広い探索面積を有する胎児心拍数モニタ
【課題】胎児が標本化容積の外部に移動しても胎児の心拍数信号を捕える。
【解決手段】 母体(12)の腹部(16)の表面に配置された超音波プローブ(14)は、送波面(32)を有する筐体(24)の内部に配置された複数の超音波トランスデューサ(30)を含んでいる。送波面(32)は、複数の超音波トランスデューサ(30)によって形成される個別の超音波ビームを脱焦するように構成されている。送波面(32)は超音波ビームを脱焦して、さらに広い面積の超音波プローブ(14)の視野範囲を形成する。心拍数モニタ(10)に収容されている制御器(90)は、超音波プローブ(14)が胎児の心拍の位置を突き止めることを可能にしつつ信号対雑音比を低下させるように複数の超音波トランスデューサ(30)の異なる組み合わせを選択的に起動し、後に連続式心拍数監視時には信号対雑音比を高める。
【解決手段】 母体(12)の腹部(16)の表面に配置された超音波プローブ(14)は、送波面(32)を有する筐体(24)の内部に配置された複数の超音波トランスデューサ(30)を含んでいる。送波面(32)は、複数の超音波トランスデューサ(30)によって形成される個別の超音波ビームを脱焦するように構成されている。送波面(32)は超音波ビームを脱焦して、さらに広い面積の超音波プローブ(14)の視野範囲を形成する。心拍数モニタ(10)に収容されている制御器(90)は、超音波プローブ(14)が胎児の心拍の位置を突き止めることを可能にしつつ信号対雑音比を低下させるように複数の超音波トランスデューサ(30)の異なる組み合わせを選択的に起動し、後に連続式心拍数監視時には信号対雑音比を高める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的には、被検体の心拍数を決定する方法及び装置に関する。さらに明確に述べると、本開示は具体的には、胎児の拍動間(beat-to-beat)心拍数を決定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胎児監視(すなわち妊娠中、並びに陣痛及び分娩時の胎児の状態の監視)は通常、子宮の活動及び胎児の拍動間心拍数の監視を含む。胎児の心拍数は、胎児が十分に酸素供給を受けているか否かの指標を与えるものであり、好ましくは、拍動毎に算出される。
【0003】
破水に先立って胎児の心拍数を示す信号を得るためには、非侵襲型監視手法を利用しなければならない。最も普及している測定手法は、運動している胎児の心臓によって反射される超音波信号のドプラ偏移を測定するものである。
【0004】
公知の超音波検出手法によれば、超音波トランスデューサ又はトランスデューサ・アレイが妊婦の腹部の表面に外部から配置されて、送波される超音波が胎児の心臓に入射するように配向される。反射した超音波は、同じ又は異なる超音波トランスデューサ又はトランスデューサ・アレイによって受波される。反射した超音波のドプラ偏移は、心臓の運動部分、例えば心臓弁及び心臓壁の速度に直接関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドプラ超音波は胎児の心拍数を監視する広く認められた方法であるが、超音波式胎児心拍数監視には幾つかの欠点がある。これらの欠点の一つは、現行の超音波式胎児心拍数モニタは、超音波トランスデューサ・プローブの直下の位置で集束された限定された容積の範囲内での胎児の心拍数を聴き取ることしかできないことである。胎児がこの超音波標本化容積の外部に移動すると胎児の心拍数信号は完全に見失われて、医師又は看護師が超音波プローブの位置を調節して見失った胎児の心臓信号を見出す必要を生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、胎児の拍動間心拍数を決定する方法及び装置に関する。開示される一実施形態では、連続式非侵襲型胎児心拍数測定が、妊娠患者の腹部に取り付けられる超音波プローブに収容された複数の超音波トランスデューサを用いて生成される。1又は複数の超音波トランスデューサが超音波信号又は超音波ビームを発生し、この超音波信号又は超音波ビームは、胎児の心臓によって反射されて超音波トランスデューサの1又は複数によって受波される。受波信号に基づいて、胎児心拍数モニタが胎児の心拍数を生成する。
【0007】
本開示の胎児心拍数モニタは、患者の腹部の表面に配置される超音波プローブを含んでいる。本開示の一実施形態では、超音波プローブは、プローブ筐体から超音波ビームを発生するように各々動作可能な複数の個別の超音波トランスデューサを含んでいる。一実施形態では、超音波プローブは9個の超音波トランスデューサを含んでいる。
【0008】
本開示の超音波プローブには、プローブの筐体に結合された又はプローブの筐体の表面に形成された送波面が形成される。超音波トランスデューサの各々は、これらトランスデューサの各々によって発生される超音波ビームが送波面を通過するように配置される。一実施形態では、超音波トランスデューサは送波面の裏面に装着される。
【0009】
送波面は、筐体から発生される超音波ビームを脱焦させる(defocus)ように構成されている。9個の超音波トランスデューサを含む一実施形態では、送波面は、8個の外側トランスデューサの各ビーム軸が中央トランスデューサの中心軸から発散するように形成される。複数の超音波トランスデューサの各々からの超音波ビームを脱焦する送波面を用いると、超音波プローブの視野範囲の実効面積が増大する。
【0010】
本開示はさらに、複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブを含む胎児心拍数モニタを動作させる方法に関するものである。この胎児心拍数モニタは、超音波トランスデューサの多数の組み合わせから信号を送受することができ、各々の組み合わせが、複数の超音波トランスデューサの全てに満たない超音波トランスデューサを含み得る。胎児心拍数モニタの制御器が、複数の超音波トランスデューサの各々の組み合わせを起動することができる。各々の組み合わせが起動された後に、制御器は、超音波トランスデューサの組み合わせの何れのものが心拍を検出しているかを決定することができる。一旦、組み合わせの何れのものが心拍を検出しているかを制御器が決定したら、制御器は、決定された組み合わせのみを動作させて胎児の心拍数を監視する。
【0011】
超音波トランスデューサの1よりも多い組み合わせが心拍を検出している場合には、システムは、何れの組み合わせが心拍を感知するのに最も実効的であるかを決定する。この選択に基づいて、制御器は、選択された組み合わせのみを動作させて胎児の心拍数を監視する。胎児の移動等によって監視中に心拍が見失われたら、制御器はトランスデューサの組み合わせの全てを再び起動して、何れの組み合わせが心拍を検出しているかを決定する。何れの組み合わせも心拍を検出していない場合には、システムは超音波プローブを患者の腹部の表面で移動させるように操作者に指示する。
【0012】
本発明の様々な他の特徴、目的及び利点は、以下の記載を図面と共に参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本開示の実施について現状で思量される最良の態様を示す。
【図1】胎児心拍数モニタを用いている妊娠患者を示す図である。
【図2】本開示の一実施形態に従って用いられる超音波プローブの概略図である。
【図3】従来型の平坦送波面を有する従来技術の超音波プローブの超音波標本化容積の図である。
【図4】本開示による超音波プローブの送波面の第一の実施形態の図である。
【図5】本開示の超音波プローブの送波面の第二の実施形態の図である。
【図6】本開示の脱焦型超音波プローブを用いた拡大された超音波容積の図である。
【図7】脱焦送波面を有する超音波プローブの増強された視野範囲のグラフ図である。
【図8(A)】超音波トランスデューサの全てを起動したときの超音波容積及び信号対雑音比の図である。
【図8(B)】超音波トランスデューサの一グループのみを起動したときの超音波容積及び信号対雑音比の概略図である。
【図8(C)】単一の超音波トランスデューサのみを起動したときの超音波容積及び信号対雑音比の図形的な図である。
【図9(A)】超音波トランスデューサの第一のグループからの超音波ビームを示すグラフ図である。
【図9(B)】超音波トランスデューサの第二のものからの超音波ビームの図である。
【図10】超音波トランスデューサのグループ分けの一実施形態の図形的な図である。
【図11】超音波トランスデューサの全てに満たない超音波トランスデューサを用いて胎児心拍数を監視するための探索に用いられるステップを示す流れ図である。
【図12】胎児心拍数モニタの動作構成要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、妊娠患者12の胎児の心拍数を監視するのに用いられ得る胎児心拍数モニタ10を示す。胎児心拍数モニタ10は図1では一例形態として示されているが、胎児心拍数モニタは本開示の範囲内で動作しつつ他の多くの形態を取り得ることを理解されたい。胎児心拍数モニタの一形式は、GEヘルスケアから入手可能なCorometrics 170シリーズである。
【0015】
図1の実施形態では、胎児心拍数モニタは、帯18によって患者の腹部16に固定されている超音波プローブ14を含んでいる。超音波プローブ14は、図1の実施形態ではケーブル20によって胎児心拍数モニタ10に結合されているものとして示されている。しかしながら、もう一つの可能な実施形態では、胎児心拍数モニタ10は、無線通信手法を利用して超音波プローブ14と通信することもできる。
【0016】
図1に示す胎児心拍数モニタ10は、画面又はハード・コピー記録装置のように、典型的には監視された胎児の心拍数を表示する表示装置22を含んでいる。表示画面22は、代替的な実施形態では患者から得られる他の監視信号を表示するように構成されていてもよい。
【0017】
動作時には、胎児心拍数モニタ10の電源が入れられると、超音波プローブ14に収容された1又は複数の超音波トランスデューサが腹部の皮膚を通して患者12の体内に向けられる超音波ビームを発生する。胎児心拍数モニタは、胎児の心臓の拍動を検出する超音波プローブに収容された同じ超音波トランスデューサ又は異なる超音波トランスデューサに帰投する超音波信号を監視する。超音波プローブ14から取得されるデータに基づいて、胎児心拍数モニタ10は、胎児の心拍数を算出して、算出された胎児の心拍数を表示器22に表示することを公知の態様で行なう。
【0018】
図2は、超音波プローブ14の上面図を外部筐体24の上半部を除去した状態で示している。図2の実施形態では、外部筐体24は全体的に円形の外壁を含んでおり、外壁は胎児心拍数モニタからのケーブルの接続を可能にする突起部28を有する。
【0019】
図2に示す超音波プローブ14は、予め決められたアレイを成して配置された複数の超音波トランスデューサ30を含んでいる。図2の実施形態では、超音波プローブ14は、各々独立に動作可能な9個の個別のトランスデューサを含んでいる。図2の構成では、中央トランスデューサ30aが8個の外側トランスデューサ30b〜30iによって包囲されている。図2には9個の超音波トランスデューサを示したが、本開示の範囲内で動作しつつ異なる数のトランスデューサを用い得ることを理解されたい。図2に示す9個のトランスデューサのアレイは、GEヘルスケアから入手可能なCorometrics 170シリーズのモニタに現状で含まれているもののように普及した入手可能なトランスデューサ構成である。
【0020】
公知の実施方法によるトランスデューサ・プローブ14の動作時には、9個の超音波トランスデューサの各々が図3に示すように全体的に平坦な送波面32を通して超音波ビームを発生する。各トランスデューサからの超音波ビームは、送波面32の下方の様々な深さに、近似的に同じ断面積を有する感知領域34を形成する。図3の図では、50mmの感知面積36aは、100mmの感知面積36b及び150mmの感知面積36cと近似的に同じである。呼び掛け容積は近似的に円筒形である。
【0021】
図4は、全体的に参照番号38によって参照されている脱焦型超音波プローブの第一の実施形態を示している。脱焦型超音波プローブ38は、外壁26を含む外部筐体24を含んでいる。図示の実施形態では、送波面40が筐体24に形成されており、この送波面40は、超音波トランスデューサ30が超音波プローブの中心軸から離隔して方向制御(ステアリング)されるように曲面化されている。図4に示すように、送波面40は、当該送波面40の厚みによって離隔された外面表面42と内面表面44とを含んでいる。超音波プローブ38を用いるときには、外面表面42は、超音波トランスデューサ30の各々からの超音波ビームが図示のように患者の体内に入るように患者の腹部16に接触して配置される。
【0022】
図4に示すように、外面表面42及び内面表面44は、線46によって示す平均曲率半径(ROC)を有する凸形送波面40を画定する。ROCを集束深さと呼ぶこともでき、この集束深さは、図4の実施形態では送波面40の後方に位置する。図4の実施形態では、集束深さ又は曲率半径は300mmであるが、他の構成も本開示の範囲内にあるものと明らかに思量される。図4の実施形態では、送波面40の厚みは1mm未満であってよい。
【0023】
図4に示すように、中央超音波トランスデューサ30aは、中心軸48に沿って送波される超音波ビームを発生する。図4に示す外側超音波トランスデューサ30b及び30eの各々は、それぞれビーム軸50b及び50eに沿って送波される超音波ビームを発生する。送波面40の形状は彎曲しているため、外側超音波トランスデューサ30b、30eの各々のビーム軸50b、50eは中心軸48から発散する。この理由から、プローブ38を脱焦型プローブと呼ぶ。
【0024】
図5には、脱焦型超音波プローブ38の第二の実施形態が示されている。この第二の実施形態では、送波面40は図4の実施形態に比較して代替的な構成を有する。図5の実施形態では、送波面40は、彎曲した外面表面42と全体的に平坦な内面表面56とを有する。超音波トランスデューサ30の各々は全体的に平坦な内面表面56に装着されている。図5の実施形態では、送波面40は音響レンズとなり、材料はその厚みによってビーム軸50b、50eの各々が中心軸48から発散するように選択される。図5の実施形態では、送波面を形成するのに用いられる材料は、全厚が2mm未満のCycolac(登録商標)のように人体よりも大きい音速を有する材料である。送波面40もまた線58によって示す曲率半径を有するが、音波焦点深さはレンズ材料における音速に依存して非常に異なり得る。図5の実施形態では、表面が平坦に近くなるように曲率は極く僅かなものであり得るが、音波焦点深さが図4に示すさらに顕著に彎曲したアプローチと同様になる場合がある。
【0025】
図6には、凸形外面表面42を有する図4又は図5の脱焦型超音波プローブ38が示されている。図3に示す実施形態とは異なり、プローブの下方の感知領域34は、外面表面42から距離が増大するほど拡大している。明確に述べると、外面表面42から50mmの感知面積36aは100mmの感知面積36bよりも小さく、100mmの感知面積36bは外面表面42から150mmの感知面積36cよりも小さい。図3及び図6の比較によって明らかに理解され得るように、脱焦型超音波プローブ38では、同じ超音波トランスデューサ構成を用いつつ感知容積は拡大している。
【0026】
図7は、外面表面42からの深さが150mmでの超音波プローブの中心から様々な距離における結合超音波ビームの強度のグラフ図である。線52は、図3に示す従来の集束型超音波プローブ14を用いた超音波ビームの強度を示す。線52が示すように、プローブの中心から約33mmの距離において信号強度は−10dBを下回る。
【0027】
線54は、図4の脱焦型超音波プローブ38を用いたときに、超音波ビームの強度が約42mmにおいて−10dBを下回ることを示している。このように、脱焦型超音波プローブは中心線からの実効半径を近似的に33mmから42mmまで増大させており、この結果、プローブから150mmでの視野範囲の面積が62%増大している。
【0028】
送波面40の二つの実施形態を図4及び図5に示しているが、他の様々な構成が本開示の範囲内にあるものと思量されることを理解されたい。送波面40の目的は、外側超音波トランスデューサの各々のビーム軸が中央超音波トランスデューサの中心軸から発散するようにすることにある。外側トランスデューサ素子の焦点が発散すると、図3及び図6の比較で説明されるように拡大された感知領域を形成する。
【0029】
図8は、多数のトランスデューサをどのように異なる組み合わせで用いると超音波ビームすなわちスポット光の寸法を増減させ得るかを示している。全てのトランスデューサを並列に起動する図8(A)が最大の感知面積を与えるが、最良の信号雑音比は、右方向を見ている1個のトランスデューサのみを起動することにより達成され得る。適切な単一のトランスデューサのビーム又はスポット光を選択することにより、少数のトランスデューサが起動され、これにより電力が低減して体内に伝達されるエネルギの量が少なくなる。
【0030】
図8(A)は、脱焦型超音波プローブ38の内部での超音波トランスデューサ30の動作を示す。図8(A)の実施形態では、9個の超音波トランスデューサの全てが同時に起動されて、80mmのビーム幅を有する超音波感知面積60を形成する。図8(A)に示すように、胎児の心臓62は感知面積60に含まれており、従って脱焦型超音波プローブ38によって検出され得る。9個の超音波トランスデューサ30の全てが起動される場合には、信号対雑音比(SNR)は約−8dBとなる。
【0031】
図8(B)は、複数の超音波トランスデューサの全てに満たないものから成る一つの組み合わせのみの起動を示す。図8(B)の実施形態では、9個の超音波トランスデューサのうち3個すなわち中央トランスデューサ30a並びに外側トランスデューサ30b及び30cが同時に起動されている。図8(B)に示す組み合わせが起動されると、さらに小さくさらに集束しているが依然として胎児の心臓62を含む感知面積64が形成される。図示の実施形態では、感知面積64は、図8(A)の感知面積60の80mmビーム幅よりも小さい約50mmのビーム幅を有する。図8(B)に示すように、感知面積64の信号対雑音比は0dBであり、図8(A)に示すような超音波トランスデューサの9個全てが起動されているときのSNRから改善されている。感知面積64は感知面積60に対して縮小しているが、SNRが改善されていることから、選択された数の超音波トランスデューサのみを利用しても、胎児の心臓62が感知面積64の内部に位置していれば超音波トランスデューサの全ての利用に対する改善となることが分かる。
【0032】
図8(C)は、さらにもう一つの代替的な方法を示しており、ここでは単一の超音波トランスデューサのみが起動されている。図8(C)の実施形態では、外側トランスデューサの1個30bが起動されている。但し、9個の超音波トランスデューサの任意の1個を用いることができ、各々のトランスデューサが体内の異なる位置を音響的に感知するビームを発生し得ることを理解されたい。
【0033】
単一の超音波トランスデューサによって形成される感知面積66は、9個全てのトランスデューサによって形成される感知面積60よりも著しく小さい。図8(C)の実施形態では、感知面積66の幅は約30mmである。図8(C)に示す感知面積66は、胎児の心臓62を含んでおり、約+11dBという顕著に改善された信号対雑音比を有する。図8(C)に示す単一の超音波トランスデューサは改善された信号対雑音比を提供するが、感知面積66の寸法は9個のトランスデューサ又は3個のトランスデューサの何れの利用に対しても著しく縮小している。
【0034】
図10は、図8(B)の感知面積64を形成するように起動され得る9個のトランスデューサの多数の組み合わせの一例を図形的に示している。各々の組み合わせ毎に3個のトランスデューサが同時に起動される。脱焦型プローブを含む実施形態では、送波面は、外側トランスデューサ30b〜30iの各々からの超音波ビームを中央超音波トランスデューサ30aの超音波ビームによって形成される中心軸から発散させる。図10の実施形態では、超音波トランスデューサの4種の別個の組み合わせが提案されている。第一の組み合わせ(A)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30b及び30cとを含んでいる。第二の組み合わせ(B)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30d及び30eとを含んでいる。第三の組み合わせ(C)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30f及び30gとを含んでいる。第四の最後の組み合わせ(D)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30h及び30iとを含んでいる。提案される4種の組み合わせを図10に示しているが、本開示の範囲内で動作しつつ付加的な組み合わせを提案して利用し得るものと思量される。
【0035】
幾つかのトランスデューサを組み合わせて一つの組み合わせを形成することに加えて、個別のトランスデューサの各々を提案される組み合わせの一つとして個別に動作させ得ることも思量される。
【0036】
図9(A)は、胎児の心拍を探索する「スポット光」効果を生成する単一トランスデューサの動作を示す。図9(A)の実施形態では、外側トランスデューサ30bを動作させて超音波ビーム68を形成している。図示の実施形態では、超音波ビーム68はビーム軸50bを中心とする。図9(A)に示すように、150mmの深さでは、超音波ビーム68の中心部70が筐体の中心軸から約−30mm〜約−65mmを網羅している。中心部70は、このビームの最適感度すなわち−6dBの信号を示す。外側のプロファイルは、より広い−10dB指標であるが、信号感度は僅かに良好となっている。脱焦型プローブは、異なるトランスデューサ素子30a及び30bからのビームの−10dBプロファイルが重なり合って、利用可能な素子によって全容積が十分に標本化されるように設計され得る。
【0037】
代替的には、図9(B)に示すように中央超音波トランスデューサ30aが単独で起動されてもよい。中央トランスデューサ30aからの超音波ビーム68は中心軸48に沿って延在する。同じ150mmの深さにおいて、中心部70は、超音波プローブの中心軸から近似的に−20mm〜+20mmを網羅する。図9(A)及び図9(B)において理解され得るように、個別の超音波トランスデューサの各々を一つずつ逐次的に動作させると、超音波プローブが当該超音波プローブの下方の様々な面積を選択的にスポット照射することが可能になる。図8(C)において説明したように、感知面積66は9個全てのトランスデューサを同時に起動した場合に対して縮小するが、信号対雑音比が高まるため上に記載したような利点を提供する。
【0038】
システムは、最良の心拍数信号を探索するために、パターンを成したトランスデューサの任意のものを起動するように選択することができる。
【0039】
図9(A)及び図9(B)の実施形態において理解され得るように、トランスデューサの各々が、脱焦送波面によって互いから発散する超音波ビームを形成するので、この超音波プローブを用いて、患者が双生児を懐胎しているときのように2種の胎児の心拍を監視し得ることが思量される。かかる実施形態では、超音波トランスデューサの1又は複数が第一の胎児の心拍を要求するのと同時に多数のトランスデューサの第二の組み合わせが第二の胎児の心拍を検出することができる。一旦、2種の心拍が検出されたら、システムは超音波トランスデューサの異なる組み合わせを用いて別個の心拍を連続して監視する。
【0040】
図8〜図10に示す実施形態は送波面を含む脱焦型超音波プローブ38を用いるものとして記載されているが、本質的に平坦な送波面を有する標準的な超音波プローブと共にこの同じ方法を用い得ることを理解されたい。
【0041】
図12には、胎児心拍数モニタ10の動作構成要素の概略図が示されている。胎児心拍数モニタ10は、患者モニタの動作を制御するように動作する制御器90を含んでおり、この動作は、起動したいトランスデューサの選択、超音波励起信号の発生、及び受波信号のドプラ処理等を含み得る。制御器90は、ケーブル20を介して脱焦型超音波プローブ38に接続されているものとして示されている。ケーブル20を介して、制御器90は、プローブ筐体24に収容されているトランスデューサ30の選択的動作を制御することができる。前述のように、トランスデューサ30の各々が送波面40の背後に配置されている。
【0042】
制御器90はさらに、検出された胎児の心拍数を操作者に視覚的に指示する表示器92に接続されている。制御器は好ましくはまた、操作者が所望に応じて制御器に情報を入力することを可能にする入力装置94を含み得る。
【0043】
図11は、図10に示す9個の超音波トランスデューサのような複数の超音波トランスデューサを含む超音波プローブを動作させる一つの提案される方法を示す。
【0044】
最初に、医師が、送波面を有する脱焦型超音波プローブを患者の腹部の表面に配置することができる。一旦、超音波プローブが配置されたら、制御器は、ステップ72に示すように9個全ての超音波トランスデューサを起動する。図10に示す超音波プローブでは、制御器は9個全ての超音波プローブを起動して、図8(A)に示すような超音波プローブから可能な最も広い感知面積を形成する。
【0045】
制御器は、ステップ74において心拍が胎児から検出されたか否かを決定する。この心拍が検出されたか否かを決定するステップは、心拍が検出されたか否かを制御器が決定する前に多数のサイクルを要求し得る。ステップ74において心拍が検出されなかった場合には、操作者はステップ76に示すようにプローブを移動させて、胎児の心臓信号の位置を突き止めることを試みる。
【0046】
一旦、超音波トランスデューサの少なくとも1個が胎児の心拍数を検出するような位置にプローブが位置したことを制御器が決定したら、操作者は、心拍数を追跡するのに最適なトランスデューサを探索するように制御器に指示することができる。制御器は、ステップ78に示すようにトランスデューサの組み合わせの全てを逐次順で起動させる。図10に関して説明したように、図10の9個のトランスデューサ構成については3個のトランスデューサの4種の可能な組み合わせ(A〜D)が各々提案される。代替的には、所望に応じて各々の組み合わせが9個のトランスデューサのうち1個のみを含んでいてもよいし、他の組み合わせを形成してもよい。
【0047】
制御器が9個のトランスデューサの組み合わせの各々を起動させるのに伴って、制御器は各々の組み合わせが胎児の心拍数を検出しているか否かを決定すると共に、心拍数の相対的な信号強度を決定する。トランスデューサの各々の組み合わせが脱焦送波面によって異なる方向成分を有する結合した超音波ビームを形成するので、組み合わせの幾つかのものが胎児の心拍数を検出するものと思量される。
【0048】
一旦、制御器がトランスデューサの組み合わせの全てを一巡したら、制御器はステップ80において、組み合わせの何れのものが最良の心拍数信号強度を生じたかを決定する。典型的には、この比較は、専用の又は既成の信号解析方法を用いて行なわれる。
【0049】
一旦、制御器がステップ80において最良の信号強度を与えるトランスデューサの組み合わせを選択したら、制御器は、ステップ82に示すように、選択された最良の組み合わせを用いて胎児の心拍数を連続的に感知するように胎児心拍数モニタを動作させる。提案された組み合わせは3個のトランスデューサを含んでいるので、感知面積及び信号対雑音比は図8(B)の図によって近似される。多数の組み合わせの間を巡回する方法を用いると、制御器が先ず何れの組み合わせが胎児の心拍数を最もよく検出しているかを突き止めることが可能になり、一旦最良の組み合わせが決定されたら、選択された組み合わせのみを用いて胎児の心拍数の監視を続行する。この方法は、連続監視時の信号対雑音比を高めつつ、超音波プローブの実効的な全視野範囲を拡大する。
【0050】
胎児心拍数の監視時に、制御器は、ステップ84に示すように心拍が見失われたか否かを決定する。胎児は妊娠患者の体内で移動するため、胎児の位置は変化して、心拍信号の逸失を生ずる場合がある。ステップ84において心拍が見失われたことを制御器が決定したら、制御器はステップ72に戻って、超音波トランスデューサの全てを起動させ、胎児の心拍数が超音波プローブの下方の感知位置に依然として存在しているか否かを決定する。心拍がステップ74において再び検出されたら、方法を上述のように続行する。しかしながら、胎児がかなりの量にわたって移動して超音波プローブでは最早感知し得なくなったら、システムは、ステップ76に示すようにプローブを移動させなければならないことを操作者に指示する。
【0051】
ステップ84において心拍が見失われたことを制御器が決定した場合には、システムは、ステップ78から再開して異なるトランスデューサの組み合わせを巡回し、最適なセンサ構成を決定する。これらの再較正ステップは、胎児の心拍数の定常的で一貫した最適追跡を保つために、胎児の心臓信号が見失われていない場合にも行なわれてよい。このように、システムがステップ86において新たな再較正の時機であることを決定したら、システムはステップ78に戻り、トランスデューサの組み合わせの全てを起動する。再較正は、5分毎、10分毎又は15分毎等のように規則的な間隔で行なわれ得るものと思量される。
【0052】
制御器は、図11の流れ図に引き続き従って、胎児の心拍数を所望に応じて監視する。
【0053】
代替的な実施形態では、システムはステップ72において、9個の超音波トランスデューサの全てを起動する代わりに中央超音波トランスデューサのみを起動することができる。中央トランスデューサのみを用いると、操作者は中央トランスデューサが胎児の心拍数を検出することが可能になるように超音波プローブを配置することができる。中央トランスデューサが胎児の心拍数を検出し得るときには、超音波プローブは胎児を中心として最良に位置し、胎児が僅かに移動したとしても外側トランスデューサの1又は複数が胎児を検出する可能性が最も高くなる。プローブを最初に最適に中心配置することにより、操作者がプローブを再配置する必要なく胎児の移動範囲をさらに大きくすることができる。
【0054】
この書面の記載は、最適な態様を含めて本発明を開示し、あらゆる当業者が本発明を製造して利用することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0055】
10 胎児心拍数モニタ
12 妊娠患者
14 超音波プローブ
16 腹部
20 ケーブル
22 表示器
24 プローブ筐体
26 壁
28 突起部
30 超音波トランスデューサ
30a〜30h 超音波トランスデューサ
32 送波面
34 感知領域
36a〜36c 感知面積
38 脱焦型超音波プローブ
40 送波レンズ
42 彎曲した外面
44 表面
46 線
48 軸
50b ビーム軸
52、54 線
56 平坦な内面
58 線
60 感知面積
62 胎児の心臓
64、66 感知面積
68 ビーム
70 中心部
90 制御器
92 表示器
94 入力装置
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的には、被検体の心拍数を決定する方法及び装置に関する。さらに明確に述べると、本開示は具体的には、胎児の拍動間(beat-to-beat)心拍数を決定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胎児監視(すなわち妊娠中、並びに陣痛及び分娩時の胎児の状態の監視)は通常、子宮の活動及び胎児の拍動間心拍数の監視を含む。胎児の心拍数は、胎児が十分に酸素供給を受けているか否かの指標を与えるものであり、好ましくは、拍動毎に算出される。
【0003】
破水に先立って胎児の心拍数を示す信号を得るためには、非侵襲型監視手法を利用しなければならない。最も普及している測定手法は、運動している胎児の心臓によって反射される超音波信号のドプラ偏移を測定するものである。
【0004】
公知の超音波検出手法によれば、超音波トランスデューサ又はトランスデューサ・アレイが妊婦の腹部の表面に外部から配置されて、送波される超音波が胎児の心臓に入射するように配向される。反射した超音波は、同じ又は異なる超音波トランスデューサ又はトランスデューサ・アレイによって受波される。反射した超音波のドプラ偏移は、心臓の運動部分、例えば心臓弁及び心臓壁の速度に直接関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドプラ超音波は胎児の心拍数を監視する広く認められた方法であるが、超音波式胎児心拍数監視には幾つかの欠点がある。これらの欠点の一つは、現行の超音波式胎児心拍数モニタは、超音波トランスデューサ・プローブの直下の位置で集束された限定された容積の範囲内での胎児の心拍数を聴き取ることしかできないことである。胎児がこの超音波標本化容積の外部に移動すると胎児の心拍数信号は完全に見失われて、医師又は看護師が超音波プローブの位置を調節して見失った胎児の心臓信号を見出す必要を生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、胎児の拍動間心拍数を決定する方法及び装置に関する。開示される一実施形態では、連続式非侵襲型胎児心拍数測定が、妊娠患者の腹部に取り付けられる超音波プローブに収容された複数の超音波トランスデューサを用いて生成される。1又は複数の超音波トランスデューサが超音波信号又は超音波ビームを発生し、この超音波信号又は超音波ビームは、胎児の心臓によって反射されて超音波トランスデューサの1又は複数によって受波される。受波信号に基づいて、胎児心拍数モニタが胎児の心拍数を生成する。
【0007】
本開示の胎児心拍数モニタは、患者の腹部の表面に配置される超音波プローブを含んでいる。本開示の一実施形態では、超音波プローブは、プローブ筐体から超音波ビームを発生するように各々動作可能な複数の個別の超音波トランスデューサを含んでいる。一実施形態では、超音波プローブは9個の超音波トランスデューサを含んでいる。
【0008】
本開示の超音波プローブには、プローブの筐体に結合された又はプローブの筐体の表面に形成された送波面が形成される。超音波トランスデューサの各々は、これらトランスデューサの各々によって発生される超音波ビームが送波面を通過するように配置される。一実施形態では、超音波トランスデューサは送波面の裏面に装着される。
【0009】
送波面は、筐体から発生される超音波ビームを脱焦させる(defocus)ように構成されている。9個の超音波トランスデューサを含む一実施形態では、送波面は、8個の外側トランスデューサの各ビーム軸が中央トランスデューサの中心軸から発散するように形成される。複数の超音波トランスデューサの各々からの超音波ビームを脱焦する送波面を用いると、超音波プローブの視野範囲の実効面積が増大する。
【0010】
本開示はさらに、複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブを含む胎児心拍数モニタを動作させる方法に関するものである。この胎児心拍数モニタは、超音波トランスデューサの多数の組み合わせから信号を送受することができ、各々の組み合わせが、複数の超音波トランスデューサの全てに満たない超音波トランスデューサを含み得る。胎児心拍数モニタの制御器が、複数の超音波トランスデューサの各々の組み合わせを起動することができる。各々の組み合わせが起動された後に、制御器は、超音波トランスデューサの組み合わせの何れのものが心拍を検出しているかを決定することができる。一旦、組み合わせの何れのものが心拍を検出しているかを制御器が決定したら、制御器は、決定された組み合わせのみを動作させて胎児の心拍数を監視する。
【0011】
超音波トランスデューサの1よりも多い組み合わせが心拍を検出している場合には、システムは、何れの組み合わせが心拍を感知するのに最も実効的であるかを決定する。この選択に基づいて、制御器は、選択された組み合わせのみを動作させて胎児の心拍数を監視する。胎児の移動等によって監視中に心拍が見失われたら、制御器はトランスデューサの組み合わせの全てを再び起動して、何れの組み合わせが心拍を検出しているかを決定する。何れの組み合わせも心拍を検出していない場合には、システムは超音波プローブを患者の腹部の表面で移動させるように操作者に指示する。
【0012】
本発明の様々な他の特徴、目的及び利点は、以下の記載を図面と共に参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図面は、本開示の実施について現状で思量される最良の態様を示す。
【図1】胎児心拍数モニタを用いている妊娠患者を示す図である。
【図2】本開示の一実施形態に従って用いられる超音波プローブの概略図である。
【図3】従来型の平坦送波面を有する従来技術の超音波プローブの超音波標本化容積の図である。
【図4】本開示による超音波プローブの送波面の第一の実施形態の図である。
【図5】本開示の超音波プローブの送波面の第二の実施形態の図である。
【図6】本開示の脱焦型超音波プローブを用いた拡大された超音波容積の図である。
【図7】脱焦送波面を有する超音波プローブの増強された視野範囲のグラフ図である。
【図8(A)】超音波トランスデューサの全てを起動したときの超音波容積及び信号対雑音比の図である。
【図8(B)】超音波トランスデューサの一グループのみを起動したときの超音波容積及び信号対雑音比の概略図である。
【図8(C)】単一の超音波トランスデューサのみを起動したときの超音波容積及び信号対雑音比の図形的な図である。
【図9(A)】超音波トランスデューサの第一のグループからの超音波ビームを示すグラフ図である。
【図9(B)】超音波トランスデューサの第二のものからの超音波ビームの図である。
【図10】超音波トランスデューサのグループ分けの一実施形態の図形的な図である。
【図11】超音波トランスデューサの全てに満たない超音波トランスデューサを用いて胎児心拍数を監視するための探索に用いられるステップを示す流れ図である。
【図12】胎児心拍数モニタの動作構成要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、妊娠患者12の胎児の心拍数を監視するのに用いられ得る胎児心拍数モニタ10を示す。胎児心拍数モニタ10は図1では一例形態として示されているが、胎児心拍数モニタは本開示の範囲内で動作しつつ他の多くの形態を取り得ることを理解されたい。胎児心拍数モニタの一形式は、GEヘルスケアから入手可能なCorometrics 170シリーズである。
【0015】
図1の実施形態では、胎児心拍数モニタは、帯18によって患者の腹部16に固定されている超音波プローブ14を含んでいる。超音波プローブ14は、図1の実施形態ではケーブル20によって胎児心拍数モニタ10に結合されているものとして示されている。しかしながら、もう一つの可能な実施形態では、胎児心拍数モニタ10は、無線通信手法を利用して超音波プローブ14と通信することもできる。
【0016】
図1に示す胎児心拍数モニタ10は、画面又はハード・コピー記録装置のように、典型的には監視された胎児の心拍数を表示する表示装置22を含んでいる。表示画面22は、代替的な実施形態では患者から得られる他の監視信号を表示するように構成されていてもよい。
【0017】
動作時には、胎児心拍数モニタ10の電源が入れられると、超音波プローブ14に収容された1又は複数の超音波トランスデューサが腹部の皮膚を通して患者12の体内に向けられる超音波ビームを発生する。胎児心拍数モニタは、胎児の心臓の拍動を検出する超音波プローブに収容された同じ超音波トランスデューサ又は異なる超音波トランスデューサに帰投する超音波信号を監視する。超音波プローブ14から取得されるデータに基づいて、胎児心拍数モニタ10は、胎児の心拍数を算出して、算出された胎児の心拍数を表示器22に表示することを公知の態様で行なう。
【0018】
図2は、超音波プローブ14の上面図を外部筐体24の上半部を除去した状態で示している。図2の実施形態では、外部筐体24は全体的に円形の外壁を含んでおり、外壁は胎児心拍数モニタからのケーブルの接続を可能にする突起部28を有する。
【0019】
図2に示す超音波プローブ14は、予め決められたアレイを成して配置された複数の超音波トランスデューサ30を含んでいる。図2の実施形態では、超音波プローブ14は、各々独立に動作可能な9個の個別のトランスデューサを含んでいる。図2の構成では、中央トランスデューサ30aが8個の外側トランスデューサ30b〜30iによって包囲されている。図2には9個の超音波トランスデューサを示したが、本開示の範囲内で動作しつつ異なる数のトランスデューサを用い得ることを理解されたい。図2に示す9個のトランスデューサのアレイは、GEヘルスケアから入手可能なCorometrics 170シリーズのモニタに現状で含まれているもののように普及した入手可能なトランスデューサ構成である。
【0020】
公知の実施方法によるトランスデューサ・プローブ14の動作時には、9個の超音波トランスデューサの各々が図3に示すように全体的に平坦な送波面32を通して超音波ビームを発生する。各トランスデューサからの超音波ビームは、送波面32の下方の様々な深さに、近似的に同じ断面積を有する感知領域34を形成する。図3の図では、50mmの感知面積36aは、100mmの感知面積36b及び150mmの感知面積36cと近似的に同じである。呼び掛け容積は近似的に円筒形である。
【0021】
図4は、全体的に参照番号38によって参照されている脱焦型超音波プローブの第一の実施形態を示している。脱焦型超音波プローブ38は、外壁26を含む外部筐体24を含んでいる。図示の実施形態では、送波面40が筐体24に形成されており、この送波面40は、超音波トランスデューサ30が超音波プローブの中心軸から離隔して方向制御(ステアリング)されるように曲面化されている。図4に示すように、送波面40は、当該送波面40の厚みによって離隔された外面表面42と内面表面44とを含んでいる。超音波プローブ38を用いるときには、外面表面42は、超音波トランスデューサ30の各々からの超音波ビームが図示のように患者の体内に入るように患者の腹部16に接触して配置される。
【0022】
図4に示すように、外面表面42及び内面表面44は、線46によって示す平均曲率半径(ROC)を有する凸形送波面40を画定する。ROCを集束深さと呼ぶこともでき、この集束深さは、図4の実施形態では送波面40の後方に位置する。図4の実施形態では、集束深さ又は曲率半径は300mmであるが、他の構成も本開示の範囲内にあるものと明らかに思量される。図4の実施形態では、送波面40の厚みは1mm未満であってよい。
【0023】
図4に示すように、中央超音波トランスデューサ30aは、中心軸48に沿って送波される超音波ビームを発生する。図4に示す外側超音波トランスデューサ30b及び30eの各々は、それぞれビーム軸50b及び50eに沿って送波される超音波ビームを発生する。送波面40の形状は彎曲しているため、外側超音波トランスデューサ30b、30eの各々のビーム軸50b、50eは中心軸48から発散する。この理由から、プローブ38を脱焦型プローブと呼ぶ。
【0024】
図5には、脱焦型超音波プローブ38の第二の実施形態が示されている。この第二の実施形態では、送波面40は図4の実施形態に比較して代替的な構成を有する。図5の実施形態では、送波面40は、彎曲した外面表面42と全体的に平坦な内面表面56とを有する。超音波トランスデューサ30の各々は全体的に平坦な内面表面56に装着されている。図5の実施形態では、送波面40は音響レンズとなり、材料はその厚みによってビーム軸50b、50eの各々が中心軸48から発散するように選択される。図5の実施形態では、送波面を形成するのに用いられる材料は、全厚が2mm未満のCycolac(登録商標)のように人体よりも大きい音速を有する材料である。送波面40もまた線58によって示す曲率半径を有するが、音波焦点深さはレンズ材料における音速に依存して非常に異なり得る。図5の実施形態では、表面が平坦に近くなるように曲率は極く僅かなものであり得るが、音波焦点深さが図4に示すさらに顕著に彎曲したアプローチと同様になる場合がある。
【0025】
図6には、凸形外面表面42を有する図4又は図5の脱焦型超音波プローブ38が示されている。図3に示す実施形態とは異なり、プローブの下方の感知領域34は、外面表面42から距離が増大するほど拡大している。明確に述べると、外面表面42から50mmの感知面積36aは100mmの感知面積36bよりも小さく、100mmの感知面積36bは外面表面42から150mmの感知面積36cよりも小さい。図3及び図6の比較によって明らかに理解され得るように、脱焦型超音波プローブ38では、同じ超音波トランスデューサ構成を用いつつ感知容積は拡大している。
【0026】
図7は、外面表面42からの深さが150mmでの超音波プローブの中心から様々な距離における結合超音波ビームの強度のグラフ図である。線52は、図3に示す従来の集束型超音波プローブ14を用いた超音波ビームの強度を示す。線52が示すように、プローブの中心から約33mmの距離において信号強度は−10dBを下回る。
【0027】
線54は、図4の脱焦型超音波プローブ38を用いたときに、超音波ビームの強度が約42mmにおいて−10dBを下回ることを示している。このように、脱焦型超音波プローブは中心線からの実効半径を近似的に33mmから42mmまで増大させており、この結果、プローブから150mmでの視野範囲の面積が62%増大している。
【0028】
送波面40の二つの実施形態を図4及び図5に示しているが、他の様々な構成が本開示の範囲内にあるものと思量されることを理解されたい。送波面40の目的は、外側超音波トランスデューサの各々のビーム軸が中央超音波トランスデューサの中心軸から発散するようにすることにある。外側トランスデューサ素子の焦点が発散すると、図3及び図6の比較で説明されるように拡大された感知領域を形成する。
【0029】
図8は、多数のトランスデューサをどのように異なる組み合わせで用いると超音波ビームすなわちスポット光の寸法を増減させ得るかを示している。全てのトランスデューサを並列に起動する図8(A)が最大の感知面積を与えるが、最良の信号雑音比は、右方向を見ている1個のトランスデューサのみを起動することにより達成され得る。適切な単一のトランスデューサのビーム又はスポット光を選択することにより、少数のトランスデューサが起動され、これにより電力が低減して体内に伝達されるエネルギの量が少なくなる。
【0030】
図8(A)は、脱焦型超音波プローブ38の内部での超音波トランスデューサ30の動作を示す。図8(A)の実施形態では、9個の超音波トランスデューサの全てが同時に起動されて、80mmのビーム幅を有する超音波感知面積60を形成する。図8(A)に示すように、胎児の心臓62は感知面積60に含まれており、従って脱焦型超音波プローブ38によって検出され得る。9個の超音波トランスデューサ30の全てが起動される場合には、信号対雑音比(SNR)は約−8dBとなる。
【0031】
図8(B)は、複数の超音波トランスデューサの全てに満たないものから成る一つの組み合わせのみの起動を示す。図8(B)の実施形態では、9個の超音波トランスデューサのうち3個すなわち中央トランスデューサ30a並びに外側トランスデューサ30b及び30cが同時に起動されている。図8(B)に示す組み合わせが起動されると、さらに小さくさらに集束しているが依然として胎児の心臓62を含む感知面積64が形成される。図示の実施形態では、感知面積64は、図8(A)の感知面積60の80mmビーム幅よりも小さい約50mmのビーム幅を有する。図8(B)に示すように、感知面積64の信号対雑音比は0dBであり、図8(A)に示すような超音波トランスデューサの9個全てが起動されているときのSNRから改善されている。感知面積64は感知面積60に対して縮小しているが、SNRが改善されていることから、選択された数の超音波トランスデューサのみを利用しても、胎児の心臓62が感知面積64の内部に位置していれば超音波トランスデューサの全ての利用に対する改善となることが分かる。
【0032】
図8(C)は、さらにもう一つの代替的な方法を示しており、ここでは単一の超音波トランスデューサのみが起動されている。図8(C)の実施形態では、外側トランスデューサの1個30bが起動されている。但し、9個の超音波トランスデューサの任意の1個を用いることができ、各々のトランスデューサが体内の異なる位置を音響的に感知するビームを発生し得ることを理解されたい。
【0033】
単一の超音波トランスデューサによって形成される感知面積66は、9個全てのトランスデューサによって形成される感知面積60よりも著しく小さい。図8(C)の実施形態では、感知面積66の幅は約30mmである。図8(C)に示す感知面積66は、胎児の心臓62を含んでおり、約+11dBという顕著に改善された信号対雑音比を有する。図8(C)に示す単一の超音波トランスデューサは改善された信号対雑音比を提供するが、感知面積66の寸法は9個のトランスデューサ又は3個のトランスデューサの何れの利用に対しても著しく縮小している。
【0034】
図10は、図8(B)の感知面積64を形成するように起動され得る9個のトランスデューサの多数の組み合わせの一例を図形的に示している。各々の組み合わせ毎に3個のトランスデューサが同時に起動される。脱焦型プローブを含む実施形態では、送波面は、外側トランスデューサ30b〜30iの各々からの超音波ビームを中央超音波トランスデューサ30aの超音波ビームによって形成される中心軸から発散させる。図10の実施形態では、超音波トランスデューサの4種の別個の組み合わせが提案されている。第一の組み合わせ(A)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30b及び30cとを含んでいる。第二の組み合わせ(B)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30d及び30eとを含んでいる。第三の組み合わせ(C)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30f及び30gとを含んでいる。第四の最後の組み合わせ(D)は、中央トランスデューサ30aと、外側トランスデューサ30h及び30iとを含んでいる。提案される4種の組み合わせを図10に示しているが、本開示の範囲内で動作しつつ付加的な組み合わせを提案して利用し得るものと思量される。
【0035】
幾つかのトランスデューサを組み合わせて一つの組み合わせを形成することに加えて、個別のトランスデューサの各々を提案される組み合わせの一つとして個別に動作させ得ることも思量される。
【0036】
図9(A)は、胎児の心拍を探索する「スポット光」効果を生成する単一トランスデューサの動作を示す。図9(A)の実施形態では、外側トランスデューサ30bを動作させて超音波ビーム68を形成している。図示の実施形態では、超音波ビーム68はビーム軸50bを中心とする。図9(A)に示すように、150mmの深さでは、超音波ビーム68の中心部70が筐体の中心軸から約−30mm〜約−65mmを網羅している。中心部70は、このビームの最適感度すなわち−6dBの信号を示す。外側のプロファイルは、より広い−10dB指標であるが、信号感度は僅かに良好となっている。脱焦型プローブは、異なるトランスデューサ素子30a及び30bからのビームの−10dBプロファイルが重なり合って、利用可能な素子によって全容積が十分に標本化されるように設計され得る。
【0037】
代替的には、図9(B)に示すように中央超音波トランスデューサ30aが単独で起動されてもよい。中央トランスデューサ30aからの超音波ビーム68は中心軸48に沿って延在する。同じ150mmの深さにおいて、中心部70は、超音波プローブの中心軸から近似的に−20mm〜+20mmを網羅する。図9(A)及び図9(B)において理解され得るように、個別の超音波トランスデューサの各々を一つずつ逐次的に動作させると、超音波プローブが当該超音波プローブの下方の様々な面積を選択的にスポット照射することが可能になる。図8(C)において説明したように、感知面積66は9個全てのトランスデューサを同時に起動した場合に対して縮小するが、信号対雑音比が高まるため上に記載したような利点を提供する。
【0038】
システムは、最良の心拍数信号を探索するために、パターンを成したトランスデューサの任意のものを起動するように選択することができる。
【0039】
図9(A)及び図9(B)の実施形態において理解され得るように、トランスデューサの各々が、脱焦送波面によって互いから発散する超音波ビームを形成するので、この超音波プローブを用いて、患者が双生児を懐胎しているときのように2種の胎児の心拍を監視し得ることが思量される。かかる実施形態では、超音波トランスデューサの1又は複数が第一の胎児の心拍を要求するのと同時に多数のトランスデューサの第二の組み合わせが第二の胎児の心拍を検出することができる。一旦、2種の心拍が検出されたら、システムは超音波トランスデューサの異なる組み合わせを用いて別個の心拍を連続して監視する。
【0040】
図8〜図10に示す実施形態は送波面を含む脱焦型超音波プローブ38を用いるものとして記載されているが、本質的に平坦な送波面を有する標準的な超音波プローブと共にこの同じ方法を用い得ることを理解されたい。
【0041】
図12には、胎児心拍数モニタ10の動作構成要素の概略図が示されている。胎児心拍数モニタ10は、患者モニタの動作を制御するように動作する制御器90を含んでおり、この動作は、起動したいトランスデューサの選択、超音波励起信号の発生、及び受波信号のドプラ処理等を含み得る。制御器90は、ケーブル20を介して脱焦型超音波プローブ38に接続されているものとして示されている。ケーブル20を介して、制御器90は、プローブ筐体24に収容されているトランスデューサ30の選択的動作を制御することができる。前述のように、トランスデューサ30の各々が送波面40の背後に配置されている。
【0042】
制御器90はさらに、検出された胎児の心拍数を操作者に視覚的に指示する表示器92に接続されている。制御器は好ましくはまた、操作者が所望に応じて制御器に情報を入力することを可能にする入力装置94を含み得る。
【0043】
図11は、図10に示す9個の超音波トランスデューサのような複数の超音波トランスデューサを含む超音波プローブを動作させる一つの提案される方法を示す。
【0044】
最初に、医師が、送波面を有する脱焦型超音波プローブを患者の腹部の表面に配置することができる。一旦、超音波プローブが配置されたら、制御器は、ステップ72に示すように9個全ての超音波トランスデューサを起動する。図10に示す超音波プローブでは、制御器は9個全ての超音波プローブを起動して、図8(A)に示すような超音波プローブから可能な最も広い感知面積を形成する。
【0045】
制御器は、ステップ74において心拍が胎児から検出されたか否かを決定する。この心拍が検出されたか否かを決定するステップは、心拍が検出されたか否かを制御器が決定する前に多数のサイクルを要求し得る。ステップ74において心拍が検出されなかった場合には、操作者はステップ76に示すようにプローブを移動させて、胎児の心臓信号の位置を突き止めることを試みる。
【0046】
一旦、超音波トランスデューサの少なくとも1個が胎児の心拍数を検出するような位置にプローブが位置したことを制御器が決定したら、操作者は、心拍数を追跡するのに最適なトランスデューサを探索するように制御器に指示することができる。制御器は、ステップ78に示すようにトランスデューサの組み合わせの全てを逐次順で起動させる。図10に関して説明したように、図10の9個のトランスデューサ構成については3個のトランスデューサの4種の可能な組み合わせ(A〜D)が各々提案される。代替的には、所望に応じて各々の組み合わせが9個のトランスデューサのうち1個のみを含んでいてもよいし、他の組み合わせを形成してもよい。
【0047】
制御器が9個のトランスデューサの組み合わせの各々を起動させるのに伴って、制御器は各々の組み合わせが胎児の心拍数を検出しているか否かを決定すると共に、心拍数の相対的な信号強度を決定する。トランスデューサの各々の組み合わせが脱焦送波面によって異なる方向成分を有する結合した超音波ビームを形成するので、組み合わせの幾つかのものが胎児の心拍数を検出するものと思量される。
【0048】
一旦、制御器がトランスデューサの組み合わせの全てを一巡したら、制御器はステップ80において、組み合わせの何れのものが最良の心拍数信号強度を生じたかを決定する。典型的には、この比較は、専用の又は既成の信号解析方法を用いて行なわれる。
【0049】
一旦、制御器がステップ80において最良の信号強度を与えるトランスデューサの組み合わせを選択したら、制御器は、ステップ82に示すように、選択された最良の組み合わせを用いて胎児の心拍数を連続的に感知するように胎児心拍数モニタを動作させる。提案された組み合わせは3個のトランスデューサを含んでいるので、感知面積及び信号対雑音比は図8(B)の図によって近似される。多数の組み合わせの間を巡回する方法を用いると、制御器が先ず何れの組み合わせが胎児の心拍数を最もよく検出しているかを突き止めることが可能になり、一旦最良の組み合わせが決定されたら、選択された組み合わせのみを用いて胎児の心拍数の監視を続行する。この方法は、連続監視時の信号対雑音比を高めつつ、超音波プローブの実効的な全視野範囲を拡大する。
【0050】
胎児心拍数の監視時に、制御器は、ステップ84に示すように心拍が見失われたか否かを決定する。胎児は妊娠患者の体内で移動するため、胎児の位置は変化して、心拍信号の逸失を生ずる場合がある。ステップ84において心拍が見失われたことを制御器が決定したら、制御器はステップ72に戻って、超音波トランスデューサの全てを起動させ、胎児の心拍数が超音波プローブの下方の感知位置に依然として存在しているか否かを決定する。心拍がステップ74において再び検出されたら、方法を上述のように続行する。しかしながら、胎児がかなりの量にわたって移動して超音波プローブでは最早感知し得なくなったら、システムは、ステップ76に示すようにプローブを移動させなければならないことを操作者に指示する。
【0051】
ステップ84において心拍が見失われたことを制御器が決定した場合には、システムは、ステップ78から再開して異なるトランスデューサの組み合わせを巡回し、最適なセンサ構成を決定する。これらの再較正ステップは、胎児の心拍数の定常的で一貫した最適追跡を保つために、胎児の心臓信号が見失われていない場合にも行なわれてよい。このように、システムがステップ86において新たな再較正の時機であることを決定したら、システムはステップ78に戻り、トランスデューサの組み合わせの全てを起動する。再較正は、5分毎、10分毎又は15分毎等のように規則的な間隔で行なわれ得るものと思量される。
【0052】
制御器は、図11の流れ図に引き続き従って、胎児の心拍数を所望に応じて監視する。
【0053】
代替的な実施形態では、システムはステップ72において、9個の超音波トランスデューサの全てを起動する代わりに中央超音波トランスデューサのみを起動することができる。中央トランスデューサのみを用いると、操作者は中央トランスデューサが胎児の心拍数を検出することが可能になるように超音波プローブを配置することができる。中央トランスデューサが胎児の心拍数を検出し得るときには、超音波プローブは胎児を中心として最良に位置し、胎児が僅かに移動したとしても外側トランスデューサの1又は複数が胎児を検出する可能性が最も高くなる。プローブを最初に最適に中心配置することにより、操作者がプローブを再配置する必要なく胎児の移動範囲をさらに大きくすることができる。
【0054】
この書面の記載は、最適な態様を含めて本発明を開示し、あらゆる当業者が本発明を製造して利用することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な発明の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0055】
10 胎児心拍数モニタ
12 妊娠患者
14 超音波プローブ
16 腹部
20 ケーブル
22 表示器
24 プローブ筐体
26 壁
28 突起部
30 超音波トランスデューサ
30a〜30h 超音波トランスデューサ
32 送波面
34 感知領域
36a〜36c 感知面積
38 脱焦型超音波プローブ
40 送波レンズ
42 彎曲した外面
44 表面
46 線
48 軸
50b ビーム軸
52、54 線
56 平坦な内面
58 線
60 感知面積
62 胎児の心臓
64、66 感知面積
68 ビーム
70 中心部
90 制御器
92 表示器
94 入力装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心拍数モニタ(10)と共に用いられる超音波プローブ(14)であって、
外部筐体(24)と、
該筐体(24)に結合されている送波面(32)と、
前記外部筐体(24)に収容されている複数の超音波トランスデューサ(30)であって、各々の超音波トランスデューサ(30)が、前記送波面(32)を通して超音波ビームを発生するように配置されている、複数の超音波トランスデューサ(30)と
を備えており、
前記送波面(32)は、前記複数の超音波トランスデューサ(30)からの前記超音波ビームを互いから発散させるように成形されている、
超音波プローブ(14)。
【請求項2】
前記送波面(32)は、凸形外面表面(42)と凸形内面表面(44)とを含んでいる、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記複数の超音波トランスデューサ(30)は各々前記凸形内面表面(44)に装着されている、請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記送波面は、凸形外面表面(42)と全体的に平坦な内面表面(56)とを含んでいる、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記複数の超音波トランスデューサ(30)は各々前記内面表面(56)に装着されている、請求項4に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
超音波ビームを発生するように各々動作可能な複数の超音波トランスデューサ(30)を含む超音波プローブ(14)を有する心拍数モニタ(10)を動作させる方法であって、
前記超音波トランスデューサ(30)の複数の組み合わせを形成するステップであって、各々の組み合わせが前記複数の超音波トランスデューサ(30)の全てに満たない超音波トランスデューサを含んでいる、形成するステップと、
心拍を検出するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記組み合わせの1又は複数を起動するステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の何れの組み合わせが前記心拍を検出しているかを決定するステップと、
前記心拍数を監視するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記決定された組み合わせのみを動作させるステップと
を備えた方法。
【請求項7】
前記決定された組み合わせの動作時に、前記検出された心拍の逸失を監視するステップと、
前記心拍の逸失時に、前記心拍を検出するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の1又は複数の組み合わせを再び起動するステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の何れの組み合わせが前記心拍信号を検出しているかを決定するステップと
をさらに含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の1よりも多い組み合わせが心拍を検出しているか否かを決定するステップと、
前記心拍について最良の信号を発生する超音波トランスデューサ(30)の組み合わせを選択するステップと、
前記心拍数を監視するように前記超音波トランスデューサ(30)の前記選択された組み合わせのみを動作させるステップと
をさらに含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記超音波プローブ(14)の下方で前記心拍を検出するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の全てを動作させるステップと、
心拍が検出されるまで前記患者(12)の表面で前記超音波プローブ(14)を移動させるステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記組み合わせの1又は複数を起動するステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記起動された組み合わせの何れのものが前記心拍を最もよく検出するかを決定するステップと、
前記心拍数を監視するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記決定された組み合わせのみを動作させるステップと
をさらに含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記超音波トランスデューサ(30)の各々からの前記超音波ビームは、前記複数の超音波トランスデューサの前記超音波ビームを互いから発散させるように形成されている送波面(32)を通して送波される、請求項6に記載の方法。
【請求項1】
心拍数モニタ(10)と共に用いられる超音波プローブ(14)であって、
外部筐体(24)と、
該筐体(24)に結合されている送波面(32)と、
前記外部筐体(24)に収容されている複数の超音波トランスデューサ(30)であって、各々の超音波トランスデューサ(30)が、前記送波面(32)を通して超音波ビームを発生するように配置されている、複数の超音波トランスデューサ(30)と
を備えており、
前記送波面(32)は、前記複数の超音波トランスデューサ(30)からの前記超音波ビームを互いから発散させるように成形されている、
超音波プローブ(14)。
【請求項2】
前記送波面(32)は、凸形外面表面(42)と凸形内面表面(44)とを含んでいる、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記複数の超音波トランスデューサ(30)は各々前記凸形内面表面(44)に装着されている、請求項2に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記送波面は、凸形外面表面(42)と全体的に平坦な内面表面(56)とを含んでいる、請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記複数の超音波トランスデューサ(30)は各々前記内面表面(56)に装着されている、請求項4に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
超音波ビームを発生するように各々動作可能な複数の超音波トランスデューサ(30)を含む超音波プローブ(14)を有する心拍数モニタ(10)を動作させる方法であって、
前記超音波トランスデューサ(30)の複数の組み合わせを形成するステップであって、各々の組み合わせが前記複数の超音波トランスデューサ(30)の全てに満たない超音波トランスデューサを含んでいる、形成するステップと、
心拍を検出するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記組み合わせの1又は複数を起動するステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の何れの組み合わせが前記心拍を検出しているかを決定するステップと、
前記心拍数を監視するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記決定された組み合わせのみを動作させるステップと
を備えた方法。
【請求項7】
前記決定された組み合わせの動作時に、前記検出された心拍の逸失を監視するステップと、
前記心拍の逸失時に、前記心拍を検出するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の1又は複数の組み合わせを再び起動するステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の何れの組み合わせが前記心拍信号を検出しているかを決定するステップと
をさらに含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の1よりも多い組み合わせが心拍を検出しているか否かを決定するステップと、
前記心拍について最良の信号を発生する超音波トランスデューサ(30)の組み合わせを選択するステップと、
前記心拍数を監視するように前記超音波トランスデューサ(30)の前記選択された組み合わせのみを動作させるステップと
をさらに含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記超音波プローブ(14)の下方で前記心拍を検出するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の全てを動作させるステップと、
心拍が検出されるまで前記患者(12)の表面で前記超音波プローブ(14)を移動させるステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記組み合わせの1又は複数を起動するステップと、
前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記起動された組み合わせの何れのものが前記心拍を最もよく検出するかを決定するステップと、
前記心拍数を監視するように前記複数の超音波トランスデューサ(30)の前記決定された組み合わせのみを動作させるステップと
をさらに含んでいる請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記超音波トランスデューサ(30)の各々からの前記超音波ビームは、前記複数の超音波トランスデューサの前記超音波ビームを互いから発散させるように形成されている送波面(32)を通して送波される、請求項6に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(A)】
【図8(B)】
【図8(C)】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(A)】
【図8(B)】
【図8(C)】
【図9(A)】
【図9(B)】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−136164(P2011−136164A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279971(P2010−279971)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】
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