平面型放電ランプ
【課題】 複数種類の情報を何れも点灯状態で表示可能で、設置スペースが小さく、安価で故障も生じにくい表示装置を提供する。
【解決手段】 蛍光体層26を塗り分けると共に背面側電極22を2系統に分割し、インバータから印加される電圧を切換器を用いて切り替えるだけの簡単な構成で、従来の1種の表示パターンのみが表示される表示面サイズで2種の表示パターンが表示できる。
【解決手段】 蛍光体層26を塗り分けると共に背面側電極22を2系統に分割し、インバータから印加される電圧を切換器を用いて切り替えるだけの簡単な構成で、従来の1種の表示パターンのみが表示される表示面サイズで2種の表示パターンが表示できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の表示パターンを切り替えて発光表示可能な平面型放電ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋内や屋外の各種施設・設備において、例えば2〜4種類程度の複数種類の表示パターンを切り替えて情報を表示することが行われている。表示装置においては、一般に、視認性を高めることを目的として表示パターンを発光させるものが広く使用されている。このような表示装置としては、例えば、以下のA〜Dに示すようなものがある。
【0003】
A.点灯状態と消灯状態とで異なる情報を表示するもの
この形態の表示装置は、点灯時に表示しようとする表示パターンを透光性を有するガラス板や樹脂板等に形成し、その表示板を蛍光ランプや電球等の発光体が内部に備えられた箱形の灯具の前面に装着して構成される。点灯状態では、表示パターンが内部から照らされることでその表示パターンに示される状態であることが表され、消灯状態では、暗転することでその状態では無いことが表される。例えば、スタジオ等における「ON AIR」の表示や、手術室における「手術中」の表示等で用いられている。
【0004】
B.上記Aの表示装置を2個並べて一体化させたもの
この形態の表示装置では、2個並べたうちの一方が点灯中は他方が消灯し、点灯中の表示パターンで何れの状態であるかを表示する。例えば、駐車場における「満車|空車」の表示等で用いられている。
【0005】
C.幕に形成した複数の表示パターンを切り替えて表示するもの
この形態の表示装置は、例えば、複数種類の表示パターンを幕に並べて形成し、これを灯具の前面に配置すると共に、その幕を一方向および反対方向に巻き取ることで表示パターンを変化させる。例えば、鉄道車両における「自由席/指定席」の表示の切り替えや、駅や百貨店等の広告を順次に変更して表示する場合等に用いられている。
【0006】
D.フルドットディスプレイを用いたもの
この形態の表示装置は、縦横に矩形に配置した多数のドットから入力データ信号に従って発光させて表示するもので、複数の入力データを用意して手動或いは自動的に切り替えることで表示される情報を変化させる。例えば、鉄道車両において、LED等を用いて「特急」「急行」「普通」を表示させる場合等に用いられている。
【特許文献1】特開2006−147251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記Aの表示装置では、消灯状態のときに表示状態にあるのか否かの判断が困難である。Bの表示装置は、この不都合を改善するものであるが、1個の表示に必要なスペースに対して表示パターン数に応じた倍数のスペースが装置の設置に必要になるため、空間の利用効率が悪い問題がある。また、Cの表示装置は、装置が機械仕掛けになって大がかりであると共に、その機械部分に故障が生じ易い問題がある。また、Dの表示装置は、多様な表示が可能に構成されているにも拘わらず限定的な表示パターンのみを表示することから、その表示パターンの焼き付きが生じ易くなる。また、多様な表示を可能とするために複雑な構造や駆動回路が必要であるから装置が高価になり、単純な使用態様に比較して割高になる問題がある。
【0008】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、複数種類の情報を何れも点灯状態で表示可能で、設置スペースが小さく、安価で故障も生じにくい表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、透光性を有する表面板と、その表面板との間に扁平な気密空間を形成する背面板とを備え、その気密空間内で放電させることにより発生した光を前記表面板を通して射出する形式の平面型放電ランプであって、(a)前記気密空間は複数の発光区画に区分され、(b)前記複数の発光区画の各々に設けられた蛍光体層と、(c)前記複数の発光区画の各々が重複して属することなく且つ各々に属する複数の発光区画の分布範囲が互いに重なるように定められたそれぞれ複数の発光区画から成る互いに異なる表示パターンを形成するための複数の発光区画群と、(d)前記複数の発光区画の各々で放電を発生させるために前記発光区画群毎に独立して設けられた複数の電極とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0010】
このようにすれば、表面板および背面板間に扁平な気密空間を備えてその気密空間内から発光させる形式の平面型放電ランプにおいて、その気密空間内がそれぞれ蛍光体層が設けられた複数の発光区画に区分されると共に、複数の発光区画でそれぞれ構成される複数の発光区画群によって、互いに異なる複数の表示パターンが形成される。このとき、それら複数の発光区画群の発光区画で放電を発生させるための複数の電極は、発光区画群毎に独立して設けられることから、それら電極に選択的に電圧を印加することにより、それら複数の表示パターンを選択的に表示させることができる。複数の発光区画の各々は複数の発光区画群のうちの一つだけに属し、重複して属しないので、複雑な配線や制御回路を必要とすることなく、発光させる発光区画群を選択できる。また、複数の発光区画群は、各々に属する発光区画の分布範囲が互いに重なるように定められるので、表面板の面方向において互いに完全に分離する位置関係にはないことから、複数の表示パターンの各々をその重なりの程度に応じた広い範囲で、例えば、何れも表面板全体を利用して表示することができる。したがって、複数種類の情報を何れも点灯状態で表示しながら、それら複数種類の情報は1つの表示面内で発光区画を分割することで形成していることから、1つの表示装置の大きさで複数種類の表示パターンを得ることができる。また、機械的な駆動部分が無用であるからそれによる故障を避けることができ、構造や駆動回路も簡単にできるので、安価な装置が得られる。また、全ての発光区画が何れかの表示パターンで点灯するように構成できるので、フルドットディスプレイで限定的な表示パターンのみを表示させる場合のような表示パターンの焼き付きも生じない。
【0011】
なお、本発明において、「分布範囲が互いに重なる」とは、一の発光区画群に属する発光区画の相互間に他の発光区画群に属する発光区画が存在することを意味する。この結果、複数の表示パターンの各々が形成される範囲には他の表示パターンを形成するための発光区画が存在することになる。そのため、表示パターンの各々にはそのような発光区画によって非発光部分が生じることから、表示しようとする文字や図形等の本来の形状を表すためには発光しなければならない部分が非発光状態になり得る。例えば、連続すべき線が途切れて断続し、或いは、塗り潰しパターン内に空白が生じ得る。しかしながら、このような断続或いは空白部分が存在しても、近傍の発光区画から発生する光量が十分に多ければ、非発光部分は目立たず、表示品質を実質的に低下させない。また、仮に非発光部分が目立っていても、観察者はその非発光部分を無意識のうちに補完して表示パターンを認識する。したがって、何れにしても、表示しようとする情報は十分に伝達されることになるから、表示パターン内に他の表示パターンを構成するための非点灯の発光区画が存在することは何ら問題にならない。
【0012】
すなわち、本発明によれば、例えばバックライト、照明ランプ、一般照明等に用いられる平面型放電ランプ(例えば特許文献1を参照。)を利用し、その放電空間を複数に分割して、断続的な発光区画で全体として視認可能な表示パターンを構成することができるのである。このような平面型放電ランプを応用して構成したことから、本発明の表示装置は、厚さ寸法が従来のフルドットディスプレイと同程度以下の薄いものになる利点もある。
【0013】
なお、「分布範囲が互いに重なる」には、複数の発光区画群の各々に属する発光区画の分布範囲が互いに完全に重なる場合の他、部分的に重なる場合も含まれる。例えば、複数の表示パターンの中に表示面全体のうちの一部から全く発光させない方が表示品質上好ましい形状が含まれる場合には、部分的な重なり状態が好ましい。例えば、本発明の平面型放電ランプが配置された部分の周囲に備えられた設備との位置関係等により、一方の表示パターンが表示面全体の左方部分を中心に表示し、他方が右方部分を中心に表示することが表示の目的に適う場合などが考えられる。
【0014】
また、前記蛍光体層は、全ての発光区画に設けられることが好ましいが、必須ではない。例えば、ネオン、ナトリウムや水銀灯のガス放電により発生した光をそのまま表示に利用する発光区画が含まれていることを妨げない。また、各発光区画に設けられる蛍光体層の発光色や塗布パターンは形成しようとする表示パターンに応じて定められる。例えば、発光区画の全体に1色に発光する蛍光体が塗布されてもよいが、一つの発光区画内で複数色の蛍光体を塗り分けることもできる。
【0015】
ここで、好適には、前記複数の発光区画は隔壁によって相互に分離されているものである。複数の発光区画の全てを相互に隔壁で区分せず、放電や紫外線の及ぶ範囲が隣接する発光区画まで広がると、その広がりの程度に応じて表示に滲みが生じる。そのため、このような放電等の広がり延いては表示の滲みが許容できるのであれば、隔壁は必須ではない。しかしながら、発光区画の各々の大きさが小さい場合や高い表示品質を求める場合など、このような広がりが表示品質上許容できない場合には、上記のようにすれば、複数の発光区画が隔壁によって相互に分離されることから、放電や発生した光が隣接する発光区画に及んで表示品質が低下することが抑制されるので、一層高品質の表示を得ることができる。
【0016】
なお、隔壁が必須では無い場合には、気密空間内には、表面板と背面板の相互間隔を保つための支柱が必要に応じて備えられるが、隔壁が設けられる場合には、そのような支柱の機能を隔壁に持たせることができる。
【0017】
また、好適には、(e)前記隔壁は格子状を成すものであり、(f)前記複数の発光区画の各々はその隔壁によって縦横に区分され且つ相互に隣接するものの一方が第1発光区画群に他方が第2発光区画群に属し、(g)前記複数の電極は、前記第1発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第1表面電極および背面板側の第1背面電極と、前記第2発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第2表面電極および背面板側の第2背面電極とから成り、且つ、それら各電極は前記隔壁の格子に対して傾斜する方向に沿って設けられた複数本の電極枝部を有し、(h)それら複数本の電極枝部のうちの第1発光区画群および第2発光区画群の一方の発光区画で放電を発生させるための対を成すものは隔壁の交点部分において第1発光区画群および第2発光区画群の他方に属し且つその交点に対して互いに反対側に位置する発光区画内を迂回して通るものである。
【0018】
このようにすれば、格子状の隔壁で区分された発光区画は、第1発光区画群および第2発光区画群の2群に分けられ、それら2群は、それぞれ表面電極と背面電極との間で放電を発生させることによって択一的に発光させられる。このとき、表面電極および背面電極は、電極枝部が隔壁の格子に対して斜め方向に通るようになるが、格子の交点部分では、表面電極と背面電極とがそれらが属する群とは別の群の発光区画内であってその交点に対して互いに反対側に位置するものを迂回して通る。そのため、その交点部分で表面電極と背面電極とが隔壁を介して十分に隔てられるので、そこで誤放電が生じることが好適に抑制される。
【0019】
なお、表面板側または背面板側の電極の一方は、全面で共通にすることもできる。しかしながら、そのような構造では、発光区画の中心間隔(ドットピッチ)が例えば0.5〜1.5(mm)程度と小さいとき、消灯させようとする発光区画で誤放電が生じ得る。すなわち、隔壁の交点の上下を表面電極および背面電極が通るように構成すると、その交点部分で放電が発生し易く、その放電によって交点部分に位置する4つの発光区画全てにおいて発光が生じ得る。したがって、ドットピッチが小さいときには、上記のような誤放電を抑制する構造を採用することが好ましい。
【0020】
また、好適には、前記複数の発光区画は各々がドット状を成して縦方向および横方向に並んで配置され、前記複数の電極は前記複数の発光区画のうち相互に隣接するものが異なる表示パターンを構成するように設けられているものである。このようにすれば、各発光区画を2以上の発光区画群に容易に区分し、2種類以上の表示パターンが容易に得られる。なお、上記のように発光区画を区分する場合には、複数色の蛍光体層を塗り分けることによって表示パターンを形成することができる。
【0021】
なお、前記複数の発光区画の各々の形状は、所望する表示パターンに応じて適宜定められる。例えば、円形、矩形、三角形等のドット状の他、ストライプ状に構成することもでき、適当な図形パターンに構成することもできる。
【0022】
また、前記複数の発光区画の各々がストライプ状を成す場合において、好適には、前記電極は、そのストライプ状の長手方向に沿って設けられる。このようにすれば、発光区画の形成や蛍光体層の塗り分け等が容易になるため、表示装置を一層安価に製造できる。また、発光区画相互間を隔壁で区分する場合においては、電極が隔壁を跨がない構成とすることができるので、誤放電が生じ難い利点がある。
【0023】
前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数の独立電極と、全面で共通の共通電極とから成り、それら複数の独立電極の一つとおよび共通電極間で放電を発生させることによって、その独立電極に対応する表示パターンで発光させるものである。このようにすれば、放電を発生させるために対を成す電極の一方が複数の発光区画群に対して共通に用いられることから、駆動が一層簡単になる利点がある。
【0024】
また、好適には、前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数対から成るものである。このようにすれば、対を成す一方を全面で共通の電極で構成する場合に比較して、無用な発光区画から発光する可能性が減じられる。
【0025】
また、好適には、(i)前記複数の電極は、前記表面板上において一方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1表面電極および第2表面電極と、前記背面板上において前記一方向と交差する他方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1背面電極および第2背面電極とを備え、(j)前記第1表面電極および第2表面電極のうちの選択した一方と、前記第1背面電極および第2背面電極のうちの選択した一方との間に電圧を印加することにより、それら選択したものの交点で放電させて発光させるものである。このようにすれば、表面電極と背面電極とが互いに交差するように設けられると共に、それぞれが第1、第2の2系統で構成されることから、それらの交点の組み合わせにより、4種類の発光パターンを得ることができる。
【0026】
また、好適には、前記表面側電極は前記表面板内面に網状または縞状に設けられ、前記背面板の内面にその表面側電極との間で放電を発生させるための背面側電極が適宜の形状で設けられる。上記網状の表面側電極は、例えば六角形や矩形の細幅導体が連なる形状を成すものである。本発明は、ITO(酸化インジウム錫)やATO(酸化アンチモン錫)等の透明導体材料を表面板の全面にベタ一面で設けるものにも適用されるが、上記のような網状或いは縞状の電極によれば、ITO等の場合に比較して、気密空間内で発生した光の透過率を高くして延いては平面型放電ランプの効率を高め得る利点がある。
【0027】
なお、本発明は、例えば、上記のように表面板上と背面板上にそれぞれ放電電極が備えられた対向放電型のランプに好適に適用されるが、背面板或いは表面板のみに電極が設けられた形式のものや、気密空間の相対する2辺の近傍に対を成す放電電極が対向して設けられた形式のもの等にも好適に適用される。
【0028】
また、上記細幅導体から成る表面側電極は、特に構成材料や形成方法を限定されないが、厚膜銀や厚膜アルミニウム等の厚膜導体を用いてスクリーン印刷法等で形成され、或いは、アルミニウム薄膜等を蒸着してエッチング処理を施すことにより形成される。
【0029】
また、前記気密空間は、平面型放電ランプを構成し得るような扁平なものであれば、表面板側および背面板側が平坦なものに限られない。例えば、背面板や表面板の内面に光の散乱等の目的で凹凸が設けられているものも、請求の範囲に言う「扁平な気密空間」に含まれる。
【0030】
また、気密空間を形成するための表面板および背面板は、例えばガラス材料で構成されるが、背面板側から光を射出させない場合には、背面板は透光性を有する必要が無いので、セラミックス、琺瑯等の不透明な材料で構成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0032】
図1は、本発明の平面型放電ランプ10の一例の構成を説明するための断面を模式的に示す図である。平面型放電ランプ10は、例えばキセノン・ガスが放電ガスとして用いられた冷陰極管に分類されるものであって、有害な水銀を含まず、且つ全温度においてmsecオーダで立ち上がる応答性を備えている。
【0033】
図1において、平面型放電ランプ10は、背面板12および表面板14が僅かな間隔を隔てて互いに平行に配置されることにより、全体が薄型平箱状を成している。これら背面板12および表面板14は、それぞれ例えば150×200(mm)程度の大きさを備えたソーダライムガラス製のガラス平板から成るものであり、背面板12の厚さ寸法は1.1(mm)程度、表面板14の厚さ寸法は0.7(mm)程度である。これらはその周縁部に略沿って矩形に設けられた例えばソーダライムガラス製の側壁16を介して相互に気密に固着されており、それらの間に矩形の気密空間18が形成されている。この気密空間18内には、キセノン或いはキセノンを主成分とした混合ガス(例えば、キセノン90(%)、アルゴン10(%))が例えば40(kPa)(≒300(Torr))程度の圧力で封入されている。この封入ガスすなわち放電ガスのガス圧は、気密空間18内の全面で略一様な放電が発生するように定められたものである。このため、気密空間18内には、背面板12および表面板14の相互間隔すなわち気密空間18の高さ寸法を一定に保つと共に、その気密空間18を多数の発光区画19に区分するための例えば格子状の隔壁20が備えられている。
【0034】
上記の背面板12の内面(気密空間18側の一面)には、例えば紙面に垂直な方向に沿って伸びる互いに平行な多数の背面側電極22が簾状に設けられている。背面側電極22は、例えば、0.5(mm)程度の幅寸法を備え、厚膜スクリーン印刷法を用いてパターン形成された厚膜銀や、アルミニウムの蒸着後にエッチングによりパターン形成された薄膜アルミニウム等から成るものである。これら複数本の背面側電極22は、背面板12の一面に設けられた例えば白色の誘電体層24に覆われている。誘電体層24は、例えば低融点ガラスおよびアルミナやチタニア等のフィラー等から成るものであって、例えば50〜100(μm)程度の厚さ寸法で設けられている。
【0035】
前記隔壁20は、例えば低融点ガラスに適宜白色のフィラー等を添加した材料などで構成されたものであって、例えば、0.5〜1.2(mm)程度の範囲内、例えば0.5(mm)程度の高さ寸法と、0.1〜2(mm)程度の範囲内、例えば200(μm)程度の幅寸法とを備え、例えば0.5〜10(mm)程度の範囲内の中心間隔で設けられている。前記誘電体層24の表面であって、この隔壁20の相互間には、発光区画19毎に予め定められたパターンで塗り分けられた蛍光体層26が備えられている。
【0036】
上記の蛍光体層26は、例えば、図2(a)にパターンの一例を模式的に示すように青色発光の蛍光体層26B(○内に×で表示)、白色発光の蛍光体層26W(○で表示)、赤色発光の蛍光体層26R(○内に||で表示)、黄色発光の蛍光体層26Y(○内に=で表示)から成り、これらが縦横に規則正しく配列されている。なお、前述したように隔壁20は格子状を成すことから、蛍光体層26の各々は矩形を成しているが、図2(a)においては便宜上円形に描いた。蛍光体層26の塗布厚みは例えば50〜100(μm)の範囲内、例えば70(μm)程度である。なお、図1においては、背面板12内面のみに蛍光体層26が設けられているが、表面板14内面にも蛍光体層を形成してもよい。表面板側に設ける場合には、光の射出の妨げとならないように5〜10(μm)の範囲内の膜厚とすることが好ましい。
【0037】
上記のように設けられた蛍光体層26に対応して、前記背面側電極22は、図2(b)に示すように蛍光体層26B、26Wが設けられた発光区画19を通る櫛状の背面側電極22aと、蛍光体層26R、26Yが設けられた発光区画19を通る櫛状の背面側電極22bとから構成されている。各発光区画19には、これら櫛状の背面側電極22a,22bの電極枝部28がそれぞれ通っており、気密空間18内には、背面側電極22aが通る複数の発光区画19から成る第1の発光区画群と、背面側電極22bが通る複数の発光区画19から成る第2の発光区画群とが備えられている。図2(a)、(b)から明らかなように、それら2つの発光区画群のそれぞれに属する発光区画19は、何れも隔壁20の格子に対して斜め方向に並び、2つの発光区画群に属する発光区画19の配列が交互に位置するものとなっている。また、第1の発光区画群に属する発光区画19の分布する範囲と、第2の発光区画群に属する発光区画19の分布する範囲とは、互いに重なった状態にあり、各発光区画19は何れか一方のみに属し、双方に重複して属するものは無い。なお、図2(b)には、破線で蛍光体層26を表し、背面側電極22との位置関係を示した。
【0038】
また、表面板14上には表面側電極30が設けられているが、この表面側電極30は全面で共通に用いられる。表面側電極30は、例えば、ITO等の透明電極材料を用いてベタ一面に形成され、或いは、後述する他の実施例に示すように厚膜銀や薄膜アルミニウム等を用いて網目状に形成されている。この表面側電極30には半田付けやクリップ保持等によって外部回路が接続される。また、前記背面側電極22は、図示しない位置から気密空間18外部に導き出されて端子等に接続されており、外部回路から通電できるようになっている。なお、本実施例においては、表面板14が交流放電のための誘電体を兼ねている。そのため、表面側電極30は、何ら誘電体層で覆われず露出させられている。前述したように、表面板14が背面板12に比較して薄くされているのは、このように誘電体層を兼ねるためであり、表面板内面に表面側電極を設ける場合には、表面板14は背面板12と同程度の厚さ寸法に構成して差し支えない。
【0039】
このように構成される平面型放電ランプ10は、例えば、図3に示すように、高周波インバータ回路32等を用いて、背面側電極22と表面側電極30との間に例えば600(V)、30(kHz)程度の高周波正弦波またはパルスを印加して駆動される。なお、図3の構成例では、表面側電極30がインバータ回路32のGND出力側に接続されている。また、図3において、インバータ32と背面側電極22との間には、切換器34が設けられており、インバータ32の高圧側と背面側電極22a、22bが択一的に接続される。一方が高圧側に接続されている間は、他方は表面側電極30と同じGND出力に接続されており、表面側電極30との電位差が0に保たれる。この結果、背面側電極22a、22bの一方と、表面側電極30との間に駆動電圧が印加されるので、それらの間で放電が発生させられ、それによって生じた紫外線で蛍光体層26が発光させられる。なお、駆動電流の周波数や電圧、パルスの場合のパルス幅等は、平面型放電ランプ10の大きさや封入ガス圧等に応じて適宜設定される。
【0040】
図4は(a)は、背面側電極22aを高圧側に接続した場合の発光パターンを表しており、(b)は、背面側電極22bを高圧側に接続した場合の発光パターンを表している。これらの図では、消灯状態の発光区画(蛍光体層)を破線で示した。(a)では、青色の蛍光体層26Bで○印が表示され、(b)では赤色の蛍光体層26Rで×印が表示されている。このように、本実施例においては、前記第1の発光区画群と第2の発光区画群とで互いに異なる表示パターンが形成され、一つの表示面内において、2つの異なる表示パターンが重なる位置に表示される。
【0041】
したがって、本実施例によれば、蛍光体層26を塗り分けると共に背面側電極22を2系統に分割し、インバータ32から印加される電圧を切換器34を用いて切り替えるだけの簡単な構成で、従来の1種の表示パターンのみが表示される表示面サイズで2種の表示パターンが表示できる利点がある。
【0042】
ところで、本実施例の平面型放電ランプ10は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、図5に示すように、表面板14の処理工程では、表面電極形成工程PF1において、前記表面側電極30が形成される。蛍光体層が表面板内面にも設けられる場合には、蛍光体印刷工程PF2において蛍光体ペーストが塗布され焼成処理が施される。
【0043】
一方、背面板12の処理工程では、背面電極印刷工程P1において、例えばスクリーン印刷法等を利用して厚膜銀ペースト等を印刷し、焼成工程P2において焼成処理を施す。なお、アルミニウム薄膜の蒸着で電極を形成する場合には、これら2工程に代えてその処理が実施される。次いで、誘電体印刷工程P3では、電極22を形成した背面板12の表面に厚膜誘電体ペーストを塗布して、乾燥した後、焼成工程P4において焼成処理を施すことにより誘電体層24を形成する。次いで、隔壁印刷工程P5では、その誘電体層24の表面に厚膜誘電体ペーストを塗布し、乾燥する工程を繰り返すことにより、焼成収縮を考慮した必要な高さ寸法の印刷膜を形成する。次いで、蛍光体印刷工程P6においては、その印刷膜の相互間に落とし込み印刷やディッピング等の適当な方法で蛍光体ペーストを塗布する。なお、これら隔壁印刷工程P5および蛍光体印刷工程P6は、例えば交互に実施することができる。次いで、封着用フリット塗布工程P7では、背面板12の内面外周縁に封着用フリットをディスペンサ等を用いて塗布する。そして、乾燥後、焼成工程P8において焼成処理を施すことにより、隔壁20、蛍光体層26が同時に生成される。
【0044】
このようにして、背面板12および表面板14にそれぞれ膜形成した後、封着工程P9においては、前記側壁16を構成する枠状のスペーサガラスを介してこれらを重ね合わせ、加熱処理を施すことにより、それらが気密に封着される。そして、排気・ガス封入工程P10において、気密空間内から排気すると共に放電ガスを封入し、排気口を封止することによって、前記平面型放電ランプ10が得られる。
【0045】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において上述した実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示す平面型放電ランプ40は、表面板14上に2系統の表面側電極42a、42bを設けたものである。表面側電極42は、前記図2(b)に示す背面側電極22と同様なパターンで設けられている。表面側電極42aが背面側電極22aの真上に位置し、表面側電極42bが背面側電極42bの真上に位置している。すなわち、表面側電極42aと背面側電極22aと、表面側電極42bと背面側電極22bとは、それぞれ対向して配置されている。この表面側電極42は、アルミニウム薄膜の蒸着およびエッチング、銀薄膜のフォトエッチング、厚膜銀のスクリーン印刷等でパターニングされる。
【0047】
図7は上記平面型放電ランプ40を駆動するための装置の構成を説明する図である。この本実施例においても、前記図3に示したものと同様な駆動装置を用いることができるが、本実施例においては、表面側電極42が2系統備えられていることから、切換器44および配線接続が若干変更される。すなわち、インバータ32の高圧側には、背面側電極22a、22bが択一的に接続される一方、GND側には、表面側電極42a,42bが択一的に接続される。これら背面側電極22と表面側電極42の切換は連動して行われ、背面側電極22aが接続されるときは表面側電極42aが接続され、背面側電極22bが接続されるときは表面側電極42bが接続される。接続されない他方の電極はフローティングになる。
【0048】
上記の構成例では、表面側電極42a、42bに択一的に電圧が印加されることにより、発光させようとする発光区画19だけで放電電圧が印加されることから、表面側電極30が全面共通に設けられていた前記ランプ10に比較して、誤放電が生じにくい利点がある。
【0049】
図8は、更に他の実施例の平面型放電ランプ50における発光区画19と電極構成との関係を説明するための平面図であり、図9(a)、(b)は電極の接続構成を表している。このランプ50においては、表面側電極52a、52bと、背面側電極54a、54bは何れも櫛状を成し、互いに交差する向きに沿って設けられている。そのため、このランプ50では、電圧を印加された表面側電極52と背面側電極54の交点に位置する発光区画19に放電電圧が印加され、その発光区画19から発光させられる。駆動するための装置構成は、前記図7に示したものと同様であるが、切換器44に代えて図10(a)〜(d)に示すように4態様に切り替えられる切換器56が用いられる。
【0050】
図10(a)に示す切換状態では、表面側電極52aがGNDに、背面側電極54aが高圧側に接続されるので、発光区画19のうちそれらの交点に位置するAから発光させられる。また、図10(b)に示す切換状態では、表面側電極52bがGNDに、背面側電極54aが高圧側に接続されるので、それらの交点に位置するBから発光させられる。また、図10(c)に示す切換状態では、表面側電極52aがGNDに、背面側電極54bが高圧側に接続されるので、それらの交点に位置するCから発光させられる。また、図10(d)に示す切換状態では、表面側電極52bがGNDに、背面側電極54bが高圧側に接続されるので、それらの交点に位置するDから発光させられる。本実施例においては、複数個のAの発光区画、複数個のBの発光区画、複数個のCの発光区画、複数個のDの発光区画の各々によって発光区画群が構成される。
【0051】
したがって、この実施例によれば、所望する表示パターンが得られるように各交点に蛍光体を塗り分けることにより、互いに異なる4通りの表示に切り替えることができる。なお、この態様では、互いに隣接する4つの発光区画19のうちの1つだけが発光させられることから、ドットピッチが大きくなると発光点が極めて疎らに存在することになる。そのため、例えば1.1(mm)程度のドットピッチでは、表示の視認性が劣るので、比較的単純な表示に用いるか、ドットピッチを小さくして用いることが好ましい。但し、ドットピッチが小さくなるほど誤放電が生じ易くなるので、ドットピッチはこれを考慮して定める必要がある。
【0052】
図11は、前述した平面型放電ランプ10、40,50等に共通して用いられ得る背面側電極22や表面側電極42等の他の構成例を説明する図である。図においては電極配線を背面側電極22として表示した。この実施例では、各発光区画19内に、背面側電極22と直交する方向に沿って伸びる直交電極60が備えられている。直交電極60は、発光区画19の対角線よりも十分に短い長さ寸法に形成されており、隣接する他の電極との間隔は十分に保たれている。この態様によれば、対向する表面側電極30等との対向面積が、発光区画19の中央部分で大きくなっているため、その中央部分で放電が生じ易くなる。その結果、発光区画19相互の放電開始電圧のバラツキが小さくなると共に、誤放電が生じにくくなる利点がある。
【0053】
図12は、更に他の平面型放電ランプ70の構成を模式的に示す図である。このランプ70においては、ストライプ状の隔壁72が設けられることにより、発光区画74a,74bがその隔壁72の長手方向に沿ったストライプ状に形成されている。各発光区画74には、その長手方向に沿って背面側電極76a、76bが備えられると共に、蛍光体層78a、78bがそれぞれ形成されている。これら蛍光体層78a、78bは、1つの発光区画74内において、複数の発光色の蛍光体を用いて適宜のパターンで塗り分けられている。なお、図示しない表面側電極は、背面側電極76に対向するようにこれに沿って形成されているか、全面で共通に設けられる。
【0054】
このランプ70は、例えば前記図3または図7に示される駆動装置構成で駆動することができ、それぞれ複数本の発光区画74a、74bからなる発光区画群が択一的に発光させられる。そのため、点灯させられる発光区画74相互間に消灯しているものがストライプ状に存在することから、ドット状に分割されている場合に比較して表示品質は低くなる。その一方、背面側電極76が隔壁72を跨がないため誤放電が生じにくい利点がある。
【0055】
図13、図14は、更に他の実施例の平面型放電ランプ80の電極配置を説明する図であって、図13は表面側電極82を、図14は背面側電極84を、何れも表面板12側から見た状態で示したものである。このランプ80においては、表面側電極82および背面側電極84がそれぞれ屈曲しつつ一方向(図における右上がりの斜め方向)に沿って設けられている。
【0056】
上記の構成では、発光区画19aで放電を発生させるための表面側電極82aが、斜めに連なる2つの発光区画19a、19a間において、屈曲することにより、その表面側電極82aが放電を発生させない発光区画19bに迂回し、その後、隣接する発光区画19aを通るものとされている。表面側電極82bも同様な形状を有しており、何れも、本来通るべき発光区画19の右下に位置する発光区画19を経由している。
【0057】
図14に示すように、背面側電極84a、84bも同様に、屈曲しつつ右上がりの斜め方向に沿って設けられているが、その屈曲部分は、表面側電極82とは異なり、本来通るべき発光区画19の左上に位置する発光区画19を経由している。
【0058】
図15は、上記図13、図14のH断面を表している。上記のようにして、表面側電極82が隔壁20の交点を迂回して右下の発光区画19を経由し、背面側電極84が交点を迂回して左上の発光区画19を経由していることから、表面側電極82aおよび背面側電極84a間で放電させられる発光区画19aは、図15の左から右に向かって、表面側電極82bが上方に位置するもの、背面側電極84bが下方に位置するものが交互に現れるようになっている。これら表面側電極82bおよび背面側電極84bは、屈曲することなく真っ直ぐに設けられた場合には、隔壁20を挟んで対向して位置するものであるが、この実施例では、隔壁20を挟んで斜め方向の位置関係にある。
【0059】
そのため、本実施例によれば、表面側電極82b、背面側電極84b間に電圧を印加する際に、発光区画19a内において、放電が発生することが好適に抑制される。すなわち、ドットピッチが0.5〜1.5(mm)程度と小さい場合には、このような場合に誤放電が生じ易いが、この実施例によれば、この誤放電が抑制されるので、表示品質が高められる利点がある。
【0060】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の平面型放電ランプの一例の断面構造を模式的に示す図である。
【図2】(a)は図1の平面型放電ランプの蛍光体パターンを示す図であり、(b)は背面側電極の配設形状を示す図である。
【図3】図1の平面型放電ランプの点灯方法を説明する図である。
【図4】(a)、(b)は、それぞれ図3の示す構成で点灯させた場合の表示例を示す図である。
【図5】図1の平面型放電ランプの製造方法を説明する工程図である。
【図6】本発明の他の実施例の平面型放電ランプの要部断面を示す図である。
【図7】図6の放電ランプを駆動するための構成を説明する図である。
【図8】本発明の更に他の実施例における発光区画(または蛍光体層)と電極の位置関係を説明する図である。
【図9】図8の実施例における配線の接続系統を説明する図であり、(a)は表面側電極を、(b)は背面側電極をそれぞれ示している。
【図10】図9の平面型放電ランプに備えられている表面側電極の構成を説明する平面図である。
【図11】本発明の平面型放電ランプにおける電極形状の一例を示す図である。
【図12】本発明の更に他の実施例の発光区画と電極配置を説明する図である。
【図13】本発明の更に他の実施例の表面側電極配置を説明する図である。
【図14】本発明の更に他の実施例の背面側電極配置を説明する透視図である。
【図15】図13、図14のH断面を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10:平面型放電ランプ、12:背面板、14:表面板、16:側壁、18:気密空間、19:発光区画、20:隔壁、22:背面側電極、26:蛍光体層、30:表面側電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の表示パターンを切り替えて発光表示可能な平面型放電ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋内や屋外の各種施設・設備において、例えば2〜4種類程度の複数種類の表示パターンを切り替えて情報を表示することが行われている。表示装置においては、一般に、視認性を高めることを目的として表示パターンを発光させるものが広く使用されている。このような表示装置としては、例えば、以下のA〜Dに示すようなものがある。
【0003】
A.点灯状態と消灯状態とで異なる情報を表示するもの
この形態の表示装置は、点灯時に表示しようとする表示パターンを透光性を有するガラス板や樹脂板等に形成し、その表示板を蛍光ランプや電球等の発光体が内部に備えられた箱形の灯具の前面に装着して構成される。点灯状態では、表示パターンが内部から照らされることでその表示パターンに示される状態であることが表され、消灯状態では、暗転することでその状態では無いことが表される。例えば、スタジオ等における「ON AIR」の表示や、手術室における「手術中」の表示等で用いられている。
【0004】
B.上記Aの表示装置を2個並べて一体化させたもの
この形態の表示装置では、2個並べたうちの一方が点灯中は他方が消灯し、点灯中の表示パターンで何れの状態であるかを表示する。例えば、駐車場における「満車|空車」の表示等で用いられている。
【0005】
C.幕に形成した複数の表示パターンを切り替えて表示するもの
この形態の表示装置は、例えば、複数種類の表示パターンを幕に並べて形成し、これを灯具の前面に配置すると共に、その幕を一方向および反対方向に巻き取ることで表示パターンを変化させる。例えば、鉄道車両における「自由席/指定席」の表示の切り替えや、駅や百貨店等の広告を順次に変更して表示する場合等に用いられている。
【0006】
D.フルドットディスプレイを用いたもの
この形態の表示装置は、縦横に矩形に配置した多数のドットから入力データ信号に従って発光させて表示するもので、複数の入力データを用意して手動或いは自動的に切り替えることで表示される情報を変化させる。例えば、鉄道車両において、LED等を用いて「特急」「急行」「普通」を表示させる場合等に用いられている。
【特許文献1】特開2006−147251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記Aの表示装置では、消灯状態のときに表示状態にあるのか否かの判断が困難である。Bの表示装置は、この不都合を改善するものであるが、1個の表示に必要なスペースに対して表示パターン数に応じた倍数のスペースが装置の設置に必要になるため、空間の利用効率が悪い問題がある。また、Cの表示装置は、装置が機械仕掛けになって大がかりであると共に、その機械部分に故障が生じ易い問題がある。また、Dの表示装置は、多様な表示が可能に構成されているにも拘わらず限定的な表示パターンのみを表示することから、その表示パターンの焼き付きが生じ易くなる。また、多様な表示を可能とするために複雑な構造や駆動回路が必要であるから装置が高価になり、単純な使用態様に比較して割高になる問題がある。
【0008】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、複数種類の情報を何れも点灯状態で表示可能で、設置スペースが小さく、安価で故障も生じにくい表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、透光性を有する表面板と、その表面板との間に扁平な気密空間を形成する背面板とを備え、その気密空間内で放電させることにより発生した光を前記表面板を通して射出する形式の平面型放電ランプであって、(a)前記気密空間は複数の発光区画に区分され、(b)前記複数の発光区画の各々に設けられた蛍光体層と、(c)前記複数の発光区画の各々が重複して属することなく且つ各々に属する複数の発光区画の分布範囲が互いに重なるように定められたそれぞれ複数の発光区画から成る互いに異なる表示パターンを形成するための複数の発光区画群と、(d)前記複数の発光区画の各々で放電を発生させるために前記発光区画群毎に独立して設けられた複数の電極とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0010】
このようにすれば、表面板および背面板間に扁平な気密空間を備えてその気密空間内から発光させる形式の平面型放電ランプにおいて、その気密空間内がそれぞれ蛍光体層が設けられた複数の発光区画に区分されると共に、複数の発光区画でそれぞれ構成される複数の発光区画群によって、互いに異なる複数の表示パターンが形成される。このとき、それら複数の発光区画群の発光区画で放電を発生させるための複数の電極は、発光区画群毎に独立して設けられることから、それら電極に選択的に電圧を印加することにより、それら複数の表示パターンを選択的に表示させることができる。複数の発光区画の各々は複数の発光区画群のうちの一つだけに属し、重複して属しないので、複雑な配線や制御回路を必要とすることなく、発光させる発光区画群を選択できる。また、複数の発光区画群は、各々に属する発光区画の分布範囲が互いに重なるように定められるので、表面板の面方向において互いに完全に分離する位置関係にはないことから、複数の表示パターンの各々をその重なりの程度に応じた広い範囲で、例えば、何れも表面板全体を利用して表示することができる。したがって、複数種類の情報を何れも点灯状態で表示しながら、それら複数種類の情報は1つの表示面内で発光区画を分割することで形成していることから、1つの表示装置の大きさで複数種類の表示パターンを得ることができる。また、機械的な駆動部分が無用であるからそれによる故障を避けることができ、構造や駆動回路も簡単にできるので、安価な装置が得られる。また、全ての発光区画が何れかの表示パターンで点灯するように構成できるので、フルドットディスプレイで限定的な表示パターンのみを表示させる場合のような表示パターンの焼き付きも生じない。
【0011】
なお、本発明において、「分布範囲が互いに重なる」とは、一の発光区画群に属する発光区画の相互間に他の発光区画群に属する発光区画が存在することを意味する。この結果、複数の表示パターンの各々が形成される範囲には他の表示パターンを形成するための発光区画が存在することになる。そのため、表示パターンの各々にはそのような発光区画によって非発光部分が生じることから、表示しようとする文字や図形等の本来の形状を表すためには発光しなければならない部分が非発光状態になり得る。例えば、連続すべき線が途切れて断続し、或いは、塗り潰しパターン内に空白が生じ得る。しかしながら、このような断続或いは空白部分が存在しても、近傍の発光区画から発生する光量が十分に多ければ、非発光部分は目立たず、表示品質を実質的に低下させない。また、仮に非発光部分が目立っていても、観察者はその非発光部分を無意識のうちに補完して表示パターンを認識する。したがって、何れにしても、表示しようとする情報は十分に伝達されることになるから、表示パターン内に他の表示パターンを構成するための非点灯の発光区画が存在することは何ら問題にならない。
【0012】
すなわち、本発明によれば、例えばバックライト、照明ランプ、一般照明等に用いられる平面型放電ランプ(例えば特許文献1を参照。)を利用し、その放電空間を複数に分割して、断続的な発光区画で全体として視認可能な表示パターンを構成することができるのである。このような平面型放電ランプを応用して構成したことから、本発明の表示装置は、厚さ寸法が従来のフルドットディスプレイと同程度以下の薄いものになる利点もある。
【0013】
なお、「分布範囲が互いに重なる」には、複数の発光区画群の各々に属する発光区画の分布範囲が互いに完全に重なる場合の他、部分的に重なる場合も含まれる。例えば、複数の表示パターンの中に表示面全体のうちの一部から全く発光させない方が表示品質上好ましい形状が含まれる場合には、部分的な重なり状態が好ましい。例えば、本発明の平面型放電ランプが配置された部分の周囲に備えられた設備との位置関係等により、一方の表示パターンが表示面全体の左方部分を中心に表示し、他方が右方部分を中心に表示することが表示の目的に適う場合などが考えられる。
【0014】
また、前記蛍光体層は、全ての発光区画に設けられることが好ましいが、必須ではない。例えば、ネオン、ナトリウムや水銀灯のガス放電により発生した光をそのまま表示に利用する発光区画が含まれていることを妨げない。また、各発光区画に設けられる蛍光体層の発光色や塗布パターンは形成しようとする表示パターンに応じて定められる。例えば、発光区画の全体に1色に発光する蛍光体が塗布されてもよいが、一つの発光区画内で複数色の蛍光体を塗り分けることもできる。
【0015】
ここで、好適には、前記複数の発光区画は隔壁によって相互に分離されているものである。複数の発光区画の全てを相互に隔壁で区分せず、放電や紫外線の及ぶ範囲が隣接する発光区画まで広がると、その広がりの程度に応じて表示に滲みが生じる。そのため、このような放電等の広がり延いては表示の滲みが許容できるのであれば、隔壁は必須ではない。しかしながら、発光区画の各々の大きさが小さい場合や高い表示品質を求める場合など、このような広がりが表示品質上許容できない場合には、上記のようにすれば、複数の発光区画が隔壁によって相互に分離されることから、放電や発生した光が隣接する発光区画に及んで表示品質が低下することが抑制されるので、一層高品質の表示を得ることができる。
【0016】
なお、隔壁が必須では無い場合には、気密空間内には、表面板と背面板の相互間隔を保つための支柱が必要に応じて備えられるが、隔壁が設けられる場合には、そのような支柱の機能を隔壁に持たせることができる。
【0017】
また、好適には、(e)前記隔壁は格子状を成すものであり、(f)前記複数の発光区画の各々はその隔壁によって縦横に区分され且つ相互に隣接するものの一方が第1発光区画群に他方が第2発光区画群に属し、(g)前記複数の電極は、前記第1発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第1表面電極および背面板側の第1背面電極と、前記第2発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第2表面電極および背面板側の第2背面電極とから成り、且つ、それら各電極は前記隔壁の格子に対して傾斜する方向に沿って設けられた複数本の電極枝部を有し、(h)それら複数本の電極枝部のうちの第1発光区画群および第2発光区画群の一方の発光区画で放電を発生させるための対を成すものは隔壁の交点部分において第1発光区画群および第2発光区画群の他方に属し且つその交点に対して互いに反対側に位置する発光区画内を迂回して通るものである。
【0018】
このようにすれば、格子状の隔壁で区分された発光区画は、第1発光区画群および第2発光区画群の2群に分けられ、それら2群は、それぞれ表面電極と背面電極との間で放電を発生させることによって択一的に発光させられる。このとき、表面電極および背面電極は、電極枝部が隔壁の格子に対して斜め方向に通るようになるが、格子の交点部分では、表面電極と背面電極とがそれらが属する群とは別の群の発光区画内であってその交点に対して互いに反対側に位置するものを迂回して通る。そのため、その交点部分で表面電極と背面電極とが隔壁を介して十分に隔てられるので、そこで誤放電が生じることが好適に抑制される。
【0019】
なお、表面板側または背面板側の電極の一方は、全面で共通にすることもできる。しかしながら、そのような構造では、発光区画の中心間隔(ドットピッチ)が例えば0.5〜1.5(mm)程度と小さいとき、消灯させようとする発光区画で誤放電が生じ得る。すなわち、隔壁の交点の上下を表面電極および背面電極が通るように構成すると、その交点部分で放電が発生し易く、その放電によって交点部分に位置する4つの発光区画全てにおいて発光が生じ得る。したがって、ドットピッチが小さいときには、上記のような誤放電を抑制する構造を採用することが好ましい。
【0020】
また、好適には、前記複数の発光区画は各々がドット状を成して縦方向および横方向に並んで配置され、前記複数の電極は前記複数の発光区画のうち相互に隣接するものが異なる表示パターンを構成するように設けられているものである。このようにすれば、各発光区画を2以上の発光区画群に容易に区分し、2種類以上の表示パターンが容易に得られる。なお、上記のように発光区画を区分する場合には、複数色の蛍光体層を塗り分けることによって表示パターンを形成することができる。
【0021】
なお、前記複数の発光区画の各々の形状は、所望する表示パターンに応じて適宜定められる。例えば、円形、矩形、三角形等のドット状の他、ストライプ状に構成することもでき、適当な図形パターンに構成することもできる。
【0022】
また、前記複数の発光区画の各々がストライプ状を成す場合において、好適には、前記電極は、そのストライプ状の長手方向に沿って設けられる。このようにすれば、発光区画の形成や蛍光体層の塗り分け等が容易になるため、表示装置を一層安価に製造できる。また、発光区画相互間を隔壁で区分する場合においては、電極が隔壁を跨がない構成とすることができるので、誤放電が生じ難い利点がある。
【0023】
前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数の独立電極と、全面で共通の共通電極とから成り、それら複数の独立電極の一つとおよび共通電極間で放電を発生させることによって、その独立電極に対応する表示パターンで発光させるものである。このようにすれば、放電を発生させるために対を成す電極の一方が複数の発光区画群に対して共通に用いられることから、駆動が一層簡単になる利点がある。
【0024】
また、好適には、前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数対から成るものである。このようにすれば、対を成す一方を全面で共通の電極で構成する場合に比較して、無用な発光区画から発光する可能性が減じられる。
【0025】
また、好適には、(i)前記複数の電極は、前記表面板上において一方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1表面電極および第2表面電極と、前記背面板上において前記一方向と交差する他方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1背面電極および第2背面電極とを備え、(j)前記第1表面電極および第2表面電極のうちの選択した一方と、前記第1背面電極および第2背面電極のうちの選択した一方との間に電圧を印加することにより、それら選択したものの交点で放電させて発光させるものである。このようにすれば、表面電極と背面電極とが互いに交差するように設けられると共に、それぞれが第1、第2の2系統で構成されることから、それらの交点の組み合わせにより、4種類の発光パターンを得ることができる。
【0026】
また、好適には、前記表面側電極は前記表面板内面に網状または縞状に設けられ、前記背面板の内面にその表面側電極との間で放電を発生させるための背面側電極が適宜の形状で設けられる。上記網状の表面側電極は、例えば六角形や矩形の細幅導体が連なる形状を成すものである。本発明は、ITO(酸化インジウム錫)やATO(酸化アンチモン錫)等の透明導体材料を表面板の全面にベタ一面で設けるものにも適用されるが、上記のような網状或いは縞状の電極によれば、ITO等の場合に比較して、気密空間内で発生した光の透過率を高くして延いては平面型放電ランプの効率を高め得る利点がある。
【0027】
なお、本発明は、例えば、上記のように表面板上と背面板上にそれぞれ放電電極が備えられた対向放電型のランプに好適に適用されるが、背面板或いは表面板のみに電極が設けられた形式のものや、気密空間の相対する2辺の近傍に対を成す放電電極が対向して設けられた形式のもの等にも好適に適用される。
【0028】
また、上記細幅導体から成る表面側電極は、特に構成材料や形成方法を限定されないが、厚膜銀や厚膜アルミニウム等の厚膜導体を用いてスクリーン印刷法等で形成され、或いは、アルミニウム薄膜等を蒸着してエッチング処理を施すことにより形成される。
【0029】
また、前記気密空間は、平面型放電ランプを構成し得るような扁平なものであれば、表面板側および背面板側が平坦なものに限られない。例えば、背面板や表面板の内面に光の散乱等の目的で凹凸が設けられているものも、請求の範囲に言う「扁平な気密空間」に含まれる。
【0030】
また、気密空間を形成するための表面板および背面板は、例えばガラス材料で構成されるが、背面板側から光を射出させない場合には、背面板は透光性を有する必要が無いので、セラミックス、琺瑯等の不透明な材料で構成することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0032】
図1は、本発明の平面型放電ランプ10の一例の構成を説明するための断面を模式的に示す図である。平面型放電ランプ10は、例えばキセノン・ガスが放電ガスとして用いられた冷陰極管に分類されるものであって、有害な水銀を含まず、且つ全温度においてmsecオーダで立ち上がる応答性を備えている。
【0033】
図1において、平面型放電ランプ10は、背面板12および表面板14が僅かな間隔を隔てて互いに平行に配置されることにより、全体が薄型平箱状を成している。これら背面板12および表面板14は、それぞれ例えば150×200(mm)程度の大きさを備えたソーダライムガラス製のガラス平板から成るものであり、背面板12の厚さ寸法は1.1(mm)程度、表面板14の厚さ寸法は0.7(mm)程度である。これらはその周縁部に略沿って矩形に設けられた例えばソーダライムガラス製の側壁16を介して相互に気密に固着されており、それらの間に矩形の気密空間18が形成されている。この気密空間18内には、キセノン或いはキセノンを主成分とした混合ガス(例えば、キセノン90(%)、アルゴン10(%))が例えば40(kPa)(≒300(Torr))程度の圧力で封入されている。この封入ガスすなわち放電ガスのガス圧は、気密空間18内の全面で略一様な放電が発生するように定められたものである。このため、気密空間18内には、背面板12および表面板14の相互間隔すなわち気密空間18の高さ寸法を一定に保つと共に、その気密空間18を多数の発光区画19に区分するための例えば格子状の隔壁20が備えられている。
【0034】
上記の背面板12の内面(気密空間18側の一面)には、例えば紙面に垂直な方向に沿って伸びる互いに平行な多数の背面側電極22が簾状に設けられている。背面側電極22は、例えば、0.5(mm)程度の幅寸法を備え、厚膜スクリーン印刷法を用いてパターン形成された厚膜銀や、アルミニウムの蒸着後にエッチングによりパターン形成された薄膜アルミニウム等から成るものである。これら複数本の背面側電極22は、背面板12の一面に設けられた例えば白色の誘電体層24に覆われている。誘電体層24は、例えば低融点ガラスおよびアルミナやチタニア等のフィラー等から成るものであって、例えば50〜100(μm)程度の厚さ寸法で設けられている。
【0035】
前記隔壁20は、例えば低融点ガラスに適宜白色のフィラー等を添加した材料などで構成されたものであって、例えば、0.5〜1.2(mm)程度の範囲内、例えば0.5(mm)程度の高さ寸法と、0.1〜2(mm)程度の範囲内、例えば200(μm)程度の幅寸法とを備え、例えば0.5〜10(mm)程度の範囲内の中心間隔で設けられている。前記誘電体層24の表面であって、この隔壁20の相互間には、発光区画19毎に予め定められたパターンで塗り分けられた蛍光体層26が備えられている。
【0036】
上記の蛍光体層26は、例えば、図2(a)にパターンの一例を模式的に示すように青色発光の蛍光体層26B(○内に×で表示)、白色発光の蛍光体層26W(○で表示)、赤色発光の蛍光体層26R(○内に||で表示)、黄色発光の蛍光体層26Y(○内に=で表示)から成り、これらが縦横に規則正しく配列されている。なお、前述したように隔壁20は格子状を成すことから、蛍光体層26の各々は矩形を成しているが、図2(a)においては便宜上円形に描いた。蛍光体層26の塗布厚みは例えば50〜100(μm)の範囲内、例えば70(μm)程度である。なお、図1においては、背面板12内面のみに蛍光体層26が設けられているが、表面板14内面にも蛍光体層を形成してもよい。表面板側に設ける場合には、光の射出の妨げとならないように5〜10(μm)の範囲内の膜厚とすることが好ましい。
【0037】
上記のように設けられた蛍光体層26に対応して、前記背面側電極22は、図2(b)に示すように蛍光体層26B、26Wが設けられた発光区画19を通る櫛状の背面側電極22aと、蛍光体層26R、26Yが設けられた発光区画19を通る櫛状の背面側電極22bとから構成されている。各発光区画19には、これら櫛状の背面側電極22a,22bの電極枝部28がそれぞれ通っており、気密空間18内には、背面側電極22aが通る複数の発光区画19から成る第1の発光区画群と、背面側電極22bが通る複数の発光区画19から成る第2の発光区画群とが備えられている。図2(a)、(b)から明らかなように、それら2つの発光区画群のそれぞれに属する発光区画19は、何れも隔壁20の格子に対して斜め方向に並び、2つの発光区画群に属する発光区画19の配列が交互に位置するものとなっている。また、第1の発光区画群に属する発光区画19の分布する範囲と、第2の発光区画群に属する発光区画19の分布する範囲とは、互いに重なった状態にあり、各発光区画19は何れか一方のみに属し、双方に重複して属するものは無い。なお、図2(b)には、破線で蛍光体層26を表し、背面側電極22との位置関係を示した。
【0038】
また、表面板14上には表面側電極30が設けられているが、この表面側電極30は全面で共通に用いられる。表面側電極30は、例えば、ITO等の透明電極材料を用いてベタ一面に形成され、或いは、後述する他の実施例に示すように厚膜銀や薄膜アルミニウム等を用いて網目状に形成されている。この表面側電極30には半田付けやクリップ保持等によって外部回路が接続される。また、前記背面側電極22は、図示しない位置から気密空間18外部に導き出されて端子等に接続されており、外部回路から通電できるようになっている。なお、本実施例においては、表面板14が交流放電のための誘電体を兼ねている。そのため、表面側電極30は、何ら誘電体層で覆われず露出させられている。前述したように、表面板14が背面板12に比較して薄くされているのは、このように誘電体層を兼ねるためであり、表面板内面に表面側電極を設ける場合には、表面板14は背面板12と同程度の厚さ寸法に構成して差し支えない。
【0039】
このように構成される平面型放電ランプ10は、例えば、図3に示すように、高周波インバータ回路32等を用いて、背面側電極22と表面側電極30との間に例えば600(V)、30(kHz)程度の高周波正弦波またはパルスを印加して駆動される。なお、図3の構成例では、表面側電極30がインバータ回路32のGND出力側に接続されている。また、図3において、インバータ32と背面側電極22との間には、切換器34が設けられており、インバータ32の高圧側と背面側電極22a、22bが択一的に接続される。一方が高圧側に接続されている間は、他方は表面側電極30と同じGND出力に接続されており、表面側電極30との電位差が0に保たれる。この結果、背面側電極22a、22bの一方と、表面側電極30との間に駆動電圧が印加されるので、それらの間で放電が発生させられ、それによって生じた紫外線で蛍光体層26が発光させられる。なお、駆動電流の周波数や電圧、パルスの場合のパルス幅等は、平面型放電ランプ10の大きさや封入ガス圧等に応じて適宜設定される。
【0040】
図4は(a)は、背面側電極22aを高圧側に接続した場合の発光パターンを表しており、(b)は、背面側電極22bを高圧側に接続した場合の発光パターンを表している。これらの図では、消灯状態の発光区画(蛍光体層)を破線で示した。(a)では、青色の蛍光体層26Bで○印が表示され、(b)では赤色の蛍光体層26Rで×印が表示されている。このように、本実施例においては、前記第1の発光区画群と第2の発光区画群とで互いに異なる表示パターンが形成され、一つの表示面内において、2つの異なる表示パターンが重なる位置に表示される。
【0041】
したがって、本実施例によれば、蛍光体層26を塗り分けると共に背面側電極22を2系統に分割し、インバータ32から印加される電圧を切換器34を用いて切り替えるだけの簡単な構成で、従来の1種の表示パターンのみが表示される表示面サイズで2種の表示パターンが表示できる利点がある。
【0042】
ところで、本実施例の平面型放電ランプ10は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、図5に示すように、表面板14の処理工程では、表面電極形成工程PF1において、前記表面側電極30が形成される。蛍光体層が表面板内面にも設けられる場合には、蛍光体印刷工程PF2において蛍光体ペーストが塗布され焼成処理が施される。
【0043】
一方、背面板12の処理工程では、背面電極印刷工程P1において、例えばスクリーン印刷法等を利用して厚膜銀ペースト等を印刷し、焼成工程P2において焼成処理を施す。なお、アルミニウム薄膜の蒸着で電極を形成する場合には、これら2工程に代えてその処理が実施される。次いで、誘電体印刷工程P3では、電極22を形成した背面板12の表面に厚膜誘電体ペーストを塗布して、乾燥した後、焼成工程P4において焼成処理を施すことにより誘電体層24を形成する。次いで、隔壁印刷工程P5では、その誘電体層24の表面に厚膜誘電体ペーストを塗布し、乾燥する工程を繰り返すことにより、焼成収縮を考慮した必要な高さ寸法の印刷膜を形成する。次いで、蛍光体印刷工程P6においては、その印刷膜の相互間に落とし込み印刷やディッピング等の適当な方法で蛍光体ペーストを塗布する。なお、これら隔壁印刷工程P5および蛍光体印刷工程P6は、例えば交互に実施することができる。次いで、封着用フリット塗布工程P7では、背面板12の内面外周縁に封着用フリットをディスペンサ等を用いて塗布する。そして、乾燥後、焼成工程P8において焼成処理を施すことにより、隔壁20、蛍光体層26が同時に生成される。
【0044】
このようにして、背面板12および表面板14にそれぞれ膜形成した後、封着工程P9においては、前記側壁16を構成する枠状のスペーサガラスを介してこれらを重ね合わせ、加熱処理を施すことにより、それらが気密に封着される。そして、排気・ガス封入工程P10において、気密空間内から排気すると共に放電ガスを封入し、排気口を封止することによって、前記平面型放電ランプ10が得られる。
【0045】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において上述した実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0046】
図6に示す平面型放電ランプ40は、表面板14上に2系統の表面側電極42a、42bを設けたものである。表面側電極42は、前記図2(b)に示す背面側電極22と同様なパターンで設けられている。表面側電極42aが背面側電極22aの真上に位置し、表面側電極42bが背面側電極42bの真上に位置している。すなわち、表面側電極42aと背面側電極22aと、表面側電極42bと背面側電極22bとは、それぞれ対向して配置されている。この表面側電極42は、アルミニウム薄膜の蒸着およびエッチング、銀薄膜のフォトエッチング、厚膜銀のスクリーン印刷等でパターニングされる。
【0047】
図7は上記平面型放電ランプ40を駆動するための装置の構成を説明する図である。この本実施例においても、前記図3に示したものと同様な駆動装置を用いることができるが、本実施例においては、表面側電極42が2系統備えられていることから、切換器44および配線接続が若干変更される。すなわち、インバータ32の高圧側には、背面側電極22a、22bが択一的に接続される一方、GND側には、表面側電極42a,42bが択一的に接続される。これら背面側電極22と表面側電極42の切換は連動して行われ、背面側電極22aが接続されるときは表面側電極42aが接続され、背面側電極22bが接続されるときは表面側電極42bが接続される。接続されない他方の電極はフローティングになる。
【0048】
上記の構成例では、表面側電極42a、42bに択一的に電圧が印加されることにより、発光させようとする発光区画19だけで放電電圧が印加されることから、表面側電極30が全面共通に設けられていた前記ランプ10に比較して、誤放電が生じにくい利点がある。
【0049】
図8は、更に他の実施例の平面型放電ランプ50における発光区画19と電極構成との関係を説明するための平面図であり、図9(a)、(b)は電極の接続構成を表している。このランプ50においては、表面側電極52a、52bと、背面側電極54a、54bは何れも櫛状を成し、互いに交差する向きに沿って設けられている。そのため、このランプ50では、電圧を印加された表面側電極52と背面側電極54の交点に位置する発光区画19に放電電圧が印加され、その発光区画19から発光させられる。駆動するための装置構成は、前記図7に示したものと同様であるが、切換器44に代えて図10(a)〜(d)に示すように4態様に切り替えられる切換器56が用いられる。
【0050】
図10(a)に示す切換状態では、表面側電極52aがGNDに、背面側電極54aが高圧側に接続されるので、発光区画19のうちそれらの交点に位置するAから発光させられる。また、図10(b)に示す切換状態では、表面側電極52bがGNDに、背面側電極54aが高圧側に接続されるので、それらの交点に位置するBから発光させられる。また、図10(c)に示す切換状態では、表面側電極52aがGNDに、背面側電極54bが高圧側に接続されるので、それらの交点に位置するCから発光させられる。また、図10(d)に示す切換状態では、表面側電極52bがGNDに、背面側電極54bが高圧側に接続されるので、それらの交点に位置するDから発光させられる。本実施例においては、複数個のAの発光区画、複数個のBの発光区画、複数個のCの発光区画、複数個のDの発光区画の各々によって発光区画群が構成される。
【0051】
したがって、この実施例によれば、所望する表示パターンが得られるように各交点に蛍光体を塗り分けることにより、互いに異なる4通りの表示に切り替えることができる。なお、この態様では、互いに隣接する4つの発光区画19のうちの1つだけが発光させられることから、ドットピッチが大きくなると発光点が極めて疎らに存在することになる。そのため、例えば1.1(mm)程度のドットピッチでは、表示の視認性が劣るので、比較的単純な表示に用いるか、ドットピッチを小さくして用いることが好ましい。但し、ドットピッチが小さくなるほど誤放電が生じ易くなるので、ドットピッチはこれを考慮して定める必要がある。
【0052】
図11は、前述した平面型放電ランプ10、40,50等に共通して用いられ得る背面側電極22や表面側電極42等の他の構成例を説明する図である。図においては電極配線を背面側電極22として表示した。この実施例では、各発光区画19内に、背面側電極22と直交する方向に沿って伸びる直交電極60が備えられている。直交電極60は、発光区画19の対角線よりも十分に短い長さ寸法に形成されており、隣接する他の電極との間隔は十分に保たれている。この態様によれば、対向する表面側電極30等との対向面積が、発光区画19の中央部分で大きくなっているため、その中央部分で放電が生じ易くなる。その結果、発光区画19相互の放電開始電圧のバラツキが小さくなると共に、誤放電が生じにくくなる利点がある。
【0053】
図12は、更に他の平面型放電ランプ70の構成を模式的に示す図である。このランプ70においては、ストライプ状の隔壁72が設けられることにより、発光区画74a,74bがその隔壁72の長手方向に沿ったストライプ状に形成されている。各発光区画74には、その長手方向に沿って背面側電極76a、76bが備えられると共に、蛍光体層78a、78bがそれぞれ形成されている。これら蛍光体層78a、78bは、1つの発光区画74内において、複数の発光色の蛍光体を用いて適宜のパターンで塗り分けられている。なお、図示しない表面側電極は、背面側電極76に対向するようにこれに沿って形成されているか、全面で共通に設けられる。
【0054】
このランプ70は、例えば前記図3または図7に示される駆動装置構成で駆動することができ、それぞれ複数本の発光区画74a、74bからなる発光区画群が択一的に発光させられる。そのため、点灯させられる発光区画74相互間に消灯しているものがストライプ状に存在することから、ドット状に分割されている場合に比較して表示品質は低くなる。その一方、背面側電極76が隔壁72を跨がないため誤放電が生じにくい利点がある。
【0055】
図13、図14は、更に他の実施例の平面型放電ランプ80の電極配置を説明する図であって、図13は表面側電極82を、図14は背面側電極84を、何れも表面板12側から見た状態で示したものである。このランプ80においては、表面側電極82および背面側電極84がそれぞれ屈曲しつつ一方向(図における右上がりの斜め方向)に沿って設けられている。
【0056】
上記の構成では、発光区画19aで放電を発生させるための表面側電極82aが、斜めに連なる2つの発光区画19a、19a間において、屈曲することにより、その表面側電極82aが放電を発生させない発光区画19bに迂回し、その後、隣接する発光区画19aを通るものとされている。表面側電極82bも同様な形状を有しており、何れも、本来通るべき発光区画19の右下に位置する発光区画19を経由している。
【0057】
図14に示すように、背面側電極84a、84bも同様に、屈曲しつつ右上がりの斜め方向に沿って設けられているが、その屈曲部分は、表面側電極82とは異なり、本来通るべき発光区画19の左上に位置する発光区画19を経由している。
【0058】
図15は、上記図13、図14のH断面を表している。上記のようにして、表面側電極82が隔壁20の交点を迂回して右下の発光区画19を経由し、背面側電極84が交点を迂回して左上の発光区画19を経由していることから、表面側電極82aおよび背面側電極84a間で放電させられる発光区画19aは、図15の左から右に向かって、表面側電極82bが上方に位置するもの、背面側電極84bが下方に位置するものが交互に現れるようになっている。これら表面側電極82bおよび背面側電極84bは、屈曲することなく真っ直ぐに設けられた場合には、隔壁20を挟んで対向して位置するものであるが、この実施例では、隔壁20を挟んで斜め方向の位置関係にある。
【0059】
そのため、本実施例によれば、表面側電極82b、背面側電極84b間に電圧を印加する際に、発光区画19a内において、放電が発生することが好適に抑制される。すなわち、ドットピッチが0.5〜1.5(mm)程度と小さい場合には、このような場合に誤放電が生じ易いが、この実施例によれば、この誤放電が抑制されるので、表示品質が高められる利点がある。
【0060】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の平面型放電ランプの一例の断面構造を模式的に示す図である。
【図2】(a)は図1の平面型放電ランプの蛍光体パターンを示す図であり、(b)は背面側電極の配設形状を示す図である。
【図3】図1の平面型放電ランプの点灯方法を説明する図である。
【図4】(a)、(b)は、それぞれ図3の示す構成で点灯させた場合の表示例を示す図である。
【図5】図1の平面型放電ランプの製造方法を説明する工程図である。
【図6】本発明の他の実施例の平面型放電ランプの要部断面を示す図である。
【図7】図6の放電ランプを駆動するための構成を説明する図である。
【図8】本発明の更に他の実施例における発光区画(または蛍光体層)と電極の位置関係を説明する図である。
【図9】図8の実施例における配線の接続系統を説明する図であり、(a)は表面側電極を、(b)は背面側電極をそれぞれ示している。
【図10】図9の平面型放電ランプに備えられている表面側電極の構成を説明する平面図である。
【図11】本発明の平面型放電ランプにおける電極形状の一例を示す図である。
【図12】本発明の更に他の実施例の発光区画と電極配置を説明する図である。
【図13】本発明の更に他の実施例の表面側電極配置を説明する図である。
【図14】本発明の更に他の実施例の背面側電極配置を説明する透視図である。
【図15】図13、図14のH断面を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10:平面型放電ランプ、12:背面板、14:表面板、16:側壁、18:気密空間、19:発光区画、20:隔壁、22:背面側電極、26:蛍光体層、30:表面側電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表面板と、その表面板との間に扁平な気密空間を形成する背面板とを備え、その気密空間内で放電させることにより発生した光を前記表面板を通して射出する形式の平面型放電ランプであって、
前記気密空間は複数の発光区画に区分され、
前記複数の発光区画の各々に設けられた蛍光体層と、
前記複数の発光区画の各々が重複して属することなく且つ各々に属する複数の発光区画の分布範囲が互いに重なるように定められたそれぞれ複数の発光区画から成る互いに異なる表示パターンを形成するための複数の発光区画群と、
前記複数の発光区画の各々で放電を発生させるために前記発光区画群毎に独立して設けられた複数の電極と
を、含むことを特徴とする平面型放電ランプ。
【請求項2】
前記複数の発光区画は隔壁によって相互に分離されているものである請求項1の平面型放電ランプ。
【請求項3】
前記隔壁は格子状を成すものであり、
前記複数の発光区画の各々はその隔壁によって縦横に区分され且つ相互に隣接するものの一方が第1発光区画群に他方が第2発光区画群に属し、
前記複数の電極は、前記第1発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第1表面電極および背面板側の第1背面電極と、前記第2発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第2表面電極および背面板側の第2背面電極とから成り、且つ、それら各電極は前記隔壁の格子に対して傾斜する方向に沿って設けられた複数本の電極枝部を有し、
それら複数本の電極枝部のうちの第1発光区画群および第2発光区画群の一方の発光区画で放電を発生させるための対を成すものは隔壁の交点部分において第1発光区画群および第2発光区画群の他方に属し且つその交点に対して互いに反対側に位置する発光区画内を迂回して通るものである請求項2の平面型放電ランプ。
【請求項4】
前記複数の発光区画は各々がドット状を成して縦方向および横方向に並んで配置され、
前記複数の電極は前記複数の発光区画のうち相互に隣接するものが異なる表示パターンを構成するように設けられているものである請求項1または請求項2の平面型放電ランプ。
【請求項5】
前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数の独立電極と、全面で共通の共通電極とから成り、それら複数の独立電極の一つとおよび共通電極間で放電を発生させることによって、その独立電極に対応する表示パターンで発光させるものである請求項1乃至請求項4の何れかの平面型放電ランプ。
【請求項6】
前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数対から成るものである請求項1乃至請求項4の何れかの平面型放電ランプ。
【請求項7】
前記複数の電極は、前記表面板上において一方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1表面電極および第2表面電極と、前記背面板上において前記一方向と交差する他方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1背面電極および第2背面電極とを備え、
前記第1表面電極および第2表面電極のうちの選択した一方と、前記第1背面電極および第2背面電極のうちの選択した一方との間に電圧を印加することにより、それら選択したものの交点で放電させて発光させるものである請求項1乃至請求項6の何れかの平面型放電ランプ。
【請求項1】
透光性を有する表面板と、その表面板との間に扁平な気密空間を形成する背面板とを備え、その気密空間内で放電させることにより発生した光を前記表面板を通して射出する形式の平面型放電ランプであって、
前記気密空間は複数の発光区画に区分され、
前記複数の発光区画の各々に設けられた蛍光体層と、
前記複数の発光区画の各々が重複して属することなく且つ各々に属する複数の発光区画の分布範囲が互いに重なるように定められたそれぞれ複数の発光区画から成る互いに異なる表示パターンを形成するための複数の発光区画群と、
前記複数の発光区画の各々で放電を発生させるために前記発光区画群毎に独立して設けられた複数の電極と
を、含むことを特徴とする平面型放電ランプ。
【請求項2】
前記複数の発光区画は隔壁によって相互に分離されているものである請求項1の平面型放電ランプ。
【請求項3】
前記隔壁は格子状を成すものであり、
前記複数の発光区画の各々はその隔壁によって縦横に区分され且つ相互に隣接するものの一方が第1発光区画群に他方が第2発光区画群に属し、
前記複数の電極は、前記第1発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第1表面電極および背面板側の第1背面電極と、前記第2発光区画群の発光区画で放電を発生させるための表面板側の第2表面電極および背面板側の第2背面電極とから成り、且つ、それら各電極は前記隔壁の格子に対して傾斜する方向に沿って設けられた複数本の電極枝部を有し、
それら複数本の電極枝部のうちの第1発光区画群および第2発光区画群の一方の発光区画で放電を発生させるための対を成すものは隔壁の交点部分において第1発光区画群および第2発光区画群の他方に属し且つその交点に対して互いに反対側に位置する発光区画内を迂回して通るものである請求項2の平面型放電ランプ。
【請求項4】
前記複数の発光区画は各々がドット状を成して縦方向および横方向に並んで配置され、
前記複数の電極は前記複数の発光区画のうち相互に隣接するものが異なる表示パターンを構成するように設けられているものである請求項1または請求項2の平面型放電ランプ。
【請求項5】
前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数の独立電極と、全面で共通の共通電極とから成り、それら複数の独立電極の一つとおよび共通電極間で放電を発生させることによって、その独立電極に対応する表示パターンで発光させるものである請求項1乃至請求項4の何れかの平面型放電ランプ。
【請求項6】
前記複数の電極は前記表示パターン毎に独立する複数対から成るものである請求項1乃至請求項4の何れかの平面型放電ランプ。
【請求項7】
前記複数の電極は、前記表面板上において一方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1表面電極および第2表面電極と、前記背面板上において前記一方向と交差する他方向に沿って伸びる複数の電極部をそれぞれ有し且つ互いに独立した第1背面電極および第2背面電極とを備え、
前記第1表面電極および第2表面電極のうちの選択した一方と、前記第1背面電極および第2背面電極のうちの選択した一方との間に電圧を印加することにより、それら選択したものの交点で放電させて発光させるものである請求項1乃至請求項6の何れかの平面型放電ランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−91172(P2008−91172A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269888(P2006−269888)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]