説明

広告車両用制御装置

【課題】地域毎の規制の徹底を十分に図ることができる広告車両用制御装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係わる広告車両用制御装置1は、車両の外面に設置される広告手段9と、広告手段9に関する条件を規制する法規の規制内容を法規の適用される地域毎に記憶する記憶手段6と、条件が規制内容に違反しているかを判定する判定手段2aと、車両の位置を検出する位置検出手段2bと、条件が法規の規制内容に違反していると判定手段2aが判定し、位置が法規の適用される地域に所定距離以内に接近した場合に警報を行う警報手段2eとを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス、二輪車等の車両に適用して好適な広告車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、例えば特許文献1に記載されているように、車両の外面において広告板を用いて広告を行うことが考えられている。
【特許文献1】特開2004−138759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、このような従来技術においては、地域毎に条例や法律等の法規により、広告の内容や広告板の車両における設置箇所、広告可能な時間帯等の広告に関する条件が規制されている場合に、法規による規制内容を詳細に知らない又は法規が適用される地域を熟知していない運転者が、規制内容に違反する車両を、その規制の適用される地域に進入させてしまい、地域毎の規制の徹底を十分に図ることができないという問題が生じる。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑み、地域毎の規制の徹底を十分に図ることができる広告車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するため、本発明に係わる広告車両用制御装置は、
車両の外面に設置される広告手段と、前記広告手段に関する条件を規制する法規の規制内容を前記法規の適用される地域毎に記憶する記憶手段と、前記条件が前記規制内容に適合していないかを判定する判定手段と、前記車両の位置を検出する位置検出手段と、前記条件が前記法規の規制内容に適合していないと前記判定手段が判定し、前記位置が前記法規の適用される地域に所定距離以内に接近した場合に、前記広告手段の設置に関する条件を前記法規の規制内容に適合させることを促進する適合促進手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
これによれば、前記広告手段に関する条件が前記法規の規制内容に適合していない場合には、前記車両が前記法規の適用される地域に所定距離以内に接近すると、前記適合促進手段が前記広告手段の設置に関する条件を前記法規の規制内容に適合させることを促進するので、運転者に、前記車両が備える前記広告手段に関する条件が適合していない前記法規が前記適用される地域において、前記車両が前記法規の規制内容に適合させるようにすることができる。これにより、前記規制の徹底を十分に図ることができる。
【0007】
なお、前記広告車両制御装置は典型的には、
前記判定手段が、前記条件が前記規制内容に違反しているかを判定し、前記条件が前記法規の規制内容に違反していると前記判定手段が判定し、前記適合促進手段が、前記位置が前記法規の適用される地域に所定距離以内に接近した場合に警報を行う警報手段を含むことを特徴とすることとすることができる。
【0008】
これによれば、前記広告手段に関する条件が前記法規の規制内容に違反している場合には、前記車両が前記法規の適用される地域に所定距離以内に接近すると、前記警報手段が運転者に対して警報を行うので、運転者に、前記車両が備える前記広告手段が違反となる前記法規が適用される地域に前記車両を進入させないように促すことができる。これにより、前記規制の徹底を十分に図ることができる。
【0009】
なお、前記広告手段が単なる広告表示板ではなく、ディスプレイを備えた電子表示板であって、前記条件が広告の設置箇所ではなく内容又は時間である場合には、運転者は警報を受けた場合に、前記電子表示板の表示又は電源をオフとする又は内容を変更することにより、前記法規の規制内容に違反することを回避することができ、あるいは、前記適合促進手段すなわち前記警報手段が前記電子表示板の表示又は電源をオフとする又は内容を変更する構成とすることもできる。これによっても、前記規制の徹底を十分に図ることができる。
【0010】
ここで、前記広告車両用制御装置において、
前記条件は、前記広告手段の広告する内容又は前記広告手段の設置箇所又は時間を含むものとする。
【0011】
さらに、前記広告車両用制御装置において、
前記内容を含む情報を送信する送信手段を前記広告手段に備え、前記送信手段の送信する前記情報を受信する受信手段を前記車両側に備えることが好ましい。
【0012】
これによれば、前記広告手段の広告する内容を含む情報を、前記車両側において適宜受信することができる。
【0013】
加えて、前記広告車両用制御装置において、
前記受信手段を前記車両側に複数備え、前記複数の受信手段のいずれが前記情報を受信したかに基づいて前記設置箇所を特定する特定手段を備えることを特徴としてもよい。
【0014】
これによれば、前記設置箇所を含む情報については前記情報に含めることなく、前記内容を含む情報の前記受信手段による受信に基づいて、車両側の特定手段により前記設置箇所を特定することができ、前記送信手段及び前記受信手段による通信負荷を軽減することができる。もちろん、前記設置箇所を予め前記送信内容が送信する前記情報に含めることとしても良い。
【0015】
さらに、前記広告車両用制御装置において、
前記記憶手段の記憶する前記法規の規制内容を更新する更新手段を備えることが好ましい。
【0016】
これによれば、前記記憶手段の記憶する前記法規の規制内容を最新のものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、地域毎の規制の徹底を十分に図ることができる広告車両用制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明に係わる広告車両用制御装置の一実施形態を示すブロック図である。本実施例の広告車両用制御装置1は、カーナビゲーションECU2(Car Navigation Electronic Control Unit)と、GPSアンテナ3と、ヨーレートセンサ4と、受信機5と、データベース6と、表示部7と、音声通知部8と、広告表示板9と、通信機10と、通信デバイス11と、ABS12(Anti-Lock Brake System)と、EPSECU13(Electronic Power Steering Electronic Control Unit)と、通信装置14と、基地局15と、ネットワークと、路側のセンタのサーバ16を備えて構成される。
【0020】
カーナビゲーションECU2は、ABS12、EPSECU13、通信装置14とはCAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0021】
サーバ16と、基地局15とは、ネットワークを介して接続されるとともに、カーナビゲーションECU2はネットワークに接続された基地局15と通信装置14により無線で通信可能に構成されている。
【0022】
このネットワークは、例えば、公衆電話交換網(PSTN)やデジタル通信ネットワーク(ISDN)、光ファイバ等の有線、又は、携帯電話網、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN網、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)網、衛星電話、ビーコン等の無線にて構成されるものである。
【0023】
なお、このネットワークによる、サーバ16及びカーナビゲーションECU2間の通信は、PPP(Point to Point Protocol)に従うものでありPPPによりこれらの間でデータリンクを確立し、上位層であるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、TCP/IPと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を実現するものであって、インターネットやWAN(Wide Area Network)を構成して、サーバ16とカーナビゲーションECU2との間におけるデータの送受信を可能とするものである。
【0024】
次に路側のセンタのサーバ16について図を用いて詳細に説明する。図2は、本発明に係わる広告車両用制御装置1の一部をなす路側のセンタのサーバ16を示す模式図である。サーバ16は、本発明に係わる広告車両用制御装置1の一部を構成する路側のセンタにおける制御を実行するものである。
【0025】
図2に示すように、サーバ16はそれぞれバスで相互に接続されているCPU71と、主記憶装置72と、HDDなどの記憶装置73と、表示装置74と、入力装置75と、ドライブ装置76及び通信装置77を備えるものである。
【0026】
ここで、CPU71は、OSやアプリケーションなどのプログラムを記憶装置73から読み込んで実行することで種々の機能を提供すると共に、サーバ16が行う処理を統括的に制御する。主記憶装置72はRAMにより構成され、OSやプログラム、データを一時保管する作業領域を構成している。
【0027】
さらに、記憶装置73は、HDDやフラッシュメモリなど不揮発性メモリであり、OS、プログラム、広告表示板9に関する条件を規制する条例の規制内容を条例の適用される地域毎に蓄積する。この蓄積された条例の規制内容は自治体の発表に基づいて適宜更新される。
【0028】
これとともに、記憶装置73の蓄積した条例が更新された場合には、サーバ16は更新通知をカーナビゲーションECU2に対して、通信装置77、ネットワーク、基地局15を介して送信する。この更新通知に対応してカーナビゲーションECU2が送信した要求通知をサーバ16が受信した場合に、サーバ16は、更新された条例に関する規制内容を含む情報を記憶装置73から読み出してカーナビゲーションECU2に送信する。
【0029】
また、表示装置74は、プログラムが指示する画面情報に基づくCPU71の指令により、所定の解像度や色数等で液晶などの図示しないディスプレイに描画するものであって、例えば、GUI(Graphical User Interface)画面を形成し、操作に必要な各種ウィンドウやデータ等をディスプレイに表示するものである。
【0030】
加えて、入力装置75はキーボードやマウスなどで構成され、様々な操作指示を入力するために用いられる。また、ドライブ装置76は記憶媒体78が挿入可能に構成されており、記憶媒体78に記憶されたデータを読み取って主記憶装置72等に送出するものである。また、通信装置77は、インターネットやLANなどのネットワークに接続するためのインターフェースであり、例えばモデム、NIC等で構成される。
【0031】
カーナビゲーションECU2は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、以下に述べるそれぞれの制御を行う判定手段2aと、位置検出手段2bと、特定手段2cと、更新手段2dと、警報手段2eとして機能するものである。
【0032】
ここで、GPSアンテナ3は、地球上空に打ち上げられた複数の衛星の内三個の衛星からの電波を受信するものであって、ヨーレートセンサ4は車両のヨーレートYを検出して検出結果をカーナビゲーションECU2に出力するものである。
【0033】
さらに、受信機5は光あるいは電波ビーコンに準拠したものであり、VICS(Vehicle Information & Communication System:道路交通情報システム)からの渋滞情報を始めとした道路情報を受信する。
【0034】
カーナビゲーションECU2は、サーバ16からの更新通知を受信した場合に、基地局15、ネットワーク、通信装置14を介して、車両の位置する地域及び隣接する地域に適用される条例の規制内容に関する情報を要求する要求通知をサーバ16に送信し、これに対応してサーバ16が送信した、車両の位置する地域及び隣接する地域に適用される条例の規制内容に関する情報を受信する。
【0035】
加えて、データベース6はCD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体により構成される記憶手段であって、表示用の地図情報と、探索用の地図情報を格納する地図データベース6aと、車両の位置する地域及び隣接する地域に適用される条例の規制内容に関する情報を地域毎に記憶する条例データベース6bとを含む。後者の条例データベース6bは、サーバ16からカーナビゲーションECU2が、車両の位置する地域及び隣接する地域に適用される条例の規制内容に関する情報を受信する毎に、更新手段2dにより更新される。
【0036】
また、表示部7は、運転者により入力された目的地等の探索条件をもとにカーナビゲーションECU2の位置検出手段2bが探索用の地図情報に基づいて探索したルート情報を、カーナビゲーションECU2の指令に基づき表示用の地図情報とともに表示するものであり、マルチインフォメーションディスプレイにより構成されるものであって、タッチパネルすなわち運転者が目的地を含む探索条件及びその他の入力情報を入力する手段としても機能する。
【0037】
また、ABS12は、各車輪に対応して設けられた車輪速センサから各車輪速を検出し、それらの各車輪速の平均から車速Vを求め、車速Vに対して各車輪速のいずれかが判定閾値よりも離隔して低下した場合に、該当する車輪を制動するブレーキ装置の油圧を低下させて、制動時において制動時の車輪のロックを防止する装置であり、その制御に用いるための車速VをCANに対して出力しており、カーナビゲーションECU2はその車速VをABS12からCAN上において取得している。
【0038】
また、EPSECU13は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスと入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが所定の処理を行うものであり、図示しないEPS(Electronic Power Steering)の発生する転舵力をこれも図示しないステアリングホイールにより運転者が入力した操舵力に基づいて制御するとともに、これも図示しない操舵角センサにより検出した操舵角を、CANを介してカーナビゲーションECU2に送信するものである。
【0039】
EPSは操舵装置を構成するものであり、例えばラックアンドピニオン式かつピニオンアシスト式のものであり、運転者の操舵力に基づいたEPSECU13の制御により内蔵された電動モータを駆動して転舵力を発生する。
【0040】
カーナビゲーションECU2の位置検出手段2bは、GPSアンテナ3の受信した三個の衛星からの電波をもとに、例えば三角測量の原理で車両の位置Pつまりは経度と緯度を測定する。
【0041】
加えて、カーナビゲーションECU2の位置検出手段2bは、ABS12から取得した車両の車速Vとヨーレートセンサ4が検出したヨーレートY、EPSECU13から取得した操舵角θをもとにして、車両の移動距離と方向を計算して車両の位置Pを自律航法により測定して、GPSアンテナ3が衛星から電波を受信できない場合においては、車両の位置Pのデータを補完する。
【0042】
このように、GPSアンテナ3を用いた車両の現在の位置Pの測定ができない場合に自律航法による位置Pを用いてデータを補完することにより、トータルの車両の現在の位置Pの測定の精度を高めている。
【0043】
カーナビゲーションECU2の位置検出手段2bは、このようにして測定した車両の現在の位置Pと、タッチパネルすなわち表示部7により運転者が入力した目的地Tとを結ぶルート情報を、データベース6内の探索用の地図情報を用いてダイクストラ法等の手法により探索する。
【0044】
そして、カーナビゲーションECU2は、データベース6内の表示用の地図情報と、上述した方法により測定した車両の位置Pと、タッチパネルすなわち表示部7により入力された目的地Tと、位置検出手段2bにより探索された車両の位置Pから目的地Tに到るルート情報とを併せて表示部7に表示し、車両の現在の位置Pがルート情報における左折又は右折箇所に接近すると音声通知部8によりその左折又は右折箇所を運転者に対して音声で案内する。
【0045】
広告表示板9は、車両の外面ここでは左右ドア面に設置される広告手段を構成するとともに、通信機10を内蔵するものである。通信機10はICチップを内蔵したRFID(Radio Frequency Identification)方式を用いたパッシブタイプの送信手段であり、広告表示板9が広告する内容に関する情報をICチップに予め記憶しておき、この広告する内容に関する情報を含む信号を、通信デバイス11からの要求信号を受信した場合に、車両に向けて送信する。なお、通信機10はアクティブタイプのものでも良い。
【0046】
通信デバイス11は車両の運転席前方、左方、右方、後方の四箇所に設置されて受信手段を構成しており、受信可能な指向エリアをそれぞれ、車両のボンネット、右ドア面、左ドア面、トランクに設定されて、通信機10に対して要求信号を送信して、通信機9が要求信号の受信に基づいて送信した広告する内容に関する情報を含む信号を受信する。
【0047】
さらに、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、上述した通信デバイス11のいずれかが、通信機10の送信した広告表示板9が広告する内容に関する情報を含む信号を受信したことに基づいて、広告表示板9の設置箇所がボンネット、右ドア面、左ドア面、トランクのいずれであるかを特定する。これらの内容と設置箇所及びカーナビゲーションECU2内のクロックによる時間が広告表示板9に関する条件である。
【0048】
加えて、カーナビゲーションECU2の判定手段2aは、データベース6から広告表示板9に関する条件を規制する現在の車両の位置Pを含む地域及び隣接する地域のそれぞれの条例の規制内容を読み出して、条件が規制内容に違反しているかを判定する。
【0049】
なお、条例による規制内容は具体的には、図3に示すように、A市においては広告表示板9の広告する内容がゲームセンターの営業案内である場合には、車両等の移動体上における広告は不可であること、B市においては広告表示板9の広告する内容が同じくゲームセンターの営業案内である場合には、18時以降の時間帯においては広告が不可であること、あるいは、広告掲示板9の設置箇所がボンネット、右ドア面、左ドア面、トランクのいずれかに規制されること、を示す。
【0050】
カーナビゲーションECU2の判定手段2aにより条件が規制内容に違反していると判定される場合であって、位置検出手段2bにより検出した車両の位置Pが、現在の車両の位置する地域に隣接していて車両の有する広告表示板9の条件が規制内容に違反していて、その規制内容を規定する条例が適用されている地域に対して所定距離以内に接近した場合に、カーナビゲーションECU2の警報手段は、音声通知部8により警報音を発生させて警報を行う。
【0051】
以下に以上述べたカーナビゲーションECU2の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図4は、本発明に係わる広告車両用制御装置1の制御内容を示すフローチャートである。
【0052】
S1において、広告表示板9の通信機9が送信した広告表示板9が広告する内容に関する情報を含む信号を四つの通信デバイス11のいずれかが受信し、S2において、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、広告表示板9の通信機10からの信号の受信がないかを判定し、肯定である場合には、制御を終了し、否定である場合にはS3にすすむ。
【0053】
S3において、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、受信した通信デバイス11の設置箇所がボンネットかを判定し、肯定である場合にはS4にすすんで、ボンネットフラグを1とし、否定である場合には、S5にすすむ。
【0054】
S5において、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、受信した通信デバイス11の設置箇所がトランクかを判定し、肯定である場合にはS6にすすんで、トランクフラグを1とし、否定である場合にはS7にすすむ。
【0055】
S7において、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、受信した通信デバイス11の設置箇所が右ドア面又は左ドア面の側面であるかを判定し、肯定である場合にはS8にすすんで、右or左フラグを1とし、否定である場合にはS9にすすむ。
【0056】
S9において、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、上述したフラグのいずれかが1であるかを判定し、否定である場合には制御を終了し、肯定である場合にはS10にすすむ。
【0057】
S10において、カーナビゲーションECU2はサーバ16から更新通知を受信した場合において要求通知をサーバ16に送信して、その要求通知に対応してサーバ16が送信した、更新された車両の位置する地域及び隣接する地域に適用される条例の規制内容に関する情報を、カーナビゲーションECU2が取得して、カーナビゲーションECU2の更新手段2dの制御に基づいてデータベース6内の条例データベース6bを更新する。なお、カーナビゲーションECU2が更新通知をサーバ16から受信しない場合には、更新は行わない。
【0058】
つづいてS11において、カーナビゲーションECU2の特定手段2cは、S3〜S7の処理により立てられたフラグの値から、広告掲示板9の設置箇所を特定し、通信デバイス11が受信した情報が含む広告の内容と、内蔵されたクロックによる時間とを取得して、設置箇所、内容、時間が、データベース6内の条例データベース6bに記憶された条例の規制する規制内容に違反しているかを判定して、否定である場合には制御を終了し、肯定である場合にはS12にすすむ。
【0059】
S12において、カーナビゲーションECU2の警報手段2eは警報の準備を行い、S13において、カーナビゲーションECU2の判定手段2aは、車両の広告表示板9の条件が規制内容に違反することとなる地域と現在の車両の位置Pが含まれる地域との境界線と、現在の車両の位置Pとの経路上における距離が所定距離以下であるかを判定し、否定である場合にはS13の手前に戻り、肯定である場合にはS14にすすんで、S14においてカーナビゲーションECU2の警報手段2eは音声通知部8により警報音を発生させて運転者に警報を行う。
【0060】
なお、S1からS14の処理は、車両のイグニッションキーがオンである場合において、所定の周期において継続して行われる。
【0061】
以上述べた制御内容により実現される本実施例の広告車両用制御装置1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、広告表示板9に関する条件が条例の規制内容に違反している場合において車両が条例の適用される地域に所定距離以内に接近すると、カーナビゲーションECU2の警報手段2eにより、運転者に対して警報を行うので、運転者はこの警報に従って、車両が備える広告表示板9による広告が違反となる地域に車両を進入させないよう経路を変更することができる。
【0062】
或いは、広告表示板が着脱可能としていれば、当該地域に進入する前に運転者は広告表示板を取り外し、違反とならない状態にして当該地域に進入してもよい。また、カーナビゲーションECU2が既に目的地までの経路案内をしている最中であれば、カーナビゲーションECU2が経路再探索を行い、当該広告が違反となる地域を迂回して車両を走行させるようにしてもよい。
【0063】
従って運転者に、広告の条件が、条例が規制する規制内容に対して違反となる地域に車両を進入させないことを促すことができる。これにより、地域毎の規制の徹底を十分に図ることができる。
【0064】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0065】
例えば、上述した実施例においては、カーナビゲーションECU2が条例の規制する規制内容に関する情報をサーバ16から取得したが、路車間通信や車車間通信等の他の手段を用いて取得することもできる。
【0066】
また広告表示板9についてはディスプレイ等の電子表示板としても良い。このように、広告表示板9を電子表示板とした場合においては、広告表示板9に関する条件のうち広告の内容や時間が規制内容に違反する地域に所定距離以内に接近して警報を受けた運転者は、上述したように進路を変更する他、広告表示板9の電源をオフとする又は広告の内容を変更することを選択することができる。
【0067】
このような電源のオフ又は広告の内容の変更は、警報を受けた運転者が手動操作で行っても良いし、また当該所定距離以内に接近したことを検知して自動的に電源をオフとする又は広告の内容を変更する又は広告表示の内容を違反とならないような内容に変更する適合促進手段を、カーナビゲーションECU2が備える構成としてもよい。これによっても、それぞれの地域における規制の徹底を十分に図ることができる。
【0068】
また、上述した実施例においては、条件を広告表示板9の設置箇所、内容、時間としたが、条件はこれらに限られるものではなく、設置箇所、内容、時間のそれぞれ又はこれらの組合せとしてもよく、それ以外の要件を適宜追加することも可能であるし、条件を構成する要件を適宜他の要件に置換することも可能である。
【0069】
例えば、広告を規制する条例以外にも、広告主と運転者の間で地域毎に広告表示する契約を行うようにした場合には、広告主が設定した地域に車両が進入する場合には、契約に従った内容の広告表示を行うようにしても良い。(例:○○県△△市では、△△市の市制記念広告を表示し、△△市以外ではその広告を表示しないようにする。或いは、△△市市内限定の企業広告を表示する場合は、△△市以外ではその広告を表示しないようにする)。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、地域毎の規制の徹底を十分に図ることができる広告車両用制御装置を提供することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係わる広告車両用制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係わる広告車両用制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図3】本発明に係わる広告車両用制御装置の一実施形態を示す模式図である。
【図4】本発明に係わる広告車両用制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0072】
1 広告車両用制御装置
2 カーナビゲーションECU
2a 判定手段
2b 位置検出手段
2c 特定手段
2d 更新手段
2e 警報手段
3 GPSアンテナ
4 ヨーレートセンサ
5 受信機
6 データベース(記憶手段)
7 表示部
8 音声通知部
9 広告表示板(広告手段)
10 通信機(送信手段)
11 通信デバイス(受信手段)
12 ABS
13 EPSECU
14 通信装置
15 基地局
16 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外面に設置される広告手段と、前記広告手段に関する条件を規制する法規の規制内容を前記法規の適用される地域毎に記憶する記憶手段と、前記条件が前記規制内容に適合していないかを判定する判定手段と、前記車両の位置を検出する位置検出手段と、前記条件が前記法規の規制内容に適合していないと前記判定手段が判定し、前記位置が前記法規の適用される地域に所定距離以内に接近した場合に、前記広告手段の設置に関する条件を前記法規の規制内容に適合させることを促進する適合促進手段とを備えることを特徴とする広告車両用制御装置。
【請求項2】
前記判定手段が、前記条件が前記規制内容に違反しているかを判定し、前記条件が前記法規の規制内容に違反していると前記判定手段が判定し、前記適合促進手段が、前記位置が前記法規の適用される地域に所定距離以内に接近した場合に警報を行う警報手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の広告車両用制御装置。
【請求項3】
前記条件が前記広告手段の広告する内容又は前記広告手段の設置箇所又は前記広告手段が広告可能な時間帯を含むことを特徴とする請求項2に記載の広告車両用制御装置。
【請求項4】
前記内容を含む情報を送信する送信手段を前記広告手段に備え、前記送信手段の送信する前記情報を受信する受信手段を前記車両側に備えることを特徴とする請求項3に記載の広告車両用制御装置。
【請求項5】
前記受信手段を前記車両側に複数備え、前記複数の受信手段のいずれが前記情報を受信したかに基づいて前記設置箇所を特定する特定手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の広告車両用制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段の記憶する前記法規の規制内容を更新する更新手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の広告車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−54673(P2010−54673A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217905(P2008−217905)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】