説明

広告システム、広告方法及びプログラム

【課題】広告を閲覧したユーザにソーシャルネットワークのつながりを介して広告を広めるインセンティブを与えることができるようにする。
【解決手段】Webサーバ10とSNSサーバ20とが通信可能に接続される。Webサーバ10の広告出力部111が広告3を出力し、評価入力部112が広告3に対するユーザAの評価の入力を受け付ける。SNSサーバ20の伝搬情報送信部213がソーシャルネットワークにおいてユーザAにつながりを有するユーザB,C,Dに対して、広告に対するユーザAの評価を示すイベント情報を通知する。Webサーバ10の報奨額決定部115はユーザAに与える報奨額を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告システム、広告方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service;SNS)が普及し、SNS上で広告を行うことも検討されている。例えば特許文献1には、掲示板等のSNS表示データとともに広告を表示するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−191750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広告を閲覧したユーザがその広告に良い印象を持った場合には、ソーシャルネットワークにおいてつながりのある他のユーザにその広告を伝えようと考えることがある。しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、広告を閲覧しただけのユーザには広告を広めようとするインセンティブは与えられない。
【0005】
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、広告を閲覧したユーザにソーシャルネットワークのつながりを介して広告を広めるインセンティブを与えることのできる、広告システム、広告方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、広告システムであって、ある広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付ける評価入力部と、前記第1のユーザがソーシャルネットワーク上でつながりを有する第2のユーザを特定するつながり特定部と、前記第2のユーザに前記第1のユーザによる前記評価を示す評価情報を通知する評価伝搬部と、前記第1のユーザに与える報奨額を決定する報奨額決定部と、を備えることとする。 また、本発明の他の態様は、広告システムであって、ソーシャルネットワークを構築するサーバと通信可能に接続され、広告を出力する広告出力部と、前記広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付ける評価入力部と、前記ソーシャルネットワークにおいて前記第1のユーザにつながりを有する第2のユーザに対して、前記広告に対する前記第1のユーザの前記評価を示す評価情報を通知するように指示する評価情報伝搬要求を前記サーバに送信する伝搬要求送信部と、前記第1のユーザに与える報奨額を決定する報奨額決定部と、を備えることとする。
【0007】
本発明の広告システムによれば、第1のユーザが広告に対する評価を入力すると、第1のユーザとソーシャルネットワーク上でつながりを有する第2のユーザにその広告に対する評価を伝搬させることが可能となり、広告を伝搬させた第1のユーザにはインセンティブが与えられる。したがって、ユーザに広告をソーシャルネットワーク上で伝搬させるインセンティブを与えることができる。一般に、ソーシャルネットワークでつながりのあるユーザからの情報は、見知らぬユーザからの情報に比べて信用が高いため、ソーシャルネットワークのつながりを介して広告を伝搬することができれば、広告効果も高いと考えられるところ、本発明の広告システムによれば、ソーシャルネットワークのつがなりを介して広告を伝搬するインセンティブを与えることができるので、信頼のおけるつながりを介したいわゆる口コミ効果が期待でき、広告効果を高めることができる。
【0008】
また、本発明の広告システムは、前記ソーシャルネットワークにおいて前記評価情報が通知された前記第2のユーザの数を取得する通知数取得部を備え、前記報奨額決定部は、前記第2のユーザの数に応じて前記報奨額を決定するようにしてもよい。
この場合、評価情報が伝搬されたユーザが多いほど大きいインセンティブが与えられることになるので、より多くのユーザに広告が伝搬されることが期待される。また、広告主にとっても、より広く伝搬されたことに対してインセンティブを支払うことになるので、支払の妥当性が高く広告の出稿がしやすくなる。
【0009】
また、本発明の広告システムは、前記ソーシャルネットワークにおいて前記評価情報が通知された経路を特定する伝搬経路特定部を備え、前記報奨額決定部は、前記特定した経路の長さに応じて前記報奨額を決定するようにしてもよい。
この場合、連鎖的に評価情報が伝搬するほど報奨額が大きくなるので、より広範囲に広告が伝搬した場合に多くのインセンティブを与えることができる。
【0010】
また、本発明の広告システムでは、前記報奨額決定部は、複数の前記第1のユーザから前記評価を受け付けた場合には、先に受け付けた前記第1のユーザほど前記報奨額を高く決定するようにしてもよい。
この場合、ユーザに対してより早く広告を伝搬させようとする動機付けがなされるので、より迅速な広告効果が期待される。
【0011】
また、本発明の広告システムは、前記広告によるコンバージョンが発生したことを示すコンバージョン発生情報の入力を受け付けるコンバージョン発生情報入力部を備え、前記報奨額決定部は、前記コンバージョン発生情報の入力に応じて前記報奨額を決定するようにしてもよい。
この場合、コンバージョンが発生した場合にのみユーザが報奨されることになるため、広告主にとっては、実際に効果が発生したことの対価としてインセンティブを与えることが可能となり、広告の出稿がしやくなる。
【0012】
また、本発明の広告システムは、前記広告により、ある前記ユーザによってコンバージョンが発生したことを示すコンバージョン発生情報の入力を受け付けるコンバージョン発生情報入力部を備え、前記伝搬経路特定部は、前記コンバージョンを発生させた前記ユーザに前記評価情報が通知された経路を特定し、前記報奨額決定部は、前記経路に含まれる前記ユーザについてのみ、前記報奨額を決定するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の広告システムでは、前記報奨額決定部は、前記報奨額の合計が所定の上限を超えないように前記報奨額を決定するようにしてもよい。
この場合、インセンティブの上限を設けることができるので、広告主は予算管理を容易に行うことができる。
【0014】
また、本発明の広告システムでは、前記報奨額決定部は、所定の期間中にのみ前記報奨額を決定するようにしてもよい。
この場合、インセンティブを与える期間を限定することができるので、広告主はキャンペーン等の一時的なものについてもソーシャルネットワークを利用した広告を行うことができる。
【0015】
また、本発明の広告システムでは、前記報奨額決定部は、前記第2のユーザの数が所定の人数になるまで前記報奨額を決定するようにしてもよい。
この場合、評価情報が伝搬したユーザ数が増えすぎることを抑制することができる。
【0016】
また、本発明の広告システムは、前記第2のユーザの数に応じて、前記第1のユーザの影響度を決定する影響度決定部をさらに備えるようにしてもよい。
この場合、影響度の高いユーザ(インフルエンサ)を容易に特定することができる。
【0017】
また、本発明の広告システムは、前記影響度の高い順に所定数の前記ユーザに対してのみ前記広告を配信する広告配信部を備えるようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の広告システムでは、前記報奨額決定部は、前記第1のユーザについての前記影響度に応じて前記第1のユーザに与える前記報奨額を決定するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明の広告システムは、前記第2のユーザが閲覧する画面に、前記第2のユーザに対して通知された前記評価情報を、前記評価情報に係る前記第1のユーザについての前記影響度の順に表示する評価表示部を備えるようにしてもよい。
【0020】
また、本発明の他の態様は、広告方法であって、コンピュータが、ある広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付け、前記第1のユーザがつながりを有する第2のユーザを特定し、前記第2のユーザに前記第1のユーザによる前記評価を示す評価情報を通知し、前記第1のユーザに与える報奨額を決定することとする。
【0021】
また、本発明の他の態様は、広告方法であって、ソーシャルネットワークを構築するサーバと通信可能に接続されるコンピュータが、広告を出力し、前記広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付け、前記ソーシャルネットワークにおいて前記第1のユーザにつながりを有する第2のユーザに対して、前記広告に対する前記第1のユーザの前記評価を示す評価情報を通知するように指示する評価情報伝搬要求を前記サーバに送信し、前記第1のユーザに与える報奨額を決定することとする。
【0022】
また、本発明の他の態様は、プログラムであって、コンピュータに、ある広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付けるステップと、前記第1のユーザがつながりを有する第2のユーザを特定するステップと、前記第2のユーザに前記第1のユーザによる前記評価を示す評価情報を通知するステップと、前記第1のユーザに与える報奨額を決定するステップと、を実行させることとする。
【0023】
また、本発明の他の態様は、プログラムであって、ソーシャルネットワークを構築するサーバと通信可能に接続されるコンピュータに、広告を出力するステップと、前記広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付けるステップと、前記ソーシャルネットワークにおいて前記第1のユーザにつながりを有する第2のユーザに対して、前記広告に対する前記第1のユーザの前記評価を示す評価情報を通知するように指示する評価情報伝搬要求を前記サーバに送信するステップと、前記第1のユーザに与える報奨額を決定するステップと、を実行させることとする。
【0024】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、広告を閲覧したユーザにソーシャルネットワークのつながりを介して広告を広めるインセンティブを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る広告の伝搬について説明する図である。
【図2】本実施形態の広告システムの全体構成例を示す図である。
【図3】Webサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】Webサーバ10のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図5】広告情報の構成例を示す図である。
【図6】伝搬情報の構成例を示す図である。
【図7】SNSサーバ20のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図8】SNSサーバ20のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図9】ソーシャルグラフデータベース231の一例を示す図である。
【図10】イベント情報の構成例を示す図である。
【図11】ユーザ情報の構成例を示す図である。
【図12】広告を表示して報奨額を決定する処理の流れを示す図である。
【図13】広告3の評価に対する報奨額を決定する処理の一例を示す図である。
【図14】伝搬数の算出処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る広告システムについて説明する。本実施形態の広告システムは、ユーザに広告を表示するとともに、その広告を、ソーシャルネットワークを通じて伝搬させようとするものである。
【0028】
図1は、本実施形態に係る広告の伝搬について説明する図である。本実施形態の広告システムでは、ソーシャルネットワーク1において複数のユーザ2がつながっていることを前提とする。図1の例において、ユーザAに対して広告3が閲覧された場合に、ユーザAがボタン4を押下することにより、ユーザAが当該広告3について「良い」という評価を行った旨が広告システムに通知される。評価が広告システムに通知されると、ソーシャルネットワーク1においてユーザAにつながりを有しているユーザB、C及びDに、ユーザAが広告3について「良い」評価をした旨を示す情報(以下、評価情報という。)が伝達される。これに応じて、ユーザAに対してインセンティブ5(報奨)が与えられる。インセンティブは、例えば現金、現物、ポイント、情報へのアクセス権など、ユーザに対する報酬となりうるものであれば何でもよい。
【0029】
また、ユーザAからの評価情報を見たユーザBが広告3を閲覧しボタン4を押下すると、ソーシャルネットワーク1においてユーザBにつながりを有しているユーザE及びFにも、ユーザBが広告3について「良い」評価をした旨を示す評価情報が伝達される。これに応じてユーザBにもインセンティブ5が与えられる。後述するように、ユーザE及びFに対する評価情報の伝達に応じて、ユーザBに加えて、先にユーザBに評価情報を伝達したユーザAに対しても、インセンティブ5を与えるようにすることもできる。
【0030】
さらに、図1の例ではユーザFによってコンバージョンが発生している。コンバージョンとは、例えば、商品の購入や会員登録、資料請求など、サービスにとって何らかの利益となる行動が行われたことである。図1の例では、銀行に対するローンの審査の申し込みを行うことや、ローンについての資料を請求することなどがコンバージョンとなる。コンバージョンが発生した場合にのみ、そのコンバージョンの基礎となる広告3についての評価情報の伝達元となるユーザB及びAに対してインセンティブ5を与えるようにしてもよい。
【0031】
このように、本実施形態の広告システムでは、ソーシャルネットワーク1におけるつながりに沿って広告についての評価情報が伝達され、伝達元のユーザに対し、広告を評価してつながりのあるユーザに伝達するインセンティブが与えられる。
以下、詳細について説明する。
【0032】
==システム構成==
図2は、本実施形態の広告システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の広告システムは、Webサーバ10及びSNSサーバ20を含んで構成される。
【0033】
Webサーバ10は、各種の情報をHTTP(HyperText Transfer Protocol)により提供する。Webサーバ10は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータである。
【0034】
SNSサーバ20は、ソーシャルネットワークを構成するためのサービス、すなわちSNSサービスを提供する。SNSサーバ20は、例えばパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータである。
【0035】
Webサーバ10とSNSサーバ20とは通信ネットワーク30を介して互いに通信可能に接続される。通信ネットワーク30は例えばインターネットである。また、通信ネットワーク30にはユーザ端末31が接続されており、ユーザ端末31は通信ネットワーク30を介してWebサーバ10及びSNSサーバ20にアクセスすることができる。ユーザ端末31は、例えばパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話端末などである。
【0036】
==Webサーバ10==
図3は、Webサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。Webサーバ10は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。CPU101は記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース104は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信網に接続するための無線通信機などである。入力装置105は、データの入力を受け付ける、例えばキーボードやマウス、トラックボール、タッチパネル、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。Webサーバ10は複数の入力装置105及び出力装置106を備えるようにすることもできる。
【0037】
図4は、Webサーバ10のソフトウェア構成の一例を示す図である。Webサーバ10は、広告出力部111、評価入力部112、評価情報送信部113、伝搬情報取得部114、報奨額決定部115、支払処理部116、影響度送信部117、広告データベース131、伝搬履歴データベース132を備える。広告出力部111、評価入力部112、評価情報送信部113、伝搬情報取得部114、報奨額決定部115、支払処理部116、影響度送信部117は、Webサーバ10が備えるCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、広告データベース131及び伝搬履歴データベース132は、Webサーバ10が備えるメモリ102や記憶装置103の提供する記憶領域の一部として実現される。
【0038】
広告データベース131は、広告3を表示するための情報(以下、広告情報という。)を記憶する。図5は、広告データベース131に登録される広告情報の構成例を示す図である。同図に示すように、広告情報には、広告3を特定するための識別情報である広告IDに対応付けて、広告の名称、広告の内容、及び広告に関係するコンバージョンを発生させるサービスにアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)が含まれる。本実施形態では、広告の内容は文字列であるものとするが、画像データなどを含めるようにしてもよい。また、URLや名称などを省略して、広告IDと広告の内容のみを広告情報に含めるようにし、広告の内容には、例えばHTML(HyperText Markup Language)やXHTML、XMLなどで記述された文字列やJPEGやPNGなどの画像データなどを含めるようにしてもよい。
【0039】
広告出力部111は広告を出力する。本実施形態では、広告出力部111は、ユーザ端末31から送信されるHTTPリクエストに応じて、広告情報に含まれる広告の内容に広告IDを付帯させてユーザ端末31に送信するものとする。ユーザ端末31は、Webサーバ10から受信したデータに基づいて図1に示すような広告3を表示するとともに、広告IDを対応付けたボタン4を表示する。
【0040】
評価入力部112は、広告に対するユーザの評価の入力を受け付ける。本実施形態では、ユーザ端末31に表示された広告3に含まれるボタン4が押下された場合に、ユーザ端末31は、ユーザ端末31を操作しているユーザを特定する情報(以下、ユーザIDという。)と、当該広告3を特定する情報(以下、広告IDという。)と、をWebサーバ10に送信し、評価入力部112はユーザ端末31から、当該ユーザID及び広告IDを、ユーザによる広告についての「良い」という評価として受け付ける。
【0041】
評価情報送信部113は、ユーザの広告に対する評価を示す情報(以下、評価情報という。)をSNSサーバ20に送信する。評価情報送信部113は、評価入力部112が受け付けた広告IDに対応する広告情報を広告データベース131から読み出し、評価入力部112が受け付けたユーザIDと、広告情報の広告ID、名称及びURLとを含む評価情報をSNSサーバ20に送信する。後述するように、SNSサーバ20では、評価情報に含まれるユーザIDにより特定されるユーザ(以下、閲覧ユーザという。)がソーシャルネットワークにおいてつながりを有する他のユーザ(以下、つながりユーザという。)に対して、閲覧ユーザが上記広告3のことを良いと評価している旨が通知される。なお、評価情報送信部113は、ある広告について予め設定された所定人数から評価を受け付けた後は、それ以上評価情報をSNSサーバ20に送信しないようにしてもよい。
【0042】
伝搬情報取得部114は、SNSサーバ20において評価情報が伝搬された先のユーザを特定するユーザIDをSNSサーバ20から取得する。本実施形態では、評価情報送信部113による評価情報の送信に対して、SNSサーバ20から伝搬先のユーザIDの一覧が応答され、伝搬情報取得部114はこれを受信するものとするが、例えば、伝搬された先のユーザ一覧を取得するためのコマンドをSNSサーバ20に送信し、コマンドに応じてSNSサーバ20から送信されるユーザIDの一覧を受信するようにしてもよい。伝搬情報取得部114は、SNSサーバ20から受信したユーザIDのそれぞれについて、評価入力部112が受け付けた評価情報に含まれる広告ID及びユーザIDならびに当該ユーザIDを含む、評価情報が伝搬されたことを示す情報(以下、伝搬情報という。)を作成して伝搬履歴データベース132に登録する。図6は、伝搬履歴データベース132に登録される伝搬情報の構成例を示す図である。同図に示すように、伝搬情報には、広告ID、閲覧ユーザのユーザID(伝搬元)、評価情報が通知されたつながりユーザのユーザID(伝搬先)及び広告3についての評価を評価入力部112が受け付けた日時が含まれる。
【0043】
報奨額決定部115は、ユーザが広告を評価したことに対して与えるインセンティブの額(報奨額)を決定する。報奨額決定部115は、SNSサーバ20が提供するソーシャルネットワークにおけるつながりによって評価情報が伝搬された場合に、伝搬元となるユーザに対する報奨額を決定する。
【0044】
報奨額決定部115による報奨額の決定処理の一例は後述するが、報奨額決定部115は、例えば、ソーシャルネットワークにおけるつながりの数に応じて報奨額を決定することができる。この場合、より多くのつながりをもつユーザにインセンティブを多く与えることができるので、より多くのユーザに広告が伝搬することが期待される。また、広告主にとっても、より広く伝搬されたことに対してインセンティブを支払うことになるので、支払の妥当性が高く広告の出稿がしやすくなる。
【0045】
また、報奨額決定部115は、連鎖的に評価情報が伝搬した場合には、伝搬した全てのユーザの数に応じて報奨額を決定することもできる。例えば図1の例では、ユーザAが広告3を良いと評価したことがユーザB、C、Dに通知され、これに応じてユーザBが広告3を閲覧して良いと評価し、ユーザBが広告3を良いと評価したことがユーザE、Fに通知された場合、ユーザAから連鎖的に評価情報が伝搬したのはユーザB、C、D、E、Fの5名であり、ユーザBから評価情報が伝搬したのはユーザE、Fの2名であるので、ユーザAについては「5」、ユーザBについては「2」の数に応じた報奨額を決定することができる。
【0046】
また、報奨額決定部115は、ソーシャルグラフにおいて連鎖的に評価情報が伝搬した場合には、伝搬した階層の深さ(すなわち、伝搬元から末端の伝搬先までの経路の長さ)に応じて報奨額を決定することもできる。この場合、より広範囲に広告が伝搬するようにインセンティブを与えることができる。
【0047】
また、報奨額決定部115は、早く広告3を閲覧したユーザほど報奨額が大きくなるように報奨額を決定するようにしてもよく、また評価情報が伝搬されたユーザ数が多く、かつ、広告3を閲覧した日時が早いほど報奨額が大きくなるように報奨額を決定するようにしてもよい。
【0048】
また、報奨額決定部115は、コンバージョンが発生した場合にのみ報奨額を決定するようにしてもよい。この場合、広告主にとっては、実際に効果が発生したことの対価としてインセンティブを与えることが可能となり、広告の出稿がしやくなる。
【0049】
また、コンバージョンが発生した場合に、報奨額決定部115は、ソーシャルネットワークにおけるユーザのつながりを表すグラフ(ソーシャルグラフと呼ばれる。)において、コンバージョンを発生させたユーザに評価情報が伝搬された経路上のユーザに対してのみ報奨額を決定するようにしてもよい。例えば図1の例では、コンバージョンを発生させたユーザFに評価情報が伝搬された経路上のユーザであるユーザA及びBについて報奨額を決定する。
【0050】
また、報奨額決定部115は、ある広告についての報奨額につき、複数のユーザの報奨額を決定する場合において、広告について予め設定された上限額を超えないように報奨額を決定するようにしてもよい。この場合、インセンティブの上限を設けることができるので、広告主は予算管理を容易に行うことができる。
【0051】
また、報奨額決定部115は、所定の期間中にのみ報奨額を決定するようにしてもよい。この場合、インセンティブを与える期間を限定することができるので、広告主はキャンペーン等の一時的なものについてもソーシャルネットワークを利用した広告を行うことができる。
【0052】
支払処理部116は、報奨額決定部115が決定した報奨額に応じてインセンティブをユーザに与える。支払処理部116は、一般的な処理によってインセンティブを与えるものとする。例えば、インセンティブとして現金を支払う場合には、例えば金融機関の運営するサーバにアクセスして振込処理を行うようにすることもできる。また、一般的な処理によって、Webサーバ10を運営する運営者が発行するポイントをインセンティブとしてユーザに与えるようにしてもよい。
【0053】
影響度送信部117は、ユーザが広告を評価したことが他のユーザに与える影響度をSNSサーバ20に送信する。本実施形態では、影響度は、評価情報が伝搬したユーザの数によって決定する。また、影響度は、あるユーザを基点としてソーシャルグラフ上をツリー状に評価情報が伝搬した場合、ツリーのルート(基点となるユーザ)に近いほど高くなるように重み付けされる。なお、影響度の算出処理については後述する。
【0054】
なお、広告出力部111は、影響度に応じて広告の表示を変えるようにしてもよい。例えば、広告の表示回数に制限があるような場合に、広告出力部111は、影響度の高いユーザ(インフルエンサとも呼ばれる。)に対して優先的に広告を表示するようにすることができる。
【0055】
また、報奨額決定部115は、影響度に応じて報奨額を決定するようにしてもよい。例えば、報奨額決定部115は、影響度が大きいほど報奨額が大きくなるように決定することができる。
【0056】
==SNSサーバ20==
図7は、SNSサーバ20のハードウェア構成の一例を示す図である。SNSサーバ20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。CPU201は記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。通信インタフェース204は、通信ネットワーク30に接続するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信網に接続するための無線通信機などである。入力装置205は、データの入力を受け付ける、例えばキーボードやマウス、トラックボール、タッチパネル、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。SNSサーバ20は複数の入力装置205及び出力装置206を備えるようにすることもできる。
【0057】
図8は、SNSサーバ20のソフトウェア構成の一例を示す図である。同図に示すように、SNSサーバ20は、イベント検知部211、イベント通知部212、伝搬情報送信部213、影響度受信部214、ソーシャルグラフデータベース231、イベントデータベース232、ユーザデータベース233を備えている。なお、イベント検知部211、イベント通知部212、伝搬情報送信部213、影響度受信部214は、SNSサーバ20が備えるCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、ソーシャルグラフデータベース231、イベントデータベース232、ユーザデータベース233は、SNSサーバ20が備えるメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0058】
ソーシャルグラフデータベース231は、ユーザのつながりを管理する。ソーシャルグラフデータベース231は、一般的なソーシャルネットワークにおけるソーシャルグラフを表す各種の情報を管理することができる。本実施形態では、説明を簡単にするため、ソーシャルグラフにおいてリンクにより接続されている両端のノードのユーザを示すユーザIDを管理するものとする。図9は、本実施形態に係るソーシャルグラフデータベース231の一例を示す図である。同図に示すように、ソーシャルグラフデータベース231は、つながりを有する2人のユーザを特定するユーザID(ユーザID1及びユーザID2)を記憶している。
【0059】
イベント検知部211は、ユーザが何らかの行動(アクション)を行ったことを検知する。イベント検知部211は、例えば、あるユーザが他のユーザとつながりを有するようになったことや、ユーザがステータスを入力したこと、ユーザが写真をアップロードしたことなど、ユーザが行った各種の行動を検知する。本実施形態では、説明を簡単にするために、イベント検知部211は、Webサーバ10から評価情報を受信したことをもって、ユーザが広告についての評価を入力したことを検知することのみを説明する。
【0060】
イベント検知部211は、検知したイベントに関する情報(以下、イベント情報という。)をイベントデータベース232に登録する。図10は、イベントデータベース232に登録されるイベント情報の構成例を示す図である。同図に示すように、イベント情報には、イベントを特定する情報(以下、イベントIDという。)、日時、行動(アクション)を行ったユーザID、ユーザのとったアクション、アクションの対象となった事象と特定する情報、及びイベントに関するURLが含まれる。日時は、例えばイベント情報を登録した日時としてもよいし、アクションが行われた日時としてもよい。評価情報についてはアクションに「広告評価」が設定されるものとする。図10の例では、イベントIDが「E001」であるイベント情報が、ユーザ「A」が、「○○銀行ローン」の広告(図5の例の広告IDが「0001」である広告)について「良い」と評価したことを示している。
【0061】
ユーザデータベース233は、ユーザに関する情報(以下、ユーザ情報という。)を記憶する。図11は、ユーザデータベース233に記憶されるユーザ情報の構成例を示す図である。同図に示すように、ユーザ情報には、ユーザIDに対応付けて、そのユーザの影響度、ユーザの氏名やメールアドレスなどが含まれる。なお、ユーザ情報には、ユーザの属性などユーザに関する各種の項目を含めることができる。
【0062】
イベント通知部212は、イベントをユーザに通知する。本実施形態では、イベント通知部212は、ユーザがSNSサーバ20にアクセスした場合に表示される画面に、当該ユーザにつながりのある他のユーザのユーザIDに対応するイベント情報を日時の新しい順に所定数をイベントデータベース232から読み出して一覧表示するものとする。つまり、イベント通知部212は、ユーザ端末31からSNSサーバ20がアクセスされたことを契機として、ユーザ端末31に送信する画面データにイベント情報を含めることでイベントを通知するものとする。イベント通知部212は、ソーシャルグラフデータベース231から、アクセスしてきたユーザのユーザIDに対応するユーザID2を読み出し、読み出したユーザID2を含むイベント情報をイベントデータベース232から読み出して表示する。ここでイベント通知部212は、アクションが「広告評価」であるイベント情報については、イベント情報のユーザIDに対応するユーザ情報の影響度の高い順にイベント情報を表示するようにしてもよい。また、イベント通知部212は、影響度に応じてイベント情報の表示を変更するようにしてもよい。例えば、イベント通知部212は、影響度が大きいユーザのイベント情報については、文字の大きさや色、背景色を目立つように変更したり、飾り枠やアイコンなどを表示したりすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、イベント情報がイベントデータベース232に登録されたことにより、ユーザの画面に表示可能となったところでイベント(評価情報)がユーザに通知されたものとする。また、イベント通知部212は、予め設定された所定人数にイベントを通知した場合には、それ以上イベントを通知しないようにしてもよい。
【0064】
伝搬情報送信部213は、イベントが通知されたユーザをWebサーバ10に送信する。伝搬情報送信部213は、ソーシャルグラフデータベース231から評価情報に含まれるユーザIDに対応するユーザID2を読み出し、読み出したユーザID2の一覧をWebサーバ10に送信する。
【0065】
影響度受信部214は、Webサーバ10から送信される影響度を受信する。影響度受信部214は、受信した影響度によりユーザデータベース233を更新する。
【0066】
==処理==
以下、本実施形態の広告システムにおける処理について説明する。
図12は、広告を表示して報奨額を決定する処理の流れを示す図である。Webサーバ10において、広告出力部111はユーザ端末31からのHTTPリクエストに応じて広告情報をユーザ端末31に送信し、ユーザ端末31において広告3が表示される(S401)。ユーザ端末31において当該広告を良いと評価するボタン4が押下され、ユーザ端末31からユーザID及び広告IDがWebサーバ10に送信され、評価入力部112が当該ユーザID及び広告IDを受信する(S402)。評価情報送信部113は、評価入力部112が受け付けた広告IDに対応する広告情報を広告データベース131から読み出し、評価入力部112が受け付けたユーザIDと、広告情報の広告ID、名称及びURLとを含む評価情報をSNSサーバ20に送信する(S403)。
【0067】
SNSサーバ20において、イベント検知部211が評価情報を受信してイベント情報をイベントデータベース232に登録することにより、ソーシャルグラフにおいて閲覧ユーザとつながりのあるつながりユーザがSNSサーバ20にアクセスした場合に評価情報が表示されるようになり、これをもってつながりユーザに評価情報が通知されたものとする(S404)。伝搬情報送信部213は、ソーシャルグラフデータベース231から評価情報に含まれるユーザIDに対応するユーザID2(つながりユーザのユーザID)を読み出し、読み出したユーザID2の一覧をWebサーバ10に送信する(S405)。
【0068】
Webサーバ10では、伝搬情報取得部114がつながりユーザのユーザIDの一覧を受信し、つながりユーザのユーザIDのそれぞれについて、広告ID、閲覧ユーザのユーザID及びつながりユーザのユーザIDを含む伝搬情報を伝搬履歴データベース132に登録する(S406)。
【0069】
以上のようにして、評価情報が伝搬したソーシャルグラフ上のリンクを伝搬情報とした伝搬履歴データベース132に登録される。
【0070】
図13は、広告3の評価に対する報奨額を決定する処理の一例を示す図である。報奨額決定部115は、各広告3を示す広告IDのそれぞれについて以下の処理を行う。
【0071】
報奨額決定部115は、伝搬履歴データベース132から広告IDに対応する伝搬元を日時順に読み出し(S421)、重みを「1.0」として(S422)、読み出した伝搬元のそれぞれについて以下の処理を行う。すなわち、報奨額決定部115は、広告IDを第1引数とし、伝搬元を第2引数とし、空のリストを第3引数として図14に示す伝搬数の算出処理を呼び出して、その戻り値を伝搬元の伝搬数とする(S423)。
【0072】
図13の伝搬数算出処理において、報奨額決定部115は、第1引数を広告IDとし(S441)、第2引数をユーザIDとし(S442)、第3引数をリストとする(S443)。報奨額決定部115は、リストにユーザIDを追加し(S444)、伝搬履歴データベース132から広告ID及びユーザIDに対応する伝搬先を読み出し(S445)、読み出した伝搬先の数をN1とする(S446)。報奨額決定部115は、読み出した伝搬先のそれぞれについて、次の処理を行う。すなわち、報奨額決定部115は、伝搬先がリストに含まれていなければ(S447:NO)、広告IDを第1引数とし、伝搬先を第2引数とし、リストを第3引数として、当該伝搬数算出処理を再帰的に呼び出してその戻り値をN2とし(S448)、N1にN2を加算する(S449)。以上の処理を各伝搬先について繰り返した後、報奨額決定部115は、N1を戻り値として呼び出し元に戻る(S450)。
【0073】
図13に戻り、報奨額決定部115は、伝搬元の伝搬数に重みを乗じて伝搬元についての影響度とする(S424)。報奨額決定部115は、重みに所定の1未満の係数(例えば0.9)を乗じて重みを小さくしていく(S425)。以上の処理を各伝搬元について繰り返して、各伝搬元の伝搬数を算出する。
【0074】
以上の処理を各広告IDについて行うことにより、広告3の閲覧ユーザのそれぞれについて影響度が算出される。
【0075】
ここで報奨額決定部115は、影響度に応じて閲覧ユーザの報奨額を決定する(S426)。報奨額決定部115は、例えば影響度に所定の広告単価(例えば0.5ポイントや1ポイント、10ポイントなど任意の値とすることができる。また、広告ごとに設定するようにすることができる。)を乗じて報奨額とすることができる。
【0076】
以上のようにして、本実施形態の広告システムでは、閲覧ユーザがボタン4を押下して広告3を「良い」と評価した場合に、その旨を示すイベント情報がつながりユーザに伝達されるとともに、閲覧ユーザに対して報奨額のインセンティブが支払われるようにすることができる。したがって、SNSのユーザに対してつながりのあるユーザに広告3を広めるインセンティブを与えることができる。一般に、ソーシャルネットワークでつながりのあるユーザからの情報は、見知らぬユーザからの情報に比べて信用が高いため、ソーシャルネットワークのつながりを介して広告を伝搬することができれば、広告効果も高いと考えられる。また、本実施形態の広告システムでは、ソーシャルネットワークのつがなりを介して広告を伝搬するインセンティブを与えることができるので、信頼のおけるつながりを介したいわゆる口コミ効果が期待でき、広告効果を高めることができる。
【0077】
また、本実施形態の広告システムでは、伝搬情報を解析することにより、ユーザの影響度を算出することができる。したがって、影響度の高いユーザ(インフルエンサ)に対して優先的に広告を配信したり、インフルエンサの評価情報(イベント情報)を優先的に表示するようにしたりすることにより、広告効果をより向上させることができる。
【0078】
なお、本実施形態では、Webサーバ10とSNSサーバ20とが別のコンピュータであるものとしたが、1台のコンピュータで広告システムを実現するようにしてもよい。また、Webサーバ10が備える機能部をSNSサーバ20に設けるようにしてもよい。例えば、本実施形態では、Webサーバ10において評価情報が伝搬されたルートを管理するものとしたが、これに限らずSNSサーバ20において管理するようにしてもよい。また、本実施形態では、Webサーバ10において報奨額の決定や支払処理を行うものとしたが、SNSサーバ20において行うようにしてもよい。例えば、SNSサーバ20が広告データベース131や伝搬履歴データベース132、報奨額決定部115、支払処理部116などを備えるようにすることが可能であり、Webサーバ10がイベント検知部211やイベント通知部212、ソーシャルグラフデータベース231、イベントデータベース232、ユーザデータベース233などを備えるようにすることも可能である。
【0079】
また、本実施形態では、良いか悪いかのうち「良い」評価をした広告について評価情報を伝搬させるものとしたが、広告に点数(レイティング)を付け、その点数を評価情報として伝搬させるようにしてもよい。
【0080】
また、本実施形態では、報奨額決定部115は、評価情報をSNSサーバ20に送信するとすぐに報奨額を決定するものとしたが、コンバージョンが発生した場合にのみ報奨額を決定するようにしてもよい。
【0081】
また、各伝搬元について広告主ごとに評価情報が伝搬したユーザの累積の人数を管理するようにして、累積人数が所定の閾値を超えた場合に、当該広告主からのインセンティブを伝搬元に支払うようにしてもよい。この場合、例えば、広告IDの上位の数桁を、広告主を特定するID(以下、広告主IDという。)となるように広告IDを決定するようにし、報奨額決定部115は、図13の処理において、広告IDに代えて、広告IDに含まれる広告主IDごとに、各伝搬元の伝搬数(すなわち累積人数)を算出するようにし、伝搬数が所定値を超えた場合に報奨額を決定するようにする。これにより、つながりユーザの少ない閲覧ユーザであっても、同じ広告主の広告をいくつも評価して伝搬させることにより、インセンティブを受け取ることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、Webサーバ10からSNSサーバ20に広告3の評価を送信するものとしたが、Webサーバ10を介さず、ユーザ端末31から直接評価をSNSサーバ20に送信するようにしてもよい。この場合、SNSサーバ20からWebサーバ10に、評価情報が伝搬された旨を示す情報と、伝搬先のユーザIDの一覧とが送信されるようにすることができる。
【0083】
また、本実施形態では、SNSサーバ20のイベント検知部211が評価情報を受信し、イベント情報がイベントデータベース232に登録されたこと(すなわち、つながりユーザの画面に評価情報が表示可能となったこと)をもって、つながりユーザに評価情報がユーザに通知されたものとしたが、つながりユーザが評価情報を閲覧したことをもって通知が行われたものとしてもよい。この場合、例えばユーザごとにイベント情報が画面に表示されたか否かを管理しておき、イベント情報が画面に表示された場合にイベントが通知されたと判定するようにすることができる。また、ユーザごとに閲覧したイベント情報のイベントIDを記憶する閲覧履歴データベースを設け、つながりユーザのそれぞれについて、評価情報に係るイベント情報のイベントIDが閲覧履歴データベースに登録されているか否かを判定し、登録されているつながりユーザの数を伝達数として判定するようにすることができる。
【0084】
また、イベント通知部212によるイベントの通知は、例えば、イベント情報がイベントデータベース232に登録された場合に、イベント情報を含む電子メールをユーザ情報のメールアドレス宛に送信するようにしてもよい。
【0085】
また、SNSサーバ20において評価情報がつながりユーザに通知された日時を管理し、Webサーバ10に送信するようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、SNSサーバ20のイベント検知部211が評価情報を受信すると自動的に、つながりユーザに評価情報が通知されるものとしたが、Webサーバ10からSNSサーバ20に明示的に評価情報の伝搬を指示するコマンド(以下、伝搬要求という。)を送信し、伝搬要求に応じてイベント通知部212が評価情報をつながりユーザに通知するようにしてもよい。
【0087】
また、本実施形態では、Webサーバ10において伝搬履歴を管理するものとしたが、SNSサーバ20において管理するようにしてもよい。この場合、SNSサーバ20が、ソーシャルグラフ上において広告が伝搬した経路を管理するようにし、伝搬した人数や、伝搬したリンクの数などのみをWebサーバ10に送信するようにしてもよい。
【0088】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 Webサーバ
20 SNSサーバ
30 通信ネットワーク
31 ユーザ端末
111 広告出力部
112 評価入力部
113 評価情報送信部
114 伝搬情報取得部
115 報奨額決定部
116 支払処理部
117 影響度送信部
131 広告データベース
132 伝搬履歴データベース
211 イベント検知部
212 イベント通知部
213 伝搬情報送信部
214 影響度受信部
231 ソーシャルグラフデータベース
232 イベントデータベース
233 ユーザデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付ける評価入力部と、
前記第1のユーザがソーシャルネットワーク上でつながりを有する第2のユーザを特定するつながり特定部と、
前記第2のユーザに前記第1のユーザによる前記評価を示す評価情報を通知する評価伝搬部と、
前記第1のユーザに与える報奨額を決定する報奨額決定部と、
を備えることを特徴とする広告システム。
【請求項2】
ソーシャルネットワークを構築するサーバと通信可能に接続され、
広告を出力する広告出力部と、
前記広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付ける評価入力部と、
前記ソーシャルネットワークにおいて前記第1のユーザにつながりを有する第2のユーザに対して、前記広告に対する前記第1のユーザの前記評価を示す評価情報を通知するように指示する評価情報伝搬要求を前記サーバに送信する伝搬要求送信部と、
前記第1のユーザに与える報奨額を決定する報奨額決定部と、
を備えることを特徴とする広告システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の広告システムであって、
前記ソーシャルネットワークにおいて前記評価情報が通知された前記第2のユーザの数を取得する通知数取得部を備え、
前記報奨額決定部は、前記第2のユーザの数に応じて前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の広告システムであって、
前記ソーシャルネットワークにおいて前記評価情報が通知された経路を特定する伝搬経路特定部を備え、
前記報奨額決定部は、前記特定した経路の長さに応じて前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の広告システムであって、
前記報奨額決定部は、複数の前記第1のユーザから前記評価を受け付けた場合には、先に受け付けた前記第1のユーザほど前記報奨額を高く決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の広告システムであって、
前記広告によるコンバージョンが発生したことを示すコンバージョン発生情報の入力を受け付けるコンバージョン発生情報入力部を備え、
前記報奨額決定部は、前記コンバージョン発生情報の入力に応じて前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項7】
請求項4に記載の広告システムであって、
前記広告により、ある前記ユーザによってコンバージョンが発生したことを示すコンバージョン発生情報の入力を受け付けるコンバージョン発生情報入力部を備え、
前記伝搬経路特定部は、前記コンバージョンを発生させた前記ユーザに前記評価情報が通知された経路を特定し、
前記報奨額決定部は、前記経路に含まれる前記ユーザについてのみ、前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の広告システムであって、
前記報奨額決定部は、前記報奨額の合計が所定の上限を超えないように前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の広告システムであって、
前記報奨額決定部は、所定の期間中にのみ前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項10】
請求項2に記載の広告システムであって、
前記報奨額決定部は、前記第2のユーザの数が所定の人数になるまで前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項11】
請求項3に記載の広告システムであって、
前記第2のユーザの数に応じて、前記第1のユーザの影響度を決定する影響度決定部をさらに備えること
を特徴とする広告システム。
【請求項12】
請求項11に記載の広告システムであって、
前記影響度の高い順に所定数の前記ユーザに対してのみ前記広告を配信する広告配信部を備えること、
を特徴とする広告システム。
【請求項13】
請求項11に記載の広告システムであって、
前記報奨額決定部は、前記第1のユーザについての前記影響度に応じて前記第1のユーザに与える前記報奨額を決定すること、
を特徴とする広告システム。
【請求項14】
請求項11に記載の広告システムであって、
前記第2のユーザが閲覧する画面に、前記第2のユーザに対して通知された前記評価情報を、前記評価情報に係る前記第1のユーザについての前記影響度の順に表示する評価表示部を備えること、
を特徴とする広告システム。
【請求項15】
コンピュータが、
ある広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付け、
前記第1のユーザがソーシャルネットワーク上でつながりを有する第2のユーザを特定し、
前記第2のユーザに前記第1のユーザによる前記評価を示す評価情報を通知し、
前記第1のユーザに与える報奨額を決定すること、
を特徴とする広告方法。
【請求項16】
ソーシャルネットワークを構築するサーバと通信可能に接続されるコンピュータが、
広告を出力し、
前記広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付け、
前記ソーシャルネットワークにおいて前記第1のユーザにつながりを有する第2のユーザに対して、前記広告に対する前記第1のユーザの前記評価を示す評価情報を通知するように指示する評価情報伝搬要求を前記サーバに送信し、
前記第1のユーザに与える報奨額を決定すること、
を特徴とする広告方法。
【請求項17】
コンピュータに、
ある広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付けるステップと、
前記第1のユーザがソーシャルネットワーク上でつながりを有する第2のユーザを特定するステップと、
前記第2のユーザに前記第1のユーザによる前記評価を示す評価情報を通知するステップと、
前記第1のユーザに与える報奨額を決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
ソーシャルネットワークを構築するサーバと通信可能に接続されるコンピュータに、
広告を出力するステップと、
前記広告に対する第1のユーザの評価の入力を受け付けるステップと、
前記ソーシャルネットワークにおいて前記第1のユーザにつながりを有する第2のユーザに対して、前記広告に対する前記第1のユーザの前記評価を示す評価情報を通知するように指示する評価情報伝搬要求を前記サーバに送信するステップと、
前記第1のユーザに与える報奨額を決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−16136(P2013−16136A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150484(P2011−150484)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)