説明

広告効果測定システム

【課題】広告主が広告を掲示する場合、商品やサービスのターゲットとなる顧客の注目度をより定量的に測定することが可能な広告効果測定システムを提供する。
【解決手段】広告主からの広告要求を受け付ける広告主端末と、該広告要求に関する広告の効果を測定する測定サーバとから構成されるコンピュータシステムであって、広告主端末を介して、広告主からの広告要求を階層化された顧客の指定とともに受け付け、その広告要求と予め記憶された情報とに基づいて、該広告要求に関する広告を掲示する場所を決定する。そして、その決定された広告掲示場所を訪れる顧客の情報を集計し、集計された顧客情報を、広告要求に関する広告の効果として、該広告要求を出した広告主に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告媒体、例えば紙媒体等による広告の効果を定量的に測定するための広告効果測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駅構内やデパート等の構内における壁や柱、あるいは電車やバス等の車両内において、人々の目に付くように広告紙を掲示している。また、最近では、広告を掲示する手段として、記憶装置を有するディスプレイを設置し、記憶装置に記憶した電子化された広告データをそのディスプレイに表示したり、ディスプレイがネットワークに接続され、電子化された広告データがネットワーク経由で送信され、遠隔場所のビルの外側や構内の大型ディスプレイに広告を表示したりする場合がある。
【0003】
このようなディスプレイ上での広告に対して、顧客がデジタルカメラ等でその広告を撮影した場合、あるいはメモをとって要約を写し取った場合には、広告主はそのことを把握できず、広告の注目度の判断ができない、という問題がある。そこで、そのような問題を解消すべく、広告、広告掲示場所、掲示時間を一まとめにして付加価値をつけることで、広告の注目度を判断する技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2002−41961号公報
【特許文献2】特開2005−353076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広告主が広告を掲示するとき、一般に、広告主が提供する商品やサービスの内容をその広告の掲示内容とする。そして、この商品やサービスについては、個々の商品等に応じて、ターゲットとなる顧客対象が存在する。従って、広告主としては、自分が提供する商品等のターゲットとなる顧客に対してこそその広告を見てほしいものであり、広告を掲示する以上はそのターゲットとなる顧客による注目度を定量的に知りたいと考えられる。
【0005】
本発明では、上記した問題に鑑み、広告主が広告を掲示する場合、商品やサービスのターゲットとなる顧客の注目度をより定量的に測定することが可能な広告効果測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記した課題を解決するために、広告の内容である商品やサービス等のターゲットとなる顧客と、その広告が掲示される広告掲示場所を訪れる顧客との相関に着目した。商品やサービス等のターゲットとなる顧客が訪れる広告掲示場所に広告を掲示することが広告主の本来の要求に合致するものであり、そしてそのような広告掲示場所に掲示された広告に対しては、その場所を訪れた顧客が該広告の顧客であるとみなすことで、該広告の効果を定量的に測定することが可能となるからである。
【0007】
詳細には、本発明は、広告主からの広告要求を受け付ける広告主端末と、該広告要求に関する広告の効果を測定する測定サーバとから構成されるコンピュータシステムによる広告効果測定システムであって、前記広告主端末を介して、広告主からの広告要求を階層化された顧客の指定とともに受け付ける広告受付手段と、広告掲示場所毎の、前記階層化された顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段と、前記広告受付手段によって受け付けられた広告要求と、前記顧客情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、該広告要求に関する広告を掲示する場所を決定する広告場所決定手段と、前記広告場所決定手段によ
って決定された広告掲示場所で前記広告要求に関する広告が掲示される期間において該広告掲示場所を訪れる顧客の情報を、前記階層化に関する基準に基づいて、集計する顧客情報集計手段と、前記顧客情報集計手段によって集計された顧客情報を、前記広告要求に関する広告の効果として、該広告要求を出した広告主に通知する広告効果通知手段と、を備える。
【0008】
本発明に係る広告効果測定システムでは、広告のターゲットとなる顧客の階層化が必要となる。この顧客の階層化は、所定の基準に基づいて行われるものであり、例えば広告の対象となる商品やサービスに適した顧客のカテゴリ分けが挙げられる。より具体的には、顧客の階層化に関する基準は、顧客の性別、顧客の年齢層、顧客のグループ化における属性のうち少なくとも一つであり、この基準に基づいて、商品等の顧客が階層化されることになる。尚、この顧客のグループ化における属性とは、商品等の顧客を一定のグループでカテゴリ分けする際の、そのグループを区別するための基準であり、例えば、単身、家族連れ、男女のカップル等がグループの属性として挙げられる。
【0009】
ここで、本発明に係る広告効果測定システムでは、先ず広告主が広告の掲示をしたいと考えたとき、その広告要求を広告受付手段が受け付ける。ここで、広告受付手段は、広告要求とともに、その広告が対象とする顧客がどのような階層に属するのか、換言すると広告が対象とする顧客がどのような顧客なのかに関する情報を、広告主から受け付ける。
【0010】
また、顧客情報記憶手段によって、広告が掲示される場所と、その場所毎の顧客、即ちその場所を訪れる顧客の情報とが、上記顧客の階層化に基づいて関連付けられた状態で記憶されている。その結果、広告場所決定手段が、広告受付手段によって受け付けられた広告要求の顧客の情報と、顧客情報記憶手段によって記憶された広告掲示場所毎の顧客の情報とを比較して、広告主からの広告要求に対して、掲示により適した広告掲示場所を決定する。このような広告掲示場所の決定を行うことで、広告の商品やサービス等のターゲットとなる顧客が訪れる広告掲示場所に広告を掲示するという広告主の本来の要求に合致させることが可能となるとともに、そのような広告掲示場所に掲示された広告に対して、その場所を訪れた顧客が該広告の顧客であるとみなすための客観的な前提を形成することが可能となる。
【0011】
ここで、広告場所決定手段による広告掲示場所の決定については、広告受付手段によって受け付けられた広告要求の顧客の情報と、顧客情報記憶手段によって記憶された広告掲示場所毎の顧客の情報とが完全に一致することを条件として、広告掲示場所を決定するのが最も好ましいが、ある程度の一致率(例えば、統計学的に上記「みなし」の客観性が保持できると判断される一致率)以上であれば、広告掲示場所として抽出し、決定してもよい。
【0012】
そして、広告場所決定手段によって決定された広告掲示場所で広告が掲示されることで、顧客情報集計手段によって集計された顧客情報が、広告の商品等がターゲットとする顧客による注目度を表す定量的な情報となる。その定量的な顧客情報としては、第一には、当該広告掲示場所を訪れた顧客数であるが、これだけに限られず、広告主の観点から必要とされる顧客の注目度と関連するパラメータであれば、この顧客情報集計手段による集計の対象となる。
【0013】
そして、広告効果通知手段によって、顧客情報集計手段によって集計された顧客情報が広告主に通知されることで、広告主は自分が出した広告が十分な効果を上げているか否かを知ることが可能となる。ここで、広告効果通知手段が顧客情報集計手段によって集計された顧客情報を広告主に通知する際、集計された顧客情報の一部又は全部をそのまま広告主に通知してもよく、また該顧客情報の広告の効果としての客観性が失われない範囲にお
いて、一定の補正を加えてもよい。例えば、上述したように、広告場所決定手段が広告掲示場所を決定する際、広告受付手段によって受け付けられた広告要求の顧客の情報と、顧客情報記憶手段によって記憶された広告掲示場所毎の顧客の情報とが完全一致(一致率100%)ではない場合には、その一致率を考慮して、集計された顧客情報に一致率を加味してもよい。
【0014】
ここで、上記の広告効果測定システムにおいて、前記顧客情報集計手段は、前記顧客の階層化に関する基準に基づいて、前記広告要求に関する広告が掲示される期間の途中において、該広告が掲示される広告場所を訪れた顧客情報を中間顧客情報として、更に集計し、前記広告効果通知手段は、前記顧客情報集計手段によって集計された中間顧客情報を、前記広告要求を出した広告主に通知するようにしてもよい。
【0015】
このように構成される広告効果測定システムによると、広告主が広告を掲示する場合、商品やサービスのターゲットとなる顧客の注目度をより定量的に測定することが可能となる。また、本発明に係る広告効果測定システムによる効果測定の対象となる広告の態様としては、紙媒体等の顧客の視覚に訴える広告態様が好ましいが、これだけには限られず、様々な広告態様にも適用し得る。
【0016】
即ち、広告効果通知手段は、広告主に対して、一定の広告掲示期間が終了した時点での広告の効果を通知するだけではなく、その広告掲示期間の途中における広告の効果を、中間的に通知する。これにより、広告主は、広告掲示期間の途中で、広告の掲示を当初決められていた広告掲示期間の間継続するか、広告の掲示を途中で中断するか等、広告の掲示に関して様々な判断を、顧客情報集計手段によって集計された顧客情報という客観的な指標に基づいて、行うことが可能となる。
【0017】
ここで、上述までの広告効果測定システムにおいて、前記顧客情報集計手段によって集計された顧客情報に基づいて、前記顧客情報記憶手段に記憶された、広告掲示場所毎の階層化された顧客に関する情報を更新する顧客情報更新手段を、更に備えるようにしてもよい。
【0018】
即ち、顧客情報記憶手段によって記憶されている顧客情報は、広告場所決定手段によって広告掲示場所を決定するのに不可欠な情報である。そこで、顧客情報更新手段によって、顧客情報記憶手段によって記憶されている顧客情報を、顧客情報集計手段によって集計された顧客情報が反映されるように更新することで、広告場所決定手段による広告掲示場所の決定を、現実の顧客の状況をより確実に反映させた状態で行うことが可能となる。
【0019】
また、上述までの広告効果測定システムにおいて、前記広告場所決定手段は、前記広告受付手段によって受け付けられた広告要求と、前記顧客情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、複数の広告掲示の候補場所を前記広告主端末に通知し、該広告主端末での広告主による広告場所の決定に従い、該広告要求に関する広告を掲示する場所を決定するようにしてもよい。
【0020】
即ち、広告場所決定手段による広告掲示場所の決定に際して、広告主の意図を反映させるものである。当然、上述したような広告掲示場所を訪れた顧客が広告の顧客であるとみなすことが保持される必要があるため、広告主の意図の反映においては、広告場所決定手段が抽出する複数の候補場所から、実際に広告の掲示が行われる広告掲示場所を選択するに留められる。尚、この候補場所の抽出は、上述した広告場所決定手段による広告掲示場所の決定の手順に準ずる。
【0021】
また本発明をコンピュータシステムを作動させるプログラムの側面からも捉えることが
可能である。即ち、本発明は、広告主からの広告要求を受け付ける広告主端末と、該広告要求に関する広告の効果を測定する測定サーバとから構成されるコンピュータシステムである広告効果システムを作動させるプログラムであって、前記広告主端末を介して、広告主からの広告要求を階層化された顧客の指定とともに受け付ける広告受付手段と、広告掲示場所毎の、前記階層化された顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段と、前記広告受付手段によって受け付けられた広告要求と、前記顧客情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、該広告要求に関する広告を掲示する場所を決定する広告場所決定手段と、前記広告場所決定手段によって決定された広告掲示場所で前記広告要求に関する広告が掲示される期間において該広告掲示場所を訪れる顧客の情報を、前記階層化に関する基準に基づいて、集計する顧客情報集計手段と、前記顧客情報集計手段によって集計された顧客情報を、前記広告要求に関する広告の効果として、該広告要求を出した広告主に通知する広告効果通知手段と、に機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
広告主が広告を掲示する場合、商品やサービスのターゲットとなる顧客の注目度をより定量的に測定することが可能な広告効果測定システムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
ここで本発明に係る広告効果測定システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明に係る広告効果測定システムを構成するためのネットワークの概略を示す図である。この広告効果測定システムは、インターネット3を中心として、そこに接続され広告効果を測定するための測定サーバ(以下、単に「サーバ」という)1と、インターネット3に接続され広告の掲示を依頼する広告主側に設けられた広告主端末2と、実際に広告が掲示される店舗4−6に設けられ且つインターネット3に接続されたPOS(Point Of Sales)システム4a−6aによって構成されている。
【0025】
このPOSシステム4a−6aは、店舗4−6で商品を販売するごとに商品の販売情報(どのような商品を、どのような顧客が購入したか)を記録し、集計結果を在庫管理やマーケティング材料として用いるシステムである。この集計結果が、インターネット3を介してサーバ1に送信される。
【0026】
ここで、図2に基づいて、本発明に係る広告効果測定システムを構成するサーバ1の概略構成を説明する。サーバ1は、主に、外部のインターネット3との信号の送受信を行う入出力インターフェース(I/F)11と、信号処理を行う中央処理装置(以下、「CPU」という。)CPU10と、データの記憶を行うハードディスクドライブ(以下、「HDD」という)12とで構成される。
【0027】
広告効果測定システムにおけるCPU10での信号処理の流れを簡単に説明すると、先ず入出力インターフェース11を介して、広告主端末2からの広告主の広告要求(広告を出したいという要求)が、広告受付部20によって受け付けられる。広告受付部20によって受け付けられた広告要求は、広告場所決定部21に渡されて、その広告要求に対応する適切な広告掲示場所が決定される。この決定に際して、広告場所決定部21は、HDD12内に記憶されている広告掲示場所に関するデータにアクセスをし、適切な広告掲示場所の決定が行われる。
【0028】
そして、広告場所決定部21によって決定された広告掲示場所での広告の掲示が開始されると、その広告掲示場所を訪れる顧客の情報(以下、「顧客情報」という)が、入出力
インターフェース11を介して顧客情報集計部22によって集計される。尚、この顧客情報は、広告掲示場所に設けられたPOSシステム(例えば、図1に示すPOSシステム4a)によって集められた情報である。そして、この顧客情報集計部22によって集計された顧客情報の一部又は全部が、広告効果通知部23によって、入出力インターフェース11を介してインターネット3経由で、広告主(広告主端末2)に電子メールで通知される。更に、この顧客情報集計部22によって集計された顧客情報に基づいて、HDD12内に記憶されている広告掲示場所に関するデータの更新が、顧客情報更新部24によって行われる。
【0029】
ここで、上述した広告効果測定システムにおけるCPU10での信号処理を具現化するためのコンピュータプログラムによる処理(以下、「広告効果測定制御」という)の流れについて、図3に基づいて説明するとともに、当該広告効果測定システムの詳細を図4−8に基づいて説明する。図3に示す広告効果測定制御を行うプログラムは、サーバ1内に設けられたROMに格納されており、CPU10によって常時実行されている状態となっている。
【0030】
先ず、S101では、広告主端末2から広告主による広告要求が受け付けられる。即ち、上記広告受付部20による広告要求の受付が行われる。具体的には、広告主がインターネット3を介して、サーバ1内の広告要求を記入するためのページにアクセスし、そこで広告要求のための情報を記入し、その内容をサーバ1に送信することで行われる。
【0031】
ここで、図4に、広告要求を記入するためのページの一例を示す。先ず、広告主は、広告の対象となる商品名、その広告を掲示する期間、および広告のための総予算を入力する。更に、広告主は、その広告を代表するキーワードの入力を行う。このキーワードは、広告が掲示される場所(以下、「広告掲示場所」という)毎に設定されているキーワード(後述する図5に示されている)との照会が行われ、広告と広告掲示場所とを結びつけるための一つのパラメータである。
【0032】
更に、広告主がその広告の対象と考える顧客の情報を、年齢構成比率、男女比率、グループ属性の三つの観点から入力を行う。即ち、この三つの観点から階層化された顧客情報を、広告要求を行おうとしている広告に対して関連付けるのである。図4中の上段は、顧客の年齢層を入力するパートで、20歳以下、21歳〜40歳、40歳〜60歳、61歳以上の4つに階層化されている。この四つの階層を合わせて全体で100%となるように、顧客の年齢情報を入力する。例えば、40歳以下の顧客に対して広告対象の商品をアピールしたいと考える広告主は、20歳以下を40%、21歳〜40歳を40%、41歳〜60歳を20%、61歳以上を0%等と入力する。
【0033】
次に、図4中の中段は、男女比率を入力するパートである。左側の数値を選ぶほど男性の比率が高くなり、中間の値(50)を選ぶと男女構成比が1:1となることを意味する。次に、図4中の下段は、広告掲示場所を訪れる顧客のグループ属性を入力するパートである。本実施例では、一人で来店、家族連れ、カップル(男性一人女性一人の組み合わせ)の三つに階層化されている。必ずしも顧客がこれらの属性に属するとは限らないので、この三つの階層を合わせて100%を超えないように、顧客のグループ属性を入力する。例えば、カップルに対して広告対象の商品を強くアピールしたいと考える広告主は、カップルを90%等と入力する。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0034】
S102では、S101の処理によって広告受付部20が受け付けた広告要求に対して、その広告を掲示するのに適切な候補場所が抽出される。この抽出については、広告主から入力されたキーワードと、年齢構成比率、男女比率、グループ属性の観点から階層化された顧客情報とに基づいて、HDD12内に記憶されている広告掲示場所の中から、複数
の候補場所が抽出される。ここで、HDD12内に記憶されている広告掲示場所については、図5に示すように、各広告掲示場所毎に、その住所、顧客の年齢構成比率、男女比率、グループ属性、一日あたりの広告費用、キーワード、店舗情報をフィールドとしてデータベースが形成されている。本実施例においては、すし店A、B、Cの三店が、広告掲示場所としてHDD12内に記憶されている。ここで、年齢構成比率、男女比率、グループ属性については、上述した図4に示す広告要求の入力ページでの各パラメータと同義である。
【0035】
候補場所の抽出については、広告主から入力されたキーワードと顧客情報と、HDD12内に記憶されている各広告掲示場所毎のキーワードおよび顧客情報との一致率が所定の値より高い場所であって、広告主の広告掲示のための予算を超えない場所が抽出される。本実施例では、一致率を70%以上と設定することで、広告掲示場所を訪れる顧客がその広告の対象となる顧客とみなすのに支障が無い状況を予め形成する。そして、CPU10は、抽出した複数の候補場所を、インターネット3を介して広告主端末2の表示画面に、図6のように表示する。本実施例では、すし店Aとすし店Bとが、候補場所として抽出されたことになる。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0036】
S103では、S102の処理で抽出された候補場所に対して何れの場所で広告を掲示するかについて、広告主からの入力を受付け、受付後、最終的な広告掲示場所の決定が為される。本実施例では、図6に示す候補場所に関する表示画面に対して、広告主が広告主端末2を操作してすし店Bを広告掲示場所として選択し、「広告場所決定」ボタンを押すことで、S103の処理が行われることになる。尚、このS102およびS103の処理は、上記の広告場所決定部21によって行われる。S103の処理が終了すると、S104へ進む。
【0037】
S104では、S103で決定された広告掲示場所であるすし店Bに対して、広告主の広告の掲示を開始するように指示が出される。これにより、すし店Bにおいては、広告主が要求した期間において、その広告が掲示されることになる。本実施例では、すし店での広告掲示であり、すし店Bはいわゆる「回転寿司」の営業形態を採る店舗である。そこで、図7に示すような広告掲示物による広告の掲示を採用する。
【0038】
即ち、回転寿司では通常、顧客が座る座席の前後周囲を皿に載った寿司が移動するが、すし店Bでの広告掲示には、皿100上に、吸盤を有するクリップ部材101が設けられ、そのクリップ部材101に挟まれた広告ボード102が使用される。広告主が要求する広告をこの広告ボードに貼付する等して、皿100上に該広告が配置されるようにし、この皿100を寿司と同じように顧客の前後周囲に移動させることで、広告の掲示を行う。このようにすることで、すし店Bを訪れた顧客は、本来の目的である寿司の近くに存在する当該広告にも自然に目が届くようになり、広告掲示場所を訪れる顧客がその広告の対象となる顧客とみなすのに支障が無い状況を、より確かに確立することが可能となる。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0039】
S105では、広告掲示場所(すし店B)で広告の掲示が開始されてから、そこを訪れた顧客の情報の集計が開始される。具体的には、すし店Bに設置されているPOSシステム(例えば、図1に示すようなPOSシステム4a)によって集計された顧客の情報を、インターネット3を介して、サーバ1(CPU10)が集計する。ここで、POSシステムで集計される顧客情報は、すし店Bを訪れた顧客数に加えて、図5に示す顧客の階層化に関する三つの観点(年齢構成比率、男女比率、グループ属性)からの情報を少なくとも含む。この顧客情報の集計は、上記の顧客情報集計部22によって実行される。S105の処理が終了すると、S106へ進む。
【0040】
S106では、S105で集計が開始された顧客情報に基づいて、HDD12に記憶されている各広告掲示場所毎の顧客情報、即ち図5に示す顧客情報のデータベースの更新が行われる。即ち、最新の広告掲示場所の情報を加味させることで、より適切な広告掲示場所の抽出を可能ならしめるものである。尚、更新の方法としては、最新の一年分の平均値をとる等の手法が考えられる。このデータベースの更新は、上記の顧客情報更新部24によって実行される。S106の処理が終了すると、S107へ進む。
【0041】
S107では、所定の中間時期が経過したか否かが判定される。この所定の中間時期とは、広告主が広告要求を出した広告掲示期間の中間の時期であり、本実施例では、開始日と終了日の中間日が所定の中間時期に設定されるが、これに限られない。更に、この所定の中間時期は一日だけではなく複数日設定されてもよい。S107の処理が終了すると、S108へ進む。
【0042】
S108では、所定の中間時期における広告の効果が、電子メールによって広告主の元に通知される。具体的には、S105における顧客情報の集計開始から所定の中間時期までの間に、広告掲示場所であるすし店Bを訪れた顧客の数とともに、その顧客の年齢構成比率、男女比率、グループ属性等の情報が、広告主の元に通知される。尚、通知される具体的な内容については、後述するS110の処理とほぼ同一であるから、ここでの説明は省略する。S108の処理が終了すると、S109へ進む。
【0043】
S109では、所定の掲示期間、即ち、広告主が広告要求を出した広告掲示期間が経過したか否かが判定される。広告掲示期間が経過したと判定されるとS110へ進み、広告掲示期間が経過していないと判定されるとS106以降の処理が再び行われる。
【0044】
S110では、広告掲示期間が経過した段階、即ち、広告要求を出しその広告の掲示が終了したときの該広告の効果が、最終的な広告効果として、電子メールによって広告主の元に通知される。具体的には、図8に示す「広告配信結果報告書」のように、広告掲示期間の間に(本実施例では2006年1月1日〜同年1月31日までの一ヶ月間)、広告掲示場所であるすし店Bを訪れた顧客の数(合計3800人)とともに、その顧客の年齢構成比率、男女比率、グループ属性等の情報が、広告主の元に通知される。
【0045】
ここで、この広告主が40歳以下の顧客に対して広告を見てほしいと考えた上で、上述までのすし店Bにおける広告の掲示を行った場合、単純に計算すると62万円の費用で3200人に対して広告を行うことができたという定量的な広告効果を得ることが可能となる。その他、男女構成の比率やグループ属性等に基づいて、広告効果を定量的に判断することが可能となる。このS108およびS110の処理は、上記の広告効果通知部23によって実行される。S110の処理後、本制御を終了する。
【0046】
本制御によると、広告掲示場所を訪れる顧客がその広告の対象となる顧客とみなすのに支障が無い状況を予め形成することで、その広告掲示場所を訪れる顧客の情報を広告効果として定量的に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例に係る広告効果測定システムを構成するためのネットワークの概略を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る広告効果測定システムを構成するサーバの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る広告効果測定システムにおいて、広告効果を測定するための制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に係る広告効果測定システムにおいて、広告主が広告要求を記入するためのウェブ上のページを示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る広告効果測定システムにおいて、HDD内記憶されている広告掲示場所と顧客情報との関係を表すデータベースを示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る広告効果測定システムにおいて、広告主に対して複数の広告掲示場所の候補場所から、最終的に広告を行う場所を選択することを促すために、広告主端末の表示画面に示される図である。
【図7】本発明の実施例に係る広告効果測定システムにおいて、広告を掲示させるための広告掲示物を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係る広告効果測定システムにおいて、最終的に広告主に通知される広告効果を定量的に示す書面の図である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・・測定サーバ(サーバ)
2・・・・広告主端末
3・・・・インターネット
4、5、6・・・・広告掲示場所
4a、5a、6a・・・・POSシステム
10・・・・CPU
11・・・・入出力インターフェース
12・・・・ハードディスクドライブ(HDD)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告主からの広告要求を受け付ける広告主端末と、該広告要求に関する広告の効果を測定する測定サーバとから構成されるコンピュータシステムであって、
前記広告主端末を介して、広告主からの広告要求を階層化された顧客の指定とともに受け付ける広告受付手段と、
広告掲示場所毎の、前記階層化された顧客に関する情報を記憶する顧客情報記憶手段と、
前記広告受付手段によって受け付けられた広告要求と、前記顧客情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、該広告要求に関する広告を掲示する場所を決定する広告場所決定手段と、
前記広告場所決定手段によって決定された広告掲示場所で前記広告要求に関する広告が掲示される期間において該広告掲示場所を訪れる顧客の情報を、前記階層化に関する基準に基づいて、集計する顧客情報集計手段と、
前記顧客情報集計手段によって集計された顧客情報を、前記広告要求に関する広告の効果として、該広告要求を出した広告主に通知する広告効果通知手段と、
を備えることを特徴とする広告効果測定システム。
【請求項2】
前記顧客情報集計手段は、前記顧客の階層化に関する基準に基づいて、前記広告要求に関する広告が掲示される期間の途中において、該広告が掲示される広告場所を訪れた顧客情報を中間顧客情報として、更に集計し、
前記広告効果通知手段は、前記顧客情報集計手段によって集計された中間顧客情報を、前記広告要求を出した広告主に通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の広告効果測定システム。
【請求項3】
前記顧客情報集計手段によって集計された顧客情報に基づいて、前記顧客情報記憶手段に記憶された、広告掲示場所毎の階層化された顧客に関する情報を更新する顧客情報更新手段を、更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の広告効果測定システム。
【請求項4】
前記広告場所決定手段は、前記広告受付手段によって受け付けられた広告要求と、前記顧客情報記憶手段に記憶された情報とに基づいて、複数の広告掲示の候補場所を前記広告主端末に通知し、該広告主端末での広告主による広告場所の決定に従い、該広告要求に関する広告を掲示する場所を決定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の広告効果測定システム。
【請求項5】
前記顧客の階層化に関する基準は、顧客の性別、顧客の年齢層、顧客のグループ化における属性のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の広告効果測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−264963(P2007−264963A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88271(P2006−88271)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(506104828)株式会社写楽 (3)