説明

広告効果測定装置、広告効果測定方法及びコンピュータプログラム

【課題】広告の効果をより精度高く測定すること。
【解決手段】電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶し、表示時間記憶部に記憶される履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の履歴に基づいて広告の効果を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子的に提供される広告の効果を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のウェブコンテンツで提供される広告は、バナー広告に代表されるように、クリックしたユーザを他のウェブサイトに誘導することを目的とした広告が一般的である。このような広告では、広告効果の測定方法として、バナー広告の表示回数やバナー広告がクリックされた回数を計測するものが一般的である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−024683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような電子書籍に対する広告の掲載方法では、広告効果の測定方法が確立されておらず、従来のバナー広告に対する測定方法もそのままでは転用できない。例えば、電子書籍ではシーケンシャルにページが開かれることが多いため、読み飛ばされるページが存在する。そのため、実際にはユーザによって閲覧されていない広告が、あたかも何度も表示されたかのように表示回数がカウントされてしまうおそれがある。
上記事情に鑑み、本発明は、広告の効果をより精度高く測定するための技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶する表示時間記憶部と、前記表示時間記憶部に記憶される前記履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の前記履歴に基づいて前記広告の効果を測定する広告効果測定部と、を備える広告効果測定装置である。
【0006】
本発明の一態様は、上述した広告効果測定装置であって、予め定められた上限時間よりも前記表示時間が長い場合には、表示時間が前記上限時間と同値であるものとして前記広告の効果を測定する。
【0007】
本発明の一態様は、広告効果測定装置が、電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶するステップと、広告効果測定装置が、前記履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の前記履歴に基づいて前記広告の効果を測定する広告効果測定ステップと、を有する広告効果測定方法である。
【0008】
本発明の一態様は、電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶するステップと、前記履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の前記履歴に基づいて前記広告の効果を測定する広告効果測定ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、広告効果をより精度高く測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である広告効果測定システムのシステム構成を表す図である。
【図2】電子書籍閲覧端末における表示の遷移の例を示す図である。
【図3】電子書籍閲覧端末の表示履歴記憶部に記録される履歴テーブルの具体例を示す図である。
【図4】広告効果測定装置の表示履歴記憶部に記録される表示履歴テーブルの具体例を示す図である。
【図5】表示時間記憶部に記録される表示時間テーブルの具体例を示す図である。
【図6】閾値記憶部に記録される閾値テーブルの具体例を示す図である。
【図7】レポート作成部が作成するレポートの具体例を示す図である。
【図8】広告効果測定システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【図9】電子書籍閲覧端末の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態である広告効果測定システム1のシステム構成を表す図である。広告効果測定システム1は、電子書籍閲覧端末100及び広告効果測定装置200を備える。電子書籍閲覧端末100と広告効果測定装置200とは、ネットワークを介して互いに通信可能に接続される。
【0012】
電子書籍閲覧端末100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。電子書籍閲覧端末100は、電子書籍閲覧プログラムを実行することによって、入力部101、書籍データ記憶部102、表示部103、表示制御部104、履歴記録部105、表示履歴記憶部106、通信部107を備える装置として機能する。なお、電子書籍閲覧端末100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。電子書籍閲覧プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、電子書籍閲覧プログラムは電気通信回線を介して伝送されても良い。
【0013】
入力部101は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部101は、ユーザが電子書籍閲覧端末100を操作するための機能をユーザに提供する。
書籍データ記憶部102は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。書籍データ記憶部102は、電子書籍のデータを記憶する。
【0014】
表示部103は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、電気泳動方式ディスプレイ(電子ペーパー)等の画像表示装置を用いて構成され、電子書籍のデータなどを表示する。電子書籍のデータには、書籍の中の各ページのデータが含まれている。また、電子書籍のデータには、広告のページに関するデータも含まれている。
【0015】
表示制御部104は、入力部101を介して入力されたユーザの操作内容を解析し、表示部103の表示を制御する。例えば、次ページ表示の操作が入力された場合には、表示制御部104は現在表示されている電子書籍の次のページのデータを書籍データ記憶部102から読み出す。そして、表示制御部104は、読み出したデータを表示部103に表示させる。例えば、電子書籍を変更する操作が入力された場合には、表示制御部104は変更後の電子書籍のトップページのデータを書籍データ記憶部102から読み出す。そして、表示制御部104は、読み出したデータを表示部103に表示させる。
【0016】
また、表示制御部104は、表示するページのデータとして、広告を表示することを指示する情報(以下、「広告表示指示」という。)が記録されている場合には、広告表示指示に従って所定の広告サーバにアクセスする。表示制御部104は、そのページに表示すべき広告のデータを広告サーバから受信し、自装置の記憶装置に記録する。以下の説明では、表示制御部104は受信した広告のデータを書籍データ記憶部102に記録する。ただし、表示制御部104が受信した広告のデータを記録する記録先は、書籍データ記憶部102に限定される必要は無い。表示制御部104が広告サーバから受信するデータには、広告コンテンツのデータ、広告メタデータ、広告IDなどが含まれている。
また、表示制御部104は、入力部101を介して入力されたユーザの操作内容を履歴記録部105に出力する。
【0017】
履歴記録部105は、表示制御部104から出力されたユーザの操作内容に基づいて、表示履歴レコードを生成する。そして、履歴記録部105は、生成した表示履歴レコードを、表示履歴記憶部106に記録する。表示履歴レコードは、電子書籍の各ページが表示された日時を表す。
表示履歴記憶部106は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。表示履歴記憶部106は、表示履歴テーブルを記憶する。表示履歴テーブルは、複数の表示履歴レコードを有するテーブルである。
【0018】
通信部107は、ネットワークを介してデータの送受信を行う。例えば、通信部107は、表示履歴記憶部106に記録されている表示履歴テーブルの情報を所定のタイミングで広告効果測定部200に送信する。所定のタイミングとは、例えば表示制御部104の動作が終了した時点(電子書籍閲覧アプリケーションが終了した時点)である。
【0019】
図2は、電子書籍閲覧端末100における表示の遷移の例を示す図である。電子書籍IDが“mg_001”である電子書籍では、第23ページのデータとして、広告を表示することを指示する情報(広告表示指示)が記録されている。。表示部103に第21ページが表示されている場合に、ユーザが次ページ表示の操作を行うと、表示制御部104は次ページ(第22ページ)のデータを表示させる。
【0020】
さらにユーザが次ページ表示の操作を行うと、表示制御部104は、第23ページのデータに記載されている広告表示指示を読み出す。表示制御部104は、広告表示指示に従って所定の広告サーバにアクセスする。表示制御部104は、第23ページのデータとして表示すべき広告のデータを、広告サーバから受信する。図2の場合、表示制御部104は、表示すべき広告のデータとして広告ID“ad_101”のデータを受信し、受信した広告のデータを表示部103に表示させる。その後、ユーザがさらに次ページ表示の操作を行うと、表示制御部104は次ページ(第24ページ)のデータを表示させる。次ページ表示の操作が行われる度に、表示制御部104は、次ページ表示の操作が行われたことを履歴記録部105に通知する。履歴記録部105は、新たに開かれたページの番号(頁番号)とその時点の日時(表示日時)とを対応付けた表示履歴レコードを生成し、表示履歴記憶部106に記録する。
【0021】
図3は、電子書籍閲覧端末100の表示履歴記憶部105に記録される履歴テーブルの具体例を示す図である。表示履歴テーブルは複数の表示履歴レコード30(30−1〜30−12)を有する。表示履歴テーブルの各表示履歴レコード30は、端末ID、表示日時、電子書籍ID、頁番号、広告IDの各値を持つ。
【0022】
端末IDは、操作された電子書籍閲覧端末100に付与されているIDを表す。表示日時は、ページの表示が行われた日時を表す。電子書籍IDは、表示されていた電子書籍のIDを表す。なお、電子書籍が雑誌である場合には、電子書籍IDに代えて雑誌IDが表示履歴レコード30に記録されても良い。頁番号は、表示されたページの番号を表す。広告IDは、表示された広告のIDを表す。なお、表示されたページに広告が無い場合(すなわち広告以外のページが表示された場合)には、その表示履歴レコード30には広告IDの値が記録されない。
【0023】
また、頁番号として、実際の電子書籍のページではなく“END”という文字列(中断識別子)が表示履歴レコード30に記録される場合がある。例えば図3の表示履歴レコード30−6には、頁番号として“END”が記録されている。“END”は、ページや書籍を変更する操作は行われていないが、他の要因により表示部103にページの表示が行われていないことを表す。他の要因の具体例として、例えば電子書籍閲覧のアプリケーションが終了されたこと、電子書籍閲覧端末100の電源がオフ又はサスペンドになったこと、メニュー画面など他の画面が表示されたこと、スクリーンセイバーが起動されたこと、他のアプリケーションがアクティブ状態となった(画面に表示される状態となった)こと、などがある。
【0024】
履歴テーブルに記録されている各表示履歴レコード30は、表示日時の順に時系列に並んでいる。そのため、ある表示履歴レコード30と次の表示履歴レコード30との表示日時の差は、原則としてある表示履歴レコード30のページが表示されてから次の表示履歴レコード30のページ操作がなされるまでの時間を表す。この時間は、あるページが表示されていた時間の推定値として取り扱うことができる。
【0025】
電子書籍ID及び頁番号は、書籍データに埋め込まれたメタデータに記録されている。書籍データは、ページ毎にメタデータを有している。各メタデータには頁番号が記されている。また、広告のデータに含まれる広告メタデータには、広告IDが記されている。
【0026】
広告効果測定装置200は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。広告効果測定装置200は、広告効果測定プログラムを実行することによって、通信部201、表示履歴記憶部202、表示時間取得部203、表示時間記憶部204、閾値記憶部205、測定部206、レポート作成部207を備える装置として機能する。なお、広告効果測定装置200の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。広告効果測定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、広告効果測定プログラムは電気通信回線を介して伝送されても良い。
【0027】
通信部201は、ネットワークを介してデータの送受信を行う。例えば、通信部201は、電子書籍閲覧端末100から表示履歴テーブルの情報を受信し、受信した表示履歴テーブルを表示履歴記憶部202に書き込む。
表示履歴記憶部202は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。表示履歴記憶部202は、通信部201によって受信された表示履歴テーブルを記憶する。表示履歴記憶部202は、複数の電子書籍閲覧端末100の表示履歴テーブルを記憶しても良い。
【0028】
図4は、広告効果測定装置200の表示履歴記憶部202に記録される表示履歴テーブルの具体例を示す図である。表示履歴テーブルは複数の表示履歴レコード40(40−1〜40−12)を有する。表示履歴テーブルの各表示履歴レコード40は、電子書籍閲覧端末100の表示履歴記憶部105に記録されている各表示履歴レコード30と同じ構成である。表示履歴記憶部202は、端末ID毎に表示履歴テーブルを記憶しても良い。表示履歴記憶部202は、端末ID及び電子書籍ID毎に表示履歴テーブルを記憶しても良い。
【0029】
表示時間取得部203は、表示履歴記憶部202に記憶されている表示履歴レコードを参照し、広告のページの表示時間を取得する。表示時間取得部203が参照する表示履歴レコードは、表示履歴記憶部202に記憶されている全ての表示履歴レコード40であっても良いし、表示日時が所定の期間に含まれる表示履歴レコード40のみであっても良い。どのような範囲の表示履歴レコード40を参照して各表示時間を取得するかは、広告効果測定装置200の管理者などによって適宜設定される。表示時間取得部203は、広告のページの表示毎の表示時間を取得すると、取得結果を表示時間記憶部204に記録する。
【0030】
表示時間記憶部204は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成され、表示時間テーブルを記憶する。表示時間テーブルは、表示時間取得部203による取得結果を表す。すなわち、表示時間テーブルは、各広告の表示時間を表す表示時間レコードを複数有するテーブルである。
【0031】
図5は、表示時間記憶部204に記録される表示時間テーブルの具体例を示す図である。図5に示される二つのテーブルのうち、左側のテーブルは表示履歴記憶部202に記憶される表示履歴テーブルであり、右側のテーブルは表示時間記憶部204に記憶される表示時間テーブルである。表示時間テーブルは複数の表示時間レコード50(50−1〜50−4)を有する。表示時間テーブルの各表示時間レコード50は、広告ID、電子書籍ID、端末ID、表示日時、表示時間の各値を持つ。
【0032】
表示時間テーブルの表示時間レコード50は、表示履歴テーブルに記録された表示履歴レコード40のうち広告のページに関する表示履歴レコード40毎に生成される。表示時間取得部203は、表示履歴記憶部202に記録されている表示履歴レコード40を参照し、広告のページに関する表示履歴レコード40を検索する。広告のページに関する表示履歴レコードであるか否かは、例えば広告IDの値が記録されているか否かで判断できる。すなわち、広告IDの値が記録されている表示履歴レコード40は、広告のページに関する表示履歴レコードである。表示時間取得部203は、広告のページに関する表示履歴レコード40を検出すると、その表示履歴レコードの表示日時と次の表示履歴レコードの表示日時との差を算出する。算出結果の値が、表示時間として表示時間レコード50に記録される。
【0033】
例えば、図5の表示履歴レコード40−1には広告IDの値が記録されているため、表示時間取得部203は表示履歴レコード40−1を広告のページに関する表示履歴レコード40として検出する。次に、表示時間取得部203は表示履歴レコード40−1に記録された表示日時と、次のレコードである表示履歴レコード40−2の表示日時との差を算出する。この場合、差の値は20(秒)である。したがって、表示時間取得部203は、表示履歴レコード40−1に記録された広告のページの表示時間として、20秒という値を取得する。そして、表示時間取得部203は、表示履歴レコード40−1に記録されている広告ID、電子書籍ID、端末ID、表示日時の値とともに、取得した表示時間の値を用いて、表示時間テーブルに記録する表示時間レコード50−1を生成する。
【0034】
表示時間取得部203は、表示履歴レコード40−4及び表示履歴レコード40−5に対し同様の処理を行って表示時間レコード50−2を生成する。表示時間取得部203は、表示履歴レコード40−8及び表示履歴レコード40−9に対し同様の処理を行って表示時間レコード50−3を生成する。表示時間取得部203は、表示履歴レコード40−11及び表示履歴レコード40−12に対し同様の処理を行って表示時間レコード50−4を生成する。表示時間取得部203は、処理対象となっている表示履歴レコード40に対して上記の処理を繰り返し実行することによって、複数の表示時間レコード50を有する表示時間テーブルを表示時間記憶部204に記録する。
【0035】
閾値記憶部205は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。閾値記憶部205は、各電子書籍IDと時間の閾値とを対応付けた閾値テーブルを予め記憶する。閾値の値は、その電子書籍を閲覧しているユーザがその広告のページに注目したと推定できる最低限の表示時間を表す。ユーザは、広告のページに注視した場合には、そのページをある程度の時間に亘って表示させておくことが一般的である。逆に、ユーザは注視していない広告のページについてはすぐにめくってしまい、他のページを表示させることが一般的である。そのため、閾値テーブルは、少なくとも広告のページに注目したと推定できる表示時間の下限の閾値(下限時間)を記録している。
【0036】
さらに、閾値テーブルは、広告のページに注目したと推定できる表示時間の上限の閾値(上限時間)を記録しても良い。例えば、あるページがあまりにも長時間に亘って表示されている場合には、ユーザがその広告のページを閲覧しているのではなく、表示させたまま他の行為を行っている可能性がある。そのため、このような場合に上限なく表示時間を『ユーザが閲覧した時間』としてカウントすると、ユーザが広告を閲覧した時間を集計する際に集計結果の精度が低下するおそれがある。そのため、ユーザが広告のページを見るのに要する一般的な時間などの統計をとることによって、上限時間が表示時間レコード50に設定されても良い。上限時間が設定されることにより、ユーザが広告のページを閲覧している時間の推定精度が向上する。
【0037】
図6は、閾値記憶部205に記録される閾値テーブルの具体例を示す図である。閾値テーブルは複数の閾値レコード60(60−1〜60−3)を有する。閾値テーブルの各閾値レコード60は、電子書籍ID、下限時間、上限時間の各値を持つ。閾値テーブルの各閾値レコード60は、電子書籍ID毎に予め登録される。各閾値レコード60は、電子書籍IDに対応する下限時間及び上限時間の値を記録している。
【0038】
測定部206は、表示時間記憶部204に記憶された表示時間テーブルと、閾値記憶部205に記憶された閾値テーブルと、に基づいて広告効果を測定する。このとき、測定部206は、表示時間記憶部204に記録されている表示時間レコード50のうち、表示時間の値が下限時間を超えている表示時間レコード50に基づいて広告効果を測定する。また、表示時間記憶部204に記録されている表示時間レコード50のうち、表示時間の値が上限時間を超えている表示時間レコード50については、測定部206は上限時間よりも長い部分の時間は無視し、上限時間分の表示時間であるものとして広告効果を測定する。
【0039】
レポート作成部207は、測定部206による測定結果に基づいて、広告効果を表すレポートを作成し、作成したレポートのデータを出力する。出力の態様は、プリンタによる印刷であっても良いし、画像表示装置における表示であっても良いし、他の情報処理装置へのレポートデータの送信であっても良いし、他の態様であっても良い。
【0040】
図7は、レポート作成部207が作成するレポートの具体例を示す図である。レポートには、日付毎に広告のページの表示時間の平均値を集計した表とグラフが記載される。レポートは、Webブラウザに表示可能なフォーマットや、表計算ソフトで読み取り可能なファイルフォーマット等で出力される。レポート作成部207によって作成されるレポートの形態は、図7に示される形態に限定されない。なお、図7におけるrPVは、read Page Viewの頭字語又は略称であり、ユーザが意図的に閲覧したと推定されるページの表示回数を表す。
【0041】
図8は、広告効果測定システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。電子書籍閲覧端末100の履歴記録部105は、新たなページが表示される度に表示履歴レコード30を記録する(ステップS101)。そして、所定のタイミングで通信部107は表示履歴テーブルを広告効果測定装置200に送信する(ステップS102)。
広告効果測定装置200の通信部201は、表示履歴テーブルを電子書籍閲覧端末100から受信すると表示履歴記憶部202に記録する(ステップS201)。表示時間取得部203は、所定の範囲の日時で行われた表示履歴テーブルの表示履歴レコード40を読み出し、各広告のページの表示時間を取得し、表示時間を表示時間記憶部204に記録する(ステップS202)。測定部206は、表示時間記憶部204に記録された表示時間に基づいて、広告効果を測定する(ステップS203)。そして、レポート作成部207は、測定結果に基づいてレポートを作成する(ステップS204)。
【0042】
広告効果測定システム1によれば、各広告のページの表示時間に関する表示時間レコード50のうち、下限時間よりも長い表示時間の表示時間レコード50に基づいて広告効果の測定が行われる。そのため、ユーザによって注視されることなくめくられてしまった表示の履歴と、ユーザによって注視されたと推定される表示の履歴とを区別し、後者の履歴に基づいて広告効果を測定できる。したがって、従来のように注視されることなくめくられてしまった表示履歴も含めて表示の回数にカウントして広告効果の測定を行う場合に比べて、広告効果の測定をより精度高く行う事が可能となる。
【0043】
<変形例>
閾値テーブルの閾値レコード60は、電子書籍ID毎に設定されるのではなく、広告ID毎に設定されても良い。また、閾値テーブルの閾値レコード60は、電子書籍ID及び広告IDの組合せ毎に設定されても良い。
閾値テーブルの閾値レコード60に記録される情報は、該当する各電子書籍にデータとして記録されていても良い。例えば、閾値テーブルの閾値レコード60に記録される情報は、メタデータとして電子書籍に記録されても良い。閾値テーブルの閾値レコード60が広告ID毎に設定される場合は、電子書籍の広告のページに表示される広告のデータにメタデータとして記録されても良い。閾値テーブルの閾値レコード60が電子書籍ID及び広告IDの組合せ毎に設定される場合も、電子書籍の広告のページに表示される広告のデータにメタデータとして記録されても良い。
表示時間記憶部204に記録されている表示時間レコード50のうち、表示時間の値が上限時間を超えている表示時間レコード50については、測定部206はこのレコード50が無効なレコードであると判定し、広告効果の測定に用いないように構成されても良い。
【0044】
閾値テーブルの閾値レコード60に記録される情報が電子書籍にデータとして記録される場合、履歴記録部105は、表示履歴記憶部106に記録される表示履歴レコード30に対し、閾値テーブルの閾値レコード60に記録される情報をさらに追加して記録しても良い。例えば、図3の表示履歴レコード30−1には、下限時間20秒及び上限時間900秒という値が追加して記録されても良い。この場合、表示制御部104は、広告のページを表示部103に表示する際に、閾値レコード60に相当する情報を書籍データ記憶部102から読み出し、履歴記録部105に通知する。
【0045】
履歴記録部105は、生成した表示履歴レコード30を一時的に記憶し、次の表示履歴レコード30が生成された時点で、一時的に記憶していた表示履歴レコード30との表示時刻の差(表示時間)を算出しても良い。この場合、履歴記録部105は、表示履歴レコード30に対して表示時間を更に追加して記録する。
【0046】
履歴記録部105が表示時間を算出して表示履歴レコード30に記録する場合、且つ、閾値テーブルの閾値レコード60に記録される情報が電子書籍にデータとして記録される場合、履歴記録部105は、算出した表示時間が下限時間を超えている表示履歴レコード30のみを表示履歴記憶部106に登録しても良い。この場合、履歴記録部105は、表示時間が下限時間を下回った表示履歴レコード30については、表示履歴記憶部106に登録せずに破棄する。
【0047】
図9は、電子書籍閲覧端末100の変形例の構成を示す図である。電子書籍閲覧端末100は、自装置の物理的な状態を感知するセンサ108を備えても良い。センサ108は、例えばジャイロセンサや加速度センサであり、電子書籍閲覧端末100の揺れや傾きを感知する。この場合、履歴記録部105は、センサ108の出力に基づいて、電子書籍閲覧端末100が放置された状態であるか否かを判断し、放置された状態であると判断した場合にはその時点で頁番号の値として“END”を持つ新たな表示履歴レコード30を記録しても良い。
【0048】
書籍データ記憶部102に記憶されているデータの一部は、電子書籍閲覧端末100とは異なる装置に記憶されていても良い。その場合、書籍データ記憶部102は、他の装置に記憶されているデータのアドレスを記憶している。表示制御部104は、表示しようとするページのデータが書籍データ記憶部102に記憶されていない場合、書籍データ記憶部102に記憶されているアドレスに基づいて他の装置にアクセスし、表示しようとするページのデータをダウンロードする。そして、表示制御部104は、ダウンロードしたデータを表示部103に表示させる。
【0049】
通信部107がネットワークを介して広告効果測定装置200に表示履歴を送信する所定のタイミングは上述したものに限定されない。例えば、表示履歴記憶部105に記憶されている表示履歴の表示履歴レコード30の数が閾値を超えた時点であっても良い。例えば、表示履歴記憶部105に記憶されている表示履歴のデータ容量が閾値を超えた時点であっても良い。例えば、所定のタイミングになった際に通信部107がネットワークに接続されていない場合には、次に通信部107がネットワークに接続された時点であっても良い。
【0050】
通信部107がネットワークを介して広告効果測定装置200に表示履歴を送信するタイミングは、履歴記録部105によって表示履歴レコード30が生成された時点であっても良い。この場合は、電子書籍閲覧端末100は以下のように構成されても良い。表示履歴記憶部106を備えない。履歴記録部105は、生成した表示履歴レコード30を表示履歴記憶部106に書き込まず、通信部107に出力する。
【0051】
通信部107がネットワークを介して広告効果測定装置200に表示履歴を送信する所定のタイミングとなる前に、未送信の表示履歴のデータ容量が表示履歴記憶部106の蓄積容量を超えてしまった場合には、履歴記録部105は古い順に表示履歴レコード30を削除するように構成されても良い。
【0052】
端末IDに代えてユーザIDが用いられても良い。端末IDが電子書籍閲覧端末毎に付与されるIDであるのに対し、ユーザIDは電子書籍閲覧端末100のユーザ毎に付与されるIDである。そのため、ユーザIDが用いられた場合は、複数の電子書籍閲覧端末100を使用している一人のユーザについて、ユーザ毎の広告効果を取得することが可能となる。
【0053】
履歴記録部105は、電子書籍閲覧端末100に備えられた不図示の位置情報取得装置から現在位置の位置情報を取得し、位置情報を含めた操作履歴レコードを生成しても良い。この場合、表示時間取得部203は、位置情報が示す所定の範囲(地域)毎に表示時間を取得しても良い。このように構成されることにより、所定の範囲(地域)毎に広告効果を取得することが可能となる。なお、位置情報取得装置とは、例えば無線通信基地局との通信に基づいて現在位置の情報を取得する装置であっても良いし、GPS(Global Positioning System)等の人工衛星との通信によって現在位置の情報を取得する装置であっても良いし、他の方法によって現在位置の情報を取得する装置であっても良い。
【0054】
広告コンテンツのデータは、必ずしも表示制御部104によって表示の度に広告サーバから受信される必要はない。例えば、広告コンテンツのデータは、電子書籍のデータと共に又は電子書籍のデータの一部として、予め書籍データ記憶部102に記録されていても良い。
また、表示制御部104が受信した広告のデータは、所定の時間の間は書籍データ記憶部102に記録されており、その間は表示制御部104は表示の必要が生じた際に広告サーバにアクセスせずに書籍データ記憶部102から読み出して表示を行っても良い。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
100…電子書籍閲覧端末, 200…広告効果測定装置, 101…入力部, 102…書籍データ記憶部, 103…表示部, 104…表示制御部, 105…履歴記録部, 106…表示履歴記憶部, 107…通信部, 201…通信部, 202…表示履歴記憶部, 203…表示時間取得部, 204…表示時間記憶部, 205…閾値記憶部, 206…測定部, 207…レポート作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶する表示時間記憶部と、
前記表示時間記憶部に記憶される前記履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の前記履歴に基づいて前記広告の効果を測定する広告効果測定部と、
を備える広告効果測定装置。
【請求項2】
予め定められた上限時間よりも前記表示時間が長い場合には、表示時間が前記上限時間と同値であるものとして前記広告の効果を測定する請求項1に記載の広告効果測定装置。
【請求項3】
広告効果測定装置が、電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶するステップと、
広告効果測定装置が、前記履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の前記履歴に基づいて前記広告の効果を測定する広告効果測定ステップと、
を有する広告効果測定方法。
【請求項4】
電子書籍の広告のページの表示時間の履歴を記憶するステップと、
前記履歴のうち、予め定められた下限時間よりも長い表示時間の前記履歴に基づいて前記広告の効果を測定する広告効果測定ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84134(P2013−84134A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223822(P2011−223822)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)