説明

平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法

【課題】弾性部材を打抜いた平面円環形弾性体を用いて種々の寸法の封止部に対応できる平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法を提供する。
【解決手段】平面円環形弾性体61の内周部65を直径方向外側に押し広げながら、ローラ62の端部62aの周面円周に外嵌させ、内周部65をローラ62の周面に沿って封止用溝63の方向へ摺動させ、封止用溝63内に落とし込み、内周部65を封止用溝63の一方の内壁(例えば63b)に押し当てるように且つ平面円環形弾性体61を、その平面66をローラ62の側面外側に向くように矢印m及びnで示すように回し込むようにしてローラ62の側面方向へ折込み、平面円環形弾性体61の平面66の反対面67と封止用溝63との間に差し込んでいた親指(又は人差指)を引き抜くことにより平面円環形弾性体61を封止用溝63に嵌合して封止部を形成する弾性封止体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状の弾性部材を打抜いて得られる平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体容器の粉体供給口を塞ぐように2つのローラが平行に密着して配設され、相互に同一方向又は逆方向に回転しながら粉体容器の粉体を内部から外部に供給する機構が知られている。
【0003】
このような構成の機構においては、粉体がローラの軸方向に漏れるのを防止するため、シール膜部材を周囲に配置したり、ローラ自体の端部に封止部を形成することが行われていた。
【0004】
図6(a) 〜(f) は、そのような従来のローラ端部に封止部を形成する方法を説明する図である。同図(a) は封止部材を切り出すためのスポンジ材の弾性板部材1を示し、同図(b) は弾性板部材1から切り出された弾性体の縦円環形封止部材2の上面図を示し、同図(c) はその側面方向からの斜視図を示している。
【0005】
図6(b),(c) に示す縦円環形封止部材2は、外径と内径間の直径方向の距離、つまり縦円環形の上下の端面3−1及び3−2の幅は寸法aとなっている。また、縦円環形の高さは寸法bとなっている。
【0006】
この縦円環形封止部材2を、円環の輪を押し広げながら、同図(d) に示すように、円周面に封止用溝5を形成されているローラ4の端部4a側から嵌め込み、そのまま押しやって同図(e) に示すように封止用溝5に嵌め込む。
【0007】
縦円環形封止部材2の内径は、封止用溝5の底部円周面5aの外径とほぼ同一である。また縦円環形封止部材2の高さ寸法bは、封止用溝5の溝幅dとほぼ同一である。そして縦円環形封止部材2の上下の端面3−1及び3−2の幅寸法aは封止用溝5の内壁5b及び5cの高さ寸法cつまり封止用溝5の深さ寸法cよりもやや大きく形成されている。
【0008】
このため、縦円環形封止部材2の上端面3−1と下端面3−2が、それぞれ封止用溝5の内壁5cと5bに接したとき、縦円環形封止部材2の外周面はローラ4の外周面よりもやや盛り上がる形で封止用溝5に係止してローラ4端部の封止部を形成する。
【0009】
尚、図ではローラ4の右方の図示を省略しているが、ローラ4の右方の端部にも上記と同様の方法で封止部が形成されている。
【0010】
このようにして端部に封止部を形成されたローラ4は、同図(f) に示すように、ローラ6と平行に密着し1対になって、例えば、粉体容器の粉体供給口等を塞ぐように配設され、相互に同一方向又は逆方向に回転しながら粉体容器の粉体を内部から外部に供給する。
【0011】
このとき、封止用溝5に嵌入して封止部を形成している縦円環形封止部材2の外周面の盛り上がりが、相手側ローラ6の周面に密着して回転し、粉体がローラ軸方向外側に漏れるのを防止する。
【0012】
尚、封止用溝5に固定する封止部材としては、特には図示しないが、細長い板状に加工したスポンジの平面材を、両面テープを利用して封止用溝5の底部円周面5aに巻きつけて固定する方法も採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、封止用溝に縦円環形の封止部材を取り付ける場合、円環の高さが切り出し素材であるスポンジ板の厚さとなるため、円環の高さに対応する封止用溝の幅に変更が生じると円環の高さつまり切り出し素材であるスポンジ板の厚さを変更しなければならない。
【0014】
つまり、種々の幅に設計される封止用溝の幅に対応して、種々の厚さの切り出し素材としてのスポンジ板を在庫しておく必要がある。これでは在庫管理の手数と費用が掛かりすぎて不経済である。
【0015】
また、スポンジの平面材を両面テープ等で封止用溝に貼り付けた場合、両面テープという平面材以外の部材を必要とする手数のほかに、継ぎ目が発生するため、継ぎ目に隙間が生じると完全な封止が困難となり、継ぎ目に重なりが発生すると、継ぎ目の前後で相手側ローラ側面との間に封止ムラを生じて、やはり完全な封止が困難となる。
【0016】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、1種類の平板状の弾性部材を打抜いて種々の寸法の平面円環形弾性体を作成し、それを用いて種々の寸法の封止部に対応できる、平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
先ず、第1の発明の平面円環形弾性体は、ローラ周面の円周に沿って形成された封止用溝に嵌合して封止部を構成する弾性体を上記封止用溝から取り外したとき、上記封止用溝の一方の内壁に接していた部分が円環の内径面となり、上記封止用溝の他方の内壁に接していた部分が円環の外径面となって平面円環形に弾性展開するように構成される。
【0018】
この平面円環形弾性体において、上記平面円環形の外径寸法は上記封止用溝の底部円周の外径寸法とほぼ同一であり、上記平面円環形の外径と内径間の直径方向の幅寸法は上記封止用溝の幅寸法のほぼ90%であり、上記平面円環形の厚さ寸法は上記封止用溝の深さ寸法のほぼ2倍である、ように構成される。
【0019】
次に、第2の発明のローラ周面封止方法は、平面円環形弾性体を準備し、該平面円環形弾性体の内径部分を直径方向外側に押し広げ、押し広げた上記内径部分をローラ周面の円周に沿って封止用溝が形成されているローラの周面に外嵌させ、外嵌させた上記内径部分を上記ローラ周面に沿って上記封止用溝の方向へ摺動させ、上記内径部分を上記封止用溝内に落とし込み、落とし込んだ上記内径部分を上記封止用溝の一方の内壁に押し当て、上記平面円環形弾性体を、その平面をローラ側面外側に向くようにしながら外力から開放することにより、該平面円環形弾性体を上記封止用溝に嵌合して封止部を形成する弾性封止体とする、ように構成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1種類の平板状の弾性部材を打抜いて種々の寸法の平面円環形弾性体を作成し、それを用いて種々の寸法の封止部に対応できる、平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1における平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法により形成した封止部を有するローラ部材を備えたカラー画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0022】
図1に示すプリンタ10は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部12、中間転写ベルトユニット13、給紙部14、及び両面印刷用搬送ユニット15で構成されている。
【0023】
上記画像形成部12は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット16(16M、16C、16Y、16K)を多段式に並設した構成からなる。
【0024】
上記4個の画像形成ユニット16のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット16M、16C及び16Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット16Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0025】
上記の各画像形成ユニット16は、トナー容器(トナーカートリッジ)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット16Kを例にしてその構成を説明する。
【0026】
画像形成ユニット16は、最下部に感光体ドラム17を備えている。この感光体ドラム17は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム17の周面近傍を取り巻いて、クリーナ18、帯電ローラ19、光書込ヘッド21、及び現像器22の現像ローラ23が配置されている。
【0027】
現像器22は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0028】
また、現像器22の下部には側面開口部に上述した現像ローラ23を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ23にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ23上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0029】
中間転写ベルトユニット13は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト24と、この転写ベルト24を掛け渡されて転写ベルト24を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ25と従動ローラ26を備えている。
【0030】
上記の転写ベルト24は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットといっている。
【0031】
この中間転写ベルトユニット13は、上記扁平なループ状の転写ベルト24のループ内にベルト位置制御機構27を備えている。ベルト位置制御機構27は、転写ベルト24を介して感光体ドラム17の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ28を備えている。
【0032】
ベルト位置制御機構27は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット16M、16C及び16Yに対応する3個の一次転写ローラ28を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0033】
そして、ベルト位置制御機構27は、ブラック(K)の画像形成ユニット16Kに対応する1個の一次転写ローラ28を上記3個の一次転写ローラ28の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト24を感光体ドラム17から離接させる。
【0034】
すなわち、ベルト位置制御機構27は、中間転写ベルトユニット13の転写ベルト24の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ28が転写ベルト24に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット16Kに対応する一次転写ローラ28のみが転写ベルト24に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ28が転写ベルト24から離れる)に切換える。
【0035】
上記の中間転写ベルトユニット13には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット16Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器29が着脱自在に配置されている。
【0036】
給紙部14は、上下2段に配置された2個の給紙カセット31を備え、2個の給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0037】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト24を介して従動ローラ26に圧接する二次転写ローラ36が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0038】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式定着装置37が配置されて、ベルト式定着装置37の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式定着装置37から搬出する搬出ローラ対38、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー39に排紙する排紙ローラ対41が配設されている。
【0039】
両面印刷用搬送ユニット15は、上記搬出ローラ対38と排紙ローラ対41との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路42a、それから下方に曲がる中間返送路42b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路42c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対43a、43b、43c、43dを備えている。
【0040】
上記終端返送路42cの出口は、給紙部14の下方の給紙カセット31に対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に連絡している。
【0041】
また、本例において中間転写ベルトユニット13の上面部には、クリーニング部45及び取り込みローラ46が配置されている。
【0042】
クリーニング部45は、転写ベルト24の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ46はクリーニング部45が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器29に送り込んでいる。
【0043】
また、上記のクリーニング部45を適度の圧力で転写ベルト24に圧接させるために、中間転写ベルトユニット13側には、下方から転写ベルト24をクリーニング部45に向けて押圧する押圧ローラ47が設けられている。
【0044】
図1に示すように、このプリンタ10は、従来の用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対35により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に転写ベルト24を介してトナー像を転写する方式となっている。
【0045】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図1の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
【0046】
そして、用紙ジャム等の不具合はキット類の配設部では発生しないので、図1の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、長手方向に入れ替え操作するだけの小さなスペースで良いように構成されている。
【0047】
これにより、キット間の寸法は、可及的に縮小されており、装置本体全体の小型化が図られている。また、光書込ヘッド自体も小型化され、感光体ドラムに、より近接している構成となっている。
【0048】
図2は、画像形成ユニット16を示す断面図である。図1に示した現像器22は、図2に示すように、上部のトナーホッパーA48と下部のトナーホッパーB49からなるトナーカートリッジ51と、外装フレーム52を備えた現像部53とから成る。
【0049】
図3は、上記の画像形成ユニット16のトナーカートリッジ51と現像ドラムユニット54が合体している状態を示す斜視図である。
【0050】
図2及び図3において、現像部53の内部には、既に述べた現像ローラ23のほかに、この現像ローラ23にトナーを供給する供給ローラ55、及び現像ローラ23上に供給されたトナーの層を一定の厚さに規制するドクターブレード56、現像部53のトナーを攪拌する攪拌部材57等を備えている。
【0051】
また、感光体ドラム17、クリーナ18、帯電ローラ19は、ドラムユニット部54として外装フレーム52の内部に現像器22と一体に組み込まれている。上記の感光体ドラム17は、通常、導電性の金属ローラの表面に有機光導電体を一様に被着して成り、金属ローラ部は接地されている。
【0052】
また、帯電ローラ19は、不図示の高圧電源により白印字状態の帯電電位(一様に印加する初期化電位、プラス極性で印加する方式とマイナス極性で印加する方式があり、この例ではマイナスの高電圧)を感光体ドラム17に印加する。
【0053】
この印加により感光体ドラム17の周表面の感光層は、例えば「−500V(ボルト)」のマイナス高電位に一様に帯電する。
【0054】
図1に示した光書込ヘッド21は、レーザー光源又はLED光源を備えており、感光体ドラム17のマイナス高電位に帯電した周表面を画像情報に応じて選択的に露光する。
【0055】
この露光により感光体ドラム17の表面には電位が略「−50V」に減衰したマイナス低電位部が形成され、その「−50V」の低電位部と予め帯電した上記「−500V」の高電位部とによる静電潜像が形成される。
【0056】
現像器22の内部には非磁性一成分のトナーが収容されている。現像ローラ23は、不図示の高圧電源から例えば「−300V」の現像バイアスを印加される。また、供給ローラ55は、他の不図示の高圧電源から「−500V」の供給バイアスを印加される。そして、ドクターブレード56には、更に他の不図示の高圧電源から「−300V」のドクターバイアスを印加される。
【0057】
供給ローラ55と現像ローラ23の間の電界は、現像ローラ23から供給ローラ55へ働く。負に帯電しているトナーは、供給ローラ55から現像ローラ23方向の力を受けて現像ローラ23方向に移動し、現像ローラ23の表面に付着する。
【0058】
現像ローラ23の表面に付着したトナーは、ドクターブレード56により一定の層厚に規制されると共に、ドクターブレード56を介して高圧電源から加わるマイナス高圧電位により、−5〜−25μq/g程度の電荷を持った比較的弱いマイナス電位に帯電している。
【0059】
現像ローラ23は、回転しながら上記のトナー層を感光体ドラム17との対向部に搬送する。現像ローラ23と感光体ドラム17との対向部では、上記「−50V」の静電潜像の低電位部と現像ローラ23との間に「−250V」の電位差が形成される。即ち静電潜像の低電位部は現像ローラ23に対して相対的にプラス極性の電位を形成する。
【0060】
この電位差による電界により、マイナス極性に帯電している非磁性のトナーが感光体ドラム17のプラス極性の静電潜像低電位部に転移してトナー像を形成する。このトナー像は、感光体ドラム17の回転によって、図1に示す感光体ドラム17と一次転写ローラ18との対向部に搬送される。
【0061】
一次転写ローラ28は、感光体ドラム17と対向し、転写ベルト24を介して感光体ドラム17に圧接して転写部を形成している。この一次転写ローラ28は、例えば導電性のスポンジ等で形成され、不図示の正極性の高圧電源に接続されている。一次転写ローラ28は、転写ベルト24にプラス電位の転写バイアスを印加する。
【0062】
この電圧印加によりプラス電位となった転写ベルト24に、転写部に回転搬送されて来る感光体ドラム17上の負極性のトナー像が転写される。同様にして4個の画像形成ユニット16により、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色のトナー像を重ねて転写された転写ベルト24は、そのトナー像を従動ローラ26と二次転写ローラ36が圧接する二次転写部へと搬送する。
【0063】
そして、トナー像は、二次転写部において用紙に転写される。用紙に転写されたトナー像は、ベルト式熱定着装置37により熱と圧力で紙面に定着され、搬出ローラ対38及び排紙ローラ41により排紙トレー39上に排紙される。
【0064】
ところで、図2に示すように、現像ローラ23が配置されている現像部53の下部開口部には、現像ローラ23の下方からトナーが外部に漏れないように封止シート58が設けられている。
【0065】
そして、更に現像ローラ23には、ローラ面から軸方向(図面奥行き方向)外部にトナーが漏れないように、画像形成に関与しない両端部のローラ周面に封止部が形成されている。
【0066】
この封止部は、平板状弾性部材を打抜いて作成した円環形弾性体を用いて現像ローラ23の端部周面に形成されている封止用溝に係止されて構成されるが、従来のごとく封止用溝の深さに対応する専用の厚さの平板状の弾性部材は用いない。
【0067】
本例では、1種類の平板状弾性部材を打抜いて種々の寸法の平面円環形弾性体を作成し、それを用いて種々の寸法の封止部に対応する。この平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法について以下に説明する。尚、以下の説明では、現像ローラ23は単にローラ62として示している。
【0068】
図4(a) 〜(g) は、本実施形態におけるローラ端部に封止部を形成する方法を説明する図である。同図(a) は封止部材を切り出すためのスポンジ材からなる1種類だけ用意された弾性板部材60を示している。
【0069】
また、同図(b) は弾性板部材60から切り出された平面円環形弾性体61の上面図を示し、同図(c) はその側面方向から斜視図を示している。同図(d) 〜(g) は、平面円環形弾性体61をローラ62の端部62a側に形成されている封止用溝63に係止させる手順を示す図である。
【0070】
図4(b),(c) に示す平面円環形弾性体61においては、平面円環形の外周部64の外径寸法eは、ローラ62の封止用溝63の底部円周63aの外径寸法fとほぼ同一に形成される。また、この平面円環形の外径寸法eと内周部65の内径寸法gの差である直径方向の幅寸法hは、封止用溝63の幅寸法iのほぼ90%となるように形成されている。また、この平面円環形の厚さ寸法(つまり弾性板部材60の厚さ)jは、封止用溝63の深さ寸法kのほぼ2倍となるように形成されている。
【0071】
通常、封止用溝63の深さは、ローラ径の大小に係わりなくほぼ一定でよく、ローラ径の大小に封止効果を対応させるためには、封止用溝63の幅iを変化させる。この封止用溝63の幅iの変化に平面円環形弾性体61を対応させるには、平面円環形の外径eと内径gとその間の直径方向の幅寸法hとを変化させればよい。つまり、弾性板部材60は一定の厚さのもの1種類だけで対応できる。
【0072】
図5(a) 〜(g) は、上記の寸法関係を具体的な例で示すとともに、図4(d) 〜(g) に示す平面円環形弾性体61をローラ62の封止用溝63に係止させる手順の説明を補填する図である。
【0073】
図5(a),(b),(c) に示すように、図4(b) 〜(d) に示した平面円環形の、外径寸法e=28(例えば、mm、以下同様)、内径寸法g=18、直径方向の幅寸法h=(28−18)/2=5、厚さ寸法j=2、また、封止用溝63の、底部円周63aの外径寸法f=28、幅寸法i=5.5、深さ寸法k=(30−28)/2=1、である。
【0074】
つまり平面円環形の直径方向の幅寸法h=5は、封止用溝63の幅寸法i=5.5のほぼ90%となるように形成されている。また、平面円環形の厚さ寸法j=2は、封止用溝63の深さ寸法k=1の2倍となるように形成されている。
【0075】
通常、封止用溝63の深さは、ローラ径の大小に係わりなくほぼ一定でよく、ローラ径の大小に封止効果を対応させるためには、封止用溝63の幅iを変化させる。この封止用溝63の幅iの変化に平面円環形弾性体61を対応させるには、平面円環形の外径eと内径gとその間の直径方向の幅寸法hとを変化させればよい。つまり、弾性板部材60は一定の厚さのもの1種類だけで対応できる。
【0076】
また、図5(b),(c),(d) は図4(b),(c) に対応し、図5(e) は図4(d),(e) に対応し、図5(f) は図4(f) に対応し、図5(g) は図4(g) に対応している、図5(d) 〜(g) 及び図4(d) 〜(g) を用いて、平面円環形弾性体61によりローラ62の封止用溝63に封止部を形成する方法を、以下に説明する。
【0077】
先ず、平面円環形弾性体61を準備する(図4(b),(c) 、図5(b),(c),(d) )。次に、この平面円環形弾性体61の内周部65を(内径部分を)直径方向外側に押し広げて、その押し広げた内周部65をローラ62の端部62aの周面円周に沿って、封止用溝63が形成されているローラ62の周面に外嵌させる(図4(d) 、図5(e) )。
【0078】
続いて、その外嵌させた内周部65をローラ62の周面に沿って封止用溝63の方向へ摺動させ、内周部65を封止用溝63内に落とし込む(図4(e) )。
【0079】
そして、落とし込んだ内周部65を封止用溝63の一方の内壁(例えば63b)に押し当てるように、且つ平面円環形弾性体61を、その平面66をローラ62の側面外側に向くように矢印m及びn(図4(f) 参照)で示すように回し込むようにしてローラ62の側面方向へ折込む。尚、図5(e),(f) と図4(f),(g) では、図示する都合上、平面円環形弾性体61の平面66を回し込むように折り込む向きが左右逆になっている。
【0080】
この状態で、平面円環形弾性体61を外力から開放することにより、つまり、平面円環形弾性体61の平面66の反対面67と封止用溝63との間に差し込んでいた親指(又は人差指)を引き抜くことにより、平面円環形弾性体61を封止用溝63に嵌合して封止部を形成する弾性封止体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施形態1における平面円環形弾性体及びそれを用いたローラ周面封止方法により形成した封止部を有するローラ部材を備えたカラー画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】プリンタの画像形成ユニットを示す断面図である。
【図3】画像形成ユニットのトナーカートリッジと現像ドラムユニットが合体している状態を示す斜視図である。
【図4】(a) 〜(g) は実施形態1におけるローラ端部に封止部を形成する方法を説明する図である。
【図5】(a) 〜(g) は図4の寸法関係を具体的な例で示すとともに図4(d) 〜(g) に示す平面円環形弾性体をローラの封止用溝に係止させる手順の説明を補填する図である。
【図6】(a) 〜(f) は従来のローラ端部に封止部を形成する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0082】
1 弾性板部材
2 縦円環形封止部材
3−1、3−2 上下端面
4 ローラ
4a 端部
5 封止溝
5a 底部円周面
5b、5c 内壁
6 ローラ
10 プリンタ
12 画像形成部
13 中間転写ベルトユニット
14 給紙部
15 両面印刷用搬送ユニット
16(16M、16C、16Y、16K) 画像形成ユニット
17(17m、17c、17y、17k) 感光体ドラム
18 クリーナ
19 帯電ローラ
21 光書込ヘッド
22 現像器
23 現像ローラ
24 転写ベルト
25 駆動ローラ
26 従動ローラ
27 ベルト位置制御機構
28 一次転写ローラ
29 廃トナー回収容器
31 給紙カセット
32 用紙取出ローラ
33 給送ローラ
34 捌きローラ
35 待機搬送ローラ対
36 二次転写ローラ
37 ベルト式定着装置
38 搬出ローラ対
39 排紙トレー
41 排紙ローラ対
42a 開始返送路
42b 中間返送路
42c 終端返送路
43a、43b、43c、43d 返送ローラ対
45 クリーニング部
46 取り込みローラ
47 押圧ローラ
48 トナーホッパーA
49 トナーホッパーB
51 トナーカートリッジ
52 外装フレーム
52a 左上外装フレーム
53 現像部
54 ドラムユニット部
55 供給ローラ
56 ドクターブレード
57 攪拌部材
58 封止シート
60 弾性板部材
61 平面円環形弾性体
62 ローラ
62a 端部
63 封止用溝
63a 底部円周
63b、63c 内壁
64 平面円環形弾性体外周部
65 平面円環形弾性体内周部
66 平面
67 反対面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ周面の円周に沿って形成された封止用溝に嵌合して封止部を構成する弾性体を前記封止用溝から取り外したとき、前記封止用溝の一方の内壁に接していた部分が円環の内径面となり、前記封止用溝の他方の内壁に接していた部分が円環の外径面となって平面円環形に弾性展開する、ことを特徴とする平面円環形弾性体。
【請求項2】
前記平面円環形の外径寸法は前記封止用溝の底部円周の外径寸法とほぼ同一であり、
前記平面円環形の外径と内径間の直径方向の幅寸法は前記封止用溝の幅寸法のほぼ90%であり、
前記平面円環形の厚さ寸法は前記封止用溝の深さ寸法のほぼ2倍である、
ことを特徴とする請求項1記載の平面円環形弾性体。
【請求項3】
平面円環形弾性体を準備し、
該平面円環形弾性体の内径部分を直径方向外側に押し広げ、
押し広げた前記内径部分をローラ周面の円周に沿って封止用溝が形成されているローラの周面に外嵌させ、
外嵌させた前記内径部分を前記ローラ周面に沿って前記封止用溝の方向へ摺動させ、
前記内径部分を前記封止用溝内に落とし込み、
落とし込んだ前記内径部分を前記封止用溝の一方の内壁に押し当て、
前記平面円環形弾性体を、その平面をローラ側面外側に向くようにしながら外力から開放することにより、該平面円環形弾性体を前記封止用溝に嵌合して封止部を形成する弾性封止体とする、
ことを特徴とするローラ周面封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−96985(P2010−96985A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267579(P2008−267579)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】