説明

平面型照明装置

【課題】 外部からの衝撃に対して、平面型放電管が割れた際には周囲への飛散を防止すると共に、平面型放電管を覆うケースやグローブを必要としなくても感電を防止できる平面型照明装置を提供する。
【解決手段】 平面型照明装置1は、透明なフッ素樹脂薄膜からなる熱収縮型チューブ2によって、平面型放電管51の表面51a、裏面51b、上側面51cおよび下側面51dを密着して覆われており、右側面51eおよび左側面51fには開放されている。このような構成とすることにより、点灯時に外部を人が触れた場合にも感電することを防止できる。また、外部からの衝撃に対して、平面型放電管51が割れた際においても、破片の飛散を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型放電管を用いた平面型照明装置に関し、詳しくは、所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の内面または外面のそれぞれに設けた一対の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管を用いた平面型照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の平面型放電管は、上述した構成であって、特許文献1に開示されているような一例がある。即ち、第1および第2誘電体平板としての一対の平行配置された透明なガラス基板を所定間隔をおいて周囲を封着部材で封着して内部に放電空間を形成し、一対のガラス基板の外面のそれぞれに薄膜状電極を設け、第1のガラス基板の外面には、酸化スズやITO(酸化インジウムスズ:Indium tinoxide)等からなる透明電極が設けられ発光面とされる。一方、第2のガラス基板の外面には、銀ペースト塗布膜や銀蒸着膜等からなる金属製の不透明電極が設けられている。なお、他の例として、両面を発光面とする場合には、第2のガラス基板の外面にも透明電極が設けられる。
【0003】
また、発光面が大きな従来の平面型放電管51においては、図9に示すように、放電空間内に平行配置した複数の誘電体リブが形成されたものがある。これは、所定の放電距離によって規定される高さの等しい複数の誘電体リブ70を、その内面に離間して一体に設けた第1のガラス基板52bと、この第1のガラス基板52bに対向して平行に配置した第2のガラス基板52aと、これらの両ガラス基板の外面にそれぞれ設けた薄膜状電極55,56とにより構成され、前記ガラス基板の間に形成された密閉空間にキセノン等の放電ガスを封入して前記薄膜状電極に所定の交流電圧を付与することにより、前記密封空間内の放電ガスに放電を発生させて前記両薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管である。上述したように、薄膜状電極55,56の少なくともいずれか一方を透明電極は発光面として構成される。
【0004】
また、このような従来の平面型放電管を照明装置として利用した例(特許文献2)として自動車用照明装置がある。この自動車用照明装置は、例えば、ワゴン車やミニバン車等の自動車の室内に半埋め込み式に設置されて使用されるものであり、主に天井に設置されるものである。この自動車用照明装置の発光素子には、上述の平面型放電管が内装されており、この照明装置の上面カバーは透光性を有するグローブで覆われている。この自動車用照明装置は、平面型放電管を使用しているために、その厚さが従来の蛍光管を用いた自動車用照明装置と比較すると非常に薄く、しかも発光面が平面状であるために、発光がムラ無く外部に照射されるという利点を有している。
【0005】
【特許文献1】特許第3481721号公報
【特許文献2】意匠登録第1202470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的な照明装置の多くに見られるように、従来の丸形蛍光管においては、前記自動車用照明装置のようにグローブを必要としないものがあるが、これと同じように平面型放電管においても、グローブを必要としない使用方法が要望されていた。しかしながら、当該平面型放電管は、厚さが3〜5mm程度と非常に薄いために、外部から受ける衝撃に対して弱く、割れやすいという欠点があった。更に割れた際に周囲に平面型放電管を構成しているガラスが飛散するという危険性があった。
【0007】
これを解消するために、当該平面型放電管のガラス基板から形成される誘電体平板を厚くすることが考えられたが、ガラス基板の有する抵抗が大きくなるために、平面型放電管の発光には、所定の交流電圧を上昇させなければならないという問題が発生する。それゆえ、実用上の観点から、ガラス基板の厚さを必要以上に厚くできないという問題がある。
【0008】
一方、従来の平面型放電管においては、一対のガラス基板のそれぞれの外面に薄膜状電極が設けられているため、グローブが設けられていないような使用方法では、人が誤って接触して感電するおそれがある。従来の平面型放電管51では、薄膜状電極56、56間に付与する電圧は、そのピーク値が例えば1kV程度の高電圧であるため危険であり、何らかの安全対策が必要であった。
【0009】
そこで、本発明は、平面型放電管を使用した平面型照明装置であって、外部からの衝撃に対して、当該平面型放電管が割れた際には周囲への飛散を防止すると共に、平面型放電管を覆うケースやグローブを必要としなくても感電を防止できる平面型照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の平面型照明装置は、
所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の内面または外面のそれぞれに設けた一対の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管と、
前記平面型放電管の外周面を覆うようにした透光性を有する樹脂製薄膜と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記「平面型放電管の外周面」とは、第1・第2誘電体平板の表面、およびこれらの誘電体平板を封止した6つの側面部を含むものである。
【0012】
請求項1に記載の平面型照明装置によれば、
前記平面型放電管の外周面に透光性を有する樹脂製薄膜を設けているので、誤って外面を人が触っても感電することがない。また、外部からの衝撃によって、平面型放電管が割れた際にも、この樹脂製薄膜によって保護されているので、周囲への飛散防止になる。また、この樹脂製薄膜は透光性を有しているので、少なくとも一方に形成された発光面から照射される可視光を外部へ照射することができる。なお、この樹脂製薄膜としては、フッ素樹脂製、シリコン樹脂製、ポリエチレン製、ポリ塩化ビニリデン製、ポリ塩化ビニル製、ポリメチルベンテン製、ポリプリピレン製等、あるいはこれらの混成物等が例示される。
【0013】
また、請求項2に記載の平面型照明装置は、請求項1に記載の平面型照明装置に加えて、
前記樹脂製薄膜は、前記平面型放電管の第1誘電体平板および第2誘電体平板の外面と、4つの側面のうち対向する2側面とを密着して覆うようにした熱収縮型チューブからなる、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の平面型照明装置によれば、請求項1に記載の平面型照明装置の作用に加えて、
熱収縮型チューブを平面型放電管に被せて熱を加えることによって容易に平面型放電管の第1誘電体平板および第2誘電体平板の外面と、4つの側面のうち対向する2側面とを密着して覆うようにすることができる。ひいては、製作コストを低減することが可能になる。
【0015】
また、請求項3に記載の平面型照明装置は、請求項1または請求項2に記載の平面型照明装置に加えて、
前記樹脂製薄膜は透明である、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の平面型照明装置によれば、請求項1または請求項2に記載の平面型照明装置の作用に加えて、
前記樹脂製薄膜は透明であるので、平面型放電管から照射される可視光を極力減衰させないで外部へ照射させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の発明の平面型照明装置によれば、外部からの衝撃に対して、平面型放電管が割れた際には周囲への飛散を防止すると共に、平面型放電管を覆うケースやグローブを必要としなくても感電を防止できる平面型照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の平面型照明装置の実施形態を図1〜図8を用いて説明する。平面型放電管の基本構造は、図9に示した構造とほぼ同様であるので、説明を省略するとともに、各実施形態において、同様の構成要素には同じ符号を付すこととする。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態である平面型照明装置1を示す。図1(a)は正面図、図1(b)は平面面図、図1(c)は右側面図である。図2は、図1(a)におけるA−A断面図、図3は、図1(a)におけるB−B断面図である。背面図は正面図と同一に表れ、背面図は平面図と同一に表れ、左側面図は右側面図と同一に表れるので、これらの図を省略する。また、図1〜図3において、平面型放電管51の詳細構造を簡略化して示している。即ち、表面51aおよび裏面51bには、それぞれに薄膜状の透明電極が設けられているが、図示されていない。また、給排気管60、導電体58a、58b、およびリード線59a、59bは図示していない。
【0020】
平面型照明装置1は、透明なフッ素樹脂薄膜からなる熱収縮型チューブ2によって、平面型放電管51の表面51a、裏面51b、上側面51cおよび下側面51dを密着して覆われており、右側面51eおよび左側面51fには開放された状態にある。本発明において、表面51aおよび裏面51bは、「平面型放電管の第1誘電体平板および第2誘電体平板の外面」に相当し、上側面51cおよび下側面51dは、「4つの側面のうち対向する2側面」に相当する。
【0021】
この平面型照明装置1は、以下のようにして製作される。即ち、平面型放電管51に対して、左右に穴が形成された筒状の熱収縮型チューブ2を被せる。その後、この熱収縮型チューブ2全体を加熱すると、熱収縮が起きることによって、平面型放電管51の表面51a、裏面51b、上側面51cおよび下側面51dに密着するとともに、筒状の熱収縮型チューブ2の左右の穴が収縮する。このように、熱収縮型チューブ2の左右の穴が加熱によって小さくなっているので、容易にこの熱収縮型チューブ2を取り外すのが困難となる。
【0022】
(第1の実施形態の効果)
次に第1の実施形態から把握される効果について列記する。
(1)平面型放電管51が熱収縮型チューブ2によって覆われているので、点灯時に外部を人が触れた場合にも感電することを防止できる。
【0023】
(2)平面型放電管51が熱収縮型チューブ2によって覆われているので、外部からの衝撃に対して、平面型放電管51が割れた際においても、破片の飛散を防止することができる。
【0024】
(3)平面型放電管51はガラスから形成されているので、熱収縮型チューブ2の形成する保護膜によってこのガラスのエッジを保護しているので、取り扱い上安全である。
【0025】
(4)熱収縮型チューブ2は透明であるため、平面型放電管51から照射される可視光を減衰させることなく透過し外部へ照射させることができる。
【0026】
(第1の実施形態の応用例等)
・ 第1の実施形態では、熱収縮型チューブ2を透明としているが、透光性を有する乳白色やその他着色や模様等を施してもよい。このような構成にすれば、可視光を外部へ照射できるとともに、外部から見た場合に平面型放電管の内部構造を隠すことが可能である。また、熱収縮型チューブとしての樹脂製薄膜の表面側にプリズム加工を施してもよい。このような構成にすれば、外部へ照射される可視光をムラ無く均一に発光させることが可能となるとともに、外部から見た場合に平面型放電管の内部構造を隠すこともまた可能である。
【0027】
・ 第1の実施形態において、平面型照明装置1は、右側面51eおよび左側面51fが開放された状態にあるが、これらの部分を封止してもよい。この場合、平面型放電管1が完全に密閉されるので、平面型放電管51が割れた際において、破片を確実に内部に閉じこめることができるので、取り扱い上安全である。この封止方法としては、熱溶着にしてもよいし、ファスナー等で機械的に固定するようにしても良い。
【0028】
・ 第1の実施形態において、熱収縮型チューブ2を形成する樹脂製薄膜をフッ素樹脂としているが、これに限定する必要はなく、例えば、シリコン樹脂製、ポリエチレン製、ポリ塩化ビニリデン製、ポリ塩化ビニル製、ポリメチルベンテン製、ポリプリピレン製等、あるいはこれらの混成物等としても良いし、その他の耐熱性、難燃性を有する樹脂膜であれば適用させることは可能である。
【0029】
・ 第1の実施形態において、樹脂製薄膜として熱収縮チューブとしているが、これに限定する必要はなく、二枚の樹脂製薄膜に平面型放電管を挟み込んで周囲を封止するようにしても良い。
【0030】
・ 第1の実施形態において、樹脂製薄膜を形成する方法として熱収縮チューブを利用しているが、これに限定する必要はなく、例えば、樹脂製液体を貯めた容器に、平面型放電管51全体を沈めることによって、外面全体にこの液体状樹脂を塗布させた後、これを取りだして外面全体を乾燥させることで、平面型放電管51の外周面に樹脂製薄膜を形成させるようにしても良い。このようにしても第1の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0031】
・ 第1の実施形態および上述の応用例のように、平面型放電管の外周面を樹脂製薄膜で覆った平面型照明装置においては、当該樹脂製薄膜の厚さ部分が弾力性を保有しているため、この平面型照明装置の両端あるいは側面全周を木枠、樹脂枠、ゴム製枠等の成形材によって容易に取付が可能となる。つまり、成形材の溝の部分に、表面が樹脂製薄膜で覆われた平面型照明装置の周縁部が嵌合される際、この樹脂製薄膜がクッション材の役目を果たすために、取り扱いが簡単になり、組立工数を削減することができる。また、硝子窓や照明器具に取り付けた場合においても、振動に対して強く、この振動による平面型放電管の破損を防止することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の平面型照明装置を照明器具として構成する場合、この平面型照明装置をさらに何らかの方法によって固定しなければならないために、別部材としての固定部材が必要になることが考えられる。また、例えば家庭用の吊り下げ型照明器具のようなグローブの無い照明器具として適用する場合には、平面型放電管が極めて薄いために、外部から受ける衝撃に弱いため、表面から受ける衝撃に対して強化する必要が生じることが考えられる。
【0033】
そこで、第2の実施形態では、これらの問題を解決するための構成としている。図4は、第2の実施形態の平面型照明装置の正面図であり、図5は、図4におけるA−A断面図である。これらの図において、図1と同様、平面型放電管51の詳細構造を簡略化して示している。即ち、表面51aおよび裏面51bには、それぞれに薄膜状の透明電極が設けられているが、図示していない。また、平面型放電管の構成要素である給排気管60、導電体58a、58b、およびリード線59a、59bは図示していない。
【0034】
この平面型照明装置11は、平面型放電管51と、平面型放電管51の表面51a側に密着して設けられた第1の平板12と、平面型放電管51の裏面51b側に密着して設けられた第2の平板13とからなる重合体14の左右両端を、一対の樹脂製薄膜からなる熱収縮チューブ15、15によって覆うことによって、それぞれの端を密着固定するようにしている。
【0035】
ここで、第1の平板12は、誘電体平板としての樹脂製透明平板である。また、第2の平板13は、金属製の導電体平板である。平面型放電管51の表面51a側に形成されている透明電極側を高圧側とし、裏面51b側に形成されている透明電極側を低圧側としている。
【0036】
また、第2の平板としての金属製の導電体平板13は、平面型放電管51の幅よりも大きく構成している。そして、この両端に張り出した延設部13a、13bには、止め穴13cが開口されている。また、第1の平板としての樹脂製透明平板12は、平面型放電管51の幅とほぼ同一としている。
【0037】
(第2の実施形態の効果)
次に第1の実施形態から把握される効果について列記する。
(1)平面型放電管51の両面に、第1および第2の平板を設けたことによって、平面型照明装置12としての厚みが増したので、表面側からの衝撃に対して強化された。同時に、発光面側としての表面側に密着して設けられた第1の平板は、樹脂製透明平板であるので、グローブの必要のない照明器具としても適用させることができる。
【0038】
(2)第2の実施形態においては、人が誤って平面型放電管51の表面および裏面に設けられた透明電極に触れることができないため、感電を防止することが可能になる。特に、表面側51a(発光面側)を高圧側とし、その表面側51aを誘電体(絶縁材)からなる樹脂製平板で覆っているため、感電しない。また、裏面側51bは低圧側としているため、金属製平板を密着させても問題なく、照明器具に設置することが可能となる。
【0039】
(3)第1の平板12、平面型放電管51、第2の平板13を重ね合わせて密着させた重合体14の両端を、熱収縮チューブによって固定した。第1の平板および第2の平板を平面型放電管51に固定するには、通常、何らかの絶縁材からなる固定部材を必要とするために、照明装置としての厚みが大きくなる恐れがあった。しかし、熱収縮チューブを使用することによって、照明装置としても厚みの増加を最小限に抑えることが可能となる。
【0040】
(4)第2の平板13の幅を平面型放電管51の幅よりも大きく構成し、平板13の両端を左右に張り出すようにしている。さらに張り出した延設部13a、13bには、止め穴13cが開口されている。これによって、平面型照明装置11を、照明器具として構成するためには、通常、何らかの固定部材を設ける必要があった。しかし、平板部13a、13bを設けることによって、平面型照明装置としての固定手段を一体化することが可能となるために、照明器具として構成する場合、部品点数を削減することが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態の応用例等)
・ 第2の実施形態においては、平面型放電管51の裏面に第2の平板13を密着させ、熱収縮チューブによって固定していたが、これに限定することなく、第2の平板13を省略して構成することも可能である(図6参照)。また、この場合、第1の平板12の幅を平面型放電管51の幅よりも大きくして、左右両端に張り出させることによって、延設部12a、12bを構成するようにしてもよい(図7参照)。このようにしても、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0042】
・ 第2の実施形態においては、重合体14の両端をそれぞれ熱収縮チューブ15、15によって固定したが、これに限定することなく、重合体14の側面全周を熱収縮チューブ15によって覆い固定しても良いし、表面および裏面を含む全体を熱収縮チューブ15によって覆い固定しても良い。この方法によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0043】
・ 第2の実施形態(図4および図5)において、第2の平板13の左右張り出し部である延設部13a,13bの一部に切欠部13dや溝部13e、あるいは第2の平板13の周縁の一部に凸設部13fを設け、そこに熱収縮チューブ15の端を引っかけてから熱収縮させて固定するようにしてもよい(図8(a)(b)(c)参照)。このようにすれば、平面型放電管51に対して、第1または第2の平板が左右にずれることを防止することが可能となる。なお、これらの事例を図7に示す応用例に適用することも可能である。つまり、第1の平板12としての樹脂製平板(誘電体平板)に、切欠部12dや溝部12e、あるいは第1の平板12の周縁の一部に凸設部12f(図示せず)を設けるようにしても良い。
【0044】
・ 第1の実施形態、第2の実施形態、およびこれらの実施形態の応用例において用いられて平面型放電管51は、表面と裏面、即ち平面型放電容器の両外面に一対の薄膜状の電極を形成しているが、これに限定することはなく、少なくとも一つの薄膜状の電極が、前記平面型放電容器の外面にあればよい。即ち、もう一つの薄膜状の電極は、放電空間の内面に形成するようにしても良い。なお、この場合、この平面型放電容器の外面に形成された電極側に、第1あるいは第2の平面を密着させて固定すれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0045】
次に、第2の実施形態およびその応用例から把握される技術的思想を列記する。
(A) 所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板のいずれか一方の外面に第1の薄膜状電極を、他方の内面あるいは外面に第2の薄膜状電極をそれぞれ設けるとともに、当該第1および第2の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管と、
前記平面型放電管の外面に設けた第1の薄膜状電極に密着して誘電体平板を重ねて形成した重合体と、
前記重合体の側面の少なくとも一部を覆うように固定する樹脂製薄膜と、
を備えることを特徴とする平面型照明装置。
【0046】
この構成によれば、前記平面型放電管の外面に設けた薄膜状電極を誘電体平板によって保護できる。また、平面型照明装置としての強度が大きくなるので、外部からの衝撃に対して強くなる。また、当該平面型放電管の外面に形成された薄膜状電極を高圧側に設定した場合、感電を防止することが可能となり、平面型照明装置に人が誤って触れても安全である。また、平面型放電管と誘電体平板の固定手段として樹脂製薄膜が使用されているので、平面型照明装置としての厚みを最小限に抑えることができる。
【0047】
(B) 前記誘電体平板には、少なくとも周方向の一部に延びる延設部を設けたことを特徴とする前記(A)に記載の平面型照明装置。
【0048】
この構成によれば、この延設部が照明器具として適用される際の固定手段となり、この固定手段が平面型照明装置と一体にして構成されているので、別部材としての固定手段を設ける必要がない。また、この延設部に穴を設けることによって、この穴にネジを通して螺着させることができる。
【0049】
(C) 所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の各々の外面に第1および第2の薄膜状電極を設けるとともに、当該第1および第2の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管と、
前記平面型放電管の外面に設けた第1の薄膜状電極に密着して誘電体平板を重ねて形成し、前記平面型放電管の外面に設けた第2の薄膜状電極に密着して導電体平板を重ねて形成した重合体と、
前記重合体の側面の少なくとも一部を覆うように固定する樹脂製薄膜と、
を備えることを特徴とする平面型照明装置。
【0050】
この構成によれば、前記平面型放電管の各々の外面に設けた一対の薄膜状電極を誘電体平板および導電体平板によって保護できる。また、平面型照明装置としての強度が大きくなるので、外部からの衝撃に対して強くなる。また、当該平面型放電管の外面に形成された薄膜状電極を誘電体平板で覆った側を高圧側に設定した場合、感電を防止することが可能となり、平面型照明装置に人が誤って触れても安全である。また、平面型放電管と誘電体平板の固定手段として樹脂製薄膜が使用されているので、平面型照明装置としての厚みを最小限に抑えることができる。
【0051】
(D) 前記導電体平板には、少なくとも周方向の一部に延びる延設部を設けたことを特徴とする前記(C)に記載の平面型照明装置。
【0052】
この構成によれば、この延設部が照明器具として適用される際の固定手段となり、この固定手段が平面型照明装置と一体にして構成されているので、別部材としての固定手段を設ける必要がない。また、この延設部に穴を設けることによって、この穴にネジを通して螺着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図2】第1の実施形態を示す図であって、図1(a)の拡大A−A断面図である。
【図3】第1の実施形態を示す図であって、図1(a)の拡大B−B断面図である。
【図4】第2の実施形態を示す正面図である。
【図5】第2の実施形態を示す図であって、図4のA−A断面図である。
【図6】第2の実施形態の応用例を示す断面図である。
【図7】第2の実施形態の応用例を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態の応用例を示す正面図である。
【図9】従来の平面型放電管の構造を示す図であって、(a)は外観斜視図、(b)は平面図、(c)はX−X断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1、11・・・平面型照明装置、51・・・平面型放電管、51a・・・表面、51b・・・裏面、51c・・・上側面、51d・・・下側面、51e・・・右側面、51f・・・左側面、2、15・・・熱収縮チューブ、12・・・第1の平板、13・・・第2の平板、12a、12b、13a、13b・・・延設部、13c・・・穴、13d・・・切欠部、13e・・・溝部、13f・・・凸設部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の放電距離だけ離間して平行に対向配置された第1誘電体平板と第2誘電体平板の周辺部を封着部材で封着し、内部に所定の放電ガスを封入した放電空間を形成し、前記第1誘電体平板及び第2誘電体平板の内面または外面のそれぞれに設けた一対の薄膜状電極に所定の電圧を付与することにより前記放電空間内の放電ガスに放電を発生させて、前記薄膜状電極の少なくともいずれか一方に形成した発光面にて可視光が生じるようにした平面型放電管と、
前記平面型放電管の外周面を覆うようにした透光性を有する樹脂製薄膜と、
を備えることを特徴とする平面型照明装置。
【請求項2】
前記樹脂製薄膜は、前記平面型放電管の第1誘電体平板および第2誘電体平板の外面と、4つの側面のうち対向する2側面とを密着して覆われるようにした熱収縮型チューブからなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の平面型照明装置。
【請求項3】
前記樹脂製薄膜は透明である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の平面型照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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