広ダイナミックレンジ映像表示装置
【課題】広ダイナミックレンジを維持し信号処理回路を簡略化できる広ダイナミックレンジ映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像表示装置1は、それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素19をアレイ状に配列した表示部10と、表示素19ごとに表示部10の背面に配置される赤色、緑色および青色の発光素子からなる発光体12と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部14と、同期信号に基づいて表示部10の画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部15と、映像情報信号に基づいて発光体12を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部18と、映像情報信号に基づいて表示部10の画素の透過率を制御する透過率データを画素の行ごとに生成する透過率データ生成部17と、を備える。
【解決手段】映像表示装置1は、それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素19をアレイ状に配列した表示部10と、表示素19ごとに表示部10の背面に配置される赤色、緑色および青色の発光素子からなる発光体12と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部14と、同期信号に基づいて表示部10の画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部15と、映像情報信号に基づいて発光体12を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部18と、映像情報信号に基づいて表示部10の画素の透過率を制御する透過率データを画素の行ごとに生成する透過率データ生成部17と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広ダイナミックレンジ映像表示装置に係り、特に、信号処理回路を簡略化することのできる広ダイナミックレンジ映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では画像表示装置の表示パネルとして液晶パネルを適用することが一般的である。
【0003】
しかし、液晶パネルはバックライトが発光する光を変調することにより画像を表示するものであり、輝度のダイナミックレンジを十分に確保することが困難であるという課題があった。
【0004】
そこで、広ダイナミックレンジを実現するために、既に種々の提案がなされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
図13は従来の液晶表示装置の構成を表すブロック図であって、液晶駆動装置9は、画素がアレイ状に配置された液晶パネル91と、白色光を発光するLED群92と、LED群92を駆動するLED駆動部93と、LED群92が発光する白色光を拡散する拡散パネル94と、映像信号からLED駆動部に供給するLED制御信号ならびに液晶パネル91に供給する画素選択信号および映像データを生成する信号処理部95と、を含む。
【0006】
図14は、液晶パネル91の部分拡大図であって、2行2列に配置された4つの画素911、912、913および914を示している。各画素91i(1≦i≦4)は、赤色(R)フィルタを有するR液晶素子、緑色(G)フィルタを有するG液晶素子および青色(B)フィルタを有するB液晶素子から成り、各液晶素子は、それぞれ当該液晶素子を駆動する駆動回路96が設けられている。
【0007】
このため、横方向に1920画素、縦方向に1080画素の合計約200万画素を有する高精細テレビジョン受像機用の液晶パネルにあっては、600万個の駆動回路96が必要となるため、駆動回路96に画素選択信号および映像データを供給する信号処理部95の構成が複雑化するだけでなく、液晶パネル91中の駆動回路96の占有面積が増大し、液晶パネルの映像表示面積が減少することを回避できない。
【特許文献1】特開2008−015430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を解決することを目的とするものであって、人間の視覚は輝度に対しては高い識別力を有するものの、色相の識別力は輝度の数分の1以下に低下することを利用して、広いダイナミックレンジを維持しつつ信号処理回路を簡略化することのできる広ダイナミックレンジ映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置は、それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素をアレイ状に配列した表示部と、前記表示素ごとに前記表示部の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部と、前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記表示部の前記画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部と、前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記発光体を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部と、前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記表示部の前記画素の透過率を制御する透過率データを前記画素の行ごとに生成する透過率データ生成部と、を備える構成を有している。
【0010】
この構成により、広いダイナミックレンジを維持しつつ信号処理回路を簡略化することができることとなる。
【0011】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置は、前記表示素のそれぞれは透過率を制御可能である画素を複数個アレイ状に配置した制御素を複数個アレイ状に配置したものであり、前記発光体駆動信号生成部は、前記表示素に含まれる前記制御素の代表色相を発光させる発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次発生するものであり、前記透過率データ生成部は、前記発光体駆動信号に対応する透過率データを1フレーム時間内に順次発生するものであり、前記制御素に対応して設けられる制御素制御部と、前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記制御素制御部に供給する前記制御素を列ごとに選択するための制御素列選択信号および前記制御素を行ごとに選択するための制御素行選択信号を生成する制御素選択信号生成部と、を含む構成を有している。
【0012】
この構成により、画素ごとに透過率を制御し、複数の画素ごとに色相を制御できることとなる。
【0013】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置は、前記発光体駆動信号生成部が、前記表示素に含まれる複数の画素の代表赤色光を発光させる赤色発光体駆動信号、前記表示素に含まれる複数の画素の代表緑色光を発光させる緑色発光体駆動信号および前記表示素に含まれる複数の画素の代表青色光を発光させる青色発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次生成するものであり、前記透過率データ生成部が、前記赤色発光体駆動信号に対応する赤色発光体発光時透過率データ、前記緑色発光体駆動信号に対応する緑色発光体発光時透過率データおよび前記青色発光体駆動信号に対応する青色発光体発光時透過率データを1フレーム時間内に順次生成するものである構成を有している。
【0014】
この構成により、画素ごとに透過率を制御し、複数の画素ごとに色相を時分割制御できることとなる。
【発明の効果】
【0015】
画素ごとに光の透過率を制御し、複数の画素ごとに色相を制御することにより、広いダイナミックレンジを維持しつつ信号処理回路を簡略化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
第1の実施形態に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置1は、図1のブロック図に示すように、それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素19をアレイ状に配列した表示部10と、表示素19ごとに表示部10の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体12と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部14と、信号分離部14で分離された同期信号に基づいて表示部10の画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部15と、信号分離部14で分離された映像情報信号に基づいて発光体12を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部18と、信号分離部14で分離された映像情報信号に基づいて表示部10の画素の透過率を制御する透過率データを画素の行ごとに生成する透過率データ生成部17と、を備える。
【0018】
そして、表示素19は、それぞれが透過率を制御可能である画素を複数個アレイ状に配置した制御素11を複数個アレイ状に配置したものであり、発光体駆動信号生成部18は、表示素19に含まれる制御素11の代表色相を発光させる発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次発生するものであり、透過率データ生成部17は、発光体駆動信号に対応する透過率データを1フレーム時間内に順次発生するものであり、制御素11に対応して設けられる制御素制御部13と、信号分離部14で分離された同期信号に基づいて制御素制御部13に供給する制御素11を列ごとに選択するための制御素列選択信号および制御素11を行ごとに選択するための制御素行選択信号を生成する制御素選択信号生成部16と、を含む。
【0019】
制御素11は、図2のブロック図に示すように、複数(本実施例にあっては9個)の画素111をN×Nに配列(本実施例では3×3に配列、即ちN=3)して構成される。画素111は2枚の透明基板の間に液晶が充填されており、画素ごとに画素制御部112が設けられている。
【0020】
また、制御素11に対して1つの制御素制御部13が設けられているが、画素制御部112および制御素制御部13は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)回路により構成することが望ましい。
【0021】
図3は、本発明に係る広ダイナミックレンジ表示装置を高精細度テレビジョン放送受像機に適用した場合の構成例を示すブロック図であって、3×3に配列された9個の画素111から構成される制御素11をm×mに配列(本実施例では3×3に配列、即ちm=3)された9個の制御素11から成る表示素19に対して、1つの発光体12が割り当てられる。
【0022】
即ち、各表示素19には(M=m×N)×(M=m×N)(本実施例では9×9、即ちM=9)の画素が含まれることとなる。
【0023】
高精細度テレビジョン放送受像機の表示部は横方向に1920個、縦方向に1080個の画素が必要となるので、発光体12は横方向に1920÷(N×M)≒214個、縦方向に1080÷(N×M)=120個の合計25,680個が必要となる。
【0024】
表示素19を縦にL個(本実施例では3個、即ちL=3)並べたものを表示ブロック20と称すると、表示ブロック20を横方向に214個、縦方向に40個並べて表示部10が構成される。
【0025】
ここで、説明を容易にするために、以下の表記を導入する。
【0026】
表示部10のiB行、jB列にある表示ブロック20をDB(iB,jB)で表す。
【0027】
ただし、0≦iB≦214−1=213、0≦jB≦120÷L−1=39
表示ブロック20のiD列にある表示素19をDE(iD)で表す。
【0028】
ただし、0≦iD≦L−1=2
表示素19のiC行、jC列にある制御素11をCE(iC,jC)で表す。
【0029】
ただし、0≦iC,jC≦m−1=2
制御素11のiP行、jP列にある画素111をP(iP,jP)で表す。
【0030】
ただし、0≦iP,jP≦N−1=2
さらに、表示部のiB行、jB列にある表示ブロックDB(iB,jB)のiD番目にある表示素DE(iD)のiC行、jC列にある制御素CE(iC,jC)のiP行、jP列にある画素111をP(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iP,jP)で表す。
【0031】
図4は、第1の実施形態に係る広ダイナミックレンジ表示装置のハードウエア構成を示すブロック図であって、表示部10は例えばマイクロプロセッサ3によって制御される。
【0032】
マイクロプロセッサ3は、バス30を中心に、CPU31、メモリ32、映像データを取り込む映像インターフェイス(以下I/Fと記す)33、画素選択信号、制御素列選択信号および制御素行選択信号を出力するデジタルI/F34、ならびに発光体駆動信号および透過率データを出力するアナログI/F35から構成される。
【0033】
即ち、信号分離部14、画素選択信号生成部15、制御素選択信号生成部16、透過率データ生成部17および発光体駆動信号生成部18は、マイクロプロセッサ3にインストールされる映像表示ルーチンによってソフトウエア的に構成される。
【0034】
ここで、制御素制御部13および画素制御部112の制御動作について説明する。
【0035】
制御素制御部13は、制御素選択信号生成部16から制御素列選択信号CRおよび制御素行選択信号CCを受信し、各画素111を制御する。
【0036】
制御素列選択信号CRおよび制御素行選択信号CCはそれぞれ2ビット信号であり、制御素行選択信号CCは"0,0"、"0,1"、 "1,0" "1,1"の4種類の状態を、制御素列選択信号CRは"0,1"、 "1,0" "1,1"の3種類の状態を有する。
【0037】
そして、制御素制御部13は、表1に従って各画素制御部112に画素制御信号CPとして"1"または"0"を出力する。
【0038】
【表1】
【0039】
画素制御部112は、制御素制御部13が出力する画素制御信号CP、画素選択信号生成部15が出力する画素選択信号SP("1"または"0")および透過率データ生成部17が出力する透過率データVを入力とし、各画素111を制御する。
【0040】
即ち、画素制御信号CPが"0"のときは、画素選択信号SPおよび透過率データVの値に関わらず、液晶には電界が印加されない。従って、画素は黒色を表示する。
【0041】
画素制御信号CPが"1"のときは、画素選択信号SPが"0"であれば液晶素子に電界を印加せず、画素は黒色を表示する。一方、画素選択信号SPが"1"であれば透過率データVに応じた液晶素子に電界を印加し、画素は透過率データVに応じた透過率に制御される。
【0042】
テレビジョン放送を受信する際には、映像は16ミリ秒ごとに更新されるが、第1の実施形態にあっては16ミリ秒を(M÷N)×(M÷N)(即ち、本実施形態においては9)に時分割して制御する。
【0043】
図5はマイクロプロセッサ3にインストールされる第一の映像表示ルーチンのフローチャートであって、16ミリ秒ごとに実行される。
【0044】
即ち、マイクロプロセッサ3は、まず映像I/F33を介して1フレーム分の映像を読み込む(ステップS401)。
【0045】
次に、マイクロプロセッサ3は時分割インデックスiTを"0"に初期化し(ステップS402)、次に表示素行インデックスiDを"0"に初期化する(ステップS403)。
【0046】
マイクロプロセッサ3は表2に従って制御素行インデックスiCおよび制御素列インデックスjcを設定する(ステップS404)。
【0047】
【表2】
【0048】
さらに、マイクロプロセッサ3は表3に従って制御素行選択信号CCおよび制御素列選択信号CRを設定する(ステップS405)。
【0049】
【表3】
【0050】
次に、マイクロプロセッサ3は色相制御ルーチン(ステップS406)、および透過度制御ルーチン(ステップS407)を実行するが、各ルーチンの詳細は以下に説明する。
【0051】
そして、マイクロプロセッサ3は表示素行インデックスiDが最大値ID(本実施例にあってはID=2)に到達したか否かを判定し(ステップS408)、否定判定した場合は表示素行インデックスiDをインクリメントして(ステップS409)、ステップS404の処理に戻る。
【0052】
マイクロプロセッサ3はステップS408で肯定判定した場合は、映像表示ルーチン実行開始後(16/9)×(iT+1)ミリ秒経過するまで待機する(ステップS409)。
【0053】
(16/9)×(iT+1)ミリ秒経過したときは、マイクロプロセッサ3は時分割インデックスiTが最大値IT(本実施例にあってはIT=8)に到達したか否かを判定する(ステップS410)する。
【0054】
そして、否定判定したときは、時分割インデックスiTをインクリメントし(ステップS411)、ステップS403の処理に戻る。逆に、肯定判定したときは、映像表示ルーチンを終了し、次の実行に備える。
【0055】
図6は色相制御ルーチンのフローチャートであって、マイクロプロセッサ3は、表示素19に含まれる81個の画素の代表色相として、赤、緑および青成分の平均値WR(iB,jB)(iD)、WG(iB,jB)(iD)およびWB(iB,jB)(iD)を算出する(ステップS61〜S63)。
【0056】
そして、WR(iB,jB)(iD)、WG(iB,jB)(iD)およびWB(iB,jB)(iD)をアナログI/F35から発光体12に出力する(ステップS64)。
【0057】
最後に、マイクロプロセッサ3は、制御素行選択信号CCおよび制御素列選択信号CRを出力して(ステップS65)、このルーチンを終了する。
【0058】
表4は色相制御ルーチンを実行したときに出力される制御素行選択信号CCおよび制御素列選択信号CRの値を示す表であって、制御素行選択信号CCと制御素列選択信号CRとが一致した制御素(太枠線で囲んだ制御素)の制御素制御部13が当該制御素に含まれるすべての画素制御部112に"1"を出力し、当該制御素をアクティブにする。
【0059】
【表4】
【0060】
図7は上記の色相制御ルーチンによりアクティブとされる制御素の時間的推移を示す図であって、斜線で示す制御素に対応する発光体が発光する。
【0061】
即ち、映像の更新間隔である16ミリ秒が9分割され、16/9ミリ秒ごとに表示ブロック単位でアクティブとされる制御素が決定される。1つの表示ブロックは3つの表示素を縦列に並べたものであり、各表示素は3×3の制御素から構成される。
【0062】
そして、第1の16/9ミリ秒(iT=0)では、上段の表示素の左行上段の制御素が、中段の表示素の中行上段の制御素が、下段の表示素の右行上段の制御素がアクティブとなる。
【0063】
第2の16/9ミリ秒(iT=1)では、上段の表示素の左行中段の制御素が、中段の表示素の中行中段の制御素が、下段の表示素の右行中段の制御素がアクティブとなる。
【0064】
第3の16/9ミリ秒(iT=2)では、上段の表示素の左行下段の制御素が、中段の表示素の中行下段の制御素が、下段の表示素の右行下段の制御素がアクティブとなる。
【0065】
第4の16/9ミリ秒(iT=3)では、上段の表示素の中行上段の制御素が、中段の表示素の右行上段の制御素が、下段の表示素の左行上段の制御素がアクティブとなる。
【0066】
第5の16/9ミリ秒(iT=4)では、上段の表示素の中行中段の制御素が、中段の表示素の右行中段の制御素が、下段の表示素の左行中段の制御素がアクティブとなる。
【0067】
第6の16/9ミリ秒(iT=5)では、上段の表示素の中行下段の制御素が、中段の表示素の右行下段の制御素が、下段の表示素の左行下段の制御素がアクティブとなる。
【0068】
第7の16/9ミリ秒(iT=6)では、上段の表示素の右行上段の制御素が、中段の表示素の左行上段の制御素が、下段の表示素の中行上段の制御素がアクティブとなる。
【0069】
第8の16/9ミリ秒(iT=7)では、上段の表示素の右行中段の制御素が、中段の表示素の左行中段の制御素が、下段の表示素の中行中段の制御素がアクティブとなる。
【0070】
第9の16/9ミリ秒(iT=8)では、上段の表示素の右行下段の制御素が、中段の表示素の左行下段の制御素が、下段の表示素の中行下段の制御素がアクティブとなる。
【0071】
即ち、色相制御ルーチンは、制御素選択信号生成部16および発光体駆動信号生成部18として機能する。
【0072】
図8は透過度制御ルーチンのフローチャートであって、マイクロプロセッサ3はまず表示ブロック行インデックスiBを初期値"0"に設定し(ステップS4501)、ついで補助時分割インデックスiAを初期値"0"に設定する(ステップS4502)。
【0073】
次に、マイクロプロセッサ3は、画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)に対する透過率データV(jB)(jC)(0〜2)を算出し(ステップS4503〜S4505)、同じく画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)に対する画素選択信号A(iB)(iD)(iC)(iA)を"1"に設定する(ステップS4506)。
【0074】
そして、マイクロプロセッサ3は、画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)に対する透過率データV(jB)(jC)(0〜2)をアナログI/F35を介して、画素選択信号A(iB)(iD)(iC)(iA)をデジタルI/F34を介して出力する(ステップS4507)。
【0075】
透過率データV(jB)(jC)(0〜2)と画素選択信号A(iB)(iD)(iC)(iA)を同タイミングで出力することにより、画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)の液晶の透過度が所定の値に制御される。
【0076】
マイクロプロセッサ3は、補助時分割インデックスiAが最大値IA(本実施例にあっては2)に到達したか否かを判定し(ステップS4508)、否定判定したときは補助時分割インデックスiAをインクリメントして(ステップS4509)、ステップS4503の処理に戻る。
【0077】
逆に、ステップS4508で肯定判定したときは、表示ブロック行インデックスiBが最大値IB(本実施例にあっては39)に到達したか否かを判定し(ステップS4510)、否定判定したときは表示ブロックインデックスiBをインクリメントして(ステップS4511)、ステップS4502の処理に戻る。
【0078】
逆に肯定判定したときは、このルーチンを終了する。
【0079】
この透過度制御ルーチンは、表示ブロック単位に当該表示ブロックに含まれる画素に順次透過率データVを出力し、画素毎に透過度を設定し、画素選択信号生成部15および透過率データ生成部17として機能する。
【0080】
従って、第1の実施形態によれば、色相を(N×M)×(N×M)個の画素ごとに制御し、透過度を画素ごとに制御することにより、信号処理回路を簡略化するとともに、広いダイナミックレンジを確保することが可能となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、信号処理回路をさらに簡略化することを目的とする。
【0081】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第2の実施形態は、図9のブロック図に示すように、それぞれが透過率を制御可能である複数(L×L)の画素の配列である表示素41をアレイ状に配置した表示部40と、表示素41ごとに表示部40の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体42と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部44と、信号分離部44で分離された同期信号に基づいて表示部40の画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部45と、信号分離部44で分離された映像情報信号に基づいて表示部40の画素の透過率を制御する透過率データを画素ごとに生成する透過率データ生成部47と、信号分離部44で分離された映像情報信号に基づいて発光体42を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部48と、を備える。
【0082】
そして、発光体駆動信号生成部48は、表示素41に含まれる複数の画素の代表赤色光を発光させる赤色発光体駆動信号、表示素41に含まれる複数の画素の代表緑色光を発光させる緑色発光体駆動信号および表示素41に含まれる複数の画素の代表青色光を発光させる青色発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次生成するものであり、透過率データ生成部47は、赤色発光体駆動信号に対応する赤色発光体発光時透過率データ、緑色発光体駆動信号に対応する緑色発光体発光時透過率データおよび青色発光体駆動信号に対応する青色発光体発光時透過率データを1フレーム時間内に順次生成するものである。
【0083】
図10は、本発明に係る広ダイナミックレンジ表示装置の第2の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図であって、表示部40は例えばマイクロプロセッサ6によって制御される。
【0084】
マイクロプロセッサ6は、バス60を中心に、CPU61、メモリ62、映像データを取り込む映像I/F63、画素選択信号を出力するデジタルI/F64、ならびに発光体駆動信号および透過率データを出力するアナログI/F65から構成される。
【0085】
即ち、信号分離部44、画素選択信号生成部45、透過率データ生成部47および発光体駆動信号生成部48は、マイクロプロセッサ6にインストールされる映像表示ルーチンによってソフトウエア的に構成される。
【0086】
図11はマイクロプロセッサ6にインストールされる第二の映像表示ルーチンのフローチャートであって、16ミリ秒ごとに実行される。
【0087】
なお、本実施例にあってはL=9とし、9×9=81個の画素ごとに発光体42が配置されるものとする。
【0088】
即ち、マイクロプロセッサ6は、まず映像I/F63を介して1フレーム分の映像を読み込む(ステップS70)。
【0089】
次に、マイクロプロセッサ6は色相インデックスkを"0"に初期化する(ステップS71)。
【0090】
さらに、マイクロプロセッサ6は、まず画素行インデックスiPおよび画素列インデックスjPを零に初期化する(ステップS72)。
【0091】
次に、マイクロプロセッサ6は、映像表示処理を実行するが、詳細は後述する(ステップS700)。
【0092】
そして、マイクロプロセッサ6は、画素列インデックスjPが最大値JP(本実施例にあっては、JP=1079)に到達したか否かを判別する(ステップS73)。
【0093】
マイクロプロセッサ6は、ステップS72で否定判定した場合は画素列インデックスjPをインクリメントして(ステップS74)、ステップS700の処理に戻る。
【0094】
逆に、ステップS73で肯定判定した場合は、画素行インデックスiPが最大値IP(本実施例にあっては、IP=1919)に到達したか否かを判別する(ステップS75)。
【0095】
マイクロプロセッサ6は、ステップS75で否定判定した場合は画素行インデックスiPをインクリメントして(ステップS76)、ステップS700の処理に戻る。
【0096】
逆に、マイクロプロセッサ6はステップS75で肯定判定した場合は16/3ミリ秒が経過するまで待機し(ステップS77)、16/3ミリ秒が経過すると色相インデックスkが"2"であるか否かを判定し(ステップS78)、否定判定したときは色相インデックスkをインクリメントして(ステップS79)、ステップS72の処理に戻る。
【0097】
逆に、肯定判定したときはこのルーチンを終了して、次の実行に備える。
【0098】
図12は、第二の映像表示ルーチンのステップS700で実行する映像表示処理のフローチャートである。
【0099】
そして、マイクロプロセッサ6は画素行インデックスiPを9で除した商以下の最大の整数m、および、画素列インデックスjPを9で除したときの商以下の最大の整数nを算出する(ステップS701)。
【0100】
マイクロプロセッサ6は画素行インデックスiPが9の倍数、かつ、画素列インデックスjPが9の倍数であるか否かを判定し(ステップS702)、肯定判定した場合は色相インデックスkの値を判別する(ステップS703)。
【0101】
k=0であれば予め定められた所定個数(本実施例においては81個)の画素の赤色成分R(m+i,n+j)(本実施例においては0≦i,j≦8)の最大値をCに設定する(ステップS704)。
【0102】
k=1であれば所定個数の画素の緑色成分G(m+i,n+j)の最大値をCに設定する(ステップS705)。
【0103】
k=2であれば所定個数個の画素の青色成分B(m+i,n+j)の最大値をCに設定する(ステップS706)。
【0104】
次に、マイクロプロセッサ6は発光体駆動信号W(m,n,k)をCに設定する(ステップS707)。
【0105】
マイクロプロセッサ6はステップS702で否定判定した場合は、ステップS703からステップS707までの処理をバイパスする。
【0106】
次に、マイクロプロセッサ6は、色相インデックスkの値を判別する(ステップS708)。
【0107】
k=0であれば、各画素の赤成分R(iP,jP)を発光体駆動信号W(m,n,k)で除して各画素の赤色成分に対する透過率データV(iP,jP)を算出する(ステップS709)。
【0108】
k=1であれば、各画素の緑成分G(iP,jP)を発光体駆動信号W(m,n,k)で除して各画素の緑色成分に対する透過率データV(iP,jP)を算出する(ステップS710)。
【0109】
k=2であれば、各画素の青成分B(iP,jP)を発光体駆動信号W(m,n,k)で除して各画素の青色成分に対する透過率データV(iP,jP)を算出する(ステップS711)。
【0110】
そして、マイクロプロセッサ6は透過率データV(iP,jP)および発光体駆動信号W(m,n,k)を出力する(ステップS712)。
【0111】
ここで、透過率データV(iP,jP)は表示パネル40の縦方向に配列された1080個の画素すべてに供給されるが、画素選択信号生成部45で生成された画素行を選択する画素選択信号により選択された画素だけが透過率データV(iP,jP)に応じた透過率に制御される。
【0112】
即ち、本実施形態によれば、L×L個の画素ごとに赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子を有する発光体が設けられ、1フレーム時間(16ミリ秒)の1/3ごとに赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子が順次発光する。
【0113】
そして、透過度を画素ごとに設定することにより、広ダイナミックレンジの映像表示を可能としている。
【0114】
上記実施形態のステップS707において発光体駆動信号W(m,n,k)をCに設定しているが、さらにダイナミックレンジを拡大するために発光体駆動信号W(m,n,k)をCの平方根に設定してもよい。
【0115】
従って、第2の実施形態によれば、(L×L)個の画素ごとにカラー表示を行い、透過度を画素ごとに制御することにより、信号処理回路を簡略化するとともに、広いダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0116】
上記では、本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置を、透過型液晶を使用した直視型表示装置に適用した場合について説明したが、本発明は反射型液晶を使用した場合および投射型表示装置にも適用できることは、当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、映像表示装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第1の実施形態の機能線図である。
【図2】制御素の構成を示すブロック線図である。
【図3】表示部、表示ブロック、表示素、制御素、画素の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第1の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図5】第一の映像表示ルーチンのフローチャートである。
【図6】色相制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】アクティブとされる制御素の時間的推移を示す図である。
【図8】透過率制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第2の実施形態の機能線図である。
【図10】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第2の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図11】第二の映像表示ルーチンのフローチャートである。
【図12】映像表示処理のフローチャートである。
【図13】従来の液晶表示装置の構成を表すブロック図である。
【図14】従来の液晶パネルの部分拡大図である。
【符号の説明】
【0119】
10、40:表示部
11、41:表示素
12、42:発光体
13:制御素制御部
14、44:信号分離部
15、45:画素選択信号生成部
16:制御素選択信号生成部
17、47:透過率データ生成部
18、48:発光体駆動信号生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は広ダイナミックレンジ映像表示装置に係り、特に、信号処理回路を簡略化することのできる広ダイナミックレンジ映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では画像表示装置の表示パネルとして液晶パネルを適用することが一般的である。
【0003】
しかし、液晶パネルはバックライトが発光する光を変調することにより画像を表示するものであり、輝度のダイナミックレンジを十分に確保することが困難であるという課題があった。
【0004】
そこで、広ダイナミックレンジを実現するために、既に種々の提案がなされている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
図13は従来の液晶表示装置の構成を表すブロック図であって、液晶駆動装置9は、画素がアレイ状に配置された液晶パネル91と、白色光を発光するLED群92と、LED群92を駆動するLED駆動部93と、LED群92が発光する白色光を拡散する拡散パネル94と、映像信号からLED駆動部に供給するLED制御信号ならびに液晶パネル91に供給する画素選択信号および映像データを生成する信号処理部95と、を含む。
【0006】
図14は、液晶パネル91の部分拡大図であって、2行2列に配置された4つの画素911、912、913および914を示している。各画素91i(1≦i≦4)は、赤色(R)フィルタを有するR液晶素子、緑色(G)フィルタを有するG液晶素子および青色(B)フィルタを有するB液晶素子から成り、各液晶素子は、それぞれ当該液晶素子を駆動する駆動回路96が設けられている。
【0007】
このため、横方向に1920画素、縦方向に1080画素の合計約200万画素を有する高精細テレビジョン受像機用の液晶パネルにあっては、600万個の駆動回路96が必要となるため、駆動回路96に画素選択信号および映像データを供給する信号処理部95の構成が複雑化するだけでなく、液晶パネル91中の駆動回路96の占有面積が増大し、液晶パネルの映像表示面積が減少することを回避できない。
【特許文献1】特開2008−015430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を解決することを目的とするものであって、人間の視覚は輝度に対しては高い識別力を有するものの、色相の識別力は輝度の数分の1以下に低下することを利用して、広いダイナミックレンジを維持しつつ信号処理回路を簡略化することのできる広ダイナミックレンジ映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置は、それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素をアレイ状に配列した表示部と、前記表示素ごとに前記表示部の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部と、前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記表示部の前記画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部と、前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記発光体を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部と、前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記表示部の前記画素の透過率を制御する透過率データを前記画素の行ごとに生成する透過率データ生成部と、を備える構成を有している。
【0010】
この構成により、広いダイナミックレンジを維持しつつ信号処理回路を簡略化することができることとなる。
【0011】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置は、前記表示素のそれぞれは透過率を制御可能である画素を複数個アレイ状に配置した制御素を複数個アレイ状に配置したものであり、前記発光体駆動信号生成部は、前記表示素に含まれる前記制御素の代表色相を発光させる発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次発生するものであり、前記透過率データ生成部は、前記発光体駆動信号に対応する透過率データを1フレーム時間内に順次発生するものであり、前記制御素に対応して設けられる制御素制御部と、前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記制御素制御部に供給する前記制御素を列ごとに選択するための制御素列選択信号および前記制御素を行ごとに選択するための制御素行選択信号を生成する制御素選択信号生成部と、を含む構成を有している。
【0012】
この構成により、画素ごとに透過率を制御し、複数の画素ごとに色相を制御できることとなる。
【0013】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置は、前記発光体駆動信号生成部が、前記表示素に含まれる複数の画素の代表赤色光を発光させる赤色発光体駆動信号、前記表示素に含まれる複数の画素の代表緑色光を発光させる緑色発光体駆動信号および前記表示素に含まれる複数の画素の代表青色光を発光させる青色発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次生成するものであり、前記透過率データ生成部が、前記赤色発光体駆動信号に対応する赤色発光体発光時透過率データ、前記緑色発光体駆動信号に対応する緑色発光体発光時透過率データおよび前記青色発光体駆動信号に対応する青色発光体発光時透過率データを1フレーム時間内に順次生成するものである構成を有している。
【0014】
この構成により、画素ごとに透過率を制御し、複数の画素ごとに色相を時分割制御できることとなる。
【発明の効果】
【0015】
画素ごとに光の透過率を制御し、複数の画素ごとに色相を制御することにより、広いダイナミックレンジを維持しつつ信号処理回路を簡略化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
第1の実施形態に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置1は、図1のブロック図に示すように、それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素19をアレイ状に配列した表示部10と、表示素19ごとに表示部10の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体12と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部14と、信号分離部14で分離された同期信号に基づいて表示部10の画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部15と、信号分離部14で分離された映像情報信号に基づいて発光体12を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部18と、信号分離部14で分離された映像情報信号に基づいて表示部10の画素の透過率を制御する透過率データを画素の行ごとに生成する透過率データ生成部17と、を備える。
【0018】
そして、表示素19は、それぞれが透過率を制御可能である画素を複数個アレイ状に配置した制御素11を複数個アレイ状に配置したものであり、発光体駆動信号生成部18は、表示素19に含まれる制御素11の代表色相を発光させる発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次発生するものであり、透過率データ生成部17は、発光体駆動信号に対応する透過率データを1フレーム時間内に順次発生するものであり、制御素11に対応して設けられる制御素制御部13と、信号分離部14で分離された同期信号に基づいて制御素制御部13に供給する制御素11を列ごとに選択するための制御素列選択信号および制御素11を行ごとに選択するための制御素行選択信号を生成する制御素選択信号生成部16と、を含む。
【0019】
制御素11は、図2のブロック図に示すように、複数(本実施例にあっては9個)の画素111をN×Nに配列(本実施例では3×3に配列、即ちN=3)して構成される。画素111は2枚の透明基板の間に液晶が充填されており、画素ごとに画素制御部112が設けられている。
【0020】
また、制御素11に対して1つの制御素制御部13が設けられているが、画素制御部112および制御素制御部13は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)回路により構成することが望ましい。
【0021】
図3は、本発明に係る広ダイナミックレンジ表示装置を高精細度テレビジョン放送受像機に適用した場合の構成例を示すブロック図であって、3×3に配列された9個の画素111から構成される制御素11をm×mに配列(本実施例では3×3に配列、即ちm=3)された9個の制御素11から成る表示素19に対して、1つの発光体12が割り当てられる。
【0022】
即ち、各表示素19には(M=m×N)×(M=m×N)(本実施例では9×9、即ちM=9)の画素が含まれることとなる。
【0023】
高精細度テレビジョン放送受像機の表示部は横方向に1920個、縦方向に1080個の画素が必要となるので、発光体12は横方向に1920÷(N×M)≒214個、縦方向に1080÷(N×M)=120個の合計25,680個が必要となる。
【0024】
表示素19を縦にL個(本実施例では3個、即ちL=3)並べたものを表示ブロック20と称すると、表示ブロック20を横方向に214個、縦方向に40個並べて表示部10が構成される。
【0025】
ここで、説明を容易にするために、以下の表記を導入する。
【0026】
表示部10のiB行、jB列にある表示ブロック20をDB(iB,jB)で表す。
【0027】
ただし、0≦iB≦214−1=213、0≦jB≦120÷L−1=39
表示ブロック20のiD列にある表示素19をDE(iD)で表す。
【0028】
ただし、0≦iD≦L−1=2
表示素19のiC行、jC列にある制御素11をCE(iC,jC)で表す。
【0029】
ただし、0≦iC,jC≦m−1=2
制御素11のiP行、jP列にある画素111をP(iP,jP)で表す。
【0030】
ただし、0≦iP,jP≦N−1=2
さらに、表示部のiB行、jB列にある表示ブロックDB(iB,jB)のiD番目にある表示素DE(iD)のiC行、jC列にある制御素CE(iC,jC)のiP行、jP列にある画素111をP(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iP,jP)で表す。
【0031】
図4は、第1の実施形態に係る広ダイナミックレンジ表示装置のハードウエア構成を示すブロック図であって、表示部10は例えばマイクロプロセッサ3によって制御される。
【0032】
マイクロプロセッサ3は、バス30を中心に、CPU31、メモリ32、映像データを取り込む映像インターフェイス(以下I/Fと記す)33、画素選択信号、制御素列選択信号および制御素行選択信号を出力するデジタルI/F34、ならびに発光体駆動信号および透過率データを出力するアナログI/F35から構成される。
【0033】
即ち、信号分離部14、画素選択信号生成部15、制御素選択信号生成部16、透過率データ生成部17および発光体駆動信号生成部18は、マイクロプロセッサ3にインストールされる映像表示ルーチンによってソフトウエア的に構成される。
【0034】
ここで、制御素制御部13および画素制御部112の制御動作について説明する。
【0035】
制御素制御部13は、制御素選択信号生成部16から制御素列選択信号CRおよび制御素行選択信号CCを受信し、各画素111を制御する。
【0036】
制御素列選択信号CRおよび制御素行選択信号CCはそれぞれ2ビット信号であり、制御素行選択信号CCは"0,0"、"0,1"、 "1,0" "1,1"の4種類の状態を、制御素列選択信号CRは"0,1"、 "1,0" "1,1"の3種類の状態を有する。
【0037】
そして、制御素制御部13は、表1に従って各画素制御部112に画素制御信号CPとして"1"または"0"を出力する。
【0038】
【表1】
【0039】
画素制御部112は、制御素制御部13が出力する画素制御信号CP、画素選択信号生成部15が出力する画素選択信号SP("1"または"0")および透過率データ生成部17が出力する透過率データVを入力とし、各画素111を制御する。
【0040】
即ち、画素制御信号CPが"0"のときは、画素選択信号SPおよび透過率データVの値に関わらず、液晶には電界が印加されない。従って、画素は黒色を表示する。
【0041】
画素制御信号CPが"1"のときは、画素選択信号SPが"0"であれば液晶素子に電界を印加せず、画素は黒色を表示する。一方、画素選択信号SPが"1"であれば透過率データVに応じた液晶素子に電界を印加し、画素は透過率データVに応じた透過率に制御される。
【0042】
テレビジョン放送を受信する際には、映像は16ミリ秒ごとに更新されるが、第1の実施形態にあっては16ミリ秒を(M÷N)×(M÷N)(即ち、本実施形態においては9)に時分割して制御する。
【0043】
図5はマイクロプロセッサ3にインストールされる第一の映像表示ルーチンのフローチャートであって、16ミリ秒ごとに実行される。
【0044】
即ち、マイクロプロセッサ3は、まず映像I/F33を介して1フレーム分の映像を読み込む(ステップS401)。
【0045】
次に、マイクロプロセッサ3は時分割インデックスiTを"0"に初期化し(ステップS402)、次に表示素行インデックスiDを"0"に初期化する(ステップS403)。
【0046】
マイクロプロセッサ3は表2に従って制御素行インデックスiCおよび制御素列インデックスjcを設定する(ステップS404)。
【0047】
【表2】
【0048】
さらに、マイクロプロセッサ3は表3に従って制御素行選択信号CCおよび制御素列選択信号CRを設定する(ステップS405)。
【0049】
【表3】
【0050】
次に、マイクロプロセッサ3は色相制御ルーチン(ステップS406)、および透過度制御ルーチン(ステップS407)を実行するが、各ルーチンの詳細は以下に説明する。
【0051】
そして、マイクロプロセッサ3は表示素行インデックスiDが最大値ID(本実施例にあってはID=2)に到達したか否かを判定し(ステップS408)、否定判定した場合は表示素行インデックスiDをインクリメントして(ステップS409)、ステップS404の処理に戻る。
【0052】
マイクロプロセッサ3はステップS408で肯定判定した場合は、映像表示ルーチン実行開始後(16/9)×(iT+1)ミリ秒経過するまで待機する(ステップS409)。
【0053】
(16/9)×(iT+1)ミリ秒経過したときは、マイクロプロセッサ3は時分割インデックスiTが最大値IT(本実施例にあってはIT=8)に到達したか否かを判定する(ステップS410)する。
【0054】
そして、否定判定したときは、時分割インデックスiTをインクリメントし(ステップS411)、ステップS403の処理に戻る。逆に、肯定判定したときは、映像表示ルーチンを終了し、次の実行に備える。
【0055】
図6は色相制御ルーチンのフローチャートであって、マイクロプロセッサ3は、表示素19に含まれる81個の画素の代表色相として、赤、緑および青成分の平均値WR(iB,jB)(iD)、WG(iB,jB)(iD)およびWB(iB,jB)(iD)を算出する(ステップS61〜S63)。
【0056】
そして、WR(iB,jB)(iD)、WG(iB,jB)(iD)およびWB(iB,jB)(iD)をアナログI/F35から発光体12に出力する(ステップS64)。
【0057】
最後に、マイクロプロセッサ3は、制御素行選択信号CCおよび制御素列選択信号CRを出力して(ステップS65)、このルーチンを終了する。
【0058】
表4は色相制御ルーチンを実行したときに出力される制御素行選択信号CCおよび制御素列選択信号CRの値を示す表であって、制御素行選択信号CCと制御素列選択信号CRとが一致した制御素(太枠線で囲んだ制御素)の制御素制御部13が当該制御素に含まれるすべての画素制御部112に"1"を出力し、当該制御素をアクティブにする。
【0059】
【表4】
【0060】
図7は上記の色相制御ルーチンによりアクティブとされる制御素の時間的推移を示す図であって、斜線で示す制御素に対応する発光体が発光する。
【0061】
即ち、映像の更新間隔である16ミリ秒が9分割され、16/9ミリ秒ごとに表示ブロック単位でアクティブとされる制御素が決定される。1つの表示ブロックは3つの表示素を縦列に並べたものであり、各表示素は3×3の制御素から構成される。
【0062】
そして、第1の16/9ミリ秒(iT=0)では、上段の表示素の左行上段の制御素が、中段の表示素の中行上段の制御素が、下段の表示素の右行上段の制御素がアクティブとなる。
【0063】
第2の16/9ミリ秒(iT=1)では、上段の表示素の左行中段の制御素が、中段の表示素の中行中段の制御素が、下段の表示素の右行中段の制御素がアクティブとなる。
【0064】
第3の16/9ミリ秒(iT=2)では、上段の表示素の左行下段の制御素が、中段の表示素の中行下段の制御素が、下段の表示素の右行下段の制御素がアクティブとなる。
【0065】
第4の16/9ミリ秒(iT=3)では、上段の表示素の中行上段の制御素が、中段の表示素の右行上段の制御素が、下段の表示素の左行上段の制御素がアクティブとなる。
【0066】
第5の16/9ミリ秒(iT=4)では、上段の表示素の中行中段の制御素が、中段の表示素の右行中段の制御素が、下段の表示素の左行中段の制御素がアクティブとなる。
【0067】
第6の16/9ミリ秒(iT=5)では、上段の表示素の中行下段の制御素が、中段の表示素の右行下段の制御素が、下段の表示素の左行下段の制御素がアクティブとなる。
【0068】
第7の16/9ミリ秒(iT=6)では、上段の表示素の右行上段の制御素が、中段の表示素の左行上段の制御素が、下段の表示素の中行上段の制御素がアクティブとなる。
【0069】
第8の16/9ミリ秒(iT=7)では、上段の表示素の右行中段の制御素が、中段の表示素の左行中段の制御素が、下段の表示素の中行中段の制御素がアクティブとなる。
【0070】
第9の16/9ミリ秒(iT=8)では、上段の表示素の右行下段の制御素が、中段の表示素の左行下段の制御素が、下段の表示素の中行下段の制御素がアクティブとなる。
【0071】
即ち、色相制御ルーチンは、制御素選択信号生成部16および発光体駆動信号生成部18として機能する。
【0072】
図8は透過度制御ルーチンのフローチャートであって、マイクロプロセッサ3はまず表示ブロック行インデックスiBを初期値"0"に設定し(ステップS4501)、ついで補助時分割インデックスiAを初期値"0"に設定する(ステップS4502)。
【0073】
次に、マイクロプロセッサ3は、画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)に対する透過率データV(jB)(jC)(0〜2)を算出し(ステップS4503〜S4505)、同じく画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)に対する画素選択信号A(iB)(iD)(iC)(iA)を"1"に設定する(ステップS4506)。
【0074】
そして、マイクロプロセッサ3は、画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)に対する透過率データV(jB)(jC)(0〜2)をアナログI/F35を介して、画素選択信号A(iB)(iD)(iC)(iA)をデジタルI/F34を介して出力する(ステップS4507)。
【0075】
透過率データV(jB)(jC)(0〜2)と画素選択信号A(iB)(iD)(iC)(iA)を同タイミングで出力することにより、画素P(iB,jB)(iD)(iC,jC)(iA,0〜2)の液晶の透過度が所定の値に制御される。
【0076】
マイクロプロセッサ3は、補助時分割インデックスiAが最大値IA(本実施例にあっては2)に到達したか否かを判定し(ステップS4508)、否定判定したときは補助時分割インデックスiAをインクリメントして(ステップS4509)、ステップS4503の処理に戻る。
【0077】
逆に、ステップS4508で肯定判定したときは、表示ブロック行インデックスiBが最大値IB(本実施例にあっては39)に到達したか否かを判定し(ステップS4510)、否定判定したときは表示ブロックインデックスiBをインクリメントして(ステップS4511)、ステップS4502の処理に戻る。
【0078】
逆に肯定判定したときは、このルーチンを終了する。
【0079】
この透過度制御ルーチンは、表示ブロック単位に当該表示ブロックに含まれる画素に順次透過率データVを出力し、画素毎に透過度を設定し、画素選択信号生成部15および透過率データ生成部17として機能する。
【0080】
従って、第1の実施形態によれば、色相を(N×M)×(N×M)個の画素ごとに制御し、透過度を画素ごとに制御することにより、信号処理回路を簡略化するとともに、広いダイナミックレンジを確保することが可能となる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、信号処理回路をさらに簡略化することを目的とする。
【0081】
本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第2の実施形態は、図9のブロック図に示すように、それぞれが透過率を制御可能である複数(L×L)の画素の配列である表示素41をアレイ状に配置した表示部40と、表示素41ごとに表示部40の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体42と、映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部44と、信号分離部44で分離された同期信号に基づいて表示部40の画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部45と、信号分離部44で分離された映像情報信号に基づいて表示部40の画素の透過率を制御する透過率データを画素ごとに生成する透過率データ生成部47と、信号分離部44で分離された映像情報信号に基づいて発光体42を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部48と、を備える。
【0082】
そして、発光体駆動信号生成部48は、表示素41に含まれる複数の画素の代表赤色光を発光させる赤色発光体駆動信号、表示素41に含まれる複数の画素の代表緑色光を発光させる緑色発光体駆動信号および表示素41に含まれる複数の画素の代表青色光を発光させる青色発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次生成するものであり、透過率データ生成部47は、赤色発光体駆動信号に対応する赤色発光体発光時透過率データ、緑色発光体駆動信号に対応する緑色発光体発光時透過率データおよび青色発光体駆動信号に対応する青色発光体発光時透過率データを1フレーム時間内に順次生成するものである。
【0083】
図10は、本発明に係る広ダイナミックレンジ表示装置の第2の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図であって、表示部40は例えばマイクロプロセッサ6によって制御される。
【0084】
マイクロプロセッサ6は、バス60を中心に、CPU61、メモリ62、映像データを取り込む映像I/F63、画素選択信号を出力するデジタルI/F64、ならびに発光体駆動信号および透過率データを出力するアナログI/F65から構成される。
【0085】
即ち、信号分離部44、画素選択信号生成部45、透過率データ生成部47および発光体駆動信号生成部48は、マイクロプロセッサ6にインストールされる映像表示ルーチンによってソフトウエア的に構成される。
【0086】
図11はマイクロプロセッサ6にインストールされる第二の映像表示ルーチンのフローチャートであって、16ミリ秒ごとに実行される。
【0087】
なお、本実施例にあってはL=9とし、9×9=81個の画素ごとに発光体42が配置されるものとする。
【0088】
即ち、マイクロプロセッサ6は、まず映像I/F63を介して1フレーム分の映像を読み込む(ステップS70)。
【0089】
次に、マイクロプロセッサ6は色相インデックスkを"0"に初期化する(ステップS71)。
【0090】
さらに、マイクロプロセッサ6は、まず画素行インデックスiPおよび画素列インデックスjPを零に初期化する(ステップS72)。
【0091】
次に、マイクロプロセッサ6は、映像表示処理を実行するが、詳細は後述する(ステップS700)。
【0092】
そして、マイクロプロセッサ6は、画素列インデックスjPが最大値JP(本実施例にあっては、JP=1079)に到達したか否かを判別する(ステップS73)。
【0093】
マイクロプロセッサ6は、ステップS72で否定判定した場合は画素列インデックスjPをインクリメントして(ステップS74)、ステップS700の処理に戻る。
【0094】
逆に、ステップS73で肯定判定した場合は、画素行インデックスiPが最大値IP(本実施例にあっては、IP=1919)に到達したか否かを判別する(ステップS75)。
【0095】
マイクロプロセッサ6は、ステップS75で否定判定した場合は画素行インデックスiPをインクリメントして(ステップS76)、ステップS700の処理に戻る。
【0096】
逆に、マイクロプロセッサ6はステップS75で肯定判定した場合は16/3ミリ秒が経過するまで待機し(ステップS77)、16/3ミリ秒が経過すると色相インデックスkが"2"であるか否かを判定し(ステップS78)、否定判定したときは色相インデックスkをインクリメントして(ステップS79)、ステップS72の処理に戻る。
【0097】
逆に、肯定判定したときはこのルーチンを終了して、次の実行に備える。
【0098】
図12は、第二の映像表示ルーチンのステップS700で実行する映像表示処理のフローチャートである。
【0099】
そして、マイクロプロセッサ6は画素行インデックスiPを9で除した商以下の最大の整数m、および、画素列インデックスjPを9で除したときの商以下の最大の整数nを算出する(ステップS701)。
【0100】
マイクロプロセッサ6は画素行インデックスiPが9の倍数、かつ、画素列インデックスjPが9の倍数であるか否かを判定し(ステップS702)、肯定判定した場合は色相インデックスkの値を判別する(ステップS703)。
【0101】
k=0であれば予め定められた所定個数(本実施例においては81個)の画素の赤色成分R(m+i,n+j)(本実施例においては0≦i,j≦8)の最大値をCに設定する(ステップS704)。
【0102】
k=1であれば所定個数の画素の緑色成分G(m+i,n+j)の最大値をCに設定する(ステップS705)。
【0103】
k=2であれば所定個数個の画素の青色成分B(m+i,n+j)の最大値をCに設定する(ステップS706)。
【0104】
次に、マイクロプロセッサ6は発光体駆動信号W(m,n,k)をCに設定する(ステップS707)。
【0105】
マイクロプロセッサ6はステップS702で否定判定した場合は、ステップS703からステップS707までの処理をバイパスする。
【0106】
次に、マイクロプロセッサ6は、色相インデックスkの値を判別する(ステップS708)。
【0107】
k=0であれば、各画素の赤成分R(iP,jP)を発光体駆動信号W(m,n,k)で除して各画素の赤色成分に対する透過率データV(iP,jP)を算出する(ステップS709)。
【0108】
k=1であれば、各画素の緑成分G(iP,jP)を発光体駆動信号W(m,n,k)で除して各画素の緑色成分に対する透過率データV(iP,jP)を算出する(ステップS710)。
【0109】
k=2であれば、各画素の青成分B(iP,jP)を発光体駆動信号W(m,n,k)で除して各画素の青色成分に対する透過率データV(iP,jP)を算出する(ステップS711)。
【0110】
そして、マイクロプロセッサ6は透過率データV(iP,jP)および発光体駆動信号W(m,n,k)を出力する(ステップS712)。
【0111】
ここで、透過率データV(iP,jP)は表示パネル40の縦方向に配列された1080個の画素すべてに供給されるが、画素選択信号生成部45で生成された画素行を選択する画素選択信号により選択された画素だけが透過率データV(iP,jP)に応じた透過率に制御される。
【0112】
即ち、本実施形態によれば、L×L個の画素ごとに赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子を有する発光体が設けられ、1フレーム時間(16ミリ秒)の1/3ごとに赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子が順次発光する。
【0113】
そして、透過度を画素ごとに設定することにより、広ダイナミックレンジの映像表示を可能としている。
【0114】
上記実施形態のステップS707において発光体駆動信号W(m,n,k)をCに設定しているが、さらにダイナミックレンジを拡大するために発光体駆動信号W(m,n,k)をCの平方根に設定してもよい。
【0115】
従って、第2の実施形態によれば、(L×L)個の画素ごとにカラー表示を行い、透過度を画素ごとに制御することにより、信号処理回路を簡略化するとともに、広いダイナミックレンジを確保することが可能となる。
【0116】
上記では、本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置を、透過型液晶を使用した直視型表示装置に適用した場合について説明したが、本発明は反射型液晶を使用した場合および投射型表示装置にも適用できることは、当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、映像表示装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第1の実施形態の機能線図である。
【図2】制御素の構成を示すブロック線図である。
【図3】表示部、表示ブロック、表示素、制御素、画素の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第1の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図5】第一の映像表示ルーチンのフローチャートである。
【図6】色相制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】アクティブとされる制御素の時間的推移を示す図である。
【図8】透過率制御ルーチンのフローチャートである。
【図9】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第2の実施形態の機能線図である。
【図10】本発明に係る広ダイナミックレンジ映像表示装置の第2の実施形態のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図11】第二の映像表示ルーチンのフローチャートである。
【図12】映像表示処理のフローチャートである。
【図13】従来の液晶表示装置の構成を表すブロック図である。
【図14】従来の液晶パネルの部分拡大図である。
【符号の説明】
【0119】
10、40:表示部
11、41:表示素
12、42:発光体
13:制御素制御部
14、44:信号分離部
15、45:画素選択信号生成部
16:制御素選択信号生成部
17、47:透過率データ生成部
18、48:発光体駆動信号生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素をアレイ状に配列した表示部と、
前記表示素ごとに前記表示部の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体と、
映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部と、
前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記表示部の前記画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部と、
前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記発光体を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部と、
前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記表示部の前記画素の透過率を制御する透過率データを前記画素の行ごとに生成する透過率データ生成部と、を備える広ダイナミックレンジ映像表示装置。
【請求項2】
前記表示素は、それぞれが透過率を制御可能である画素を複数個アレイ状に配置した制御素を複数個アレイ状に配置したものであり、
前記発光体駆動信号生成部は、前記表示素に含まれる前記制御素の代表色相を発光させる発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次発生するものであり、
前記透過率データ生成部は、前記発光体駆動信号に対応する透過率データを1フレーム時間内に順次発生するものであり、
前記制御素に対応して設けられる制御素制御部と、
前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記制御素制御部に供給する前記制御素を列ごとに選択するための制御素列選択信号および前記制御素を行ごとに選択するための制御素行選択信号を生成する制御素選択信号生成部と、を含む請求項1に記載の広ダイナミックレンジ映像表示装置。
【請求項3】
前記発光体駆動信号生成部は、前記表示素に含まれる複数の画素の代表赤色光を発光させる赤色発光体駆動信号、前記表示素に含まれる複数の画素の代表緑色光を発光させる緑色発光体駆動信号および前記表示素に含まれる複数の画素の代表青色光を発光させる青色発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次生成するものであり、
前記透過率データ生成部は、前記赤色発光体駆動信号に対応する赤色発光体発光時透過率データ、前記緑色発光体駆動信号に対応する緑色発光体発光時透過率データおよび前記青色発光体駆動信号に対応する青色発光体発光時透過率データを1フレーム時間内に順次生成するものである請求項1に記載の広ダイナミックレンジ映像表示装置。
【請求項1】
それぞれが透過率を制御可能である複数の画素の配列である表示素をアレイ状に配列した表示部と、
前記表示素ごとに前記表示部の背面に配置される赤色発光素子、緑色発光素子および青色発光素子からなる発光体と、
映像信号を同期信号と映像情報信号とに分離する信号分離部と、
前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記表示部の前記画素を列ごとに選択する画素選択信号を生成する画素選択信号生成部と、
前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記発光体を駆動する発光体駆動信号を生成する発光体駆動信号生成部と、
前記信号分離部で分離された映像情報信号に基づいて前記表示部の前記画素の透過率を制御する透過率データを前記画素の行ごとに生成する透過率データ生成部と、を備える広ダイナミックレンジ映像表示装置。
【請求項2】
前記表示素は、それぞれが透過率を制御可能である画素を複数個アレイ状に配置した制御素を複数個アレイ状に配置したものであり、
前記発光体駆動信号生成部は、前記表示素に含まれる前記制御素の代表色相を発光させる発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次発生するものであり、
前記透過率データ生成部は、前記発光体駆動信号に対応する透過率データを1フレーム時間内に順次発生するものであり、
前記制御素に対応して設けられる制御素制御部と、
前記信号分離部で分離された同期信号に基づいて前記制御素制御部に供給する前記制御素を列ごとに選択するための制御素列選択信号および前記制御素を行ごとに選択するための制御素行選択信号を生成する制御素選択信号生成部と、を含む請求項1に記載の広ダイナミックレンジ映像表示装置。
【請求項3】
前記発光体駆動信号生成部は、前記表示素に含まれる複数の画素の代表赤色光を発光させる赤色発光体駆動信号、前記表示素に含まれる複数の画素の代表緑色光を発光させる緑色発光体駆動信号および前記表示素に含まれる複数の画素の代表青色光を発光させる青色発光体駆動信号を1フレーム時間内に順次生成するものであり、
前記透過率データ生成部は、前記赤色発光体駆動信号に対応する赤色発光体発光時透過率データ、前記緑色発光体駆動信号に対応する緑色発光体発光時透過率データおよび前記青色発光体駆動信号に対応する青色発光体発光時透過率データを1フレーム時間内に順次生成するものである請求項1に記載の広ダイナミックレンジ映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−60622(P2010−60622A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223534(P2008−223534)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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