説明

広告配信システム、広告配信方法及び広告配信用プログラム

【課題】従来の広告配信システムでは、単純に広告を提示したとしても、効果的なものにならない可能性がある。これは、ユーザに提示された広告が必ずしもユーザの興味を引くものではなく、その場合、広告提示がユーザを不快にさせる可能性すらあるためである。
【解決手段】車載装置111でユーザ115に広告提示を行う際には、広告配信サーバ101に提示する広告を渡すよう依頼する。広告配信サーバ101は、サーバ側データベース102上に、各広告を過去に提示した際のユーザの反応、及びその時の「状況、ユーザの属性、ユーザの他の広告に対する反応の履歴」等が記録されている。これを基に、広告要求を行った車載装置111におけるユーザの属性、履歴、現在の状況から、複数の広告候補に対し、ユーザが好ましい反応を示す確率を確率計算部103が計算する。この確率の大小を用い、広告選択部104が広告を選択し、車載装置111に渡すよう動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広告配信システム、広告配信方法及び広告配信用プログラムに係り、特に車載装置やナビゲーションシステムなどにおいて広告を配信し得る広告配信システム、広告配信方法及び広告配信用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
出発地から目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置において、経路案内中にサーバ装置から受信した広告情報を表示すると、その広告情報の位置を中継地として走行予定経路を表示するか否かの選択を促し、広告情報の位置を中継地とする場合は、現在位置から中継地を経由して目的地までの走行予定経路を表示するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、サーバにおいて、移動体端末からその現在位置情報と共にその移動体端末の識別情報を受信した場合に、広告情報を蓄積した広告情報データベースから、現在位置情報と識別情報に基づいて広告情報を選択して移動体端末に送信する広告配信システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−262529号公報
【特許文献2】特開2005−033464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1記載のナビゲーション装置や特許文献2記載の広告配信システムでは、単純に広告を提示したとしても、効果的なものにならない可能性があることである。これは、ユーザ(特許文献1ではナビゲーション装置の使用者、特許文献2では移動体端末)に提示された広告が必ずしもユーザの興味を引くものではなく、その場合、広告提示がユーザを不快にさせる可能性すらあるためである。また、上記のナビゲーション装置や広告配信システムでは、過去の広告・情報提示の履歴からユーザがある属性をもち、かつ、ある状況にある場合にどのような広告・情報に対してどのような反応を示したかの確率を全く考慮していないためである。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、他のユーザを含む、ユーザの属性情報や、過去の広告に対する反応を利用して、ユーザの興味を引く可能性が高い広告を選択して提示することで、高い広告効果を発揮できる広告配信システム、広告配信方法及び広告配信用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、第1の発明の広告配信システムは、少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して被広告情報配信装置へ配信する広告配信システムであって、
上記の広告配信サーバは、
被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、広告出稿情報と共に保存する記憶手段と、記憶手段から読み出したユーザの属性と、過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とに基づいて、広告情報を提示したときのユーザの反応を示す確率を計算する確率計算手段と、被広告情報配信装置からの装置識別情報及び装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、計算された確率に基づいて、記憶手段から配信する広告出稿情報を選択する広告選択手段と、選択された広告出稿情報を広告情報として広告情報配信要求をした被広告情報配信装置にネットワークを介して配信する広告情報配信手段と、被広告情報配信装置に配信された広告情報に対するユーザの反応情報を、被広告情報配信装置からネットワークを介して装置識別情報と共に取得する反応情報取得手段と、反応情報取得手段により取得した反応情報と装置識別情報とを、記憶手段に履歴情報として記憶する反応記憶手段とを備え、
上記の被広告情報配信装置は、
ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に広告情報配信要求を広告配信サーバに行う広告配信要求手段と、ネットワークを介して広告配信サーバから配信された広告情報を取得する広告情報取得手段と、広告情報取得手段で取得した広告情報をユーザに提示する広告提示手段と、広告情報をユーザに提示したときのユーザの反応情報を取得して、ネットワークを介して広告配信サーバへ装置識別情報と共に送信する反応情報送信手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の広告配信方法は、少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して被広告情報配信装置へ配信する広告配信方法であって、
ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に広告情報配信要求を広告配信サーバに行う第1のステップと、被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、広告出稿情報と共に保存する記憶手段からユーザの属性と、過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とを読み出して、広告情報を提示したときのユーザの反応を示す確率を計算する第2のステップと、被広告情報配信装置からの装置識別情報及び装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、計算された確率に基づいて、記憶手段から配信する広告出稿情報を選択する第3のステップと、選択された広告出稿情報を広告情報として広告情報配信要求をした被広告情報配信装置にネットワークを介して配信する第4のステップと、ネットワークを介して広告配信サーバから配信された広告情報を取得する第5のステップと、第5のステップで取得した広告情報をユーザに提示する第6のステップと、広告情報をユーザに提示したときのユーザの反応情報を取得して、ネットワークを介して広告配信サーバへ装置識別情報と共に送信する第7のステップと、第7のステップで被広告情報配信装置から送信されたユーザの反応情報と識別情報とをネットワークを介して取得する第8のステップと、第8のステップにより取得した反応情報と装置識別情報とを、記憶手段に履歴情報として記憶する第9のステップとを含むことを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の広告配信用プログラムは、少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している広告出稿情報の中から選択した広告情報を、コンピュータを用いてネットワークを介して被広告情報配信装置へ配信する広告配信用プログラムであって、
上記コンピュータに、
被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、広告出稿情報と共に保存している記憶手段の広告出稿情報の中から、被広告情報配信装置からの装置識別情報及び装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、広告情報配信要求をした被広告情報配信装置のユーザの属性と状況情報とに基づいて、広告候補を抽出する第1のステップと、第1のステップで抽出した広告候補毎にその広告候補をユーザに提示したときのユーザが示す反応の確率を、記憶手段から読み出したユーザの属性と、過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報と、被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に含まれる装置識別情報に対応したユーザの属性及び装置の現在の状況を示す状況情報とを用いて計算する第2のステップと、第2のステップで計算した確率に基づいて、抽出した広告候補から配信する広告候補を選択する第3のステップと、第3のステップで選択された広告候補を広告情報として広告情報配信要求をした被広告情報配信装置にネットワークを介して配信する第4のステップと、被広告情報配信装置に配信された広告情報に対するユーザの反応情報を、被広告情報配信装置からネットワークを介して装置識別情報と共に取得する第5のステップと、第5のステップにより取得した反応情報と装置識別情報とを、記憶手段に履歴情報として記憶する第6のステップとを実行させることを特徴とする。
【0010】
更に、上記の目的を達成するため、第4の発明の広告配信用プログラムは、少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバに対して、ネットワークを介してコンピュータを用いて広告情報配信要求を行い、広告配信サーバにより広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して配信される、移動自在な被広告情報配信装置における広告配信用プログラムであって、
上記コンピュータに、
ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に広告情報配信要求を広告配信サーバに行う第1のステップと、ネットワークを介して広告配信サーバから配信された広告情報を取得する第2のステップと、第2のステップで取得した広告情報をユーザに提示する第3のステップと、広告情報をユーザに提示したときのユーザの反応情報を取得して、ネットワークを介して広告配信サーバへ装置識別情報と共に送信する第4のステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、属性や状況、履歴に応じて広告候補に対してどのような反応を示すかの確率を計算し、それに応じて広告を選択することで、各ユーザの属性(例えば、性別、年齢等)や、その時の状況(目的地、時間等)、過去におけるユーザの広告に対する反応の履歴に応じて、適切な広告を選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明になる広告配信システムの実施例1のブロック図を示す。同図に示すように、本実施例の広告配信システムは、広告配信サーバ101と、車載装置111から構成される。広告配信サーバ101は、サーバ側データベース102、確率計算部103、広告選択部104及びサーバ側制御部105から構成される。車載装置111は、広告提示・ユーザ反応取得部112、状況情報取得部113及び車載側制御部114から構成される。広告配信サーバ101と車載装置111とは、例えば携帯電話を利用したネットワークで通信可能であるものとする。
【0014】
これらはそれぞれ概略次のように動作する。被広告情報配信装置の一例である車載装置111は、従来のカーナビゲーションシステムと同様、ユーザに対して地図表示や目的地までのルート、道案内機能等を提供する(しない場合もありうる)。その上で、車載装置111は、ユーザが運転中に適当なタイミング(例えば一定時間毎)に広告を提示するため、車載側制御部114において広告配信サーバ101に接続する。この際、状況情報取得部113から運転中の状況情報(例えば現在位置、目的地、目的地までのルート、ワイパー動作などの車両情報等)を取得し、ユーザのid(あるいは車載装置の識別情報)と共に広告配信サーバ101に渡す。
【0015】
広告配信サーバ101は、上記の状況情報及びidを受信すると、サーバ側制御部105において、車両の現在位置に基づいて、広告候補をサーバ側データベース102から取り出す。ここで、広告候補の選択は、次のような方法が考えられる。広告には出稿場所という概念があり、例えば道路沿いのある特定の場所に出稿されているとする。サーバ側制御部105は、当該出稿場所と車両の現在位置を比較し、例えば出稿場所が車両の現在位置から一定の距離内にある、という条件で複数の広告を取り出す。
【0016】
次に、広告配信サーバ101は、サーバ側データベース102から、候補となる広告について、ユーザの反応がどのようなものになるか、確率計算部103を用いて推定する。ここでは、ユーザに提示する広告は「広告された場所を経由地として設定することを促す」ものとする。例えば、レストランの広告が提示されると、車載装置111はユーザに対して当該レストランを経由地として設定するかどうかをユーザに尋ね、ユーザは経由地に設定するかどうかを車載装置111に伝える。この、「経由地に設定するかどうか」がユーザの反応である(別のタイプの反応をユーザに求める広告もありうる。)。
【0017】
確率計算部103の動作は次のようになる。まず、サーバ側データベース102には、例えば図2に示すような形で、これまでユーザに広告を提示した際の履歴が広告毎に保存されている。図2(A)はid000101の広告の履歴を示し、同図(B)はid093250の広告の履歴を示す。この履歴には、ユーザの反応に加え、そのユーザの属性(住所、性別、年齢等)、広告を提示した際の状況(目的地、目的地までの距離、これまで運転した距離、現在時刻等)、これまでに提示した広告idとその反応(経由地設定した広告、キャンセルした広告)などが保存されている。
【0018】
これを基に、確率計算部103は図3に示すような「確率テーブル」を作成する。図3(A)はid000101の広告の確率テーブルを示し、同図(B)はid093250の広告の確率テーブルを示す。この確率テーブルには、ユーザの属性(住所、性別、年齢等)、これまでに提示して経由地設定した広告idなどのそれぞれについて確率値が対応付けられたものである。この確率テーブルの作成は、広告要求が行われた時に行ってもよいが、負荷低減、応答性能向上のため、夜間バッチなどの形で定期的に作成しておいてもよい。上記の確率値は、「属性・状況・履歴等が当該値の場合に、当該広告を提示した際に経由地設定するであろう確率」を表し、図4の式を用いて計算する。
【0019】
図4の式はベイズの定理を表す。このベイズの定理において、広告を提示して経由地に設定する確率P(R)、属性等がXである確率P(X)、経由地に設定した際に、属性等がXであった確率P(X|R)は図2の履歴データから推定値を求める。すなわち、P(R)の場合、対象広告の履歴データから、経由地設定を行った数を抽出し、広告提示数に対して経由地設定を行った数の割合を用いる。P(X)も同様に、対象広告の履歴データから当該属性等Xを持つエントリ数を抽出し、広告提示数に対するその割合を用いる。P(X|R)は、履歴データ中、経由地設定を行ったデータをまず抽出する。その中で、属性等がXのものの数を抽出する。そして、経由地設定を行ったデータ数に対する、その中で属性等がXのものの数の割合を求め、これを利用する。以上の方法で、推定したP(R)、P(X)、P(X|R)の値を用いて、属性等がXであった際に経由地に設定する確率P(R|X)を計算し、これを図3の確率テーブルの確率値とする。
【0020】
次に、確率計算部103は広告要求のあったユーザの属性情報、及び状況情報を構成する。広告要求時の状況は、車載装置111から与えられたものを用いる。属性情報、及びこれまでに提示した広告idとその反応は、サーバ側データベース102内に、ユーザid毎に保存されているものとし、これをサーバ側データベース102から検索する。これは、状況情報と同様、車載装置111から与えられるとしてもよいが、サーバ側データベース102に保存しておいた方が、通信量は削減できる。これら構成された広告要求のあったユーザの属性情報、及び状況情報は図5に示される。図5(A)はユーザid102135の属性・履歴を示し、住所、性別、年齢等の属性と、これまでに経由地設定した広告idとこれまでにキャンセルした広告idの履歴からなる。また、図5(B)は上記の広告要求時の状況情報を示し、目的地、目的地までの距離、これまで運転した距離、時刻、天気などからなる。
【0021】
そして、確率計算部103は、ユーザの属性情報、及び状況情報から、各広告候補の各項目について、経由地設定確率を図3の確率テーブルから検索する。この様子を図6に示す。上記の確率テーブルは項目毎の確率値を示しているので、確率計算部103は、それらの項目が同時に成立した場合の確率(全項目が成立した場合の確率)、すなわちP(R|X1,X2,・・・,Xn)を求める。図6(A)は広告id000101に対する個別要因に関する確率テーブルから全項目が成立した場合の確率が「0.3」である事を求めることを示す。図6(B)は広告id000101に対する個別要因に関する確率テーブルから全項目が成立した場合の確率が「0.3」である事を求めることを示す。
【0022】
図7は上記の全項目が成立した場合の確率を求める式を示す。ここで、Xiはi番目の項目を示し、項目数はnであるとする。P(R|Xi)は図6(A)、(B)の確率テーブルの各項目に相当するため、これを用いる。P(R)は前述の手法で予め計算しておいた値を用いる。これにより、図7の式の値を求めることができる。
【0023】
図7の式の導出を図8に示す。図8において、式(1)はベイズの定理による定義である。式(2)は、Rが成立する場合としない場合にわけ、P(X1,X2,・・・,Xn)を変形する。なお、Rの上にバーがある記号は、Rが成立しない場合を表す。これを用いて式(1)を変形したものが式(3)である。ここで、P(R|Xi)をベイズの定理で変形し、さらに、Rが成立する場合としない場合に分けたものが式(4)である。式(4)から、式(5)、式(6)を導出し、これを式(3)に代入、整理することで、図7の式が得られる。
【0024】
以上により、各広告候補をユーザに提示した際に、経由地として設定される確率が推定できる。この確率を用い、広告選択部104が広告候補の中から一つの広告を選ぶ。
【0025】
ここで、広告には「ルール」が付加されていても良いものとする。ここでいう「ルール」とは、広告を提示する条件で、例えば「男性のみ」、「30才から35才のみ」、「10時から13時または16時から22時のみ」、「広告id〜の広告に対し、経由地設定をした人のみ」などである。このルールを用いることで、例えば閉店時には広告を提示しない、特定の属性を持つユーザのみを広告対象にしたい、などを実現できる。このルールを用い、広告候補からルールにマッチしない候補を除外する。これは、上記確率を求める前に行っておくことで、確率計算の手間を省くことができる。
【0026】
そして、ルールにマッチする広告候補に対し、経由地として設定される確率を用いて、広告を選択する。この際、単純に高確率のものを選択する手法の他、広告主が払った広告料金を加味する手法なども考えられる。更に、経由地として設定される確率が一定以下の場合、広告を提示すること自体を取り止めるということも考えられる。
【0027】
選択された広告は、車載装置111に渡される。車載装置111は音声や、ナビゲーションシステムが持つ画面などの手段を用いて、広告内容をユーザに提示する。ユーザは広告内容によって、経由地に設定するかどうかを判断し、経由地設定、あるいはキャンセルの判断を行い、車載装置111に伝える。車載装置111は、経由地に設定する場合はナビゲーションシステムを用いてルート設定を行ったり、地図上の位置を示したりする。ユーザの判断内容は、広告配信サーバ101に伝えられる。そして、このユーザの判断内容は、図2に示されるような履歴データとしてサーバ側データベース102に蓄えられる。
【0028】
以上の実施の形態の説明では、広告先を経由地として設定する広告を対象として説明したが、それ以外の広告や単なる情報配信の場合にも利用可能である。この場合、ユーザの反応としては、経由地設定を行ったかどうかではなく、例えば「広告や情報を途中でキャンセルしたか、最後まで視聴したか」というものにすればよい。
【0029】
次に、本実施の形態の全体の動作について詳細に説明する(ここでは、広告先を経由地として設定する広告を対象に説明する。)。まず、確率計算や「ルール」で用いる、ユーザの属性情報、状況情報、履歴等について整理する。ユーザの属性情報としては、図2の中にある住所、性別、年齢の他に誕生日や、アンケートで取得した好みの情報なども考えられる。状況情報としては、車載装置111から得られる情報として、目的地、目的地までの距離、これまで運転した距離、現在時刻、車速、残りガソリン量、天気(ワイパーの動作から取得など)、家族連れか、恋人とドライブか、一人かなど(ユーザが乗車時に設定して取得など)、今回のドライブですでに広告を提示したか、その結果経由地設定を行ったか、などが考えられる。
【0030】
また、履歴としては、これまでに経由地として設定した広告のid、提示されたものの、経由地として設定せずにキャンセルした広告のidが考えられる。以上に挙げた例以外の属性情報や状況情報、履歴を用いる場合でも、データベースにテーブルを加えるだけで、簡単に対応することが可能である。
【0031】
また、これらの情報の中には抽象度によって、別の項目として扱った方がよい場合がある。例えば、住所の場合、同じ住所でも「目黒区」なのか「東京都」なのか「都会」あるいは「郊外」なのか、のように扱い方を変えた方がよい場合がある。これは、図6のように個別要因に関する確率を求める際に、単純に一致するかどうかで計算するからである。このような場合、例えば「詳細住所」「都道府県住所」「住所分類」などと別項目として扱えばよい。他にも、距離を扱う項目の場合、数km単位で分割した項目の他、「短距離」、「中距離」、「長距離」など大まかに分割した項目を別に作ることも考えられる。時刻、年齢等他のも同様である。
【0032】
また、図7、図8に示した確率計算は、各項目が独立であることを仮定している。従って、例えば「男性」かつ「30〜35才」の人だと高確率で経由地に設定するような広告があった場合でも、「男性」の確率と「30〜35才」の確率の合成で計算すると、実際よりも低い確率としてしか計算できない場合が起こる。これを避けるため、例えば『「性別」+「年齢」』のような項目を組み合わせた項目を新たに作成することが考えられる。このような項目は、任意の2つの項目を組み合わせて作成してもよいし、意味がありそうな項目の組み合わせだけを予め選んで作成してもよい。更に、2つ以上の3つ、4つなどの項目の組み合わせも考えられる。
【0033】
次に、図9から図12のフローチャートを参照して、各部の動作を詳細に説明する。まず、広告配信サーバ101の動作について説明する。サーバ側制御部105の動作を図9のフローチャートと共に説明する。サーバ側制御部105は要求によって動作を切り替えるため、まず要求種別の確認を行う(ステップ901)。もし、要求が広告出稿者106からの広告出稿要求である場合、ステップ902に進む。広告出稿要求は、例えばワールド・ワイド・ウェブ(WWW)上に構築されたウェブ(Web)サーバを経由して、広告出稿者106が直接行う場合も考えられるし、また、広告出稿者106からの要求、契約はオフラインでなされ、サーバへの登録は広告配信を行うことも考えられる。
【0034】
広告出向要求の場合は、サーバ側制御部105は続いて広告出稿情報を取得する(ステップ903)。ここで、広告出稿情報に含まれる情報には、次のようなものが考えられる。すなわち、広告を出稿する場所、広告により経由地として誘導する場所、広告を出稿した場所から誘導先への距離(これは両者の場所からシステムが計算してもよい)、広告提示ルール(例えば、「男性のみ」、「30から35才のみ」、「10時から13時または16時から22時のみ」、「広告id〜の広告に対し、経由地設定をした人のみ」など、またそれらのand/orによる組み合わせ)、広告提示にかける金額(例えば、経由地に設定された場合、いくらか払うか、など)などが考えられる。
【0035】
続いて、サーバ側制御部105は、ステップ903で得られた広告情報をサーバ側データベース102に登録する(ステップ904)。この際、図2に相当する広告履歴のためのテーブル及び、図3に相当する確率テーブルも作成する。この際、広告履歴のためのテーブルは空とし、確率テーブルも「未計算」という初期状態とする。この際、広告には広告idが付与される。
【0036】
一方、前記ステップ901での要求種別が、車載装置111から出稿するための広告を要求するものであった場合(ステップ905)、まず、サーバ側データベース102に保存されている広告情報の中から対象とする広告候補を抽出する(ステップ906)。広告要求にはユーザid及び、車の状況を表す情報が付与されている。ステップ906では、車の状況情報から、現在位置を抽出し、広告情報の広告出稿場所が、現在位置から一定の距離にあるものを抽出するなどして、広告候補を求める。他にも、道路をある区間を持つ「ブロック」に分け、広告出稿はブロック単位で行い、車の現在位置のブロックの広告を選択する、などの方法も考えられる。また更に、広告出稿場所と経由地として誘導する場所を分けて登録せず、経由地として誘導する場所のみを登録し、車の現在位置から、経由地までの距離が一定のものを選択するという方法も考えられる。
【0037】
次に、サーバ側制御部105は、広告選択部104を用い、広告候補の中から広告を選択する(ステップ907)。広告選択部104の動作については後述する。続いて、サーバ側制御部105は、ステップ907で選択した広告を車載装置111に返送する(ステップ908)。車載装置111では広告をユーザに提示し、その反応を取得する。この反応は車載装置111からサーバ側制御部105が受け取る(ステップ909)。
【0038】
そして、サーバ側制御部105は、車載装置111から受け取った、広告に対する反応をサーバ側データベース102に記録する(ステップ910)。すなわち、図2に相当する履歴テーブルに、車載装置111の状況情報やユーザの属性と共に記録する。また、ユーザの属性情報は図5(A)のような形でユーザid毎にサーバ側データベース102に保存されている。これは、ユーザがこの車載装置111を利用する契約時に登録するなどして、得られるものとする。図2に相当する履歴テーブルには、ユーザの利用履歴として、これまでに経由地設定した広告id、及びこれまでにキャンセルした広告idも、例えば図5(A)のテーブルの下部のような形で保存するため、ユーザの広告に対する反応をこの部分に追加記録する。
【0039】
次に、ステップ907で利用した、広告選択部104の動作を図10のフローチャートを用いて説明する。広告選択部104では、まず、候補となる広告に対して広告登録時に設定された「ルール」を抽出する(ステップ1001)。このルールと、車載装置111から与えられた状況情報、さらにユーザidを用いてサーバ側データベース102から抽出したユーザの属性情報、履歴情報を用い、まずルールに沿わない広告候補を除外する。 次に、残りの広告候補に対し、確率計算部103を用いて、提示した場合に経由地に設定する確率を計算する(ステップ1002)。確率計算部103の動作については後述する。そして、広告選択部104は、得られた確率に基づき、提示する広告を選択する(ステップ1003)。
【0040】
ここで、広告候補とその経由地設定確率から広告を選択するには、いくつかの方法が考えられる。単純には、最も高確率の広告を選択する、という手法が考えられる。しかし、この場合、低確率の広告が提示されにくくなるので、確率値に連動する確率でランダムに選ぶ(例えば、ある広告の経由地設定確率が0.4、別の広告の確率が0.1の場合、前者の広告を80%、後者の広告を20%の確率でランダムに選択する。ここでは比例だが比例以外の関数を用いてもよい)、あるいは通常は最も高確率の広告を選択するが、一定の確率で別の広告をランダムに選択する、という方法も考えられる。
【0041】
また、以上の方法に加え、広告出稿者106が払った広告料金を加味する、などの手法が考えられる。例えば、経由地設定を行う度に広告出稿者106がある一定の料金を払うような場合、その料金に経由地設定確率をかけることで、その広告を提示した際に得られる広告料金の期待値が求められる。この期待値を最大にする広告を選択する(あるいはそれに加え、前述のランダム要素を加える)という方法も考えられる。この場合、広告配信システムを提供する側は、最も広告収入が高くなる可能性があるものを選べる。広告出稿者106は多くの金額を払うことで、より多くの回数広告を提示してもらえるが、広告費用が多くかかる。従って、よりユーザにとって魅力的で、経由地設定確率の高い広告とするためのインセンティブが働くことになる。
【0042】
次に、ステップ1002で利用した、確率計算部103の動作を図11のフローチャートを用いて説明する。確率計算部103も要求によって動作を切り替えるため、まず、要求種別の判定を行う(ステップ1101)。要求種別が、全項目が成立した際の結合確率を計算する場合(ステップ1102)、確率計算部103は各広告候補に対して、前述した通りの手法を用い、図6で示されるような項目毎の確率をサーバ側データベース102から検索する(ステップ1103)。
【0043】
続いて、確率計算部103は図7で示した式を利用して全項目が成立した際の確率を求める(ステップ1104)。ここで、項目毎の確率は、不正確なものである可能性がある。すなわち、例えば住所が目黒区である場合に、経由地に設定する確率を求めようとした際、広告を提示した対象において、住所が目黒区のユーザ数が少数、例えば1名であった場合、経由地に設定した(あるいはしなかった)場合の確率が1(あるいは0)となってしまう。従って、図2に示す履歴データで、対象が少なかった場合(あるいはゼロの場合)は、その旨記録しておき、結合確率の計算からは除外する。
【0044】
一方、ステップ1101の要求種別で項目ごとの確率を計算する場合(ステップ1105)、確率計算部103は図4に示した式に基づいて項目毎の確率を計算する(ステップ1106)。これには、図2に示したような履歴データを用いる。この計算は、夜間などにバッチ的に行っておいてもよいし、ステップ1103でサーバ側データベース102から検索する替わりにステップ1105、ステップ1106を呼び出し、毎回計算してもよい。ただし、毎回計算する場合は、計算するために時間がかかる可能性がある。
【0045】
次に、車載装置111の動作について、図12のフローチャートを用いて説明する。車載装置111は、まず、広告提示を行うと判断する(ステップ1201)。判断方法は、例えば一定時間毎などに広告提示をする、などである。また、現在経由地へ誘導中の場合は広告提示を行わない、今回のドライブで経由地へ誘導した後の場合は広告提示を行わない、などの判断を行うことも考えられる。
【0046】
広告提示を行うと判断すると、車載装置111は、状況情報取得部113から、現在の情報を取得する(ステップ1202)。状況情報としては、前述の通り、目的地、目的地までの距離、これまで運転した距離、現在時刻、車速、残りガソリン量、天気、家族連れか、恋人とドライブか、一人かなどが考えられる。
【0047】
次に、車載装置111は、広告配信サーバ101に対し、状況情報及びユーザidを渡した上で、広告要求を行う(ステップ1203)。広告配信サーバ101は、前述の通り広告を選択して返してくるので、車載装置111は提示すべき広告を広告配信サーバ101から取得する(ステップ1204)。
【0048】
続いて、車載装置111は、取得した広告を用い、広告提示・ユーザ反応取得部112を用いて広告を提示する(ステップ1205)。この広告提示方法は、例えば音声による提示、ナビゲーションシステムに備わっているディスプレイによる表示、などが考えられる。経由地までの距離等の情報を付随して提示してもよい。更に、ステップ1205では提示された広告に対して経由地として設定するかどうかの反応をユーザ115から取得する。これには、例えば音声認識による方法、あるいはユーザ115にボタンを押してもらう方法、などが考えられる。最後に、車載装置111はユーザ115からの反応を広告配信サーバ101に渡す(ステップ1206)。
【0049】
次に、本実施例の作用、効果について説明する。本実施例では、車載装置111でユーザ115に広告提示を行う際には、広告配信サーバ101にユーザのid及び現在の状況を伝え、提示する広告を渡すよう依頼する。広告配信サーバ101は、ユーザのidから、サーバ側データベース102からそのユーザの属性や、過去の広告に対する反応の履歴を検索できる。また、広告配信サーバ101では、サーバ側データベース102上に、各広告を過去に提示した際のユーザの反応、及びその時の「状況、ユーザの属性、ユーザの他の広告に対する反応の履歴」等が記録されている。この記録に基づいて、ある状況、属性、履歴等の場合にユーザが示す反応の確率が、確率計算部で計算できる。これを基に、広告要求を行った車載装置111におけるユーザの属性、履歴、現在の状況から、複数の広告候補に対し、ユーザが好ましい反応(例えば広告に示された場所を経由地に設定)を示す確率を確率計算部103が計算する。この確率の大小を用い、広告選択部104が広告を選択し、車載装置111に渡すよう動作する。
【0050】
すなわち、本実施例では、ユーザ115の属性情報、車載装置111の状況情報、ユーザの広告に対する反応の履歴を用い、確率計算を基に、よりユーザ115が経由地に設定する可能性が高い広告を選択して提示するというように構成されているため、ユーザ115がなるべく不快に思わず、かつ、広告効果の高い広告の配信が実現できる。
【0051】
ここで、ルールのみではなく、確率計算を利用しているため、ルールを用いた広告選択方法より、より簡便かつ確実に適当な広告を選択できる。単純なルールのみ(例えば食事時にレストランの広告を選ぶ、というルールなど)で広告を選択するシステムでは、ルール作成の手間がかかる上、ルールの見逃しや、不適切なルールを作成してしまう可能性がある。例えば、シリーズ物の広告や複数の広告主によるタイアップ広告のように、過去にある広告を提示された場合はより経由地設定確率が高い、といった場合でも、特別なルールを作成することなく、その効果を利用できるし、たとえその試みがうまくいかず、過去にある広告を提示された場合では逆に経由地設定確率が低くなる場合でも、確率計算を基に適切に判断される。
【実施例2】
【0052】
次に、第2の発明を実施するための最良の形態である実施例2について図面を参照して詳細に説明する。図13は本発明になる広告配信システムの実施例2のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図13に示すように、本実施例の広告配信システムは、広告配信サーバ1301と、車載装置1311とから構成される。広告配信サーバ1301は、図1と同様にサーバ側データベース1302、確率計算部1303、広告選択部1304及びサーバ側制御部1305から構成される。車載装置1311は、車載側データベース1312、確率計算・広告選択部1313、広告提示・ユーザ反応取得部1314、状況情報取得部1315及び車載側制御部1316から構成される。広告配信サーバ1301と車載装置1311とは、例えば携帯電話を利用したネットワークで通信可能であるものとする。
【0053】
これらはそれぞれ概略次のように動作する。前述の実施例1では、広告提示を判断してから広告配信サーバ101に広告を取得しに行くため、広告配信サーバ101と車載装置111との間の通信速度が低速の場合、広告取得に時間がかかる可能性があるという問題がある。そこで、この実施例2では、予め広告候補と確率計算に必要な情報を広告配信サーバ1301から取得しておき、広告提示を行うタイミングでは、車載装置1311の中だけでどの広告を提示するか判断するようにする。
【0054】
すなわち、車載装置1311は起動時、あるいは(ある程度長い)一定時間毎に、広告配信サーバ1301に対して、ナビゲーションシステムにセットされたルート、あるいは予測されるルート上の広告候補を要求する。この際、車載装置1311は状況情報のうち、変化しない情報(例えば、目的地や、家族連れか、恋人とドライブか、一人かなど)を同時に広告配信サーバ1301に渡す。
【0055】
広告配信サーバ1301は、広告候補に加え、その広告候補の確率テーブルも車載装置1311に渡す。ここで、ユーザ属性や変化しない状況情報については、確率テーブルのすべての値を車載装置1311に渡す必要は無く、そのユーザ、状況に応じた確率テーブルの一部のみを渡せばよい。この様子を図14に示す。
【0056】
図14(A)には図3(A)にも示した、広告id000101の確率テーブルを、図14(B)には図5(A)にも示したユーザid102135の属性及び履歴情報、及び図5(B)に示した広告要求時に渡された、変化しない状況情報を示す。ここで、例えば住所については「宮前区」であることがユーザidから分かるため、確率テーブルのすべての住所の値を返す必要はなく、宮前区の場合の確率を抽出する。性別、年齢等の他の属性情報も同様である。また、広告要求時に変化しない状況情報として与えられた目的地についても同様である。
【0057】
それに対して、例えば天気などの状況情報は、運転中に変化し得るため、広告配信サーバ1301はすべての確率値に関して車載装置1311に渡す。また、「ルール」に関しても、属性及び履歴情報、及び広告要求時に渡された変化しない状況情報によって、提示しないと判断できる場合は、広告候補から外す。広告配信サーバ1301は運転中に変化し得る情報に依存するルールの場合は、ルールも付加して車載装置1311に渡す。この様子を図14(C)に示す。この図14(C)に示す広告配信サーバ1301から車載装置1311に渡された情報は、車載装置1311の車載側データベース1312に保存される。
【0058】
車載装置1311は、実施例1の場合と同様、例えば一定時間毎などに広告提示をする、と判断する。その際に、広告配信サーバ1301に接続するのではなく、車載装置1311の車載側データベース1312を参照し、現在位置で候補となる広告候補を抽出する。そして、実施例1では広告配信サーバ1301側で行っていた結合確率の計算を車載装置1311にて行い、提示する広告を選択する。また、提示した広告に対するユーザの反応は、車載側データベース1312に保存しておき、後でまとめて広告配信サーバ1301に結果を伝えてもよいし、広告を提示した時点で広告配信サーバ1301に伝えてもよい。
【0059】
次に、図15、図16のフローチャートを参照して、各部の動作を詳細に説明する。まず、広告配信サーバ1301の動作について図15のフローチャートを用いて説明する。要求種別が広告出稿者106からの広告出稿要求の場合は、広告配信サーバ1301のサーバ側制御部1305は実施例1と同様に図9のステップ902〜904の処理を行うのでその説明は省略する。要求種別が広告要求の場合、サーバ側制御部1305は広告要求を取得する(図15のステップ1504)。ここでの広告要求は、実施例1とは異なり、起動時、あるいは(ある程度長い)一定時間毎に、広告配信サーバ1301に対して、ナビゲーションシステムにセットされたルート、あるいは予測されるルート上の広告候補を要求するものである。広告要求には広告要求を行うルート、ユーザid及び変化しない車の状況を表す情報が付与されている。
【0060】
ステップS1504に続いて、広告配信サーバ1301のサーバ側制御部1305は、サーバ側データベース1302から該当するルート上の広告候補を抽出する(図15のステップ1505)。実施例1では、現在位置から広告候補を抽出したが、ここでは与えられたルートから抽出する。これを実現するには、例えばルート上の(十分に短い)一定距離毎の点を抽出し、その点毎に実施例1で行った広告候補の抽出を行い、その集合和を取る、などの方法が考えられる。他にも、道路をある区間を持つ「ブロック」に分け、広告出稿はブロック単位で行う、という手法を取る場合は、ルートを構成するブロック単位に出稿されている広告すべてを抽出すればよい。
【0061】
次に、広告配信サーバ1301は抽出した広告候補に対し、広告選択部1304を用い、広告選択を行う(図15のステップ1506)。実施例1では、広告選択部104で確率計算を行ったが、この実施例では広告選択部1304はルールの評価のみを行う。すなわち、車載装置1311から与えられた変化しない状況情報、さらにユーザidを用いてサーバ側データベース1302から抽出したユーザの属性情報、履歴情報を用い、ルールに沿わない広告候補を除外する。
【0062】
そして、広告配信サーバ1301のサーバ側制御部1305は、広告選択部1304で選択した広告を車載装置1311に返送する(図15のステップ1507)。返送する広告には、確率情報や、ルール、広告の出稿場所、支払い料金等の広告出稿情報を含む。ここで、確率情報については、前述したように、属性、履歴情報、変化しない状況情報を用いて、必要な部分のみを抽出する。
【0063】
車載装置1311は適当なタイミングでユーザの広告に対する反応を広告配信サーバ1301に登録する。広告配信サーバ1301はこの登録要求を車載装置1311から受信すると(図15のステップ1502)、広告に対する反応と、その時の状況情報をサーバ側データベース1302に記録する(図15のステップ1503)。広告に対する反応と、その時の状況情報は、車載装置1311から渡される。広告配信サーバ1301の確率計算部1303は、図1の確率計算部103と同様に動作する。ただし、結合確率の計算は行わない。
【0064】
次に、車載装置1311の動作について図16のフローチャートを用いて説明する。まず、車載装置1311は、広告配信サーバ1301に対し、ナビゲーションシステムにセットされたルート、あるいは予測されるルート上の広告候補を要求する(図16(A)のステップ1601)。この広告候補の要求には広告候補要求を行うルート、ユーザid及び、変化しない車の状況を表す情報を付与する。続いて、広告配信サーバ1301から得られた広告候補の情報を車載側データベース1312に保存する(図16(A)のステップ1602)。
【0065】
次に、広告提示時の動作について説明する。車載装置1311は、実施例1と同様、例えば一定時間毎などに広告提示をする、と判断すると(図16(B)のステップ1604)、状況情報取得部1315から情報を取得し(図16(B)のステップ1605)、確率計算・広告選択部1313を用い、提示する広告を選択する(図16(B)のステップ1606)。ステップ1606の処理は実施例1では、広告配信サーバ1301に処理を依頼していたが、本実施例では、必要な情報はステップ1602において車載側データベース1312に保存されているため、車載装置1311の確率計算・広告選択部1313によって、車載装置1311側での広告選択が可能となる。この部分の具体的な処理内容は、実施例1で、ステップ907、ステップ1001、ステップ1002、ステップ1003、ステップ1102、ステップ1103、ステップ1104に示したものと同様である。
【0066】
ステップ1606に続いて、車載装置1311は、広告提示・ユーザ反応取得部1314を用い、広告提示及びユーザ115からの反応を取得する(図16(B)のステップ1607)。このステップ1607の処理は実施例1と同様である。ユーザ115からの反応は、車載側データベース1312に保存する(図16(B)のステップ1608)。この際、状況情報やその時点での履歴情報も含めて保存する。ここでは車載側データベース1312に保存するとしたが、直接広告配信サーバ1301に伝えてもよい。保存したユーザ115からの反応、及びその時の状況情報や履歴情報は、適当なタイミングで広告配信サーバ1301に渡されるので、広告配信サーバ1301は渡された広告提示及びユーザ115からの反応をサーバ側データベース1302に登録する(図16(A)のステップ1603)。
【0067】
次に、本実施例の作用、効果について説明する。本実施例では、広告配信サーバ1301にサーバ側データベース1302、確率計算部1303、広告選択部1304、サーバ側制御部1305を備え、また車載装置1311に車載側データベース1312、確率計算・広告選択部1313、広告提示・ユーザ反応取得部1314、状況情報取得部1315、車載側制御部1316を備え、車載装置1311では、予め広告配信サーバ1301から、予定ルート上の広告候補を取得する。この際、運転中には変化しない情報を基に、広告候補及び付随する確率情報等を取捨選択して取得する。車載装置1311では、ユーザ115に広告提示を行う際、取得した広告候補からユーザ115が好ましい反応を示す確率を各広告候補について求め、それに基づいて広告を選択して、ユーザ115に広告を提示する。この動作は実施例1の広告配信システムの広告配信サーバ101と同様だが、本実施例では広告配信サーバ1301への通信は発生しない。本実施例では、このような構成を採用することで、広告提示を行う際に広告配信サーバ1301に問い合わせる通信時間を削減でき、状況変化が起こり易い状況でも、時機に応じて適切な広告をユーザ115に提示することが可能になる。
【0068】
すなわち、本実施例では、広告選択に必要な情報を予め車載装置1311の車載側データベース1312に保存しておき、広告提示を行うと判断した際には、広告配信サーバ1301に問い合わせるのではなく、車載装置1311内部で提示する広告を判断するというように構成されているため、広告提示を行うと判断してから短時間で広告を提示でき、広告提示の時機を逃すことが無いようにできる。また、本実施例では、確率計算などの多くの処理を車載装置1311側で行うように構成されているため、広告配信サーバ1301の負荷を小さくできる。
【実施例3】
【0069】
次に、第3の発明を実施するための最良の形態である実施例3について図面を参照して詳細に説明する。図17は本発明になる広告配信システムの実施例2のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図17に示すように、本実施例の広告配信システムは、広告配信サーバ1701と、車載装置1711とから構成される。広告配信サーバ1701は、入出力装置1702、データ処理装置1703、プログラム1704及び記憶装置1705から構成される。車載装置1711は、入出力装置1712、データ処理装置1713、プログラム1714及び記憶装置1715から構成される。広告配信サーバ1701と車載装置1711とは、例えば携帯電話を利用したネットワークで通信可能であるものとする。
【0070】
これらはそれぞれ概略次のように動作する。この実施例は実施例1又は実施例2をプログラム1704、1714により構成した場合に、そのプログラム1704、1714により動作するコンピュータの構成図である。当該プログラム1704、1714は、データ処理装置1703及び1713はプログラム1704及び1714の制御により、実施例1、実施例2における広告配信サーバ101又は1301及び車載装置111又は1311による処理と同一の処理を実行する。
【0071】
これにより、プログラム1704、1714がコンピュータにより実施例1の各処理動作を実行させるときは実施例1と同様の効果が得られ、コンピュータにより実施例2の各処理動作を実行させるときは実施例2と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、車載装置、カーナビゲーションシステムなどに広告や情報を配信するといった用途に適用できる。また、広告情報の配信を受ける被広告情報配信装置としては、車載装置以外の、携帯電話やPDAにも本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の発明を実施するための最良の形態の実施例1の構成を示すブロック図である。
【図2】図1中の広告配信サーバ中のサーバ側データベースに保存されている履歴データの例である。
【図3】図1中の広告配信サーバ中のサーバ側データベースに保存されている、項目ごとの経由地設定を行う確率を表すデータの例である。
【図4】項目毎の経由地設定を行う確率を計算するための式である。
【図5】広告要求を行ったユーザの属性・履歴、及び要求時の状況を表すデータの例である。
【図6】広告要求を行ったユーザの属性・履歴、状況に応じて、各広告候補に対し、経由地設定を行う確率を計算した例である。
【図7】項目毎の経由地設定を行う確率から、全項目が成立した際に経由地設定を行う確率を求めるための式である。
【図8】図7に示した式を導出する過程を表すものである。
【図9】実施例1の広告配信サーバのサーバ側制御部の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施例1における広告配信サーバの広告選択部の動作を示すフローチャートである。
【図11】実施例1における広告配信サーバの確率計算部の動作を示すフローチャートである。
【図12】実施例1における車載装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の発明を実施するための最良の形態の実施例2の構成を示すブロック図である。
【図14】実施例2において、変化しない情報を利用して確率情報の必要な部分だけを抽出することを説明した図である。
【図15】実施例2における広告配信サーバのサーバ側制御部の動作を示すフローチャートである。
【図16】実施例2における車載装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第3の発明を実施するための最良の形態の実施例3は、第1及び第2の発明を実施するための最良の形態をプログラムにより構成した場合に、そのプログラムにより動作するコンピュータの構成図である。
【符号の説明】
【0074】
101、1301、1701 広告配信サーバ
102、1302 サーバ側データベース
103、1303 確率計算部
104、1304 広告選択部
105、1305 サーバ側制御部
106 広告出稿者
111、1311、1711 車載装置
112、1312 広告提示・ユーザ反応取得部
113、1315 状況情報取得部
114、1316 車載側制御部
115 ユーザ
1313 確率計算・広告選択部
1314 広告提示・ユーザ反応取得部
1702、1712 入出力装置
1703、1713 データ処理装置
1704、1714 プログラム
1705、1715 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信システムであって、
前記広告配信サーバは、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存する記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とに基づいて、広告情報を提示したときの前記ユーザの反応を示す確率を計算する確率計算手段と、
前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、計算された前記確率に基づいて、前記記憶手段から配信する広告出稿情報を選択する広告選択手段と、
選択された前記広告出稿情報を広告情報として前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する広告情報配信手段と、
前記被広告情報配信装置に配信された前記広告情報に対する前記ユーザの反応情報を、前記被広告情報配信装置から前記ネットワークを介して装置識別情報と共に取得する反応情報取得手段と、
前記反応情報取得手段により取得した前記反応情報と装置識別情報とを、前記記憶手段に履歴情報として記憶する反応記憶手段と
を備え、前記被広告情報配信装置は、
前記ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に前記広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う広告配信要求手段と、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告情報を取得する広告情報取得手段と、
前記広告情報取得手段で取得した前記広告情報を前記ユーザに提示する広告提示手段と、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記ネットワークを介して前記広告配信サーバへ前記装置識別情報と共に送信する反応情報送信手段と
を備えることを特徴とする広告配信システム。
【請求項2】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信システムであって、
前記広告配信サーバは、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存する記憶手段と、
前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置のユーザの属性と前記状況情報とに基づいて、前記記憶手段に保存している前記広告出稿情報の中から広告候補を抽出する広告候補抽出手段と、
抽出した前記広告候補毎にその広告候補を前記ユーザに提示したときの該ユーザが示す反応の確率を、前記記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報と、前記被広告情報配信装置からの前記広告情報配信要求に含まれる装置識別情報に対応した前記ユーザの属性及び該装置の現在の状況を示す状況情報とを用いて計算する確率計算手段と、
前記計算した前記確率に基づいて、前記抽出した前記広告候補から配信する広告候補を選択する広告選択手段と、
選択された前記広告候補を広告情報として前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する広告情報配信手段と、
前記被広告情報配信装置に配信された前記広告情報に対する前記ユーザの反応情報を、前記被広告情報配信装置から前記ネットワークを介して装置識別情報と共に取得する反応情報取得手段と、
前記反応情報取得手段により取得した前記反応情報と装置識別情報とを、前記記憶手段に履歴情報として記憶する反応記憶手段と
を備え、前記被広告情報配信装置は、
前記ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に前記広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う広告配信要求手段と、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告情報を取得する広告情報取得手段と、
前記広告情報取得手段で取得した前記広告情報を前記ユーザに提示する広告提示手段と、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記ネットワークを介して前記広告配信サーバへ前記装置識別情報と共に送信する反応情報送信手段と
を備えることを特徴とする広告配信システム。
【請求項3】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信システムであって、
前記広告配信サーバは、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の移動ルートを含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存する第1の記憶手段と、
前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、前記広告情報配信要求をした前記状況情報に基づいて、前記第1の記憶手段に保存している前記広告出稿情報の中から広告候補を抽出する広告候補抽出手段と、
前記広告情報配信要求に含まれる前記装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報により、前記第1の記憶手段から読み出した前記ユーザの属性情報と履歴情報とに基づいて、前記抽出された広告候補の中から配信する広告候補を選択する広告選択手段と、
選択された前記広告候補を前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する広告候補配信手段と
を備え、前記被広告情報配信装置は、
前記ネットワークを介して前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う広告配信要求手段と、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告候補を取得する広告情報取得手段と、
ユーザの属性と、過去の広告情報提示時の少なくとも移動ルートを含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて保存する第2の記憶手段と、
前記広告配信サーバから配信された前記広告候補の中から予定移動ルート上の広告候補を抽出する広告候補抽出手段と、
抽出した前記広告候補毎にその広告候補を前記ユーザに提示したときの該ユーザが示す反応の確率を、前記第2の記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とを用いて計算する確率計算手段と、
前記計算した前記確率に基づいて、前記抽出した前記広告候補から配信する広告候補を選択する広告選択手段と、
前記広告選択手段で選択した前記広告情報を前記ユーザに提示する広告提示手段と、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記第2の記憶手段に記憶する反応情報記憶手段と
を備えることを特徴とする広告配信システム。
【請求項4】
前記確率計算手段は、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応のそれぞれについて予め設けた一又は二以上の項目のうち、抽象度に従って予め設定した項目を他の項目とは別の項目として作成し、その別の項目について前記他の項目と共に前記確率の計算を行うことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の広告配信システム。
【請求項5】
前記確率計算手段は、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応のそれぞれについて予め設けた一又は二以上の項目のうち、予め設定した複数の項目を他の項目とは別の項目として作成し、その別の項目について前記他の項目と共に前記確率の計算を行うことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の広告配信システム。
【請求項6】
前記広告選択手段は、
計算された前記ユーザの反応を示す確率と、その反応を示した際に前記広告出稿者が支払う料金とを掛けることで得られる料金の期待値を求め、その期待値に応じて抽出した前記広告候補の中から広告を選択することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の広告配信システム。
【請求項7】
前記広告候補抽出手段は、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応に基づいて、前記広告情報を提示するための条件であるルールを予め設定し、前記広告出稿情報の中から前記ルールに適合する広告出稿情報を前記広告候補として抽出することを特徴とする請求項2又は3記載の広告配信システム。
【請求項8】
前記広告選択手段は、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応のそれぞれについて予め設けた一又は二以上の項目のそれぞれについて前記確率計算手段で計算した複数の前記確率に連動する確率でランダムに前記抽出した前記広告候補から広告候補を選択することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の広告配信システム。
【請求項9】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信方法であって、
前記ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に前記広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う第1のステップと、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存する記憶手段から前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とを読み出して、広告情報を提示したときの前記ユーザの反応を示す確率を計算する第2のステップと、
前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、計算された前記確率に基づいて、前記記憶手段から配信する広告出稿情報を選択する第3のステップと、
選択された前記広告出稿情報を広告情報として前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する第4のステップと、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告情報を取得する第5のステップと、
前記第5のステップで取得した前記広告情報を前記ユーザに提示する第6のステップと、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記ネットワークを介して前記広告配信サーバへ前記装置識別情報と共に送信する第7のステップと、
前記第7のステップで前記被広告情報配信装置から送信された前記ユーザの反応情報と前記識別情報とを前記ネットワークを介して取得する第8のステップと、
前記第8のステップにより取得した前記反応情報と装置識別情報とを、前記記憶手段に履歴情報として記憶する第9のステップと
を含むことを特徴とする広告配信方法。
【請求項10】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信方法であって、
前記ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に前記広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う第1のステップと、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存している記憶手段の前記広告出稿情報の中から、前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置のユーザの属性と前記状況情報とに基づいて、広告候補を抽出する第2のステップと、
抽出した前記広告候補毎にその広告候補を前記ユーザに提示したときの該ユーザが示す反応の確率を、前記記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報と、前記被広告情報配信装置からの前記広告情報配信要求に含まれる装置識別情報に対応した前記ユーザの属性及び該装置の現在の状況を示す状況情報とを用いて計算する第3のステップと、
前記計算した前記確率に基づいて、前記抽出した前記広告候補から配信する広告候補を選択する第4のステップと、
選択された前記広告候補を広告情報として前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する第5のステップと、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告情報を取得する第6のステップと、
前記第6のステップで取得した前記広告情報を前記ユーザに提示する第7のステップと、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記ネットワークを介して前記広告配信サーバへ前記装置識別情報と共に送信する第8のステップと、
前記第8のステップで前記被広告情報配信装置から送信された前記ユーザの反応情報と前記識別情報とを前記ネットワークを介して取得する第9のステップと、
前記第9のステップにより取得した前記反応情報と装置識別情報とを、前記記憶手段に履歴情報として記憶する第10のステップと
を含むことを特徴とする広告配信方法。
【請求項11】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、ネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信方法であって、
前記ネットワークを介して前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う第1のステップと、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の移動ルートを含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存する第1の記憶手段に保存している前記広告出稿情報の中から、前記広告情報配信要求に従い、前記広告情報配信要求をした前記状況情報に基づいて、広告候補を抽出する第2のステップと、
前記広告情報配信要求に含まれる前記装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報により、前記第1の記憶手段から読み出した前記ユーザの属性情報と履歴情報とに基づいて、前記抽出された広告候補の中から配信する広告候補を選択する第3のステップと、
選択された前記広告候補を前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する第4のステップと、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告候補を取得する第5のステップと、
前記広告配信サーバから配信された前記広告候補の中から予定移動ルート上の広告候補を抽出する第6のステップと、
ユーザの属性と、過去の広告情報提示時の少なくとも移動ルートを含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて保存する第2の記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とを用いて、前記第6のステップで抽出した前記広告候補毎にその広告候補を前記ユーザに提示したときの該ユーザが示す反応の確率を計算する第7のステップと、
前記第7のステップで計算した前記確率に基づいて、前記抽出した前記広告候補から配信する広告候補を選択する第8のステップと、
前記第8のステップで選択した前記広告情報を前記ユーザに提示する第9のステップと、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記第2の記憶手段に記憶する第10のステップと
を含むことを特徴とする広告配信方法。
【請求項12】
前記ユーザの反応を示す確率を計算するステップは、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応のそれぞれについて予め設けた一又は二以上の項目のうち、抽象度に従って予め設定した項目を他の項目とは別の項目として作成し、その別の項目について前記他の項目と共に前記確率の計算を行うことを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか一項記載の広告配信方法。
【請求項13】
前記ユーザの反応を示す確率を計算するステップは、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応のそれぞれについて予め設けた一又は二以上の項目のうち、予め設定した複数の項目を他の項目とは別の項目として作成し、その別の項目について前記他の項目と共に前記確率の計算を行うことを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか一項記載の広告配信方法。
【請求項14】
前記広告出稿情報又は前記広告候補を選択するステップは、
計算された前記ユーザの反応を示す確率と、その反応を示した際に前記広告出稿者が支払う料金とを掛けることで得られる料金の期待値を求め、その期待値に応じて前記広告出稿情報又は抽出した前記広告候補の中から広告を選択することを特徴とする請求項9乃至13のうちいずれか一項記載の広告配信方法。
【請求項15】
前記第2のステップは、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応に基づいて、前記広告情報を提示するための条件であるルールを予め設定し、前記広告出稿情報の中から前記ルールに適合する広告出稿情報を前記広告候補として抽出することを特徴とする請求項10又は11記載の広告配信方法。
【請求項16】
前記広告出稿情報又は前記広告候補を選択するステップは、
前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況と、前記過去の広告情報提示時のユーザの反応のそれぞれについて予め設けた一又は二以上の項目のそれぞれについて前記確率計算手段で計算した複数の前記確率に連動する確率でランダムに前記抽出した前記広告候補から広告候補を選択することを特徴とする請求項9乃至13のうちいずれか一項記載の広告配信方法。
【請求項17】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、コンピュータを用いてネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信用プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の目的地を含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存している記憶手段の前記広告出稿情報の中から、前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の現在の状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置のユーザの属性と前記状況情報とに基づいて、広告候補を抽出する第1のステップと、
前記第1のステップで抽出した前記広告候補毎にその広告候補を前記ユーザに提示したときの該ユーザが示す反応の確率を、前記記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報と、前記被広告情報配信装置からの前記広告情報配信要求に含まれる装置識別情報に対応した前記ユーザの属性及び該装置の現在の状況を示す状況情報とを用いて計算する第2のステップと、
前記第2のステップで計算した前記確率に基づいて、前記抽出した前記広告候補から配信する広告候補を選択する第3のステップと、
前記第3のステップで選択された前記広告候補を広告情報として前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する第4のステップと、
前記被広告情報配信装置に配信された前記広告情報に対する前記ユーザの反応情報を、前記被広告情報配信装置から前記ネットワークを介して装置識別情報と共に取得する第5のステップと、
前記第5のステップにより取得した前記反応情報と装置識別情報とを、前記記憶手段に履歴情報として記憶する第6のステップと
を実行させることを特徴とする広告配信用プログラム。
【請求項18】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバが、広告情報の配信を受ける移動自在な被広告情報配信装置からの広告情報配信要求に従い、保存している前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、コンピュータを用いてネットワークを介して前記被広告情報配信装置へ配信する広告配信用プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記被広告情報配信装置のユーザの属性と、過去の広告情報提示時の前記被広告情報配信装置の移動ルートを含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて、前記広告出稿情報と共に保存している記憶手段の前記出稿情報の中から、前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求に従い、前記広告情報配信要求をした前記状況情報に基づいて、広告候補を抽出する第1のステップと、
前記広告情報配信要求に含まれる前記装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報により、前記記憶手段から読み出した前記ユーザの属性情報と履歴情報とに基づいて、前記抽出された広告候補の中から配信する広告候補を選択する第2のステップと、
選択された前記広告候補を前記広告情報配信要求をした前記被広告情報配信装置に前記ネットワークを介して配信する第3のステップと
を実行させることを特徴とする広告配信用プログラム。
【請求項19】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバに対して、ネットワークを介してコンピュータを用いて広告情報配信要求を行い、前記広告配信サーバにより前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、前記ネットワークを介して配信される、移動自在な被広告情報配信装置における広告配信用プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークを介して現在の状況を示す状況情報及び装置識別情報と共に前記広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う第1のステップと、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告情報を取得する第2のステップと、
前記第2のステップで取得した前記広告情報を前記ユーザに提示する第3のステップと、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記ネットワークを介して前記広告配信サーバへ前記装置識別情報と共に送信する第4のステップと
を実行させることを特徴とする広告配信用プログラム。
【請求項20】
少なくとも広告出稿者からの広告出稿情報を保存している広告配信サーバに対して、ネットワークを介してコンピュータを用いて広告情報配信要求を行い、前記広告配信サーバにより前記広告出稿情報の中から選択した広告情報を、前記ネットワークを介して配信される、移動自在な被広告情報配信装置における広告配信用プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記ネットワークを介して前記被広告情報配信装置からの装置識別情報及び該装置の変化しない状況を示す状況情報を含む広告情報配信要求を前記広告配信サーバに行う第1のステップと、
前記ネットワークを介して前記広告配信サーバから配信された前記広告候補を取得する第2のステップと、
前記第2のステップで取得した前記広告候補の中から予定移動ルート上の広告候補を抽出する第3のステップと、
前記第3のステップで抽出した前記広告候補毎にその広告候補を前記ユーザに提示したときの該ユーザが示す反応の確率を、ユーザの属性と、過去の広告情報提示時の少なくとも移動ルートを含む状況及び過去の広告情報提示時のユーザの反応を示す履歴情報とを対応付けて保存している記憶手段から読み出した前記ユーザの属性と、前記過去の広告情報提示時の状況及びユーザの反応を示す履歴情報とを用いて計算する第4のステップと、
前記第4のステップで計算した前記確率に基づいて、前記抽出した前記広告候補から配信する広告候補を選択する第5のステップと、
前記第5のステップで選択した前記広告情報を前記ユーザに提示する第6のステップと、
前記広告情報を前記ユーザに提示したときの前記ユーザの反応情報を取得して、前記記憶手段に記憶する第7のステップと
を実行させることを特徴とする広告配信用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−281726(P2008−281726A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125210(P2007−125210)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】