説明

年齢計

【課題】 従来の近点計による測定は手間がかかり、また、視標が不鮮明になるボケの発生点の確認は被験者の主観に左右される問題があった。これは、判別し難い視標やボケの程度を比較できる基準がないためである。さらに、測定結果の表示が専門的で分かり難い。
【解決手段】 鏡を用いて測定距離を二分の一にした近点計を使用して、ボケの判別が容易な同じ二つの視標を3センチの間隔をあけて直線上に重ねて設置し、披検眼に近い測定視標のボケの発生時点を披検眼に遠い比較視標と比較して確認することができる。また、測定結果を年齢で表示することで老眼の進行の確認だけでなく、目の疲れなどの変化を知ることで健康管理用としても使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近点計による目の調節力の変化を用いた年齢計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の近点視力の検査には、近点視力表の指標を30cmの距離から検査するものから、自覚的調節検査や他覚調節検査などの検査装置がある。(例えば、非特許文献1参照)
【0003】
また、測定板の中央にスライドする視標を立て、その測定板を鼻に当てて視標をスライドさせて距離を測定できる近点計もある。(例えば、特許文献1参照)
【非特許文献1】 「眼科検査ガイド」,(株)文光堂,2004年,p.212〜219
【特許文献1】 登録番号 3004879
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上述べた従来の近点計では、近点視力表を用いる場合でも30cmの距離を測るためにメジャーなどで測定する必要があり、手間がかかるものである。また、自覚的・他覚的調節検査の場合には装置そのものが高価であること、さらに正確な検査結果を得るためには適切な操作が求められている。
【0005】
また、いずれの近点計でも視標が不鮮明になる時点のボケの程度については被験者の主観に左右される。さらに検査を繰り返す場合には、被験者自身もボケの程度の比較は記憶によるため、検査をくり返す毎に確認することが難しく再現性と客観性に乏しい。
【0006】
また、近点計の測定結果はcmやジオプターで表示され、被験者自身には分かり難い。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、近点計の測定を容易にし、視標のボケの発生点を客観的に確認できるようにするとともに、測定結果を年齢で表示することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は上記目的を達成するために近点計にミラーを用いて視標との測定距離を半分にする。
【0009】
また、第2の手段は測定用と比較用の二つの同じ視標を用いて、被験者が測定中に視標のボケの程度を比較してボケの発生時点を確認できるようにする。
【0010】
また、第3の手段は測定結果を年齢で表示する。
【0011】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。年齢とともに明視できる距離は遠くなるため、直線上での目と視標の測定距離は60歳では約60cmの長さのスケールが必要になるが、鏡を用いることにより近点計も半分の長さになる。これにより、手軽な携帯タイプの近点計にすることができる。
【0012】
また、第2の課題解決手段による作用は、ボケの判別が容易な同じ視標二つをスケールの上に直線上に重ねて設置する。下側の視標は測定用でその上側に比較用の視標を重ねるが、上側の比較用視標は下側の測定用視標よりも数cm後方すなわち被験眼から遠方に設置する。これにより、近くが先に見難くなる測定用視標のボケの発生点を、遠方の比較用視標とで比較しながら確認することができる。さらに、ボケの程度を繰り返し確認できるため再現性があり、また客観性がある。
【0013】
また、第3の課題解決手段による作用は、スケールの目盛りに年齢を表示することにより、老眼の進行だけでなく日常の眼の疲れなどの変化を知ることができる。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明の年齢計は、測定時の被験者のボケ発生点を容易に確認できるため客観性があり、眼科医院向けだけでなく家庭用としても利用されるものである。また、鏡を利用することで小型になり、個人用の年齢計として目の健康管理用にも使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0016】
図においては、1は板状の本体で、その上に測定用視標3と比較用視標4が固定されている。また、本体1の上をスライドするスライダー5に鏡2を取り付け、スライダー5には微調整ができる調節ネジ6を組み込んでいる。また、鏡2は上下左右に角度調整できる取り付け構造になっている。本体1の上面には目盛り7がついている。
【0017】
測定用視標3は本体1の披検眼側の端に固定され、その上に比較用視標4が重ねて固定されている。測定用視標3と比較用視標4は、図1のように本体1の幅中央の直線上に3センチの間隔をあけて設置される。測定用視標3と比較用指視標4の設置間隔は2〜4センチが有効である。視標は測定用視標3と比較用視標4とも同じ視標を使用する。
【0018】
以下、上記構成の使用方法を説明する。被験者は図2のように本体1を手で持って眼の下の頬骨に当てる。次に別の手で鏡2が乗っているスライダー5を移動させ、測定用視標3のボケが発生する時点を比較用視標4と比較して確認する。微調整が必要な場合には調節ネジ6を使用する。ボケの発生した時点が確認できたら、スライダー5にある測定ポイント(図示せず)で目盛り7の年齢値を読み取ることができる。
【0019】
測定用視標3と比較用視標4は、ボケの判別が容易な同じ形状の視標として図3のような形状の視標が有効であり、白抜きの円は直径3ミリで近距離視力表の0.15大となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】 本発明の実施形態を示す年齢計の外観の斜視説明図
【図2】 同使用状態の説明図
【図3】 同使用する視標例の拡大図
【符号の説明】
【0021】
1 本体
2 鏡
3 測定用視標
4 比較用視標
5 スライダー
6 調節ネジ
7 目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近点計の測定に鏡を使用して測定距離を2分の一に短縮するとともに、ボケの判別が容易な同じ形状の測定用と比較用の二つの視標を直線上に間隔をあけて設置することにより、被験者が不鮮明になる視標のボケの発生点を容易に確認することができ、また、その測定結果を年齢で表示する近点年齢計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−217817(P2012−217817A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94484(P2011−94484)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(592155061)株式会社セプト (5)
【出願人】(595161876)有限会社ノーベル医学研究所 (5)