説明

広告挟持装置

【課題】構成部材をよりコンパクトに集約し、簡素な外観を呈すると共に、取り扱いが容易な広告挟持装置を提供する。
【解決手段】広告挟持装置1は、互いの接合面2a、3a間を開閉できるように蝶着される第1及び第2の挟持部材2,3と、第1の挟持部材2上に支持される可動磁石片4及び可動吸着鉄板5と、第2の挟持部材3上に支持される固定磁石片6と固定吸着鉄板7とを具備する。第1の挟持部材2上の可動磁石片4と可動吸着鉄板5は、接合面2aに沿って挟持部材2の長軸方向の吸着位置と反発位置との間を移動操作可能である。第1及び第2の挟持部材2,3は、それぞれ非磁性の材料で四角筒状に形成され、互いに対向する一側面である接合面2a、3a間を開閉することにより、両接合面間に掲示シートを挟持、解放できる。第1又は第2の挟持部材2,3のいずれか一方が、車両の天井のような支持部材に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広告宣伝媒体である広告紙等を電車の天井などに吊り下げるための広告挟持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電車内で天井に広告紙を吊り下げるために使用されるものとして、特許文献1に記載された広告バサミが知られている。この広告バサミは、少なくとも天板と側板とを有し、下方が開口した本体ケースと、その本体ケースに、本体ケースの側板と対面するように揺動自在に取り付けられた開閉板と、本体ケースの側板に沿ってスライド自在に設けられた操作部材と、開閉板または操作部材のうちいずれか一方に、N極およびS極がそれぞれ表側となる状態で隣接して配置された第1および第2マグネットと、開閉板または操作部材のうち他方に、操作部材のスライド操作に応じて第1または第2マグネットと選択的に対向するように設けられる第3マグネットとからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−156789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この出願に係る発明は、機能を損なうことなく、構成部材をよりコンパクトに集約し、簡素な外観を呈すると共に、取り扱いが容易な広告挟持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明の広告挟持装置1は、互いの接合面2a、3a間を開閉できるように蝶着される第1及び第2の挟持部材2,3と、第1の挟持部材2上に支持される可動磁石片4及び可動吸着鉄板5と、第2の挟持部材3上に支持される固定磁石片6と固定吸着鉄板7とを具備する。第1の挟持部材2上の可動磁石片4と可動吸着鉄板5は、接合面2aに沿って挟持部材2の長軸方向の吸着位置と反発位置との間を移動操作可能である。第1及び第2の挟持部材2,3は、それぞれ非磁性の材料で四角筒状に形成され、互いに対向する一側面である接合面2a、3a間を開閉することにより、両接合面間に掲示シートSを挟持、解放できる。第1又は第2の挟持部材2,3いずれか一方が、車両の天井のような支持部材に固定される。第1の挟持部材2は、接合面2aを有する第1の側壁2bに開放する第1の開口2cと、当該側壁と対向する第2の側壁2dに開放する第2の開口2eとを具備する。第1の挟持部材2の内側空洞2f内に、四角柱状で非磁性の摺動部材9が、吸着位置と反発位置との間を移動自在に挿入される。可動磁石片4と可動吸着鉄板5が摺動部材9上に固定される。この可動磁石片4は、第1の開口2cから露出して吸着位置と反発位置との間を移動し、吸着位置において第2の挟持部材3上の固定吸着鉄板7と対向し、反発位置において第2の挟持部材3上の固定磁石片6と対向する。また、可動吸着鉄板5は、吸着位置において第1の開口2cから露出して第2の挟持部材3上の永久磁石片6と対向し、反発位置において第1の側壁2bの内側に位置する。第1の挟持部材3の内側空洞2f内には、さらに四角柱状の操作部材10が、摺動部材9と一体に移動自在に挿入される。操作部材10は、第2の開口2eから外側へ突出する操作突起10aを有する。第2の挟持部材3は、接合面3aを有する側壁3bに、第1の挟持部材2の第1の開口2cと対向する第3の開口3cを具備する。第2の挟持部材3の内側空洞内3dに非磁性の支持部材11が固定される。この支持部材11上に、固定磁石片6と固定吸着鉄板7とが固定され、第3の開口3cから露出する。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の装置によれば、機能を損なうことなく、構成部材をよりコンパクトに集約し、簡素な外観を呈すると共に、取り扱いが容易な広告挟持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る広告挟持装置の正面図である。
【図2】図1の広告挟持装置の広告紙を挟持した状態の側面図である。
【図3】図1の広告挟持装置の平面図である。
【図4】図2におけるIV−IV矢視図である。
【図5】図2におけるV−V矢視図である。
【図6】(A)は広告紙を挟持した状態の図1におけるVI−VI断面図、(B)は解放状態の同断面図である。
【図7】図6におけるVII部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
広告挟持装置1は、互いの接合面2a、3a間を開閉できるようにヒンジ12で蝶着される第1及び第2の挟持部材2,3と、第1の挟持部材2上に支持される可動磁石片4及び可動吸着鉄板5と、第2の挟持部材3上に支持される固定磁石片6と固定吸着鉄板7とを具備する。
【0009】
第1の挟持部材2上の可動磁石片4と可動吸着鉄板5は、接合面2aに沿って挟持部材2の長軸方向の吸着位置(図6A)と反発位置(図6B)との間を移動操作可能である。
【0010】
第1及び第2の挟持部材2,3は、それぞれアルミニウム角パイプのような非磁性の材料で四角筒状に形成され、互いに対向する一側面である接合面2a、3a間を開閉することにより、両接合面2a、3a間に広告紙のような掲示シートを挟持、解放できる。第1又は第2の挟持部材2,3いずれか一方が、車両の天井のような支持部材に固定される。図示の実施形態においては、第2の挟持部材3が、取り付け金具8を介して図示しない支持部材に固定される。
【0011】
第1の挟持部材2は、接合面2aを有する第1の側壁2bに開放する左右一対の第1の開口2cと、当該側壁と対向する第2の側壁2dの中央部に開放する第2の開口2eとを具備する。
【0012】
第1の挟持部材2の内側空洞2f内に、四角柱状で非磁性の摺動部材9が、吸着位置(図6A)と反発位置(図6B)との間を移動自在に挿入される。可動磁石片4と可動吸着鉄板5が摺動部材9上に固定される。この可動磁石片5は、第1の開口2cから露出して吸着位置と反発位置との間を移動し、吸着位置において第2の挟持部材3上の固定吸着鉄板7と対向し、反発位置において第2の挟持部材上の固定磁石片6と対向する。また、可動吸着鉄板5は、吸着位置において第1の開口2cから露出して第2の挟持部材3上の永久磁石片6と対向し、反発位置においては第1の側壁2bの内側に位置する。
【0013】
第1の挟持部材2の内側空洞2f内には、さらに四角柱状の操作部材10が移動自在に挿入される。操作部材10は、アルミニウム製の連結棒13によって摺動部材9と一体に結合される。操作部材10は、第2の開口2eから外側へ突出する操作突起10aを有する。
【0014】
第2の挟持部材3は、接合面3aを有する側壁3bに、第1の挟持部材2の第1の開口2bと対向する一対の第3の開口3cを具備する。第2の挟持部材3の内側空洞3d内に非磁性の支持部材11が固定される。この支持部材11上に、固定磁石片6と固定吸着鉄板7とが固定される。固定磁石片6と固定吸着鉄板7は、第3の開口から露出するように配置される。
【0015】
しかして、図6(A)に示すように、第1の挟持部材2の摺動部材9が吸着位置にあるとき、可動磁石片4が、第1の挟持部材2上の固定吸着鉄板7に対向することによってこれを吸着し、接合面2a、3a間に広告紙のような掲示シートSを挟持する。図6(B)に示すように、第1の挟持部材2の摺動部材9が反発位置にあるとき、可動磁石片4が、第1の挟持部材2上の固定磁石片6に対向することによって反発し、接合面2a、3a間を開放する。開放状態で、接合面2a、3a間に掲示シートSを挿入し、操作部材10を図において右方へ移動させると、可動磁石片4が固定吸着鉄板7を吸着し、接合面2a、3a間を閉じて掲示シートSを挟持する。
【符号の説明】
【0016】
1 広告挟持装置
2 第1の挟持部材
2a 接合面
2b 第1の側壁
2c 第1の開口
2d 第1の側壁
2e 第2の開口
2f 内側空胴
3 第2の挟持部材
3a 接合面
3b 側壁
3c 第3の開口
3d 内側空胴
4 可動磁石片
5 可動吸着鉄板
6 固定磁石片
7 固定吸着鉄板
8 取り付け金具
9 摺動部材
10 操作部材
10a 操作突起
11 支持部材
12 ヒンジ
13 連結棒
S 掲示シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ非磁性の材料で四角筒状に形成され、互いに対向する一側面である接合面間を開閉することにより、両接合面間に掲示シートを挟持、解放できるように互いに蝶着され、いずれか一方が車両の天井のような支持部材に固定される第1及び第2の挟持部材と、
前記第1の挟持部材上に、当該挟持部材の長軸方向に並び、かつ吸着平面を前記接合面に沿わせて支持される可動磁石片及び可動吸着鉄板と、
前記第2の挟持部材上に、当該挟持部材の長軸方向に並び、かつ各吸着平面を前記接合面に沿わせて、支持される固定磁石片及び固定吸着鉄板とを具備し、
可動磁石片と可動吸着鉄板は、前記第1の挟持部材の接合面に沿って挟持部材の長軸方向の吸着位置と反発位置との間を移動操作可能で、吸着位置において可動磁石片が前記第2の挟持部材上の固定吸着鉄板に対向してこれを磁気吸着し、反発位置において可動磁石片が第2の挟持部材上の固定磁石片に対向して磁気反発するように配置される広告挟持装置であって、
前記第1の挟持部材は、前記接合面を有する第1の側壁に開放する第1の開口と、当該側壁と対向する第2の側壁に開放する第2の開口とを具備し、
前記第1の挟持部材の可動磁石片と可動吸着鉄板は、第1の挟持部材の内側空洞内に、前記吸着位置と反発位置との間を移動自在に挿入される四角柱状で非磁性の摺動部材上に固定され、
前記第1の挟持部材の可動磁石片は、前記第1の開口から露出して吸着位置と反発位置との間を移動し、吸着位置において前記第2の挟持部材上の固定吸着鉄板と対向し、反発位置において第2の挟持部材上の固定磁石片と対向するように配置され、
前記第1の挟持部材の可動吸着鉄板は、吸着位置において前記第1の開口から露出して前記第2の挟持部材上の固定磁石片と対向し、反発位置において第1の側壁の内側に位置するように配置され、
前記第1の挟持部材の内側空洞内には、さらに前記第2の開口から外側へ突出する操作突起を有する四角柱状の操作部材が、前記摺動部材と一体に吸着位置と反発位置との間を移動自在に挿入され、
前記第2の挟持部材は、前記接合面を有する側壁に、前記第1の挟持部材の第1の開口と対向する第3の開口を具備し、
前記第2の挟持部材の固定久磁石片と固定吸着鉄板とは、第2の挟持部材の内側空洞内に固定される非磁性の支持部材上に固定され、前記第3の開口から露出するように配置されることを特徴とする広告挟持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−101278(P2013−101278A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245918(P2011−245918)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000108708)タキゲン製造株式会社 (256)