説明

広告提供装置

【課題】安全性を保ったまま効率的に広告情報を提示することができる広告提供装置を提供する。
【解決手段】車両の状態を表す車両情報を取得する車両情報取得部1、3と、車両情報取得部で取得された車両情報に基づき走行の安全度を判断する安全度判断部5と、広告情報を格納する広告情報格納部10と、広告情報格納部から広告情報を読み出す広告情報管理部9と、広告情報管理部で読み出された広告情報を解釈し、該解釈に基づき、安全度判断部によって判断された安全度に応じた出力情報を広告情報から選んで出力する広告情報解釈部11と、広告情報解釈部からの出力情報を出力する出力部12、13を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広告情報をユーザに提供する広告提供装置に関し、特に車載情報機器に適用される広告提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載情報機器と組み合わされて広告情報を表示する広告提供装置が知られている。このような広告提供装置の1つとして、特許文献1は、経路案内にPOI(Point Of Interest)情報を追加する際に、最も効率のよい順番のところにPOI情報を自動登録できるようにしてユーザの利便性を高める車載用ナビゲーション装置を開示している。この車載用ナビゲーション装置においては、画面に広告情報を提供する施設または物件の場所を指示するPOI情報を含むコンテンツの情報を表示させる際に、そのコンテンツに係る広告情報の提供場所を案内先として選択する旨の指示情報が入力されたときに、案内先登録手段に現在登録されている案内先(目的地、通過点)の案内順序を変えずに、目的地までの探索経路が最適な案内順序になるようにコンテンツのPOI情報を登録する。
【0003】
このような広告提供装置においては、広告情報が車両の状態に無関係に出力されるため、広告情報が表示された時に車両が走行中であれば、運転者がその表示内容を注視してしまう恐れがあり安全性の面で問題がある。そこで、安全性を確保するために、走行中かどうかを判断し、車両が停止状態になった時に広告情報を表示するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−294091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の広告提供装置では、安全性を確保のため走行中の広告情報の提示が中止されるので、広告を提示する機会が少なくなり、広告情報の提示の効率性が失われるという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、安全性を保ったまま効率的に広告情報を提示することができる広告提供装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る広告提供装置は、上記課題を解決するために、車両の状態を表す車両情報を取得する車両情報取得部と、車両情報取得部で取得された車両情報に基づき走行の安全度を判断する安全度判断部と、広告情報を格納する広告情報格納部と、広告情報格納部から広告情報を読み出す広告情報管理部と、広告情報管理部で読み出された広告情報を解釈し、該解釈に基づき、安全度判断部によって判断された安全度に応じた出力情報を広告情報から選んで出力する広告情報解釈部と、広告情報解釈部からの出力情報を出力する出力部を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る広告提供装置によれば、安全度に応じた出力情報を広告情報から選んで出力するように構成したので、例えば、単に走行中の広告情報の出力を中止するだけでなく、広告情報に含まれる音声のみを出力したり、音声のみからなる広告情報を選択して出力したりすることができる。その結果、安全性を保ったまま効率的に広告情報を提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下では、この発明に係る広告提供装置は、ナビゲーション装置に組み込まれて構成されているものとして説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。この広告提供装置は、ナビゲーション制御部50、自律航法センサ1、GPS(Global Positioning System)装置2、地図データ格納部7、広告情報格納部10、ディスプレイ装置14、スピーカ15および操作部16を備えている。
【0010】
ナビゲーション制御部50は、広告提供装置の全体を制御する。このナビゲーション制御部50は、CPU、ROMまたはRAMなどを用いて、所定のプログラムを実行することにより、広告提供装置としての機能およびナビゲーション装置としての機能を実現する。このナビゲーション制御部50については、後に詳細に説明する。
【0011】
自律航法センサ1は、この発明の車両情報取得部の一部に対応し、車速センサおよび方位センサ(ジャイロ)を含み、自車の速度および進行方位を検出する。この自律航法センサ1で検出された自車の速度および進行方位は、それぞれ速度信号および方位信号としてナビゲーション制御部50に送られる。
【0012】
GPS装置2は、GPSアンテナと、このGPSアンテナで受信された電波を解析する演算部(いずれも図示は省略する)を備えており、自車位置(緯度および経度)を検出する。このGPS装置2で検出された自車位置は、自車位置信号としてナビゲーション制御部50に送られる。
【0013】
地図データ格納部7は、地図表示処理または経路探索処理などで使用される地図データを格納する。地図データには、施設名称から所在地を検索するための施設データも含まれている。地図データ格納部7は、例えばハードディスク装置を用いて構成することができるが、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)またはメモリカードなどを用いて構成することもできる。地図データ格納部7に格納されている地図データは、ナビゲーション制御部50によって読み出される。
【0014】
広告情報格納部10は、広告情報210を格納する。広告情報格納部10は、例えばハードディスク装置を用いて構成することができるが、CD、DVDまたはメモリカードなどを用いて構成することもできる。この広告情報格納部10に格納されている広告情報210は、ナビゲーション制御部50によって読み出される。
【0015】
ここで、広告情報210は、図2に示すように、出力情報の設定201と出力情報の集合体202とから構成されている。出力情報の設定201は、図3に示すように、安全度毎に記述された、文字列、画像または映像などといった出力情報の組み合わせと、サイズまたは色などといった出力情報のパラメータとから構成されている。また、出力情報の集合体202は、図4に示すように、画像、映像、文字列または音声などといった広告内容を表すデータの集合から構成されている。
【0016】
この構造によれば、出力情報の設定201を広告情報210に持たせ、出力情報の集合体202を出力情報の設定201にしたがって振り分けることができるので、広告提供者は、安全を意識した広告を作成することができる。なお、出力情報の設定201を予め機器側に持たせように構成することもできる。この構成によれば、どんな広告であっても安全度に応じた出力が可能になる。
【0017】
ディスプレイ装置14は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、ナビゲーション制御部50から送られてくる映像信号に基づいて、自車位置周辺の地図画像、広告情報210の一部である映像、画像または文字などを表示する。スピーカ15は、ナビゲーション制御部50から送られてくる音声信号に基づいて、案内音声または広告情報210の一部である広告音声などを出力する。なお、ディスプレイ装置14およびスピーカ15は、どちらか片方だけを備えるように構成することができるが、各々を複数備えるように構成することもできる。
【0018】
操作部16は、ユーザが広告提供装置を操作するためのインタフェースであり、ユーザの操作に応じた信号を生成し、操作信号としてナビゲーション制御部50に送る。この操作部16は、例えばリモコン送信機またはタッチパネルなどによって構成することができる。
【0019】
次に、ナビゲーション制御部50の詳細を説明する。ナビゲーション制御部50は、車速計算部3、自車位置計算部4、安全度判断部5、地図データ管理部6、地図画像描画部8、広告情報管理部9、広告情報解釈部11、映像出力部12および音声出力部13を備えている。車速計算部3は、この発明の車両情報取得部の他の一部に対応し、自律航法センサ1から送られてくる車速信号に基づいて自車の速度を計算する。この車速計算部3で計算された自車の速度は、速度データとして安全度判断部5に送られる。
【0020】
自車位置計算部4は、自律航法センサ1から送られてくる車速信号および方位信号と、GPS装置2から送られてくる自車位置信号とに基づき、自車位置を精度よく計算し、自車位置データとして安全度判断部5および地図データ管理部6に送る。また、自車位置計算部4は、計算した自車位置と地図データ管理部6から送られてくる地図データとを照合し、自車位置が地図データによって示される道路上にない場合には、道路形状と走行軌跡とに基づいて自車位置を修正し、修正後の自車位置を、自車位置データとして安全度判断部5および地図データ管理部6に送る。
【0021】
地図データ管理部6は、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって示される自車位置の周辺の地図を表す地図データを地図データ格納部7から読み込み、自車位置計算部4、安全度判定部5および地図画像描画部8に送る。地図画像描画部8は、地図データ管理部6から送られてくる地図データによって示される地形、道路および施設のアイコンなどから構成される地図画像を描画する。この地図が描画部8で描画された地図画像は、描画データとして映像出力部12に送られる。
【0022】
安全度判断部5は、車速計算部3から送られてくる速度データに基づいて安全度を判断する。具体的には、速度データによって示される自車の速度が所定の閾値未満であれば安全度が高いと判断し、自車の速度が所定の閾値以上であれば安全度が低いと判断する。この安全度判断部5における判断結果は、安全度情報として広告情報解析部11に送られる。
【0023】
また、安全度判断部5は、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって示される自車位置と、例えば自宅などの所定位置との間の距離を、地図データ管理部6から送られてくる地図データに基づき計算し、この計算した距離に基づいて上述した所定の閾値を変化させる。これにより、例えば、ユーザに馴染み深い自宅周辺の道路と、ユーザが余り知らない道路とで、安全度の判断基準を変えることができる。
【0024】
さらに、安全度判断部5は、地図データ管理部6から送られてくる地図データによって示される道路形状、つまり道路の広さ、曲率または勾配などに応じて上述した所定の閾値を変化させる。これにより、例えば、広く直線的な道路と細く険しい山道とで、安全度の判断基準を変えることができる。
【0025】
広告情報管理部9は、広告情報格納部10から広告情報210を読み込み、広告情報解析部11に送る。広告情報解釈部11は、広告情報管理部9から送られてくる広告情報210を解釈し、広告情報210に含まれる出力情報の設定201と出力情報の集合体202を安全度判定部5から送られてくる安全度情報にしたがって抽出し、この抽出した出力情報の設定201の内容に応じた画像、映像または文字列などを、出力情報の集合体202から選択して描画データを生成し、映像出力部12に送る。また、広告情報解釈部11は、抽出した出力情報の設定201の内容に応じた音声を、出力情報の集合体202から選択して音声データを生成し、音声出力部13に送る。これにより、広告提供装置は、安全度に応じた広告を出力することが可能になる。
【0026】
映像出力部12は、この発明の出力部の一部に対応し、地図画像描画部8から送られてくる描画データおよび広告情報解釈部11から送られてくる描画データを合成し、映像信号に変換してディスプレイ装置14に送る。音声出力部13は、この発明の出力部の他の一部に対応し、広告情報解釈部11から送られてくる音声データを音声信号に変換し、スピーカ15に送る。
【0027】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る広告提供装置の動作のうち、主要な動作を説明する。まず、安全度判定部5において行われる閾値変更処理および安全度判断処理を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
閾値変更処理および安全度判断処理では、最初に、閾値変更処理が実行される。この閾値変更処理では、まず、自車位置が自宅から近いかどうかが調べられる(ステップST501)。すなわち、安全度判断部5は、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって示される自車位置と自宅(予め登録されているものとする)との間の距離を、地図データ管理部6から送られてくる地図データに基づき計算し、この計算した距離が所定値以内であるかどうかを調べる。
【0029】
このステップST501において、自車位置が自宅から近いことが判断されると、次いで、現在位置の道路が広いかどうかが調べられる(ステップST502)。すなわち、安全度判断部5は、地図データ管理部6から送られてくる地図データによって示される道路形状に基づき、現在位置の道路の広さが所定値以上であるかどうかを調べる。
【0030】
このステップST502において、現在位置の道路が広いことが判断されると、次いで、閾値を上げる処理が行われる(ステップST503)。安全度判断部5は、安全度の判断基準として使用される閾値を大きくする。以上により、閾値変更処理は終了する。一方、ステップST502において、現在位置の道路が広くないことが判断された場合、および、上記ステップST501において、自車位置が自宅から近くないことが判断された場合は、閾値を下げる処理が行われる(ステップST504)。すなわち、安全度判断部5は、安全度の判断基準として使用される閾値を小さくする。以上により、閾値変更処理は終了する。
【0031】
引き続いて、安全度判断処理が実行される。安全度判断処理では、まず、車速が閾値未満であるかどうかが調べられる(ステップST506)。すなわち、安全度判断部5は、車速計算部3から送られてくる速度データによって示される自車の速度が、ステップST503またはステップST504で変更された閾値未満であるかどうかを調べる。
【0032】
このステップST506において、車速が閾値未満であることが判断されると、安全度が高いと判断される(ステップST507)。すなわち、安全度判断部5は、安全度が高いと判断し、その旨を表す安全度情報を広告情報解釈部11に送る。以上により、安全度判断処理は終了する。一方、ステップST506において、車速が閾値より大きいことが判断されると、安全度が低いと判断される(ステップST508)。すなわち、安全度判断部5は、安全度が低いと判断し、その旨を表す安全度情報を広告情報解釈部11に送る。以上により、安全度判断処理は終了する。
【0033】
次に、広告情報解釈部11において行われる処理を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。広告情報解釈部11においては、まず、出力情報の設定の解析が行われる(ステップST601)。すなわち、広告情報解釈部11は、広告情報格納部10から広告情報管理部9を介して送られてくる広告情報210を解釈する。次いで、出力情報の読み込みが行われる(ステップST602)。すなわち、広告情報解釈部11は、ステップST601における解釈に基づき、広告情報210に含まれる出力情報の設定201と出力情報の集合体202とを抽出する。
【0034】
次いで、出力情報の出力が行われる(ステップST603)。すなわち、広告情報解釈部11は、ステップST602で抽出した出力情報の設定201の内容に応じた画像、映像または文字列などを、出力情報の集合体202から選択して描画データを生成し、映像出力部12に送る。また、広告情報解釈部11は、抽出した出力情報の設定201の内容に応じた音声を、出力情報の集合体202から選択して音声データを生成し、音声出力部13に送る。その後、広告情報解釈部11における処理は終了する。
【0035】
以上の処理によって、安全度が高い場合は、図7に示すような、情報量の多い、ユーザの興味を引くような映像および文字列がディスプレイ装置14の画面に表示される。一方、安全度が低い場合は、図8に示すような、情報量の少ない、視認性の高い画像および文字列がディスプレイ装置14の画面に表示される。
【0036】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る広告提供装置によれば、例えば広告情報として、(1)情報量が多くて魅力的な映像、(2)必要最低限の情報量で視認性が高い画像および文字列といった2種類を用意しておき、車両が停止中で安全度が高い状態であれば(1)を出力し、走行中で安全度が低い状態であれば(2)を出力するといったように、広告情報を安全度に応じて選択的に出力できる。これにより、ユーザは安全性を奪われることなく効果的に広告情報を取得できる。同様に、広告主は広告を提供できる機会を増やすことができる。
【0037】
また、実施の形態1に係る広告提供装置によれば、自車位置から所定位置までの距離に応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成したので、例えば、所定位置として自宅を設定すれば、同じ走行速度であっても、自宅から遠い場所では安全度が低いと判断され、自宅から近い場所では安全度が高いと判断される。その結果、自宅から近い場所では(1)が出力され、自宅から遠い場所では(2)が出力されるという、安全に配慮した広告情報の出力が可能になる。
【0038】
また、実施の形態1に係る広告提供装置によれば、道路形状に応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成したので、例えば、同じ走行速度でも、狭い道路を走行している場合は安全度が低いと判断され、広い道路を走行している場合は安全度が高いと判断される。その結果、広い道路を走行している場合は(1)が出力され、狭い道路を走行している場合は(2)が出力されるという、安全に配慮した広告情報の出力が可能になる。
【0039】
なお、上述した実施の形態1に係る広告提供装置では、安全度は、「高い」と「低い」の2段階のみで構成したが、安全度は多段階とすることもできる。例えば、安全度が高い方から「画面注視可」、「画面のちら見可(文字数7以内)」、「長い音声可」、「短い音声可(5秒以内)」および「何も出力しない」といった5段階で構成し、各段階に応じて内容が異なる広告情報を出力するように構成できる。なお、安全度の段階は、メーカまたは業界団体で決めることができる。
【0040】
また、上述した実施の形態1に係る広告提供装置では、安全度を自車の速度に応じて判断するように構成したが、自車の速度のみならず、例えばパーキングブレーキの状態をも考慮して判断するように構成することもできる。
【0041】
実施の形態2.
図9は、この発明の実施の形態2に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。この広告提供装置は、実施の形態1に係る広告提供装置に、生体センサ21、車外環境センサ22および走行履歴格納部23が追加されるとともに、実施の形態1に係る広告提供装置のナビゲーション制御部50が新たなナビゲーション制御部52に変更されて構成されている。新たなナビゲーション制御部52は、実施の形態1に係る広告提供装置のナビゲーション制御部50に、緊張度計算部24、車外環境計算部25および走行履歴管理部26が追加されて構成されている。以下においては、実施の形態1に係る広告提供装置と相違する部分を中心に説明する。
【0042】
生体センサ21は、運転者の状態を感知する。生体センサ21としては、例えば、脈拍センサを用いることができる。なお、生体センサ21としては、脈拍センサに限らず、例えば、温度センサ、発汗センサ、筋電位センサまたはカメラなどを用いることもできる。この生体センサ21で感知された運転者の状態は、生体信号としてナビゲーション制御部52に送られる。
【0043】
車外環境センサ22は、雨量または風量などといった車外環境を感知する。車外環境センサ22としては、例えば、雨量センサを用いることができる。なお、車外環境センサ22としては、雨量センサに限らず、例えば、日射センサまたは気圧センサなどを用いることもできる。この車外環境センサ22で感知された車外環境は、車外環境信号としてナビゲーション制御部52に送られる。
【0044】
走行履歴格納部23は、過去に走行した位置座標からなる走行履歴を格納する。走行履歴格納部23は、例えばハードディスク装置を用いて構成することができるが、CD、DVDまたはメモリカードなどを用いて構成することもできる。この走行履歴格納部23には、ナビゲーション制御部52から走行履歴が書き込まれ、また、走行履歴格納部23に格納されている走行履歴は、ナビゲーション制御部52によって読み出される。
【0045】
次に、ナビゲーション制御部52の詳細を説明する。緊張度計算部24は、生体センサ21から送られてくる生体信号から運転者の緊張度合いを計算し、安全度判断部5へ送る。例えば、生体センサ21を脈拍センサによって構成した場合、緊張度計算部24は、単位時間当たりの脈拍の偏移が所定の閾値より高ければ、運転者は緊張状態にあると判断し、その旨を表す情報を安全度判断部5へ送る。
【0046】
車外環境計算部25は、車外環境センサ22から送られてくる車外環境信号から車外環境の運転への影響度合いを計算し、安全度判断部5へ送る。例えば、車外環境センサ22を雨量センサによって構成した場合、車外環境計算部25は、雨量が所定の閾値以上であれば、車外環境の運転への影響度が大きいと判断し、その旨を表す情報を安全度判断部5へ送る。
【0047】
走行履歴管理部26は、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって示される位置座標を走行履歴として走行履歴格納部23に書き込むとともに、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって示される自車位置付近の走行履歴を走行履歴格納部23から読み出し、この読み出した走行履歴によって示される走行回数を安全度判断部5へ送る。
【0048】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係る広告提供装置の動作のうち、安全度判定部5において行われる閾値変更処理を、図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、実施の形態1に係る広告提供装置で行われる処理と同じ処理、具体的には、安全度判定部5において行われる安全度判断処理(図5のステップST506〜ST508参照)および広告情報解釈部11において行われる処理(図6参照)については説明を省略する。
【0049】
閾値変更処理では、まず、自車位置が自宅から近いかどうかが調べられる(ステップST521)。このステップST521の処理は、図5に示したステップST501の処理と同じである。このステップST521において、自車位置が自宅から近いことが判断されると、次いで、現在位置の道路が広いかどうかが調べられる(ステップST522)。このステップST522の処理は、図5に示したステップST502の処理と同じである。
【0050】
このステップST522において、現在位置の道路が広いことが判断されると、次いで、緊張度が低いかどうかが調べられる(ステップST525)。すなわち、安全度判断部5は、緊張度計算部24から送られてくる運転者の緊張度合いを表す情報が、運転者は緊張状態にあることを示しているかどうかを調べる。このステップST525において、緊張度が低いことが判断されると、次いで、車外環境の影響が小さいかどうかが調べられる(ステップST526)。すなわち、安全度判断部5は、車外環境計算部25から送られてくる車外環境の運転への影響度合いを表す情報が、影響度が大きいことを示しているかどうかを調べる。
【0051】
このステップST526において、車外環境の影響が小さいことが判断されると、次いで、自車位置付近の走行回数が多いかどうかが調べられる(ステップST527)。すなわち、安全度判断部5は、走行履歴管理部26から送られてくる走行回数が所定値以上であるかどうかを調べる。このステップST526において、自車位置付近の走行回数が多いことが判断されると、閾値を上げる処理が行われる(ステップST523)。このステップST523の処理は、図5に示したステップST503の処理と同じである。以上により、閾値変更処理は終了し、シーケンスは図5のステップST506に進み、安全度判断処理が実行される。
【0052】
一方、ステップST527において、自車位置付近の走行回数が多くないことが判断された場合、上記ステップST521において、自車位置が自宅から近くないことが判断された場合、上記ステップST522において、現在位置の道路が広くないことが判断された場合、上記ステップST525において、緊張度が低くないことが判断された場合、および、上記ステップST526において、車外環境の影響が小さくないことが判断された場合は、閾値を下げる処理が行われる(ステップST524)。このステップST524の処理は、図5に示したステップST504の処理と同じである。以上により、閾値変更処理は終了し、シーケンスは図5のステップST506に分岐し、安全度判断処理が実行される。
【0053】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る広告提供装置によれば、運転者の緊張度合いに応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成したので、例えば、同じ走行速度であっても、運転者の緊張度合いが高ければ安全度が低いと判断され、緊張度合いが低ければ安全度が高いと判断される。その結果、緊張度合いに応じた広告情報を出力できるので、安全に配慮した広告情報の出力が可能になる。
【0054】
また、実施の形態2に係る広告提供装置によれば、車外環境の運転への影響度合いに応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成したので、例えば、同じ走行速度であっても、豪雨の場合は安全度が低いと判断され、晴天の場合は安全度が高いと判断される。その結果、車外環境に応じた広告情報を出力できるので、安全に配慮した広告情報の出力が可能になる。
【0055】
さらに、実施の形態2に係る広告提供装置によれば、走行回数の多寡に応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成したので、例えば、同じ走行速度であっても、初めて走る道路は安全度が低いと判断され、普段からよく走る道路は安全度が高いと判断される。その結果、走行履歴に応じた広告情報を出力できるので、安全に配慮した広告情報の出力が可能になる。
【0056】
実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。この広告提供装置は、実施の形態1に係る広告提供装置に、車外環境センサ22、走行履歴格納部23およびサービス情報格納部31が追加されるとともに、実施の形態1に係る広告提供装置のナビゲーション制御部50が新たなナビゲーション制御部53に変更されて構成されている。新たなナビゲーション制御部53は、実施の形態1に係る広告提供装置のナビゲーション制御部50に、車外環境計算部25、走行履歴管理部26、サービス情報管理部32およびサービス情報解釈部33が追加されて構成されている。以下においては、実施の形態1に係る広告提供装置と相違する部分を中心に説明する。
【0057】
車外環境センサ22および走行履歴格納部23は、実施の形態2に係る広告提供装置で使用されるものと同じである。これら車外環境センサ22および走行履歴格納部23は、後述する実施の形態3に係る広告提供装置の変形例で使用される。
【0058】
サービス情報格納部31は、サービス情報330を格納する。サービス情報格納部31は、例えばハードディスク装置を用いて構成することができるが、CD、DVDまたはメモリカードなどを用いて構成することもできる。このサービス情報格納部31に格納されているサービス情報330は、ナビゲーション制御部53によって読み出される。
【0059】
この実施の形態3に係る広告提供装置で使用される広告情報230は、図12に示すように、識別番号233、出力情報の設定231および出力情報の集合体232から構成されている。識別番号233は、当該広告情報230を識別するための固有の情報である。出力情報の設定231は、実施の形態1で使用される出力情報の設定201と同じである。出力情報の集合体232は、実施の形態1で使用される出力情報の集合体202と同じである。
【0060】
サービス情報330は、図13に示すように、識別番号333、サービス情報の設定331およびサービス情報の集合体332から構成されている。識別番号333は、当該サービス情報330を識別するための固有の情報である。広告情報230とサービス情報330とは、広告情報230に含まれる識別番号233とサービス情報330に含まれる識別番号333とによって紐付けされている。この構造により、例えば、広告情報230を用いて、ある商品を宣伝する場合に、サービス情報330として、その商品の割引クーポンを用意しておき、ナビゲーション制御部53は、互いに紐付けられた広告情報230とサービス情報330を読み込んで出力することにより、広告効果を高めることができる。
【0061】
サービス情報の設定331は、図14に示すように、安全度毎に記述された、文字列、バーコード、割引率または画像などといった出力情報の組み合わせと、サイズまたは色などといった出力情報のパラメータとから構成されている。また、サービス情報の集合体332は、図15に示すように、文字列、バーコードまたは割引率などといったサービス内容を表すデータの集合から構成されている。
【0062】
次に、ナビゲーション制御部53の詳細を説明する。車外環境計算部25は、車外環境センサ22から送られてくる車外環境信号から車外環境の事象の程度を計算し、サービス情報解釈部33へ送る。例えば、車外環境センサ22を雨量センサによって構成した場合、車外環境計算部25は、雨量を表す情報をサービス情報解釈部33へ送る。
【0063】
走行履歴管理部26は、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって表される位置座標を走行履歴として走行履歴格納部23に書き込むとともに、自車位置計算部4から送られてくる自車位置データによって示される自車位置付近の走行履歴を読み出し、この読み出した走行履歴によって示される走行回数をサービス情報解釈部33へ送る。これら車外環境計算部25および走行履歴管理部26は、後述する実施の形態3に係る広告提供装置の変形例で使用される。
【0064】
サービス情報管理部32は、サービス情報格納部31から、サービス情報330を読み出し、サービス情報解釈部33に送る。また、サービス情報管理部32は、広告情報管理部9から広告情報230の識別番号233が送られてきた場合、その広告情報230に紐付けられたサービス情報330をサービス情報格納部31から読み出し、サービス情報解釈部33に送る。
【0065】
サービス情報解釈部33は、サービス情報管理部32から送られてくるサービス情報330を解釈し、サービス情報330に含まれるサービス情報の設定331とサービス情報の集合体332を安全度判定部5から送られてくる安全度情報にしたがって抽出する。そして、この抽出したサービス情報の設定331の内容に応じた文字列、バーコードまたは割引率などを、サービス情報の集合体332から選択して描画データを生成し、映像出力部12に送る。また、サービス情報解釈部33は、抽出したサービス情報の設定331の内容に応じた音声を、サービス情報の集合体332から選択して音声データを生成し、音声出力部13に送る。これにより、広告提供装置は、安全性を阻害せずにサービス情報を出力し、広告効果を高めることができる。
【0066】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る広告提供装置によれば、広告情報に関連のあるサービス情報を付加して出力することによって、例えば、レストランの広告に、割引クーポンを付加することにより広告効果を高めることができる。この時、割引クーポンとして、(1)携帯端末に割引クーポンを取り込めるバーコード情報と、(2)割引になるという文字情報との2種類を用意しておき、停止中であれば(1)および(2)を出力し、走行中は(2)のみを出力するというように選択的にサービス情報を提示できる。これにより、ユーザの走行中の行動を抑止して安全性を確保しつつ、割引クーポンがあるというサービス情報をユーザに提供することができる。
【0067】
次に、実施の形態3に係る広告提供装置の幾つかの変形例を説明する。図16は、実施の形態3に係る広告提供装置のうち、変形例に関連する部分のみを抽出して示すブロック図である。この広告提供装置は、上述した実施の形態3に係る広告提供装置のナビゲーション制御部53に、時刻情報取得部34および目的地情報取得部35が追加されて構成されている。
【0068】
時刻情報取得部34は、GPS装置2から得られるGPS信号から現在時刻を取得し、時刻情報としてサービス情報解釈部33に送る。なお、時刻情報取得部34としては、ナビゲーション装置に備えられている時計を用いることもできる。また、目的地情報取得部35は、目的地情報を取得する。目的地情報は、目的地として設定された地点の緯度および経度ならびに店舗名などから構成されている。目的地情報取得部35は、ナビゲーション装置が基本的に有する目的地設定機能を用いて構成することができる。
【0069】
図17は、実施の形態3の変形例に係る広告提供装置において使用されるサービス情報340を示す図である。サービス情報340は、識別番号343、サービス情報の設定341、サービス情報の集合体342および店舗情報344から構成されている。
【0070】
識別番号343は、上述した実施の形態3で使用されるサービス情報330に含まれる識別番号333と同じである。サービス情報の設定341は、安全度毎に記述された、文字列、バーコード、割引率または画像などといった出力情報の組み合わせと、サイズまたは色などといった出力情報のパラメータの他に、図18に示すように、「割引率の設定」を含んでいる。サービス情報の集合体342は、上述した実施の形態3で使用されるサービス情報330に含まれるサービス情報の集合体332と同じである。店舗情報344は、図19に示すように、緯度および経度、系列店名ならびにジャンル名を含んでいる。
【0071】
まず、実施の形態3に係る広告提供装置の第1の変形例について説明する。サービス情報解釈部33は、サービス情報管理部32から送られてくるサービス情報340を取得し、その内容を解釈する。その際、サービス情報340に含まれる店舗情報344からサービスの対象となる店舗位置を取得するとともに、走行履歴管理部26から走行履歴を取得する。そして、サービス情報解釈部33は、取得した走行履歴に含まれる走行開始位置と店舗位置の間の距離を計算し、サービス情報340に含まれるサービス情報の設定341にしたがって、サービス情報の集合体342を書き換えるようにサービス情報管理部32に要求する。なお、店舗情報344には、複数店舗を記述しておき、系列店全体に対する割引情報を設定するように構成することもできる。
【0072】
上記のように構成される実施の形態3の変形例1に係る広告提供装置によれば、走行履歴より走行開始位置が分かるため、例えば、サービス情報に店舗位置と距離による割引率の変更方法を記述しておけば、遠方から来訪したユーザには割引率をアップするといったサービスを提供できるため、広告効果を高めることができる。
【0073】
次に、実施の形態3に係る広告提供装置の第2の変形例について説明する。サービス情報解釈部33は、サービス情報管理部32から送られてくるサービス情報340を取得し、その内容を解釈する。その際、自車位置、時刻情報および目的地情報を取得する。目的地情報と店舗情報が一致しており、かつ、自車位置と店舗位置の距離が所定の閾値内である状態を「待ち状態」であるとし、この待ち状態の継続時間を待ち時間とする。サービス情報の設定341には、待ち時間によるサービス情報の変更内容が記述されているので、サービス情報解釈部33は、待ち時間にしたがってサービス情報340の書き換えをサービス情報管理部32に要求する。
【0074】
上記のように構成される実施の形態3の変形例2に係る広告提供装置によれば、例えば、ある店舗に行こうとしているユーザの待ち時間によって割引率をアップするといったサービスを提供したい場合、目的地は行き目的地情報によって、待っているかどうかは自車位置とサービス情報を提供する店舗位置との間の距離によって、待ち時間は時刻によって判断することができる。このようなユーザの待ち時間によって割引率をアップするといったサービスを提供することにより、広告効果を高めることができる。
【0075】
次に、実施の形態3に係る広告提供装置の第3の変形例について説明する。サービス情報解釈部33は、サービス情報管理部32から送られてくるサービス情報340を取得し、その内容を解釈する。その際、車外環境の情報を取得する。車外環境の情報は、車外環境センサ22から車外環境計算部25を介して取得される。サービス情報の設定341には、例えば雨量による割引率の変更など、車外環境によるサービス情報340の変更内容が記載されているので、サービス情報解釈部33は、車外環境にしたがってサービス情報340の書き換えをサービス情報管理部32に要求する。
【0076】
上記のように構成される実施の形態3の変形例3に係る広告提供装置によれば、例えば、サービス情報に車外環境によって割引率をどのように変えるかを記述しておくことにより、豪雨の中を走行してきた車両は、洗車の割引率アップといったサービスを提供することにより、広告効果を高めることができる。
【0077】
実施の形態4.
図20は、この発明の実施の形態4に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。この広告提供装置は、実施の形態3に係る広告提供装置に、更新履歴格納部41および通信モジュール42が追加されるとともに、実施の形態3に係る広告提供装置のナビゲーション制御部53が新たなナビゲーション制御部54に変更されて構成されている。新たなナビゲーション制御部54は、実施の形態3に係る広告提供装置のナビゲーション制御部53に、更新履歴管理部43および通信制御部44が追加されて構成されている。以下においては、実施の形態3に係る広告提供装置と相違する部分を中心に説明する。
【0078】
更新履歴格納部41は、サービス情報330および広告情報230の送受信に関する情報を格納する。例えば、サービス情報330の交換を行う際には、送信するサービス情報の識別番号333を格納する。更新履歴格納部41は、例えばハードディスク装置を用いて構成することができるが、CD、DVDまたはメモリカードなどを用いて構成することもできる。この更新履歴格納部41は、ナビゲーション制御部54によってアクセスされる。
【0079】
通信モジュール42は、携帯電話または車載電話機などといった、無線を介して他車のナビゲーション装置と通信をするための機器から構成されている。この通信モジュール42は、他車から送信されてくる電波を受信信号に変換してナビゲーション制御部54に送るとともに、ナビゲーション制御部54から送られてくる送信信号を電波に変換して他車に送信する。
【0080】
次に、ナビゲーション制御部54の詳細を説明する。なお、車外環境計算部25および走行履歴管理部26に接続される信号線は、図面の煩雑さを避けるために、省略してある。これらの詳細は、図11に示す実施の形態3に係る広告提供装置の構成を示すブロック図を参照されたい。
【0081】
通信制御部44は、ナビゲーション制御部54と通信モジュール42とのデータの送受を制御する。例えば、通信制御部44は、通信モジュール42に送るデータを出力したり、通信要求などを、映像出力部12を介して利用者に伝えるといった制御を行う。
【0082】
更新履歴管理部43は、サービス情報330および広告情報230の送受信の状況を通信制御部44から受け取り、必要に応じて更新履歴格納部41に格納している更新履歴を書き換えるとともに、広告情報管理部9およびサービス情報管理部32へ、広告情報230およびサービス情報330の書き換え要求を送る。例えば、サービス情報330の交換を他車へ譲渡する場合、通信制御部44から送受信の完了の通知を受け取り、送信したサービス情報330の削除要求をサービス情報管理部32へ出力する。
【0083】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る広告提供装置によれば、広告情報およびサービス情報を、通信によって更新することが可能になり、鮮度の高い広告情報およびサービス情報を提供することにより、広告効果を高めることができる。
【0084】
また、車両間通信または移動体通信などが一般的になりつつある今日、ユーザ同士が広告情報やサービス情報の交換を行うことができる。例えば、車両間通信によりサービス情報の一種である電子クーポンの交換を行う場合、通信による電子クーポンの更新を更新履歴管理部26で制御することにより、単に電子クーポンを受け渡しするだけでなく、送信する電子クーポンを送信後に削除することで、電子クーポンの公平な交換を行うことができる。
【0085】
実施の形態5.
図21は、この発明の実施の形態5に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。この広告提供装置は、実施の形態1に係る広告提供装置の広告情報格納部10に代えて、第1広告情報格納部61および第2広告情報格納部62を備えている。また、実施の形態1に係る広告提供装置のナビゲーション制御部50が新たなナビゲーション制御部55に変更されている。新たなナビゲーション制御部55は、安全度判断部5における判断結果を表す安全度情報が広告情報管理部9に送られるように変更されている。以下においては、実施の形態1に係る広告提供装置と相違する部分を中心に説明する。
【0086】
第1広告情報格納部61は、安全度が高いときの広告情報αを格納する。第2広告情報格納部62は安全度が低いときの広告情報βを格納する。広告情報管理部9は、安全度判断部5から安全度情報を受け取り、この安全度情報に応じて第1広告情報格納部61または第2広告情報格納部62から広告情報を読み出し、広告情報解釈部11に送る。
【0087】
次に、上記のように構成される実施の形態5に係る広告提供装置の動作を説明する。まず、広告情報管理部9において行われる処理を、図22に示すフローチャートを参照しながら説明する。広告情報管理部9においては、まず、安全度が高いかどうかが調べられる(ステップST661)。すなわち、広告情報管理部9は、安全度判断部5から送られてくる安全度情報を取得し、この取得した安全度情報が、安全度が高いことを示しているかどうかを調べる。
【0088】
このステップST661において、安全度が高いことが判断されると、第1広告情報格納部61からの読み出しが行われる(ステップST662)。すなわち、広告情報管理部9は、第1広告情報格納部61から広告情報αを読み出し、広告情報解釈部11に送る。その後、広告情報管理部9における処理は終了する。
【0089】
一方、ステップST661において、安全度が高くないことが判断されると、第2広告情報格納部62からの読み出しが行われる(ステップST663)。すなわち、広告情報管理部9は、第2広告情報格納部62から広告情報βを読み出し、広告情報解釈部11に送る。その後、広告情報管理部9における処理は終了する。
【0090】
次に、広告情報解釈部11において行われる処理を、図23に示すフローチャートを参照しながら説明する。広告情報解釈部11においては、まず、出力情報の読み込みが行われる(ステップST664)。すなわち、広告情報解釈部11は、広告情報管理部9から送られてくる広告情報210に含まれる出力情報の設定201と出力情報の集合体202とを抽出する。
【0091】
次いで、出力情報の出力が行われる(ステップST665)。すなわち、広告情報解釈部11は、ステップST664で抽出した出力情報の設定201の内容に応じた画像、映像または文字列などを、出力情報の集合体202から選択して描画データを生成し、映像出力部12に送る。また、広告情報解釈部11は、抽出した出力情報の設定201の内容に応じた音声を、出力情報の集合体202から選択して音声データを生成し、音声出力部13に送る。その後、広告情報解釈部11における処理は終了する。
【0092】
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係る広告提供装置によれば、広告情報を予め安全度毎に分けて格納しておき、安全度判断部5で判断された安全度に応じた広告情報を第1広告情報格納部61または第2広告情報格納部62から読み出して広告情報解釈部11に送るように構成したので、広告情報の出力情報の設定では、安全度毎の設定を記述する必要がなくなり、広告情報の構造を単純化することができる。また、広告情報解釈部11では、安全度に応じて出力情報を変更する処理が不要になり、実施の形態1に係る広告提供装置に比べて、処理を簡単化できる。
【0093】
なお、上述した実施の形態5に係る広告提供装置においては、実施の形態1に係る広告提供装置と同様に、自車の現在位置を計算する自車位置計算部4を備え、安全度判断部5は、自車位置計算部4で計算された自車位置から所定位置(例えば自宅)までの距離を計算し、この計算により得られた距離に応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成できる。
【0094】
また、実施の形態1に係る広告提供装置と同様に、地図データを取得する地図データ管理部6をさらに備え、安全度判断部5は、地図データ管理部6で取得された地図データによって示される道路形状に応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成できる。
【0095】
また、実施の形態2に係る広告提供装置と同様に、運転者の状態を感知する生体センサ21と、生体センサ21からの生体信号に応じて運転者の緊張度合いを計算する緊張度計算部24を備え、安全度判断部5は、緊張度計算部24で計算された運転者の緊張度合いに応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成できる。
【0096】
また、実施の形態2に係る広告提供装置と同様に、車外環境の状態を感知する車外環境センサ22と、車外環境センサ22からの車外環境信号に応じて車外環境の運転への影響度合いを計算する車外環境計算部25を備え、安全度判断部5は、車外環境計算部25で計算された車外環境の運転への影響度合いに応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成できる。
【0097】
また、実施の形態2に係る広告提供装置と同様に、自車の現在位置を計算する自車位置計算部4と、走行履歴を格納する走行履歴格納部23と、自車位置計算部4で計算された自車の現在位置の周辺の走行履歴を走行履歴格納部23から読み出し、該読み出した走行履歴に基づき走行回数の多寡を計算する走行履歴管理部26とをさらに備え、安全度判断部5は、走行履歴管理部26で計算された走行回数の多寡に応じて安全度を判断するための判断基準を変更するように構成できる。
【0098】
さらに、実施の形態5に係る広告提供装置に、上述した実施の形態3に係る広告提供装置の機能を組み合わせて構成することができる。この場合、図24に示すように、実施の形態3に係る広告提供装置におけるサービス情報格納部31を、安全度が高いときに出力するサービス情報を格納する第1サービス情報格納部71と、安全度が低いときに出力するサービス情報を格納する第2サービス情報格納部72とに分割し、サービス情報管理部32は、安全度判断部5において判断された安全度に応じて第1サービス情報格納部71または第2サービス情報格納部72からサービス情報を読み出し、サービス情報解釈部33は、サービス情報管理部32で読み出されたサービス情報を解釈し、該解釈の結果に応じて出力情報をサービス情報から選んで出力し、出力部は、広告情報解釈部11からの出力情報およびサービス情報解釈部33からの出力情報を出力するように構成できる。
【0099】
この構成によれば、実施の形態3に係る広告提供装置に比べて、広告情報およびサービス情報を単純化できるとともに、広告情報解釈部11およびサービス情報解釈部33の構成を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置で使用される広告情報の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置で使用される広告情報に含まれる出力情報の設定の詳細を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置で使用される広告情報に含まれる出力情報の集合体の詳細を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置の安全度判定部において行われる閾値変更処理および安全度判断処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置の広告情報解釈部において行われる処理を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置において表示される安全度が高い場合の画像の例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る広告提供装置において表示される安全度が低い場合の画像の例を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態2に係る広告提供装置の安全度判定部において行われる閾値変更処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置で使用される広告情報の構成を示す図である。
【図13】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置で使用されるサービス情報の構成を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置で使用されるサービス情報に含まれるサービス情報の設定の詳細を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置で使用されるサービス情報に含まれるサービス情報の集合体の詳細を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置の変形例に関連する部分のみを抽出して示すブロック図である。
【図17】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置の変形例で使用されるサービス情報の構成を示す図である。
【図18】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置の変形例で使用されるサービス情報に含まれるサービス情報の設定の構成を示す図である。
【図19】この発明の実施の形態3に係る広告提供装置の変形例で使用される店舗情報の構成を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態4に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。
【図21】この発明の実施の形態5に係る広告提供装置の構成を示すブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態5に係る広告提供装置の広告情報管理部において行われる処理を示すフローチャートである。
【図23】この発明の実施の形態5に係る広告提供装置の広告情報解釈部において行われる処理を示すフローチャートである。
【図24】この発明の実施の形態5に係る広告提供装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0101】
1 自律航法センサ(車両情報取得部)、2 GPS装置、3 車速計算部(車両情報取得部)、4 自車位置計算部、5 安全度判断部、6 地図データ管理部、7 地図データ格納部、8 地図画像描画部、9 広告情報管理部、10 広告情報格納部、11 広告情報解釈部、12 映像出力部、13音声出力部、14 ディスプレイ装置、15 スピーカ、21 生体センサ、22 車外環境センサ、23 走行履歴格納部、24 緊張度計算部、25 車外環境計算部、26 走行履歴管理部、31 サービス情報格納部、32 サービス情報管理部、33 サービス情報解釈部、34 時刻情報取得部、35 目的地情報取得部、41 更新履歴格納部、42 通信モジュール、43 更新履歴管理部、44 通信制御部、50,52,53,54,55 ナビゲーション制御部、61 第1広告情報格納部、62 第2広告情報格納部、71 第1サービス情報格納部、72 第2サービス情報格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態を表す車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部で取得された車両情報に基づき走行の安全度を判断する安全度判断部と、
広告情報を格納する広告情報格納部と、
前記広告情報格納部から広告情報を読み出す広告情報管理部と、
前記広告情報管理部で読み出された広告情報を解釈し、該解釈に基づき、前記安全度判断部によって判断された安全度に応じた出力情報を広告情報から選んで出力する広告情報解釈部と、
前記広告情報解釈部からの出力情報を出力する出力部
とを備えた広告提供装置。
【請求項2】
車両の状態を表す車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部で取得された車両情報に基づき走行の安全度を判断する安全度判断部と、
安全度が高いときに出力する広告情報を格納する第1広告情報格納部および安全度が低いときに出力する広告情報を格納する第2広告情報格納部を備えた広告情報格納部と、
前記安全度判断部において判断された安全度に応じて前記広告情報格納部の前記第1広告情報格納部または第2広告情報格納部から広告情報を読み出す広告情報管理部と、
前記広告情報管理部で読み出された広告情報を解釈し、該解釈に基づき、出力情報を広告情報から選んで出力する広告情報解釈部と、
前記広告情報解釈部からの出力情報を出力する出力部
とを備えた広告提供装置。
【請求項3】
自車の現在位置を計算する自車位置計算部を備え、
安全度判断部は、
前記自車位置計算部で計算された自車位置から所定位置までの距離を計算し、該計算により得られた距離に応じて安全度を判断する判断基準を変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の広告提供装置。
【請求項4】
地図データを取得する地図データ管理部を備え、
安全度判断部は、
前記地図データ管理部で取得された地図データによって示される道路形状に応じて安全度を判断する判断基準を変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の広告提供装置。
【請求項5】
運転者の状態を感知する生体センサと、
前記生体センサからの生体信号に基づき運転者の緊張度合いを計算する緊張度計算部とを備え、
安全度判断部は、
前記緊張度計算部で計算された運転者の緊張度合いに応じて安全度を判断する判断基準を変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の広告提供装置。
【請求項6】
車外環境の状態を感知する車外環境センサと、
前記車外環境センサからの車外環境信号に基づき車外環境の運転への影響度合いを計算する車外環境計算部とを備え、
安全度判断部は、
前記車外環境計算部で計算された車外環境の運転への影響度合いに応じて安全度を判断するための判断基準を変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の広告提供装置。
【請求項7】
自車の現在位置を計算する自車位置計算部と、
走行履歴を格納する走行履歴格納部と、
前記自車位置計算部で計算された自車の現在位置の周辺の走行履歴を前記走行履歴格納部から読み出し、該読み出した走行履歴に基づき走行回数の多寡を計算する走行履歴管理部とを備え、
安全度判断部は、
前記走行履歴管理部で計算された走行回数の多寡に応じて安全度を判断する判断基準を変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の広告提供装置。
【請求項8】
サービス情報を格納するサービス情報格納部と、
前記サービス情報格納部からサービス情報を読み出すサービス情報管理部と、
前記サービス情報管理部で読み出されたサービス情報を解釈し、該解釈に基づき、安全度判断部によって判断された安全度に応じた出力情報をサービス情報から選んで出力するサービス情報解釈部とを備え、
出力部は、広告情報解釈部からの出力情報およびサービス情報解釈部からの出力情報を出力する
ことを特徴とする請求項1記載の広告提供装置。
【請求項9】
安全度が高いときに出力するサービス情報を格納する第1サービス情報格納部および安全度が低いときに出力するサービス情報を格納する第2サービス情報格納部を備えたサービス情報格納部と、
安全度判断部において判断された安全度に応じて前記サービス情報格納部の前記第1サービス情報格納部または第2サービス情報格納部からサービス情報を読み出すサービス情報管理部と、
前記サービス情報管理部で読み出されたサービス情報を解釈し、該解釈に基づき、出力情報をサービス情報から選んで出力するサービス情報解釈部とを備え、
出力部は、広告情報解釈部からの出力情報および前記サービス情報解釈部からの出力情報を出力する
ことを特徴とする請求項2記載の広告提供装置。
【請求項10】
走行履歴を格納する走行履歴格納部と、
前記走行履歴格納部から走行履歴を読み出す走行履歴管理部とを備え、
サービス情報解釈部は、
サービス情報管理部で読み出されたサービス情報に含まれるサービスの対象となる店舗の位置と前記走行履歴管理部から読み出した走行履歴によって示される走行開始位置との間の距離を計算し、該計算した距離に応じて、サービス情報の書き換えを前記サービス情報管理部に指示する
ことを特徴とする請求項8または請求項9記載の広告提供装置。
【請求項11】
自車の現在位置を計算する自車位置計算部と、
目的地を表す目的地情報を取得する目的地情報取得部と、
時刻を取得する時刻情報取得部とを備え、
サービス情報解釈部は、
サービス情報管理部で読み出されたサービス情報に含まれるサービスの対象となる店舗の位置と前記目的地情報取得部で取得された目的地情報によって示される目的地とが一致しており、かつ、自車位置計算部で計算された自車位置と前記店舗の位置との間の距離が所定の閾値内である状態が継続する時間を、前記時刻情報取得部で取得された時刻に基づき計算し、該計算された時間に応じて、サービス情報の書き換えを前記サービス情報管理部に指示する
ことを特徴とする請求項8または請求項9記載の広告提供装置。
【請求項12】
車外環境の状態を感知する車外環境センサと、
前記車外環境センサからの車外環境信号に基づき車外環境の事象の程度を計算する車外環境計算部とを備え、
サービス情報解釈部は、
車外環境計算部で計算された車外環境に応じて、サービス情報の書き換えをサービス情報管理部に指示する
ことを特徴とする請求項8または請求項9記載の広告提供装置。
【請求項13】
外部と通信する通信モジュールを備え、
広告情報管理部は、外部から前記通信モジュールを介して送られてくる更新情報に基づき広告情報格納部に格納されている広告情報を更新し、
サービス情報管理部は、外部から前記通信モジュールを介して送られてくる情報に基づきサービス情報格納部に格納されているサービス情報を更新する
ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項8または請求項9記載の広告提供装置。
【請求項14】
更新履歴を格納する更新履歴格納部と、
外部から通信モジュールを介して送られてくる更新情報を更新履歴として前記更新履歴格納部に格納する更新履歴管理部とを備え、
広告情報管理部は、前記更新履歴管理部によって前記更新履歴格納部から読み出された更新情報に基づき広告情報格納部に格納されている広告情報を更新し、
サービス情報管理部は、前記更新履歴管理部によって前記更新履歴格納部から読み出された更新情報に基づきサービス情報格納部に格納されているサービス情報を更新する
ことを特徴とする請求項13記載の広告提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−229724(P2009−229724A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74035(P2008−74035)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】