説明

広域用船舶動静監視方法及びシステム

【課題】AIS受信データを利用し、湾や沿岸等の特定水域全域等の広域における船舶動静の集中監視、事後的な船舶動静の再現、受信局の受信範囲が重複した部分における正確な船舶数及び航跡の把握を可能とする広域用船舶動静監視方法及びシステムを提供する。
【解決手段】AISを搭載した船舶から送信されるAIS情報を受信するアンテナ1aを備えるとともにAIS受信データを電気通信回線3により配信可能な複数のAIS受信局装置1と、電気通信回線3に接続されたAISサーバー2とを備え、AISサーバー2は、各AIS受信局装置1から配信されるAIS受信データを記憶したAISデータベース21と、所定の船舶αについて監視要求があった場合にAISデータベース21を検索する検索手段を有し、該検索手段は所定の時間間隔Tr内に船舶のAISデータが複数存在する場合にいずれか一つのAISデータを採択するフィルタ機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海域を航行する船舶の航行監視、不審船監視、海上交通実態調査等に用いる広域用船舶動静監視方法及びシステムに関し、特に湾全域等の広域の監視、調査等に適した広域用船舶動静監視方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界各国の周辺海域は、種々の目的で活動する様々な船舶が多数行き交い、海上交通は輻輳している。特に水域の限られた湾域や内海では船舶が集中し、非常に混雑した状況になっている。そこで、特定の限られた水域では、海上交通の安全や環境保全の観点から、目視やレーダ画像によって海上交通の監視を行っているが、より広くより正確に情報を把握することが求められている。
【0003】
広域の海上交通の監視を目的とした発明としては、例えば、特開2005−208011号(発明の名称:監視システム及び監視方法)、特表2003−518307号(発明の名称:海洋監視方法)、特開平10−40500号(発明の名称:港湾管理システム)等の公報に記載されたものが提案されている。
【特許文献1】特開2005−208011号公報
【特許文献2】特表2003−518307号公報
【特許文献3】特開平10−40500号公報
【0004】
特許文献1の実施例2には、レーザレーダ装置を2台以上設けるようにして、複数のレーザレーダ装置により、より広範囲の領域についての監視を行うようにした監視システムが開示されている(段落[0065]、図2参照)。しかしながら、かかる実施例は、あるレーザレーダ装置の死角を別のレーザレーダ装置で補うためのもの又は広画角撮影とズーム撮影のように異なる機能として使用するためのものであり(段落[0066])、複数のレーザレーダ装置の走査範囲を統合して広域化を図ることは記載されていない。
【0005】
特許文献2には、エリアを通過する協力船舶が、その航法装置によって海上交通情報を収集し、該船舶が該情報を海上監視主局に送信する第1のステージと、該主局が協力船舶によって収集されるデータに基づいて全体的な交通状況を管理する第2のステージを有する海上交通の監視方法が開示されている(請求項1参照)。本発明は、殆どの船舶がレーダを装備し、それにより付近に存在する船舶やボートを全て把握することができることを利用したものであり、レーダを装備した協力船舶が自船のレーダ走査範囲の情報(局所的な情報)を収集し、所定の陸上監視局にデータを伝送している。段落[0014]には、「陸上監視局に収集された情報は、定期的に中央集中局に伝送され、エリア内の交通を完全かつ正確に示す画像として使えるようにする。」旨が記載されているが、協力船舶から収集した局所的な交通情報をどのように組み合わせて、全体的な交通状況を把握するのかが不明である。また、全体的な交通状況を把握するためには、協力船舶のレーダ装置が、エリアの全域を網羅するように走査しなければならず、局所的な交通情報には必ず重複した範囲が存在するはずであり、かかる重複した範囲の情報をどのように処理するのか、についても不明である。
【0006】
特許文献3には、港湾管理設備及び船舶にそれぞれ衛星通信機能を備えた通信管理装置を設け、前記船舶側の通信管理装置は、自船の船舶情報を移動体衛星を経由して前記港湾管理設備側の通信管理装置へ送信し、前記港湾管理設備側の通信管理装置は、前記受信した船舶情報によって交通管理判断を行い、この交通管理判断に基づく交通管制情報を前記移動体衛星を経由して前記船舶側の通信管理装置へ送信することを特徴とする港湾管理システムが開示されている(請求項1参照)。本発明の場合、港湾管理設備及び船舶に対して専用の通信管理装置を開発して設置しなければならない等の新たな設備投資が必要である。また、船舶側が積極的に船舶情報を発信しなければならず、通信管理装置を装着していない船舶の監視をすることができない。
【0007】
ところで、衝突予防と人命安全という観点から、SOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)のもと、2008年7月1日以降、原則として全ての旅客船及び総トン数300トン以上の国際航海船及び総トン数500トン以上の国際航海に従事しない船舶に対して、船舶自動識別装置(Automatic Identification System。以下、「AIS」という。)の搭載が義務付けられることになっている。
【0008】
AISは、GPSによる船舶の位置、IMO番号、船名、船種、現在の対地針路、対地船速、船首方位、運航状態等、従来のレーダ及び自動衝突防止援助装置(ARPA装置)では得られなかった船舶の航行に関する様々な情報をリアルタイムに監視及び観測できることができ、同時に1000隻を越える船舶を補足及び追跡でき、気象及び海象条件による影響が少なく、目標船舶が受信可能範囲内にいる限り見失う危険性が低いため、船舶の航行監視にとって有効な手段である。また、AISは、電波を遮る物体がなければ、湾曲部の周辺や島陰の船舶からも情報を受信でき、海上では約20〜30海里の範囲で情報を受信することができる。なお、AISについては、非特許文献1に詳しい。
【非特許文献1】日本財団図書館(電子図書館)「平成15年度 通信講習用 船舶電気装備技術講座(レーダー、AIS・VDR・GPS編)」第3章 船舶自動識別装置(AIS)http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00139/contents/0011.htm
【0009】
ここで、図8はAISのイメージ図であり、(A)は湾全体図、(B)は船舶αの航跡模式図である。AISは、衝突予防の目的を有しているため、AIS信号の受信範囲内の船舶間(船舶α−船舶β間、船舶β−船舶γ間)でAIS情報を送受信している。ただし、特定の水域においては陸上受信局(例えば、受信局A,B,C)においてもAIS情報を受信している。例えば、本図においては、受信局Aは船舶β及び船舶γからAIS情報を受信し、受信局Cは船舶α及び船舶βからAIS情報を受信している。そして、各受信局A,B,Cは、それぞれの受信範囲内(図の破線で示す円の範囲内)において、船舶同士が衝突しない等の海上交通の安全確保のために監視をしている。特定の受信局を中心とした狭域を対象とする場合には各受信局A,B,Cが各受信範囲内のみを監視すれば充分であるが、図8で例示したような単一の受信局のみでは全ての船舶からのAIS信号の受信が困難な広域の海域を対象とする場合においても船舶の動静を一括して監視しなければならない。また、取得された情報を用いて海上交通の実態調査や解析を行う場合は、どの船舶がどの航跡で通過したのか、何隻の船舶が通過したのか、という情報を正確に把握しなければならない。
【0010】
図8(A)において、船舶αがX地点からY地点まで図に示す航跡で湾内を通過した場合を想定する。このとき、船舶αは、受信局A,B,Cの受信範囲と、P1、P2、P3、P4、P5の地点で交差する。図8(A)及び(B)に示すように、船舶αは、X〜P1の範囲では受信局Cのみに補足され、P1〜P2の範囲では受信局A,Cに補足され、P2〜P3の範囲では受信局A,B,Cの全てに補足され、P3〜P4の範囲では受信局A,Bに補足され、P4〜P5の範囲では受信局Bのみに補足されることになる。これら受信局A,B,Cが受信したAIS情報(以下、「AIS受信データ」という。)をそのまま用いた場合、P1〜P4の範囲でAIS受信データが重複しているため、電子海図上に表示する航跡が重複したり、各受信範囲を横切る部分で航跡がずれたり、実際には1隻のはずが2隻あるいは3隻としてカウントされたりしてしまう等の問題が生じ、船舶の動静監視において不適当であるとともに、特に海上交通の実態調査において正確な解析を行うことは困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した問題点に鑑み創案されたものであり、AIS受信データを利用しつつ、湾や沿岸等の特定水域全域等の広域における船舶動静を集中監視することができ、AIS受信データを所定の条件で抽出して事後的に船舶動静を再現することができ、受信局の受信範囲が重複した部分においても正確な船舶数及び航跡を把握することができる広域用船舶動静監視方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、AISを搭載した船舶から送信されるAIS情報を受信して該船舶の動静を監視する方法であって、複数のアンテナを広域に配置し、各アンテナが受信した前記AIS情報(AIS受信データ)を集約してデータベースを構築し、所定の時間間隔内に同一船舶について複数のAISデータ(AIS受信データをデータベース化したデータ)が存在する場合にいずれか一つのAISデータを採択して該船舶の動静を監視することを特徴とする広域用船舶動静監視方法が提供される。ここで、同一船舶のAISデータか否かは、MMSI番号、IMO番号、船名又は呼出符号により識別すればよい。
【0013】
また、所定の時間間隔内に同一船舶について複数のAISデータが存在する場合は、該AISデータを所定の条件でソートし、所定の順位のAISデータを採択するようにしてもよいし、所定の時間間隔内にAISデータが存在しない場合は、前回採択したAISデータを検索し、その受信日時が所定の消失時間を超えていない場合は前回のAISデータを維持し、該消失時間を超えている場合は動静表示を抹消するようにしてもよい。
【0014】
さらに、前記AISデータのうち、不足する静的情報については、別途データベース化された船舶情報マスターデータから補充するようにしてもよいし、前記データベースから採択されたAISデータを用いて、船舶の動静画像を表示したり、海上交通実態を監視若しくは調査・解析したり、該AISデータを電気通信回線を通じて配信したりするようにしてもよいし、前記AISデータを用いて、船体長、船体幅、船首方位等を模擬した船影マーカーを所定の画面上に表示させるようにしてもよい。
【0015】
本発明によれば、AISを搭載した船舶から送信されるAIS情報をアンテナで受信して該船舶の動静を監視するシステムであって、前記アンテナを備えるとともに受信したAIS情報(AIS受信データ)を電気通信回線により配信可能な複数のAIS受信局装置と、前記電気通信回線に接続されたAISサーバーとを備え、前記AISサーバーは、各AIS受信局装置から配信されるAIS受信データを記憶したAISデータベースと、所定の船舶について監視要求があった場合に前記AISデータベースを検索する検索手段を有し、該検索手段は、所定の時間間隔内に前記船舶のAISデータが複数存在する場合にいずれか一つのAISデータを採択するフィルタ機能を有し、前記検索手段により得られたAISデータに基づいて前記船舶の動静を監視することを特徴とする広域用船舶動静監視システムが提供される。ここで、前記検索手段は、MMSI番号、IMO番号、船名又は呼出符号により船舶を検索するとよい。
【0016】
また、前記フィルタ機能は、前記AISデータを所定の条件で並び替えを行うソート機能と、ソート後の所定の順位のAISデータを採択する抽出機能とから構成されていてもよいし、前記検索手段は、監視要求のあった船舶について、所定の時間間隔内にAISデータが存在しない場合は、前回の検索結果を検索し、前回のAISデータの受信日時が所定の消失時間を超えていない場合は前回のAISデータを維持し、該消失時間を超えている場合は動静表示を抹消するようにしてもよい。
【0017】
さらに、前記AISサーバーは、別途データベース化された船舶情報マスターデータと接続され、前記AISデータベースの静的情報が不足する場合に該船舶情報マスターデータからデータを補充する静的情報補充手段を有していてもよいし、前記検索手段により得られたAISデータにより、船舶の動静画像を再生する再生手段や海上交通実態を監視若しくは調査・解析する解析手段や電気通信回線を通じて所定の端末にAISデータを配信する配信手段を有していてもよいし、前記AISデータベースに保存されたAIS情報から、船体長、船体幅、船首方位等を抽出し、それらを模擬した船影マーカーを作成し、前記AISサーバーや前記端末の画面上に表示させる船影マーカー描画手段を有していてもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述した本発明の広域用船舶動静監視方法及びシステムによれば、各受信局のAIS受信データをデータ記録時に同一船舶のデータを統合させずにデータベースを構築し、AISデータの使用時に重複データの除外処理を行わせるようにしたので、各受信局のAIS受信データを所定のサーバーに集約して記憶させるだけで、湾や沿岸等の特定水域全域等の広域における船舶動静を集中監視することができ、AIS受信データを所定の条件で抽出して事後的に船舶動静を再現することができ、受信局の受信範囲が重複した部分においても正確な船舶位置、航跡および船舶数等を把握することができる。
【0019】
上述した本発明の課題を解決しようとする場合、データ取得時に同一船舶のデータを統合してデータベースに格納しようとすることが一般的であるが、本発明では、データ取得時ではなく、データ使用時にデータ処理を加えたことに特徴がある。その結果、本目的のために必要な作業を大幅に軽減させることができ、簡便なシステム構成で上述した課題を達成することができる。また、SOLAS条約により搭載が義務付けられたAISを利用しているため、利便性に優れ、船舶の監視時に船影マーカーを表示させることで船舶位置のみならず船舶の大きさも視覚的に把握することができ、交通量調査・解析に役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を用いて説明する。ここで、図1は本発明の広域用船舶動静監視システムの全体構成図であり、図2は本発明の広域用船舶動静監視システムの全体処理概念図であり、図3は本発明の広域用船舶動静監視システムに用いるAISデータベースの検索方法の概念説明図である。
【0021】
図1乃至図3に示すように、本発明の広域用船舶動静監視システムは、AISを搭載した船舶から送信されるAIS情報を受信するアンテナ1aを備えるとともに受信したAIS情報(AIS受信データ)を電気通信回線3により配信可能な複数のAIS受信局装置1と、電気通信回線3に接続されたAISサーバー2とを備え、AISサーバー2は、各AIS受信局装置1から配信されるAIS受信データを記憶したAISデータベース21と、所定の船舶(例えば、船舶α,β,γ)について監視要求があった場合にAISデータベース21を検索する検索手段を有し、該検索手段は所定の時間間隔Tr内に船舶のAISデータが複数存在する場合にいずれか一つのAISデータを採択するフィルタ機能を有し、前記検索手段により得られたAISデータに基づいて船舶の動静を監視するようになっている。
【0022】
AIS受信局装置1は、アンテナ1a、AIS信号受信機1b及びコンピュータ1cとから構成されている。アンテナ1aは、AIS受信アンテナ及びGPS受信アンテナの機能を有し、一体型であっても分離型であってもよく、図示したものに限定されるものではない。AIS信号受信機1bは、アンテナ1aが受信したAIS情報をAIS受信データに変換し、下流のシステムで利用できるようにしている。コンピュータ1cは、AIS信号受信機1bから送られてくるAIS受信データをAISサーバー2にリアルタイム送信するとともに、通信障害時のデータバックアップのためのローカルデータベースを構築するための装置である。コンピュータ1cには、例えば、市販のデスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータ等が使用される。また、コンピュータ1cでは、AIS情報に配信日時情報が欠落している場合やデコードしなければ配信日時を判読できない場合に備えて、図2に示すように、AIS受信局装置1側でAIS受信データに受信日時を付与している。これにより、AIS受信データをAISサーバー2に配信した場合に、AISサーバー2側で容易に日時を判別することができる。このAIS受信局装置1は、例えば、図1に示したように、3箇所の受信局A,B,Cに配置される。より具体的には、図8(A)に示した受信局A,B,Cに配置される。なお、前記受信日時を付与する際に、各コンピュータ1cのローカルな時計を使用してもよいし、GPS受信アンテナを用いたグローバルな時計を使用してもよい。
【0023】
AISサーバー2は、CPU(中央処理装置)、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶装置、キーボード等の入力装置及びディスプレイ等の出力装置を備え、記憶装置にAISデータベース21や前記検索手段を実行するためのプログラム等が記憶・保存されており、所定のプログラムをCPUで実行することにより、AISデータベース21を構築したり、検索したり、電子海図上に航跡を描画したり、AISデータを配信したりすることができるようになっている。また、AISサーバー2は、各受信局A,B,Cを統括する本所4内に配置されており、本所4内のクライアント端末5(コンピュータ)から電気通信回線6を介してAISサーバー2にアクセスできるようになっている。
【0024】
図2に示すように、AISデータベース21は、各受信局A,B,Cに配置されたAIS受信局装置1から配信されるAIS受信データをAISデータとしてデータベース化して蓄積したものである。データベース化の際はいわゆるリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を用いる。本発明は、AIS受信データ取得時において、同一船舶のAIS受信データの結合を行っておらず、単に複数の受信局から配信されるAIS受信データをデータベース化して記憶させているに過ぎない。後述するように、データ使用時に重複したデータに対して所定の処理を行うことによって、データ蓄積時のデータ処理を大幅に軽減し、システムの簡便化や処理の高速化を達成している。したがって、受信局の数に左右されずにデータベースを構築することができ、受信局を任意に増減することができ、監視範囲の広域化に最適である。
【0025】
AIS受信データには、静的情報、動的情報、航海情報及び安全情報が含まれている。静的情報は、船名や要目といった対象船がどのような船であるか特定するための情報であり、MMSI番号、呼出符号、船名、IMO番号、船体長、船体幅、船種、アンテナ位置等の情報が含まれる。MMSI番号は「Maritime Mobile Service Identity(海上移動業務識別)」の略で各AIS機器に割り当てられた識別番号であり、IMO番号はIMO(国際海事機関)が付与する船舶識別番号であり、呼出符号は信号符字やコールサインとも呼ばれるものでアルファベットと数字の組み合わせからなる。これらのMMSI番号、IMO番号、呼出符号及び船名は、船舶を特定するための機能を果たす。動的情報は、対象船の位置や速力等の最新の操船状態を表す情報であり、緯度、経度、位置精度、時刻、対地針路、対地速度、船首方位、回頭角速度、航海ステータス(錨泊、航海、座礁、操縦不能等)等の情報が含まれる。航海情報は、対象船の航路や搭載貨物に関する情報で、喫水、積載危険物の種類、目的地、ETA(入港予定時刻)等の情報が含まれる。安全情報は、安全に関する補足情報である。なお、船舶から送信されるAIS情報には、常に前記4種類の情報が含まれている訳ではなく、各情報が個別にAIS情報として送信されることが多い。例えば、動的情報は3分ごと、静的情報は6分ごとに送信されるのが一般的である。
【0026】
また、AISサーバー2は、AISデータベース21とは別にデータベース化された船舶情報マスターデータ22に接続されている。船舶情報マスターデータ22は、AISデータベース21と同様にAISサーバー2のハードディスクに記憶されていてもよいし、電気通信回線3,6を介して接続された外部のコンピュータに記憶されたデータベースであってもよい。この船舶情報マスターデータ22は、船舶から送信されるAIS情報の静的情報には必ずしも全てのデータが入力されているとは限らないこと及びAIS情報では取得できない情報が必要な場合があることを考慮し、AIS受信データを補充し、AISデータベース21にAISデータとして保存するために用いられる。AIS受信データを補充する場合は、AIS受信データをAISサーバー2に取り込んだ際に、不十分なデータがないかチェックしてから必要に応じて自動又は手動により船舶情報マスターデータ22にアクセスするようにしてもよいし、AIS受信データをAISサーバー2に取り込んだ際には必ず船舶情報マスターデータ22にアクセスするようにしてもよいし、AIS受信データをそのままAISデータベース21にAISデータとして記憶させた後で必要に応じて手動又は自動で船舶情報マスターデータ22にアクセスするようにしてもよい。船舶情報マスターデータ22にアクセスしてデータの照会を行う際は、MMSI番号、IMO番号、船名又は呼出符号をキーにして行う。なお、AIS受信データに不足する情報がない場合は、AIS受信データをそのままAISデータとしてAISデータベース21に登録すればよい。
【0027】
電気通信回線3及び電気通信回線6は、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線、ISDN回線、ADSL回線等の公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型のIP網であり、このIP網には、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワーク等のLANも含まれる。
【0028】
次に、AISデータベース21のAISデータを使用して船舶の動静監視を行う場合について説明する。ここで、図4は船舶αについて動静表示要求があった場合の処理工程を示すフロー図である。
【0029】
図4に示すように、船舶αの動静表示要求(S1)がなされた場合、まず、予め設定された動静監視間隔Tr内に船舶αのAISデータがあるか否かを検索する(S2)。船舶αのAISデータか否かは、例えば、MMSI番号、IMO番号、船名、呼出符号等の船舶を特定することができる識別符号を用いる。動静監視間隔Trは、例えば10秒であるが、任意に設定することができる。動静監視間隔Tr内に船舶αのAISデータがある場合、該当するAISデータが複数あるか否かを判断する(S3)。受信局の受信範囲が重複する範囲においては、同時期に重複したAISデータがAISデータベース21に記憶されてしまうためである。また、動静監視間隔TrをAIS情報の送信間隔よりも長く設定した場合には、受信局の受信範囲が重複しない場合であっても、同一受信局の重複したAISデータがAISデータベース21に記憶されてしまうためである。AISデータが1つのみの場合(つまり、受信局の受信範囲が重複せず、動静監視間隔TrがAIS情報の送信間隔よりも短い場合)には、そのAISデータを採択し、船舶αの動静表示を更新する(S4)。
【0030】
該当するAISデータが複数存在する場合(例えば、受信局の受信範囲が重複している場合)には、該当するAISデータを受信日時で降順にソートする(S5)。このとき、受信日時の新しいデータが最初にくることになる。その最初のAISデータを採択し(S6)、船舶αの動静表示を更新する(S4)。S5におけるソートは昇順であってもよいし、AISデータの受信日時の他にAISサーバー2側の受信日時や受信局のID等でソートしてもよい。S6における採択方法は2番目又は最後のAISデータを採択するなど任意に順位を指定してもよい。このS5〜S6のステップがAISデータベース21のフィルタ機能に相当する。なお、AISデータベース21の構築時に予め受信日時でソートして記憶しておき、S5のソート工程を省略してもよい。かかるフィルタ機能により、動静監視間隔Tr内のAISデータを一意的に求めることができ、受信局の受信範囲が重複する場合であっても他のデータを除外して唯一のAISデータによって船舶の動静を把握することができ、海上交通実態を調査・解析する場合にも船舶数を正確に把握することができる。
【0031】
動静監視間隔Tr内に船舶αのAISデータが存在しない場合、前回採択されたAISデータを検索する(S7)。前回のAISデータも存在しない場合は、船舶の指定が誤っている場合や船舶αのAISデータが正常に取得されていない場合もあるので、該当データなしのエラー表示を行う(S8)。
【0032】
S7により前回採択されたAISデータが見つかった場合、当該AISデータが消失時間Tdを超えているか否か判断する(S9)。前回のAISデータが消失時間Tdを超えている場合には、船舶αはいずれの受信局の受信範囲からも離脱したと認識し、船舶αの航跡描画を抹消させる(S10)。また、前記AISデータが消失時間Tdを超えていない場合には、船舶αの動静表示を更新せずに、前回のAISデータをそのまま維持して表示させる(S11)。消失時間Tdは、例えば10分であるが、任意に設定することができる。また、S11に替えて、前回のAISデータから現在の予測値を航跡描画装置に計算させ、該予測値を表示させるようにしてもよい。なお、ここで航跡を描画させる装置(以下、「航跡描画装置」という。)は、上述したフローにより得られたAISデータを用いて、船舶の一定間隔毎の動静の結果としての航跡を画面上にプロットする装置であり、AISサーバー2やクライアント端末5に搭載されている。この航跡描画装置は、船舶の動静画像を再生する再生手段や海上交通実態を調査・解析する解析手段としての機能を果すことができる。
【0033】
図4に示したフローにより船舶α,β,γの動静監視を行う場合の概念について、図3を用いて説明する。図3において縦軸は経過時間を表している。左から順に船舶α、船舶β、船舶γのAISデータが、それぞれTα、Tβ、TγまでAISデータベース21に蓄積されているものとする。ここでは説明の便宜上、船舶ごとにAISデータを整理して表示しているが、実際のAISデータベース21では必ずしも船舶ごとにデータが整理されて記憶されているわけではない。また、各船舶のAISデータを受信日時で予め降順にソートした状態を示しているが、これも説明の便宜上の措置である。また、AISデータは、静的情報、動的情報、航海情報及び安全情報の場合があるが、ここでは全て動的情報として扱うものとする。なお、動静監視間隔Trは、現在時刻と前回時刻の差分、前回時刻と前々回時刻の差分、・・・として表示される。
【0034】
船舶αの場合、現在時刻からの動静監視間隔Tr内に、3つのAISデータが蓄積されている。ここで、略同時間のAISデータを段違いさせて表示しているが、これは単に異なる受信局からのAISデータであることをわかり易くするための説明上の措置に過ぎない。すなわち、動静監視間隔Tr内に3つのAISデータが蓄積されているということは、例えばこのとき船舶αは異なる3つの受信局の受信範囲内に存在していたことになる。そして、これらのうち最新のAISデータ(図において網掛けしたAISデータ)を採択し、船舶αの動静表示を更新する。次に、船舶βの場合、現在時刻からの動静監視間隔Tr内にAISデータが存在しない。そこで、前回採択したAISデータを見ると、船舶βの前回のAISデータ(図において網掛けしたAISデータ)は消失時間Tdを超えていない。したがって、この前回のAISデータにより船舶βの動静表示が維持される。最後に船舶γの場合、船舶βと同様に、現在時刻からの動静監視間隔Tr内にAISデータが存在しない。さらに船舶γの場合は、前回採択したAISデータは消失時間Tdを超えている。したがって、船舶γの動静表示を抹消することとなる。
【0035】
次に、上述した広域用船舶動静監視システムを用いて、航跡描画装置により航跡を画面上に出力した事例を図5〜図7に示す。AISサーバー2は、航跡を描画するに際し、(1)航跡表示なし、(2)航跡線表示、(3)航跡マーカー表示、の3種類を選択することができる。ここで、図5は航跡線表示の場合を示す図であり、図6は航跡マーカー表示の場合を示す図である。また、図7は、航跡線表示を用いて、ある日時の東京湾の様子を描画したものである。
【0036】
図5は、ある港湾51の部分的な海域を示しており、ハッチングの部分は陸地部分(港湾施設や埋立地を含む)52を表している。AISデータベース21から動静監視間隔Trごとに採択されたAISデータを画面上にプロットし、それを線で結ぶと航跡線53が画面上に描画される。船舶の移動を航跡線53で表示することにより、航跡線53の船舶同士の接近具合又は交差具合や密集具合によって船舶航行にともなう危険状況や航路での交通量又は渋滞状況を視覚的に把握することができる。なお、図5では、8本の航跡線が画面上に描画されている。
【0037】
図6は、AISデータベース21から採択されたAISデータを画面上にプロットし、船影マーカー54を用いて表示したものである。図5と同様に、ある港湾51の部分的な海域を示しており、ハッチングの部分は陸地部分(港湾施設や埋立地を含む)52を表している。マーカーには、三角マーカー又は船影マーカー54のいずれかを選択して用いることができる。三角マーカーは、この分野で一般的に用いられているマーカーで、船体の大きさに関わらず全て同じサイズの三角形で船舶が表示される。三角形の中心が船舶位置、三角形の向きが船首方位を表す。一方、船影マーカー54は、船体長及び船体幅を海図と同縮尺で模擬した船影状のマーカーで表示され、船舶位置や船首方位もマーカーで表示したとおりのものとして認識することができる。このマーカー表示によって設定時間毎の船舶の位置を視覚的に把握することができ、マーカーの向きと間隔の変化により船体運動と速度変化を把握することもできる。とくに船影マーカー54を用いた場合には、船舶同士の接近具合又は交差具合や密集具合によって海上交通における危険状況や航路での交通量又は渋滞状況を視覚的に把握することができるとともに、事後の解析に役立てることができる。なお、その他、錨泊中、係留中、座礁、操縦不能等のステータスを所定のシンボルマーカーで表示させるようにしてもよい。
【0038】
図7は、東京湾周辺の受信局から試験的にAISデータを取得し、東京湾の様子を航跡線表示させたものである。図7には、停泊中の船舶も含めて約160隻の船舶が表示されているが、各船舶について重複する航跡線は描画されておらず、船舶ごとに1本のきれいな航跡線が描画されている。このように、本発明の広域用船舶動静監視システムを用いれば、東京湾全体としての広域での船舶の動静監視を実施できるとともに、海上交通実態を調査・解析する場合において正確な航跡や交通量を容易に把握することができる。
【0039】
上述した広域用船舶動静監視システムによれば、複数のアンテナ1aを広域に配置し、各アンテナ1aが受信したAIS情報を集約してデータベースを構築し、所定の時間間隔内に同一船舶について複数のAIS情報が存在する場合にいずれか一つのAIS情報を採択して該船舶の動静を監視するという広域用船舶動静監視方法を実現することができる。すなわち、上述した本発明によれば、「AISは、一般に外部通信用ポートを有し、これを介して受信した情報をデジタル情報として外部接続機器へ発信することができ、船舶のリアルタイムな運航状況を、パソコンで容易に処理することができる」という利点を活かし、AISを単なる操船者に対する航行支援情報を提供するための装置及び海上交通の安全と効率化を図るための船舶の動静監視のための装置としてのみならず、港湾計画や研究のための海上交通実態のデータ収集と解析のための装置としても有効に機能させることができる。また、「AIS本来の目的以外の使用方法であるため、受信場所を中心とした受信範囲内の船舶しか監視できない」という欠点を補い、例えば東京湾のように広域かつ電波の死角が多い湾内における船舶の動静監視又は海上交通実態データの収集と解析を行う場合であっても、複数のAIS受信局装置1とそれらを統合するAISサーバー2を設置することによって湾内全域をカバーすることができ、さらに「AIS装置は航海支援のための装置であるため、現時点での船舶動静表示する機能しかない」という欠点を補い、海上交通データの解析を行うためのデータベースを構築し、任意のタイミングで船舶の動静を再生したり、対象期間や船種等の条件を設定することで必要な船舶の動静のみを表示させたりすることができる。また、受信局を増設したり、複数のAISサーバー2をネットワークで接続して統合サーバーを設置したりすることにより、監視範囲を容易かつ任意に拡大することができ、例えば、日本沿岸全域をカバーすることもできる。
【0040】
AISサーバー2のAISデータベース21を管理するプログラムは、上述したAIS受信データを受信する機能、AIS受信データからAISデータベース21を構築する機能、船舶マスターデータ22を照会する機能、AISデータから所定の船舶の航跡を描画する機能に加え、所定のAISデータを配信する機能やAISデータをエクスポートする機能を有していてもよい。AISデータ配信機能によって、AISサーバー2と電気通信回線6によって接続された本所4内のクライアント端末5において、AISサーバー2と同様に船舶の動静監視を行うことができる。また、電気通信回線3を利用して広く一般に公開するようにしてもよい。エクスポート機能は、航跡表示よりも詳しい解析を行うために、AISデータベース21から所定のAISデータを抽出してテキスト形式やCSV形式でデータをファイルに出力するためのものである。また、AISデータ配信機能やエクスポート機能を利用して、重複するAISデータの除外処理を施したデータにより、新たなデータベースを構築してもよい。かかるデータベースを再構築することにより、交通量の解析を容易に行うことができる等の利便性を向上させることができる。
【0041】
本発明は上述した実施形態に限定されず、同一の受信局に複数のAIS受信局装置1を配置して冗長性を担保するようにしてもよい、AIS受信局装置に固有のIDを付与しAIS受信データとともに当該IDを配信してAISデータベース21に蓄積してもよい、AIS受信データ及びAISデータは圧縮しておき必要に応じてデコードするようにしてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の広域用船舶動静監視システムの全体構成図である。
【図2】本発明の広域用船舶動静監視システムの全体処理概念図である。
【図3】本発明の広域用船舶動静監視システムに用いるAISデータベースの検索方法の概念説明図である。本発明を採用した2サイクル内燃機関を示す説明図であり、(A)は部分断面正面図、(B)は(A)におけるB矢視図である。
【図4】所定の船舶について動静表示要求があった場合の処理工程を示すフロー図である。
【図5】広域用船舶動静監視システムを用いて航跡を描画した事例であり、航跡線表示の場合を示す図である。
【図6】広域用船舶動静監視システムを用いて航跡を描画した事例であり、マーカー表示の場合を示す図である。
【図7】広域用船舶動静監視システムを用いて東京湾の航跡を描画した図である。
【図8】AISのイメージ図であり、(A)は湾全体図、(B)は船舶αの航跡模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1 AIS受信局装置
1a アンテナ
1b AIS信号受信機
1c コンピュータ
2 AISサーバー
3,6 電気通信回線
4 本所
5 クライアント端末
21 AISデータベース
22 船舶情報マスターデータ
51 港湾
52 陸地部分
53 航跡線
54 船影マーカー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶自動識別装置(AIS)を搭載した船舶から送信されるAIS情報を受信して該船舶の動静を監視する方法であって、
複数のアンテナを広域に配置し、各アンテナが受信した前記AIS情報を集約してデータベースを構築し、所定の時間間隔内に同一船舶について複数のAIS情報が存在する場合にいずれか一つのAIS情報を採択して該船舶の動静を監視する、ことを特徴とする広域用船舶動静監視方法。
【請求項2】
同一船舶のAIS情報か否かは、MMSI番号、IMO番号、船名又は呼出符号により識別する、ことを特徴とする請求項1に記載の広域用船舶動静監視方法。
【請求項3】
所定の時間間隔内に同一船舶について複数のAIS情報が存在する場合は、該AIS情報を所定の条件でソートし、所定の順位のAIS情報を採択する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の広域用船舶動静監視方法。
【請求項4】
所定の時間間隔内にAIS情報が存在しない場合は、前回採択したAIS情報を検索し、その受信日時が所定の消失時間を超えていない場合は前回のAIS情報を維持し、該消失時間を超えている場合は動静表示を抹消する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の広域用船舶動静監視方法。
【請求項5】
前記AIS情報のうち、不足する静的情報については、別途データベース化された船舶情報マスターデータから補充する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の広域用船舶動静監視方法。
【請求項6】
前記データベースから採択されたAIS情報を用いて船舶の動静画像を表示し、海上交通実態を監視若しくは調査・解析し、又は該AIS情報を電気通信回線を通じて配信する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の広域用船舶動静監視方法。
【請求項7】
前記データベースに保存されたAIS情報を用いて、少なくとも、船体長、船体幅及び船首方位を模擬した船影マーカーを所定の画面上に表示させる、ことを特徴とする請求項6に記載の広域用船舶動静監視方法。
【請求項8】
船舶自動識別装置(AIS)を搭載した船舶から送信されるAIS情報をアンテナで受信して該船舶の動静を監視するシステムであって、
前記アンテナを備えるとともに受信したAIS情報を電気通信回線により配信可能な複数のAIS受信局装置と、前記電気通信回線に接続されたAISサーバーとを備え、前記AISサーバーは、各AIS受信局装置から配信されるAIS情報を記憶したAISデータベースと、所定の船舶について監視要求があった場合に前記AISデータベースを検索する検索手段を有し、該検索手段は、所定の時間間隔内に前記船舶のAIS情報が複数存在する場合にいずれか一つのAIS情報を採択するフィルタ機能を有し、前記検索手段により得られたAIS情報に基づいて前記船舶の動静を監視する、ことを特徴とする広域用船舶動静監視システム。
【請求項9】
前記検索手段は、MMSI番号、IMO番号、船名又は呼出符号により船舶を検索する、ことを特徴とする請求項8に記載の広域用船舶動静監視システム。
【請求項10】
前記フィルタ機能は、前記AIS情報を所定の条件で並び替えを行うソート機能と、ソート後の所定の順位のAIS情報を採択する抽出機能とを備える、ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の広域用船舶動静監視システム。
【請求項11】
前記検索手段は、監視要求のあった船舶について、所定の時間間隔内にAIS情報が存在しない場合は、前回の検索結果を検索し、前回のAIS情報の受信日時が所定の消失時間を超えていない場合は前回のAIS情報を維持し、該消失時間を超えている場合は動静表示を抹消する、ことを特徴とする請求項8乃至請求項10に記載の広域用船舶動静監視システム。
【請求項12】
前記AISサーバーは、別途データベース化された船舶情報マスターデータと接続され、前記AISデータベースの静的情報が不足する場合に該船舶情報マスターデータからデータを補充する静的情報補充手段を有する、ことを特徴とする請求項8乃至請求項11に記載の広域用船舶動静監視システム。
【請求項13】
前記AISサーバーは、前記検索手段により得られたAIS情報により、船舶の動静画像を再生する再生手段、海上交通実態を監視若しくは調査・解析する解析手段又は電気通信回線を通じて所定の端末にAIS情報を配信する配信手段を有する、ことを特徴とする請求項8乃至請求項12に記載の広域用船舶動静監視システム。
【請求項14】
前記AISサーバー又は前記端末は、前記AISデータベースに保存されたAIS情報から、少なくとも、船体長、船体幅及び船首方位を抽出し、それらを模擬した船影マーカーを作成し、所定の画面上に表示させる船影マーカー描画手段を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の広域用船舶動静監視システム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−9846(P2008−9846A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181321(P2006−181321)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【特許番号】特許第3882025号(P3882025)
【特許公報発行日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(501198039)国土交通省国土技術政策総合研究所長 (23)
【出願人】(505134796)株式会社アイ・エイチ・アイ・マリン (2)
【Fターム(参考)】