説明

広告出力システム、及び、広告出力方法

【課題】来店した顧客に対して効果的に広告を出力し、高い広告効果を得られるようにす
る。
【解決手段】広告出力システム1は、店舗内を移動するショッピングカートに取り付けら
れ、ショッピングカートの使用者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及びショッピ
ングカートの使用者を撮影する撮影手段を備えたカート端末装置3を用い、撮影手段の撮
影画像に基づいて、ショッピングカートの使用者の属性を判別し、店舗で販売中の商品を
広告する複数の広告音声の中から、ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音
声を選択し、選択した広告音声をカート端末装置3の超指向性スピーカから出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の広告を出力する広告出力システム、及び、広告出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売り店舗内で買い物客が使用するショッピングカートに端末装置を搭載し、こ
の端末装置によって商品の一覧や広告を表示するシステムが知られている(例えば、特許
文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−056067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のシステムでは全ての買い物客に対して一様な広告を表示するため、広告を見
た客に関係のない商品の広告が表示されることがあり、広告効果を期待できるとは限らな
いという問題があった。しかしながら、ショッピングカートは不特定多数の来店者が使用
するものであるから、ショッピングカートに搭載された端末の動作を特定の使用者に特化
することは、ショッピングカートの使用方法として馴染まないので、やむを得ず、全ての
買い物客に一様な広告を表示するしかなかった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、来店した顧客に対して効果的に
広告を出力し、高い広告効果を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明は、店舗内を移動するショッピングカートに取り付け
られ、前記ショッピングカートの使用者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及び前
記ショッピングカートの使用者を撮影する撮影手段を備えた端末装置を有し、前記撮影手
段の撮影画像に基づいて、前記ショッピングカートの使用者の属性を判別する属性判別手
段と、前記店舗で販売中の商品を広告する複数の広告音声の中から、前記属性判別手段に
より判別された前記ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音声を選択し、選
択した広告音声を前記端末装置の前記超指向性スピーカから出力させる広告出力制御手段
と、を備えることを特徴とする広告出力システムを提供する。
この構成によれば、店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられた端末装置に
よってショッピングカートの使用者を撮影し、その撮影画像に基づいて使用者の属性を判
別して、使用者の属性に基づいて選択した広告音声を、端末装置の超指向性スピーカから
出力できる。これにより、ショッピングカートの使用者の属性に適した訴求力の高い広告
を選んで出力することができ、高い広告効果を実現できる。また、超指向性スピーカを用
いることで、店舗内にいる他の人に聞こえないように、ショッピングカートの使用者に広
告音声を聴かせることができる。さらに、端末装置によって自動的に使用者を撮影し、こ
の撮影画像に基づいて属性を判別するので、ショッピングカートの使用者に面倒な入力操
作等を行わせる必要がなく、ショッピングカートの使用者が別の人に代わった場合も、速
やかに新たな使用者の属性を判別できる。このため、ショッピングカートが不特定多数の
来店者に使用される場合であっても、各々の来店者の属性に対応して広告を出力すること
ができ、高い広告効果が期待できる。
【0005】
上記構成において、前記店舗において前記ショッピングカートの近傍に陳列されている
商品を検出する対象商品検出手段をさらに備え、前記広告出力制御手段は、前記対象商品
検出手段により検出された商品を広告する複数の広告音声の中から広告音声を選択するも
のであってもよい。
この場合、ショッピングカートの使用者に対して、近傍に陳列されている商品の広告音
声を出力するので、より高い広告効果が期待できる。
【0006】
上記構成において、前記対象商品検出手段は、前記対象商品検出手段は、前記店舗内に
おける前記ショッピングカートの位置を検出し、検出したショッピングカートの位置と、
前記店舗内における商品の配置状態を示す商品配置情報とに基づいて、前記ショッピング
カートの位置の近傍に陳列されている商品を特定するものであってもよい。
この場合、店舗におけるショッピングカートの位置を検出し、検出したショッピングカ
ートの位置と、店舗における商品の配置状態を示す商品配置情報とをもとに、ショッピン
グカートの近傍に陳列されている商品を、速やかに特定できる。
【0007】
上記構成において、前記ショッピングカートの使用者が購入する商品として選んだ商品
を検出する購入対象商品検出手段をさらに備え、前記広告出力制御手段は、複数の前記端
末装置のいずれかが取り付けられた前記ショッピングカートにおいて前記購入対象商品検
出手段により検出された商品の広告音声を、他の前記端末装置が備える前記超指向性スピ
ーカから出力する広告音声として選択するものであってもよい。
この場合、ショッピングカートの使用者が購入するために商品を選ぶと、その商品の広
告音声が他の端末装置によって出力される。つまり、他の使用者が選んだ商品の広告音声
を出力するので、他の使用者の購買行動に基づいて、高い訴求力を有すると思われる商品
の広告音声を出力することにより、高い広告効果が期待できる。
【0008】
上記構成において、前記広告出力制御手段は、複数の前記端末装置のいずれかが取り付
けられた前記ショッピングカートにおいて前記購入対象商品検出手段により検出された商
品の広告音声を、使用者の属性が共通する別の前記端末装置の前記超指向性スピーカから
出力する広告音声として選択するものであってもよい。
この場合、ショッピングカートの使用者が購入するために商品を選ぶと、その商品の広
告音声が、上記使用者と同じ属性の使用者が使用中の他の端末装置によって出力されるの
で、同じ属性の人物が選んだ商品の広告音声を出力できる。つまり、他の使用者の購買行
動に基づいて、その属性の使用者に対して高い訴求力を有すると思われる商品の広告音声
を出力するので、非常に高い広告効果が期待できる。
【0009】
また、上記構成において、前記端末装置は、画像を表示する表示画面を備え、前記広告
出力制御手段は、前記属性判別手段により判別された前記ショッピングカートの使用者の
属性に基づいて広告音声とともに広告画像を選択し、選択した広告画像を前記表示画面に
表示させるものであってもよい。
この場合、ショッピングカートに取り付けられた端末装置によって広告音声とともに広
告画像を出力することで、視覚と聴覚により、訴求力の高い広告出力を行い、高い広告効
果が期待できる。
【0010】
また、本発明は、店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられ、前記ショッピ
ングカートの使用者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及び前記ショッピングカー
トの使用者を撮影する撮影手段を備えた端末装置と、前記端末装置と無線通信可能に構成
された管理装置と、を有し、前記端末装置は、前記撮影手段の撮影画像に基づいて、前記
ショッピングカートの使用者の属性を判別する属性判別手段を備え、前記管理装置は、前
記店舗で販売中の商品を広告する複数の広告音声の中から、前記端末装置の前記属性判別
手段により判別された前記ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音声を選択
し、選択した広告音声を前記端末装置の前記超指向性スピーカから出力させる広告出力制
御手段を備えること、を備えることを特徴とする広告出力システムを提供する。
この構成によれば、店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられた端末装置に
よってショッピングカートの使用者を撮影し、端末装置と無線通信を行う管理装置によっ
て、撮影画像に基づいて使用者の属性を判別して、使用者の属性に基づいて選択した広告
音声を、端末装置の超指向性スピーカから出力できる。これにより、ショッピングカート
の使用者の属性に適した訴求力の高い広告を選んで出力することができ、高い広告効果を
実現できる。また、超指向性スピーカを用いることで、店舗内にいる他の人に聞こえない
ように、ショッピングカートの使用者に広告音声を聴かせることができる。さらに、端末
装置によって自動的に使用者を撮影し、この撮影画像に基づいて属性を判別するので、シ
ョッピングカートの使用者に面倒な入力操作等を行わせる必要がなく、ショッピングカー
トの使用者が別の人に代わった場合も、速やかに新たな使用者の属性を判別できる。この
ため、ショッピングカートが不特定多数の来店者に使用される場合であっても、各々の来
店者の属性に対応して広告を出力することができ、高い広告効果が期待できる。
【0011】
また、本発明は、店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられ、前記ショッピ
ングカートの使用者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及び前記ショッピングカー
トの使用者を撮影する撮影手段を備えた端末装置を用い、前記撮影手段の撮影画像に基づ
いて、前記ショッピングカートの使用者の属性を判別し、前記店舗で販売中の商品を広告
する複数の広告音声の中から、前記ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音
声を選択し、選択した広告音声を前記端末装置の前記超指向性スピーカから出力させるこ
と、を備えることを特徴とする広告出力方法を提供する。
この方法によれば、店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられた端末装置に
よってショッピングカートの使用者を撮影し、その撮影画像に基づいて使用者の属性を判
別して、使用者の属性に基づいて選択した広告音声を、端末装置の超指向性スピーカから
出力できる。これにより、ショッピングカートの使用者の属性に適した訴求力の高い広告
を選んで出力することができ、高い広告効果を実現できる。また、超指向性スピーカを用
いることで、店舗内にいる他の人に聞こえないように、ショッピングカートの使用者に広
告音声を聴かせることができる。さらに、端末装置によって自動的に使用者を撮影し、こ
の撮影画像に基づいて属性を判別するので、ショッピングカートの使用者に面倒な入力操
作等を行わせる必要がなく、ショッピングカートの使用者が別の人に代わった場合も、速
やかに新たな使用者の属性を判別できる。このため、ショッピングカートが不特定多数の
来店者に使用される場合であっても、各々の来店者の属性に対応して広告を出力すること
ができ、高い広告効果が期待できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音声を選び、この
広告音声を、他の人に聞こえないように使用者に聞かせることができ、高い広告効果を実
現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した実施形態に係る広告出力システム1と、この広告出力システ
ム1を含む広告配信システム10の概略構成を示す図である。
広告出力システム1は、店舗内に設置される店舗サーバ2に複数の無線レシーバ4を接
続し、この無線レシーバ4を介して、複数のカート端末装置3(端末装置)と店舗サーバ
2(管理装置)とを通信可能にした構成を有する。また、店舗サーバ2には、POSレジ
スタ5を集中制御するPOS管理サーバ6が接続されている。
広告配信システム10は、広告の配信を一括管理する広告管理サーバ11に、広告出力
システム1を構成する店舗サーバ2を、通信回線13を介して接続して構成される。
【0014】
広告出力システム1は、スーパーマーケットや百貨店等の小売店舗に設置され、この店
舗内で使用されるショッピングカートに取り付けられたカート端末装置3により、広告の
画像(動画像または静止画像)と音声を出力させる。
広告配信システム10は、広告出力システム1において出力される広告の画像及び音声
のデータを、各々の広告出力システム1に配信するシステムである。広告配信システム1
0は複数の広告出力システム1を含む構成とすることが可能であり、広告管理サーバ11
は、通信回線13を介して複数の広告出力システム1との間で通信可能である。広告配信
システム10は、広告の画像及び音声のデータを格納した広告データベース12を備え、
広告データベース12に格納された広告の画像及び音声のデータを、広告管理サーバ11
から通信回線13を介して、各々の店舗サーバ2に送信する。
広告配信システム10は、上述のようにカート端末装置3によって出力する広告の画像
や音声データを一括管理することにより、広告主からの広告配信の依頼や広告変更の依頼
があった場合に、これらの依頼に速やかに対応して、全てのカート端末装置3から出力さ
れる広告の追加や変更を行うことができ、ある広告について契約期間が経過した後に、そ
の広告のデータを出力しないようにすることもできる。
【0015】
図2は、店舗における広告出力システム1の設置状態を示す概略平面図である。
広告出力システム1が設置される店舗100には、商品が陳列される什器、冷蔵ショー
ケース、冷凍ショーケース等の商品陳列部101が配置され、出口近傍にはレジカウンタ
ー102が配置され、レジカウンター102にはPOSレジスタ5が設置されている。
また、店舗100内には複数の無線レシーバ4が分散設置されている。図2の例では6
基の無線レシーバ4が店舗100の隅部に配置されているが、店舗100の中央や通路上
に配置してもよく、この場合は、無線レシーバ4を商品陳列部101や天井に固定すれば
よい。
店舗100で買い物客が使用する各ショッピングカートにはカート端末装置3が搭載さ
れ、図2に示すように店舗100内の各所に位置している。各々のカート端末装置3は、
その近傍に位置する無線レシーバ4との間で無線通信を実行する。
【0016】
図3は、カート端末装置3の取付状態を示すショッピングカート110の側面図である
。また、図4はカート端末装置3の外観平面図である。
図3に示すように、カート端末装置3は、かご111を備えたショッピングカート11
0のハンドル112に固定されている。この位置は、ショッピングカート110を手で押
す使用者がカート端末装置3を良好に視認でき、カート端末装置3を操作しやすい位置で
あり、さらに、後述するようにカート端末装置3が備えるカメラにより使用者を撮影しや
すい位置でもある。また、カート端末装置3は、かご111に投入された商品に付された
非接触タグを読み取る機能を備えており、この読み取りを確実に行うためにも、カート端
末装置3がハンドル112またはその近傍に取り付けられていることが好ましい。
【0017】
図4に示すように、カート端末装置3は略箱形の筐体31を有し、筐体31の表面に、
表示パネル32と、超指向性スピーカ33とが配設されている。図3に示す取付状態にお
いて、カート端末装置3の表示パネル32は、ショッピングカート110の使用者の顔を
向いており、超指向性スピーカ33も使用者の顔を向く。従って、表示パネル32に表示
される画像を使用者が良好に視認でき、また、超指向性スピーカ33から、ほぼ使用者の
みに聞こえるように音声を出力できる。
さらに、筐体31の表面にはカメラ34が配設され、図3の取付状態においてカメラ3
4の撮像レンズは使用者の顔を向いており、カメラ34により、使用者の顔をほぼ正面か
ら撮影できる。
【0018】
図5は、カート端末装置3の機能的構成を示すブロック図である。
カート端末装置3は、各部を制御する制御部30に、各種のデータを記憶する記憶部3
5を接続して構成され、制御部30には、無線通信部311、描画制御部321、音声出
力部331、撮影制御部341、入力部371、及び、タグリーダ361が接続されてい
る。
無線通信部311は、筐体31の内部に敷設されたアンテナ312に接続され、制御部
30の制御に従って、アンテナ312を介して無線信号を送受信することにより、無線レ
シーバ4との間で各種データを送受信する。
描画制御部321は、描画メモリ322及び表示駆動回路323に接続され、制御部3
0の制御のもとに表示パネル32に画像を表示させる。すなわち、描画制御部321は、
制御部30から入力される表示情報に基づいて、表示用の画像を描画メモリ322に描画
する。さらに、描画制御部321は、表示パネル32における描画タイミングに合わせて
描画メモリ322から画像を読み出し、表示駆動回路323に出力する。表示駆動回路3
23は、描画制御部321から入力された画像に基づいて表示パネル32を駆動し、画像
を表示させる。
【0019】
表示画面としての表示パネル32は、液晶表示パネルや有機ELパネル等のフラットデ
ィスプレイパネルにより構成される。表示パネル32が透過型の液晶表示パネルで構成さ
れる場合、カート端末装置3はバックライト装置(図示略)を備え、表示駆動回路323
は、表示パネル32を駆動するとともにバックライト装置の点灯制御を行い、所定のタイ
ミングで点灯させる。また、表示パネル32がプラズマ表示パネルや有機ELパネル等の
自発光型のものである場合、バックライト装置は不要である。
【0020】
音声出力部331は、超指向性スピーカ33に接続され、制御部30から入力される広
告音声の音声データのD/A変換処理や増幅処理を行って音声信号を生成し、超指向性ス
ピーカ33に出力して、超指向性スピーカ33から広告音声を出力させる。図4に示すよ
うにカート端末装置3は2個の超指向性スピーカ33を備えているが、これら2個の超指
向性スピーカ33から全く同じ音声を出力してもよいし、ステレオ音声のように異なる音
声を出力してもよい。
超指向性スピーカ33は、パラメトリックスピーカと呼ばれる高い指向性を有するスピ
ーカであって、その音声出力方向における極めて小さい範囲においてのみ聞こえるように
、音声を出力する。具体的な構成例としては、超音波トランスデューサを備え、この超音
波トランスデューサによって超音波帯域の搬送波を可聴帯域の音声信号によって変調した
変調波を出力する超音波スピーカが挙げられる。超指向性スピーカ33は、音声出力部3
31から入力される音声信号に基づいて、ショッピングカート110を使用する使用者の
顔または上半身に向けて音声を出力する。
【0021】
撮影制御部341は、静止画像及び/又は動画像を撮影するカメラ34に接続され、制
御部30の制御に従ってカメラ34による撮影を実行させ、その撮影画像データを取得し
て、制御部30に出力する。
撮影手段としてのカメラ34は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の
撮像素子(図示略)、撮影レンズ群(図示略)、ズームやフォーカス等の調整を行うため
にレンズ群を駆動するレンズ駆動部(図示略)等を備え、撮影制御部341の制御に従っ
て撮影を行う。撮影制御部341は、制御部30から入力される制御信号に従って、カメ
ラ34のレンズ駆動部を動作させて所定の撮影条件を実現させ、この条件下でカメラ34
が備える撮像素子から出力されるデータを所定形式のデータに変換し、撮影画像データと
して制御部30に出力する。
本実施形態では、1台のカメラ34によってショッピングカート110の使用者の顔を
含む上半身を撮影する。このため、カメラ34が備えるレンズの種類、カメラ34の設置
位置等は、ショッピングカート110の使用者の上半身を撮影する程度の画角を得るよう
調整されており、想定される使用者の上半身の位置とカート端末装置3との間の距離に合
わせて、カメラ34に広角レンズを用いてもよい。
【0022】
入力部371は、表示パネル32の表面に重畳配置されたタッチセンサ372に接続さ
れており、タッチセンサ372における接触操作に対応する操作信号を制御部30に出力
する。
タッチセンサ372は、表示パネル32に対する接触操作を検出するセンサであり、例
えば、静電容量式或いは圧力検知式のセンサで構成される。タッチセンサ372が接触操
作を検出する検出領域は、表示パネル32による表示領域のほぼ全体を覆っている。図3
及び図4に示すように、表示パネル32はショッピングカート110の使用者に向くよう
取り付けられるので、ショッピングカート110の使用者が表示パネル32に対する接触
操作を行うことは非常に容易であり、操作性に優れている。
入力部371は、タッチセンサ372における接触操作の有無、及び、接触操作された
操作位置の位置座標を検出し、接触操作の有無及び操作位置の位置座標を示す操作信号を
生成して、制御部30に出力する。
【0023】
タグリーダ361は、筐体31に配設されたアンテナ362によって無線信号を送出し
、この無線信号に応答して、商品に付された非接触ICタグから送信される無線信号を受
信することで、このICタグの情報を読み取る装置である。本実施形態では店舗100に
おいて販売される商品の殆ど全てに非接触ICタグが貼付されており、このICタグに、
商品の種類毎に固有の商品コードや商品名、製造ロット番号等の情報が記録されている。
商品に付されるICタグは、電源を内蔵したアクティブ型、或いは電源を持たないパッシ
ブ型のいずれであってもよい。図3に示すように、アンテナ362は、かご111内の商
品に付された非接触ICタグを読み取れるように、例えば、カート端末装置3の裏面の端
部に埋設される。
【0024】
制御部30は、カート端末装置3の各部を中枢的に制御するものであり、CPU、CP
Uによって実行される基本制御プログラムや処理されるデータ等を不揮発的に記憶するR
OM、CPUによって実行されるプログラムや処理されるデータ等を一時的に記憶するR
AM、及び、その他の周辺回路等を備えている。制御部30は、ROMに記憶された基本
制御プログラムを読み出して実行することにより、カート端末装置3の各部を制御する。
さらに、制御部30は、ROMや記憶部35に記憶されたプログラムを読み出して実行す
ることで、制御部30に接続された各部を制御することにより、カート端末装置3の各種
機能を実現する。
すなわち、制御部30は、属性判別部301、広告出力部302、及び、購入商品検出
部303の各機能部を有する。これらの機能部は、制御部30が有するCPUが所定のプ
ログラムを実行することで、実現される。
【0025】
属性判別部301は、カメラ34から入力される撮影画像データを解析して、カメラ3
4の撮影画像に写っているショッピングカート110の使用者の属性を判別する処理を行
う。詳細には、属性判別部301は、カメラ34の撮影画像に移っている人の姿を検出し
、その人の姿の部分について特徴を検出する。ここで検出される特徴は、画像中の頭髪の
占める割合、頭髪及び皮膚の色調、顔の大きさや身幅及びその比、顔の特徴、服装の色調
等である。続いて属性判別部301は、検出した画像の特徴に基づいて、その人の属性と
して、例えば性別や年代を判別する。属性判別部301は、判別した属性を、記憶部35
に記憶される属性情報355に追記して、属性情報355を更新する。
【0026】
広告出力部302は、記憶部35に記憶された広告画像データ353を読み出して、こ
の広告画像データ353に基づく表示情報を生成して描画制御部321に出力し、広告画
像データ353の広告画像を表示パネル32により表示させる。また、広告出力部302
は、広告音声データ354を読み出して音声出力部331に出力し、広告音声データ35
4に基づく広告音声を、表示パネル32に表示される広告画像と同期させて、超指向性ス
ピーカ33から出力させる。
購入商品検出部303は、かご111に新たな商品が投入された場合に、タグリーダ3
61が当該商品に付された非接触ICタグから読み取った情報を取得する。この情報は、
上述したように商品の種類毎に固有の商品コードや商品名、製造ロット番号等の情報であ
る。購入商品検出部303は、取得した情報を記憶部35に記憶される購入商品情報35
6に追記して、購入商品情報356を更新する。なお、購入商品検出部303は、タグリ
ーダ361から取得した情報を購入商品情報356に追記するだけでなく、購入商品情報
356に含まれる情報をもとに各商品の購入数や購入金額の合計等を算出する処理を行っ
てもよい。
【0027】
記憶部35は、磁気的、光学的記録媒体或いは半導体記憶素子を用いた記憶装置を備え
、各種のプログラムやデータ等を不揮発的に記憶する。また、記憶部35は、端末識別情
報351、メニューデータ352、広告画像データ353、広告音声データ354、属性
情報355、及び、購入商品情報356の各情報を記憶する。
端末識別情報351は、カート端末装置3に固有の識別情報であって、例えば、広告出
力システム1を構成する複数のカート端末装置3を識別するための情報である。制御部3
0は、無線通信部311によって無線レシーバ4との間で無線通信を行う場合に、端末識
別情報351を付加した信号を送受信する。
メニューデータ352は、ショッピングカート110の使用者がカート端末装置3の各
種機能を利用するため、表示パネル32にメニュー画面を表示するためのデータである。
カート端末装置3は、後述する機能に加え、店舗100内の商品配置やレジカウンター1
02の位置等を案内するフロアガイドの表示、その日の特売品や店舗100で実施中のキ
ャンペーン等に関する情報の表示、購入金額等を計算する計算機能等の機能を有する。メ
ニューデータ352は、上記機能を選択及び実行指示するためのメニュー画面を表示パネ
ル32に表示し、メニュー画面表示中における表示パネル32への接触操作に応じて上記
機能を実行するために必要な画像データやプログラムを含む。
【0028】
広告画像データ353は、店舗100で販売される特定の商品を広告する広告画像のデ
ータであって、表示パネル32によって表示される静止画像または動画像からなる画像の
データである。広告音声データ354は、店舗100で販売される特定の商品を広告する
広告音声のデータであって、表示パネル32における広告画像の表示と同期して超指向性
スピーカ33から出力される広告音声の音声データである。通常、広告音声データ354
の音声と広告画像データ353の画像とは一対一に対応する。このため、広告画像データ
353に、対応する広告音声データ354に関する情報を含ませてもよいし、反対に、広
告画像データ353に、対応する広告音声データ354に関する情報を含ませてもよい。
属性情報355は、属性判別部301によって判別された使用者の属性に関する情報を
含む。購入商品情報356は、使用者がかご111に投入した商品に付された非接触IC
タグから読み取られた情報を含む。
【0029】
図6は、店舗サーバ2の機能的構成を示すブロック図である。
店舗サーバ2は、制御部20に、記憶部21、インタフェース部22、入力部23、表
示部24、及び、通信部25を接続して構成され、インタフェース部22を介して、店舗
100に設置された各々の無線レシーバ4、及びPOS管理サーバ6に接続されている。
制御部20は、店舗サーバ2の各部を中枢的に制御するものであり、CPU、CPUに
よって実行される基本制御プログラムや処理されるデータ等を不揮発的に記憶するROM
、CPUによって実行されるプログラムや処理されるデータ等を一時的に記憶するRAM
、及び、その他の周辺回路等を備えている。制御部20は、ROMに記憶された基本制御
プログラムを読み出して実行することにより、店舗サーバ2の各部を制御する。さらに、
制御部20は、ROMや記憶部21に記憶されたプログラムを読み出して実行することで
、制御部20に接続された各部を制御することにより、店舗サーバ2の各種機能を実現す
る。
【0030】
記憶部21は、磁気的、光学的記録媒体或いは半導体記憶素子を用いた記憶装置を備え
、各種のプログラムやデータ等を不揮発的に記憶する。また、記憶部21は、レシーバ位
置情報211、広告画像データ212、広告音声データ213、広告選択用テーブル21
4、商品配置情報215、及び、端末管理情報216の各情報を記憶する。
レシーバ位置情報211は、店舗100に設置された無線レシーバ4の設置位置を示す
情報である。
本実施形態の店舗サーバ2は、例えば、店舗100を複数のマトリクス状の領域に仮想
的に分割し、各領域に固有の符号を付し、この符号によって店舗100内における位置を
特定する。この場合、レシーバ位置情報211として、各々の無線レシーバ4が位置する
領域の符号と、各々の無線レシーバ4に付された固有のIDとが対応づけて記憶される。
広告画像データ212は、店舗100で販売される商品の広告の画像データであり、広
告音声データ213は上記商品の広告の音声データである。広告画像データ212及び広
告音声データ213は、商品毎に用意され、記憶部21に記憶されている。
記憶部21には複数の商品について広告画像データ212及び広告音声データ213が
記憶されており、制御部20は、後述するように多数の広告画像データ212及び広告音
声データ213から適切なものを選択して読み出す処理を行う。
広告選択用テーブル214は、上記処理において、制御部20が、記憶部21に記憶さ
れた多数の広告画像データ212及び広告音声データ213の中から適切なものを選択す
るための条件が設定されたテーブルである。
【0031】
図7は、記憶部21に記憶される広告選択用テーブル214の構成例を模式的に示す図
である。
図7に例示する広告選択用テーブル214には、広告の対象者であるショッピングカー
ト110の使用者の属性毎に、広告する商品が設定づけられている。広告する商品は、複
数の商品カテゴリについて一つずつ商品が設定されており、この商品の商品名や商品コー
ドが含まれている。図7の例では、「生鮮食品」、「冷凍食品」、「飲料」、「惣菜」、
「チルド食品」の各カテゴリから一つずつの商品が、一つの属性に対応づけられている。
対象者(ショッピングカート110の使用者)の属性は、一例として、年代および性別で
区分されている。
【0032】
商品配置情報215は、店舗100における商品の配置を示す情報であり、例えば、上
記のように店舗100が複数のマトリクス状の領域に仮想的に分割され、各領域に固有の
符号を付された場合に、商品配置情報215には、各商品の商品名や商品コードと、配置
場所の領域を示す符号とが対応づけて含まれる。また、商品配置情報215には、商品の
位置として、その領域に設置された商品陳列部101の棚の段数や、商品陳列部101の
棚における左右方向の位置、商品陳列部101の番号等の情報を、合わせて含んでいても
よい。
端末管理情報216には、ショッピングカート110に搭載されたカート端末装置3の
各々について、位置、使用者の属性等の情報が含まれている。
【0033】
図8は、端末管理情報216の構成例を模式的に示す図である。
図8に例示する端末管理情報216は、各々のカート端末装置3に固有の識別情報であ
る3桁の数字に対応づけて、位置、対象者の属性、購入商品情報が含まれている。ここで
、カート端末装置3の位置は、上述したように店舗100内を複数のマトリクス状の領域
に仮想的に分割した場合の各領域に固有の符号により、表現されている。また、対象者の
属性は、そのカート端末装置3が搭載されたショッピングカート110を使用する使用者
の属性を指し、年代別、及び性別により区分される。購入商品情報は、そのカート端末装
置3が有する記憶部35に記憶された購入商品情報356と同様の情報であり、カート端
末装置3が店舗サーバ2へ送信する購入商品情報356に基づいて随時更新される。
【0034】
制御部20は、広告データ管理部201、位置検出部202、広告出力制御部203、
購入情報管理部204、及び、売上情報管理部205の各機能部を有する。これらの機能
部は、制御部30が有するCPUが所定のプログラムを実行することで、実現される。
広告データ管理部201は、通信部25を介して広告管理サーバ11(図1)との間で
通信を実行し、広告管理サーバ11によって、記憶部21に記憶する広告画像データ21
2、広告音声データ213の更新、消去、追加等が指示され、この指示とともに新しい広
告画像データ及び広告音声データが送信された場合に、送信された広告画像データ及び広
告音声データを受信して、記憶部21に記憶させる。
位置検出部202は、インタフェース部22を介して接続された各々の無線レシーバ4
との間で通信を行い、各無線レシーバ4が通信を行っているカート端末装置3を特定する
ことにより、各々のカート端末装置3の位置を検出する。位置検出部202は、カート端
末装置3の位置を検出して、検出した位置を端末管理情報216に登録する処理を、予め
設定された所定周期で絶えず実行する。
【0035】
広告出力制御部203は、カート端末装置3の使用者の属性と、そのカート端末装置3
の位置とに適した広告画像データ212及び広告音声データ213を選んで、記憶部21
から読み出してカート端末装置3に送信する。
すなわち、広告出力制御部203は、端末管理情報216を参照してカート端末装置3
の使用者の属性を取得するとともに、カート端末装置3の位置を取得し、さらに商品配置
情報215を参照して、カート端末装置3の近くに配置されている商品の種類等を取得す
る。そして、広告出力制御部203は、記憶部21に記憶された広告選択用テーブル21
4を参照し、使用者の属性に適した商品であって、カート端末装置3の近くに配置されて
いる商品の広告を出力するための広告画像データ212及び広告音声データ213を選び
、選択した広告画像データ212及び広告音声データ213を、無線レシーバ4を介して
カート端末装置3へ送信する。
【0036】
購入情報管理部204は、無線レシーバ4を介してカート端末装置3との間で通信を行
い、カート端末装置3がかご111(図3)に新たに投入された商品をタグリーダ361
によって検出し、購入商品情報356(図5)を更新して、購入商品情報356を店舗サ
ーバ2に送信した場合に、これを受信して、上述した端末管理情報216に追記及び更新
する。また、購入情報管理部204は、端末管理情報216を参照して、更新した購入商
品情報356を送信したカート端末装置3と使用者の属性が同じ、或いは属性が近い他の
カート端末装置3を検索し、新たにかご111において検出された商品に対応する広告画
像データ212及び広告音声データ213を記憶部21から読み出して、検索した他のカ
ート端末装置3に送信する。購入情報管理部204は、所定周期でタグリーダ361によ
る読み取りを試行し、かご111への新たな商品の投入を検出し、新たな商品が投入され
た場合は随時上記処理を行って、購入商品情報356を更新する。
売上情報管理部205は、インタフェース部22を介してPOS管理サーバ6から売上
に関するデータを取得し、この売上に関するデータに基づいて、記憶部21から広告画像
データ212及び広告音声データ213を出力して、無線レシーバ4を介してカート端末
装置3へ送信する。例えば、売上情報管理部205は、所定の時間帯(最新の1時間、或
いは前日の同時間帯等)において販売数が高い商品に関する広告画像データ212及び広
告音声データ213を読み出して、カート端末装置3へ送信する。
【0037】
インタフェース部22は、複数の無線レシーバ4の各々に有線接続されており、これら
無線レシーバ4を介して、制御部20と、カート端末装置3が備える無線通信部311(
図7)との間の通信回線を確立して、通信を実行させる。また、インタフェース部22に
はPOS管理サーバ6が接続される。
【0038】
入力部23は、マウスやキーボード等の入力デバイスに接続され、これら入力デバイス
の操作を検出して、この操作に対応する操作信号を制御部20に出力する。
表示部24は、制御部20の制御に従って、各種情報を表示するものであり、例えば液
晶表示パネルを用いて構成される。
【0039】
POS管理サーバ6は、店舗100(図2)に設置された全てのPOSレジスタ5に接
続され、POSレジスタ5において売上登録された売上に関する売上データを有する。P
OSレジスタ5は、店舗100において顧客が商品(サービスを含む)を購入する際に、
その商品の種類、名称、単価、販売数、及び販売金額を、売上として登録する。さらに、
POSレジスタ5は、販売金額と入金額に基づいて釣り銭を算出し、キャッシュドロワ(
図示略)を開いて釣り銭の払い出しを行わせる。
POSレジスタ5によって登録された売上に関する情報は、全てPOS管理サーバ6に
より集約される。このため、POS管理サーバ6は、店舗100で販売された全ての商品
について、販売日、販売時刻、単価、販売金額等を含む情報を、売上データとして記憶す
る。POS管理サーバ6は、インタフェース部22を介して、制御部20から売上データ
が要求された場合に、この要求に応じて、売上データまたは売上データから抽出した情報
を、制御部20に出力する。
【0040】
次に、広告出力システム1の動作について説明する。以下に説明する動作において、制
御部30は、属性判別部301の機能によって属性判別手段として機能し、購入商品検出
部303の機能によって購入対象商品検出手段として機能し、制御部20は、位置検出部
202及び広告出力制御部203の機能によって対象商品検出手段として機能し、広告出
力制御部203の機能によって、広告出力制御手段として機能する。
【0041】
図9は、広告出力システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、使用者の属性
に基づいて広告画像データ212及び広告音声データ213の選択する動作を示す。図9
Aはカート端末装置3の動作を示し、図9Bは店舗サーバ2の動作を示す。
カート端末装置3の制御部30は、属性判別部301の機能により、撮影制御部341
を制御してカメラ34に撮影を実行させ、撮影画像データを取得する(図9A:ステップ
S11)。続いて、属性判別部301は、撮影画像データを解析してショッピングカート
110の使用者、すなわち広告出力の対象者の属性を判別し(ステップS12)、判別し
た属性を示す情報をもとに、記憶部35内の属性情報355を保存または更新する(ステ
ップS13)。そして、属性判別部301は、保存或いは更新した属性情報355を、無
線レシーバ4を介して店舗サーバ2に送信する(ステップS14)。
【0042】
一方、店舗サーバ2の制御部20は、広告出力制御部203の機能により、カート端末
装置3から送信された属性情報355を受信して(図9B:ステップS21)、受信した
属性情報355に含まれる対象者の属性を抽出して、端末管理情報216に登録する(ス
テップS22)。
続いて、広告出力制御部203は、端末管理情報216に含まれる端末の位置および対
象者の属性をもとに、広告選択用テーブル214を参照して、カート端末装置3へ送信す
べき広告画像データ212及び広告音声データ213を選択し(ステップS23)、選択
した広告画像データ212及び広告音声データ213を、属性情報355を送信したカー
ト端末装置3へ、無線レシーバ4を介して送信する(ステップS24)。
【0043】
カート端末装置3の制御部30は、広告出力部302の機能により、店舗サーバ2から
送信された広告画像データ212及び広告音声データ213を受信し(図9A:ステップ
S15)、受信した広告画像データ212に基づいて表示パネル32に画像を表示させる
とともに、超指向性スピーカ33から広告音声を出力させる(ステップS16)。
この図9に示す動作によって、ショッピングカート110の使用者の属性に基づいて選
択された広告画像および広告音声が、カート端末装置3の表示パネル32及び超指向性ス
ピーカ33によって出力される。この広告画像および広告音声は、カート端末装置3の位
置の近傍に陳列されている商品の広告画像および広告音声である。
【0044】
図10は、広告出力システム1の動作を示すフローチャートであり、特に、使用者の購
買行動に基づいて広告画像データ212及び広告音声データ213の選択する動作を示す
。図10Aはカート端末装置3の動作を示し、図10Bは店舗サーバ2の動作を示し、図
10Cは、図10Aとは別のカート端末装置3の動作を示す。
店舗100内のあるカート端末装置3は、制御部30の購入商品検出部303の機能に
よって、使用者が新たな商品をかご111に投入したことを検知した場合(図10A:ス
テップS31)、タグリーダ361によって投入された商品に付された非接触ICタグか
ら情報を読み取って、購入商品情報356を更新し(ステップS32)、更新した購入商
品情報356を店舗サーバ2へ送信する(ステップS33)。
【0045】
店舗サーバ2の制御部20は、購入情報管理部204の機能により、カート端末装置3
から送信された購入商品情報356を受信して、そのカート端末装置3に関する端末管理
情報216の情報を参照し、新たにかご111に投入された商品を特定する(図10B:
ステップS41)。
続いて、購入情報管理部204は、端末管理情報216を参照し、購入商品情報356
を送信したカート端末装置3の使用者の属性を取得し、この使用者と同じ属性の別の使用
者が使用するカート端末装置3を検索する(ステップS42)。そして、購入情報管理部
204は、ステップS41で特定した商品に対応する広告画像データ212及び広告音声
データ213を記憶部21から読み出して、ステップS42で検索したカート端末装置3
に対して送信する(ステップS43)。
【0046】
ステップS31〜S33の動作を行ったカート端末装置3とは別のカート端末装置3は
、制御部30の広告出力部302の機能によって、店舗サーバ2から送信された広告画像
データ212及び広告音声データ213を受信し(図10C:ステップS51)、受信し
た広告画像データ212に基づいて表示パネル32に広告画像を表示するとともに、受信
した広告音声データ213に基づいて超指向性スピーカ33から音声を出力する(ステッ
プS52)。
この図10に示す動作によって、あるショッピングカート110の使用者が購入しよう
として選んだ商品の広告画像及び音声が、店舗100内の他のショッピングカート110
の使用者のうち、上記使用者と同じ属性の使用者が使用中のカート端末装置3から出力さ
れる。
【0047】
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る広告出力システム1によれば、
店舗100内を移動するショッピングカート110に取り付けられたカート端末装置3に
よってショッピングカート110の使用者を撮影し、その撮影画像に基づいて使用者の属
性を判別して、使用者の属性に基づいて広告選択用テーブル214に従って広告画像デー
タ212及び広告音声データ213が選択され、選択された広告画像データ212に基づ
く広告画像がカート端末装置3の表示パネル32に表示され、広告音声データ213に基
づく広告音声が、超指向性スピーカ33から使用者に向けて出力される。
これにより、ショッピングカート110の使用者の属性に適した訴求力の高い広告を選
んで出力することができ、高い広告効果を実現できる。また、超指向性スピーカ33を用
いることで、店舗100内にいる他の人に聞こえないように、ショッピングカート110
の使用者に広告音声を聴かせることができる。さらに、カート端末装置3によって自動的
に使用者を撮影し、この撮影画像に基づいて属性を判別するので、ショッピングカート1
10の使用者に性別や年齢等の属性を入力させるなどの面倒な操作を行わせる必要がなく
、ショッピングカート110の使用者が別の人に代わった場合も、速やかに新たな使用者
の属性を判別できる。このため、ショッピングカート110が不特定多数の来店者に使用
される場合であっても、各々の来店者の属性に対応して広告を出力することができ、高い
広告効果が期待できる。
また、ショッピングカート110に取り付けられたカート端末装置3によって広告音声
とともに広告画像を出力することで、視覚と聴覚により、訴求力の高い広告出力を行い、
高い広告効果が期待できる。
【0048】
ここで、カート端末装置3が備えるカメラ34の撮影画像に基づいて、カート端末装置
3の属性判別部301がショッピングカート110の使用者の属性を判別して、判別した
属性を示す属性情報355を店舗サーバ2へ送信し、店舗サーバ2は、広告出力制御部2
03の機能により、広告選択用テーブル214に基づいて記憶部21の多数の広告画像デ
ータ212及び広告音声データ213の中から使用者の属性に適したものを選んでカート
端末装置3へ送信する。このため、カート端末装置3において多数の広告画像データ21
2及び広告音声データ213を記憶しておく必要がないので、カート端末装置3の小型化
、軽量化を実現できる。また、広告画像データ212及び広告音声データ213の更新、
消去、追加等が必要な場合には、多数のカート端末装置3に対する処理を必要とせず、広
告管理サーバ11と店舗サーバ2との間で上記データの更新、消去、追加等を行えばよい
ので、速やかに処理を完了できるという利点がある。また、個々の使用者の属性判別をカ
ート端末装置3によって行うことで、処理負荷を分散して効率化を図ることができるとい
う利点もある。
【0049】
また、店舗サーバ2の広告出力制御部203の機能により、店舗100においてショッ
ピングカート110の近傍に陳列されている商品を、端末管理情報216に含まれる各カ
ート端末装置3の位置と、商品配置情報215とに基づいて検出し、ショッピングカート
110の使用者に対して、近傍に陳列されている商品の広告音声を出力するので、より高
い広告効果が期待できる。また、ショッピングカート110の近傍に陳列されている商品
を、速やかに特定できるという利点もある。
【0050】
さらに、ショッピングカート110の使用者が商品をかご111に入れた場合には、図
10に示す動作により、タグリーダ361が検出した商品の非接触ICタグから情報が読
み取られ、かご111内の商品を示す購入商品情報356が更新され、この購入商品情報
356に基づいて、新たにかご111に投入された商品が店舗サーバ2によって特定され
、この商品の広告画像データ212及び広告音声データ213が、他のカート端末装置3
に送信される。従って、ショッピングカート110の使用者が商品を選ぶと、その商品の
広告音声が他のカート端末装置3によって出力される。つまり、他の使用者が選んだ商品
の広告音声を出力するので、他の使用者の購買行動に基づいて、高い訴求力を有すると思
われる商品の広告音声を出力することにより、高い広告効果が期待できる。
【0051】
そして、図10に示した動作によれば、ショッピングカート110の使用者が商品をか
ご111に入れると、その使用者と同じ属性の使用者が使用するカート端末装置3により
、上記商品の広告画像データ212及び広告音声データ213に基づいて、広告の画像及
び音声が出力される。これにより、ショッピングカート110の使用者に対し、その使用
者と同じ属性の人物が選んだ商品の広告音声を出力できる。つまり、他の使用者の購買行
動に基づいて、その属性の使用者に対して高い訴求力を有すると思われる商品の広告音声
を出力するので、非常に高い広告効果が期待できる。
【0052】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範
囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上記の実施形態では、店舗サーバ2の位置検出部202が、カート端末装置3
の位置を検出する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、カート端末装
置3に、自身の位置を検出する機能を持たせることも可能である。この機能の具体的な例
としては、カート端末装置3が、店舗100に設置された複数の無線レシーバ4の中から
最も近い無線レシーバ4を検出し、或いは、各々の無線レシーバ4から受信した無線信号
の受信強度を解析することにより、無線レシーバ4と自己との相対位置を求める機能が上
げられる。また、無線レシーバ4とは別に、店舗100に位置検出用の非接触ICタグを
多数配置し、これら位置検出用の非接触ICタグからタグリーダ361が情報を読み取る
ことで、最も近くに位置する位置検出用の非接触ICタグを特定し、これによって自己の
位置を検出する機能としてもよい。
また、ショッピングカート110の使用者の属性としては、年代や性別に限らず、日本
人であるか外国人であるかを判別してもよく、この場合、日本人の場合には日本語の広告
音声データ213が選択され、外国人の場合には外国語の広告音声データ213が選択さ
れるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、カメラ34の撮影画像に基づいてショッピングカート110
の使用者の属性を判別する処理をカート端末装置3の制御部30が実行し、ショッピング
カート110の使用者の属性に基づいて広告画像データ212及び広告音声データ213
を選択する処理は店舗サーバ2の制御部20が実行するものとして説明したが、本発明は
これに限定されるものではなく、例えば、カメラ34の撮影画像をカート端末装置3から
店舗サーバ2に送信し、店舗サーバ2が、撮影画像に基づいてショッピングカート110
の使用者の属性を判別する処理を行ってもよい。また、例えば、店舗サーバ2からカート
端末装置3へ記憶部21内の広告画像データ212及び広告音声データ213のリストを
送信し、カート端末装置3が、広告選択用テーブル214と同等の情報に基づいて、ショ
ッピングカート110の使用者に適した広告画像データ212及び広告音声データ213
を選択する処理を行い、この処理結果に基づいてカート端末装置3が、店舗サーバ2に対
して、選択した広告画像データ212及び広告音声データ213を送信するよう要求して
もよい。その他、店舗サーバ2とカート端末装置3との機能的分担はあくまで一例であり
、どの処理をどちらの装置で行うかは、無線レシーバ4を介した通信の通信速度や、各装
置の処理能力、各装置の数等に応じて任意に変更可能である。
さらに、上記実施形態におけるカート端末装置3の具体的形状や、超指向性スピーカ3
3及びカメラ34の配置状態、店舗サーバ2とカート端末装置3との間の通信方式等につ
いても任意であり、その他の広告出力システム1の細部構成等についても、任意に変更可
能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】広告出力システム及び広告配信システムの概略構成を示す図である。
【図2】店舗における広告出力システムの設置状態を示す概略平面図である。
【図3】カート端末装置の取付状態を示すショッピングカートの側面図である。
【図4】カート端末装置の外観平面図である。
【図5】カート端末装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】店舗サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【図7】広告選択用テーブルの構成例を模式的に示す図である。
【図8】端末管理情報の構成例を模式的に示す図である。
【図9】広告出力システムの動作を示すフローチャートである。
【図10】広告出力システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1…広告出力システム、2…店舗サーバ、3…カート端末装置(端末装置)、4…無線
レシーバ、5…POSレジスタ、6…POS管理サーバ、10…広告配信システム、20
…制御部、21…記憶部、30…制御部、32…表示パネル(表示画面)、33…超指向
性スピーカ、34…カメラ(撮影手段)、35…記憶部、100…店舗、110…ショッ
ピングカート、201…広告データ管理部、202…位置検出部(対象商品検出手段)、
203…広告出力制御部(広告出力制御手段、対象商品検出手段)、204…購入情報管
理部、205…売上情報管理部、301…属性判別部(属性判別手段)、302…広告出
力部、303…購入商品検出部(購入対象商品検出手段)、323…表示駆動回路、36
1…タグリーダ、362…アンテナ、372…タッチセンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられ、前記ショッピングカートの使用
者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及び前記ショッピングカートの使用者を撮影
する撮影手段を備えた端末装置を有し、
前記撮影手段の撮影画像に基づいて、前記ショッピングカートの使用者の属性を判別す
る属性判別手段と、
前記店舗で販売中の商品を広告する複数の広告音声の中から、前記属性判別手段により
判別された前記ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音声を選択し、選択し
た広告音声を前記端末装置の前記超指向性スピーカから出力させる広告出力制御手段と、
を備えることを特徴とする広告出力システム。
【請求項2】
前記店舗において前記ショッピングカートの近傍に陳列されている商品を検出する対象
商品検出手段をさらに備え、
前記広告出力制御手段は、前記対象商品検出手段により検出された商品を広告する複数
の広告音声の中から広告音声を選択すること、
を特徴とする請求項1記載の広告出力システム。
【請求項3】
前記対象商品検出手段は、前記店舗内における前記ショッピングカートの位置を検出し
、検出したショッピングカートの位置と、前記店舗内における商品の配置状態を示す商品
配置情報とに基づいて、前記ショッピングカートの位置の近傍に陳列されている商品を特
定すること、
を特徴とする請求項2記載の広告出力システム。
【請求項4】
前記ショッピングカートの使用者が購入する商品として選んだ商品を検出する購入対象
商品検出手段をさらに備え、
前記広告出力制御手段は、複数の前記端末装置のいずれかが取り付けられた前記ショッ
ピングカートにおいて前記購入対象商品検出手段により検出された商品の広告音声を、他
の前記端末装置が備える前記超指向性スピーカから出力する広告音声として選択すること

を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の広告出力システム。
【請求項5】
前記広告出力制御手段は、複数の前記端末装置のいずれかが取り付けられた前記ショッ
ピングカートにおいて前記購入対象商品検出手段により検出された商品の広告音声を、使
用者の属性が共通する別の前記端末装置の前記超指向性スピーカから出力する広告音声と
して選択すること、
を特徴とする請求項4記載の広告出力システム。
【請求項6】
前記端末装置は、画像を表示する表示画面を備え、前記広告出力制御手段は、前記属性
判別手段により判別された前記ショッピングカートの使用者の属性に基づいて広告音声と
ともに広告画像を選択し、選択した広告画像を前記表示画面に表示させること、
を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の広告出力システム。
【請求項7】
店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられ、前記ショッピングカートの使用
者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及び前記ショッピングカートの使用者を撮影
する撮影手段を備えた端末装置と、前記端末装置と無線通信可能に構成された管理装置と
、を有し、
前記端末装置は、前記撮影手段の撮影画像に基づいて、前記ショッピングカートの使用
者の属性を判別する属性判別手段を備え、
前記管理装置は、前記店舗で販売中の商品を広告する複数の広告音声の中から、前記端
末装置の前記属性判別手段により判別された前記ショッピングカートの使用者の属性に基
づいて広告音声を選択し、選択した広告音声を前記端末装置の前記超指向性スピーカから
出力させる広告出力制御手段を備えること、
を備えることを特徴とする広告出力システム。
【請求項8】
店舗内を移動するショッピングカートに取り付けられ、前記ショッピングカートの使用
者に向けて音声を出力する超指向性スピーカ及び前記ショッピングカートの使用者を撮影
する撮影手段を備えた端末装置を用い、
前記撮影手段の撮影画像に基づいて、前記ショッピングカートの使用者の属性を判別し

前記店舗で販売中の商品を広告する複数の広告音声の中から、前記ショッピングカート
の使用者の属性に基づいて広告音声を選択し、選択した広告音声を前記端末装置の前記超
指向性スピーカから出力させること、
を備えることを特徴とする広告出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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