説明

幼児用玩具

【課題】幼児が遊び終わって放置したままの玩具の回収作業を改善する。
【解決手段】幼児用玩具が積み重ね可能な構造を有するブロック単体1Bである一例に於いて、ブロック単体1Bの上面の裏側に該当する中空の内部空間の底面1BUSL上に、鉄板2が、ブロック単体1Bの表側からは見えない或いは触ることができない様に、ネジ止めにより、又は、接着剤による接着又は溶着又はリベット止め又は圧入によって、配設されている。その結果、幼児が遊び終わって放置したままのブロック単体1B又は積み重なった状態でのブロック体に磁石板を近づけるだけで、鉄板2を有するブロック単体1B等は磁石板に吸い付けられるので、容易に且つ確実に、放置された幼児用玩具を回収して、おもちゃ箱内に入れて整理することが出来る。幼児用玩具の回収時間も、手で一つずつ玩具を拾って集める場合よりも短くすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、幼稚園に通い出す前の年齢の子供(以下「幼児」という。)を対象とした幼児用玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児が遊ぶための合成樹脂(プラスチック)製の様々な幼児用玩具が、おもちゃ店で販売されている。幼児は、おもちゃ店で購入した合成樹脂製の幼児用玩具を使用して遊ぶことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−311462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的には、幼児は、幼児用玩具を用いて遊んだ後は、使用した幼児用玩具を自らおもちゃ箱の中に入れて片付けることをしない場合が多い。そのため、幼児用玩具の使用後には、幼児用玩具が部屋内に散在した状態となる。結局は、親等が、部屋内に散らばった幼児用玩具を一つずつ手で拾い回って回収した幼児用玩具を、おもちゃ箱の中に入れて片付けさせられることになる。
【0005】
この様な、親等が一品毎に手で使用済みの幼児用玩具を拾い上げて片付け作業を行うことは、以外に面倒な作業であり、しかも、そのための相当な回収時間を必要とする。
【0006】
この発明は、斯かる状況に鑑みて成されたものであり、幼児が幼児用玩具で遊んだ後に室内に幼児用玩具を放置したために、散在した幼児用玩具の面倒な回収作業を容易化・効率化して回収作業の面倒くささを改善し、以って、おもちゃ箱への回収作業の時間の短縮化を図ることを、その目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主題に係る幼児用玩具は、合成樹脂より成る玩具本体と、前記玩具本体の内で少なくとも表面側からは見えない部分或いは少なくとも触ることが出来ない部分に設けられた鉄板又は鋼板或いは前記玩具本体の内部全体に混ざり込んでいる複数の鉄粉とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の主題によれば、幼児用玩具の片付け作業を行う者は、室内に放置された合成樹脂製の幼児用玩具に、手で保持した磁石を近づける動作を行うだけで、幼児用玩具の各々を磁石の磁力により当該磁石に確実に吸い付けていくことが出来るので、一々手で一つずつ幼児用玩具を拾い上げる動作を不要とし、散らかった幼児用玩具の各々を手早く回収して、おもちゃ箱の中に整理することが出来る。その結果、親等が一々手で拾い上げて幼児用玩具を回収していた面倒な作業の場合と比べて、格段に、おもちゃ箱への回収作業の時間の短縮化が図られる。
【0009】
以下、本発明の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】幼児用玩具の一例としてプラスチック製のブロックを示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るプラスチック製ブロックの裏側から眺めた構成を示す底面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るプラスチック製ブロックの片付け作業を模式的に示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るプラスチック製ブロックの縦断面構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るプラスチック製ブロックの正面構造を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
<幼児用玩具の一例の構成>
【0012】
図1は、幼児用玩具の一例として、合成樹脂製のブロックを模式的に示す斜視図である。図1において、各ブロック単体1A,1Bは、その本体が合成樹脂(プラスチック)より成る、略直方体形状の玩具(玩具本体に該当。)であり、その上面1AUS,1BUS上には、嵌め込み用の円柱状の突出部1AA,1AB,1AC,1AD,1BA,1BB,1BC,1BDが設けられている。各ブロック単体1A,1Bは、その下面が開口されて中空の内部空間を有しているが、図1に図示の構成では、その点は表現されてはいない。図1に於いて破線で例示する様に、下側のブロック単体1Aは、上側のブロック単体1Bの裏側から、同ブロック単体1Bの中空の内部空間に突出部1AA,1AB,1AC,1ADが挿入されて支持されることにより、上側のブロック単体1Bと繋がって一体化される。以上の通り、各ブロック単体1A,1Bをその表面側から眺めた際に視覚的に認識される構成要素は、以上の各部分のみである。
【0013】
図2は、図1の矢印ARAから、上側のブロック単体1Bの裏側構成を模式的に示した底面図である。図2に於いて、図2の紙面に平行な面で切断した際の横断面が円形と成る円柱部1BLPは、図1のブロック単体1Bの上面1BUSの裏面1BUSLの中央部から開口された底面1BBSの位置まで、同ブロック単体1Bの中空の内部空間内を延在している。そして、図2において破線で示された、円柱部1BLPの側面とブロック単体1Bの中空の内部空間の壁面との間の空間に、図1の突出部1AA,1AB,1AC,1ADが挿入されて、両ブロック単体1A,1Bは一体的に結合される。
【0014】
図2に示される本実施の形態の特徴点は、便宜上、ハッチングが施された鉄板2の存在である。この鉄板2は、その中央部に開口部2Hを有しており、この開口部2Hを円柱部1BLPが突入している。そして、鉄板2の上面2USと対面する下面(図示せず。)は、全面的に、ブロック単体1Bの上面1BUSの裏面1BUSLに結合されて配設されている。この場合、鉄板2とブロック単体1Bの裏面1BUSLとの結合は、ネジ止めでも良いし、或いは、接着剤の使用による接着であっても良い。或いは、上記結合は、溶着により、又はリベット止めにより、又は圧入によっても良い。要点は、ブロック単体(幼児用玩具)の表面側からは、鉄板2が、視覚的に認知されない(見えない)位置に、或いは、幼児が鉄板2を触ることが出来ない位置に、設けられていることである。この要点を満たすことにより、幼児用玩具の表面側から同玩具を見る限りは、鉄板2の存在は判らない、或いは、鉄板2を触ることが出来ない為、金属アレルギーをもつ幼児でも安心して遊ぶことができる。
【0015】
尚、もう一方のブロック単体1Aにも、同様な構造の鉄板2が設けられていても良い。
【0016】
<幼児用玩具の一例の回収方法>
図2の鉄板2が裏側に配設された両ブロック単体1A,1Bが一体的に結合された状態で、室内に放置されている場合に、親等が当該ブロック単体1A,1Bの結合体を回収する方法について、以下に記載する。
【0017】
図3は、図1に示す両ブロック単体1A,1Bが一体的に結合された状態にある場合の両ブロック単体1A,1Bの回収方法を記載するための模式図である。
【0018】
図3において、親等の片付けを行おうとする者は、手に磁石板MPを持った上で、当該磁石板MPを両ブロック単体1A,1Bに近づける。この場合、両ブロック単体1A,1Bの何れか一方の又は両方のブロック単体1A,1Bは視覚的には見えない上面部の裏面上に配設された図2の鉄板2を有している。その結果、磁石板MPが発する磁力によって、ブロック単体1A,1Bはその一体化した状態を保ったままで磁石板MPに吸い付けられる。この動作を単純に片付け者は順次に行っていくことにより、幼児が放置して室内に散在している幼児用玩具の各々を、ここでは各ブロック単体を、片付け者は、容易に且つ確実に回収して、ブロック単体が付着された磁石板MPをおもちゃ箱(図示せず。)まで運んでいき、その後は手でブロック単体を磁石板MPから外して上記おもちゃ箱内に入れることが出来る。この様な回収動作は、単純且つ容易な動作にすぎず、特に面倒な作業ではないので、幼児用玩具をおもちゃ箱内に片付けるのに要する時間を短くすることが出来、その点を通じて、親等の片付け者は、図2の構造の幼児用玩具の利便性を回収作業に於いて感じることが出来る。
【0019】
(実施の形態2)
<幼児用玩具の他例の構成>
図4は、本実施の形態に係る幼児用玩具の他例であるブロック単体1Bの構造を示す縦断面図である。当該ブロック単体1Bの斜視図での構成は、図1に例示する構成と同一である。即ち、図2は、図1に示す断線CLに関する縦断面図に該当する。よって、図1の各構成要素と同一部分に該当する各構成要素の記載は、実施の形態1での該当する記載を援用する。
【0020】
図4の構成において、図2の構成と相違する点は、ブロック単体1Bが有する鉄板2Aの存在位置にある。即ち、図4に例示する様に、鉄板2A全体は、合成樹脂よりなるブロック単体1B内に埋設されており、鉄板2Aの構造は当該ブロック単体1Bの外部(表側及び裏側の何れの方向)からは全く見えない状態となっている。そのため、ブロック単体は恰も合成樹脂のみより成り立っていると視覚的には見えるので、幼児用玩具としての外観の見栄えは良くなる。
【0021】
図4の構造の実現方法としては、インサート成形の製造過程において、樹脂を金型に流し込む前に、金型内に予め鉄板2Aを載置しておき、その後に、樹脂を金型内に流し込んで成形することにより実現可能である。その結果、本実施の形態は、実施の形態1に於ける様な鉄板2のネジ止め工程を不要とし、又は、鉄板2の固定に関して接着剤を使用することを不要として、鉄板を有する幼児用玩具の製造工程を簡素化することが出来、しかも、当該幼児用玩具の大量生産化に資することも可能となる。
【0022】
本実施の形態に係る幼児用玩具(図4の構造に相当。)の回収方法は、実施の形態1に於ける図3に関する記載と同様であり、幼児用玩具の回収作業に際して同様な作用効果が得られる。
【0023】
(実施の形態3)
<幼児用玩具の更なる他例の構成>
図5は、本実施の形態に係る幼児用玩具の他例であるブロック単体1Bの構造を模式的に示す正面図である。当該ブロック単体1Bの斜視図での構成は、図1に例示する構成と同一である。即ち、図5は、図1に示す矢印ARB側からブロック単体1Bを眺めた際の正面図に該当する。よって、図1の各構成要素と同一部分に該当する各構成要素の記載は、実施の形態1に於ける該当記載を援用する。
【0024】
本実施の形態に於いては、図5に模式的に示す様に、合成樹脂から成る幼児用玩具の本体自体の中に、つまり、合成樹脂自体の中に、全体的に、複数の鉄粉3が混ぜられている。この様な構造は、成形工程に於いて、金型内に合成樹脂を流し込む前の段階で、合成樹脂内に多くの鉄粉3を混ぜ込んでおくだけで、実現される。
【0025】
本実施の形態では、鉄粉の混ざりにより合成樹脂の色の変化が生じるという点も有り得るが、実施の形態2と同様に、合成樹脂の外部に鉄板を設ける必要性が無くなり、幼児用玩具の回収についても、実施の形態1,2と同一の作用・効果が得られる。
【0026】
(付記)
各実施の形態では、合成樹脂製の幼児用玩具の一例として、合成樹脂製の積み重ね可能なブロック体を、採り上げたが、その他の構造の合成樹脂製の幼児用玩具にも本発明は適用可能であることは、勿論である。又、実施の形態1,2に於ける鉄板2,2Aに代えて、鋼板を用いても良く、その場合でも鉄板の場合と同一の作用効果が得られる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、合成樹脂製の幼児用玩具に適用して好適なるものである。
【符号の説明】
【0029】
1A,1B 合成樹脂製の幼児用玩具としてのブロック単体
2,2A 鉄板
3 鉄粉
MP 磁石板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂より成る玩具本体と、
前記玩具本体の内で少なくとも表面側からは見えない部分或いは少なくとも触ることが出来ない部分に設けられた鉄板又は鋼板の一方と
を備えたことを特徴とする幼児用玩具。
【請求項2】
請求項1に記載の幼児用玩具であって、
前記鉄板又は鋼板の一方は全体的に前記玩具本体の内部に埋設されている
ことを特徴とする幼児用玩具。
【請求項3】
合成樹脂より成る玩具本体と、
前記玩具本体の内部に全体的に混ざり込んでいる複数の鉄粉と
を備えたことを特徴とする幼児用玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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