説明

幹細胞バンクを提供するためのシステム及び方法

複数の幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞レジストリーを維持するための方法、コンピュータシステム及びコンピュータプログラム製品。ドナーを幹細胞レジストリーに登録する。ドナーからの幹細胞単位を特性決定する。特性決定によって得られた幹細胞単位に関する情報を、幹細胞レジストリーに記録する。複数のデータ・レコードを有するコンピュータ読み取り可能媒体。前記複数のデータ・レコード中の1以上の個々のデータ・レコードは、(i)幹細胞提供物に一意的に相当する採取識別番号、(ii)幹細胞提供物に関連する臍帯血球数及び(iii)幹細胞提供物に関連する胎盤血球数を含む。複数のデータ・レコードを含む別のコンピュータ読み取り可能媒体。前記複数のデータ・レコード中の1以上の個々のデータ・レコードは、(i)幹細胞提供物に関連する臍帯血球数、(ii)幹細胞提供物に関連する胎盤血球数及び(iii)幹細胞提供物中の少なくとも2幹細胞移植単位の表示を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年3月26日出願の米国仮特許出願60/556683号(発明の名称「幹細胞バンクを提供するためのシステム及び方法」)(参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする)の35U.S.C.119(e)下での恩恵を主張するものである。
【0002】
1.緒言
本発明は、単一ドナーから複数単位を有するという利点を実現可能な幹細胞バンク又は幹細胞製造設備の実行及び維持に関するものである。より詳細に本発明は、バンクへの個々の提供物が臍帯血、胎盤及び/又は他の入手源からの幹細胞の複数の移植単位を含む幹細胞バンクを容易にする方法、コンピュータシステム及びコンピュータプログラム製品に関する。同様に、本発明の方法、システム及び製品を用いて、移植及び他の診断的もしくは治療的細胞療法用の幹細胞をより効率的に獲得、処理、保管及び分配することができる。
【背景技術】
【0003】
2.1.幹細胞の利用
ヒト幹細胞の同定、単離及び生成にはかなりの関心が集まっている。ヒト幹細胞は、各種の成熟ヒト細胞系統を発生させる能力を有する全能性又は多能性前駆細胞である。この能力は、臓器及び組織の発達に必要な細胞の分裂及び特殊化の基礎となる。さらにそのような細胞は、骨髄移植(BMT)に用いられる。BMTは、化学療法抵抗性の悪性腫瘍及び遺伝性血液疾患を含む各種悪性及び遺伝性の疾患に多用される治療手段である。ある種の疾患(例:白血病及び特定の免疫不全症)においては、それが長期の患者生存のための唯一の認められた治療である。他の疾患(例:自己免疫疾患)においては、それが長期治癒の希望を提供し得るものであると考えられる。
【0004】
BMTが必要な場合、患者の家族はHLAが好適に適合する者であるか否かの試験を受ける。しかしながら、患者の兄弟姉妹が好適に適合する確率はわずか1/4である。家族の構成員が確認されない場合は、米国骨髄ドナープログラム(National Marrow Donor Program;NMDP)又はHLA適合の非血族志願者骨髄ドナーに関する同様の登録機関での調査を行うことができる。しかしながら、好適に適合する血縁のないドナーが見出される確率は、白人の場合には約30%と、他の人種群の場合よりかなり低い。さらに、調査プロセスには3〜6ヶ月間を要する可能性があり、非常に費用がかさむ場合が多い。志願者ドナーからの骨髄を用いることが可能であるが(それは非常に多くの場合で行われている)、このプロセスからは多くの重篤な副作用を生じる可能性がある。最も重篤な副作用は、移植片対宿主拒絶反応(GVHD)と称される状態であり、移植骨髄片中の細胞が患者を攻撃するものである。GVHDは、起こると主要な死亡原因となるものであり、非血族BMTにおいて当節の60〜90%で起こる。ドナー不足と高いGVHD発生率のため、研究者らは、移植用幹細胞の別の入手源に注目するようになっている。
【0005】
1980年代初期に始まった研究で、子供を出産した後の臍帯血、すなわち臍帯及び胎盤に残っている残留血液が、移植可能性に関して骨髄に匹敵するものであることが明らかになった。臍帯血は、骨髄に勝る多くの利点を提供するものである。米国において年間400万を超える出産があり、ドナーたり得る対象は実質的に無制限にいた。過去6年間にわたり、臍帯血の臨床的使用は、より多くの人種的少数者の患者が移植を受けることができるようになったこと、GVHDの発生率及び重度が大幅に低下したこと、そして移植のコストがBMTの場合よりかなり低くなったことを示していた。BMT利用に加えて、幹細胞を用いて、全てではなくとも多くの組織を再増殖させ、生理的及び解剖学的機能を回復させることが可能であることが、科学的証拠から示唆される。組織工学、遺伝子療法の実現及び細胞治療学における幹細胞の利用も急速に進歩している。
【0006】
2.2.幹細胞を得る方法
哺乳動物幹細胞は、各種入手源から得られてきた。例えば、胚幹細胞、胚生殖細胞、成人幹細胞その他の関係する幹細胞又は前駆細胞が知られている。ある種の幹細胞は、単離・特性決定されているだけでなく、限られた分裂が許容される条件下で培養もされている。しかしながら、多くの異なる所望の細胞型に分化する能力を有する十分な量及び群のヒト幹細胞を得ることがほとんど不可能であるという点で、基本的な問題が残っている。十分な量及び質の適合する幹細胞単位を提供することは、悪性腫瘍、代謝の先天異常、異常血色素症及び免疫不全症を含む非常に多様な障害の治療においてこれらら重要であるにも拘わらず、解決すべき問題として残されている。
【0007】
臍の尾の血液(「臍帯血」)は、血族及び非血族の同種造血幹細胞(HSC)/前駆細胞(HPC)移植のための他の造血前駆細胞源(例:骨髄及び動員末梢血)に対する有望な代替供給源である。例えば、ブロクスマイヤーらの報告(Broxmeyer et al., 2003, PNAS 100, 645-650)を参照する。例えば、臍帯血からの幹細胞は、骨髄及び他の関連する移植で用いられる広く使用される治療手段である造血再建で用いるのに、通常は凍結保存される。例えばボイズ(Boyse)らの米国特許第5004681号「血液の胎児及び新生児の造血幹細胞及び前駆細胞の保存」;ボイズらの米国特許第5192553号「血液の胎児及び新生児の造血幹細胞及び前駆細胞の単離及び保存ならびに治療的使用方法」を参照する。実際、機能性造血前駆細胞及び幹細胞の高効率の回収が、15年間凍結保存されたヒト臍帯血から得られている。例えば、ブロクスマイヤーらの報告(Broxmeyer et al., 2003, PNAS 100, 645-650)を参照する。
【0008】
臍帯血採取の従来の技術は、針又はカニューレの使用に基づくものであり、それを重力の助けを借りて用いて、胎盤(1993年3月9日発行のボイズらの米国特許第5192553号;1991年4月2日発行のボイズらの米国特許第5004681号;1994年12月13日発行のアンダーソン(Anderson)の米国特許第5372581号(発明の名称「胎盤血採取の方法及び装置」);1995年5月16日発行のハッセル(Hessel)らの米国特許第5415665号(発明の名称「臍帯のクランプ留め、切断及び採血装置及び方法」)から臍帯血を抜き取る(例:失血)。その針及びカニューレは通常、臍静脈に挿入され、胎盤を優しくマッサージして、胎盤からの臍帯血の抜き取りを助ける。
【0009】
臍帯血からの幹細胞獲得の主要な制限は、得られる臍帯血の量が不十分である場合が非常に多いために、移植後に効率的に骨髄を再建する上で細胞数が不十分になるというものであった。ある研究が、培養技術を用いるそのような細胞群の増殖に踏み込んでいるが、幹細胞群のそのようなエクス・ビボ増殖に関して現在利用可能な方法の欠点は、その技術が労働集約型で時間を要し、多くの場合高額であって、幹細胞の収率が低い結果に終わる可能性があるという点である。
【0010】
当業界における欠陥に対処するため、臍帯血から回収された幹細胞の増殖に関して、別の幹細胞源に注目が集まるようになった。例えば、ハリリ(Hariri)(2002年8月22日にWO02/064755A2として公開されているPCT特許出願PCT/US02/04282(発明の名称「分娩後哺乳動物胎盤、それの使用及びそれからの胎盤幹細胞」)及び2002年6月13日公開のPCT/US01/46506(発明の名称「胎盤幹細胞の採取方法」))は、産後失血ヒト胎盤から多能性又は多分化能幹細胞(これらに限定されるものではない)を含む胎性様幹細胞を抽出及び回収する方法について記載している。ハリリにおいては、失血した胎盤を好ましくは抗凝血剤溶液で潅流することで残留細胞を流し出すことによって胎盤を処理して、残留臍帯血球ならびに他の胎盤細胞を除去する。失血胎盤からの残留細胞及び潅流液を回収し、胎性様幹細胞を残留細胞及び潅流液から分離する。米国公開番号2002/0123141A1として2002年9月5日に公開された米国特許出願番号10/004942は、残留臍帯血球ならびに他の胎盤細胞を除去する処理を行った胎盤から胎性様幹細胞を採取する方法を提供する。その方法では、臍帯血を抜き取った胎盤を、抗凝血剤潅流溶液及び/又は生理食塩水溶液などの他の種類の潅流液で潅流することで、排液後胎盤から残留細胞及び胎性様幹細胞を流し出す。場合によっては、30分〜5時間、1時間〜4時間、又は4時間より長い時間にわたって潅流液での胎盤の潅流を行う。1実施形態においては、胎盤を約2時間潅流する。次に、排液後胎盤からの残留細胞及び胎性様幹細胞及び潅流溶液を回収する。米国公開番号2003/0032179A1として2003年2月13日に公開された米国特許出願番号10/076180には、6〜24時間にわたって単離哺乳動物胎盤をインキュベートして胎盤から胎性様幹細胞及び他の多分化能幹細胞を得る条件が記載されている。しかしながら、一部の実施形態では、胎盤はインキュベートされていない。これらの方法は、独特のものであるだけでなく、通常は廃棄されると考えられる胎盤及び他の組織を利用することで、年間400万例を超える米国での成功出産を活用するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
2.3.幹細胞バンク
幹細胞の獲得及び使用における進歩の結果、そのような細胞を保存するための、幹細胞バンクとも称される保存集積所が必要になってきた。知られている幹細胞バンクは、プライベートバンクとパブリックバンクという2つのカテゴリーに分類することができる。プライベートバンク(例えば、家族バンク)は、ドナーの家族のための回収幹細胞を保存し、1単位の提供幹細胞を必要に応じてドナーの家族に戻す形で提供するものである。パブリックバンクは、貧しい被提供者との遺伝子適合に基づいて一般の人々に血液型判定された匿名の移植単位を提供することを目的として設立されたものである。臍帯血バンクに関係する各種倫理上の問題についての概論に関しては、シュガーマンらの報告(Jeremy Sugarman et al., ″Ethical Aspects of Banking Placental Blood for Transplantation,″ 274 JAMA 22, pp. 1783-85, Dec., 13, 1995.)がある。さらに、ムーア(Moore)らは(米国特許第5993387;発明の名称「胎盤及び臍帯幹細胞のコンピュータによる複合利用レジストリー」)、血液型判定された匿名の移植単位と家族限定使用の両方及び臍帯幹細胞単位の保持が可能な複合使用幹細胞バンクを開示している。
【0012】
既知の幹細胞バンクは重要な機能を果たしているが、それらには欠点がある。そのようなバンクは、特定の条件が満足されたら、患者に対して全臍帯血単位を提供するよう設計されている。臍帯血単位は、単一の胎盤及び臍帯から採取された血液である。例えば、2003年に米国下院及び米国上院の両方に提出された2003年の臍帯血幹細胞法を参照する。臍帯血単位を患者に投与する上で満足しなければならない条件は、血液バンク独自のものである。例えば、幹細胞バンクがプライベートバンクであれば、ドナーは臍帯血単位を患者に提供することを承認しなければならず、代表的にはこの患者はドナーと家族関係を有するものである。パブリック幹細胞バンクの場合、ドナーと被提供者との間のヒト白血球抗原の適合などの具体的なスクリーニング基準を用いて、臍帯血単位を患者に投与するか否かを決定する。従って、幹細胞バンクが被提供者に対して臍帯血単位を提供したら、その幹細胞バンクはもはや、後日に同じ患者又は別の患者を治療するのに正確な提供単位の特性を有する十分な量の血液を持たないことになる。一部の幹細胞バンクは、クローン増殖技術を用いて提供検体中の有核細胞の数を大幅に増加させることで、当業界におけるこの問題を改善することを考えてきた。本明細書で使用される場合、細胞群(例:提供検体)中の有核細胞(例:幹細胞)数の大幅な増加とは、その群中における有核細胞数における25%以上の増加と定義することができる。
【0013】
全臍帯血単位(又はほぼ全臍帯血単位)を被提供者のところに輸送することは、多くの理由で不十分なものである。例えば、パブリック幹細胞バンクでは、それを行うと幹細胞単位の幹細胞バンクが枯渇することから、バンクにおける血液単位の多様性が低下し、その結果として、良好な適合がその後の患者に見出される確率が低下することになる。プライベートの家族幹細胞バンクの場合、全臍帯血単位のある家族構成員に提供を行うと、良好な適合特性(例:HLA型)を有する可能性のある幹細胞の枯渇のために、他の家族構成員はその恩恵が受けられないことになる。さらに、患者が2回目の移植を必要とし、最初の移植で用いられた細胞と自律的(autonomous)である(例えば、同一ドナーから)その2回目の移植用の十分な別の幹細胞を保持することが有用であると考えられる場合が多くある。しかしながら、全臍帯血単位の提供を行うことにはかなりの欠点があるが、患者は従来から、悪性腫瘍を治そうとするのに十分な幹細胞を得るために、全臍帯血単位を必要としてきたことから、今日までのところ、それはほぼ避けられないものであった。しかしながら、臍帯から得られた幹細胞に胎盤潅流液を補給するハリリ(WO 02/064755A2として2002年8月22日に公開のPCT特許出願/US02/04282)が開示しているものなどの幹細胞採取の分野での発達によって、単一のドナーから採取可能な幹細胞数が、そのようなドナーから採取される全単位を一人の患者に割り当てることがもはや必要なくなるレベルまで増加している。単一ドナーからの臍帯血単位中の幹細胞数を大幅に増加させる幹細胞採取における進歩があっても、臍帯血単位を複数の単位に分けて、複数の単位中の個々の単位がその個々の単位をほとんどクローン増殖させることなく患者を治療するのに十分なものとなり、次に複数単位のうちの1以上の単位を患者に提供しながら、しかもそのような単位のクローン増殖をほとんど行う必要なく、同一もしくは異なる患者の治療用に前記複数単位中の1以上の単位を保持する方法は、幹細胞バンクによって提供されていない。本発明は一部において、公知技術に存在する上記及び他の欠点を取り扱うものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、幹細胞バンクが幹細胞の個々の移植単位を患者に提供できるようにするシステム及び方法を含むものである。有利には、そのような幹細胞移植単位は、単一のドナーからのものであることができる。さらに本発明は、患者プロファイル、免疫学的検査、ハプロタイプ判定などを含む非常に重要な医学データへのアクセスを維持しながら、依頼者の匿名性を維持するシステム及び方法を提供する。
【0015】
3.1.複数の幹細胞移植単位の提供
本発明の1実施形態は、複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞レジストリーを維持する方法を提供する。その方法では、ドナーを幹細胞レジストリーに登録し、そのドナーからの幹細胞単位の特性を決定する。次に、前記特性決定段階によって得られた幹細胞単位についての情報を幹細胞レジストリーに記録する。一部の実施形態では、前記幹細胞単位は、単一ドナーからの複数の幹細胞移植単位を含む。
【0016】
一部の実施形態において、幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核幹細胞数は、患者の体重及びそのような患者に分配される患者体重kg当たりの細胞数の関数である。他の実施形態では、幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核幹細胞数は、患者体重の関数ではない。むしろ、そのような実施形態では、患者体重その他の患者の特徴を用いて、患者に提供される幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)数を求める。本発明の一部の実施形態では、各幹細胞移植単位は、150×10〜10000×10個の有核細胞、300×10〜5000×10個の有核細胞、又は500×10〜3000×10個の有核細胞を含む。そのような各幹細胞移植単位は、等しく分割された単位である必要はない。
【0017】
幹細胞レジストリーが構築されたら、患者の型に関する情報(例えば、HLA型)を受け取り、適合型情報を有する幹細胞単位に関して前記複数の幹細胞単位を検索するための基礎として用いる。レジストリー中の幹細胞単位と患者との間に適合が認められたら、その適合する幹細胞単位からある数の幹細胞移植単位がその患者に割り当てられる。さらに、レジストリー中で利用可能な適合幹細胞単位の幹細胞移植単位数が、患者に割り当てられる幹細胞移植単位数だけ減算される。代表的な実施形態では、1単一幹細胞移植単位のみが患者に割り当てられる。
【0018】
場合によっては、幹細胞移植単位中の有核細胞数は、患者の体重の関数ではない。そのような実施形態では、適合幹細胞単位から患者に割り当てられる幹細胞移植単位数が、各提供幹細胞移植単位中の有核幹細胞数及び患者体重(又は疾患の種類、疾患の状態、年齢などの患者の何らかの他の特徴)の関数となり得る。そのような実施形態による幹細胞移植単位の例には、150×10〜10000×10個の有核細胞、300×10〜5000×10個の有核細胞、又は500×10〜3000×10個の有核細胞などがある。
【0019】
一部の実施形態では、ドナーは哺乳動物であり、ドナーからの幹細胞単位は、失血及び潅流を行ったドナーの産後胎盤から得られた幹細胞を含む。一部の実施形態では、ドナーからの幹細胞単位は、ドナーの失血及び潅流された産後胎盤に加えて、ドナーの臍帯血から得られた幹細胞を含む。さらに、ドナーの臍帯血からの幹細胞は、1以上の幹細胞移植単位を形成しており、ドナーの産後胎盤から得られた幹細胞は1以上の異なる幹細胞移植単位を形成している。一部の実施形態では、幹細胞レジストリーは少なくとも100幹細胞単位、又はより好ましくは少なくとも1000幹細胞単位を有する。
【0020】
本発明の一部の実施形態では、ドナーは幹細胞を保存するための料金を支払う。そのようなドナーは、プライベートドナーとして参照することができる。その後、幹細胞単位に関して、プライベートドナー又はプライベートドナーの家族構成員から要請を受ける。次に、少なくとも2幹細胞移植単位中の1以上の幹細胞移植単位が、プライベートドナー又はプライベートドナーの家族構成員に割り当てられる。次に、幹細胞単位中の残っている幹細胞移植単位を、プライベートドナー又はプライベートドナーの家族が将来使用するために予約しておく。一部の実施形態では、ドナーは幹細胞を提供するのに料金を支払わない。そのような場合、ドナーはパブリックドナーであり、ドナー以外の患者がそのドナーの細胞を使用することができる。好ましい実施形態では、割り当てられる幹細胞移植単位は、臍帯血からの1幹細胞移植単位及び胎盤からの1幹細胞移植単位を含む。別の好ましい実施形態では、割り当てられる幹細胞移植単位は、臍帯血からの1幹細胞移植単位及び胎盤潅流液からの幹細胞と混合された臍帯血を含む1幹細胞移植単位を含む。幹細胞移植単位が完全に胎盤潅流液から得られる実施形態では、幹細胞移植単位を胎盤幹細胞移植単位と称することで、幹細胞の入手源が胎盤であったことを示すことができる。
【0021】
本発明の別の態様は、コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品を提供する。そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を含む。そのコンピュータプログラム機構は、複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞データベース及び幹細胞トラッキングモジュールを有する。前記幹細胞トラッキングモジュールには、幹細胞データベースにドナーを登録する命令、ドナーからの幹細胞単位の特性決定を受け取る命令、及び幹細胞単位に関する情報を幹細胞データベースに記録する命令を含むデータ入力ルーチンを含む。この情報には、複数の胎盤幹細胞移植単位、又はより一般的には幹細胞単位中の複数の幹細胞移植単位に関する情報などがある。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞データベース及び幹細胞トラッキングモジュールを有するコンピュータシステムを提供する。そのコンピュータシステムは、1以上のコンピュータを有する。前記幹細胞トラッキングモジュールには、幹細胞データベースにドナーを登録する命令、(ii)ドナーからの幹細胞単位の特性決定を受け取る命令、及び(iii)幹細胞単位に関する情報を幹細胞データベースに記録する命令を含むデータ入力ルーチンを含む。この情報には、幹細胞単位中の複数の幹細胞移植単位に関する情報などがある。
【0023】
3.2.ドナー匿名性の維持
個々の幹細胞提供物が複数用量を含むレジストリーを提供することに加えて、本発明は、依頼者匿名性を維持する方法を提供する。それは、顧客関係管理(CRM)アプリケーション及び臨床検査室情報管理システム(LIMS)アプリケーションという2つのアプリケーションを有するシステムを用いることで行われる。CRMアプリケーションは、ドナー氏名、ドナー接触情報、ドナーの親の氏名及びドナーの親の接触情報ならびに病歴記録を含むドナーに関する情報を維持するものである。CRMアプリケーションはさらに、一意的にドナーと関連付けられている採取識別番号を記憶するものである。しかしながらCRMアプリケーションは、感染性疾患結果及びHLA血液型などの幹細胞特性決定情報を記憶するものではない。むしろ、電子的(パスワード/許可)又は物理的(別のネットワーク/建物)手段によってCRMアプリケーションから分離されたLIMSアプリケーションが幹細胞特性決定情報を維持する。LIMSアプリケーションは、患者氏名を追跡するものではなく、患者氏名にアクセスすることはできない。むしろ、提供は採取識別番号によって追跡される。このようにして、デリケートな内容のアッセイ結果を入力する臨床検査室担当者は、その担当者が特別なアクセス権限を認められていない限り、ドナーの確認を行うことはできない。さらに、CRMアプリケーションの管理者は、LIMSアプリケーション上の臨床検査結果にアクセスすることはできない。
【0024】
一部の実施形態において、CRMアプリケーション及びLIMSアプリケーションはそれぞれ、異なるサーバー手段がホストとなっている。
【0025】
本発明のこの態様による本発明の1実施形態は、コンピュータシステムとともに用いられるコンピュータプログラム製品を含むものである。そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体及びその中に組み込まれたコンピュータプログラム機構を有する。コンピュータプログラム機構は、複数のドナーに関する情報を含む顧客関係管理データベースならびに顧客関係管理アプリケーションを有する。顧客関係管理アプリケーションは、(i)顧客関係管理データベースにドナーを登録する命令及び(ii)採取識別番号をドナーに割り当てる命令を含む。コンピュータプログラム機構はさらに、複数の幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース及び情報を幹細胞データベースに入力するためのデータ入力ルーチンを含む幹細胞トラッキングモジュールを含む。このデータ入力ルーチンには、(i)ドナーに関する採取識別番号を受け取る命令及び(ii)ドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令などがある。一部の実施形態では、特性決定データには、ドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データなどがある。
【0026】
一部の実施形態では、少なくとも2つの異なる取得源のうちの第1の取得源はドナーの臍帯血であり、少なくとも2つの異なる取得源のうちの第2の取得源はドナーの胎盤である。一部の場合で、幹細胞を得るために、胎盤は失血及び潅流されたものである。一部の実施形態において、顧客関係管理データベースには、複数ドナー中の各ドナーに関する個々のデータ入力が含まれる。そのような各データ入力は、ドナーの氏名、ドナー接触情報、ドナーに関連する採取識別番号、臍帯血球数及び胎盤血球数を含む。一部の実施形態では、幹細胞データベースは、複数ドナー中の各ドナーに関する個々のデータ入力を含み、各個々のデータ入力はドナーに関連する採取識別番号、ドナーの第1の取得源からの幹細胞の特性決定データ及びドナーの第2の取得源からの幹細胞の特性決定データを含む。
【0027】
一部の実施形態では、顧客関係管理データベース又は幹細胞データベースは、フラットファイル、リレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース又は階層オンライン解析処理データキューブである。一部の場合、顧客関係管理データベース又は幹細胞データベースは、明確に規定された階層を持たない。一部の実施形態において、顧客関係管理データベース又は幹細胞データベースはリレーショナルスタースキーマを含む。
【0028】
本発明の一部の実施形態において、臨床検査室情報管理システムにはさらに、(i)患者の型情報を受け取る命令及び(ii)その患者の前記型情報(例:HLA血液型)と適合する型情報を有する幹細胞単位に関して、前記複数の幹細胞単位を検索する命令が含まれる。一部の実施形態では、臨床検査室情報管理システムはさらに、検索権限を受け取る命令及び検索権限を受け取っていない時点で検索を行わない命令を含む。一部の実施形態では、前記複数の幹細胞単位中の1幹細胞単位と患者との間に適合が認められる場合、その方法はさらに、その適合する幹細胞単位がパブリックである場合には、適合する幹細胞単位又はその適合する幹細胞単位からの幹細胞移植単位を患者に対して認可する段階を有する。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態は、中央処理装置、リモートコンピュータと通信するためのネットワークインターフェースカード及び中央処理装置と連結されているメモリーを有するコンピュータシステムを提供する。このメモリーは、複数のドナーについての情報を含む顧客関係管理データベースを記憶するものである。顧客関係管理アプリケーションには、(i)顧客関係管理データベースにドナーを登録する命令、(ii)一意的に採取識別番号をドナーに関連付ける命令、及び(iii)リモートコンピュータがホストとなっている幹細胞トラッキングモジュールに採取識別番号を伝送する命令が含まれる。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態は、中央処理装置、リモートコンピュータと通信するためのネットワークインターフェースカード及び中央処理装置に連結されたメモリーを有する。メモリーは、複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞データベース及び幹細胞トラッキングモジュールを記憶する。幹細胞トラッキングモジュールは、(i)採取識別番号が一意的にドナーに関連付けられるようにリモートコンピュータから採取識別番号を受け取る命令、(ii)特性決定データがドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データを含むようにドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令、及び(iii)ドナーからの幹細胞単位の特性決定データで幹細胞トラッキングモジュールの更新を行う命令を含むデータ入力ルーチンを含む。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態は、中央処理装置、リモートコンピュータと通信するためのネットワークインターフェースカード及び中央処理装置と連結されたメモリーを有する。そのメモリーは、複数の胎盤幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース及び幹細胞トラッキングモジュールを記憶するものである。幹細胞トラッキングモジュールには、(i)採取識別番号が一意的にドナーと関連付けられるようにリモートコンピュータから採取識別番号を受け取る命令、(ii)ドナーからの複数の胎盤幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令、及び(iii)ドナーからの胎盤幹細胞単位の特性決定データで幹細胞トラッキングモジュールを更新する命令を含むデータ入力ルーチンが含まれる。
【0032】
3.3.コンピュータ読み取り可能媒体に格納されている情報
本発明の一部の実施形態は、幹細胞バンクを円滑化するのに用いられるコンピュータ読み取り可能媒体に格納されている新規な情報を提供する。例えば、本発明の1実施形態は、幹細胞バンクにおける依頼者匿名性を維持するのに用いることができるコンピュータ読み取り可能媒体に格納されている情報を提供する。本発明のこの実施形態の1例は、コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品である。そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有する。そのコンピュータプログラム機構は、複数のデータ・レコードを含む。前記複数のデータ・レコード中の1以上の個々のデータ・レコードは、(i)一意的に幹細胞提供物に相当する採取識別番号、(ii)その幹細胞提供物に関連する臍帯血球数及び(iii)その幹細胞提供物に関連する胎盤血球数を含む。一部の場合で、幹細胞提供物は哺乳動物を取得源とするものであり、胎盤血球数は、胎盤を失血及び潅流した後にその哺乳動物の産後胎盤から得た細胞数を表す。
【0033】
本発明の別の実施形態は、個々の提供物が複数の幹細胞移植単位を含む臍帯血バンクを実施可能とするのに用いられるコンピュータ読み取り可能媒体に格納されている情報を提供する。この実施形態の1例は、コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品である。そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有する。そのコンピュータプログラム機構は、複数のデータ・レコードを含む。前記複数のデータ・レコード中の1以上の個々のデータ・レコードは、(i)幹細胞提供物に関連する臍帯血球数、(ii)その幹細胞提供物に関連する胎盤血球数及び(iii)前記幹細胞提供物における少なくとも2つの幹細胞移植単位の指標を含む。一部の実施形態では、前記幹細胞提供物は、哺乳動物由来のものであり、胎盤血球数は胎盤が失血及び潅流された後の哺乳動物の産後胎盤から得られた細胞数を表す。
【0034】
3.4.定義
本明細書で使用される場合、「同種細胞」という用語は、胎盤以外の臓器又は組織由来の「異質」細胞、すなわち異種細胞(すなわち、胎盤ドナー以外の入手源由来の「非自己」細胞)又は自家細胞(すなわち、胎盤ドナー由来の「自己」細胞)を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「臍帯血由来幹細胞」という用語は、別段の具体的な記述がない限り、臍帯血由来前駆細胞を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「臍帯血単位」という用語は、単一ドナーの単一胎盤及び臍帯から採取された血液を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、胎盤に関して使用される場合の「失血」又は「失血」という用語は、胎盤から実質的に全ての血液を除去及び/又は排出することを指す。本発明によれば、胎盤の失血は、例えば(限定するものではないが)排廃、重力誘発の流出、マッサージ、絞り、ポンプ排出などによって行うことができる。好ましい実施形態では、胎盤の失血はさらに、胎盤の失血を助けるために抗凝血剤などの薬剤を含んでいても含んでいなくても良い流体で胎盤を潅流、洗浄又は洗い出しすることで行うことができる。
【0038】
本明細書で使用される場合、「潅流する」又は「潅流」という用語は、臓器又は組織を覆う又はそれを通過する流体の注入又は通過の行為、好ましくはあらゆる残留細胞、例えば臓器又は組織からの付着していない細胞を除去するだけの力又は圧力で臓器又は組織に流体を通過させる行為を指す。本明細書で使用される場合、「潅流液」という用語は、臓器又は組織の流体通過後に回収されるその流体を指す。本発明及び潅流技術の範囲内で使用される潅流液については、2002年2月13日出願の米国特許出願10/076180号(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0039】
本明細書で使用される場合、「胎盤幹細胞移植単位」という用語は、(a)胎盤幹細胞単位のいずれかの部分又は(b)全胎盤幹細胞単位である。ただし、その胎盤幹細胞単位の部分又は全胎盤幹細胞単位は、治療上有効量の幹細胞を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「胎盤幹細胞単位」は、失血胎盤に由来している単一ドナーからの幹細胞を含む群を指す。具体的には、多子出産の場合、複数の幹細胞群が単一ドナーからの複数の胎盤から得ることが可能であることが考えられる。失血胎盤由来である単一ドナーからの幹細胞を含む群は、例えば2002年2月13日出願の米国特許出願10/076180号及び2001年12月5日出願の米国特許出願10/004942号(これらはいずれも、引用によってその全内容が本明細書に組み込まれる)に開示の方法によって得ることができる。
【0041】
本明細書で使用される場合、「前駆細胞」という用語は、分裂して特有の種類の細胞となったり、又は特有の種類の組織を形成する細胞を指す。
【0042】
本明細書で使用される場合、「幹細胞」という用語は、分化して組織及び臓器の特殊な細胞を形成することができる万能細胞を指す。幹細胞は、発達的に多能性又は多分化能細胞である。幹細胞は分裂して、2個の娘幹細胞又は1個の娘幹細胞と1個の前駆(「移行」)細胞を生ずることができ、次にそれが増殖して、組織の成熟して完全に形成された細胞となる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「幹細胞移植単位」という用語は、(a)幹細胞単位のいずれかの部分又は(b)全幹細胞単位である。ただし、その幹細胞単位の部分又は全幹細胞単位は治療上有効量の幹細胞を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「幹細胞単位」とは、例えば失血胎盤、臍帯血、胎児組織、骨髄、又は幹細胞を得ることができる単一ドナーからの他の組織もしくは他の臓器などの単一患者入手源由来である、単一ドナーからの幹細胞を含む群を指す。
【0045】
本明細書で使用される場合、「治療上有効量の幹細胞」とは、例えば(a)患者に投与した時にあらゆる種類の移植を行う上で十分な量又は(b)患者に投与した時に造血再建を行う上で十分な量など、生理的効果を生じさせる上で十分な量の幹細胞である。
【0046】
4.図面の簡単な説明
本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点について、本発明の例示的な実施形態(それらに限定されるものではない)により、図面を参照しながら、下記の詳細な説明でさらに詳しく説明するが、類似の参照番号は、いくつかの図面を通じて本発明の類似の部分を表すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本発明の1実施形態は、ある所定のドナーから複数の幹細胞移植単位を採取する方法に関するものである。そのような採取方式の利点は、その所定のドナーからの幹細胞の一部を患者に提供しながら、その所定のドナーの元の幹細胞提供物の部分を保持することが可能であるという点である。
【0048】
別の利点は、以前の従来の臍帯血のみのバンキングの場合より多くの有核細胞を患者が利用可能であるという点である。次に、上記で言及した保持された部分を、患者の兄弟姉妹、患者の他の家族構成員、又は実際には最初の患者と血縁関係がない他の患者の治療等の他の有用な目的に用いることができる。
【0049】
本発明の別の実施形態は、ドナー匿名性を提供するものである。そのような実施形態では、臨床検査室情報管理システム(LIMS)アプリケーションが、ヒト免疫不全症ウィルス(HIV)状況などの幹細胞提供物に関するアッセイ試験結果を記録するが、患者の氏名その他の特徴は記録しない幹細胞データベースを提供する。むしろ、各提供物に採取識別番号を割り当てる。別個に、顧客関係管理(CRM)アプリケーションが、氏名及び住所などのドナー情報を記憶する。CRMアプリケーションはまた、採取識別番号も記憶する。従って、CRMアプリケーションユーザーは、採取識別番号を用いてLIMSアプリケーションが記憶している極秘のアッセイ結果にアクセスすることができる。しかしながら本発明では、CRMアプリケーションによるLIMSアプリケーションへのアクセスは制限される。このようにして、患者匿名性は守られる。
【0050】
5.1.全般的構成
図1及び2は、上記機能性を支持するシステム10を詳細に説明するものである。システム10は好ましくは、臨床検査室情報管理システムアプリケーションのホストとなるコンピュータシステム4(図1);及び
顧客関係管理アプリケーションのホストとなるコンピュータシステム82(図2)
を含む。
【0051】
コンピュータシステム4は好ましくは、
・中央処理装置22;
・主不揮発性記憶装置30、例えばソフトウェア及びデータを記憶するためのハードディスクドライブ(記憶装置30は、記憶制御装置28によって制御される);
・不揮発性記憶装置30からロードされたプログラム及びデータを含むシステム制御プログラム、データ及びアプリケーションプログラムを記憶するためのシステムメモリー24、好ましくは高速ランダムアクセスメモリー(RAM)(システムメモリー24は、読込専用メモリー(ROM)を含むこともできる);
・1以上の入力装置(例えばキーボード8、マウス36)及びディスプレイ38その他の出力装置を含むユーザーインターフェース26;
・何らかの有線又は無線通信ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースカード29;及び
・システムの上記構成要素を相互に接続するための内部バス34
を含む。
【0052】
コンピュータ4の操作は主として、中央処理装置22によって実行されるオペレーティングシステム40によって制御される。オペレーティングシステム40は、システムメモリー24に記憶させることができる。代表的な実行では、システムメモリー24は、
・オペレーティングシステム40;
・本発明によって用いられる各種のファイル及びデータ構造へのアクセスを制御するためのファイルシステム42;
・ドナーからの幹細胞特性決定データを受け取るための、臨床検査室情報管理システム(LIMS)アプリケーションとも称される幹細胞トラッキングモジュール44;
・複数の幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース52;
・幹細胞トラッキングモジュール44(LIMSアプリケーション)と顧客関係管理アプリケーション(CRMアプリケーション)の間での情報の通信を容易にするための変換インターフェース80
を含む。
【0053】
コンピュータシステム82は好ましくは、
・中央処理装置222;
・主不揮発性記憶装置230、例えばソフトウェア及びデータを記憶するためのハードディスクドライブ(記憶装置230は、記憶制御装置228によって制御される);
・不揮発性記憶装置230からロードされたプログラム及びデータを含むシステム制御プログラム、データ、及びアプリケーションプログラムを記憶するための、システムメモリー224、好ましくは高速ランダムアクセスメモリー(RAM)(システムメモリー224は、読込専用メモリー(ROM)を含むこともできる);
・1以上の入力装置(例えばキーボード208、マウス236及び/又はタッチスクリーンディスプレイ)及びディスプレイ238その他の出力装置を含むユーザーインターフェース226;
・何らかの有線又は無線通信ネットワークに接続するためのネットワークインターフェースカード229;及び
・システムの上記要素を相互に接続するための内部バス234
を含む。
【0054】
コンピュータ82の操作は主として、中央処理装置222によって実行されるオペレーティングシステム240によって制御される。オペレーティングシステム240は、システムメモリー224に記憶させることができる。代表的な実行では、システムメモリー224は、
・オペレーティングシステム240;
・本発明によって使用される各種のファイル及びデータ構造へのアクセスを制御するためのファイルシステム242;
・ドナーを登録するための顧客関係管理アプリケーション244;及び
・複数のドナーについての情報を含む顧客関係管理データベース250
を含む。
【0055】
システム10の好ましい実施形態において、幹細胞トラッキングモジュール44及び顧客関係管理アプリケーション244は異なるコンピュータ(例:コンピュータ4及び82)に記憶されている。他の実施形態ではシステム10は、単一のコンピュータを有しており、幹細胞トラッキングモジュール44、幹細胞データベース52、CRMアプリケーション244及びCRMデータベース250がいずれも同一のコンピュータ上にある。実際に本発明は、これらの構成物のいずれの物理的位置にも拘束されるものではない。従って、幹細胞トラッキングモジュール44、幹細胞データベース52、CRMアプリケーション244及びCRMデータベース250はそれぞれ独立に同一又は異なるコンピュータ上にあっても良く、各構成物が1以上のコンピュータ上にあっても良い。
【0056】
図1及び2に示したように、システム10には1以上のデータベース(例:データベース52及びデータベース250)がある。これらのデータベースは、フラットファイル、リレーショナルデータベース(SQL)及びオンライン解析処理(OLAP)データベース(MDX及び/又はそれの変形形態)を含む(それらに限定されるものではない)、あらゆる形態のデータ記憶システムを含むものである。一部の特定の実施形態では、データベース52及び/又はデータベース250は階層OLAPキューブである。一部の特定の実施形態では、データベース52及び/又はデータベース250は、キューブとして記憶されていないが、階層を規定する寸法表を有するスタースキーマを含む。さらに、一部の実施形態では、データベース52及び/又はデータベース250は、基礎となるデータベース又はデータベーススキーマ(例えば、寸法表は階層的に配置されているわけではない)に明瞭に発生しない階層を有する。一部の実施形態では、幹細胞データベース52及びCRMデータベース250の両方の前記で説明した機能を含む単一データベースのみがある。代表的な実施形態では、データベース52及び/又はデータベース250については、個々のコンピュータ4及び82はホストとはならない。むしろ、これらのデータベースは、ネットワークインターフェースを介してこれらのコンピュータによってアクセスされる。セクション5.8には、幹細胞データベース52及び/又はCRMデータベース250に関するアーキテクチャの例を説明している。
【0057】
図1及び2に示したモジュールのうちの多くをリモートコンピュータ上に置くことができることは明らかであろう。例えば、本願の一部の実施形態は、ウェブサービス型実行である。そのような実施形態では、幹細胞トラッキングモジュール44及び/又はCRMアプリケーションは、ネットワーク(不図示)を介してコンピュータ4及び/又はコンピュータ82と通信している依頼者コンピュータ上にあっても良い。一部の実施形態では、幹細胞トラッキングモジュール44及び/又はCRMアプリケーションは双方向ウェブページであることができる。一部の実施形態では、図1及び2に示したデータベース及びモジュールは単一のコンピュータ上にあり、他の実施形態では、これらのデータベース及びモジュールはいくつかのコンピュータの間にある。これらの構成要素がネットワークその他の電子的手段を介して互いに関してアドレス可能である限り、いずれの配置も本発明の範囲に含まれる。従って、本発明は広範囲のコンピュータシステムを完全に包含するものである。
【0058】
以上、本発明の1実施形態によるシステム10の概要について説明したが、本発明の各種の有利な方法を、下記のセクションに開示する。
【0059】
5.2.ドナーの登録及び幹細胞単位の採取
図3には、本発明の1実施形態によるドナー及び適宜にドナー家族の登録方法を示している。
【0060】
段階302
段階302では、CRMアプリケーション244を用いてドナーを登録する(図2).一部の場合で、そのような登録は子供が生まれる前に行う。本発明の一部の実施形態は、家族が幹細胞バンクに登録し、その新生児から採取される幹細胞の採取及び保管に対して料金を支払うプライベートバンキングサービスを提供する。
【0061】
登録時に、CRMアプリケーション244のデータ入力ルーチン246を用いて、CRMデータベース250に、ドナー家族となり得る者についてのドナー記録252が作成される。記録252を完成させるのに必要な情報の一部は登録時に提供され、ドナーの乳児の性別などの他の情報は登録時にはまだわかっていない可能性がある。
【0062】
登録時には、各ドナーとなり得る者に、採取したら幹細胞単位に関連するようになる一意的な採取識別番号258が提供される。登録時にドナー家族は、検索及び可能な使用に関して幹細胞単位を公衆が利用できるものとするか否かを選択することができる。そのような選択は、ドナー記録の申込情報272部分に記憶される。例えば、その提供物が「利用可能」であるという表記を、申込情報フィールド中で「イエス」に設定することができ、それ以外の場合に、その提供物がドナーの家族が料金を払っているプライベート提供物である場合には、そのようなフラッグを「ノー」に設定する。
【0063】
記録252に保存される別の情報は、変動しても良い。しかしながら、本発明の1実施形態では、そのような情報には、ドナー名254、ドナー接触情報256(例えば住所、電話番号など)、ならびにドナーの母親の氏名260及びその母親の接触情報などがある。記録252はさらに、ドナーの父親の氏名及びその父親の接触情報を含んでいても良い。一部の実施形態では、記録252はさらに、ドナーからの幹細胞単位が幹細胞バンクに保管されている期間にわたって、ドナー、ドナーの母親及び可能であればドナーの父親の健康状態の追跡を可能とするフィールドを含んでいる。
【0064】
記録252は最終的には、総合的な顧客関係管理アプリケーション244の一部である。従って、販売を担当する販売員の氏名などの提供物の確保につながるあらゆる種類の照会情報274を記録252に保存することができる。さらに、送出情報276を記録252に保存する。送出情報276には例えば、提供が行われた病院の名称、ドナーを送った医師の氏名、及び/又はその医師についての接触情報などがある。記録252は、ドナーの両親が幹細胞を保管するために幹細胞バンクと行った接触の画像278を保存することもできる。
【0065】
段階304
ドナー乳児が生まれたら、幹細胞単位を採取、処理及びバンキングする。好ましくは、幹細胞単位を、必要に応じて後でアクセス可能な極低温タンクに保存する。一部の実施形態では、幹細胞を臍帯血からだけでなく、他の幹細胞源からも採取する。そのような別の入手源には、例えば骨髄由来の細胞及び胎児胎盤から得られた細胞などがあるが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態では、臍帯血は公知の技術を用いて採取し、胎盤からの幹細胞を、下記のセクション5.7に開示の技術を用いて得る。一部の実施形態では、ドナーが多子出産に関与している。従って、一部の実施形態では、2羊水性(bi-amniotic)である2絨毛膜(bi-chorial)妊娠の場合のような、複数の胎盤が存在する場合がある。本発明は、そのような多子出産の状況を完全に包含するものである。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、幹細胞は臍帯血及び胎児胎盤から得られ、その胎盤は取得、処理し、そこからバンキング用に幹細胞を取り出す。一部の実施形態では、ドナーの臍帯血及びある種の組織から幹細胞を得た後、幹細胞増殖技術を用いてそれを培養する。
【0067】
幹細胞増殖技術は、2001年12月4日発行のエマーソン(Emerson)らに対する米国特許第6326198号(発明の名称「幹細胞のエクス・ビボ複製、造血前駆細胞培養物の至適化、及びヒト間質細胞の代謝、GM−CSF分泌及び/又はIL−6分泌の増加のための方法及び組成物」);2002年1月15日発行のクラウス(Kraus)らの対する米国特許第6338942号(発明の名称「標的細胞群の選択的増殖」);及び2002年1月1日発行のロジャース(Rodgers)らに対する米国特許第6335195号(発明の名称「造血及び間葉細胞の増殖及び分化を促進する方法」)(これらは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする)に開示されている。
【0068】
従って一部の実施形態では、ドナーから得られる幹細胞を培養して、幹細胞の群を増殖させる。しかしながら、他のより好ましい実施形態では、本発明のいずれかの方法に従って使用される臍帯血、産後の失血ヒト胎盤及び他のドナー入手源から採取される幹細胞は、そのような技術を用いて増殖しない。実際には、好ましい実施形態では、そのような幹細胞は実質的に未培養である。それは、幹細胞を、その細胞を生存されることが可能な条件下である期間にわたって保管することはできるが、そのような保管条件は、その細胞を分裂させようという意図的努力を行うことなく選択されるものであり、結果的に数が増えることを意味している。
【0069】
幹細胞単位は、臍帯血及び失血産後胎盤の両方を含む複数の入手源から採取することができる。臍帯血は造血前駆幹細胞源である。本発明の1実施形態において、そのような幹細胞は、CD10+、CD29+、CD34−、CD38−、CD44+、CD45−、CD54+、CD90+、SH2+、SH3+、SH4+、SSEA3−、SSEA4−、OCT−4+及びAPC−p+など(これらに限定されるものではない)の細胞表面マーカーの存在によって特徴付けることができる。そのような細胞マーカーの有無は、フロー・サイトメトリー及び免疫細胞化学などの技術を用いて確認することができる。好ましい実施形態では、そのような幹細胞は、細胞表面マーカーOCT−4+及びAPC−p+の存在によって特徴付けることができる。そのような細胞はヒト胎性幹細胞同様に多用途性(例えば多能性)である。
【0070】
胎盤を入手源とする胎性様幹細胞は、胎性幹細胞の性質を有するが、胎児に由来するものではない。すなわち、未分化幹細胞であるOCT−4+及びAPC−p+細胞は、臍帯血に加えて産後潅流胎盤から単離することができる。さらに、一部の実施形態では、多くの異なる多能性又は多分化能幹細胞を、異なる時点での潅流胎盤から単離することができ、それには例えばCD34+/CD38+、CD34+/CD38−、及びCD34−/CD38−造血細胞がある。従って、本発明の一部の実施形態において、幹細胞単位中の幹細胞は均一であり(例えば、全てOCT−4+及びAPC−p+)、一部の実施形態では、幹細胞単位中の幹細胞は不均一であり、一部のOCT−4+及びAPC−p+細胞がより関わりの強い細胞と組み合わされている。
【0071】
標準的な方法を用いて、幹細胞 単位を凍結保存することができる。一部の場合で、 幹細胞 単位は、凍結時に10%ジメチルスルホキシド中で保存される。例えば、ルビンシュタインらの報告(Rubinstein et al., 1993, ″Stored placental blood for unrelated bone marrow reconstitution″ Blood 81, p. 1679-1690;Rubinstein et al. 1995, ″Processing and cryopreservation of placental/umbilical cord blood for unrelated bone marrow reconstitution,″ Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86, p. 3828-3832.)を参照する。他の場合では、体積減量及び赤血球除去のためのヒドロキシル−エチルデンプン沈降がある。例えば、グルックマンらの報告(Gluckman et al., 1997, ″Use of Cord Blood Cells for Banking and Transplant,″ The Oncologist 2, pp. 340-343)及びルビンシュタインらの報告(Rubinstein et al. 1995, ″Processing and cryopreservation of placental/umbilical cord blood for unrelated bone marrow reconstitution,″ Proc Natl. Acad Sci USA 95, pp. 10112-10119.)を参照する。
【0072】
段階306
段階306では、段階304で得られた幹細胞の特性決定を行う。多くの場合、ドナーの少なくとも2つの異なる入手源からの幹細胞を採取する。例えば、好ましい実施形態では、少なくとも2つの異なる取得源のうちの第1の取得源はドナーの臍帯血であり、少なくとも2つの異なる取得源のうちの第2の取得源はドナーの胎盤である。代表的には、ドナーの異なる取得源からの幹細胞は別個に特性決定する。特性決定された情報は、幹細胞トラッキングモジュール46のデータ入力ルーチン46を用いて幹細胞データベース52に保存する。幹細胞データベース52には、幹細胞データベース52によって追跡される各提供物についての提供記録54が含まれる。各提供記録54(図1)には、CRMアプリケーション244(図2)によってドナーに割り当てられた採取識別番号258(図2)に相当する一意的な採取識別番号58(図1)が含まれる。一部の実施形態では、各提供記録54(図1)には、一意的にドナーの母親を識別する母親識別番号62が含まれる。代表的には、母親識別番号62は、CRMアプリケーション24によって割り当てられる。
【0073】
図1には、2つの異なる入手源である臍帯血及び胎盤から幹細胞を採取する場合を示している。従って、ドナー臍帯血からの幹細胞の特性決定データを保存する臍帯血コンポーネント66があり、ドナーの胎盤からの幹細胞の特性決定データを保存する胎盤コンポーネント72がある。しかしながら本発明は、そのような実施形態に限定されるものではない。他の実施形態では、各記録54には、骨髄などのドナーの入手源の他の部位からの幹細胞の特性決定データを保存する別のコンポーネントが含まれる。
【0074】
本発明の1実施形態では、幹細胞を臍帯血及び胎盤から得て、各提供記録54には、ドナー臍帯血の特性決定データを保存するための臍帯血コンポーネント66及び胎盤液の特性決定データを保存するための胎盤コンポーネント74が含まれる。本発明のこの実施形態では、臍帯血特性決定データには、無菌試験を含む各種アッセイ68の結果及び感染性疾患試験70の結果が含まれる。前記無菌試験は臍帯血が無菌であることを確認するために行うものであり、感染性疾患試験70は臍帯血がヒト免疫不全症ウィルス、エプスタイン・バーウィルス、B型肝炎、C型肝炎、梅毒又はサイトメガロウィルスなどの感染性疾患を有するか否かを確認するものである。感染病原体の試験については、ルビンシュタインの報告(Rubinstein, 1994, Blood Cells 20, p. 587)に記載されている。サイトメガロウィルスについての試験は、例えばCMV−MEIA診断キット(Abbott Laboratories, North Chicago, Illinois)を用いて行うことができる。臍帯血特性決定データにはさらに、CD34マーカー試験などがある。臍帯血特性決定データにはさらに、HLA血液型試験などがある。HLA血液型は、血液が自家(組織適合性)として許容されるか又は異質(組織不適合性)として拒絶されるか否かを決定する上で主要な役割を果たす。HLA型及びHLA型を決定する方法に関するより詳細な情報は、米国特許第6670124B1号(これはその全内容が、参照によって本明細書に組み込まれる)にある。最後に、臍帯血コンポーネント66には臍帯血球数72が含まれる。ドナー記録54の胎盤コンポーネント74にもアッセイ試験結果76及び胎盤幹細胞数78が含まれる。胎盤幹細胞単位に関して行われるアッセイ試験には、幹細胞についてのエンドトキシン試験、無菌試験及びCD34マーカー試験が含まれる。
【0075】
一部の実施形態では、特性決定段階306は、幹細胞単位に関して有核細胞カウントを行う段階、幹細胞単位に関して白血球カウントを行う段階、幹細胞単位に関して単核球カウントを行う段階、幹細胞単位に関してCD34陽性細胞カウントを行う段階、幹細胞単位に関してCD3陽性細胞カウントを行う段階、幹細胞単位に関してコロニー形成細胞アッセイを行う段階、幹細胞単位に関して感染性疾患アッセイを行う段階、又は幹細胞単位のHLA血液型を決定する段階を有する。
【0076】
一部の実施形態では、前記幹細胞単位は、第1の種類の幹細胞及び第2の種類の幹細胞を含む。第1の種類の幹細胞はドナーの臍帯血を取得源とするものであり、第2の種類の幹細胞移植単位中の幹細胞はドナーの胎盤を取得源とするものである。そのような実施形態において、特性決定段階306は、上記のいずれか又は全てのアッセイを行うことで、前記第1の種類の幹細胞と前記第2の種類の幹細胞を別個に特性決定する段階を有する。
【0077】
段階308
単一ドナーから幹細胞を採取するのに段階304で用いられる方法では多くの場合、患者を治療するのに必要なものより多くの幹細胞が得られる。患者を治療するのに必要な幹細胞数を「幹細胞移植単位」と称すると、その幹細胞移植単位は単一ドナーから採取された幹細胞の総数の一部である。段階308では、段階304で採取された単位中の幹細胞移植単位数を算出する。患者を治療するのに必要な幹細胞数は算定308を行う時点で量化できない要素によって決まることから、この算定は近似のみができるものである。それらの要素には、患者の体重、その患者がドナーの兄弟姉妹であるか否か(ドナーと血縁関係にない場合とは対照的に)及びドナーが提供した幹細胞単位を解凍する際に失われる幹細胞のパーセントなどがある。代表的には、従来の手段によって得られる臍帯血は、体重50kg未満(約110ポンド)のほとんどの被提供者における移植には十分な数の幹細胞を含む。
【0078】
代表的な実施形態では、ドナーの各一意的入手源からの幹細胞は互いに分離された状態に保つ。従って、本発明の代表的な実施形態では、単一ドナーからの幹細胞単位は、胎盤起源の幹細胞、臍帯血起源の幹細胞及び他の取得源の可能な幹細胞を含む。これら異なる各入手源からの幹細胞は、幹細胞単位と称される。すなわち、幹細胞単位とは、例えば失血胎盤、臍帯血、胎児組織、骨髄又は幹細胞を得ることができる他の組織もしくは他の臓器などの単一の入手源から得られた、単一ドナーからの幹細胞を含む群を指す。従って、段階304で得られる幹細胞単位は複数の幹細胞単位を含む可能性があり、各幹細胞単位は複数の幹細胞移植単位を含むことができる。
【0079】
幹細胞移植単位とは、単一のそのような入手源に由来する単一ドナーからの幹細胞を含む群を指す。胎盤幹細胞移植単位とは、胎盤(又は多子出産の場合には複数の胎盤)に由来する単一ドナーからの幹細胞を含む群を指す。幹細胞移植単位及び胎盤幹細胞移植単位に共通するものは、それらがそれぞれ治療上有効量の幹細胞含むという点である。
【0080】
幹細胞単位中の有核細胞数は変動するものである。さらに、幹細胞単位中の有核細胞数は、冷凍/解凍後に少なくなる可能性がある。結果的に、幹細胞移植データを検討する際に、それらの単位の解凍前後に有核細胞数を測定できるか否かを示すことが有益である。例えば、サンズ(Sanz)らの報告では、解凍時に失われる有核細胞の中央値群は30%であった(Sanz et al., 2001, ″Standardized, unrelated donor cord blood transplantation in adults with hematologic malignancies,″ Blood 98, p. 2332.)。
【0081】
一部の実施形態では、幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核幹細胞数は、患者の体重及びそのような患者に投与される患者体重1kg当たりの細胞数の関数である。他の実施形態では、幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核幹細胞数は、患者の体重の関数ではない。むしろ、そのような実施形態では、患者の体重その他の患者の特徴を用いて、どれだけの数の幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)を患者に投与すべきかを決定する。そのような実施形態の例について、以下で説明する。これらの例全体を通じて、本発明の利点によれば、有核細胞数が、実質的なクローン増殖を受けていない細胞群を指すことは明らかであろう。
【0082】
幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核細胞数が患者体重の関数である実施形態
幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核細胞数が患者体重の関数である実施形態では、患者体重1kg当たりどれだけの数の有核細胞が必要であるかに関して決定を行う。例えば一部の実施形態では、ある患者が体重1kg当たり約1000万個(15×10)の有核細胞を必要とするという仮定を行う。そのような実施形態では、幹細胞移植単位中の有核細胞数は、下記のように患者体重の関数として、個々の患者について決定する。
【表1】

【0083】
上記の表に挙げているもの以外の体重を有する患者についての幹細胞移植単位中の有核細胞数は、この表に示した値の線形補間として計算する。別の例として、一部の実施形態では、患者が体重1kg当たり約2500万個(25×10)の有核細胞を必要とするという仮定を行う。そのような実施形態では、幹細胞移植単位中の有核細胞数を、下記のように患者体重の関数として、個々の患者について決定する。
【表2】

【0084】
上記の表に挙げているもの以外の体重を有する患者についての幹細胞移植単位中の有核細胞数は、この表に示した値の線形補間として計算する。同様にして、患者が15×10〜25×10個の有核細胞/患者体重kg、25×10〜50×10個の有核細胞/患者体重kg、50×10個より多い有核細胞/患者体重kg、又は15×10個未満の有核細胞/患者体重kgを必要とするという仮定を行う。そのような実施形態では、所定の幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核細胞数は、上記で示したものと同様の表又はそのような表中の値の補間を用いて決定する。
【0085】
一部の実施形態では、少なくとも0.4×10個の有核細胞/患者体重kgがあり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は入手源の幹細胞単位の冷凍又は解凍に先立って行う。本発明の他の実施形態では、幹細胞移植単位は少なくとも1.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも1.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも2.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも2.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも3.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも3.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも4.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも4.5×10個の有核細胞/患者体重kg、又は少なくとも5.0×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は移植単位の冷凍又は解凍に先立って行う。本発明の一部の実施形態では、幹細胞移植単位は0.4×10〜25×10個の有核細胞/患者体重kg、0.8×10〜12×10個の有核細胞/患者体重kg、1×10〜10×10個の有核細胞/患者体重kg、又は1×10〜8×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定及び/又は特性決定は移植単位の冷凍又は解凍に先立って行う。
【0086】
本発明の一部の実施形態において、幹細胞移植単位は少なくとも0.4×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は入手源幹細胞単位の冷凍又は解凍後に行う。本発明の他の実施形態では、幹細胞移植単位は少なくとも1.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも1.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも2.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも2.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも3.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも3.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも4.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも4.5×10個の有核細胞/患者体重kg、又は少なくとも5.0×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は幹細胞移植単位の冷凍又は解凍後に行う。本発明の一部の実施形態において、幹細胞移植単位は0.4×10〜25×10個の有核細胞/患者体重kg、0.8×10〜12×10個の有核細胞/患者体重kg、1×10〜10×10個の有核細胞/患者体重kg、又は1×10〜8×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は移植単位の冷凍又は解凍後に行う。
【0087】
本発明の一部の実施形態では、ドナーの異なる取得源それぞれからの幹細胞移植単位数を別個に決定する。従って、図1に示した実施形態では、臍帯血を取得源とする幹細胞単位中の幹細胞移植単位数は、胎盤を取得源とする幹細胞単位中の幹細胞移植単位数と区別される。図1において、幹細胞移植単位算出値は、その提供に関連する記録54中の要素64として記憶される。
【0088】
本発明の一部の実施形態では、幹細胞提供物中に存在する幹細胞移植単位数は、20kg、25kg又は30kgの平均患者体重及び1.0×10個又は2.0×10個の有核細胞/患者体重kgという幹細胞移植単位に基づいて算出される。このようにして、幹細胞移植単位の標準化単位を定義することで、幹細胞提供物中の幹細胞移植単位数の算出を行うことができる。
【0089】
本発明の一部の実施形態において、胎盤幹細胞移植単位は少なくとも0.4×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は入手源胎盤幹細胞移植単位の冷凍又は解凍に先立って行う。本発明の他の実施形態では、胎盤幹細胞移植単位は少なくとも1.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも1.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも2.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも2.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも3.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも3.5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも4.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも4.5×10個の有核細胞/患者体重kg、又は少なくとも5.0×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定はその単位の冷凍又は解凍に先立って行う。本発明の一部の実施形態において、胎盤幹細胞移植単位は0.4×10〜100×10個の有核細胞/患者体重kg、0.8×10〜50×10個の有核細胞/患者体重kg、15×10〜35×10個の有核細胞/患者体重kg、又は17×10〜30×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定はその単位の冷凍又は解凍に先立って行う。
【0090】
本発明の一部の実施形態において、胎盤幹細胞移植単位は少なくとも0.4×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定は入手源幹細胞単位の冷凍又は解凍後に行う。本発明の他の実施形態では、胎盤幹細胞移植単位は少なくとも1.0×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも5×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも10×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも20×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも30×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも35×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも40×10個の有核細胞/患者体重kg、少なくとも45×10個の有核細胞/患者体重kg、又は少なくとも50×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定はその単位の冷凍又は解凍後に行う。本発明の一部の実施形態では、胎盤幹細胞移植単位は0.4×10〜100×10個の有核細胞/患者体重kg、1×10〜50×10個の有核細胞/患者体重kg、5×10〜40×10個の有核細胞/患者体重kg、又は20×10〜30×10個の有核細胞/患者体重kgであり、その有核細胞は段階304に記載の方法を用いて得られるものであり、細胞の測定はその単位の冷凍又は解凍後に行う。
【0091】
幹細胞移植単位(又は胎盤幹細胞移植単位)中の有核細胞数が患者体重の関数ではない実施形態
本発明の一部の実施形態では、幹細胞移植単位及び/又は胎盤細胞移植単位は、その単位の所期の用途とは無関係に、所定数の有核細胞を有する。そのような実施形態による一部の場合では、150×10〜10000×10個の有核細胞、300×10〜5000×10個の有核細胞、又は500×10〜3000×10個の有核細胞がある。そのような各幹細胞移植単位は、等しく分割された単位を必要とするわけではない。一部の実施形態では、幹細胞移植単位は、有核細胞数に関して決められる。一部の実施形態では、幹細胞移植単位は25〜50×10個の有核細胞、50〜100×10個の有核細胞、100〜150×10個の有核細胞、150〜200×10個の有核細胞、200〜250×10個の有核細胞、250〜300×10個の有核細胞、又は300〜500×10個の有核細胞である。一部の実施形態では、幹細胞移植単位は、それが冷凍及び解凍される前の単位中の有核細胞数に関して決められるが、他の実施形態では、幹細胞移植単位は、冷凍及び解凍された後の同じものにおける有核細胞数に関して決められる。
【0092】
本明細書において幹細胞移植単位は、単位中の有核細胞数に関して決定しているが、本発明はそのような計量基準に限定されるものではない。採取又は解凍されたCD34+細胞数、採取又は解凍されたコロニー形成性細胞数、採取又は解凍された顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞、採取又は解凍されたCD3+細胞数、採取又は解凍されたバースト形成単位−赤血球数、又は採取又は解凍されたコロニー形成性単位−顆粒球赤血球単核球マクロファージ細胞の数などの別の計量基準を、幹細胞移植単位の決定に用いることができる。そのような細胞測定をどのように行うことができるかに関する情報については、グルックマンらの報告(Gluckman et al., 1997, The Oncologist 2, 340);ミグリアッシオらの報告(Migliaccio et al., 2000, Blood 96, 2717)及びトムソンらの報告(Thomson et al., 2000, Blood 96 2703)を参照する。
【0093】
本発明の一部の実施形態において、胎盤幹細胞移植単位は、有核細胞数に関して決定される。一部の実施形態では、胎盤幹細胞移植単位は25〜50×10個の有核細胞、50〜100×10個の有核細胞、100〜150×10個の有核細胞、150〜200×10個の有核細胞、200〜250×10個の有核細胞、250〜300×10個の有核細胞、又は300〜500×10個の有核細胞である。一部の実施形態では、胎盤幹細胞移植単位は、それが冷凍及び解凍される前の単位中の有核細胞数に関して決められるが、他の実施形態では、胎盤幹細胞移植単位は、それが冷凍及び解凍された後の同じのものにおける有核細胞数に関して決められる。
【0094】
本明細書において胎盤幹細胞移植単位は、胎盤幹細胞移植単位中の有核細胞数に関して決定しているが、本発明はそのような計量基準に限定されるものではない。採取又は解凍されたCD34+細胞数、採取又は解凍されたコロニー形成性細胞数、採取又は解凍された顆粒球−マクロファージコロニー形成細胞、採取又は解凍されたCD3+細胞数、採取又は解凍されたバースト形成単位−赤血球数、又は採取又は解凍されたコロニー形成性単位−顆粒球赤血球単核球マクロファージ細胞の数などの別の計量基準を、胎盤幹細胞移植単位の決定に用いることができる。そのような細胞測定をどのように行うことができるかに関する情報については、グルックマンらの報告(Gluckman et al., 1997, The Oncologist 2, 340);ミグリアッシオらの報告(Migliaccio et al., 2000, Blood 96, 2717)及びトムソンらの報告(Thomson et al., 2000, Blood 96 2703)を参照する。
【0095】
5.3.幹細胞に関する照会の受け取り及びドナーと患者の間に適合がある場合における1以上の幹細胞移植単位の出庫
図4には、幹細胞に関する照会を受け取り、ドナーと患者の間に適合がある場合に1以上の幹細胞移植単位を出庫する方法を示してある。図4の段階402について説明すると、患者のためにドナーを探す場合、幹細胞トラッキングモジュール44のデータ照会ルーチン48が、その相手に適合するドナーに関して幹細胞データベース52を検索する。一部の実施形態では、その患者はセクション5.6で確認される疾患を有しており、図4に示したプロセスは、その疾患を治癒又は緩和するために設計されたものである。その検索は、記録54中のデータに基づいて適切な適合アルゴリズムを使用する。代表的な実施形態では、その検索は、患者と同じHLA型を有するデータベース52中の提供物を見出そうとするものである。適合するドナー記録54が見出されない場合(404−ノー)、その処理は完了する(406)。他方、適合するドナー記録が見出されたら(404−イエス)、そのドナーが1以上の幹細胞移植単位をその患者に提供することに同意するか否かを確認する(408)。代表的な実施形態では、段階408は、前記適合する幹細胞単位がパブリックであるかプライベートであるかを確認する段階を有する。ドナーがドナーの家族が使用するのにその単位を確保するために料金を支払っている場合にはその単位はプライベートであり、ドナーがその単位を確保するために料金を支払っていない場合にはその単位はパブリックである。ある単位がパブリックであるかプライベートであるかに関する情報は、各記録54のパブリック/プライベートインジケータ60に記憶される。
【0096】
例えばその単位がプライベートであるという理由で、ドナーがこの使用に同意しない場合(408−ノー)、そのドナーがこの単位の将来的な使用について同意するか否か(410)を確かめても良い。そのドナーがその単位の将来的な使用について同意したとすれば(410−イエス)、その処理は完了し(406)、そうでなければ(410−ノー)、データベース52を更新して(416)、この単位が利用できないことを示すようにしても良い。すなわち、適合するドナーの記録52のフィールド60を「ノー」にセットして、このドナーの単位が利用できないことを示す。この状況は、単位を今後利用できないようにすることを決意し、その単位についての料金を支払いことにした場合に起こり得るものである。一部の実施形態では、ある単位をプライベートに維持するのに料金を支払わないドナーには、適合する特性を有する患者に対するその単位の提供を拒否する選択肢はない。一部の実施形態では、ドナーは、そのドナーが一旦パブリックとして登録したら、本人の提供物をプライベートに変更する選択肢も与えられない。
【0097】
ドナーが単位の使用に同意する場合、又はその単位を「パブリック」とマークする場合(408−イエス)、可能であれば、そのドナーから又はそのドナーに関して詳細な情報を得ても良い(412)。この情報には、その単位が提供された時点では利用できなかったり、不確定であった情報が含まれている可能性もあると考えられる。例えば、ドナーの母親又はドナーがドナー誕生後まもなくHIV陽性となったか否か又はドナーが白血病を発症したか否かを知ることが望ましい場合があると考えられる。そのような有害表示を、単位拒否の根拠として用いることができると考えられる。
【0098】
段階412で導かれた適宜のドナー更新情報後にドナー記録がなおも好適である場合(414−イエス)、プロセス制御が段階418に移動する。それ以外の場合(414−ノー)、プロセス制御は段階416に移動して、そこで、有害表示がドナーに生じたこと、ならびに提供物記録54がデータベース52から取り除かれることを反映するように、幹細胞データベース52が更新される。
【0099】
提供された単位が許容され、利用可能な場合(414−イエス)、1以上の幹細胞移植単位及び/又は1以上の胎盤幹細胞移植単位が、患者(418)が使用できるように出庫される。セクション5.2における段階308の議論で詳細に説明したように、患者に対して出庫される幹細胞移植単位の数は、幹細胞移植単位が定量される方法、患者の体重及び適宜に患者及びドナーが互いに血縁関係にあるか否かの関数である。例示を目的として、幹細胞移植単位は、25kg患者の患者に1.5×10個の有核細胞/患者体重kg(37.5×10個の有核細胞)を提供するのに必要な幹細胞数と定義される。適合幹細胞提供物の胎盤成分が75×10個の有核細胞を含む場合を考える。この場合、適合幹細胞提供物の胎盤成分は2幹細胞移植単位を含む。次に、段階418が完了することで、その患者に必要な幹細胞数を求める必要が生じる。好ましい実施形態では、幹細胞の患者への移植を担当する医師が、(i)所望の有核細胞数/患者体重kg及び(ii)患者体重という少なくとも2つの要素に基づいて、この決定を行う。例えば、医師が1.5×10個の有核細胞/患者体重kgを所望し、患者体重が1kgである場合、正確に1幹細胞移植単位が段階418で出庫されることになると考えられる。
【0100】
段階420では、残っている幹細胞移植単位の数を、幹細胞データベース52中の適合記録54のフィールド64から引くことで、適合患者に割り当てられた幹細胞移植単位の数を反映するようにする。段階422で、患者移植片の臨床的結果422を得ても良い。そのような情報を用いて、最初の提供物中の残っている幹細胞移植単位の値を求めることができる。例えば、移植片が奏功していた場合、それは、残っている幹細胞移植単位が重要な医学的価値を有することを示すことになると考えられる。他方、if患者のリスク因子が非常に低く、移植片がまだ奏功していない場合、それは、残っている幹細胞が良好に保存されていない可能性があることを示唆していると思われる。さらに他の有用な臨床結果情報には、白血病などの血液によって生じた可能性がある疾患が患者において起こったか否かの確認などがある。そのような指標は、データベース52から残っている全ての幹細胞移植単位を直ちに除去する根拠となると考えられる。段階424では、幹細胞データベース52を更新して、データベースに残っている適合提供物中の幹細胞移植単位数を反映させ、適宜に患者の臨床結果を反映させる。段階426で、このプロセスが完了する。
【0101】
5.4.ドナーの登録、幹細胞単位の採取及び病歴へのアクセスに対する制御維持及び幹細胞単位の試験を行いながらのドナー匿名性の確保
個々の幹細胞提供物が複数の用量を含むレジストリーを提供することに加えて、本発明は依頼者匿名性を維持する方法を提供する。再度図1及び図2について説明すると、本発明の1実施形態では、それは顧客関係管理(CRM)アプリケーション244及び臨床検査室情報管理システム(LIMS)アプリケーション(幹細胞トラッキングモジュール44)という2つのアプリケーションを有するシステムを用いることで行われる。CRMアプリケーション244は、CRMデータベース250と組み合わせて、ドナー氏名254、ドナー接触情報256、ドナーの親の氏名(例:ドナーの母親の氏名260)及びドナーの親の接触情報(例えば母親の接触データ262)を含むドナーについての情報を維持するものである。CRMアプリケーション244はさらに、CRMデータベース250と組み合わせて、一意的にドナーと関連付けられる採取識別番号258を記憶する。しかしながら、CRMアプリケーション244及びCRMデータベース250は、感染疾患結果及びHLA血液型などの幹細胞特性決定情報を記憶するものではない。むしろ、電子的手段(パスワード/許可)又は物理的手段(別個のネットワーク/建物)によってCRMアプリケーション244から分離されたLIMSアプリケーション(幹細胞データベース52と組み合わせた幹細胞トラッキングモジュール44)が、幹細胞特性決定情報を維持する。LIMSアプリケーションは患者氏名を追跡するものではなく、患者氏名にアクセスすることができない。むしろ、提供物は、図2の採取識別番号258と等価である採取識別番号58(図1)によって追跡される。このようにして、デリケートな内容のアッセイ結果をLIMSアプリケーションに入力する臨床検査室担当者は、ドナーの確認を行うことはできない。さらに、CRMアプリケーション244の管理者は、特別の権限を持っていない限り、LIMSアプリケーション上の臨床検査結果にアクセスすることはできない。このようにドナー匿名性を維持することは、公知の血液バンキング技術に勝る大きな販売上の利点を有する。
【0102】
図5には、本発明のこの態様に従って依頼者匿名性を維持する方法を示してある。
【0103】
段階502
段階502では、CRMデータベース250中にドナーのためのドナー記録252を作成することで、CRMアプリケーション244(図2)のデータ入力ルーチン244によってドナーを登録する。ドナーは料金を支払い、プライベートドナーとして登録することで、幹細胞提供物をドナーの同意なく患者に提供しないようにすることができる。あるいは、その単位が適合する特性を有する単位を必要とする第1の患者に与えられる場合には、患者は料金を支払わないことができる。段階502では、プライベート提供物の獲得に尽力した販売員又はプライベート提供物の獲得に至る主要入手源などの提供物の取得源に関する追加情報を、ドナー記録252のフィールド274に保存する。ドナーが料金を支払ったか(プライベートドナー)料金を支払っていないか(パブリックドナー)に関する詳細は、申込情報フィールド272に保存する。
【0104】
段階504
段階502では、提供が行われた病院名及び/又は担当医師名を含む提供物がどのように得られたかに関する関連の詳細データを得て、CRMデータベース250中にドナーと一意的に関連付けられるドナー記録252の送出情報276として記憶させる(図2)。
【0105】
段階506
段階506では、採取識別番号258を提供物に割り当てる。採取識別番号258は、それがドナーを一意的に識別する限りにおいて、いかなる形式を有するものであっても良い。採取識別番号258は、CRMデータベース250中のドナーのドナー記録252に記憶される。一部の実施形態では、採取識別番号252は単純に、ドナーに関連するドナー記録252の記録idである。
【0106】
CRMデータベース250の採取識別番号258は、幹細胞データベース52の採取識別番号58と等価であるか、それと1:1の対応を有する。採取識別番号258に加えて、ドナーの母親についての匿名の識別記号を発生させ、CRMデータベース250に記憶させる。
【0107】
段階508
段階508では、幹細胞データベース52に記憶させるために、CRMアプリケーション244がある種の情報を幹細胞トラッキングモジュール44(LIMSアプリケーション)に伝送する。一部の実施形態では、この情報には採取識別番号258(58)、提供がパブリック又はプライベートであるか否かについての適宜の指標、及びドナーの母親を確認する識別記号などがある。
【0108】
段階510
段階510〜514は、LIMSアプリケーション(幹細胞データベース52と組み合わせた幹細胞トラッキングモジュール44)で起こる活動を表す。段階510では、採取識別番号58(25)、パブリック/プライベートインジケータ及び母親の識別番号を含むCRMアプリケーション244によって伝送される情報を、幹細胞トラッキングモジュール44のデータ入力ルーチン46が受け取り、処理して、コンピュータ4における幹細胞データベースの提供記録54に含める(図1)。従って、段階510の直接の結果は、CRMデータベース250中のドナー記録252に相当する幹細胞データベース52中の提供記録52の作成である。しかしながら、CRMデータベース250中のドナー記録252とは異なり、幹細胞データベース52中の提供記録54はドナーを識別するものではない。提供記録54にあるものは、採取識別番号58が全てである。従って、ドナー匿名性はLIMSアプリケーションにおいて保全される(図1)。
【0109】
段階512
段階512では、提供物の特性決定を行い、その特性決定の結果を提供物に相当する提供記録54に記憶させる。好ましい実施形態では、幹細胞提供物は、臍帯血成分及び失血胎盤成分を含む。しかしながら本発明は、そのような提供物に限定されるものではなく、実際には幹細胞提供物は、従来の手段を用いて得られる臍帯血単位であることができる。1実施形態では、幹細胞提供物の特性決定は、セクション5.2の段階306に記載の方法に通りである。特に、幹細胞提供物のうちの少なくとも1つの部分のHLA血液型を決定し、その幹細胞提供物を、HIV及び肝炎などの感染性疾患について調べる。特性決定データにはさらに、幹細胞単位の生存率を求めるための有核細胞カウントその他の形態のカウントなどがある。段階512で記憶させることができる別のデータは、幹細胞提供物についてのプロセス記録56である。プロセス記録56には、血球提供物を物理的にどのように扱ったか(例えば、その単位が臨床検査室に配送された時)に関する情報などがある。
【0110】
段階514
段階514はデータ入力プロセスを完了させるものである。この段階では、限られた量の機密性のない情報をCRMアプリケーションに戻す。例えば、別個の胎盤単位及び臍帯血単位を保存する実施形態では、段階514は、臍帯血有核細胞カウント(又は幹細胞単位の生存率についての他の指標)、臍帯血冷凍庫の日付、胎盤有核細胞カウント(又は幹細胞単位の生存率についての他の指標)、及び胎盤細胞冷凍庫の日付を伝送する段階を有する。そのような情報は、CRMデータベース250中の相当するドナー記録252のフィールド264〜270に記憶される。
【0111】
本発明の他の具体的な実施形態は、コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品を提供する。そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有する。そのコンピュータプログラム機構は、複数のドナーについての情報を含む顧客関係管理データベース250及び(i)顧客関係管理データベース246にドナーを登録する命令、(ii)そのドナーに採取識別番号を一意的に関連付ける命令、及び(iii)その採取識別番号を幹細胞トラッキングモジュールに伝送する命令を含む顧客関係管理アプリケーション244(図2)を有する。この実施形態では、コンピュータプログラム機構はさらに、複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞データベース52及び幹細胞トラッキングモジュール44を有する。幹細胞トラッキングモジュール44には、(i)顧客関係管理アプリケーション244から採取識別番号58/258を受け取る命令及び(ii)ドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令を含むデータ入力ルーチン46が含まれる。その特性決定データには、ドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データが含まれる。一部の実施形態では、顧客関係管理データベース250及び幹細胞データベース52は2つの異なるコンピュータ上にあり、CRMアプリケーション244から幹細胞データベース52にアクセスするにはアクセス権限249が必要である。一部の実施形態では、幹細胞データベース52はリレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース、又は階オンライン解析処理データキューブであり、照会検索と適合する特性を有する幹細胞単位について、前記複数の幹細胞単位についての情報を検索することができる。
【0112】
5.5.幹細胞に関する照会の受け取り及びドナー匿名性を確保しながらの幹細胞の出庫
セクション5.4は、顧客関係管理アプリケーション244から臨床検査結果を分離することでドナー匿名性を維持する幹細胞レジストリーの構築方法について記載している。図6について説明すると、幹細胞に関する依頼を受け取り、適合幹細胞単位について幹細胞バンクを検索する方法が開示されている。段階602〜608はシステム10のCRM側(図2)で行われるものであるが、段階610〜620はシステム10のLIMS側(図1)で行われるものである。
【0113】
段階602及び604
段階602及び604では、幹細胞について患者が要求を受ける。その要求は、CRMアプリケーション244のデータ照会ルーチン248が行うものである(図2)。その要求は、好適なドナーを得る上での患者についての十分な特性決定データを含むものである。例えば、その特性決定データは、患者のHLA型、性別、年齢及び/又は好適なドナーを見出す上で使用されるあらゆる他の種類の特性決定データを含むことができる。
【0114】
段階606
CRMデータベース250を好適なドナーについて検索できるようにする前に(又は少なくともデータベース250の照会からの結果を検討できるようにする前に)、判定を行って、データベース250の照会が認可されたものとなるようにしなければならない。1実施形態では、段階6060を、一連の1996年の医療保険の携行性と責任に関する法律(HIPAA)準拠許可249として実行する。ユーザーがHIPAA準拠認可を有する場合(606−イエス)、プロセスは続行する。それ以外の場合(606−ノー)、そのプロセスは終了する。
【0115】
段階608
検索が認可される場合(606−イエス)、ドナー特性がLIMSアプリケーションに伝送されることで(図1)、幹細胞データベース52を適合するドナー記録について検索することができる。
【0116】
段階610
段階610では、患者のものと適合する特性を有する幹細胞についての検索を、幹細胞トラッキングモジュール44のデータ照会ルーチン48によって行う(図1)。効率的な検索を促進するため、幹細胞データベース52は好ましくは、リレーショナルデータベースである。しかしながら、そのような技術的要件は、本発明の方法を容易にする上で必要であるとは限らず、実際には、幹細胞データベース52はデータベーススキーマ又は階層が整理されていないフラットファイルであることができると考えられる。
【0117】
段階612及び614
適合が見出されると(612−イエス)、プロセス制御が段階616に移動して、そこで、その適合がパブリックであるかプライベートであるかについての決定が行われる。それ以外の場合は(612−ノー)、不首尾であったことがCRMアプリケーション244に送信される(614)。
【0118】
段階616及び618
適合がある場合は、段階616に至る。適合が生じた時は、その適合がパブリックであるかプライベートであるかについて決定を行う。適合がプライベートである場合(616−ノー)、その適合は、適合幹細胞単位のドナー又は適合幹細胞単位の近い親類以外の患者は利用できないと考えられる。従って、そのような場合、検索は不首尾であり、そのような不首尾がCRMアプリケーション244に送信される(618)。
【0119】
段階620
適合幹細胞単位がパブリックである場合(620−イエス)、適合幹細胞単位の全て又は一部を患者に割り当てる。本セクションに記載の方法は、セクション5.2及び5.3に記載の本発明の実施形態と組み合わせることができる。例えば、適合幹細胞単位は複数の幹細胞移植単位を含むことができると考えられる。従って、段階620の一部の実施形態では、適合幹細胞単位の一部を患者に割り当てることができると考えられる。それに該当する場合、適合ドナー記録54中の利用可能移植単位数フィールド64を、患者に割り当てられた幹細胞移植単位数だけ引く。
【0120】
5.6.幹細胞移植物を用いて治療可能な疾患
幹細胞移植によって治療可能な疾患には、幹細胞障害(例えば再生不良性貧血、ファンコニ貧血、発作性夜間血色素尿症)、急性白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、急性混合性白血病、急性未分化白血病)、慢性白血病(例えば、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、若年型慢性骨髄性白血病、若年性骨髄単球性白血病)、骨髄増殖性症候群(例えば、急性骨髄線維症、原発性骨髄線維症、真性赤血球増多症、本態性血小板血症)、骨髄異形成症候群(例えば、難治性貧血、環状鉄芽球を伴う難治性貧血、過剰の芽球を伴う難治性貧血、変換において過剰の芽球を伴う難治性貧血、慢性骨髄単球性白血病)、リンパ増殖症候群(例:非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、前リンパ球性白血病)、遺伝性赤血球異常(例えば、ベータ・サラセミアメジャー、赤芽球癆、鎌状赤血球病)、リポソーム蓄積症(例:ムコ多糖症、フルラー症候群、シャイエ症候群、ハンター症候群、サンフィリポ症候群、モルキオ症候群、マロトー・ラミー症候群、スライ症候群、β−グルクロニダーゼ欠損症、副腎白質萎縮症、ムコ脂質症II、クラッベ病、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病、ウォルマン病、異染性白質萎縮症)、組織球性障害(例えば、家族性赤血球貪食性リンパ組織球増多症、ヒスチオサイトーシスX、血球貪食)、貪食細胞障害(チェディアック・東症候群、慢性肉芽腫症、好中球アクチン欠乏症、細網異形成症)、先天性免疫系障害(例えば、血管拡張性失調症、コストマン症候群、白血球接着不全、ディジョージ症候群、不全リンパ球症候群、オーメン症候群、重症複合型免疫不全症(SCID)、アデノシンデアミナーゼ欠乏症を伴うSCID、T及びB細胞欠損SCID、T細胞欠損症、正常B細胞SCID、分類不能型免疫不全、ウィスコット・アルドリッチ症候群、X連鎖リンパ増殖障害、遺伝性血小板異常(例えば、無巨核球増多症/先天性血小板減少症)、形質細胞障害(例えば、多発性骨髄腫、形質細胞性白血病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症)、他の遺伝性障害(例えば、レッシュ・ナイハン症候群、軟骨毛髪形成不全症、グランツマン血小板無力症、大理石骨病)、及び他の悪性腫瘍(例えば、乳癌、ユーイング肉腫、神経芽細胞腫及び腎細胞癌)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0121】
幹細胞はまた、個々の経験している炎症に投与した時に、抗炎症効果を有することも期待される。好ましい実施形態では、幹細胞を用いて、炎症から生じる又は炎症に関連する疾患、状態又は障害を治療することができる。その炎症は、例えば筋肉;脳、脊髄及び末梢神経系を含む神経系;心臓組織を含む筋肉組織;膵臓;腸その他の消化管の臓器;肺;腎臓;肝臓;生殖器;内皮組織又は内胚葉組織などのあらゆる臓器又は組織に存在し得る。
【0122】
幹細胞を用いて、炎症に関連するものを含む免疫関連障害、特には自己免疫障害を治療することもできる。従ってある種の実施形態では、本発明は、自己免疫疾患又は状態を有する個体を治療する方法であって、そのような個体に対して治療上有効量の幹細胞を投与する段階を有する方法を提供するものであり、その疾患又は障害は、糖尿病、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、糖尿病性神経障害又は狼瘡であることができるが、それらに限定されるものではない。臍帯血又は臍帯血由来幹細胞を用いて、例えば季節性アレルギー、食物アレルギー、自己抗原に対するアレルギーなどの急性又は慢性アレルギーを治療することもできる。
【0123】
ある種の実施形態では、その疾患又は障害には、再生不良性貧血、脊髄形成異常、心筋梗塞、発作性疾患、多発性硬化症、卒中、低血圧、心停止、虚血、炎症、加齢性の認識機能低下、放射線障害、脳性麻痺、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、リー脳症、AIDS認知症、記憶喪失、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、虚血性腎疾患、脳もしくは脊髄の外傷、心肺バイパス、緑内障、網膜虚血、網膜外傷、テイ・サックス、ニーマン・ピック、ファブリー、ゴーシェ、ハンター及びフルラー症候群などのリソソーム蓄積症、ならびに他のガングリオシド蓄積症、ムコ多糖症、糖原病、代謝の先天異常、副腎白質萎縮症、嚢胞性線維症、グリコーゲン蓄積症、甲状腺機能低下症、鎌状赤血球貧血、ピアソン症候群、ポンペ病、フェニルケトン尿症(PKU)、ポルフィリン症、楓糖尿症、ホモシスチン尿症、ムコ多糖蓄積症、慢性肉芽腫症及びチロシン血症、テイ・サックス病、癌、腫瘍その他の病的もしくは腫瘍状態を含む(それらに限定されるものではない)本明細書で開示のあらゆる疾患又は障害などがあるが、それらに限定されるものではない。
【0124】
他の実施形態では、幹細胞を、外傷、特には炎症が関与する外傷によるあらゆる種類の損傷の治療に用いることができる。そのような外傷関連の状態の例には、脳、脊髄又はCNSを囲む組織への損傷を含む中枢神経系(CNS)損傷、末梢神経系(PNS)に対する損傷;又は身体の他の部分に対する損傷などがある。そのような外傷は事故によって起こる場合があるか、又は手術もしくは血管形成術などの医学的処置の正常もしくは異常な結果である場合がある。外傷は、卒中もしくは静脈炎におけるものなどの血管の破裂、障害又は閉塞の結果である場合もある。具体的な実施形態では、幹細胞を、角膜上皮欠損、軟骨修復、顔面皮膚剥離術、粘膜、鼓膜、腸の内層、神経構造(例えば、網膜、基底膜における聴覚神経細胞、嗅上皮における嗅覚ニューロン)の治療、皮膚の外傷性損傷についての火傷及び創傷修復、又は他の損傷もしくは病変臓器もしくは組織の再建を含む(それらに限定されるものではない)、自家又は異種組織の再生又は置換療法もしくはプロトコールで用いることができる。
【0125】
具体的な実施形態において、前記疾患又は障害は、再生不良性貧血、脊髄形成異常、白血病、骨髄障害又は造血性の疾患もしくは障害である。別の具体的な実施形態において、被験者はヒトである。
【0126】
別の実施形態において本発明は、炎症に関連するか炎症から生じる疾患、障害又は状態を有する個体を治療する方法を提供する。具体的な実施形態では、その疾患、障害又は状態は、神経の疾患、障害又は状態である。より具体的な実施形態では、その神経疾患は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。別のより具体的な実施形態では、神経疾患はパーキンソン病である。別の具体的な実施形態では、その疾患は血管又は心血管の疾患である。より具体的な実施形態では、その疾患はアテローム性動脈硬化症である。別の具体的な実施形態では、その疾患は糖尿病である。
【0127】
5.7.胎盤の単離及び培養により幹細胞を得る方法
一部の実施形態では、米国特許出願10/366671号(発明の名称「産後哺乳動物胎盤由来の胚幹細胞、ならびに該細胞の使用及び該細胞を用いる治療方法」)、米国特許出願10/411655号(発明の名称「幹細胞及び前駆細胞分裂の調節、アッセイ、及びそれの使用」)、2002年8月22日公開のPCT公開WO 02/064755A2;又は2002年6月13日公開のPCT公開WO 02/46373A1(これらはそれぞれ、参照によってその全内容が本明細書に組み込まれる)に開示のいずれかの技術を用いて、幹細胞を哺乳動物胎盤から回収する。胎盤から幹細胞を得る方法の例を、下記の小セクションに開示している。さらに、セクション6にある実施例1は、本発明の1実施形態に従って胎盤組織から幹細胞を得る方法の例を提供するものである。
【0128】
5.7.1胎盤の前処理
哺乳動物胎盤は、誕生後の娩出後すぐに回収し、ある種の実施形態では、胎盤中の臍帯血を回収する。ある種の実施形態では、胎盤について、従来の臍帯血回収法を行う。そのような臍帯血回収物は販売されている(例えば、ライフ・バンク社(LifeBank Inc.)、セダー・クノールズ(Cedar Knolls, N. J.)、ビアコード(ViaCord)、コード・ブラッド・レジストリー・アンド・クリオセル(Cord Blood Registry and Cryocell))。臍帯血は、胎盤の娩出後すぐに排出することができる。他の実施形態では、胎盤は、2002年2月13日出願の同時継続出願10/076180号(参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする)に開示の方法に従って前処理する。
【0129】
5.7.2胎盤の失血及び残留細胞の除去
2002年8月22日公開のPCT公開WO 02/064755(参照によって全体が本明細書に組み込まれるものとする)に開示のように、産後の胎盤は、その胎盤が産後適切に処理された場合に活性化させることができる静止細胞を含んでいる。例えば、子宮からの娩出後、できるだけ速やかに胎盤を失血して、アポトーシスを防止又は低減する。その後、失血させてからできるだけ早く、胎盤を潅流して、血液、残留細胞、タンパク質、因子及びその臓器中に存在する他の材料を除去する。材料残屑も、胎盤から除去することができる。潅流は通常、適切な潅流液で少なくとも2時間から24時間超続ける。従って胎盤は、豊富な胎性様幹細胞源として容易に用いることができる。失血、潅流及び/又は培養胎盤によって得られたヒト胎盤幹細胞は、所望の細胞型に容易に分化し得る多能性幹細胞である。
【0130】
胎性様幹細胞を含む(これに限定されるものではない)幹細胞又は前駆細胞は、失血された、例えば出産及び/又は従来の臍帯血回収手順後に残留する臍帯血を完全に排出した胎盤から回収することができる。胎盤の失血方法及び残留細胞の除去方法は、当業界で公知の方法、例えば2002年8月22日公開のPCT公開WO 02/064755(参照によって、その全体が本明細書に組み込まれるものとする)に開示の方法を用いて行うことができる。
【0131】
5.7.3.胎盤の培養
胎盤の失血及び十分な時間の潅流後、胎性様幹細胞が胎盤の失血及び潅流された微小循環中に移動していることを観察し、そこでそれらの細胞を、好ましくは潅流による回収容器中への洗い入れによって回収する。一部の実施形態では、胎盤を培養し、増殖した細胞を、2002年8月22日公開のPCT公開WO 02/064755(参照によって、その全体が本明細書に組み込まれるものとする)に記載の方法に従ってモニタリング、選別及び/又は特性決定する。さらに他の実施形態では、胎盤は培養しない。むしろ、潅流による回収容器中への洗い入れによって幹細胞を回収する。
【0132】
5.7.4胎盤からの細胞の採取
胎盤の失血及び潅流後、胎性様幹細胞は胎盤の排液されて空の微小循環中に移動し、そこでそれらを好ましくは流出する潅流液を回収容器中に回収することで回収する。一部の場合で、胎盤中で培養された細胞を、例えば遠心(例えば、従来の遠心及び/又は密度勾配遠心)、磁石細胞分離、フロー・サイトメトリー又は他の公知の細胞分離もしくは選別方法などの当業者には公知の技術を用いて流出する潅流液から単離し、選別する。
【0133】
ある具体的な実施形態では、胎性様幹細胞を胎盤から回収し、ある種の実施形態では、2002年8月22日公開のPCT公開WO 02/064755(参照によって、その全体が本明細書に組み込まれるものとする)に記載の方法に従って保存する。
【0134】
5.8.幹細胞データベース及びCRMデータベースアーキテクチャ
一部の実施形態では、幹細胞データベース52及び/又はCRMデータベース250はデータウェアハウスである。データウェアハウスは代表的には、リレーショナルデータベース又は多次元データキューブのいずれかとして構築されている。本セクションでは、リレーショナルデータベース又は多次元データキューブアーキテクチャを有するデータベース52及び/又はデータベース250の例について説明する。リレーショナルデータベース及び多次元データキューブに関するさらなる詳細については、文献を参照する(Berson and Smith, 1997, Data Warehousing, Data Mining and OLAP, McGraw-Hill, New York;Freeze, 2000, Unlocking OLAP with Microsoft SQL Server and Excel 2000, IDG Books Worldwide, Inc., Foster City, California;及びThomson, 1997, OLAP Solutions: Building Multidimensional Information Systems, Wiley Computer Publishing, New York.)。さらに、一部の実施形態では、データベース52及び/又はデータベース250は正式な階層構造を持たないことは明らかであろう。
【0135】
5.8.1データ整理
データベースは代表的には、注文の入力、経理及び在庫管理などの実用的な目的(OLTP)に用いられてきた。より最近では、企業及び科学プロジェクトが、明らかに調査及び解析を目的として、データウェアハウス又は大規模オンライン解析処理(OLAP)データベースと称されるデータベースを構築しつつある。「データウェアハウス」は、管理決定を支援する主題指向的で統合された経時的に変動する不揮発性のデータコレクションと説明することができる。データウェアハウスは、リレーショナルデータベース及びデータキューブと呼ばれる特殊多次元構造の両方を用いて構築される。一部の実施形態では、データベース52及び/又はデータベース250はデータキューブ又はリレーショナルデータベースである。
【0136】
5.8.2リレーショナルデータベース
リレーショナルデータベースは、データを表に整理するものであり、その表中では各行は基本的対象又は事実に相当し、各列はその対象の性質を表す。例えば、表がバンクにおける取引を表すことができ、その場合に各行は単一の取引に相当し、各取引は取引量、勘定収支、バンクの部門及び顧客などの複数の属性を有する。リレーショナル表は、関係、タプルとしての行及び属性としての列又はフィールドと称される。ある関係内の属性は、次元と尺度という2つの種類に分割することができる。次元及び尺度は、従来の解析における独立変数及び従属変数に類似している。例えば、バンク部門及び顧客は次元であると考えられ、勘定収支は尺度であると考えられる。単一のリレーショナルデータベースは、多くの不均一であるか相互に関係する対象を説明する場合が多い。例えば、コーヒーチェーン用に作成されたデータベースは、従業員、製品及び販売についての情報を維持するものと考えられる。データベーススキーマは、データベースでの関係、それらの関係間の関係、及びそれらの関係が対象をどのようにモデル化するかを規定するものである。
【0137】
5.8.3データキューブ
データウェアハウスは、スタースキーマ又はスノーフレークスキーマスキーマのいずれかを用いてリレーショナルデータベースとして構築することができ、多次元データセットの概念モデルを提供する。相当するデータキューブにおける各軸は、リレーショナルスキーマにおける次元を表し、その次元のあらゆる可能な値からなる。例えば、州に相当する軸は5つの値を有すると考えられ、各州に一つの値である。データキューブにおける各セルは、次元に関する値の一意的組み合わせに相当する。例えば、「州」及び「製品」という2つの次元がある場合、その2つのあらゆる一意的組み合わせに対するセルがあると考えられ、例えば(カリフォルニア、紅茶)、(カリフォルニア、コーヒー)、(フロリダ、紅茶)、(フロリダ、コーヒー)などに各1個のセルがある。各セルは、データキューブの尺度当たり1個の値を有する。従って、製品の製造及び消費情報が必要な場合、各セルは2つの値を含むことになると考えられ、一つはその州で消費される各種類の製品数に関するものであり、一つはその州で製造される各種類の製品数に関するものである。データウェアハウス内の次元は、階層構造で増加する場合が多い。各次元が階層構造を有する場合、データウェアハウスは単一のデータキューブではなく、むしろデータキューブの格子である。
【0138】
6.実施例
6.1.実施例1
胎盤の潅流及びインキュベーションによって得られる細胞の分析
下記の実施例は、本発明の方法に従って胎盤の潅流及びインキュベーションによって得ることができる細胞の分析を説明するものである。
【0139】
6.1.1材料及び方法
臍帯血バンキングプログラムに登録し、研究目的への臍帯血回収後の失血胎盤の使用を許可するインフォームド・コンセントを提供した妊婦から胎盤ドナーを募集することができる。ドナーデータは極秘とすることができる。これらのドナーは、低温保存のためのその臍帯血検体の通常の処理から得られる盲検化データの使用も許可しても良い。それによって、採取臍帯血の組成と下記の実験方法を用いて回収される流出潅流液との間で比較を行うことができるようになる。
【0140】
臍帯及び胎盤からの臍帯血の失血後、胎盤を室温で保存し、4〜24時間以内に臨床検査室に送る。胎盤は、室温で無菌の絶縁容器に入れ、出産から4時間以内に臨床検査室に送ることができる。検査により、臓器の断片化又は臍帯血管の裂離などの物理的損傷の証拠がある場合には、胎盤は廃棄される。胎盤は、無菌容器中で2〜20時間にわたり、室温(23±2℃)で維持するか、冷蔵する(4℃)。定期的に、胎盤を、25±3℃で無菌生理食塩水に浸漬するか、それで洗浄して、肉眼で見える表面の血液や残屑を除去することができる。
【0141】
臍帯は胎盤へのそれの挿入部から約5cm横切開することができ、臍帯血管に、無菌流体路につながったテフロン(登録商標)又はポリプロピレン製カテーテルをカニューレ挿入して、胎盤の両方向潅流と流出液の回収ができるようにする。上記で記載の方法によって、胎盤コンディショニングの全ての側面、潅流及び流出液回収を、管理された環境雰囲気条件ならびに血管内圧及び流量、中核温及び潅流液温度ならびに回収流出液容量のリアルタイムモニタリング下に行うことが可能となる。広範囲のコンディショニングプロトコールを24時間の産後期間にわたって評価することができ、流出液の細胞組成を、フロー・サイトメトリー、光学顕微鏡観察およコロニー形成単位アッセイによって分析することができる。
【0142】
6.1.2胎盤のコンディショニング
ドナー胎盤は、出産から12〜48時間以内に室温で処理する。処理に先立って、膜を除去し、母体側を残留血液について洗浄して清浄とする。臍帯血管に、血液単位採取用の20ゲージ翼状針から作ったカテーテルをカニューレ挿入する。
【0143】
ドナー胎盤を、残留胎性様幹細胞の増殖及び動員に生理的に適合する環境をシミュレート及び保持するよう努めながら、5〜37℃5%CO、pH7.2〜7.5、好ましくはpH7.45での維持などの各種条件下で維持する。カニューレに、2U/mLのヘパリン(Elkins-Sinn, NJ)を含むIMDM無血清培地(GibcoBRL, NY)を流す。潅流液150mLが回収されるまで、胎盤の潅流を50mL/分の速度で続ける。この容量の潅流液は「初期画分」とラベル表示しても良い。同じ速度で胎盤の潅流を続けると、約150mLの第2の画分が回収され、それは「後出画分」とラベル表示しても良い。その手順の途中、胎盤を優しくマッサージすることで、潅流プロセスを促進し、細胞材料の回収を支援する。流出液は、重力排液と動脈カニューレによる吸引の両方によって潅流回路から回収する。
【0144】
次に、ヘパリン処理した(2U/mL)ダルベッコの調整イーグル培地(H.DMEM)で15mL/分の流量で胎盤を10分間潅流し、潅流液を1時間以内に母体側から採取し、有核細胞をカウントする。回収有核細胞数が100/mLとなるまで、潅流及び採取の手順を1回又は2回繰り返す。潅流液を蓄積し、軽く遠心して、血小板、残屑及び脱有核細胞膜を除去する。次に、有核細胞をフィコール-ハイパック比重勾配遠心法によって単離し、洗浄後にH.DMEMに再懸濁させる。付着細胞を単離するため、細胞5〜10×10個の小分けサンプルを、いくつかのT−75フラスコそれぞれに入れ、バイオホイッテカー(BioWhittaker)から得られる市販の間葉幹細胞増殖培地(MSCGM)で培養し、組織培養インキュベータ(37℃、5%CO)に入れる。10〜15日後、非付着細胞をPBSでの洗浄によって除去し、次に液をMSCGMに交換する。フラスコについて、各種付着細胞型の有無、特には線維芽細胞様細胞の群の同定及び増殖を1日1回調べる。
【0145】
6.1.3 細胞の回収及び単離
5000×gで室温にて15分間遠心することで、潅流液から細胞を回収する。この手順は、夾雑物である残屑及び血小板から細胞を分離するためのものである。得られた細胞ペレットを2U/mLのヘパリン及び2mMのEDTAを含むIMDM無血清培地(GibcoBRL, NY)に再懸濁させる。製造者推奨の手順に従って、リンフォプレプ(Lymphoprep; Nycomed Pharma, Oslo, Norway)を用いて全単核球画分を単離し、単核球画分を再懸濁させる。血球計数器を用いて細胞をカウントする。トリパンブルー除外によって、生存率を評価する。0.2% EDTAを含む 0.05%トリパンの溶液(Sigma, St. Louis MO)を用いる「差別トリプシン処理」によって、間葉細胞の単離を行う。線維芽細胞様細胞は約5分以内にプラスチック表面から離れるが、他の付着細胞群は20〜30分を超えるインキュベーションを必要とすることから、差別トリプシン処理が可能である。トリプシン処理及びトリプシン中和液(TNS, BioWhittaker)を用いるトリプシン中和後に、離れた線維芽細胞様細胞を回収する。細胞をH.DMEMで洗浄し、MSCGMに再懸濁させる。
【0146】
ベクトン−ディキンソン(Becton-Dickinson)FACSカリバー(FACSCalibur)装置を用いて、フローサイトメトリーを行う。骨髄由来MSC(間葉幹細胞)用の公知のマーカーに基づいて選択されるFITC及びPE標識したモノクローナル抗体(mAbs)を、購入することができる(B. D. and Caltag laboratories, South San Francisco, CA.から)。mAbsのそれらの培養上清中での反応性を、FITC又はPE標識F(ab)′2ヤギ抗マウス抗体によって検出する。製造者の説明に従って使用される市販の誘導及び維持培地(BioWhittaker)を用いて、系統分別を行う。
【0147】
6.1.4胎盤胎性様幹細胞の単離
培養フラスコ中の付着細胞の顕微鏡検査で、形態的に異なる細胞型が明らかになるはずである。紡錘状細胞、大きい核及び多くの核周囲小液胞を有する円形細胞、及びいくつかの突起を有する星形細胞(その突起の一つにより、星形細胞はフラスコに付着した)が、培養フラスコに付着しているのを認めることができる。そのような付着細胞についてさらに特性決定する努力は行わないが、骨髄、脊髄及び末梢血の培養物で同様の細胞を認めることができることから、それらは非幹細胞的性質のものであると考えられる。最後に細胞集合として現れる線維芽細胞様細胞はMSC(間葉幹細胞)となる候補であり、差別トリプシン処理によって単離し、第2のフラスコ中で継代培養する。トリプシン処理後の円形細胞の位相差顕微鏡法で、細胞がかなり粒状化していることがわかる場合があり、それは臨床検査室で得られるかバイオ又はホイッテカーから購入される骨髄由来MSCからは識別できない。継代培養すると、初期とは対照的に、胎盤由来胎性様幹細胞は数時間以内に付着し、特徴的な線維芽細胞様細胞形状を持ち、基準の骨髄由来MSCと同一の増殖パターンを形成する可能性がある。さらに、継代培養及びリフィーディングの際、緩く結合した単核球を洗うことができ、残っている培地は均一で、肉眼で見える非線維芽細胞様細胞夾雑物がなくなっている可能性がある。
【0148】
6.1.5結果
初期及び後出画分精製した単核球上のCD34−、CD38−及び他の幹細胞関連表面マーカーの発現を、フロー・サイトメトリーによって評価することができる。回収・選別された細胞をPBSで洗浄し、次に抗CD34フィコエリトリン及び抗CD38フルオレセインイソチオシアネート(Becton Dickinson, Mountain View, CA)で二重染色することができる。
【0149】
細胞単離は、例えばオート・マックス(Auto Macs; Miltenyi)などの磁気細胞分離を用いることで行うことができる。好ましくはCD34+細胞単離を最初に行う。
【0150】
6.2.実施例2:例示的システム
図7について説明すると、本発明の1実施形態による例示的システム700を示している。例示的システム700には、端末サーバープール708とインターフェース接続された1以上のユーザー端末38、スキャナー702、プリンター704及びバーコードプリンター706がある。端末サーバープール708は、ホストであるか、ないしはCRMアプリケーション244及びLIMSアプリケーション44と電子的に通信状態となっている。一部の実施形態では、CRMアプリケーション244及びLIMSアプリケーション44には異なるサーバーがホストとなっている。図7に示した実施形態では、インターフェース716によってCRMアプリケーション244とLIMSアプリケーション44の間でドナー匿名性が確保されている。インターフェースによって、CRMアプリケーション244とLIMSアプリケーション44との間でのある種の情報の交換ならびにCRMデータベース250とLIMSデータベースとの間でのある種の情報の交換が可能である。一部の実施形態では、インターフェース716は、LIMSアプリケーション44からCRMアプリケーション244へ、下記の表1に挙げた情報を送る。留意すべき点として、表1中の情報は、HIVアッセイ結果などの扱いに慎重を要する方法は含まれていない。
【0151】
表1:例示的実施形態でインターフェース716によってLIMSアプリケーション44からCRMアプリケーション244に送られる情報
【表3】


【0152】
一部の実施形態では、インターフェース716が、CRMアプリケーション244からLIMSアプリケーションへ、下記表2に挙げた情報を送る。
【0153】
表2:例示的実施形態でインターフェース716によってCRMアプリケーション244からLIMSアプリケーション44へ送られる情報
【表4】

【0154】
一部の実施形態では、LIMSアプリケーション44にはさらに、血液学アプリケーション714とインターフェース接続するための血液学インターフェース712もある。血液学アプリケーション714は、提供された幹細胞単位の特性決定を行うのに用いられる(例えば、HLA型を決定する)。次に、提供された幹細胞単位の特性決定データを、血液学インターフェース712によってLIMSデータベース52にアップロードする。
【0155】
7.結論
本発明の具体的な実施形態についての以上の説明は、例示及び説明を目的として提供したものである。それらは包括的なものでもなく、開示されている正確な形態に本発明を限定するものではなく、上記の説明を考慮すると多くの変更及び変形形態が可能であることは明らかである。
【0156】
本発明は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体に組み込まれたコンピュータプログラム機構を含むコンピュータプログラム製品として実行することが可能である。例えば、そのコンピュータプログラム製品は、図1及び/又は図2に示したプログラムモジュールを含むことが考えられる。これらのプログラムモジュールは、RAM、ROM、ディスク、ASIC、PROM、磁気ディスク記憶製品、又はいずれか他のコンピュータ読み取り可能データもしくはプログラム記憶製品に記憶させることができる。コンピュータプログラム製品中のソフトウェアモジュールは、搬送波でコンピュータデータ信号(ソフトウェアモジュールが組み込まれている)を伝送することで、インターネットその他のものを介して電子的に配布することも可能である。
【0157】
本明細書で引用した全ての参考文献は、参照によってそれらの全内容が、あたかも個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的かつ個別にあらゆる点で参照によって全体が組み込まれるよう指示されたかのように、あらゆる点で同じ程度に本明細書に組み込まれるものとする。
【0158】
いずれの刊行物についての引用も、出願日以前のそれの開示内容に関するものであり、本発明が先行発明によるそのような公開に優先する権利を持たないことを認めるものと解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の1実施形態による臨床検査室情報管理システムアプリケーションのホストとなるコンピュータシステムを描いた図である。
【図2】本発明の1実施形態による顧客関係管理アプリケーションのホストとなるコンピュータシステムを描いた図である。
【図3】本発明の1実施形態によるドナーからの複数の幹細胞移植単位を含む幹細胞単位を得るためのフローチャートである。
【図4】本発明の1実施形態による幹細胞移植単位を分配するためのフローチャートである。
【図5】本発明の1実施形態によるドナー匿名性バンク維持しながら、幹細胞の提供を得る方法を示した図である。
【図6】本発明の1実施形態によるドナー匿名性を維持しながら、幹細胞バンク中で患者への幹細胞の適合を得る方法を示した図である。
【図7】本発明の1実施形態によるシステムの例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幹細胞レジストリーを維持する方法において、
前記幹細胞レジストリーにドナーを登録する段階;
前記ドナーからの複数の胎盤幹細胞移植単位を特性決定する段階、ここで前記胎盤幹細胞移植単位は、1以上の胎盤幹細胞単位として又はその中に保存される;及び
前記特性決定によって得られた前記複数の胎盤幹細胞移植単位に関する情報を前記幹細胞レジストリーに記録する段階
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位が25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位が50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位が75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記登録が前記幹細胞レジストリーに前記ドナーに関するドナー同定情報を記憶させる段階を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記幹細胞レジストリーが複数の幹細胞単位に関する情報を含む請求項1に記載の方法であって、
患者の型情報を得る段階;及び
前記患者の型情報に適合する型情報を有する幹細胞単位に関して、前記複数の幹細胞単位を検索する段階
をさらに有し、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位と前記患者との間に適合が認められる場合は、前記方法が
(i)前記複数の幹細胞単位中の前記適合幹細胞単位からのある数の胎盤幹細胞移植単位を前記患者に割り当てる段階;及び
(ii)前記幹細胞レジストリー中で利用可能な前記適合幹細胞単位の胎盤幹細胞移植単位数を、前記患者に割り当てた前記胎盤幹細胞移植単位数だけ減らす段階
をさらに有する方法。
【請求項7】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数の関数である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数及び前記患者の体重の関数である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記患者に対して、0.5×10個〜200×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記患者に対して、1×10個〜50×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数、前記患者の年齢及び前記患者の体重の関数である請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記ドナーが哺乳動物であり、前記ドナーからの前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の第1の胎盤幹細胞移植単位が、失血及び潅流されている前記ドナーの産後胎盤から得られる胎盤幹細胞を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ドナーがヒトである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記幹細胞レジストリーが少なくとも100幹細胞単位に関する情報を含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記幹細胞レジストリーが少なくとも1000幹細胞単位に関する情報を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記特性決定が、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について有核細胞カウントを行う段階、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について白血球カウントを行う段階、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について単核球カウントを行う段階、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてCD34−陽性細胞カウントを行う段階、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてCD3−陽性細胞カウントを行う段階、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてコロニー形成細胞アッセイを行う段階、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について感染疾患アッセイを行う段階、又は
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位のHLA血液型を決定する段階
を有する請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記特性決定が、前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位を別個に特性決定する段階を有する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記幹細胞レジストリーに前記ドナーを登録する前記段階が前記ドナーから料金を受け取る段階を有する請求項1に記載の方法であって、
前記ドナー又は前記ドナーの家族構成員から前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位に関する要請を受け取る段階;及び
前記胎盤幹細胞移植単位を前記ドナー又は前記ドナーの前記家族構成員に割り当てる段階
をさらに有する方法。
【請求項19】
コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有し、前記コンピュータプログラム機構が、
幹細胞に関する情報を有する幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュールを有し、前記幹細胞トラッキングモジュールが、
前記幹細胞データベースにドナーを登録する命令;
前記ドナーを取得源とする複数の胎盤幹細胞移植単位の特性決定データを受け取る命令;及び
前記幹細胞データベースに前記特性決定データを記録する命令
を含むデータ入力ルーチンを有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位が25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位が50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位が75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
前記登録命令が、前記幹細胞データベースに前記ドナーに関するドナー識別情報を記憶させる命令を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項24】
前記幹細胞トラッキングモジュールが、
患者の型情報を得る命令;及び
前記患者の前記型情報に適合する型情報を有する幹細胞単位について、前記幹細胞データベース中の複数の幹細胞単位に関する情報を検索する命令
を含むデータ照会ルーチンをさらに含み、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位と前記患者との間に適合が認められる場合は、前記データ照会ルーチンが、
前記適合幹細胞単位中のある数の胎盤幹細胞移植単位を前記患者に割り当てる命令;及び
前記幹細胞レジストリー中で利用可能な前記適合幹細胞単位の胎盤幹細胞移植単位数を、前記患者に割り当てた前記胎盤幹細胞移植単位数だけ減らす命令
をさらに有する請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項25】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数の関数である請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数及び前記患者の体重の関数である請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
前記患者に対して、0.5×10個〜200×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
前記患者に対して、1×10個〜50×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数、前記患者の年齢及び前記患者の体重の関数である請求項24に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項30】
前記ドナーが哺乳動物であり、前記ドナーからの前記幹細胞単位が、失血及び潅流された前記ドナーの産後胎盤から得られた幹細胞を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項31】
前記ドナーがヒトである請求項28に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項32】
前記幹細胞データベースが、少なくとも100幹細胞単位に関する情報を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項33】
前記幹細胞データベースが、少なくとも1000幹細胞単位に関する情報を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項34】
前記受け取り命令が、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について有核細胞カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について白血球カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について単核球カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてCD34−陽性細胞カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてCD3−陽性細胞カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてコロニー形成細胞アッセイを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について感染疾患アッセイの結果を受け取る命令、又は
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位のHLA血液型の結果を受け取る命令
を有する請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項35】
前記データ入力ルーチンがさらに、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位の特性決定データを受け取る命令を含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項36】
前記幹細胞データベースに前記ドナーを登録する前記命令が、前記ドナーから料金を受け取る命令を含み、前記幹細胞トラッキングモジュールがさらに、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についての前記ドナー又は家族構成員からの要請を受け取る命令;及び
前記ドナー又は前記ドナーの前記家族構成員に対して、前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位を割り当てる命令
を含むデータ照会ルーチンをさらに含む請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項37】
中央処理装置;
前記中央処理装置と連結しているメモリー
を有するコンピュータシステムにおいて、前記メモリーが、
幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュール
を記憶し;前記幹細胞トラッキングモジュールが、
前記幹細胞データベースにドナーを登録する命令;
前記ドナーを取得源とする複数の胎盤幹細胞移植単位の特性決定データを受け取る命令;及び
前記幹細胞データベース中の前記複数の胎盤幹細胞移植単位に関する情報を記録する命令
を含むデータ入力ルーチンを有することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項38】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位が25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項39】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位が50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項40】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位が75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項41】
前記登録命令が、前記幹細胞データベースに前記ドナーに関するドナー識別情報を記憶させる命令を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項42】
前記幹細胞トラッキングモジュールが、
患者の型情報を得る命令;及び
前記患者の前記型情報に適合する型情報を有する幹細胞単位について、前記幹細胞データベース中に記憶されている複数の幹細胞単位に関する情報を検索する命令
を含むデータ照会ルーチンをさらに含み、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位と前記患者との間に適合が認められる場合は、前記データ照会ルーチンが、
前記複数の幹細胞単位中の適合する幹細胞単位からある数の胎盤幹細胞移植単位を前記患者に割り当てる命令;及び
前記幹細胞レジストリー中で利用可能な前記適合幹細胞単位の胎盤幹細胞移植単位数を、前記患者に割り当てた前記胎盤幹細胞移植単位数だけ減らす命令
をさらに有する請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項43】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数の関数である請求項42に記載のコンピュータシステム。
【請求項44】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数及び前記患者の体重の関数である請求項43に記載のコンピュータシステム。
【請求項45】
前記患者に対して、0.5×10個〜200×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項44に記載のコンピュータシステム。
【請求項46】
前記患者に対して、1×10個〜50×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項44に記載のコンピュータシステム。
【請求項47】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記胎盤幹細胞移植単位数が、各割り当てられた胎盤幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数、前記患者の年齢及び前記患者の体重の関数である請求項44に記載のコンピュータシステム。
【請求項48】
前記ドナーが哺乳動物であり、前記ドナーからの前記胎盤幹細胞単位が、失血及び潅流された前記ドナーの産後胎盤から得られた幹細胞を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項49】
前記ドナーがヒトである請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項50】
前記幹細胞データベースが、少なくとも100幹細胞単位に関する情報を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項51】
前記幹細胞データベースが、少なくとも1000幹細胞単位に関する情報を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項52】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位の特性決定データを受け取る前記命令が、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について有核細胞カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について白血球カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について単核球カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてCD34−陽性細胞カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてCD3−陽性細胞カウントを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位についてコロニー形成細胞アッセイを受け取る命令、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位について感染疾患アッセイの結果を受け取る命令、又は
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位のHLA血液型の結果を受け取る命令
を有する請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項53】
前記データ入力ルーチンがさらに、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位の特性決定データを受け取る命令を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項54】
特性決定データを受け取る前記命令が、前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の各胎盤幹細胞移植単位の別個の特性決定データを受け取る命令を含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項55】
前記幹細胞データベースに前記ドナーを登録する前記命令が、前記ドナーから料金を受け取る命令を含み;前記幹細胞トラッキングモジュールがさらに、
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の1以上の胎盤幹細胞移植単位についての前記ドナー又は家族構成員からの要請を受け取る命令、及び
前記ドナー又は前記ドナーの前記家族構成員に対して、前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の胎盤幹細胞移植単位を割り当てる命令
を含むデータ照会ルーチンをさらに含む請求項37に記載のコンピュータシステム。
【請求項56】
前記複数の胎盤幹細胞移植単位中の少なくとも1つの胎盤幹細胞移植単位が、前記1以上の胎盤幹細胞移植単位の前記割り当て後に残っている請求項55に記載のコンピュータシステム。
【請求項57】
幹細胞レジストリーを維持する方法において、
前記幹細胞レジストリーにドナーを登録する段階;
前記ドナーからの複数の幹細胞単位を特性決定する段階、ここで前記複数の幹細胞単位中の第1の幹細胞単位の入手源が、前記複数の幹細胞単位中の第2の幹細胞単位の入手源と異なる;及び
前記幹細胞レジストリー中の前記複数の幹細胞単位に関する情報を記録する段階(前記情報は、前記複数の幹細胞単位中の各幹細胞単位における少なくとも1幹細胞移植単位の指標を含む)
を有することを特徴とする方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの幹細胞移植単位がそれぞれ、25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの幹細胞移植単位がそれぞれ、50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1つの幹細胞移植単位がそれぞれ、75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記登録が前記幹細胞レジストリーに前記ドナーに関するドナー同定情報を記憶させる段階を有する請求項57に記載の方法。
【請求項62】
前記幹細胞レジストリーが複数の幹細胞単位に関する情報を含み、各幹細胞単位が複数の幹細胞移植単位を含む請求項57に記載の方法であって、
患者の型情報を得る段階;及び
前記患者の型情報に適合する型情報を有する幹細胞単位に関して、前記複数の幹細胞単位を検索する段階
をさらに有し、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位と前記患者との間に適合が認められる場合は、前記方法が
(i)前記複数の幹細胞単位中の前記適合幹細胞単位中の幹細胞単位からのある数の幹細胞移植単位を前記患者に割り当てる段階;及び
(ii)前記幹細胞レジストリー中で利用可能な前記適合幹細胞単位の前記幹細胞単位中の幹細胞移植単位数を、前記患者に割り当てた前記幹細胞移植単位数だけ減らす段階
をさらに有する方法。
【請求項63】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記幹細胞移植単位数が、各割り当てられた幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数の関数である請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記幹細胞移植単位数が、各割り当てられた幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数及び前記患者の体重の関数である請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記患者に対して、0.5×10個〜200×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記患者に対して、1×10個〜50×10個の有核細胞/患者体重kgを割り当てる請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記患者に割り当てられた前記適合幹細胞単位からの前記幹細胞移植単位数が、各割り当てられた幹細胞移植単位中の前記有核幹細胞数、前記患者の年齢及び前記患者の体重の関数である請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記ドナーが哺乳動物であり、前記第1の幹細胞単位が、失血及び潅流されている前記ドナーの産後胎盤から得られる胎盤幹細胞を含む請求項57に記載の方法。
【請求項69】
前記ドナーがヒトである請求項57に記載の方法。
【請求項70】
前記幹細胞レジストリーが少なくとも100幹細胞単位に関する情報を含む請求項57に記載の方法。
【請求項71】
前記幹細胞レジストリーが少なくとも1000幹細胞単位に関する情報を含む請求項57に記載の方法。
【請求項72】
前記特性決定が、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位について有核細胞カウントを行う段階、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位について白血球カウントを行う段階、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位について単核球カウントを行う段階、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位についてCD34−陽性細胞カウントを行う段階、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位についてCD3−陽性細胞カウントを行う段階、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位についてコロニー形成細胞アッセイを行う段階、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位について感染疾患アッセイを行う段階、又は
前記複数の胎盤幹細胞単位中の幹細胞単位のHLA血液型を決定する段階
を有する請求項57に記載の方法。
【請求項73】
前記特性決定が、前記複数の幹細胞単位中の各幹細胞単位を別個に特性決定する段階を有する請求項57に記載の方法。
【請求項74】
前記幹細胞レジストリーに前記ドナーを登録する前記段階が前記ドナーから料金を受け取る段階を有する請求項57に記載の方法であって、
前記ドナー又は前記ドナーの家族構成員から前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位中の幹細胞移植単位に関する要請を受け取る段階;及び
前記幹細胞移植単位を前記ドナー又は前記ドナーの前記家族構成員に割り当てる段階
をさらに有する方法。
【請求項75】
前記ドナーが哺乳動物であり;
前記第1の幹細胞単位の入手源が失血及び潅流された前記ドナーの産後胎盤であり、
前記第2の幹細胞単位の入手源が前記ドナーの前記臍帯血である請求項57に記載の方法。
【請求項76】
前記ドナーの産後胎盤から得られた幹細胞が、前記複数の幹細胞単位中の1以上の幹細胞単位を形成しており;
前記ドナーの前記臍帯血から得られた幹細胞が、前記複数の幹細胞単位中の異なる幹細胞単位を形成している請求項57に記載の方法。
【請求項77】
コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有し、前記コンピュータプログラム機構が、
幹細胞に関する情報を有する幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュール
を有し、前記幹細胞トラッキングモジュールが、
前記幹細胞データベースにドナーを登録する命令;
前記ドナーを取得源とする複数の幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令、ここで前記複数の幹細胞単位中の第1の幹細胞単位の入手源が、前記複数の幹細胞単位中の第2の幹細胞単位の入手源と異なる;及び
前記幹細胞データベースに前記特性決定データを記録する命令、ここで前記情報は前記複数の幹細胞単位中の各幹細胞単位中の少なくとも1幹細胞移植単位の指標を含む
を含むデータ入力ルーチンを有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項78】
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞移植単位が25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項77に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項79】
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞移植単位が50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項77に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項80】
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞移植単位が75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項77に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項81】
前記登録命令が、前記幹細胞データベースに前記ドナーに関するドナー識別情報を記憶させる命令を含む請求項77に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項82】
前記幹細胞トラッキングモジュールが、
患者の型情報を得る命令;及び
前記患者の前記型情報に適合する型情報を有する幹細胞単位について、前記幹細胞データベース中の複数の幹細胞単位に関する情報を検索する命令
を含むデータ照会ルーチンをさらに含み、
前記複数の幹細胞単位中の幹細胞単位と前記患者との間に適合が認められる場合は、前記データ照会ルーチンが、
(i)前記適合幹細胞単位中のある数の幹細胞移植単位を前記患者に割り当てる命令;及び
(ii)前記幹細胞レジストリー中で利用可能な前記適合幹細胞単位の幹細胞移植単位数を、前記患者に割り当てた前記幹細胞移植単位数だけ減らす命令
をさらに有する請求項77に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項83】
中央処理装置;
前記中央処理装置と連結しているメモリー
を有するコンピュータシステムにおいて、前記メモリーが、
幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュール
を記憶し;前記幹細胞トラッキングモジュールが、
前記幹細胞データベースにドナーを登録する命令;
前記ドナーを取得源とする複数の幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令、ここで前記複数の幹細胞単位中の第1の幹細胞単位の入手源が、前記複数の幹細胞単位中の第2の幹細胞単位の入手源と異なる;及び
前記幹細胞データベース中の前記複数の幹細胞単位に関する情報を記録する命令、ここで前記情報は、前記複数の幹細胞単位中の各幹細胞単位における少なくとも1幹細胞移植単位の指標を含む
を含むデータ入力ルーチンを有することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項84】
コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有し、前記コンピュータプログラム機構が、
複数のドナーに関する情報を含む顧客関係管理データベース;
顧客関係管理アプリケーションであって、
(i)前記顧客関係管理データベースにドナーを登録する命令;及び
(ii)前記ドナーに採取識別番号を割り当てる命令
を含むもの;
複数の幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース;及び
データ入力ルーチンを含む幹細胞トラッキングモジュールであって、前記データ入力ルーチンが
(i)前記ドナーについての前記採取識別番号を受け取る命令;
(ii)前記ドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令(前記特性決定データは、前記ドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データを含む);及び
(iii)前記幹細胞単位の前記特性決定データを前記幹細胞データベースに入力する命令
を含むもの
を有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項85】
前記少なくとも2つの異なる取得源のうちの第1の取得源が前記ドナーの臍帯血であり、少なくとも2つの異なる取得源のうちの第2の取得源が前記ドナーの胎盤である請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項86】
前記胎盤が失血及び潅流されたものである請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項87】
前記顧客関係管理データベースが、前記複数ドナー中の各ドナーに関する個々のデータ入力を含み;前記各個々のデータ入力が、
前記ドナーの氏名;
ドナー接触情報;
前記ドナーに関連する前記採取識別番号;
臍帯血球数;及び
胎盤血球数
を含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項88】
前記幹細胞データベースが、前記複数ドナー中の各ドナーに関する個々のデータ入力を含み;前記各個々のデータ入力が
前記ドナーに関連する前記採取識別番号;
前記ドナーの第1の取得源からの幹細胞の特性決定データ;及び
前記ドナーの第2の取得源からの幹細胞の特性決定データ
を含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項89】
前記ドナーの前記第1の取得源が臍帯血であり、前記ドナーの前記第2の取得源が前記ドナーに関連する前記胎盤である請求項88に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項90】
前記第2の取得源からの前記幹細胞が複数の幹細胞移植単位を構成している請求項89に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項91】
前記複数の幹細胞移植単位中の各幹細胞移植単位が25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項90に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項92】
前記複数の幹細胞移植単位中の各幹細胞移植単位が50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項90に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項93】
前記複数の幹細胞移植単位中の各幹細胞移植単位が75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項90に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項94】
前記顧客関係管理データベースが、フラットファイル、リレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース又は階層オンライン解析処理データキューブを含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項95】
前記幹細胞データベースが、フラットファイル、リレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース又は階層オンライン解析処理データキューブを含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項96】
前記顧客関係管理データベースが、明確に規定された階層を持たない請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項97】
前記幹細胞データベースが、明確に規定された階層を持たない請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項98】
前記顧客関係管理データベースがリレーショナルスタースキーマを含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項99】
前記幹細胞データベースがリレーショナルスタースキーマを含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項100】
前記幹細胞トラッキングモジュールがさらに、
患者の型情報を受け取る命令及び
前記患者の前記型情報と適合する型情報を有する幹細胞単位に関して、前記複数の幹細胞単位を検索する命令
を含む請求項84に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項101】
前記幹細胞トラッキングモジュールがさらに、検索権限を受け取る命令を含み;前記検索命令が、前記検索権限を受け取っていない時点で検索を行わない請求項100に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項102】
前記複数の幹細胞単位中の1幹細胞単位と患者との間に適合が認められる場合、前記幹細胞トラッキングモジュールが、前記適合幹細胞単位がパブリックである場合には前記適合幹細胞単位を前記患者に対して認可する命令を含む請求項100に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項103】
前記型情報がヒト白血球抗原型である請求項100に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項104】
中央処理装置;
リモートコンピュータと通信するためのネットワークインターフェースカード;及び
中央処理装置と連結されているメモリー
を有するコンピュータシステムにおいて、前記メモリーが、
複数のドナーについての情報を含む顧客関係管理データベース;及び
顧客関係管理アプリケーション
を含み、該アプリケーションが、
(i)前記顧客関係管理データベースにドナーを登録する命令;
(ii)一意的に採取識別番号を前記ドナーに関連付ける命令;及び
(iii)前記リモートコンピュータがホストとなっている幹細胞トラッキングモジュールに前記採取識別番号を伝送する命令
を含むことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項105】
中央処理装置;
リモートコンピュータと通信するためのネットワークインターフェースカード;及び
中央処理装置に連結されたメモリー
を有するコンピュータシステムにおいて、前記メモリーが、
複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュール
を記憶しており、該幹細胞トラッキングモジュールが、
(i)前記採取識別番号が一意的にドナーに関連付けられるように前記リモートコンピュータから採取識別番号を受け取る命令;
(ii)前記特性決定データが前記ドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データを含むように前記ドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令;及び
(iii)前記ドナーからの幹細胞単位の前記特性決定データで前記幹細胞トラッキングモジュールの更新を行う命令
を含むデータ入力ルーチンを含むことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項106】
前記少なくとも2つの異なる取得源のうちの第1の取得源が前記ドナーの臍帯血であり、少なくとも2つの異なる取得源のうちの第2の取得源が前記ドナーの胎盤である請求項105に記載のコンピュータシステム。
【請求項107】
前記顧客関係管理データベースが、前記複数ドナー中の各ドナーに関する個々のデータ入力を含み;前記各個々のデータ入力が、
前記ドナーの氏名;
ドナー接触情報;
前記ドナーに関連する前記採取識別番号;
臍帯血球数;及び
胎盤血球数
を含む請求項104に記載のコンピュータシステム。
【請求項108】
前記幹細胞データベースが、前記複数の幹細胞単位中の各幹細胞単位に関する個々のデータ入力を含み;前記各個々のデータ入力が
前記幹細胞単位のドナーに関連する採取識別番号;
前記ドナーの第1の取得源からの幹細胞の特性決定データ;及び
前記ドナーの第2の取得源からの幹細胞の特性決定データ
を含む請求項105に記載のコンピュータシステム。
【請求項109】
前記ドナーの前記第1の取得源が臍帯血であり、前記ドナーの前記第2の取得源が前記ドナーに関連する前記胎盤である請求項108に記載のコンピュータシステム。
【請求項110】
前記第2の取得源からの前記幹細胞が複数の幹細胞移植単位を構成している請求項110に記載のコンピュータシステム。
【請求項111】
前記複数の幹細胞移植単位中の各幹細胞移植単位が25×10個の有核細胞〜50×10個の有核細胞を含む請求項110に記載のコンピュータシステム。
【請求項112】
前記複数の幹細胞移植単位中の各幹細胞移植単位が50×10個の有核細胞〜75×10個の有核細胞を含む請求項110に記載のコンピュータシステム。
【請求項113】
前記複数の幹細胞移植単位中の各幹細胞移植単位が75×10個の有核細胞〜200×10個の有核細胞を含む請求項110に記載のコンピュータシステム。
【請求項114】
前記顧客関係管理データベースが、フラットファイル、リレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース又は階層オンライン解析処理データキューブである請求項104に記載のコンピュータシステム。
【請求項115】
前記幹細胞データベースが、フラットファイル、リレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース又は階層オンライン解析処理データキューブを含む請求項105に記載のコンピュータシステム。
【請求項116】
前記顧客関係管理データベースが、明確に規定された階層を持たない請求項104に記載のコンピュータシステム。
【請求項117】
前記幹細胞データベースが、明確に規定された階層を持たない請求項105に記載のコンピュータシステム。
【請求項118】
前記顧客関係管理データベースがリレーショナルスタースキーマを含む請求項104に記載のコンピュータシステム。
【請求項119】
前記幹細胞データベースがリレーショナルスタースキーマを含む請求項105に記載のコンピュータシステム。
【請求項120】
前記幹細胞トラッキングモジュールがさらに、
患者の型情報を受け取る命令及び
前記患者の前記型情報と適合する型情報を有する幹細胞単位に関して、前記複数の幹細胞単位を検索する命令
を含む請求項105に記載のコンピュータシステム。
【請求項121】
前記幹細胞トラッキングモジュールがさらに、検索権限を受け取る命令を含み;前記検索命令が、前記検索権限を受け取っていない時点で検索を行わない請求項120に記載のコンピュータシステム。
【請求項122】
前記複数の幹細胞単位中の1幹細胞単位と患者との間に適合が認められる場合、前記幹細胞トラッキングモジュールが、前記適合幹細胞単位がパブリックである場合における前記適合幹細胞単位の前記患者への認可を含む請求項120に記載のコンピュータシステム。
【請求項123】
前記型情報がヒト白血球抗原型である請求項120に記載のコンピュータシステム。
【請求項124】
コンピュータシステムにおいて、
複数のドナーに関する情報を含む顧客関係管理データベース;
顧客関係管理アプリケーションであって、
(i)前記顧客関係管理データベースにドナーを登録する命令;及び
(ii)前記ドナーに採取識別番号を一意的に関連付ける命令
を含むもの;
複数の幹細胞単位に関する情報を含む幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュール
を含み、該幹細胞トラッキングモジュールが、
(i)前記採取識別番号を受け取る命令;
(ii)前記ドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令(前記特性決定データは、前記ドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データを含む);及び
(iii)幹細胞の前記特性決定データを前記幹細胞データベースに記憶させる命令
を含むデータ入力ルーチンを含むことを特徴とするコンピュータシステム。
を有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項125】
請求項1に記載の方法の前記段階を行うためのコンピュータが実行可能な命令を有するコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項126】
コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品において、該コンピュータプログラム製品が、コンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有し;該コンピュータプログラム機構が、複数のデータ・レコードを含み、
前記複数のデータ・レコード中の1以上の個々のデータ・レコードが、
一意的に幹細胞提供物に相当する採取識別番号;
前記幹細胞提供物に関連する臍帯血球数;及び
前記幹細胞提供物に関連する胎盤血球数
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項127】
前記幹細胞提供物が哺乳動物を取得源とするものであり、前記胎盤血球数が、前記胎盤を失血及び潅流した後に前記哺乳動物の産後胎盤から得た細胞数を表す請求項126に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項128】
コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品において、該コンピュータプログラム製品がコンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有し;該コンピュータプログラム機構が、複数のデータ・レコードを含み;
前記複数のデータ・レコード中の1以上の個々のデータ・レコードが、
幹細胞提供物に関連する臍帯血球数、
前記幹細胞提供物に関連する胎盤血球数及び
前記幹細胞提供物における少なくとも2つの幹細胞移植単位の指標を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項129】
前記幹細胞提供物が哺乳動物由来のものであり、前記胎盤血球数が前記胎盤が失血及び潅流された後の前記哺乳動物の産後胎盤から得られた細胞数を表す請求項128に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項130】
コンピュータシステムと組み合わせて使用されるコンピュータプログラム製品において、前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ読み取り可能記憶媒体及びそれに組み込まれたコンピュータプログラム機構を有し;前記コンピュータプログラム機構が、
複数のドナーについての情報を含む顧客関係管理データベース;
(i)前記顧客関係管理データベースにドナーを登録する命令、
(ii)一意的に採取識別番号を前記ドナーに関連付ける命令、及び
(iii)前記リモートコンピュータがホストとなっている幹細胞トラッキングモジュールに前記採取識別番号を伝送する命令を含む顧客関係管理アプリケーション;
複数の幹細胞単位についての情報を含む幹細胞データベース;及び
幹細胞トラッキングモジュールであって、
(i)前記顧客関係管理アプリケーションから採取識別番号を受け取る命令、
(ii)前記特性決定データが前記ドナーの少なくとも2つの異なる取得源からの幹細胞の特性決定データを含むように前記ドナーからの幹細胞単位の特性決定データを受け取る命令、及び
(iii)前記ドナーからの前記幹細胞単位の前記特性決定データを前記幹細胞データベースに記憶させる命令を含むデータ入力ルーチンを含む幹細胞トラッキングモジュール
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項131】
前記顧客関係管理データベース及び前記幹細胞データベースが2台の異なるコンピュータ上にあり、前記幹細胞データベースにアクセスするにはアクセス権限が必要である請求項130に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項132】
前記幹細胞データベースが、リレーショナルデータベース、オンライン解析処理データベース、又は階層オンライン解析処理データキューブであり;前記複数の幹細胞単位に関する前記情報を、照会検索に適合する特性を有する幹細胞単位に関して検索することができる請求項130に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−531116(P2007−531116A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505067(P2007−505067)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009366
【国際公開番号】WO2005/097190
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505307367)セルジーン・コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】