説明

広域撮影制御システム

【課題】航空機等により広域災害における画像収集を行う際に、災害が発生したと考えられる特定の場所を正確且つ迅速に複数回撮影することができる広域撮影制御システムを提供する。
【解決手段】飛しょう体に搭載され、上空から地上を撮影するカメラ1と、飛しょう体に搭載され、カメラ1により撮影された複数の画像データの各々に対して位置情報を関連付ける画像処理部21と、カメラ1により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与するイベントフラグ付与部24と、イベントフラグ付与部24によりイベントフラグが付与された1以上の画像データに対して画像処理部21が関連付けた位置情報に基づいて、再撮影を行うための再撮影計画を生成する再撮影計画部26と、飛しょう体に搭載され、再撮影計画部26により生成された再撮影計画に基づいてカメラ1を制御する撮影制御部27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、広域災害の検出を目的とした航空機等による上空からの撮影の制御を行う広域撮影制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、広域における災害発生箇所を検出するために、航空機等にカメラを搭載し、高所から撮影した地上の画像を目視することにより災害場所を特定するといった方法が採用されている。航空機等から撮影した画像を地上に持ち帰って現像し、目視により災害場所の特定を行うとすると、特に広範囲をカバーする必要がある場合において長時間を要してしまい、迅速な災害箇所の特定が困難になるという問題点がある。
【0003】
そこで、近年においては、ディジタル化された画像をモニターに写して確認することにより、現像に要する時間を短縮する手法が採られている。この場合においては、電子データによる画像を航空機から無線で地上に送信することにより、さらに時間の短縮を図ることができる。
【0004】
また、赤外線センサを用いた場合には、非接触温度測定を行うことができるため、赤外線画像中の各部における温度を数値化して高温部を容易に検出することができ、航空機による収集画像から即座に火災を検出する方法として有効である。このような温度測定を利用する検出方法は、必ずしも火災検出のみならず、例えば地すべり等が発生した結果、森林の中の一部の地域における木々が不自然に失われることで発生する温度差を検出することも可能である。
【0005】
さらに、災害等の発生確率が高いと予想される地域の画像を通常のカメラで予め撮影しておき、災害発生後に撮影した光学画像を災害前の画像と比較することにより災害発生箇所の検出を行う方法も知られている。災害発生前後の画像を比較することにより、火災のみならず地すべり等も視覚的に容易且つ適切に認識することができ、有効な方法であると言える。ただし、通常のカメラによる光学画像は、煙の出ていない火災や夜間における災害検出が困難であるという問題点を有するため、状況に応じて上述した赤外線センサによる温度測定を併用する方法を採用する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−61398号公報
【特許文献2】特開平10−285583号公報
【特許文献3】特開2003−115091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
広域災害においては、災害発生場所は複数に渡り、それを素早く見つけることは非常に重要である。しかしながら、広域災害では必然的に広範囲での画像収集を行うことになるため、画像処理に時間がかかり、上述した手段を用いても検出までに時間がかかってしまう。その結果、災害発生場所における詳細な被害の状況や被害の拡大程度等を確認するために再撮影が必要な場合においても、災害発生場所の正確且つ迅速な位置情報の把握が困難であり、航空機等による再撮影に長時間を要するという問題がある。
【0008】
また、航空機からの無線通信で画像を伝送するようなシステムの場合、伝送路の容量が不十分で収集した画像全てをリアルタイムに伝送することができないため、伝送機能を有していたとしても処理が航空機の帰投後となってしまい、結局時間がかかるという問題点がある。
【0009】
特に、高画質化を目的とした技術の発達により、近年におけるディジタル画像は画素数が飛躍的に増大しており、広範囲の画像を収集する必要があることも考え合わせると、データ容量は膨大なものとなるため、無線通信による伝送や画像処理に長時間を要してしまい、迅速な災害検出に支障をきたす結果となる。仮に、膨大なデータ量を処理することができる高機能な専用装置を用意したとしても、装置が大掛かりになるとともに高コスト化するという問題点がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するもので、航空機等により広域災害における画像収集を行う際に、災害が発生したと考えられる特定の場所を正確且つ迅速に複数回撮影することができる広域撮影制御システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の広域撮影制御システムは、上記課題を解決するために、飛しょう体に搭載され、上空から地上を撮影する撮影部と、前記飛しょう体に搭載され、前記撮影部により撮影された複数の画像データの各々に対して位置情報を関連付ける画像処理部と、前記撮影部により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与するイベントフラグ付与部と、前記イベントフラグ付与部によりイベントフラグが付与された1以上の画像データに対して前記画像処理部が関連付けた位置情報に基づいて、再撮影を行うための再撮影計画を生成する再撮影計画部と、前記飛しょう体に搭載され、前記再撮影計画部により生成された再撮影計画に基づいて前記撮影部を制御する撮影制御部とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の形態の広域撮影制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1の形態の広域撮影制御システムの別の構成例を示すブロック図である。
【図3】実施例2の形態の広域撮影制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、広域撮影制御システムの実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
以下、実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例1の広域撮影制御システムの構成を示すブロック図である。本実施例の広域撮影制御システムは、図1に示すように、カメラ1、収集センサ制御部2a、及び表示部3により構成される。また、収集センサ制御部2aは、画像処理部21、画像蓄積部22、画像表示部23、イベントフラグ付与部24、自機情報収集部25、再撮影計画部26、及び撮影制御部27により構成される。
【0015】
これらのカメラ1と収集センサ制御部2aと表示部3とは、飛しょう体(本実施例においては航空機)に搭載されている。
【0016】
カメラ1は、本発明の撮影部の一例であり、飛しょう体に搭載され、上空から地上を撮像する。このカメラ1により撮像された画像は、普通の光学画像でもよいし、赤外線画像でもよい。なお赤外線画像の場合には、カメラ1は、赤外線センサを利用して、上空から地上の赤外線画像を撮影するので、非接触温度測定を行い、撮影した地上の温度分布を画像表示するための画像データを取得することができる。
【0017】
収集センサ制御部2aは、飛しょう体に搭載され、カメラ1により撮影された画像を収集し、必要な処理を行う。以下、収集センサ制御部2a内の各構成について具体的に説明する。
【0018】
画像処理部21は、飛しょう体に搭載され、カメラ1により撮影された画像を収集し、収集した複数の画像データの各々について処理を行う。具体的には、画像処理部21は、カメラ1が撮影を行った際の位置情報(緯度・経度等)を記憶しており、複数の画像データの各々に対して位置情報を関連付ける。この位置情報は、例えばGPS(Global Positioning System)により得ることができる。画像処理部21は、自らGPSを備えていてもよいし、GPSを有する自機情報収集部25から位置情報を得てもよい。
【0019】
画像蓄積部22は、カメラ1により撮像された画像データを蓄積する。具体的には、画像蓄積部22は、画像処理部21に接続されており、画像処理部21により収集された画像を位置情報とともに蓄積する。また、画像蓄積部22は、必要に応じて指令信号により、後述する画像表示部23に特定の画像を表示させてもよい。
【0020】
画像表示部23は、画像蓄積部22に蓄積された画像を必要に応じて表示する。例えば、画像表示部23は、ユーザが外部入力により指定した画像データを画像蓄積部22から取得して表示してもよい。
【0021】
イベントフラグ付与部24は、飛しょう体に搭載され、カメラ1により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与する。ここで、イベントフラグは、災害検出を行う上での重要度を示すフラグである。画像データ選択の方法は色々と考えられるが、ここでは、イベントフラグ付与部24は、ユーザが外部入力により指定した画像データを選択するものとする。
【0022】
具体的には、ユーザは、画像表示部23に表示された画像を確認し、火災や地すべり等の災害が発生したと思われる画像を選択し、図示されないキーボード等の入力装置を介して該当する画像を指定する。イベントフラグ付与部24は、ユーザにより指定された画像の画像データにイベントフラグを付与し、画像蓄積部22に記憶させる。
【0023】
自機情報収集部25は、飛しょう体の情報を自機情報として収集する。具体的には、自機情報収集部25は、現在の飛しょう体の位置、高度、向き、及び速度のうち少なくとも1つを自機情報として収集する。本実施例においては、自機情報収集部25は、上述した全ての情報を収集するものとする。例えば、自機情報収集部25は、GPSを有しており、現在の飛しょう体の位置(緯度・経度)を自機情報として収集する。
【0024】
再撮影計画部26は、飛しょう体に搭載され、イベントフラグ付与部24によりイベントフラグが付与された1以上の画像データに対して画像処理部21が関連付けた位置情報に基づいて、再撮影を行うための再撮影計画を生成する。具体的には、再撮影計画部26は、撮影航路情報(以下、航路という)、撮影エリア、撮影方向、撮影のタイミング(自機の位置と撮影可能エリアの関係から生成される)のうち少なくとも1つを再撮影計画の一部として生成する。例えば、再撮影計画部26が再撮影計画の一部として生成する航路は、イベントフラグが付与された災害が発生したと思われる箇所を結ぶような航路であり、再撮影を効率よく行うための航路計画となっている。なお、本実施例においては、再撮影計画部26は、上述した全ての情報を再撮影計画の一部として生成するものとする。
【0025】
撮影制御部27は、飛しょう体に搭載され、再撮影計画部26により生成された再撮影計画に基づいてカメラ1を制御する。例えば、撮影制御部27は、再撮影計画に含まれる撮影方向に基づいて、カメラ1の向きや角度を調整する。さらに、撮影制御部27は、再撮影計画に含まれる撮影のタイミングに基づいて、カメラ1に撮影させる。
【0026】
また、撮影制御部27は、さらに自機情報収集部25により収集された自機情報に基づいてカメラ1を制御する。例えば、撮影制御部27は、自機情報に含まれる現在の飛しょう体の位置、高度、向き、及び速度に基づいて、相対的にカメラ1を向けるべき方向や撮影タイミングを知ることができ、より正確にカメラ1を制御することができる。
【0027】
表示部3は、必要に応じて撮影制御部27による制御状況を表示する。例えば、表示部3は、再撮影計画が含む航路や自機の位置、再撮影を行うポイント等を表示することができる。ただし、表示部3は、必須の構成ではなく、特に撮影制御部27による制御の状況を表示する必要が無い場合には、必ずしも設置されていなくてもよい。また、表示部3を設置する代わりに、画像表示部23が表示部3の役割を担ってもよい。
【0028】
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。最初に、飛しょう体に搭載されたカメラ1は、上空から地上の画像を撮影する。この際に、画像処理部21は、カメラ1により撮影された画像を収集し、収集した複数の画像データの各々に対して位置情報を関連付けた後に、画像蓄積部22に出力する。画像蓄積部22は、画像処理部21により収集・処理された画像を蓄積する。
【0029】
次に、ユーザは、キーボード等を操作することにより画像蓄積部22に蓄積された画像を画像表示部23に表示させる。ユーザは、画像表示部23に表示された画像を確認し、キーボード等を操作することにより災害が発生していると思われる画像を指定する。イベントフラグ付与部24は、ユーザにより指定された1以上の画像データに対してイベントフラグを付与し、画像蓄積部22に記憶させる。
【0030】
一方、自機情報収集部25は、現在の飛しょう体の位置、高度、向き、及び速度の情報を自機情報として収集し、撮影制御部27に出力する。また、再撮影計画部26は、画像蓄積部22に蓄積された画像データを取得し、イベントフラグ付与部24によりイベントフラグが付与された1以上の画像データに対して画像処理部21が関連付けた位置情報に基づいて、再撮影を行うための再撮影計画を生成する。具体的には、再撮影計画部26は、航路、撮影エリア、撮影方向、及び撮影のタイミング等について再撮影計画として生成する。
【0031】
撮影制御部27は、自機情報収集部25により収集された自機情報と再撮影計画部26により生成された再撮影計画とに基づいてカメラ1を制御する。具体的には、撮影制御部27は、自機情報収集部25により収集された自機情報に基づいて現在の飛しょう体の位置、高度、向き、及び速度の情報を取得し、再撮影計画部26により生成された再撮影計画に基づいて、カメラ1を適切な方向・角度に調節するとともに適切なタイミングでカメラ1による撮影を行う。
【0032】
また、撮影制御部27は、再撮影計画に含まれる航路情報や飛しょう体の速度情報を表示部3に表示させてもよい。飛しょう体(航空機)のパイロットは、表示部3に表示された航路にしたがって操縦を行い、飛しょう体の速度情報にしたがって飛しょう体の速度を調節する。
【0033】
上述のとおり、実施例1の形態に係る広域撮影制御システムによれば、航空機等により広域災害における画像収集を行う際に、災害が発生したと考えられる特定の場所を正確且つ迅速に複数回撮影することができる。
【0034】
すなわち、本実施例の広域撮影制御システムは、カメラ1により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与するイベントフラグ付与部24を備えているので、重要と思われる画像を抽出し、災害発生場所の正確且つ迅速な位置情報を把握することができる。
【0035】
さらに、本実施例の広域撮影制御システムは、イベントフラグが付与された1以上の画像データに対して関連付けられた位置情報を把握することにより、地上側に情報を送ることなく、外部からの再撮影計画を受領せずに飛行中に航空機側で自動的に再撮影計画を生成することができる。その際に、再撮影計画部26は、航路、撮影方向、撮影のタイミング、及び飛しょう体の速度のうち少なくとも1つを再撮影計画の一部として生成するので、災害が発生したと思われる場所を効率よく複数回撮影することができる。
【0036】
このように、本実施例の広域撮影制御システムは、火災や地すべり、土石流等の災害が発生した場合に、生成した再撮影計画に基づいて災害発生箇所を効率よく複数回撮影することで、被害状況の時間的変化を迅速に把握することができる。
【0037】
図2は、本実施例の広域撮影制御システムの別の構成例を示すブロック図である。図1に示す広域撮影制御システムの構成と異なる点は、イベントフラグ付与部24の代わりに比較抽出部29を備えている点である。
【0038】
この比較抽出部29は、本発明のイベントフラグ付与部の一例であり、飛しょう体に搭載され、カメラ1により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与する。ただし、イベントフラグ付与部24と異なる点として、比較抽出部29は、カメラ1により撮影された複数の画像データに基づいて1以上の画像データを選択し、選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与する。
【0039】
すなわち、イベントフラグ付与部24が人の判断を介してイベントフラグを付与していたのに対し、比較抽出部29は、人の手を介することなく、自らの判断で自動的にイベントフラグを付与する。
【0040】
具体的な画像選択の方法として、例えば画像蓄積部22に予め災害発生前における各地域の画像を蓄積しておき、比較抽出部29は、予め作成された災害発生前における地上の画像と、災害発生後における地上の画像とを比較し(例えば光学画像においては、建造物の有無を災害発生前と比較し)、それらの差異に基づいて災害発生箇所を検出し、該当する画像にイベントフラグを付与する。画像データ量が膨大となる場合には、例えばデータ量の少ないサムネイル画像を利用することも可能である。
【0041】
また、画像蓄積部22に予め画像が蓄積されていない場合には、例えば航空機で所定の地域の画像を時間をおいて複数回撮影し、比較抽出部29は、災害発生場所における被害の拡大により生ずる差異に基づいて災害発生箇所を検出してもよい。
【0042】
あるいは、カメラ1が例えば赤外線画像を撮影することができる場合には、比較抽出部29は、画像データに基づいて、所定の温度条件を満たす箇所を災害発生箇所として検出してもよい。火災が発生している場合には非常に高温となるため、比較抽出部29は、温度条件をしきい値として火災発生箇所の検出が可能である。
【0043】
このように、イベントフラグ付与部24の代わりに比較抽出部29を備えている場合においても、上述した効果を得ることができるとともに、人の手を介さずに画像選択を行うので、迅速なイベントフラグの付与及び再撮影計画の生成が可能となる。
【実施例2】
【0044】
図3は、実施例2の広域撮影制御システムの構成を示すブロック図である。実施例1の広域撮影制御システムと異なる点は、地上画像処理部4、写真データベース5、画像表示部6を新たに備えるとともに、収集センサ制御部2b内に画像送信部28を備えている点である。
【0045】
地上画像処理部4は、比較抽出部41、画像受信部42、及び撮影計画部43により構成される。ここで、カメラ1と収集センサ制御部2bと表示部3とは、飛しょう体(本実施例においては航空機)に搭載されている。一方、地上画像処理部4と写真データベース5と画像表示部6とは、地上に設置されている。また、航空機と地上との間で無線通信により必要な画像の伝送等が行われる。すなわち、画像送信部28と画像受信部42との間の情報の授受、及び撮影計画部43と撮影制御部27との間の情報の授受は、全て無線通信により行われる。
【0046】
写真データベース5は、様々な地域の災害発生前の写真(画像データ)を蓄積したデータベースである。この写真データベース5は、可能であれば日本全国全ての地域の写真を網羅していることが望ましいが、災害が発生しやすいと考えられる地域に絞って写真を蓄積していてもよい。
【0047】
画像送信部28は、本発明の送信部の一例であり、飛しょう体に搭載され、カメラ1により撮影された複数の画像データを無線通信により地上側に送信する。具体的には、画像送信部28は、地上に設置された地上画像処理部4内の画像受信部42に対して、画像蓄積部22により蓄積された複数の画像を無線通信によりリアルタイムに送信する。画像データ量が膨大となる場合には、例えばデータ量の少ないサムネイル画像を利用して無線通信を行うことも可能である。
【0048】
画像受信部42は、本発明の受信部の一例であり、地上側に設置され、画像送信部28により送信された複数の画像データを受信し、受信した画像データを比較抽出部41に出力する。また、画像受信部42は、受信した画像データを画像表示部6に出力し、画像表示部6に画像を表示させてもよい。
【0049】
比較抽出部41は、本発明のイベントフラグ付与部の一例であり、地上側に設置され、カメラ1により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与する。具体的には、比較抽出部41は、カメラ1により撮影された複数の画像データに基づいて1以上の画像データを選択し、選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与する。
【0050】
詳述すると、写真データベース5に予め災害発生前における各地域の画像を蓄積しておき、比較抽出部41は、予め作成された災害発生前における地上の画像と、災害発生後における地上の画像とを比較し、それらの差異に基づいて災害発生箇所を検出し、該当する画像にイベントフラグを付与する。また、比較抽出部41は、イベントフラグを付与した画像を画像表示部6に表示させる。
【0051】
なお、画像の比較による差異の検出方法は、様々な方法が考えられ、例えば色のスペクトルを比較する方法や、道路や川、山の稜線等の形を比較する方法等が考えられる。この検出方法自体は、従来技術として存在する画像比較の方法を利用してもよい。
【0052】
撮影計画部43は、本発明の再撮影計画部の一例であり、地上側に設置され、比較抽出部41によりイベントフラグが付与された1以上の画像データに対して画像処理部21が関連付けた位置情報に基づいて、再撮影を行うための再撮影計画を生成する。
【0053】
ただし、本実施例において撮影計画部43は、位置情報を比較抽出部41から直接受け取るわけではなく、間接的に位置情報を利用する。すなわち、比較抽出部41がイベントフラグを付与した画像を位置情報とともに画像表示部6に表示させ、ユーザは、画像表示部6に表示された画像及び位置情報を確認し、キーボード等の外部入力装置を用いて撮影計画部43に必要な情報を入力する。
【0054】
当然のことながら、比較抽出部41は、イベントフラグを付与した画像に関連付けられている位置情報を直接撮影計画部43に出力してもよい。この場合には、人の手を介す必要が無いぶん、迅速に処理を行うことができる。
【0055】
撮影計画部43は、航路、撮影方向、撮影のタイミング、及び飛しょう体の速度のうち少なくとも1つを再撮影計画の一部として生成する。なお、本実施例においては、撮影計画部43は、上述した全ての情報を再撮影計画の一部として生成するものとする。
【0056】
撮影制御部27は、飛しょう体に搭載され、撮影計画部43により生成された再撮影計画に基づいてカメラ1を制御する。ただし、本実施例において撮影制御部27は、再撮影計画部26と撮影計画部43との両方から再撮影計画を受け取ることになるため、再撮影計画部26による再撮影計画を優先して実行するものとする。状況に応じて、撮影制御部27は、いずれの再撮影計画を実行するか選択できるものとしてもよい。
【0057】
その他の構成は実施例1と同様であり、重複した説明を省略する。
【0058】
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。航空機側における処理自体は、実施例1と同様である。したがって、撮影制御部27は、上述したように、収集センサ制御部2b内で生成された再撮影計画と、地上画像処理部4内で生成した再撮影計画との両方を受け取ることができ、いずれの再撮影計画を実行するか選択できる。
【0059】
収集センサ制御部2b内での処理は、無線通信を介さない分、迅速であると考えられるので、スピードを優先する場合には、撮影制御部27は、収集センサ制御部2b内で生成された再撮影計画を優先して実行する。
【0060】
しかしながら、地上画像処理部4は、比較抽出部41が過去の画像と比較することによりイベントフラグを付与するので、より的確に災害検出を行うことができると考えられる。したがって、正確性を優先する場合には、撮影制御部27は、地上画像処理部4内で生成された再撮影計画を優先して実行してもよい。
【0061】
上述のとおり、実施例2の形態に係る広域撮影制御システムによれば、実施例1と同様の効果を得ることができるのみならず、航空機側で生成した再撮影計画と地上側で生成した再撮影計画とのいずれを実行するか選択することができ、状況に応じて柔軟に対応することができる。
【0062】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 カメラ
2a,2b 収集センサ制御部
3 表示部
4 地上画像処理部
5 写真データベース
6 画像表示部
21 画像処理部
22 画像蓄積部
23 画像表示部
24 イベントフラグ付与部
25 自機情報収集部
26 再撮影計画部
27 撮影制御部
28 画像送信部
29 比較抽出部
41 比較抽出部
42 画像受信部
43 撮影計画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛しょう体に搭載され、上空から地上を撮影する撮影部と、
前記飛しょう体に搭載され、前記撮影部により撮影された複数の画像データの各々に対して位置情報を関連付ける画像処理部と、
前記撮影部により撮影された複数の画像データから選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与するイベントフラグ付与部と、
前記イベントフラグ付与部によりイベントフラグが付与された1以上の画像データに対して前記画像処理部が関連付けた位置情報に基づいて、再撮影を行うための再撮影計画を生成する再撮影計画部と、
前記飛しょう体に搭載され、前記再撮影計画部により生成された再撮影計画に基づいて前記撮影部を制御する撮影制御部と、
を備えることを特徴とする広域撮影制御システム。
【請求項2】
前記再撮影計画部は、航路、撮影エリア、撮影方向、及び撮影のタイミングのうち少なくとも1つを再撮影計画の一部として生成することを特徴とする請求項1記載の広域撮影制御システム。
【請求項3】
前記飛しょう体の情報を自機情報として収集する自機情報収集部を備え、
前記撮影制御部は、さらに前記自機情報収集部により収集された自機情報に基づいて前記撮影部を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の広域撮影制御システム。
【請求項4】
前記自機情報収集部は、現在の前記飛しょう体の位置、高度、向き、及び速度のうち少なくとも1つを自機情報として収集することを特徴とする請求項3記載の広域撮影制御システム。
【請求項5】
前記イベントフラグ付与部は、前記撮影部により撮影された複数の画像データに基づいて1以上の画像データを選択し、選択した1以上の画像データに対してイベントフラグを付与することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の広域撮影制御システム。
【請求項6】
前記イベントフラグ付与部と前記再撮影計画部とは、前記飛しょう体に搭載されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の広域撮影制御システム。
【請求項7】
前記飛しょう体に搭載され、前記撮影部により撮影された複数の画像データを無線通信により地上側に送信する送信部と、
地上側に設置され、前記送信部により送信された複数の画像データを受信する受信部とを備え、
前記イベントフラグ付与部と前記再撮影計画部とは、地上側に設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の広域撮影制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−209843(P2012−209843A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75202(P2011−75202)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】