説明

平面性の高い分子構造を有する化合物およびこれを用いた有機トランジスタ

【課題】高い移動度を有し、酸素および水分に対して耐性があり、しかも薄膜形成が容易で成膜性に優れた化合物を提供すること。特にボトムコンタクト型の有機トランジスタの製造において、溶液塗布法により安定した薄膜形成が可能な化合物を提供すること。また、オンオフ比が大きく、閾値電圧が低く、しかも大気中で安定に動作して経時劣化が小さい有機トランジスタ、特に有機FETを提供すること。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面性の高い分子構造を有する新規化合物に関する。さらに本発明は、前記化合物を用いた薄膜、有機半導体膜および有機トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランジスタ用の無機半導体材料としてシリコンが用いられてきた。シリコンからなる薄膜を基板上に形成する際、高温プロセスおよび高真空プロセスが必須である。しかし、高温プロセスを要するため、基板としてプラスチックを用いることができない。そのためトランジスタを組み込んだ製品に対して、可とう性を付与したり、軽量化を達成することができない。また、高真空プロセスを要するため、トランジスタを組み込んだ製品の大面積化および低コスト化が困難である。
【0003】
そこで、近年、有機半導体材料を用いた有機トランジスタに関する研究、特に、有機電界効果型トランジスタ(以下「有機FET」とも記す。この有機FETの分類に、有機薄膜トランジスタ(以下「有機TFT」とも記す。)も含まれる。)に関する研究が活発に行われている。
【0004】
有機半導体材料は、シリコンのような無機半導体材料と比べて、作製プロセス温度を著しく低減できるため、プラスチック基板上等に形成することが可能となる。さらに、有機半導体材料が、溶媒への溶解性が大きく、かつ、良好な成膜性を有する場合、高真空プロセスを要さないため、塗布法、例えば、インクジェット装置を用いた塗布法により薄膜形成することができる。そのため、半導体デバイスを組み込んだ製品の大面積化および低コスト化が可能となる。
【0005】
このように、有機半導体材料は、無機半導体材料と比べて、大面積化、可とう性、軽量化、低コスト化等の点で有利であるため、これらの特性を生かした有機半導体製品への応用が盛んに行われている。例えば、情報タグ、電子人工皮膚シートやシート型スキャナー等の大面積センサー、液晶ディスプレイ、電気泳動型ディスプレイ(電子ペーパー)および有機ELパネル等のディスプレイ等への応用である。
【0006】
有機半導体材料を用いた有機トランジスタに要求される主な性能は、以下の通りである。なお、トランジスタの性能を、FET性能ということがある。
(1)オンオフ比(オン電流/オフ電流)が大きく、オフ電流が小さい。
(2)閾値電圧が低い。
(3)遮断周波数が高い。
(4)大気下で安定に動作し経時的劣化が小さい。
(5) (1)〜(4)の特性のバラツキが小さい。
【0007】
これらの性能を満足するための、有機半導体材料に要求される特性は、以下の通りである。
(i)電界効果移動度(μ)が高い。
(ii)薄膜形成プロセスが容易であり、かつ、成膜性が優れている。
(iii)酸素および水分に対して耐性があり大気下で安定である。
【0008】
特に、(i)の電界効果移動度(以下「移動度」とも記す。)が高いことが大前提となる。この観点から、近年、アモルファスシリコンに匹敵する電界効果移動度を有する有機半導体材料が次々に報告されている。(ii)における薄膜形成プロセスとしては、真空蒸着法および塗布法がある。真空蒸着法の場合、薄膜形成プロセスの容易さという観点から、高温よりも室温で蒸着できる方が好ましい。また、塗布法を利用できる場合は、真空蒸着法より、さらに好ましい。成膜性に優れているということは、前記薄膜形成プロセスにおいて、ソース・ドレイン電極とゲート絶縁膜との密着性が良好であり、均一かつ連続的な薄膜を形成できることを意味している。
【0009】
有機半導体材料は、低分子系(オリゴマーも含む)と高分子系とに大別される。低分子系有機半導体材料としては、例えば、ペンタセンが挙げられる。ペンタセンを用いた有機FETは、高い移動度を有することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、ペンタセンは、酸素に対する親和性が高いため、ペンタセンを用いた有機FETは、大気中で安定に動作できないという問題がある。また、特性のバラツキが少ない安定した有機FETを得るためには、ペンタセン薄膜の形成方法として、高真空プロセスである真空蒸着法が必須である。ペンタセン薄膜の形成方法として、塗布法、例えば、トリクロロベンゼンの希薄溶液中でペンタセン結晶を形成させる方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、製造方法が難しく、特性のバラツキが少ない安定した有機FETを得ることは困難である。有機FET特性の低下およびバラツキは結晶粒界に起因している。
【0010】
そこで、結晶粒界の影響がなく、かつ有機溶媒に可溶な低分子系有機半導体材料として、液晶性を利用した液晶有機半導体が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。液晶有機半導体は、公知の方法を利用した配向制御によって移動度を高くすることができる。しかしながら、その移動度の値は低く、不充分である。また、一般的に、液晶有機半導体は液晶相を示す温度範囲が室温より高いことから、室温では結晶状態となる。そのため、液晶有機半導体は、液晶相を示す温度範囲では安定なキャリア輸送性を示すものの、室温では結晶粒界の影響で安定なキャリア輸送性を示さない(例えば、非特許文献3参照)。
【0011】
高分子系有機半導体材料を利用した有機トランジスタとしては、例えば、ポリチオフェンを用いた有機FETが開示されている(例えば、特許文献2参照)。ポリチオフェンを用いた有機FETは、溶液塗布で容易に薄膜形成できるという点で成膜性に優れているものの、移動度およびオンオフ比(オン電流/オフ電流)が低いという点で問題がある。さらに、イオン化ポテンシャルが比較的低く、空気中でドーピングを受けやすいため、大気中での素子の劣化が大きい。この課題に対し、ポリチオフェンの安定性を改良する試みが多くなされているが(例えば、非特許文献4参照)、充分な特性を有する有機FETを得るには至っていない。
【0012】
有機FETの移動度を高めるという観点からは、一般的に、低分子系有機半導体材料の方が、高分子系有機半導体材料より、分子間のパッキングが密であり、分子軌道間の重なりを大きくすることができるため有利である。一方、FET素子の作製プロセスの成膜性という観点からは、一般的に、高分子系有機半導体材料の方が、低分子系有機半導体材料より、溶媒への溶解性が良好であり、結晶粒界に起因する有機FETの特性のバラツキの影響を受けないため有利となる。このように、有機半導体材料としては、低分子系および高分子系等、多くの開発がなされているものの、それぞれ一長一短があり、未だ種々の特性を充分に満足する有機半導体材料の開発には至っていない。
【0013】
産業上、低分子系有機半導体材料でも、高分子系有機半導体材料と同様に、各種の印刷法での成膜が可能で、かつ成膜条件を厳密に制御しなくともバラツキの少ない良好な有機FETが製造できる材料の開発が強く望まれているが、報告例は少ない(例えば、特許文献1、非特許文献5、非特許文献6参照)。
【0014】
一般的に低分子系有機半導体材料は、真空蒸着法によれば、良好な薄膜形成が可能であり、得られる有機FETの性能は安定している。しかしながら、溶液塗布法によると、独立した小さな板状結晶が生成しやすく、結晶粒界の影響が少ない大きな結晶の連続膜(連続的な均一な薄膜)の形成が非常に困難であり、得られる有機FETの性能は、著しく低下し、有機FETの性能が全く発現せず、トランジスタとして全く機能しない場合が多い。また、歩留まりも低下する。
【0015】
非特許文献7には、メチレン架橋されたビス(2−チエニル)ベンゼンの合成およびそれを用いた重合については記載されているが、有機半導体材料としては検討されていない。
【0016】
非特許文献8には、有機半導体材料として、種々の誘導体が記載されているが、一般に、メチレン架橋構造のメチレン炭素に酸素が結合した構造は、電子状態計算(PC GAMESS)によれば、イオン化ポテンシャルが大きくなり、金をソース・ドレイン電極とするFETの場合、ホール注入障壁が大きくなるため、P型の有機トランジスタの材料としては適さない傾向がある。さらに、このような誘導体は、有機溶剤に対する溶解性が低いという欠点がある。
【0017】
有機トランジスタのタイプとしては、トップコンタクト型とボトムコンタクト型とに大別できる。FETの性能としては、キャリアの注入効率の優れる点からトップコンタクト型の方が性能は良好な場合が多い。しかし、大面積の有機FETを低コストで製造するためには、あらかじめベース基板に製造しておいたソースとドレイン電極部分に有機トランジスタ材料を溶液塗布成膜するだけで製造できるボトムコンタクト型の材料が適している。従って、溶液塗布成膜によるボトムコンタクト型でも充分なFETの性能が発揮できる材料が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−281180号公報
【特許文献2】特開昭63−076378号公報
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Yen-Yi Lin.,“IEEE Transaction on Electron Device”,(米国), 1997年,Vol.44 No8,p.1325
【非特許文献2】M.Funahashi and J.Hanna,“Japanese Journal of Applied Physics",1999年,Vol.38,p.L132-135
【非特許文献3】M.Funahashi,“Applied Physics Letters”,(米国),1998年,Vol.73 No.25,p.3733-3735
【非特許文献4】IAIN MCCULLOCH,MARTIN HEENEY et al.,“NATURE MATERIALS”,2006年4月, Vol.5,p.328-333
【非特許文献5】DAE HO SONG、MIN HEE CHOI、JUNE YOUNG KIM,AND JIN JANG,“APPLIED PHYSICS LETTERS ”,(米国),2007年,Vol90,p.053504
【非特許文献6】Marcia M.Payne,Sean R.Parkin,John E.Anthony,Chung-Chen Kou, and Thomas N.Jackson,“Journal of the American Chemical Society”,(米国),2005年,127,p.4986-4987
【非特許文献7】Xiaoyong M.Hong and David M.Collard,“Polymer Preprints”,2000年,41(1),189
【非特許文献8】Chunchang Zhao,Yong Zhang, and Man−Kit Ng,“Journal of Organic Chemistry”,2007年,72,p.6364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、高い移動度を有し、酸素および水分に対して耐性があり、しかも薄膜形成が容易で成膜性に優れた化合物を提供することを課題の一つとする。特にボトムコンタクト型の有機トランジスタの製造において、溶液塗布法により安定した薄膜形成が可能な化合物を提供することを課題の一つとする。
【0021】
また、本発明は、オンオフ比が大きく、閾値電圧が低く、しかも大気中で安定に動作して経時劣化が小さい有機トランジスタ、特に有機FETを提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、分子の平面性が高い特定の構造を有する化合物の有機半導体材料によれば、低分子系であっても、溶液塗布法による成膜が容易でかつ安定した性能を発揮する有機トランジスタの製造が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
本発明は以下の構成である。
[1]下記式(I)で表される化合物。
【0024】
【化1】

(式(I)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜30のアルキルであり、
5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキルであり、
前記炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素はケイ素に置き換えられてもよい。)
【0025】
[2]前記式(I)中、R5およびR6が、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、
前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよいことを特徴とする前記[1]項記載の化合物。
【0026】
[3]前記式(I)中、R1、R2、R3およびR4が、それぞれ独立に水素または炭素数1〜20のアルキルであり、
5およびR6が、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、
前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよいことを特徴とする前記[1]項記載の化合物。
【0027】
[4]下記式(I−2)で表される前記[1]項記載の化合物。
【0028】
【化2】

(式(I−2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜20のアルキルであり、
5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、
前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。)
【0029】
[5]下記式(I−3)で表される前記[1]項記載の化合物。
【0030】
【化3】

(式(I−3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。)
【0031】
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1項記載の化合物から形成される薄膜。
[7]前記[6]項記載の薄膜からなる有機半導体膜。
[8]前記[7]項記載の有機半導体膜を含む有機トランジスタ。
[9]ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜および前記[7]項記載の有機半導体膜を含む有機電界効果型トランジスタ。
【発明の効果】
【0032】
本発明の化合物は、高い移動度を有し、酸素および水分に対して耐性があり、しかも薄膜形成が容易で成膜性に優れているため、有機半導体材料として有用である。本発明の化合物によれば、特にボトムコンタクト型の有機トランジスタの製造において、溶液塗布法により安定した薄膜形成が可能である。
【0033】
また、本発明の化合物を用いた有機トランジスタ、特に有機FETは、オンオフ比が大きく、閾値電圧が低く、しかも大気中で安定に動作して経時劣化が小さい等優れた特性を有している。さらに本発明の化合物を用いた有機トランジスタ、特に有機FETは、前記特性のバラツキが少ない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施例1の化合物(A)のUV−VIS吸収スペクトルである。
【図2】図2は、実施例1の化合物(A)の薄膜のXRDである。
【図3】図3(a)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型(以下、単にボトムコンタクト型ともいう。)の有機FETの断面形状を示す模式図であり、図3(b)は、ボトムゲート−トップコンタクト型(以下、単にトップコンタクト型ともいう。)の有機FETの断面形状を示す模式図である。
【図4】図4は、実施例1の化合物(A)を用いて溶液塗布法で作製した、実施例4のボトムコンタクト型FETのチャンネル部分の偏光顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明について具体的に説明する。
<本発明の化合物>
本発明の化合物は、下記式(I)で表されることを特徴としている。
【0036】
【化4】

式(I)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜30のアルキルであり、好ましくはそれぞれ独立に水素または炭素数1〜20のアルキルであり、より好ましくは水素または炭素数1〜15のアルキルであり、特に好ましくは水素または炭素数1〜10のアルキルである。
【0037】
前記アルキルにおいて、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素はケイ素に置き換えられてもよい。好ましくは、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。前記アルキル中の任意の水素と置き換えられるハロゲンの具体例としてはFまたはClが挙げられ、特にFが好ましい。
【0038】
前記アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等が挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが特に好ましい。式(I)で表される化合物において、R1、R2、R3およびR4がこのようなアルキルであると、後述する溶媒への溶解性の点で好ましく、また溶液塗布法による安定した薄膜形成および成膜性の点で好ましい。
【0039】
式(I)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキルであり、好ましくはそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、より好ましくは炭素数1〜15のアルキルであり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキルである。本発明の化合物は、式(I)中におけるR5およびR6がアルキルであるので、後述する溶媒への溶解性が大きく、溶液塗布法による薄膜形成が容易で成膜性に優れている。
【0040】
前記アルキルにおいて、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素はケイ素に置き換えられてもよい。好ましくは、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。前記アルキル中の任意の水素と置き換えられるハロゲンの具体例としてはFまたはClが挙げられ、特にFが好ましい。
【0041】
前記アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルが挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが特に好ましい。式(I)で表される化合物において、R5およびR6がこのようなアルキルであると、後述する溶媒への溶解性の点で好ましく、また溶液塗布法による安定した薄膜形成および成膜性の点で好ましい。したがって、本発明の化合物によれば、特にボトムコンタクト型の有機トランジスタの製造において、溶液塗布法により安定した薄膜形成が可能である。
【0042】
本発明において、アルキル中の任意の−CH2−を前記−O−等で置き換えた場合であって、該アルキル中に−O−O−、−O−S−、−S−O−、−S−S−S−、−COOO−、−OOOC−、−COO−OOC−、−OCO−OCO−が存在する場合には、化合物の安定性が損なわれるので、好ましくない。具体的には、R1が炭素数1のアルキル(メチル)である場合、−CH2−が存在しないので、前記−O−等で置き換えることはできない。また、たとえば、R1が炭素数3のアルキル(−CH2−CH2−CH3)の場合には、該アルキル中の−CH2−は、前記−O−等で置き換えることができ、R1を−CH2−O−CH3とすることができる。同様に、R1が炭素数4以上のアルキルである場合、該アルキル中の任意の−CH2−は、その−CH2−にさらに隣接する−CH2−が前記−O−等で置き換えられない限り、前記−O−等で置き換えることができる。
【0043】
また、本発明の化合物としては、下記式(I−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0044】
【化5】

式(I−2)中のR1およびR2は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜20のアルキルであり、より好ましくは水素または炭素数1〜15のアルキルであり、特に好ましくは水素または炭素数1〜10のアルキルである。
【0045】
前記アルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
前記アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルが挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが特に好ましい。式(I−2)で表される化合物において、R1およびR2がこのようなアルキルであると、後述する溶媒への溶解性の点で好ましく、また溶液塗布法による安定した薄膜形成および成膜性の点で好ましい。
【0046】
式(I−2)中のR5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、より好ましくは炭素数1〜15のアルキルであり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキルである。式(I−2)で表される化合物は、R5およびR6がアルキルであるので、後述する溶媒への溶解性が大きく、溶液塗布法による薄膜形成が容易で成膜性に優れている。
【0047】
前記アルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
前記アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルが挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが特に好ましい。式(I−2)で表される化合物において、R5およびR6がこのようなアルキルであると、後述する溶媒への溶解性の点で好ましく、また溶液塗布法による安定した薄膜形成および成膜性の点で好ましい。したがって、式(I−2)で表される化合物によれば、特にボトムコンタクト型の有機トランジスタの製造において、溶液塗布法により安定した薄膜形成が可能である。
【0048】
また、本発明の化合物としては、下記式(I−3)で表される化合物が挙げられる。
【0049】
【化6】

式(I−3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、好ましくは炭素数1〜15のアルキルであり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキルである。式(I−3)で表される化合物は、R5およびR6がアルキルであるので、後述する溶媒への溶解性が大きく、溶液塗布法による薄膜形成が容易で成膜性に優れている。
【0050】
前記アルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。
前記アルキルの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシルが挙げられ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシルが好ましく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが特に好ましい。式(I−3)で表される化合物において、R5およびR6がこのようなアルキルであると、後述する溶媒への溶解性の点で好ましく、また溶液塗布法による安定した薄膜形成および成膜性の点で好ましい。したがって、式(I−3)で表される化合物によれば、特にボトムコンタクト型の有機トランジスタの製造において、溶液塗布法により安定した薄膜形成が可能である。
【0051】
<本発明の化合物の特性>
本発明の化合物は、高い移動度を有している。また、該化合物を用いた有機トランジスタのゲート電圧によるドレイン電流のオンオフ比(オン電流/オフ電流)も高い数値を示す。したがって、本発明の化合物は有機半導体材料として優れた性質を有する。
【0052】
本発明の化合物は、薄膜形成プロセスが容易であり、かつ成膜性に優れている。そのため、種々の薄膜形成法を適用することができる。特に溶液塗布法を適用しても、本発明の化合物は、後述する溶媒への溶解性が高いため、好適に均一かつ連続的な薄膜を形成することができる。したがって、本発明の化合物を用いれば、高い移動度を保持した有機半導体膜、およびこれを利用した特性の優れた有機トランジスタ等の作製が実現できる。特に溶液塗布法を適用すれば、大面積で、特性の優れた有機トランジスタ等を低コストで作製できる。
【0053】
また、本発明の化合物は、融点が高く、該化合物から形成される有機半導体膜、およびこれを利用した有機トランジスタ等は、耐熱性に優れている。
用途によって移動度の最適値は異なるが、有機半導体材料に要求される移動度としては一般に、移動度(μFET)が10-4cm2/V・s以上である。
【0054】
移動度(μFET)は、ドレイン電圧(VD)を固定し、ゲート電圧(VG)を変化させることによって得られる伝達特性の曲線を用いて、下記式(ii)を用いることで求めることができる。
【0055】
【数1】

式(ii)中、Cinはゲート絶縁膜の単位面積当たりの電気容量(F/cm2)、IDはドレイン電流(A)、Lはチャネル長(cm)、Wはチャネル幅(cm)、VTHは閾値電圧(V)である。なお、本願において移動度(μFET)は、後述する実施例における測定方法で得られる値である。
【0056】
<本発明の化合物の製造方法>
本発明の上記式(I)で表される化合物は、例えば、既知の方法で、下記式(I)’で表される化合物を合成し、該化合物をジエチレングリコールに溶かした溶液に、窒素気流下で水酸化カリウムおよびヒドラジン一水和物を加え、加熱攪拌して反応させることにより製造することができる。反応温度は、通常50〜150℃であり、好ましくは100〜150℃であり、より好ましくは140〜150℃である。反応圧力は、通常、常圧である。反応時間は、通常6〜48時間であり、好ましくは24〜48時間であり、より好ましくは45〜48時間である。
【0057】
【化7】

式(I)’中、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、式(I)の場合と同義である。
【0058】
上記式(I)’で表される化合物を合成する際の原料を適宜選択することにより、R1、R2、R3、R4、R5、R6を所望のものに設定することができる。
本発明の化合物の製造方法の具体例としては、既知の方法でインダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチエノチオフェン−4,9−ジオンを合成し、インダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチエノチオフェン−4,9−ジオンをジエチレングリコールに溶かした溶液に、窒素気流下で水酸化カリウムおよびヒドラジン一水和物を加え、加熱攪拌して反応させることにより、下記式(A)で表されるインダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチエノチオフェン(6IDDTT6)を製造する方法が挙げられる。
【0059】
【化8】

以下、インダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチエノチオフェン(6IDDTT6)の製造方法について詳細に説明する。インダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチエノチオフェン(6IDDTT6)は、例えば、下記i)〜viii)の工程を経て合成することができる。
【0060】
i)化合物(1)の合成
【0061】
【化9】

チエノチオフェンをテトラヒドロフランに溶かした溶液に、ノルマルブチルリチウム/ヘキサン溶液および1−ブロモヘキサンを加えて反応させることにより化合物(1)を得る。
【0062】
ii)化合物(2)の合成
【0063】
【化10】

上記i)で得られた化合物(1)をテトラヒドロフランに溶かした溶液に、ノルマルブチルリチウム/ヘキサン溶液を加え、その後、塩化トリブチルスズを加えて反応させることにより化合物(2)を得る。
【0064】
iii)化合物(3)の合成
【0065】
【化11】

2,5−ジブロモ−p−キシレンをテトラヒドロフランに溶かした溶液を、窒素気流下で加熱還流しながら飽和過マンガン酸カリウム水溶液を加えて反応させることにより化合物(3)を得る。
【0066】
iv)化合物(4)の合成
【0067】
【化12】

上記iii)で得られた化合物(3)をメタノールに溶かした溶液に、塩化チオニルを加えて反応させることにより化合物(4)を得る。
【0068】
v)化合物(5)の合成
【0069】
【化13】

上記ii)で得られた化合物(2)と上記iv)で得られた化合物(4)とをトルエンに溶かした溶液に、トリフェニルホスフィンおよびN,N−ジメチルホルムアミドを加えた後、窒素ガスを用いて脱気する。その後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを加え、反応させることにより化合物(5)を得る。
【0070】
vi)化合物(6)の合成
【0071】
【化14】

上記v)で得られた化合物(5)をエタノールに溶かした溶液に、水酸化ナトリウムを加えて反応させることにより化合物(6)を得る。
【0072】
vii)化合物(7)の合成
【0073】
【化15】

上記vi)で得られた化合物(6)をジクロロメタンに溶かした溶液に、塩化オキサリルとN,N−ジメチルホルムアミドとを加えて反応させることにより化合物(7)を得る。
【0074】
viii)化合物(8)の合成
【0075】
【化16】

上記vii)で得られた化合物(7)をジエチレングリコールに溶かした溶液に、窒素気流下で水酸化カリウムおよびヒドラジン一水和物を加えて反応させることにより化合物(8)を得る。
【0076】
合成した化合物の同定は、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、使用機器:Varian製Unity 500(500MHz)、溶媒:CDCl3)の測定によって行うことができる。
【0077】
<薄膜>
本発明の薄膜は、上述した平面性の高い分子構造を有する新規化合物から形成される。
本発明の薄膜を形成する際、上述した平面性の高い分子構造を有する新規化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0078】
薄膜の厚みは、目的に応じて適宜決定することができる。薄膜の形成方法には、公知の種々の成膜方法を適用することができる。例えば、真空蒸着法および溶液塗布法を挙げることができる。特に溶液塗布法を適用しても、本発明の薄膜は、溶媒への溶解性が高い上述した化合物から形成されるため、好適に均一かつ連続的に形成することができる。また、溶液塗布法を適用すると、大面積の薄膜を効率的に形成することができる。また、溶液塗布法による薄膜形成工程を含む有機FET等の有機トランジスタの製造は、製造工程の単純化、製造効率の向上に寄与する。また、高真空プロセスの必要性がなく製造できるので、大面積化、低コスト化および工程変更の対応性の向上に寄与する。さらに高温プロセスの必要性がなく製造できるので、基板材料にプラスチックを用いることができ、製品に可とう性を付与したり、製品の軽量化を達成できる。
【0079】
<有機半導体膜>
本発明の有機半導体膜は、上記薄膜からなる。よって本発明の薄膜と同様の方法で形成することができる。有機半導体膜の形成方法には、公知の種々の成膜方法を利用することができる。成膜方法の具体例としては、1)真空蒸着法および2)溶液塗布法が挙げられる。
【0080】
1)の真空蒸着法を用いる場合は、真空槽内部に、蒸着基板をセットし、例えば、タングステンやタンタル等を蒸着ボードとして、有機半導体材料をこの中にセットし、真空下において、これらの蒸着ボードに電流を流し加熱することによって、有機半導体材料を蒸着することができる。
【0081】
有機半導体膜の蒸着速度および膜厚は、基板にある水晶振動子を用いて確認し、適宜、コントロールすることができる。また、基板ホルダーにはヒーターが取り付けてあり、基板温度(25℃〜250℃)を制御して蒸着することもできる。一般的に、基板温度を高くすると、グレインサイズを大きくすることができるため、より高い移動度を有する良好な有機半導体膜を形成することができる。
【0082】
2)の溶液塗布法を用いる場合は、具体的には、例えば、本発明の化合物を溶媒に溶解した溶液を用いることによって、スピンコート法、インクジェット法、キャスティング法、ディッピング法のいずれの方法を採用してもよい。溶媒としては、極性溶媒および無極性溶媒のいずれを用いてもよい。
【0083】
具体的な溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシルベンゼンまたはトリクロロベンゼンが挙げられる。また、溶媒に溶解せず、本発明の化合物を直接加熱して溶融することによって、有機半導体膜を形成することもできる。
【0084】
上記方法のいずれかを用いて有機半導体膜を形成後、真空下または窒素雰囲気下において、適切な熱処理を行って、分子の配向性およびグレインサイズを大きくし、トランジスタの性能を改善することができる。
【0085】
本発明の有機半導体膜は、上述した薄膜からなるので、溶液塗布法によっても、好適に均一かつ連続的に形成することができる。したがって、本発明の有機半導体膜は、高い移動度を保持することができ、特性の優れた有機FET等の有機トランジスタを提供することができる。特に溶液塗布法を適用すれば、大面積で、特性の優れた有機FET等の有機トランジスタを低コストで作製できる。
【0086】
なお、有機FETの場合、有機半導体膜の形態は、原子間力顕微鏡(AFM)または走査型電子顕微鏡(SEM)による観察結果、およびX線回折の結果により確認することができる。
【0087】
<有機トランジスタ>
本発明の化合物から形成される有機半導体膜を用いて、有機FET等の有機トランジスタを構成することができる。本発明の有機トランジスタは、上記有機半導体膜を含む。有機FETは、一般的に、ガラスやプラスチック等の支持基板、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜および有機半導体膜からなる。該有機半導体膜として、本発明の化合物から形成される有機半導体膜を用いることができる。本発明の有機FETは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜および上記有機半導体膜を含む。
【0088】
有機トランジスタに使用する有機半導体膜の厚さは、通常30〜500nmであり、好ましくは30〜300nmであり、より好ましくは50〜100nmである。
有機FETは、ゲート電極に印加する電圧を制御することによって、ゲート絶縁膜上の有機半導体界面にキャリアを誘起し、ソース電極およびドレイン電極に流れる電流を制御し、スイッチング動作を行う。
【0089】
有機FETには、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、ボトムゲート−トップコンタクト型およびトップゲート型等があり、いずれを採用してもよい。また、縦型の有機FETを採用してもよい。電極と有機半導体間のキャリアの注入の観点からは、トップコンタクト型の方が、ボトムコンタクト型よりも容易である。
【0090】
図3(a)および(b)に、それぞれボトムゲート−ボトムコンタクト型の有機FETおよびボトムゲート−トップコンタクト型の有機FETの断面形状を示す。これらの有機FETは、それぞれソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3、有機半導体膜4およびゲート絶縁膜5から構成される。
【0091】
ゲート電極の材料としては、例えば、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、In、Ni、Nd、Cr、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ハイドープ等のシリコン、錫酸化物、酸化インジウムまたはインジウム錫化合物(Indium Tin Oxide:ITO)等の無機材料、またはドープされた導電性高分子等の有機材料が挙げられ、いずれを用いてもよい。また、ゲート絶縁膜の材料としては、SiO2、SiN、Al23またはTa25等の無機材料、ポリイミドまたはポリカーボネート等の高分子材料を採用することができる。
【0092】
ゲート絶縁膜の表面は、公知の表面処理、例えば、ヘキサメチルジシラザン処理(HMDS処理)またはオクタデシルトリクロロシラン処理(OTS処理)を行うことができる。HMDS処理やOTS処理を行うと、一般に、有機トランジスタ層を構成する結晶粒径の増大、結晶性の向上、分子配向の向上などが見られ、結果として移動度およびオンオフ比が向上し、閾値電圧が低下する傾向がある。
【0093】
ソース電極およびドレイン電極の材料としては、ゲート電極と同種の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極に表面処理を施してもよい。例えば、硫黄化合物を用いた表面処理がある。
【0094】
上記有機FETは、液晶表示素子やEL素子としても用いることができる。また、化合物の薄膜を含む有機FET測定用セルを作製し、ゲート電圧を変化させながらソース・ドレイン電極間の電流/電圧曲線を測定すると、ドレイン電流/ゲート電圧曲線から電界効果移動度を求めることができる。さらに、ゲート電圧によるドレイン電流のオン/オフ動作を観測することもできる。
【0095】
上記有機FETは、本発明の化合物から形成される膜を有機半導体膜として用いているので、各特性に優れる。例えば、上記有機FETは、キャリア移動度も高く、通常10-3cm2/V・s以上であり、好ましくは10-2cm2/V・s以上であり、特に好ましくは10-1cm2/V・s以上である。上限値は、特に限定されないが、10cm2/V・s以下である。さらに、上記有機FETは、閾値電圧が低く、通常20V以下であり、好ましくは10V以下であり、特に好ましくは5V以下である。下限値は、特に限定されないが、−20V以上である。また、上記有機FETは、オンオフ比が大きく、通常102以上であり、好ましくは103以上であり、特に好ましくは105以上である。上限値は、特に限定されないが、108以下である。さらに上記有機FETは、耐熱性にも優れる。また、上記有機FETの性能は真空中で測定しても大気中と殆ど変わらないため、上記有機FETは酸素および水分への耐性があり、大気中で安定に動作して経時劣化が小さいと判断できる。
【実施例】
【0096】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
合成した化合物の同定は、核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、使用機器:Varian製Unity 500(500MHz)、溶媒:CDCl3)の測定によって行った。
【0097】
[実施例1]
<化合物(A)の合成>
インダセノ[1,2−b:5,6−b’]ジチエノチオフェン
【0098】
【化17】

上記化合物(A)を以下(i)〜(viii)のとおり合成した。
【0099】
(i)化合物(1)の合成
【0100】
【化18】

−78℃まで冷却したチエノ[3,2−b]チオフェン(5.0g、36mmol)のテトラヒドロフラン溶液に2.6Mのノルマルブチルリチウム/ヘキサン溶液(19ml、39mmol)を滴下して1時間反応させた。その後、1−ブロモヘキサン(6.5ml、39mmol)を加えて室温で5時間反応させた。反応後、水200mlを加えてクロロホルムで有機層を抽出した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。この濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相ヘキサン)により精製し、化合物(1)(無色透明液体、6.0g、収率75%)を得た。得られた化合物(1)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0101】
(ii)化合物(2)の合成
【0102】
【化19】

上記(i)で得られた化合物(1)(3.9g、17mmol)のテトラヒドロフラン溶液を−78℃まで冷却した。該溶液に、2.6Mのノルマルブチルリチウム/ヘキサン溶液(7.4ml、19mmol)を滴下して3時間反応させた。その後、さらに塩化トリブチルスズ(5.2ml、19mmol)を加えて室温で5時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、水200mlを加え、クロロホルムで有機層を抽出した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。この濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相ヘキサン)で精製し、化合物(2)(無色透明液体、6.9g、収率77%)を得た。得られた化合物(2)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0103】
(iii)化合物(3)の合成
【0104】
【化20】

2,5−ジブロモ−p−キシレン(10g、38mmol)のテトラヒドロフラン溶液を窒素気流下で加熱還流しながら飽和過マンガン酸カリウム水溶液200mlを滴下した。次に、ろ過し、氷浴で冷却した。その後、濃塩酸を加えpH=6に調整した。析出した沈殿物をろ過、乾燥し化合物(3)(無色固体、9.8g、収率80%)を得た。得られた化合物(3)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0105】
(iv)化合物(4)の合成
【0106】
【化21】

上記(iii)で得られた化合物(3)(1.5g、4.6mmol)をメタノールに溶かした。この溶液に塩化チオニル(9.9g、83mmol)を滴下した後、8時間還流した。還流後、溶媒を留去し、水100mlを加えクロロホルムで有機層を抽出した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した後、再結晶(メタノール)によって精製し化合物(4)(無色固体、1.6g、収率98%)を得た。得られた化合物(4)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0107】
(v)化合物(5)の合成
【0108】
【化22】

上記(ii)で得られた化合物(2)(4.1g、8.0mmol)および上記(iv)で得られた化合物(4)(0.7g、1.9mmol)をトルエンに溶かした。この溶液にトリフェニルホスフィン(0.28g、1.1mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)を加えた後、窒素ガスを用いて脱気した。その後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.01g、0.04mmol)を加え、100℃で16時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、水200mlを加えクロロホルムで有機層を抽出した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。この濃縮液をシリカゲルクロマトグラフィー(移動相クロロホルム:ノルマルヘキサン(vol/vol)=1:1)で精製し化合物(5)(黄色固体、0.9g、収率71%)を得た。得られた化合物(5)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0109】
(vi)化合物(6)の合成
【0110】
【化23】

上記(v)で得られた化合物(5)(0.8g、1.3mmol)をエタノールに溶かした。この溶液に水酸化ナトリウム(0.20g、5.0mmol)を加え16時間還流した。還流後、溶媒を留去し、6Nの塩酸を用いてpH=6に調整した。次に、ろ過、水洗し、真空乾燥することによって化合物(6)(黄色固体、0.7g、収率92%)を得た。得られた化合物(6)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0111】
(vii)化合物(7)の合成
【0112】
【化24】

上記(vi)で得られた化合物(6)(0.2g、0.32mmol)をジクロロメタンに溶かした。この溶液を0℃まで冷却し、塩化オキサリル(2.7g、14mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2ml)を加え、室温で8時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、二硫化炭素を加え、0℃まで冷却した。冷却後、塩化アルミニウムを加え、室温で4時間反応させた。反応後、水300mlを加えてクロロホルムで有機層を抽出した。この有機層を濃縮し、再結晶(クロロホルム)によって精製し、化合物(7)(緑色固体、0.1g、収率53%)を得た。得られた化合物(7)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。
【0113】
(viii)化合物(8)の合成
【0114】
【化25】

上記(vii)で得られた化合物(7)(0.20g、0.17mmol)をジエチレングリコールに溶かした。この溶液に、水酸化カリウム(50mg、0.86mmol)およびヒドラジン一水和物(0.44g、8.7mmol)を加え、窒素気流下、140℃で48時間加熱し、反応させた。反応液を室温まで冷却し水中へ注いだ後、クロロホルムで有機層を抽出した。この有機層を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(移動相クロロホルム)および再結晶(トルエン)によって精製し化合物(8)(無色結晶、0.05g、収率53%)を得た。
【0115】
<化合物(A)の構造確認>
得られた化合物(8)の構造を1H−NMRスペクトルで確認した。得られた化合物(8)が目的の化合物(A)であることが確認できた。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.48(s,2H),6.79(s,2H),2.86(t,J=7.5Hz,4H),1.74(m,4H),1.42−1.39(m,4H),1.34−1.31(m,6H),0.89(t,J=6.4,6H)
【0116】
<化合物(A)の熱分析>
化合物(A)の融点測定を顕微鏡ホットステージ(使用機器:メトラー・トレド社製 PF900、PF82HTホットステージ(商品名))と偏光顕微鏡を用いて行った。昇温速度は10℃/minとした。融点は、260〜270℃であった。
【0117】
<化合物(A)のUV−VIS吸収の測定>
化合物(A)のUV−VIS吸収の測定は、分光蛍光光度計(日本分光(株)製FP−777W(商品名))で行なった。溶液状態の測定はサンプル濃度10-5 mol/lに調整したクロロホルム溶液で、薄膜試料の測定は石英ガラス上にサンプル濃度0.5重量%のオルトジクロロベンゼン溶液を塗布したサンプルを用いて行った。UV−VIS吸収スペクトルを図1に示す。
【0118】
<化合物(A)のイオン化ポテンシャルの測定>
化合物(A)のイオン化ポテンシャルの測定は、表面分析装置(ULVAC−PHI(株)製ESCA5400(商品名))で行った。測定試料は、ハイドープのn型Siウエハ(株式会社セミテック製)を使用し、ホットプレート上で70℃に加熱したサンプル濃度1重量%のオルトジクロロベンゼン溶液を、70℃に加熱したハイドープのn型Siウエハ状に塗布し乾燥させて成膜したサンプルを用いた。イオン化ポテンシャルは5.1eVであった。
【0119】
<化合物(A)の薄膜XRDの測定>
化合物(A)の薄膜XRDの測定は、X線回折装置(BRUCKER AXS製 D8(商品名))を用いた。測定試料は、ハイドープのn型Siウエハ(株式会社セミテック製)を使用し、ホットプレート上で70℃に加熱したサンプル濃度1重量%のオルトジクロロベンゼン溶液を、70℃に加熱したハイドープのn型Siウエハ状に塗布し乾燥させて成膜したサンプルを用い、面外方向の配向状態を測定した。測定結果を図2に示す。
【0120】
[実施例2]
<有機FETの作製とFETの性能測定>
(I)有機FETの作製
有機半導体膜として実施例1で得られた化合物(A)を利用し、絶縁膜としてSiO2(膜厚は500nm)を利用し、ゲート電極としてハイドープのn型Siウエハ(株式会社セミテック製)を利用し、ソース電極およびドレイン電極としてAu(50nm)を利用し、トップコンタクト型の有機FETを作製した(図3(b)参照)。
化合物(A)から有機半導体膜(膜厚:50nm)を形成する方法としては、下記条件による真空蒸着法を用いた。
【0121】
(真空蒸着条件)
基板温度:25℃
蒸着速度:0.2Å(オングストローム)/s(秒)
ソース電極およびドレイン電極は、メタルマスクを利用して真空蒸着法により形成した。チャネル長(L)は100μmとし、チャネル幅(W)は1.5mmとした。
【0122】
(II)FETの性能測定
<<移動度(μFET)および閾値電圧(VTH)の測定>>
上記(I)で作製されたトップコンタクト型の有機FETの移動度(μFET)および閾値電圧(VTH)を以下のとおり測定した。
【0123】
測定温度は室温(25℃)とし、測定環境は大気下とした。
半導体パラメーターアナライザー(B1500A:アジレントテクノロジー製)を用いて、ドレイン電圧(VD=−100V)を固定し、ゲート電圧(VG)を+20V〜−100Vまで0.2V刻みで変化させることによって、伝達特性の評価を行った。この伝達特性の曲線から下記式(ii)により、移動度(μFET)および閾値電圧(VTH)を算出した。
【0124】
【数2】

その結果、移動度(μFET)=6.5×10-3cm2/V・sであり、閾値電圧(VTH)=7.6Vであった。結果を表1に示す。
【0125】
<<オンオフ比の算出>>
上述の条件で測定された伝達特性から、IDの絶対値|ID|の、最大値(|IDmax|)および最小値(|IDmin|)を計測し、その比である|IDmax|/|IDmin|をオンオフ比として算出した。その結果、上記(I)で作製されたトップコンタクト型の有機FETのオンオフ比は、5.0×104であった。結果を表1に示す。有機半導体材料のオンオフ比は、103以上であることが望ましい。
【0126】
[実施例3]
<有機FETの作製とFETの性能測定>
(I)有機FETの作製
絶縁膜表面をHMDS処理した以外は、実施例2と同様にしてトップコンタクト型の有機FETを作製した。絶縁膜表面のHMDS処理は、浸漬の方法で行なった(浸漬時間:60分間、乾燥:40℃、15分)。
【0127】
(II)FETの性能測定
上記(I)で作製されたトップコンタクト型の有機FETの性能を実施例2と同様にして測定した。その結果、移動度(μFET)=9.0×10-2cm2/V・s、閾値電圧(VTH)=−2.5V、オンオフ比=6.0×106であった。結果を表1に示す。実施例2と比較して、移動度(μFET)およびオンオフ比が向上し、閾値電圧(VTH)が低下した。
【0128】
[実施例4]
<有機FETの作製とFETの性能測定>
(I)有機FETの作製
有機半導体膜として実施例1で得られた化合物(A)を利用し、絶縁膜としてSiO2(膜厚は500nm)を利用し、ゲート電極としてハイドープのn型Siウエハ(株式会社セミテック製)を利用し、ソース電極およびドレイン電極としてCr(5nm)上にAu(50nm)を積層したものを利用し、ボトムコンタクト型の有機FETを作製した(図2(a)参照)。
【0129】
ソース電極およびドレイン電極は、メタルマスクを利用して真空蒸着法により形成した。チャネル長(L)は100μmとし、チャネル幅(W)は1.5mmとした。
化合物(A)から有機半導体膜を形成する方法としては、溶液塗布法を用いた。詳細には、以下のようなドロップキャスト法を用いた。0.5重量%の化合物(A)のオルトジクロロベンゼン溶液を調整し、この溶液とマイクロシリンジを70℃に加温し、溶液をマイクロシリンジで基板(基板温度:70℃)上に滴下することにより有機半導体膜(膜厚:100〜200nm)を形成した。この有機半導体膜の膜形態を偏光顕微鏡で観察した。特に結晶形態及びソース・ドレイン間のチャンネル部分における膜の連続性を評価した。膜形態は連続膜と四角形状の板状結晶であった。この有機半導体膜の偏光顕微鏡写真を図4に示す。
【0130】
(II)FETの性能測定
上記(I)で作製されたボトムコンタクト型の有機FETの性能を実施例2と同様にして測定した。その結果、移動度(μFET)=4.0×10-4cm2/V・s、閾値電圧(VTH)=−20.5V、オンオフ比=7.8×104であった。結果を表1に示す。
【0131】
[実施例5]
<有機FETの作製とFETの性能測定>
(I)有機FETの作製
絶縁膜表面をHMDS処理した以外は、実施例4と同様にしてボトムコンタクト型の有機FETを作製した。絶縁膜表面のHMDS処理は、浸漬の方法で行なった(浸漬時間:60分間、乾燥:40℃、15分)。
【0132】
(II)FETの性能測定
上記(I)で作製されたボトムコンタクト型の有機FETの性能を実施例2と同様にして測定した。その結果、移動度(μFET)=4.0×10-4cm2/V・s、閾値電圧(VTH)=−3.0V、オンオフ比=5.0×105であった。結果を表1に示す。実施例2と比較して、移動度(μFET)およびオンオフ比が向上し、閾値電圧(VTH)が低下した。
【0133】
【表1】

【符号の説明】
【0134】
1 ソース電極
2 ドレイン電極
3 ゲート電極
4 有機半導体膜
5 ゲート絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物。
【化1】

(式(I)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜30のアルキルであり、
5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜30のアルキルであり、
前記炭素数1〜30のアルキルにおいて、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の炭素はケイ素に置き換えられてもよい。)
【請求項2】
前記式(I)中、R5およびR6が、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、
前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよいことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記式(I)中、R1、R2、R3およびR4が、それぞれ独立に水素または炭素数1〜20のアルキルであり、
5およびR6が、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、
前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよいことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
下記式(I−2)で表される請求項1記載の化合物。
【化2】

(式(I−2)中、R1およびR2は、それぞれ独立に水素または炭素数1〜20のアルキルであり、
5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、
前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。)
【請求項5】
下記式(I−3)で表される請求項1記載の化合物。
【化3】

(式(I−3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキルであり、前記炭素数1〜20のアルキルにおいて、任意の−CH2−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物から形成される薄膜。
【請求項7】
請求項6記載の薄膜からなる有機半導体膜。
【請求項8】
請求項7記載の有機半導体膜を含む有機トランジスタ。
【請求項9】
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、ゲート絶縁膜および請求項7記載の有機半導体膜を含む有機電界効果型トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−280623(P2010−280623A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136095(P2009−136095)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】