説明

広告配信システム及び広告配信方法

【課題】
広告配信システムにおいて、携帯端末に対しそのユーザに適した広告情報のみを配信して広告効果を高める。
【解決手段】
携帯端末10と、携帯端末10へ送信すべき広告を所定の選定条件に従って選定し、選定した広告情報を携帯端末10へ送信するサーバ30と、を有する広告配信システムであって、携帯端末10は、サーバ30から受信した広告情報に対するユーザのアクセス状況を示すアクセス情報をサーバ30へ送信するアクセス情報送信手段210を有し、サーバ30は、アクセス情報に基づいて上記選定条件を変更する条件属性変更手段416を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバから携帯端末に広告を配信する広告配信システム及び広告配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末に対し、その利用者の興味に応じた広告を提供するシステムが考案されている。
その一例として、携帯端末のユーザの行動履歴や位置情報等から、ユーザの趣味、嗜好、行動パターン等を判断し、その趣味、嗜好、行動パターンに応じた広告を、当該ユーザの携帯端末に配信する広告提供システムが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来の広告提供システムでは、例えばユーザの行動履歴から特定の野球場に行ったことがわかったとしても、その行動履歴に基づいてユーザが野球の試合を観戦に行ったと推定することが必ずしも適切であるとは限らない。例えば、ユーザのアルバイト先がその競技場であったかもしれないし、あるいは、ユーザはその競技場へ知人を迎えに行っただけであるかも知れないからである。そして、こうしたユーザの携帯端末に対して野球関連の広告情報を送信したとしても、そのユーザは当該広告情報にアクセスする確率は低く、十分な広告効果を得ることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−080733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、携帯端末に対しそのユーザに適した広告情報のみを配信して、広告効果を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、携帯端末と、前記携帯端末へ送信すべき広告に関する広告情報を所定の選定条件に従って選定し、選定した広告情報を前記携帯端末へ送信するサーバと、を有する広告配信システムであって、前記携帯端末は、前記サーバから受信した広告情報に対するユーザのアクセス状況を示すアクセス情報を前記サーバへ送信するアクセス情報送信手段を有し、前記サーバは、前記アクセス情報に基づいて前記選定条件を変更する選定条件変更手段を有する広告配信システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、携帯端末に対し、そのユーザに適した広告情報のみを配信するため、広告効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る広告配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本広告配信システムのサーバの記憶部が記憶する、施設情報の一例を示す図である。
【図3】本広告配信システムにおける選定配信処理の動作手順を示すフロー図である。
【図4】図3に示す選定配信処理における、滞留施設特定処理の手順を示すフロー図である。
【図5】図3に示す選定配信処理における、広告送信処理の手順を示すフロー図である。
【図6】本広告配信システムにおける選定条件変更処理の、携帯端末における処理の手順を示すフロー図である。
【図7】本広告配信システムにおける選定条件変更処理の、サーバにおける処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態に係る広告配信システムは、サーバが、所定の選定条件により選定した広告情報を携帯端末へ送信すると共に、携帯端末から、各広告に対するユーザのアクセス状況に関する情報を取得し、当該情報に基づいて、ユーザからアクセスされる確率の低い広告が選定されないように、上記選定条件を変更するものである。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る広告配信システムの構成を示すブロック図である。
本広告配信システム1は、携帯端末10と、携帯端末10へ広告情報を送信するサーバ30と、携帯端末10とサーバ30との間の通信路を構成するネットワーク6及び基地局4と、を有している。ここで、基地局4とサーバ30との間は、例えば、ネットワーク6により有線通信に接続され、基地局4と携帯端末10との間は、例えば、無線通信により接続されている。
【0011】
次に、携帯端末10の構成について説明する。
図1において、携帯端末10に付された吹き出しは携帯端末10の構成を示している。
【0012】
携帯端末10は、基地局4及びネットワーク6を介してサーバ30と通信するための通信部11と、携帯端末10のユーザに、地図や広告等の種々の情報を表示する表示部12と、ユーザが携帯端末10に指示やデータを入力するための操作部13と、携帯端末10の現在位置に関する位置情報(例えば、緯度及び経度)を取得するためのGPSモジュール14と、時刻や時間を計測するタイマ15と、上記各部を制御する制御部20と、を有している。
【0013】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータであり、GPSモジュール14により現在位置の位置情報を取得すると共に、当該位置情報を取得したときの時刻をタイマ15から取得する位置情報取得手段202と、取得した位置情報及びその取得した時刻、並びに、当該携帯端末10を識別するための識別子(ID:Identifier)を含む端末情報を、通信部11を介してサーバ30へ送信する端末情報送信手段204と、を有している。
【0014】
また、制御部20は、サーバ30から受信した広告情報を表示部12に表示する表示制御手段206と、上記受信した広告情報に対するユーザのアクセスの状況を示すアクセス情報を記憶する、RAM等で構成されるアクセス情報記憶手段208と、当該アクセス情報をサーバ30へ送信するアクセス情報送信手段210と、を有している。ここで、上記アクセス情報は、例えば、受信した広告情報と、当該広告情報が受信されてからユーザによりアクセスされるまでの時間(アクセス時間)により構成される。
【0015】
なお、上述した各手段は、アクセス情報記憶手段208を除き、プログラムにより実現される制御部(コンピュータ)20の機能実現手段である。
また、コンピュータ・プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0016】
次に、サーバ30の構成について説明する。
図1において、サーバ30に付された吹き出しはサーバ30の構成を示している。
【0017】
サーバ30は、ネットワーク6及び基地局4を介して携帯端末10と通信するための通信部32と、携帯端末10への広告情報の送信等の処理を行なう処理部40と、処理部40が処理を実行する際に必要な各種の情報を記憶する、固定ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)等による記憶部50と、を有している。
【0018】
ここで、所定の施設の位置情報と当該施設の属性を示す施設属性から成る施設情報を記憶する施設情報記憶手段は、例えば記憶部50により構成される。
【0019】
図2は、サーバ30の記憶部50が記憶する施設情報の一例を示す図である。
施設情報は、例えば、施設名、所在地情報、及び施設属性で構成される。ここで、「所在地情報」は、当該施設の位置情報であり、例えば、当該施設が占める地理上の矩形領域の、四隅の経度・緯度で構成される。
図2では、例えば、「A競技場」について、その所在地が4つの経度・緯度(X1,Y1)(X2,Y2)(X3,Y3)(X4,Y4)で与えられ、施設属性として「遊興施設」「スポーツ観戦」「サッカー」の3つの属性が付与されている。
【0020】
また、記憶部50は、携帯端末10へ送信される広告情報と当該広告情報で表される広告が扱う商品やサービスの属性を表す広告属性とで構成される広告データを記憶する。ここで、上記広告データは広告主から提供され、予め記憶部50に記憶される。また、広告データを構成する広告情報には、例えば、商品の画像や、当該商品についてのより詳しい情報が掲載されたWebサイト(広告サイト)のアドレスを含めることができる。なお、広告についての所定の分類は、例えば上記の広告属性を用いることができる。
【0021】
サーバ30は、上記広告データに含まれた広告情報を、例えば電子メールとして携帯端末10へ送信することができる。そして、携帯端末10のユーザは、携帯端末10が受信した当該電子メールを参照し、当該広告情報の広告に興味があれば、電子メールに含まれているアドレスにより、広告サイトにアクセスすることができる。
【0022】
さらに、記憶部50は、携帯端末10の移動履歴と、各携帯端末10に送信する広告情報として選定すべき広告の広告属性(条件属性)を記録した条件属性情報も記憶する。ここで、移動履歴は、各携帯端末10の位置と時刻とを記録した情報であり、各携帯端末10から定期的に送信される端末情報に基づいて作成される。また、条件属性情報に記録する条件属性は、各携帯端末10のユーザが滞留した施設(滞留施設)の施設情報に基づいて、後述する条件属性決定手段406により決定される。
【0023】
次に、処理部40は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータである。処理部40は携帯端末10から定期的に送信される端末情報を受信して、当該携帯端末10のユーザの移動履歴を記憶部50に記憶する端末情報受信手段402と、記憶部50が記憶する施設情報を参照し、上記移動履歴に基づき、ユーザが所定時間以上にわたって滞留した施設(滞留施設)と、当該滞留施設の施設属性とを特定する滞留施設特定手段404と、を有している。
【0024】
また、処理部40は、上記滞留施設の施設属性に基づき、携帯端末10に送信する広告情報の選定条件、すなわち条件属性を決定して、記憶部50が記憶する条件属性情報に記録する条件属性決定手段406と、当該条件属性情報に含まれた条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報を抽出して携帯端末10へ送信する広告送信手段408と、を有している。
【0025】
さらに、処理部40は、携帯端末10からアクセス情報を受信するアクセス情報受信手段410と、受信したアクセス情報に基づき、携帯端末10に送信された広告情報に係る広告属性毎に、当該携帯端末10が受信した広告情報の総数に対する、ユーザによりアクセスされた広告情報の数の比率(アクセス率)を算出するアクセス率算出手段412と、を有している。
【0026】
また、処理部40は、上記受信したアクセス情報に基づき、携帯端末10に送信された広告情報に係る広告属性毎に、当該携帯端末10において広告情報が受信されてから当該広告情報にユーザがアクセスするまでの経過時間(アクセス時間)の平均値(アクセス平均時間)を算出する平均時間算出手段414と、上記アクセス率及びアクセス平均時間に基づき、アクセス率が所定の比率より小さい広告属性又はアクセス平均時間が所定時間より長い広告属性と同じ条件属性を、記憶部50が記憶する条件属性情報から削除する条件属性変更手段416と、を有している。
【0027】
ここで、携帯端末10に送信すべき広告情報の選定条件を決定する選定条件決定手段は、例えば、条件属性決定手段406により構成され、上記選定条件を変更する選定条件変更手段は、例えば条件属性変更手段416により構成される。
【0028】
なお、処理部40が有する上述の各手段は、プログラムにより実現される処理部(コンピュータ)40の機能実現手段である。
また、コンピュータ・プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0029】
上記の構成を有する広告配信システム1は、携帯端末10及びサーバ30の電源を投入すると、携帯端末10が定期的に現在時刻、現在位置情報、端末ID(識別子)を含む端末情報をサーバ30へ送信し、サーバ30は受信した端末情報に基づいて携帯端末10毎の移動履歴を記憶する。この移動履歴に基づき、サーバ30は、携帯端末10のユーザが所定時間以上にわたって留まった滞留施設とその滞留施設の施設属性を特定し、特定した滞留施設の施設属性から、携帯端末10へ送信する広告の選定条件、すなわち条件属性を決定する。そして、当該条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報を選定して、当該携帯端末10へ送信する。
【0030】
また、サーバ30は、携帯端末10から各広告情報についてのアクセス情報を受信して、広告属性毎に、携帯端末10におけるアクセス率及びアクセス平均時間を算出する。ここで、ユーザが興味を持っていない商品やサービスについての広告情報は、一般に、アクセス率が小さく、アクセス平均時間が長くなる。
【0031】
サーバ30は、記憶部50が記憶する条件属性情報から、アクセス比率が所定の比率より小さい広告属性と同じ条件属性又はアクセス平均時間が所定の時間より長い広告属性と同じ条件属性を削除する。
【0032】
これにより、本広告配信システム1は、ユーザが興味を持っていない広告情報を送信対象から除外し、ユーザの趣味、嗜好に適した広告情報のみを携帯端末10へ送信して、広告効果を高めることができる。
【0033】
次に、広告配信システム1の動作手順について説明する。
広告配信システム1の動作は、以下の2つの動作で構成される。
(1)選定配信処理
本処理は、サーバ30が、条件属性情報に記録された条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報を選定して、携帯端末10へ送信する処理である。なお、本処理では、広告情報の送信に先立って、携帯端末10のユーザが滞留した滞留施設とその施設属性を特定し、当該施設属性に基づいて当該携帯端末10についての条件属性を決定して、条件属性情報に記録する処理も行われる。
(2)選定条件変更処理
サーバ30が、携帯端末10からアクセス情報を受信し、受信したアクセス情報に基づいて、条件属性情報に記録された条件属性、すなわち携帯端末10へ送信する広告情報の選定条件を、変更する処理である。
【0034】
以下、選定配信処理及び選定条件変更処理の手順について、順に説明する。
【0035】
(1)選定配信処理
まず、選定配信処理の動作手順について、図3に示すフロー図にしたがって説明する。なお、図3の左側は携帯端末10における処理、同図右側はサーバ30における処理を示しており、左右のフロー図の間に描かれた折れ線矢印は、通信により携帯端末10とサーバ30との間でデータの授受が行なわれることを示している。また、本選定配信処理は、携帯端末10及びサーバ30の電源を投入することにより動作を開始する。
【0036】
動作を開始すると、まず、携帯端末10は、位置情報取得手段202により、所定の時間間隔(例えば5分毎に)で、GPSモジュール14により現在位置の位置情報を取得する。また、それと共に、タイマ15により当該位置情報を取得した時の時刻を取得し(S101)、取得した時刻及び位置情報、並びに当該携帯端末10を識別する端末IDとを含む端末情報を、端末情報送信手段204によりサーバ30へ送信する(S102)。
【0037】
次に、サーバ30は、端末情報受信手段402により、携帯端末10から送信された端末情報を受信し(S201)、受信した端末情報から位置情報、時刻、端末IDを抽出して、抽出した位置情報及び時刻を、端末ID毎に、記憶部50が記憶する移動履歴に追加する(S202)。
【0038】
続いて、サーバ30は、滞留施設特定処理を実行する(S203)。この滞留施設特定処理では、滞留施設特定手段404により、記憶部50が記憶する移動履歴と施設情報とを参照して、携帯端末10のユーザが所定時間以上にわたって留まった施設(滞留施設)とその施設情報を特定し、条件属性決定手段406により、当該施設属性に基づいて、携帯端末10に対し送信すべき広告情報の選定に用いる条件属性を決定して、決定した条件属性を端末ID毎に、記憶部50が記憶する条件属性情報に記録する。なお、滞留施設特定処理の手順については後述する。
【0039】
次に、サーバ30は、広告送信処理を実行して、広告情報を携帯端末10へ送信する(S204)。この広告送信処理では、広告送信手段408が、記憶部50が記憶する条件属性情報と広告データとを参照し、広告データから、条件属性情報に含まれた条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報を選定して、携帯端末10へ送信する。なお、広告送信処理の手順については後述する。
【0040】
続いて、携帯端末10は、サーバ30が送信した広告情報を受信して、表示制御手段206により表示部12に表示する(S103)。
【0041】
次に、滞留施設特定処理(図3のステップS203)の手順について、図4に示すフロー図にしたがって説明する。
処理を開始すると、サーバ30の滞留施設特定手段404は、携帯端末10毎に、記憶部50が記憶する移動履歴を参照し、所定時間以上に亘って所定の広さの領域にユーザが留まったか否かを判断する(S301)。そして、留まったときは(S301、Yes)、記憶部50が記憶する施設情報を参照し、当該ユーザが留まった時間内における携帯端末10の位置情報から、当該ユーザが留まった施設(滞留施設)とその施設属性を特定する(S302)。
【0042】
ここで、ステップS301における「所定の広さの領域」は、GPSモジュール14により取得される位置情報の精度に基づいて決定され、例えば半径100mの円とすることができる。また、「所定時間」とは、例えば30分とすることができる。
なお、領域及び所定時間として上記の値を用いたときは、例えば、連続して受信された7つの位置情報(5分毎に30分間にわたって受信される位置情報の最大数)で特定される位置が半径100mの円内であったときは、当該領域内にユーザが留まったと判断することができる。
【0043】
続いて、条件属性決定手段406は、上記滞留施設の施設属性に基づき、携帯端末10へ送信する広告を選定する際の条件属性を決定し(S303)、決定した条件属性を、記憶部50が記憶する条件属性情報に記録して(S304)、処理を終了する。
【0044】
例えば、ステップS303において、図2に示す施設情報が参照され、滞留施設として図2に示すA競技場が特定された場合、そのA競技場に付された施設属性から、例えば施設属性2の「スポーツ観戦」を、条件属性として決定することができる。なお、滞留施設に複数の施設属性が付されている場合に、いずれの施設属性を広告属性として決定するかは、予めルールとして決定しておくことができる。
【0045】
一方、ステップS301において、所定時間以上にわたって所定の広さの領域に留まっていないときは(S301、No)、そのまま処理を終了する。
【0046】
次に、広告送信処理(図3のステップS204)の手順について、図5に示すフロー図にしたがって説明する。
処理を開始すると、まず、サーバ30の広告送信手段408は、記憶部50が記憶する条件属性情報を参照して、当該条件属性情報に、携帯端末10についての条件属性が記録されているか否かを判断し(S401)、記録されているときは(S401、Yes)、記憶部50が記憶する広告データに、条件属性情報に記録されている条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報があるか否かを判断する(S402)。
【0047】
そして、当該広告情報があるときは(S402、Yes)、当該広告情報を携帯端末10に送信して(S403)、処理を終了する。
これにより、例えば、条件属性として「スポーツ観戦」が決定されている場合に、記憶部50に記憶されている広告データの中から、「スポーツ観戦」を広告属性とする広告情報として、「スポーツショップ甲社」の商品画像と甲社ホームページのアドレスで構成される広告情報が選定され、当該広告情報が携帯端末10に送信される。なお、広告情報の送信形態は、例えば電子メールとすることができる。
【0048】
一方、ステップS401において条件属性が記録されていないとき(S401、No)、又は、ステップS402において、条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報がないときは(S402、No)、そのまま処理を終了する。
【0049】
(2)選定条件変更処理
次に、広告配信システム1の選定条件変更処理の動作手順について説明する。
選定条件変更処理は、図6に示す携帯端末10における処理と、図7に示すサーバ30における処理で構成される。
この選定条件変更処理は、携帯端末10がサーバ30から受信した広告情報にユーザがアクセスしたとき、又は、広告情報の受信後、当該広告情報がアクセスされることなく所定の時間を経過したときに、携帯端末10から動作を開始する。
【0050】
まず、選定条件変更処理の、携帯端末10における処理手順を、図6に示すフロー図にしたがって説明する。
【0051】
ここで、「広告情報にユーザがアクセスした」とは、携帯端末10の表示部12によりユーザが当該広告情報を閲覧しただけでなく、当該広告情報に含まれるアドレスにより特定されるWebサイトを表示部12に表示したことを言う。このWebサイトの表示は、例えば、ユーザが、表示部12に表示された広告情報の一部であるWebサイトアドレスを、操作部13により選択等することにより行なうものとすることができる。
【0052】
処理を開始すると、まず、携帯端末10は、ユーザが広告情報にアクセスしたか否かを判断し(S501)、アクセスしたときは(S501、Yes)、アクセス情報記憶手段208が記憶するアクセス情報を参照して、当該アクセスが、当該広告情報についての1回目のアクセスか否かを判断する(S502)。
【0053】
そして、1回目のアクセスであるときは(S502、Yes)、当該広告情報が受信されてからアクセスされるまでに経過した時間(アクセス時間)を算出し(S503)、当該広告情報と算出したアクセス時間とで構成されるアクセス情報を、アクセス情報記憶手段208に記憶する(S504)。なお、このアクセス時間は、例えば、受信した広告情報毎にその受信時刻をRAM等に記憶しておき、アクセスされた時刻と受信時刻から算出するものとすることができる。
【0054】
一方、当該広告情報についての1回目のアクセスでないときは(S502、No)、そのまま処理を終了する。
また一方、ステップS501において、ユーザが広告情報にアクセスしていないときは(S501、No)、受信されたいずれかの広告情報が、その受信後、アクセスされることなく所定時間を経過したということであるので、携帯端末10は、当該広告情報のみから成るアクセス情報を、アクセス情報記憶手段208に記憶する(S505)。
【0055】
これにより、アクセス時間を含むアクセス情報を参照すれば、ユーザによりアクセスされた広告情報とそのアクセス時間を知ることができ、アクセス時間を含まないアクセス情報を参照すれば、ユーザによりアクセスされなかった広告情報を特定することができる。
【0056】
なお、広告情報の代わりに当該広告情報を識別する広告IDを用いてアクセス情報を構成してもよい。この場合には、図5のステップS403において広告情報を送信する際に、当該広告情報に広告IDを付して送信すればよい。
【0057】
次に、携帯端末10のアクセス情報送信手段210は、サーバ30へ送信されていないアクセス情報の数が所定数に達したか否かを判断し(S506)、到達したときは(S506、Yes)、未送信のアクセス情報をサーバ30へ送信して(S507)、処理を終了する。
【0058】
一方、ステップS506において、サーバ30へ送信されていないアクセス情報の数が所定数に達していないときは(S506、No)、そのまま処理を終了する。ここで、上記所定数としては、後述する広告属性毎のアクセス率又はアクセス平均時間が適切に算出されるように、例えば、同じ広告属性を持つ広告情報についてのアクセス情報が10個程度含まれる数とすることができる。
なお、本処理の終了後は、携帯端末10は、図3に示す選定配信処理に移る。
【0059】
次に、選定条件変更処理の、サーバ30における処理手順を、図7に示すフロー図にしたがって説明する。
サーバ30における処理は、図6のステップS507により携帯端末10から送信されたアクセス情報を、サーバ30のアクセス情報受信手段410が受信することにより動作を開始する。
【0060】
サーバ30のアクセス情報受信手段410は、アクセス情報を受信すると、受信したアクセス情報から、広告情報とその広告情報のアクセス時間を抽出すると共に、記憶部50が記憶する広告データを参照し、抽出した広告情報の広告属性を特定する(S601)。
【0061】
次に、サーバ30のアクセス率算出手段412は、広告属性毎に、アクセス情報から抽出された広告情報の総数に対するアクセスされた広告情報の数の比率(アクセス率)を算出する(S602)。
【0062】
上記のように算出されたアクセス率は、ユーザの趣味・嗜好を知る手がかりとなる。すなわち、アクセス率が高い広告属性は、ユーザが興味を持っている分野であり、逆に、アクセス率の低い広告属性は、ユーザが興味を持っていない分野であると判断することができる。
【0063】
次に、サーバ30の平均時間算出手段414は、広告属性毎に、アクセス時間が付された広告情報について、アクセス時間の平均時間(アクセス平均時間)を算出する(S603)。なお、平均時間を算出する際には、アクセス時間の短い方から所定の件数(例えば5件)及び/又は長い方から所定件数(例えば5件)については算出対象から除外するようにしてもよい。
【0064】
上記のように算出されたアクセス平均時間は、上記アクセス率と同様に、ユーザの趣味・嗜好を知る手がかりとなる。すなわち、アクセス平均時間の短い広告属性は、ユーザが興味を持っている分野であり、逆に、アクセス平均時間の長い広告属性は、ユーザが興味をもっていない分野であると判断することができる。
【0065】
続いて、サーバ30の条件属性変更手段416は、アクセス率が所定の比率より小さいか、又は、アクセス平均時間が所定の時間より長い広告属性(興味外広告属性)があるか否かを判断する(S604)。そして、そのような興味外広告属性があるときは(S604、Yes)、記憶部50が記憶する条件属性情報から、興味外広告属性と同じ条件属性を削除して(S605)、処理を終了し、一方、興味外広告属性がないときは(S604、No)、そのまま処理を終了する。
【0066】
なお、ステップS605においては、広告属性のアクセス率の値に応じて、条件属性情報に含まれた当該広告属性と同じ条件属性を、予め定めた他の条件属性に変更するものとしてもよい。例えば、広告属性「サッカー」のアクセス率が所定の範囲(例えば10%以上50%未満)のときは、条件属性を「サッカー」から「スポーツ観戦」に変更するものとしてもよい。具体的には、条件属性毎に、変更すべき条件属性との対応関係を予め記憶部50に記憶しておき、アクセス率が所定の範囲であるときに、記憶部50が記憶する上記対応関係を参照して、条件属性を変更することができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、サーバ30は、携帯端末10毎に、携帯端末10へ送信すべき広告情報の広告属性(条件属性)を定めて条件属性情報として記憶し、条件属性情報に含まれる条件属性と同じ広告属性を持つ広告情報を携帯端末10へ送信する。そして、送信された広告情報についての、当該携帯端末10における広告属性毎のアクセス率又はアクセス平均時間に基づいて、上記条件属性情報に含まれる条件属性を削除又は変更する。
【0068】
すなわち、本実施形態に係る広告配信システム1は、上記アクセス率又はアクセス平均時間により、各広告属性についてのユーザの興味の程度を測定し、ユーザの興味の低い広告属性を、アクセス率が低いか又はアクセス平均時間の長い広告属性として特定して、当該広告属性を上記条件属性から削除又は変更する。
【0069】
これにより、本広告配信システム1は、各携帯端末10に対し、そのユーザの興味(趣味・嗜好)に合致した広告情報のみを配信して、広告効果を高めることができる。
【0070】
なお、施設情報は、施設が占める地理上の矩形領域の四隅の位置情報(例えば経度・緯度)で構成される場合に限らず、代表点として1つの位置情報(例えば経度・緯度)から構成されてもよい。滞留施設特定手段404は、所定時間以上に亘って所定の地点から一定距離以内にいた場合に、当該施設にユーザが滞留していたと判断することができる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・広告配信システム、4・・・基地局、6・・・ネットワーク、10・・・携帯端末、11、32・・・通信部、12・・・表示部、13・・・操作部、14・・・GPSモジュール、15・・・タイマ、20・・・制御部、30・・・サーバ、40・・・処理部、50・・・記憶部、202・・・位置情報取得手段、204・・・端末情報送信手段、206・・・表示制御手段、208・・・アクセス情報記憶手段、210・・・アクセス情報送信手段、402・・・端末情報受信手段、404・・・滞留施設特定手段、406・・・条件属性決定手段、408・・・広告送信手段、410・・・アクセス情報受信手段、412・・・アクセス率算出手段、414・・・平均時間算出手段、416・・・条件属性変更手段。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、前記携帯端末へ送信すべき広告に関する広告情報を所定の選定条件に従って選定し、選定した広告情報を前記携帯端末へ送信するサーバと、を有する広告配信システムであって、
前記携帯端末は、前記サーバから受信した広告情報に対するユーザのアクセス状況を示すアクセス情報を前記サーバへ送信するアクセス情報送信手段を有し、
前記サーバは、前記アクセス情報に基づいて前記選定条件を変更する選定条件変更手段を有する広告配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載された広告配信システムにおいて、
前記アクセス情報は、前記携帯端末が前記サーバから受信した広告情報に対するユーザのアクセスの有無に関する情報を含み、
前記サーバは、
前記アクセス情報に基づいて、前記広告情報についての所定の分類毎に、前記携帯端末に送信された広告情報の総数に対する、ユーザによるアクセスのあった広告情報の数の比率を示すアクセス率を算出するアクセス率算出手段を有し、
前記選定条件変更手段は、前記アクセス率が所定の比率より小さい前記分類に係る広告情報が選定対象から排除されるように、前記選定条件を変更する広告配信システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された広告配信システムにおいて、
前記アクセス情報は、前記携帯端末が前記サーバから広告情報を受信してからユーザによって広告情報がアクセスされるまでのアクセス時間に関する情報を含み、
前記サーバは、
前記アクセス情報に基づいて、前記広告情報についての所定の分類毎に、前記アクセス時間の平均時間を算出する平均時間算出手段を有し、
前記選定条件変更手段は、前記平均時間が所定の時間より長い前記分類に係る広告情報が選定対象から排除されるように、前記選定条件を変更する広告配信システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された広告配信システムにおいて、
前記携帯端末は、現在位置の位置情報を含む端末情報を前記サーバへ送信する端末情報送信手段を有し、
前記サーバは、
所定の施設について、各施設の位置情報と当該施設の属性を示す施設属性から成る施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
前記施設情報を参照して、前記携帯端末から受信した前記位置情報に基づき、ユーザが所定時間以上にわたって滞留した滞留施設と、前記滞留施設の施設属性とを特定する滞留施設特定手段と、
前記滞留施設の施設属性に基づいて前記選定条件を決定する選定条件決定手段と、
を有する広告配信システム。
【請求項5】
携帯端末と、前記携帯端末へ送信すべき広告情報を所定の選定条件にしたがって選定し、選定した広告情報を前記携帯端末へ送信するサーバと、を有する広告配信システムにおける広告配信方法であって、
前記携帯端末が、前記サーバから受信した広告情報に対するユーザのアクセス状況を示すアクセス情報を、前記サーバへ送信する工程と、
前記サーバが、前記送信する工程において送信された前記アクセス情報を受信し、前記アクセス情報に基づいて前記選定条件を変更する工程と、
を有する広告配信方法。


【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−216087(P2012−216087A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81102(P2011−81102)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)