説明

平面表示装置等の電子・電気製品を収納する帯状収納体の製造方法及び梱包デバイス

【課題】 平面表示装置その他の電子・電気製品を収納するための収納体の製造方法及び梱包装置において、電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、収納体の梱包等のためのコストを低減できるものを提供する。
【解決手段】平坦な帯状の樹脂シート1の表側シート部1Aと裏側シート部1Bとの間を適宜融着してポケット部15Bを設けておく。梱包デバイス6は、水平送り部601と垂直送り部602とを備え、水平送り部601では、ポケット部15Bの開口側をガイド622により開きつつ、例えば携帯電話用の表示パネル2を、順次ポケット部15Bに挿入する。垂直送り部602への移行は、行路長を一定にする曲面が形成され、中央部に抜き部631を有する湾曲板63を伝って行われる。垂直送り部ではヒートシール部64によりポケット部15Bを閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面表示装置その他の電子・電気製品を収納するための収納体の製造方法及び梱包装置に関する。ここで、電子・電気製品の語は、最終製品のみならず、中間製品もしくは半製品、及び、各種の電子・電気部品を含むこととする。例えば、小型(パネル対角寸法1〜3インチ)または中型(パネル対角寸法4〜10インチ)の表示パネルや導光板、薄型の半導体チップ、プリント配線基板等を含む。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置をはじめとする平面表示装置の市場が急速に拡大しつつある。中でも、携帯電話や携帯情報端末(PDA)、カーナビゲーション装置等に用いられる中小型の平面表示装置の市場が急激に拡大している。
【0003】
このような平面表示装置を製造するにあたり、表示パネル本体の作成後、フレキシブルプリント基板(FPC)等の接続基板を装着することにより接続基板付きの表示パネルの作成が行われ、さらにこの後で、面光源装置等を組み合わせることにより表示パネルモジュールの作成が行われる。そして、この表示パネルモジュールが、携帯電話等の最終消費製品に組み込まれる。表示パネルの作成と、表示パネルモジュールの作成と、表示パネルモジュールからの最終消費製品の作成とは、それぞれが別個の製造設備または敷地内で行われることが多い。また、接続基板装着前の表示パネル(表示パネル本体)の作成と、接続基板の装着も、しばしば、別個の設備や敷地内で行われる。したがって、これらの間で表示パネルまたは表示パネルモジュールの輸送が行われている。
【0004】
表示パネル等の移送には、一般に、複数の収納部を形成した搬送用トレーが用いられている(特許文献1〜3)。例えば、弾性を有する平形の搬送用トレーの上面に、マトリクス状に収納用凹部が形成され、これら凹部中に、各1個の表示パネルが安定に嵌め込まれて保持される(特許文献1)。このようにして、トラック、鉄道または航空機により輸送される際にも、振動や衝撃による表示パネルの破損が防止されている。また、収納用凹部から、表示パネル等が振動や衝撃により外れ出ることも防止されている(例えば特許文献2)。
【0005】
一方、半導体パッケージといった、より微細な部品については、帯状のキャリアテープを用いる収納・搬送方法が種々検討されている(特許文献4〜5)。キャリアテープは、帯状のプラスチックフィルム上に、一列で等間隔に収納用凹部を設けたものである。必要に応じて、カバーフィルムが用いられ、キャリアテープの縁部と各収納用凹部に保持された半導体パッケージ等の微細な部品を密封している(特許文献4)。収納用凹部は、エンボス加工により設けられるか(特許文献4)、または、ベースフィルムを打ち抜いて凹部を形成後、裏打ちフィルムを貼り合わせることにより設けられる(特許文献5)。
【0006】
また、キャリアテープは、リールに巻かれた状態で搬送され、キャリアテープへの部品の搭載は、エンボステープ等の各ポケット部に部品を挿入した後、カバーフィルムを貼り付けることにより行われている(特許文献6)。
【特許文献1】特開2002−332023
【特許文献2】特開2004−018094
【特許文献3】特開2002−337951
【特許文献4】特開2003−095216
【特許文献5】特開2001−348008
【特許文献6】特開2004−231257
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
搬送トレーやキャリアテープを用いる従来の技術によると、収納凹部の寸法が電子・電気製品の寸法とほぼ一致する必要がある。そのため、電子・電気製品の品種等が切り替わるごとに収納凹部の寸法の異なるものを用意する必要があった。
【0008】
また、キャリアテープはもっぱら微細な部品に適用可能なように設計されており、緩衝作用等を持たせるのは困難である。したがって、表示パネルのような比較的寸法が大きく、破損の可能性も大きい電子・電気製品については、搬送トレーを用いるより他に適当な方法が全く考えられなかった。
【0009】
ところが、搬送トレーを用いて搬送を行う場合、輸送中の振動や衝撃等により、表示パネルのエッジ部が搬送トレーの保持面を摩耗させて粉塵発生の原因となっていた。また、搬送トレーを用いて、例えば表示パネルモジュールを表示パネル生産地から最終消費製品の生産地へと輸送する場合、搬送トレーを廃棄せずに再利用するためには、空になった搬送トレーを表示パネルモジュールの生産地へと送り返す必要があった。特に、搬送トレーは、折り畳んだり圧縮したりすることができないため、返送の際、荷積みの際に占めるスペースが大きく、輸送コストがかさむこととなっていた。
【0010】
さらには、搬送トレーを用いる場合に、密封が比較的困難であり、微細な粉塵や湿気の浸入を防止することは必ずしも容易でなかった。例えば、搬送トレーを積み重ねたものについて、厚手の樹脂シートで包み込んで密封するという操作を行う必要があった。
【0011】
電子・電気製品を搬送トレー上に積み込んで収納する個所では、積み込み前及び、積み込み後の搬送トレーを積んで置くスペースが必要となっていた。また、搬送トレーに順次、積み込みためには、積み込みの位置を順次変化させる必要がある他、空の搬送トレーを上に積んで重ねるといった作業を要するため、積み込み作業の手数・労力が大きくなっていた。ロボットアーム等により積み込みを行う際にも、その位置制御の設定が複雑となり、コスト増加の原因となる。
【0012】
本件発明者は、上記問題点に鑑み鋭意検討する中で、搬送トレーに代わる収納材の探索を種々試みた。特には、表示パネルに割れや欠けが発生しないように、緩衝材を配置するとともに、表示パネルを位置ズレ不能に保持するという困難な要求を満たすべく、発泡材料や積層複合シート等の利用を検討した。
【0013】
鋭意検討を続けるなかで、偶然にも、平坦な汎用樹脂シートの間に表示パネルを挟み込んで適宜にシート間を熱シールするという単純な方法を試みるに至った。すると、全く意外にも、条件により、表示パネルの保持と衝撃等からの保護が可能となった。また、キャリアテープと同様に、帯状の収納体を作製し、リールに巻き付けたり、リールから繰り出しつつ供給するという方法も可能であることが知られた。
【0014】
そして、本件発明者は、さらに検討を行った結果、新規な帯状の収納体は、必ずしもリールに巻き付けることを要さず、適宜に折り返しつつ畳み込んで収納することができた。また、このような帯状の収納体を作製して電子・電気製品を収納する場合には、キャリアテープの作製及び収納よりも簡便な方法及び装置でもって収納及び梱包を行うことが可能であることを見出した。
【0015】
以上のように、本発明は、平面表示装置その他の電子・電気製品を収納するための収納体の製造方法及び梱包装置において、電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、電子・電気製品の収納や収納体の回収等のためのコストを低減できるものを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の電子・電気製品の帯状収納体の製造方法は、平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持されてなる帯状収納体を製造する方法であって、前記帯状の樹脂シートの一方の縁に沿って表側及び裏側シート部の間に第1の接合部を設けて、これにより前記電子・電気製品を受け入れる受け入れ部を形成し、この後、該帯状の樹脂シートを、前記一方の縁が下方になるように傾斜させたまま、水平方向に送るとともに、該樹脂シートの他方の縁の側から、前記表側及び裏側シート部の間を連続的に開きつつ前記電子・電気製品を挿入することを特徴とする。
【0017】
ここで、電子・電気製品の語は、本明細書の技術分野の項で述べたとおり、電子・電気分野に含まれる各種製品及び中間品、及び、これらに組み込まれる各種の部品、装置及び部材を含むものとする。また、樹脂シートの語は、厚みの大きいもののみならず、樹脂製である限り、一般にフィルムまたはシートと呼ばれるものを全て含むものとする。
【0018】
本発明の梱包デバイスは、平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持されてなる帯状収納体を製造するための梱包デバイスであって、平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持されてなる帯状収納体を製造するための梱包デバイスであって、前記帯状の樹脂シートを、一方の縁が下方になるように傾斜させたまま水平方向に送る水平送り部と、該水平送り部にあって、該樹脂シートにおける他方の縁の側にて、表側のシート部と裏側のシート部との間を開いて、前記電子・電気製品の挿入部を形成するためのシート開きガイドとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、電子・電気製品の収納や収納体の回収等のためのコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
帯状収納体を形成する樹脂シートとしては、ある程度の引っ張り強さ(tensile strength)、靱性(toughness)、耐久性(durability)及び柔軟性(flexibility)があり、かつ、融着または接着が可能なものであれば、いずれも使用可能である。融着可能であるためには、熱可塑性樹脂からなるのが好ましいが、熱可塑性の融着層を含む積層シートであっても良い。また、接着剤を用いて接合する場合には適当な接着性を備えたシートであれば良い。例えば、表面処理により粗面化または極性化を行ったシートを用いることができる。なお、樹脂シートは、場合によっては、エラストマー樹脂または可撓性の発泡樹脂からなるものであっても良い。
【0021】
樹脂シートは、好ましくは、帯状収納体における少なくとも一方の面のシート部が透明である。また、より好ましくは両面のシート部が共に透明である。これにより、包装された電気・電子製品の種類や性状を容易に確認することができる。例えば、電気・電子製品に刻印された製造ロット番号や品種名等を、開封せずに読み取ることができる。また、外形部の破損といった不良を容易に捉えることもできる。樹脂シートの一方の面の側のみを透明なシートとする場合に、他方の面を発泡性のシートとすることもできる。
【0022】
樹脂シートは、好ましくは、帯状収納体における少なくとも一方の面のシート部が、帯電防止性を有する。該シート部をなす樹脂層の全体に帯電防止性の材料がブレンドされたものでも良く、また、表面に帯電防止層が形成されたものであっても良い。このように帯電防止性を付与することにより、包装、搬送及び取り出しの各工程において、不所望の静電気の発生と、これによる、電子・電気製品の損傷を防ぐことができる。帯電防止性の付与は、例えば、アンチモン復酸化物や、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)または酸化亜鉛(IZO)からなる導電性微粒子を分散させた透明導電層を設けることによって行うこともできる。また、場合によっては、導電性カーボン粒子といった非透明性の粒子により帯電防止層を形成することもできる。
【0023】
帯状収納体を形成する樹脂シートの具体例としては、特開平9−175592に記載のものを挙げることができる。すなわち、低密度ポリエチレンまたはエチレン・不飽和エステル共重合体をベース層として、エチレン・不飽和エステル共重合体のカリウム・アイオノマーの層を一方の表面に設けたものを用いることができる。このアイオノマーは、融着及び剥離の容易なシール層をなすとともに、帯電防止の役割を果たす。
【0024】
接合部を設けるための融着は、超音波融着(=超音波シール(ultrasonic sealing)または超音波溶接(ultrasonic welding))、インパルスシール(impulse heat sealing)等の一般的な方法により行うことができる。また、接着により接合を行う場合には、反応性や非反応性のホットメルト接着剤、または、各種の一般的なプラスチック用接着剤を用いることができる。
【0025】
帯状収納体の表側の面、及び裏側の面をなすシート部は、好ましい態様に置いて、同一の素材からなり、特に好ましい内容においては、一枚の帯状の樹脂シートが、中央線付近の個所に沿って折り曲げられて構成される。このようであると、融着性を付与しやすい他、樹脂シートの供給や回収その他の操作が、より容易となる。
【0026】
樹脂シートの厚みは、非発泡性のシートである場合、典型的には10〜300μmである、特には約30〜80μmである。
【0027】
帯状収納体に収納される電子・電気製品は、平形のものである。すなわち、縦方向及び横方向の寸法に対する厚みの比が、かなり小さく、少なくとも1/5以下であり、通常は約1/10〜1/100である。平板や可撓性シートの形態に限らず、例えば、基板上に小型部品を多数装着したものでも良く、場合によっては、多少の湾曲を有する板状の物品であっても良い。
【0028】
帯状収納体には、好ましくは、同一種類の電子・電気製品が、ほぼ等間隔で配列されて、1個ずつが対応する収納部中に収納されて保持される。しかし、場合によっては、2種類またはそれ以上の電子・電気製品を一定の順序で収納することもでき、間隔も適宜調整することができる。例えば、製造ロットが切り替わるところで、収納部間の間隔を大きくすることもできる。
【0029】
帯状収納体の各収納部が接合により形成される際、好ましくは、収納される電子・電気製品についての位置決めが行われる。すなわち、樹脂シート上に配置された電子・電気製品について、さらに所定の位置へと位置調整を行いつつ、その所定位置で保持されるようにする。例えば、電子・電気製品の稜部や角部に対して樹脂シートによる張力が加わることにより、電子・電気製品が樹脂シートに対して位置ズレ不能に保持される。樹脂シートの幅方向に対する多少の位置ズレが許容される場合、接合の際に、樹脂シートの長手方向について、位置決め、及び位置ズレ不能な保持とを行うようにすることもできる。
【0030】
本発明の帯状収納体が特に適した平形の電子・電気製品として、接続基板を装着する前または装着した後の表示パネルが挙げられ、特には表示領域の対角寸法が10インチ以下、好ましくは8インチ以下、より好ましくは4インチ以下の表示パネルが挙げられる。表示パネルは、典型的には、液晶表示パネルであるが、有機ELや無機ELその他のものであっても同様である。表示パネルは、特には、ガラス基板等の比較的破損の容易な基板からなるものである。平形の電子・電気製品の他の例としては、平面表示装置用の面光源装置、導光板、または、駆動回路基板等であって、外形寸法が、上記の表示パネルに略等しいもの、すなわち、中小型の表示パネルに対応した寸法のものを挙げることができる。
【0031】
帯状収納体には、好ましくは、収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が設けられる。この耳部は、帯状収納体が巻かれるか、または折り畳まれた状態にて、収納部を保護する緩衝材としての役割を果たす。
【0032】
帯状収納体から電子・電気製品を取り出す際には、収納部を開いて行く必要があり、電子・電気製品を順次供給すべく、順次取り出し可能であるのが好ましい。このために、帯状収納体は、ある好ましい態様によると、帯状収納体の表側シート部と裏側シート部を互いに引き離すように適当な応力を加えることにより、容易に剥離可能である。また、他の好ましい態様によると、表側シート部には、帯状収納体の一方の縁に沿って予定破断個所が設けられ、帯状収納体の先端側から順次引き裂いて各収納部を順次開いて行くことができる。
【0033】
剥離可能な接合部により取り出しを容易にする場合、好ましくは、収納部の列の外側に、樹脂シートの縁部同士が非接合状態で重ねられた二重縁の耳部が備えられる。そして、二重縁の耳部をなす樹脂シートの縁部同士を引き離していくことにより、容易に剥離を行うことができる。また、このような二重縁の耳部から、帯状収納体に中途の任意の個所で一つの収納部のみを開くことにより、電子・電気製品を抜き出して、各種の検査を行うことができる。例えば、表示パネルモジュールについて点灯検査と呼ばれる表示性能テストを行うことができる。なお、この二重縁の耳部は、好ましくは、引き離しの操作をより容易にすべく、一方のシート部の縁部が他方のシート部の縁部から外側へと突き出している。
【0034】
予定破断個所により取り出しを容易にする場合、好ましくは、該予定破断個所が、一方のシート部、好ましくは、透明な表側のシート部のみに設けられる。予定破断個所は、好ましくは、帯状収納体の中途の個所で一つの収納部のみ容易に開くことができるように、その両側へと引き離す適当な応力によって破断が可能に形成される。予定破断個所は、例えば、破線状または点線状に開口を設けるか、または、断面ノッチ状に削り取られた部分が線状に延びるようにして設けることができる。
【0035】
なお、上記のように帯状収納体に順次収納し、また、順次取り出す方式を採用することにより、組立個所に近接して搬送トレー等の貯留個所や取り出し機構等を設ける必要がなくなる。また、組立が完了次第に包装し、また、次の組立の直前に取り出すことができるため、ごみの付着等を最小限とすることができる。
【0036】
帯状収納体を形成するにあたっての樹脂シートの間への電子・電気製品の供給は、好ましい一態様によると、樹脂シートが断面V字状に折り曲げられ、かつ上方に向かって開いた状態にて、この断面V字状の間隙中に落とし込まれるか滑り込ますようにして行われる。また、この際、断面V字状の底にまで達しないように、適当な係止作用により、樹脂シートの幅方向の所定位置に配置されるようにする。
【0037】
また、帯状収納体を形成する好ましい一態様によると、平坦な帯状の樹脂シートの表側シート部と裏側シート部との間を適宜融着してポケット部を予め設けておく。帯状収納体を製造するための梱包デバイスは、水平送り部と垂直送り部とを備え、水平送り部では、ポケット部の開口側をシート開き用ガイドにより開きつつ、例えば携帯電話用の表示パネルを、順次ポケット部に挿入する。水平送り部から垂直送り部への移行は、行路長を一定にする曲面が形成され、中央部に抜き部を有する湾曲板を伝って行われる。そして、垂直送り部ではヒートシール部によりポケット部を閉じる。
【0038】
このように、水平送り部と垂直送り部を組み合わせることにより、梱包デバイスの設置スペースを小さくすることができる。また、シートを垂直方向に送りつつポケット部を閉じるならば、樹脂シート1が充分に伸ばされ、しわや歪みが生じない状態でのシールが可能となる。
【0039】
また、帯状収納体の好ましい一態様によると、所定個数ごとに空き収納部が設けられ、この空き収納部の個所で折り曲げて、ジグザグ状または巻き付け状に折り畳むことが可能となっている。また、帯状収納体の先端には、空き収納部が連続した形態、または表裏のシート部間に接合部を設けない形態でのリード部を設けておくことができる。
【0040】
帯状収納体は、好ましい一態様によると、そのまま、または緩衝性の芯体のまわりに、らせん状に巻かれて、この状態で保管または搬送が行われる。また、他の好ましい一態様によると、波状に交互に折り畳まれた状態で保管または搬送が行われる。これらの収納状態において、各収納部中の空気またはその他の気体が緩衝作用を行うようにすることもできる。
【0041】
波状に交互に折り畳む場合に、好ましい態様によると、段ボール箱等の収納ケースの内側に複数の小室が設けられ、この小室が、外壁及び隣の小室から、緩衝性の空隙または緩衝材層により、隔てられる。
【0042】
帯状収納体中の収納部は、ある好ましい態様によると、外気から遮断されて密封され、これにより、ゴミの浸入や湿気の浸入から、内部の電子・電気製品が保護される。接合の際、密封される収納部は、それぞれ独立の密封個所とすることもでき、また、適当な連通部により互いに連通させることもできる。
【0043】
密封の際に、内部を窒素や炭酸ガスといった不活性の気体により置換しておくこともでき、これに代えて、収納部の内部を減圧しておくことで酸素を排除することもできる。例えば、減圧室の中で密封を行い、大気圧下で樹脂シートが収納される電子・電気製品の外面に密着するようにすることもできる。また、帯状収納体の収納部を密封する場合、内部に吸湿剤、脱酸素剤等を配置することもできる。例えば、ポリビニルアルコールの層を樹脂シートの内面に設けることにより、吸湿剤層とすることもできる。
【0044】
帯状収納体を構成する樹脂シートには、必要に応じて、収納される電子・電気製品についての、機種、品種、製造ロット、製造日、生産地、仕向け地、仕向け機種、または取り扱い上の注意等の上方を示すための文字または記号を印刷しておくことができる。例えば、電子・電気製品自体への刻印やラベル付けに代えて、次の工程の操作にとり、必要な情報や注意点等をバーコードや、注意を促す記号、文字列等により示しておき、電子・電気製品の取り出しの際に読み取るようにすることができる。
【0045】
上記のような帯状収納体及び包装方法は、単に、中間製品または最終製品の出荷のためにも用いることができる。このような包装方法により、製品の完成から間をおかずに順次包装を行うことができ、また、出荷先では、順次に取り出して使用または販売することが可能である。
【実施例】
【0046】
実施例の梱包デバイスの構造について、図1〜5の部分外観図を用いて説明する。図1は、梱包デバイス6の垂直送り部602を示す前方からの外観図であり、図2は、開梱デバイス6の上部(水平送り部601)を示す斜め上方からの外観図であり、図3は、開梱デバイス6の前方にて、水平送り部601から垂直送り部602に移行する個所の湾曲板63を示す斜め上方からの外観図である。また、図4は、水平送り部601中のシート開き用ガイドを示す上方からの外観図であり、図5は、垂直送り部62中のヒートシール部64を示す前方からの外観図である。なお、便宜上、帯状収納体が排出される下流側を前方として説明する。
【0047】
開梱デバイス6は、矩形状のスチール台65の上部及び前方に組み付けられて設けられている。矩形状のスチール台65は、通常の作業台と同様の高さ及び構造を有し、水平天板651が、アングル鋼材からなる支持枠652の上に取り付けられており、支持枠652の下端四隅に取り付けられたストッパー付きキャスター653により移動可能となっている。
【0048】
スチール台65の水平天板651上には、左方(図2の手前側)に向かって上昇する矩形状の傾斜天板661が、この輪郭に沿って下方に設けられた矩形枠662と、この矩形枠662から水平天板651上に向かって延びるアングル鋼材の支柱663を介して支持されている。
【0049】
傾斜天板661の後方には、帯状の樹脂シート1が巻かれたシートロール31を回転可能に支持するためのロール受け部665が設けられており、スチール台65の後方左端付近から傾斜して延びる支持梁666により保持されている。なお、ロール受け部665の回転軸及びロール31の軸は、傾斜天板661の上面と略同一面内にあり、傾斜天板661の傾斜方向に沿って延びる(図1)。
【0050】
傾斜天板661の後端部には左右方向に長い開口685が設けられるとともに、シートロール31から樹脂シート1を繰り出させて引き込むための第1の送りローラセット671が設けられている。傾斜天板661の後端部にも同様の開口685が設けられるとともに、樹脂シート1を湾曲送り部63へと送り出すための、第2の送りローラーセット672が設けられている。これら送りローラーセット671,672は、いずれも、樹脂シート1の表側及び裏側にあるローラーシャフト675,676と、各ローラーシャフト675,676の左右の個所に取り付けられた樹脂ローラー677A,677Bとからなる。樹脂ローラー677は、車輪状であり、アセタール樹脂(デルリン)等からなる。
【0051】
第1及び第2の送りローラーセット671,672は、同一の構造及び寸法であり、左右の樹脂ローラー677A,677Bを取り付ける位置は、第1及び第2の送りローラーセット671,672の間で、通常同一に設定される。
【0052】
但し、第2の送りローラーセット672の表側のローラーシャフト675に取り付けられた一対の樹脂ローラー677A,677Bにあっては、左側の樹脂ローラー677Aの径が、右側の樹脂ローラー677Bの径よりもわずかに大きい。例えば、0.03〜0.2mmだけ大きい。このような左右の樹脂ローラー677A,677Bの径の差は、後述するように、湾曲板63上に送り出す際のシート送りの微妙なバランスを調整するためである。
【0053】
各ローラーセット671,672の樹脂ローラー677は、取付ネジを緩めて左右位置を容易に調整することができ、傾斜天板661上を送られる樹脂シート1の幅に応じて適宜調整される。なお、傾斜天板661の右縁に沿って、シート送りガイド664が設けられている。このシート送りガイド664は、ステンレス鋼からなる直線状の角棒が傾斜天板661の孔を通じてねじ止めされて設けられている。樹脂シート1は、右縁がシート送りガイド664に沿って送られるため、樹脂シート1の幅が切り換えられた際には、左側の樹脂ローラー677Aの取付位置だけを変更すれば良い。
【0054】
また、樹脂シート1の表側にあるローラーシャフト675は、その両端部が、傾斜天板661上に取り付けられた支持金具678により支持されている。詳しくは、支持金具678の垂直長孔679に、リング状の軸受け部材681が上下動可能に係合しており、この軸受け部材681に、ローラーシャフト675の両端部が差し込まれて、軸受け部材681内面のボールベアリングを介して支持される。軸受け部材681には、対応する支持金具678に対して左右方向外側から係合するフランジ682が備えられ、これによりローラーシャフト675の左右方向位置が固定されている。なお、裏側のローラーシャフト676も同様のボールベアリング及び支持金具を介して傾斜天板661から支持される。但し、上下動はできないように固定されていても良い。また、表側及び裏側のローラーシャフト675,676は、支持金具678の左右方向外側にて、軸受け部材681同士、または、ローラーシャフトの先端部同士の間に、傾斜天板661の孔683を貫くコイルバネ684が架け渡されて、互いに押し合う向きのバネ力を受けている。
【0055】
各ローラーセット671,672における表側及び裏側のローラーシャフト675,676は、右端部(図2の奥側)でタイミングベルト及び歯付きホイールを介して一つのモーターにより駆動されている。すなわち、これら4本のローラーシャフト675,676は、タイミングベルトにより同期されて、同一速度の回転駆動を受けている。なお、表側のローラーシャフト675の右端部は、コイルバネ678のバネ力を受けているため、一対のユニバーサルジョイントを介して歯付きホイールを取り付けたシャフトに接続されており、この歯付きホイールが前述のタイミングベルトを通じてモーターにより駆動される。表側のローラーシャフト675のための歯付きホイールは、ホイールカバー686中に保持されている。
【0056】
なお、本実施例において、樹脂シート1には、予め、図6に示すようなポケット部15Bが、シール部12Aにより形成されている。このシール部12Aは、超音波シールにより設けられた梨地のシール部であり、表側及び裏側のシート部1A,1Bを互いに引き離すことにより、容易に剥離可能である。図示の例で1枚の帯状の樹脂シート1が幅方向に折り畳まれており、シール部12Aは、折り曲げ個所1Cと平行に少し離間した直線に沿って設けられるシール部12Cと、これから枝状にシート幅方向へとほぼ等間隔に延びるシール部12Dとからなる。また、樹脂シート1には、予め、左右両縁に沿ってミシン目からなる破断線18が入れられている。図示の例で、右方の破断線18はシール部12Cより内側にある。また、左方の破断線18も、垂直送り部602に送られた後にヒートシール部4によってシールされる個所よりも内側に来るように設けられている。
【0057】
このようにポケット部15Bが予め設けられた樹脂シート1が、ローラセット671,672の引き出し駆動により、シートロール31から繰り出されて、第1及び第2のローラーセット671,672の間の表示パネル挿入部61に導入される。
【0058】
傾斜天板661上にあって、第1のローラーセット671の後方には、前後にシートガイドピンの対668A,668Bが設けられており、前後の対の間で構造、寸法及び取付位置が同一である。各一対のシートガイドピン668A,668Bのうち、右方のガイドピン668Bは傾斜天板661上にあって、シート送りガイド664と略同一の左右位置に固定して設けられる。一方、左方のシートガイドピン668Aは、傾斜天板661に設けられた左右方向の長孔669に沿って取付位置を変更可能であり、樹脂シート1の幅に応じて設定される。
【0059】
図示の例で、第1及び第2のローラセット671,672及びシート送りガイド664により画された領域の略全体にわたって、傾斜天板661の上面を覆うように、矩形の第1のアクリル板615が取り付けられており、この上面が前方へと送られる樹脂シート1の摺動面となっている。また、樹脂シート1の表側シート1Aと裏側シート1Bとの間を開いて表示パネル挿入部61を形成するための前後一対のシート開きガイド621,622がアクリル板615上に設けられている。
【0060】
シート開きガイド621,622は、図2及び図4に示すように、フッ素樹脂等の摩擦係数の低い樹脂からなる、やや扁平な直方体状ブロックを概略直角三角形の形に切り取って、表側にて斜辺の稜線及び先端部近傍の稜線を円弧状に丸めたような形状をなす。内部には、ガス供給管623を備え、シート開きガイドの先端部に向かって直円筒状に延びており、その先端がノズル624である。シート開きガイド621,622は、先端部近傍にて、横断面がこのノズル624を囲む半円状ないし円弧状であり、先端に向かってすぼむテーパー状である。シート開きガイド621,622は、先端が右方(図2の奥側)を向き、直角三角形の斜辺が表示パネル挿入部61の外側を向くように取り付けられる。シート開きガイド621,622は、傾斜天板661に左右方向に設けられた長穴611,612中の任意の位置で固定可能であり、樹脂シート1の左縁(図2の手前の縁)がシート開きガイド621,622の先端部にかかるような位置に設定される。図示の例で、前方のシート開きガイド622の長孔612のさらに前方に同様の長穴613が設けられており、挿入される表示パネルの寸法が大きくなった場合に、前方のシート開きガイド622を取り付けて、シート挿入部61の前後方向幅を大きくできるようになっている。
【0061】
前後のシート開きガイド621,622の間の中間には、縦横の寸法が、挿入する表示パネルの寸法の約2〜3倍である、例えば0.5〜3mm厚といった比較的薄い表示パネル摺動用のアクリル板616が、裏側シート部1Bと表側シート部1Aとの間に来るように取り付けられている。このアクリル板616は、面ファスナー616A等により、傾斜天板661の上面に、脱着可能に支持されている。表示パネル摺動用のアクリル板616は、樹脂ロール665がロール支持部655にセットされて、第1及び第2のローラーセット等により、適当な寸法だけ送られた後に、表示パネルの寸法、及び、樹脂シートのポケット部15B等の寸法に合った適当な寸法のものが選択されて、表裏のシート部1A,1Bの間に挿入されてセットされる。
【0062】
なお、挿入部61の上方には、赤色レーザー光の遮断を検知する光学センサー617が、傾斜天板661に取り付けられる逆L字状のアーム618を介して取り付けられている。また、光学センサー617の直下には、傾斜天板661に左右方向に長い長穴619が設けられており、その下方に設けられた赤色レーザー発光部の光がアクリル板615を透過して光学センサー617に届くようにセットされている。樹脂シート1のポケット部15Bに表示パネルが挿入されるごとに、光学センサー617が検知信号を出力し、傾斜天板661の左方の縁に取り付けられた計数表示器620より、梱包処理した表示パネルの個数が表示される。
【0063】
第1及び第2のローラセット671,672による樹脂シート1の送り駆動は、ポケット部15Bが前後のシート開きガイド621,622のちょうど中間の位置に来る個所で、一旦停止される。このとき、表示パネル21は、表示パネル摺動用のアクリル板616に載せられて、軽く押し込まれると、該アクリル板61を伝ってポケット部15Bに落ち込むこととなる。ポケット部15Bに入れられた表示パネル(図2に示す例では表示パネル本体21)が、シート送り駆動により、前方のシート開きガイド622の位置に達したとき、その先端のノズル624から圧縮空気または圧縮窒素がエアガン状に噴き出されて、表示パネル21をポケット部15Bの底にまで押し込む。すなわち樹脂シート1の縁に沿っにシール部12Cの近くにまで確実に押し込む。このとき、表示パネル等の収納物の種類によってはに多少の振動が加わる程度にエアブローまたはガスブローを行っても良く、これによって、より確実に所定位置へと押し込むことができる。
【0064】
なお、第1のシート開きガイド621から噴出されるガスは、シート間を充分に開けるのに多少寄与する。しかし、第2のシート開きガイド622からのガス噴出のみで充分な場合も多いため、必ずしもガス噴出を行う必要がない。したがって、第1のシート開きガイド621中のガス供給管623及びノズルは省くことができる。
【0065】
図3に示すように、傾斜天板661の前方には、スチール板からなる湾曲板63が続いており、これら上面が、連続した滑らかなシート送り面をなす。湾曲板63は、傾斜天板661の上面に沿った水平送り部601から、垂直送り部602へと樹脂シート1をスムーズに移行させるための一つの滑らかな湾曲面をなしている。左側(図3の手前側)では、垂直送り部602までの落差が大きいため、右側では(図3の奥側)では落差が小さい。そのため、湾曲板63は、このような落差の違いを吸収するように、右側では、前後方向の寸法が大きく、左側では、前後方向の寸法が大きくなっている。このため、垂直送り部602は、右側が前方に突き出すように配置される。また、湾曲板63に沿って送られるシートの行路長は、左右方向のいずれの位置でもほぼ等しい。
【0066】
湾曲板63には、左右方向中央部に大寸法の抜き部631が設けられている。この抜き部631は、剛直な表示パネル21をポケット部15B中に収納した樹脂シート1が湾曲板63に沿って送られる際に、樹脂シート1の幅方向中央部に生じる複雑な歪み及びこれによる応力を吸収し、スムーズに湾曲板63に沿った送り動作を実現するためのものである。図示の例で、湾曲板63の下端は、スチール台65の水平天板651より少し低い位置にある。
【0067】
図1に示すように、垂直送り部602は、スチール台65より支持される垂直支持・摺動板69からなる。垂直支持・摺動板69の上端部及び下端部には、水平送り部601における第1のローラーセット671と同一の構造及び寸法を有する第3及び第4のローラーセット673,674が配置されて、垂直下方へのシート送り動作を行う。また、これらローラーセット673,674の樹脂ローラー677の配置可能個所に対応して、垂直支持・摺動板69に左右方向に長い、同様の開口685が設けられている。
【0068】
第3及び第4のローラーセット673,674の間での領域で、垂直支持・摺動板69の右縁に沿った個所には、水平送り部601におけると同様の角棒からなるシートガイド691が取り付けられている。また、このシートガイド691の左方は、これに近接した個所及び垂直支持・摺動板69の左縁に沿った個所を除き、矩形状の開口692となっている。
【0069】
この開口692には、ヒートシール部64が配置されている。ヒートシール部64は、開口692の奥、すなわち樹脂シート1の奥に配されて、垂直方向に延びる加熱部641と、樹脂シート1の手前に配されて、対応して垂直方向に延びる押し当て装置642とからなる。押し当て装置642は、垂直方向に長い空気圧シリンダー643と、この作動部643Aの側面に沿って取り付けられた垂直方向に長いブレード644とからなる。なお、加熱部641及び押し当て装置642は、左右位置を調整可能な支持梁645を介して、スチール台65により支持されている。また、ブレード644は、スプリング649を介して空気圧シリンダー643の本体に接続されており、空気圧シリンダー643の作動による押し当ての後には、速やかに元の位置へと復帰する。
【0070】
また、開口692の右上端付近に対応する個所には、垂直送り部601と同様の光学センサー646が備えられており、垂直支持・摺動板69に取り付けられた同様の逆L字状のアーム647により支持されている。この光学センサー646は、開口692の奥、すなわち樹脂シート1の奥に配される発光部648からの赤色レーザー光を受けて、その遮断を検知する。この光学センサー646により、1個または複数の表示パネル21が通過したことを検知したならば、空気圧シリンダー643が作動し、ブレード644により、樹脂シート1を加熱部641に押し当てる。この際、例えば、インパルス電流による加熱が行われ、表側及び裏側のシート部1A,1Bを接合してポケット部15Bを閉じる熱シール操作が行われる。
【0071】
このようにして図12〜13に示すような帯状収納体10が形成される。図7に示すように、帯状収納体10には、5個の表示パネルが収納される毎に、一つの空き収納部15Aが設けられており、この空き収納部15Aのところで折り曲げて、ジグザグ状ないし波状に折り畳まれている。また、図8に示す例では、空き収納部15Aのところで折り曲げて、矩形状の段ボール紙45のまわりに巻き付けられている。
【0072】
また、帯状収納体10の先端部では、開梱デバイスへのセットのためのリード部分10Aとして、5〜8個程度の収納部に対応する寸法の空き部分を設けて置く。このリード部分10Aは、空き収納部15Aが連続して設けられたものでも良く、また、収納部を区切る接合部12Aを設けずに破断線18のみを設けたものでも良い。なお、帯状収納体10は、ジグザグ状に折り畳まれてまとめられた形(図7)、または、ハニカム構造を有する矩形状のボール紙45のまわりに巻き付けた形の梱包ユニット100の状態(図8)で箱詰めして輸送される。そして、リード部分10Aが該梱包ユニット100の最表面に位置してクッションの役割を果たすこととなる。
【0073】
上記のように一定の個数の表示パネルを収納するごとに空き収納部15Aを設けることにより、梱包ユニット100等の状態にある帯状収納体10にて、収納された表示パネル2の個数を容易に数えることができる。5個が収納されるごとに折り曲げられているならば、その積み重なりの数に5を乗じて表示パネルの個数を容易に把握することができる。
【0074】
なお、図12〜13のように表示パネル等を収納する収納部15の間が一つの線状のシール部12Aのみにより区切られ、所定個数毎に空き収納部15Aが設けられた帯状収納体は、図7〜8のように、空き収納部15Aにて折り曲げる形の梱包形式に適している。
【0075】
図9〜11には、図8の梱包ユニット100を箱詰めする様式の一例を示す。図9は、各1個の梱包ユニット100を収納する内箱46を、開いた状態で、梱包ユニット100とともに示す斜視図である。内箱42は、一枚の矩形状ボール紙に切り込みを入れてから折ることで得られる扁平な矩形状の箱であり、前後2つの主面部463,464の長辺同士を結ぶ細長い個所が底部465であり、両主面部463,464の他の長辺から棚状に突き出す部分は、箱を閉じた際に相互に重なり合う蓋(ふた)部466,467である。各主面部463,464の両方の短辺から突き出す断面L字状の部分は、箱を閉じた際に梱包ユニット100の両端部を挟み込む挟持部461である。すなわち、これら挟持部461は、帯状収納体10の空き収納部15Aの個所を介して、内側にある矩形状ボール紙45を挟み込む。内箱46の蓋(ふた)部466,467には、各2個の丸穴462が設けられている。内箱46を閉じた状態で、丸穴462に指を入れて内箱46を持ち上げることができるようになっている。
【0076】
なお、図示の例の梱包ユニット100では、予め、帯状収納体10の幅方向にひも44が巻かれて、巻き付け状態が保持されている。この際、例えば弾性を有するひもを用いることができ、また、ひもに代えて、粘着テープ等により止めておくこともできる。しかし、帯状収納体10を矩形状ボール紙45に巻いた後、直ちに内箱46に収納するのであっても良い。
【0077】
図10は、上記内箱46を収納するための、隔壁41付きの外箱4について示す。外箱4の内部には、外箱4、内箱46及び矩形状ボール紙45の素材と同一のハニカムコアのボール紙からなる矩形状の多数の隔壁41A,41Bが、略垂直方向を向けられ、かつ、断面井桁(いげた)状に組み合わされている。このようにして、扁平な矩形状の小室42が5つ並列して形成されており、また、外箱4の四周の壁面に沿って多数の空隙室43が形成されている。小室42に沿った方向の隔壁41Aには、コの字状の切り込み411が、上下の各辺に2つずつ設けられている。
【0078】
図11は、図10の外箱4中に内箱46が収納された様子を示す。隔壁41Aの切り込み411の個所に、同様のボール紙を断面コの字状に折り曲げた緩衝スペーサ47が嵌め込まれている。この緩衝スペーサ47は、外箱4の底部及び上部に各2個配されて、各内箱46を、外箱の底壁及び蓋(ふた)から隔離して保持するためのものである。
【0079】
次ぎに、図12〜13を用いて、実施例の帯状収納体10の構成について、さらに説明する。なお、図13は、表示パネルモジュール2を収納した状態を示している。
【0080】
表示パネルモジュール2は、表示パネル本体21と、この周縁部に接続された接続基板22と、表示パネル本体21の周縁部を保持するフレーム23と、面光源装置とからなる。具体例において、表示パネルモジュール2は、折り畳み型の携帯電話に組み込まれるものであり、接続基板22が、フレキシブルプリント配線(FPC)と、この上に搭載されたコントローラー等からなる。表示パネル本体21は、一対のガラス基板の間の微細な間隙に液晶材料が封入されて保持されたものである。例えば、高精細なカラー表示を行うべくポリシリコン(p-Si)型TFTを各画素ドットのスイッチング素子として用いたものであり、画像表示領域の対角寸法が約3インチである。
【0081】
帯状収納体10をなす樹脂シート1は、具体例において、非架橋の低密度ポリエチレンからなるベース層に、エチレン・不飽和エステル共重合体のカリウム・アイオノマーからなる非帯電性のシール層を設けた透明のシートである。
【0082】
図12〜13中に示すように、帯状収納体10をなす帯状の樹脂シート1は、中央線の近傍に沿って半分に折り畳まれた状態で、各表示パネル21(または表示パネルモジュール2)を挟み込んでいる。すなわち、表側シート部1Aと、裏側へと折り返された裏側シート部1Bとの間に、各表示パネル21(または表示パネルモジュール2)を保持しており、折り曲げ個所1Cが帯状収納体10の一方の縁をなしている。なお、折り畳まれた内側の層が、上記の非帯電性のシール層をなす。
【0083】
帯状収納体10のもう一方の縁、すなわち折り曲げ個所1Cとは逆側の縁の個所では、表側シート部1Aの縁部11Aと、裏側シート部1Bの縁部11Bとが重なっている。詳しくは、裏側シート部1Bの縁部11Bが、表側シート部1Aの縁部11Aよりも、シート幅方向外側へと、少し突き出ている。
【0084】
寸法構成の一具体例を挙げるならば、帯状収納体10の幅が150〜200mm、耳部14,15の幅が10〜30mm、各収納部15のシート長手方向の寸法が5〜100mmである。接合部12Aの幅は例えば5〜15mm、接合部12Bの幅は、例えば1〜3mmであり、樹脂シート1の厚みは、例えば約50μmである。この樹脂シート1は、例えば、インフレーション法により筒状に成形された後、1個所で長手方向に連続的に切断されるとともに所定個所にて半折りにされつつ、ロール31に巻き取られたものである。
【0085】
上記実施例においては、樹脂シート1に予めポケット部を設けておくとして説明したが、挿入部61に送る直前にシート部1A,1B間の剥離可能なシール部12Aを設けるように、超音波シール装置を梱包デバイスに備え付けることもできる。また、樹脂シート1の右縁(傾斜天板661上の低い側)に沿って延びる接合部12Dを先に設けておき、表示パネルの挿入を行った後、左右方向の接合部12Cを設けることもできる。
【0086】
図14には、変形例の帯状収納体について示す。図に示すように、表示パネルモジュール2の位置を固定するための点状シール部12Eが設けられている。この点状シール部12Eは、例えば、樹脂シート1が第2のローラーセット672に達する直前に、点状に熱シールを行って設けることができる。このためには、第2のローラーセット672の近傍で、傾斜天板661に開口を設け、ヒートシール部4と類似の機構による点状のインパルスシーラーを設ける。点状シール部12Eは、接続基板22が細長く延びており、振動等を受けた際に矩形状のポケット部15中で表示パネルモジュール2がずれて動くおそれがある場合に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例の梱包デバイスを示す前面からの外観図である。
【図2】実施例の梱包デバイスを示す斜め上方からの外観図である。
【図3】実施例の梱包デバイスにおける湾曲面の近傍を示す斜め上方からの外観図である。
【図4】実施例の梱包デバイスにおけるシート開き用ガイドの近傍を示す上方からの外観図である。
【図5】実施例の梱包デバイスにおけるヒートシール部の近傍を示す前方からの外観図である。
【図6】収納前の樹脂シートについて模式的に示す平面的な斜視図である。
【図7】帯状収納体を空き収納部のところで折り曲げて、ジグザグ状に折り返した形の梱包ユニットを示す模式的な断面図である。
【図8】帯状収納体を空き収納部のところで折り曲げて、段ボール紙に巻き付けた形の梱包ユニットを示す模式的な断面図である。
【図9】梱包ユニットを収納する内箱を開いた状態で、該梱包ユニット(図8の様式)とともに示す斜視図である。
【図10】梱包ユニットを収納する隔壁付きの外箱を示す斜視図である。
【図11】図9の内箱を図10の外箱に収納した様子を示す斜視図である。
【図12】表示パネル本体を収納した帯状収納体について模式的に示す平面的な斜視図である。
【図13】表示パネルモジュールを収納した帯状収納体について模式的に示す平面的な斜視図である。
【図14】変形例の帯状収納体について模式的に示す図13に対応する平面的な斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
1 樹脂シート
1A 樹脂シート1における表側シート部
1B 樹脂シート1における裏側シート部
1C 樹脂シート1における折り曲げ部
10 帯状収納体
12 接合部
12A 容易に剥離可能な梨地のシール部
12B ヒートシールによる強固なシール部
12E 表示パネルモジュールの位置固定用の点状シール部
14,16 耳部
15 収納部
15B ポケット部(挿入口封鎖前の収納部)
2 表示パネルモジュール
31 樹脂シートのロール
4 段ボール箱(外箱)
41 段ボール箱中の隔壁
42 小室
43 空隙室
45 矩形状のボール紙
46 ボール紙からなる内箱
47 断面コの字状に折ったボール紙
6 梱包デバイス
601 水平送り部
602 垂直送り部
61 表示パネル挿入部
615〜616 アクリル板
617 計数用の光学センサー
620 計数表示器
621〜622 シート開き用ガイド
624 シート開き用ガイドの先端のガスノズル
63 湾曲板
631 湾曲板の抜き部
64 ヒートシール部
641 加熱部
642 押し当て装置
646 ヒートシール部作動用の光学センサー
65 スチール台
651 スチール台の水平天板
661 傾斜天板
664 シート送り用ガイド
671〜674 第1〜4のシート送り用ローラーセット
675,676 表側及び裏側のローラーシャフト
677 樹脂ローラー
69 垂直支持・摺動板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持されてなる帯状収納体を製造する方法であって、
前記帯状の樹脂シートの一方の縁に沿って表側及び裏側シート部の間に第1の接合部を設けて、これにより前記電子・電気製品を受け入れる受け入れ部を形成し、
この後、該帯状の樹脂シートを、前記一方の縁が下方になるように傾斜させたまま、水平方向に送るとともに、該樹脂シートの他方の縁の側から、前記表側及び裏側シート部の間を連続的に開きつつ前記電子・電気製品を挿入することを特徴とする帯状収納体の製造方法。
【請求項2】
所定個数ごとに空き収納部を設けることを特徴とする請求項1に記載の帯状収納体の製造方法。
【請求項3】
前記挿入の際に、圧縮空気またはガスを吹き込むことを特徴とする請求項1記載の帯状収納体の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂シートを湾曲面に沿って摺動させてから、垂直方向下方へ送り、この垂直方向の経路中にて、前記表側及び裏側シート部の間に第2の接合部を設け、これにより前記電子・電気製品を位置ズレ不能に収納する収納部を形成することを特徴とする請求項1に記載の帯状収納体の製造方法。
【請求項5】
前記湾曲面に抜き部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の帯状収納体の製造方法。
【請求項6】
平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持されてなる帯状収納体を製造するための梱包デバイスであって、
前記帯状の樹脂シートを、一方の縁が下方になるように傾斜させたまま水平方向に送る水平送り部と、
該水平送り部にあって、該樹脂シートにおける他方の縁の側にて、表側のシート部と裏側のシート部との間を開いて、前記電子・電気製品の挿入部を形成するためのシート開きガイドとを備えることを特徴とする梱包デバイス。
【請求項7】
前記挿入部に、表側のシート部と裏側のシート部との間へと空気またはガスを吹き込むためのノズルが備えられることを特徴とする請求項6に記載の梱包デバイス。
【請求項8】
前記帯状の樹脂シートを垂直下方へと送る垂直送り部と、前記水平送り部から該垂直送り部へと前記樹脂シートを摺動させて送るための湾曲面を備えることを特徴とする請求項6に記載の梱包デバイス。
【請求項9】
前記垂直送り部中にヒートシール部が設けられたことを特徴とする請求項8に記載の梱包デバイス。
【請求項10】
前記湾曲面に抜き部が設けられたことを特徴とする請求項8に記載の梱包デバイス。
【請求項11】
前記水平送り部から前記湾曲面上へと送り出す左右のローラーの間に、径に差が設けられたことを特徴とする請求項8記載の帯状収納体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−282192(P2006−282192A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−101639(P2005−101639)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】