或いは反対方向に搬送する。これにより、目標とする態様で圧力を生み出すことができ及び/又は医用流体の体積流量を制限することができ有益である。これは、平衡化チャンバに作用する力の更なる減少に寄与することができ有益である。特に、平衡化チャンバ及びその壁に作用する力を減少させ或いは更には最小限に抑えることができ有益である。
【0045】
本発明に係る一実施形態では、少なくとも2つの搬送手段がそれぞれ同じ方向に起動し或いは搬送する。これにより、目標とする態様で圧力を減少させることができ有益である。これは、平衡化チャンバに作用する力を更に減少させる(チャンバをアンロードする)ことに有利に寄与してもよい。特に、平衡化チャンバ及びその壁に作用する力を減少させ或いは更には最小限に抑えることができ有益である。
【0046】
本発明に係る平衡化ユニットの更なる実施形態において、「圧力制御される搬送手段」は、遠心ポンプ、圧力源、膜ポンプ、又は、ロータリーポンプである。
【0047】
一実施形態において、「遠心ポンプ」又はロータリーポンプは、低圧の高体積流量及び/又は高圧の低体積流量を有利に供給することができる。
【0048】
本発明に係る一実施形態では、遠心ポンプが軸流ポンプであり、この軸流ポンプは、軸流ポンプに関して当業者に知られる利点を有する。
【0049】
本発明に係る更なる実施形態では、遠心ポンプがラジアルポンプ又は斜流ポンプであり、これらのポンプは、ラジアルポンプ又は斜流ポンプのそれぞれに関して当業者に知られる利点を有する。
【0050】
遠心ポンプの最大圧力、及び、ひいては最大充填圧力は、システム全体に作用する最大圧力負荷を(極めて)正確に有利に規定できるように、回転速度によって、例えば回転速度制御によって設定できる。
【0051】
遠心ポンプは、インペラ又は回転部のそれぞれの越流が特定の流体圧力を超えるときに生じる、例えば平衡化チャンバが完全に充填されるときに生じるという特徴を有することができる。この越流は、遠心ポンプが本発明の意味において圧力制御される態様で動作するように、搬送される流体に圧力制御をもたらすことができる。
【0052】
圧力制御を達成するために、遠心ポンプは、一実施形態では、制御ユニット、調整ユニット、バルブなどの更なる構成部品による補助を何ら必要とせず、有益である。
【0053】
本発明によれば、圧力源は、その初期流体圧力が一定又は略一定である任意の流体搬送装置であると理解される。
【0054】
非圧縮性の圧送液又は対応する流体により、膜ポンプは、膜がそれぞれ(例えば、機械的に、電磁的に、空気圧的に、あるいは液圧的に)動作されあるいは作動されることによって、液体又は流体に正確に圧力をもたらす。したがって、本発明の更なる実施形態において、膜ポンプは、圧力源として、特に圧力制御される搬送手段として見なされる。
【0055】
更なる好ましい実施形態では、搬送手段が少なくとも1つの旋回部又は回転部をそれぞれ備える。本発明に係る一実施形態では、回転部が機械的に支持され、他の実施形態では、回転部が磁気的なベアリングによって支持される。
【0056】
回転部は、排他的に或いは付加的に、磁気的に支持され得る。
【0057】
回転部は搬送手段の内部に配置されることができる。
【0058】
回転部は、その使用時又は使用中に、搬送手段を通じて流れる医用流体によって完全にフラッシングされ得る。
【0059】
一実施形態では、回転部がインペラ又はロータである。
【0060】
更なる実施形態において、搬送手段は、外部作動によって或いは電場によって磁気的に作動され或いは動作されるように意図されて設計される少なくとも1つの回転部を備える。
【0061】
更なる実施形態において、回転部の外部作動は、例えば解放可能な流体密のカップリングによって機械的に動作されるように設計される。
【0062】
本明細書中で使用される「外部作動」という用語は、平衡化ユニットの一部となることができるが平衡化ユニットの一部である必要はない回転部のための作動のことである。
【0063】
外部作動は、本発明に係る平衡化ユニットと相互に作用する装置、例えば処理装置に配置することができる。外部作動が装置の一部になることができる。
【0064】
磁気的な駆動力又は推進力のそれぞれ或いは効果は、1つ以上のマグネットを使用することによって達成される。そのような力又は効果は、通電導体又は生体導体のそれぞれを使用することによって達成される。例えば、生体コイルを使用することができる。
【0065】
平衡化ユニットの本発明に係る一実施形態において、搬送手段は、例えば欧州特許出願公開第0900572 A1号に開示されるような磁気的にサポートされる遠心ポンプである。
【0066】
そのような磁気的にサポートされる遠心ポンプは、本発明の意味における全ての他の磁気的にサポートされる搬送手段のように、機械への機械的な及び/又は電気的なインタフェースが必要とされない、及び/又は、流体が機械又は処理装置のそれぞれからポンプへと移送される必要がない、という利点を与えることができる。
【0067】
更なる好ましい実施形態において、医用流体は、透析液、血液、代替液、薬剤、薬物製剤、及び、これらの混合物又は組み合わせから選択される。
【0068】
本発明に係る一実施形態において、本発明によれば、特に透析中に透析液側での平衡が想起される。
【0069】
本発明に係る一実施形態において、本発明によれば、透析中に血液側での平衡が想起される。
【0070】
患者の血液処理に関する平衡化プロセスにおいて対象となり得る及び/又は必要とされ得る更なる流体は、例えば尿によって排泄される必須の物質などの溶解された形態で存在する患者の溶液又は代謝産物を含む。
【0071】
更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の搬送手段が第1の方向に搬送するために設けられる。また、第1の方向と反対の第2の方向で搬送するために少なくとも1つの第2の搬送手段が設けられる。
【0072】
本発明の目的は、請求項8に係る外部医用機能手段によって更に解決される。本発明に係る平衡化ユニットによって得られる全ての利点は、特定の実施形態では、少なくとも1つの本発明に係る平衡化ユニットを備える本発明に係る外部医用機能手段によっても依然として達成されることができる。
【0073】
本発明の一実施形態において、外部医用機能手段は、透析液を有する外部液体回路及び体外血液回路として、或いは、血液カセット又は透析液カセットのそれぞれとして、或いは、血液/透析液複合カセットとして具現化され或いは設計される。外部医用機能手段は、例えば、血液カセット又は透析液カセットのそれぞれであってもよく、或いは、透析用の血液/透析液複合カセットであってもよい。
【0074】
本発明に係る一実施形態において、外部医用機能手段は、ディスポ物品、単用物品、或いは、使い捨て製品である。
【0075】
本発明に係る一実施形態では、外部医用機能手段がディスポカセットである。
【0076】
ディスポカセットは固体部品又は硬質部品となり得る。ディスポカセットをプラスチック材料から形成することができる。射出成形法を使用することによりディスポカセットを製造することができる。
【0077】
本発明の目的は、請求項11に係る処理装置によって更に解決される。本発明に係る平衡化ユニットによって得られる全ての利点は、特定の実施形態では、本発明に係る処理装置によっても依然として達成されることができる。
【0078】
本発明に係る処理装置は、医用流体を処理するのに適している。処理装置は、本発明に係る少なくとも1つの平衡化ユニットを動作させるように設計されている。
【0079】
少なくともこの目的のため、処理装置は制御ユニットを備えることができる。制御ユニットは、マイクロプロセッサであってもよく或いはマイクロプロセッサを備えてもよい。
【0080】
本発明に係る処理装置の1つの好ましい実施形態において、処理装置は、磁気作動インタフェースを介して平衡化ユニットの搬送手段を作動させるように設けられ或いは意図されて構成される、手段又はデバイスをそれぞれ備える。
【0081】
デバイス又は手段は、例えば、マグネット又は磁気システム及び/又は例えば1つ以上の生体コイルなどの生体導体であってもよく或いはこれらを備えてもよい。
【0082】
処理装置は本発明に係る平衡化ユニット及び/又は本発明に係る外部医用機能手段と機能的に接続されることができる。
【0083】
本発明に係る一実施形態において、本発明に係る処理装置は、少なくとも1つの本発明に係る平衡化ユニットを備える。
【0084】
本発明に係る一実施形態において、本発明に係る処理装置は、本発明に係る平衡化ユニットと強固に接続される。
【0085】
本発明に係る一実施形態では、強固に接続された本発明に係る平衡化ユニットの繰り返し使用が想起される。
【0086】
本発明に係る一実施形態では、本発明に係る処理装置が血液透析デバイスである。
【0087】
特定の実施形態において、処理装置は、更なるデバイス又は手段を更に備え、或いは、それらと結合されるように意図されている。それらのうちの幾つかは、例えば、体外血液回路、医療処置の性能を制御するための制御デバイス、医療処置中に使用され及び/又は循環される医用流体の平衡化プロセスを監視及び/又は表示するためのデバイス、スクリーンなどの、医療処置又は平衡化プロセスの状態及び/又はパラメータを表示する或いは示すためのデバイス、例えば医療処置の実行等を促すためにキーパッドなどの処理装置の1つ以上の構成部品をそれぞれ動作させ或いは作動させるための或いは制御するためのデバイスである。
【0088】
本発明に係る一実施形態では、処理装置が血液処理装置である。
【0089】
血液処理方法の例は、特に限外濾過、血液透析濾過、腹膜透析、自動腹膜透析等を使用することによる血液透析などの透析法を含む。これらの方法を実施するため、血液処理装置はそれに対応して設計され或いは具現化されることができる。
【0090】
最後に、本発明に係る平衡化ユニットは、患者の腹膜空間内へ方向付けられ及び/又は腹膜空間から患者外へ搬送される透析液の量を決定するために、腹膜透析において有利に使用されることができる。これにより、例えば、平衡化ユニットの分割された或いは二分された平衡化チャンバの両方の平衡化チャンバ区画室に新鮮な透析液(透析液を患者の腹部内へ入れるとき)及び/又は使用済みの透析液(透析液を患者の腹部から除去するとき)を手動で充填することができる。これにより、平衡化プロセス中に対象となる医用流体、例えば透析液の量及び/又は質量を例えば平衡化チャンバの充填数によって決定することができる。
【0091】
本発明の目的は、請求項15に係る方法又は請求項16に係る方法によって更に解決される。本発明に係る平衡化ユニットによって得られる全ての利点は、本発明に係る方法によっても依然として達成されることができる。
【0092】
本発明に係る方法は、本発明に係る少なくとも1つの平衡化ユニット、又は、本発明に係る少なくとも1つの外部医用機能手段、又は、本発明に係る少なくとも1つの処理装置を使用することによって、少なくとも1つの医用流体を平衡化するステップを備える。
【0093】
本発明に係る方法は、少なくとも1つの搬送手段によって平衡化チャンバを充填するステップと、搬送手段を少なくとも1つの動作状態で定圧源として動作させるステップとを備える。
【0094】
搬送手段を所望の動作状態で定圧源として動作させるため、搬送手段の特定の回転速度を設定することができ、その回転速度において、それぞれ所定の或いは明確な或いは予め決められた圧力差は搬送手段で設定されることができる。
【0095】
本発明は、平衡化チャンバの充填後に搬送手段が定圧源として動作されることができる平衡化ユニットを提案する。
【0096】
定圧源は、平衡化チャンバ内で最大充填圧力を確保するのに寄与することができ有益である。したがって、平衡化チャンバにおける構造的要件を低くすることができる。
【0097】
一般に、平衡化プロセスの精度は、主に、2つの充填処理間の圧力変化によって決まる。これは、充填プロセスを終わらせるための切り換えプロセスが僅かな変化に晒されるという事実、及び、充填圧力又はチャンバ内の圧力が充填プロセスの終わりにかなり増大するという事実に起因する場合がある。
【0098】
また、平衡化チャンバが通常は圧力に関して安定していないことが知られている。このため、その充填量が変わる可能性がある。
【0099】
搬送手段によって平衡化チャンバ内へ導入される医用流体が、平衡化チャンバ内に存在する流体を同じ度合いまで、或いは、同じ速度又は割合をそれぞれ伴って移動させることができるため、平衡化されるべき流体の一定の或いは均一な質量及び/又は体積流量に達することができ有益である。
【0100】
搬送手段の回転速度及び/又は最大搬送圧力によって平衡化チャンバを動作させるための圧力差を有利に簡単な方法で設定できるため、圧力制御される搬送手段は、医用流体を平衡化しつつ、有利に正確に調整できる(動的にも調整できる)平衡化チャンバ圧力を設定できる。
【0101】
したがって、平衡化チャンバの不都合な圧力増大及び/又は圧力変動を防止することができ有益である。したがって、平衡化チャンバの望ましくない容積の拡張又は変化を防止でき有益である。
【0102】
このようにすると、平衡化プロセスの質量及び/又は体積の精度を高めることができ有益である。
【0103】
これは、例えば、処理中、例えば透析処理中の限外濾過中に透析フィルタ膜を介して患者から引き出される液量を正確に決定すること、及び/又は、主治医によって望まれる割合に前記液量を設定することにも寄与することができ有益である。したがって、安全性、及び、随意的には血液処理の許容範囲も向上させることができ有益である。
【0104】
したがって、例えば血液処理活動の過程で誤った平衡が積み重なる可能性がある誤平衡を防止することができ有益である。行なわれる処理に対して平衡が影響を及ぼす場合、本発明に係る平衡化ユニットにより向上される平衡精度は、少なくとも1つの実施形態では、例えば限外濾過速度を更に適切な態様に設定することにより、向上された及び/又は更に安全な処理を有利にもたらすことができる。
【0105】
本発明に係る平衡化ユニットの平衡化チャンバは、十分な安定性を有する圧力制御される容積式平衡化チャンバとして有利に使用することができる。
【0106】
本発明に係る平衡化ユニットを使用すると、従来技術では十分な安定性が確保されなければならない支柱部材又は強化プラスチック材料などの技術的に複雑な構造を省くことができ有益である。したがって、搬送手段によって与えられる圧力制御に起因して本発明に係る平衡化ユニットの構造を簡略化することができ有益である。
【0107】
処理装置の固定構造における平衡化チャンバの支持壁は必要とされない。したがって、平衡化ユニットの有用性は、その機能精度を損なうことなく更に広くなる。
【0108】
また、本発明に係る平衡化ユニットの搬送手段は、特に平衡化チャンバ内の圧力等を制限する目的でセンサ及び/又はオーバーフローバルブ及び/又はバイパスゲージ圧バルブを使用せずに済ませることができ有益である。したがって、平衡化ユニットの動作を簡略化することができ更に有益である。搬送手段が更に簡単に設計されてもよい。
【0109】
このようにすると、平衡化ユニットの寸法又は平衡化ユニットのために必要とされる空間をそれぞれ小さく維持することができ有益である。
【0110】
搬送手段の磁気的なサポートに起因して、搬送手段の構造を簡略化することができ有益である。したがって、ベアリングなどの機械的な構成部品を省くことができ、したがって、構成部品の摩耗を有利に少なく確保することができ及び/又は磨損を有利に少なく確保することができ有益である。これにより、搬送手段又は平衡化ユニットの加熱を回避し或いは減少させることができ有益である。
【0111】
また、本発明に係る平衡化ユニットの搬送手段は、キャビテーションの傾向を減らすことができ有益である。
【0112】
他の利点は、本発明に係る平衡化ユニットを使用するとノイズの発現をほんの僅かにすることができるという点である。
【0113】
搬送手段の圧力は、平衡化チャンバの充填が終了した後に継続した体積流量を伴う場合であっても増大しないため、満杯の場合、すなわち、平衡化チャンバが実質的に或いは完全に満たされた場合に搬送手段を遮断しなければならないことを回避でき有益である。したがって、例えば遠心ポンプを通じて流れる流体は、遠心ポンプの回転部を越えて流れることができる。このようにすると、流体が内部を流れる遠心ポンプの空間内で流れに方向をもたせて、搬送手段の良好な濯ぎ能力(及びフラッシング能力)を確保することができる。
【0114】
搬送手段又はその回転部をそれぞれ動作させるための磁気作動インタフェースは、搬送手段の非接触な及び/又はシールがない作動を与えることができ有益である。このようにすると、平衡化ユニットと処理装置との間の開放インタフェースを省くことができ有益である。
【0115】
したがって、平衡化ユニットの特定の安全動作を確保することができ有益である。したがって、極めて僅かではあるが、医用流体の汚染リスクを減らすことができ、更には完全に排除することができ有益である。
【0116】
本発明に係る平衡化ユニットは、ディスポとして、すなわち、単使用のための使い捨て可能な物品として有利に使用することができる。搬送手段はディスポの一体部品として設けられることができるため、医療処置の安全性及び衛生状態を更に有利に高めることができるように搬送手段はディスポと共に廃棄することができる。
【0117】
遠心ポンプの使用は、特定の実施形態では、圧力調整される蠕動ホースポンプ、歯車ポンプ、又は、蠕動ポンプと比べると、ポンプの下流側での閉塞の場合に固有圧力制御という利点を有することができる。そこで生み出される圧力を簡単な方法で回転速度により調整することができる。圧力調整される蠕動ホースポンプは、制御回路を備える少なくとも1つの圧力センサを必要とし、また、ゲージ圧バイパスバルブを備える蠕動ホースポンプは許容される圧力に正確に較正されなければならない。したがって、遠心ポンプを使用することにより、本発明に係る平衡化ユニットは、特定の実施形態において更に単純になる。
【0118】
以下、添付図面に関して本発明を典型的に説明する。図中、同じ参照数字は同じ或いは同一の要素又は構成部品をそれぞれ示す。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】第1のサイクル中の本発明に係る平衡化ユニットを概略的に簡略化された態様で示している。
【図2】平衡化チャンバ充填中に時間に対してプロットされた圧力曲線を示している。
【図3】体積流量に対してプロットされた遠心ポンプのポンプ出口とポンプ入口との間の圧力差を示している。
【図4】第2のサイクル中の図1の本発明に係る平衡化ユニットを概略的に簡略化された態様で示している。
【図5】平衡化チャンバの下流側に2つの更なる遠心ポンプを備える図1の本発明に係る平衡化ユニットを概略的に簡略化された態様で示している。
【図6】下流側に配置される遠心ポンプのうちの1つが他の方向に回転する、平衡化チャンバ、バルブ、遠心ポンプを備える本発明に係る平衡化ユニットを概略的に簡略化された態様で示している。
【図7】磁気的な支持及び磁気的な作動を備える遠心ポンプを概略的に簡略化された態様で示している。
【図8】平衡化ユニットと外部医用機能手段とを備える本発明に係る処理装置を概略的に簡略化された態様で示している。
【図9】第1のサイクル中の更なる実施形態の本発明に係る平衡化ユニットを概略的に簡略化された態様で示している。
【発明を実施するための形態】
【0120】
以下、平衡化ユニットを透析用の血液処理装置の一部として典型的に説明する。平衡化ユニットは、患者へ供給される透析液と患者から引き出される透析液とを平衡化するようになっている。しかしながら、原理上は、患者の血液を平衡化することも想起され得る。
【0121】
図1は、平衡化チャンバ1を備える本発明に係る平衡化ユニット100を示している。
【0122】
図1に示されるように、平衡化チャンバ1は、第1の平衡化チャンバ区画室3aと第2の平衡化チャンバ区画室3bとに分離され或いは分割される。しかしながら、平衡化チャンバは、原理上は、ほぼ同じ或いは完全に同じサイズを有する2つの平衡化チャンバ区画室に分けられる必要はない。
【0123】
第1の平衡化チャンバ区画室3aは、流体密な膜5によって第2の平衡化チャンバ区画室3bから分離される。
【0124】
第1の平衡化チャンバ区画室3aには、チューブ9aを介した透析液の流れ7aが充填される。それにより、バルブ11aが制御ユニット13aによって開位置にある。
【0125】
搬送手段が遠心ポンプであってもよい。図1に示されるように、第1のチャンバ区画室3aは遠心ポンプ15aによって充填される。
【0126】
バルブ11aはチューブクランプとして(又は、一般的には圧搾機構として)設計されることができる。そのようなチューブクランプは電気的に制御される作動によって開閉されることができる。これは、医用流体が実質的にチューブ9aとだけ接触するが、バルブ11a又は制御ユニット13aの一部と接触しないという利点を有する。これは、医用流体の汚染リスクの低減に寄与することができ有益である。
【0127】
透析液の第2の流れ7bは、チューブ9bを介して第2の平衡化チャンバ区画室3bから送出される。それにより、バルブ11bも制御ユニット13bの介在によって開位置にある。
【0128】
第2の平衡化チャンバ区画室3bを空にすることができる。第2の平衡化チャンバ区画室3bからの透析液の送出又は排出は、第1の平衡化チャンバ区画室3a内への透析液の供給又は導入と同時に行なうことができる。
【0129】
図1に示されるように、バルブ11c,11dはそれぞれ対応する制御ユニット13c,13dによって閉じられる。チューブ9c,9d内で流体は搬送されない。
【0130】
図2は、時間に対してプロットされた平衡化チャンバ充填中の圧力曲線又は圧力経路17を表わす線図を示している。
【0131】
t=0での初期圧力は、以下でも参照される図1において、バルブ11aを開いた後に透析液の流れ7aがチューブ9aを介して第1の平衡化チャンバ区画室3a内へ導入される際の圧力に対応する。透析液の流れ7bを第2の平衡化チャンバ区画室3bからチューブ9bを介して送出できるようにするためには、バルブ11bが開けられなければならない。
【0132】
第1の平衡化チャンバ区画室3aが充填されて第2の平衡化チャンバ区画室3bが空にされる状態では、平衡化チャンバ内の圧力が当初は降下する。
【0133】
第1の平衡化チャンバ区画室3aが満たされてしまうと、圧力が上昇する。平衡化チャンバの充填中の圧力経路17の終点に対応し、したがって、最大充填圧力に対応する最終的な圧力18は、遠心ポンプ15aに印加される圧力に依存し得る。この圧力は、同様に遠心ポンプの幾つかのパラメータ、例えば、遠心ポンプの構造原理(ラジアルポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプ、インペラ形状、インペラ直径など)、及び/又は、遠心ポンプ15aの設定回転速度、したがって設定動作点にも依存し得る。また、最終圧力は、遠心ポンプ15aの前負荷、すなわち、遠心ポンプ15aの透析液入口に存在する圧力に依存し得る。
【0134】
図3は、医用流体の体積流量Q(横座標)に対してプロットされた遠心ポンプ15aのポンプ出口とポンプ入口との間の圧力差ΔP(縦座標)からなる線図を示している。
【0135】
比較のために示される理想的な圧力源の特性曲線19では、圧力差ΔPが体積流量Qから独立している。つまり、圧力差ΔPの大きさ或いは程度はそれぞれ遠心ポンプの設定回転速度に依存する。
【0136】
実際の圧力経路(ΔP,Q)は、通常、理想的な特性曲線から外れる。図1の本発明に係る平衡化ユニット100の遠心ポンプ15aなどの圧力制御される搬送手段における特性曲線の想定し得る圧力経路が、遠心ポンプの特性曲線21によって示される。理想的な特性曲線への圧力経路の良好な近似を遠心ポンプ15aによって得ることができるのが分かる。また、図3は、本発明の意味において遠心ポンプ15aが圧力制御される搬送手段として理解され得ることも示している。すなわち、体積流量の増大にもかかわらず、ポンプ出口圧力は、特定の圧力レベルに達した後はもはや増大しない。
【0137】
図4は、第2のサイクル中の図1の平衡化ユニット100を示している。第2のサイクルは図1に係る第1のサイクルの後に起こり得る。
【0138】
遠心ポンプ15cの第2のサイクルでは、透析液の流れ7cがチューブ9cを介して第2のチャンバ区画室3b内へ搬送される。同時に、透析液の流れ7dが第1のチャンバ区画室3aから除去される。
【0139】
図5は、平衡化チャンバ1の下流側に2つの更なる遠心ポンプ15b,15dを備える図1の平衡化ユニット100を示している。
【0140】
図5の本発明に係る平衡化ユニット100に配置される全ての遠心ポンプ15a〜15dは、(図5の表示に関して)左を指し示すポンプヘッドの矢印によって示されるように、同じ搬送方向で搬送する。
【0141】
下流側に配置される遠心ポンプ15b,15dにより、2つのチャンバ区画室3a,3bを空にすることが支援され得る。これは、例えば、平衡化チャンバ1内の最大圧力(図2の圧力経路の曲線の終点18参照)を低下させる或いは下げておくために有利となり得る。同様に、平衡化チャンバ1内の低い圧力は、前述したような平衡化ユニット100の構造(例えば、より低い剛性、より小さい材料厚さなど)を簡略化することに寄与することができ有益である。後者は、平衡化ユニット100がディスポの一部として具現化される場合に特に有利となり得る。
【0142】
図6は、図5と同様に平衡化チャンバ1を備えるが、遠心ポンプ15bが(図6の表示に関して)左を指し示すポンプヘッドの矢印によって示されるように、他の方向にも起動する或いは反対方向に搬送するようにそれぞれ設けられ或いは意図されて構成されるという違いを伴う、平衡化ユニット100を示している。
【0143】
反対の回転方向で起動すると、遠心ポンプ15bは、減圧器として動作し、特に調整可能な減圧器として動作する。
【0144】
図6の実施形態では、遠心ポンプ15bの入口と出口とを置き換えることができる。
【0145】
入口と出口との「置き換え」は様々な方法で行なうことができる。その例は、遠心ポンプを逆に挿入し、それに対応して配置されて制御されるバルブを設けることなどである。
【0146】
対応して配置されて制御されるバルブは、柔軟な膜を横切る透析機のアクチュエータによって、例えば関連する流体経路を圧搾し及び/又は解放することによって動作され得ることが好ましい。
【0147】
これに加えて或いはこれに代えて、方向の逆転が意図され得る。考えられる搬送手段は、1つの方向で或いは互いに反対の2つの方向で動作されるように設けられ或いは意図されて構成され得る。
【0148】
図7は、回転部としてのインペラ25と、ロータ27と、コイル29と、ステータ31とを備える遠心ポンプ15aを示している。遠心ポンプ15aは、(図1では矢印により認識できる)入口及び出口を有するハウジング32を備える。
【0149】
遠心ポンプ15aは図示の流れ方向で貫流される。インペラ25の作動は、ステータ31のコイル29を制御することによって発生する周方向電磁場により行なわれる。
【0150】
インペラマグネット又は少なくとも強磁性体がインペラ25に組み込まれることができる。
【0151】
インペラ25の支持は、一方ではインペラマグネットによって行なうことができ、他方では遠心ポンプの外側に設けられるマグネットによって行なうことができる。マグネットをインペラ25と同じ回転動向で周方向に配置できる。周方向マグネットの代わりに或いは周方向マグネットに加えて、コイル配列における周方向電磁場が、それぞれ、インペラ25を支持することができ、或いは、前記インペラを安定した周方向位置に固定できる。図示しないが、この実施形態も本発明によって包含される。
【0152】
図8は、本発明に係る平衡化ユニット100と、血液入口33a及び血液出口33b並びに更なる要素又は構成部品をそれぞれ備える透析装置33を備える本発明に係る処理装置300とを概略的に簡略化された態様で示している。
【0153】
図1に基づいて、図9は、第1のサイクル中の更なる実施形態の本発明に係る平衡化ユニットを概略的に簡略化された態様で示している。遠心ポンプ15bが遠心ポンプ15aの搬送方向と反対の方向で搬送するのが分かる。この実施形態の互いに反対の方向で圧送する搬送手段により、過剰に高い初期圧力を有利に防止でき或いは減らすことができる。これは、透析液がRO水(逆浸透水)から生成されて凝縮するときに当てはまり得る。その際、RO水の供給は、平衡化ユニットが損傷され得るような高いライン圧を有し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの平衡化チャンバ(1)と、
前記平衡化チャンバ(1)を充填するための少なくとも1つの搬送手段と、
を備え、
前記搬送手段は圧力制御される或いは圧力制限される搬送手段である、
医用流体のための平衡化ユニット(100)。
【請求項2】
前記搬送手段は、遠心ポンプ(15a,15b,15c,15d)、圧力源、又は、膜ポンプである請求項1に記載の平衡化ユニット(100)。
【請求項3】
前記搬送手段は、磁気的に支持される少なくとも1つの回転部を備える請求項1又は2に記載の平衡化ユニット(100)。
【請求項4】
前記搬送手段は、外部作動によって磁気的に作動されるように設けられて設計される少なくとも1つの回転部を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の平衡化ユニット(100)。
【請求項5】
前記医用流体は、血液、透析液、代替液、薬剤、薬物製剤、及び、これらの混合物又は組み合わせから選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の平衡化ユニット(100)。
【請求項6】
少なくとも1つの第1の搬送手段が第1の方向で搬送するために設けられ、少なくとも1つの第2の搬送手段が第1の方向と反対の第2の方向で搬送するために設けられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の平衡化ユニット(100)。
【請求項7】
少なくとも1つの第1の搬送手段が第1の方向で搬送するために設けられ、少なくとも1つの第2の搬送手段も第1の方向で搬送するために設けられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の平衡化ユニット(100)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの平衡化ユニット(100)を備える外部医用機能手段(200)。
【請求項9】
外部又は体外血液回路、又は、血液カセットとして設計される請求項8に記載の外部医用機能手段(200)。
【請求項10】
血液処理装置内に挿入するためのディスポ物品又は使い捨て物品として設計され、少なくとも1つの圧力制御される搬送手段と、1つ或いは少なくとも1つの柔軟な膜によって2つのチャンバ部へと分離される少なくとも1つの一体型平衡化チャンバとを備える、請求項8又は9に記載の外部医用機能手段(200)。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの平衡化ユニット(100)を動作させるように設計され、及び/又は、少なくとも1つのそのような平衡化ユニット(100)を備える、医用流体を処理するための処理装置(300)。
【請求項12】
磁気作動インタフェースを介して前記平衡化ユニット(100)の前記搬送手段を作動させるように設けられて構成される手段を備える請求項11に記載の処理装置(300)。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の平衡化ユニット(100)及び/又は請求項8〜10に記載の外部医用機能手段(200)と機能的に接続される請求項11又は12に記載の処理装置(300)。
【請求項14】
血液処理装置として、特に血液透析機として設計される請求項11〜13のいずれか1項に記載の処理装置(300)。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの平衡化ユニット(100)、請求項8、9、又は、10に記載の少なくとも1つの外部医用機能手段(200)、及び/又は、請求項11〜14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの処理装置(300)を使用するステップを備える、少なくとも1つの医用流体を平衡化させるための方法。
【請求項16】
少なくとも1つの搬送手段によって平衡化チャンバを(1)充填するステップと、
前記搬送手段を少なくとも1つの動作状態で定圧源として動作させるステップと、
を備える、少なくとも1つの医用流体を平衡化させるための方法。
【請求項17】
前記平衡化ユニット(100)の前記平衡化チャンバ(1)の最大充填圧力を設定し、及び/又は、少なくとも2つの搬送手段を反対方向で動作させることにより前記平衡化チャンバ(1)を充填するステップ、
を備える請求項15又は16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−514095(P2013−514095A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543521(P2012−543521)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007647
【国際公開番号】WO2011/082783
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512131933)フレゼニウス ムディカル カーレ ドイチェランド ゲーエムベーハー (4)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】Else−Kroener−Strasse 1, 61352 Bad Homburg v.d.H., GERMANY
【Fターム(参考)】