説明

床スラブの免震構造

【課題】垂直方向の軸力とは無関係に免震機能が発揮されるようにして、高層や低層に関係なくいずれの建造物にでも適用できるようにすること。
【解決手段】床スラブ4の免震構造は、建造物における少なくとも基礎と該基礎の上に構築された柱1と梁2とからなるフレームは耐震構造とし、建造物における床スラブは前記耐震構造と縁切りして免震構造とするものであって、水平方向において、床スラブと周辺の耐震構造との間に所要の隙間5を設け、該隙間に弾性材6を配設して縁切り状態を維持し、鉛直方向において、床スラブの下面と周辺の耐震構造の上面との間に滑り材3を設けて縁切り状態を維持する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎構造上に構築した建造物において、骨組み構造部分を耐震構造にし、床スラブ部分を耐震構造から縁切りした床スラブの免震構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国では地震に対して耐震設計法が制定され確立されているので、建物は耐震構造とすることが必須設計条件となっている。しかし、耐震構造は地震発生時に揺れを止められないので、激しい揺れが人体に伝わって恐怖心と不快感を与えるだけでなく、室内に設置してある家具や諸々の設備などが倒壊して住民の安全性が確保されない恐れがある。特に、病院や警察署、消防署又は役所などは、震災直後から人命救助を行うと共に被災状況を把握して復興のための指令を出さなければならない部署であるが、建物が崩壊しなかったものの、医療用精密機器や薬品収納棚、又は多数の情報が記憶されたコンピュータ等が激しい揺れによって倒壊し、部署としての機能が失われてしまうことが多かった。そこで、耐震構造に免震構造を付加して、上部構造の揺れを小さくすることが強く要求されるようになって来た。
【0003】
ところで、一般的に免震構造といえば、基礎構造物上に免震装置を介して建造物が構築される技術であって、複数の技術が公知になっている。その公知に係る第1の従来技術としては、例えば、基礎構造と縁切りした上部構造との間に免震装置が設置されるとともに、前記基礎構造と上部構造とにわたってPC鋼材を設け、該PC鋼材の一端は基礎構造のフーチングに固定された免震構造物である(特許文献1参照)。
【0004】
この免震構造物によれば、基礎構造と上部構造とをPC鋼材で繋ぎ合わせているので、地震による垂直荷重により上部構造が基礎構造から分離するのを防げるというものである。
【0005】
また、公知に係る第2の従来技術としては、基礎上に積層ゴムを介して上部構造物を支持してなる免震構造物の基礎構造であって、前記上部構造物の底部に基礎梁を設けるとともに、前記基礎を独立の杭もしくは独立の直接基礎のみから形成してそれら杭もしくは直接基礎の間における基礎梁を省略してなるものであり、前記基礎として用いる独立の杭の杭頭部の地盤に対する回転を拘束することなく許容する構造とした免震構造物の基礎構造である(特許文献2参照)。
【0006】
この免震構造物の基礎構造によれば、免震構造物における基礎を独立の杭もしくは独立の直接基礎のみで構成してそれらをつなぐ基礎梁を省略したものであるから、基礎工事を大幅に簡略化し得て工費削減、工期短縮に大きく寄与し得る。特に杭を採用した場合において杭頭部の地盤に対する回転を許容する構造とすることにより、杭頭モーメントがなくなりかつ杭に生ずる最大モーメントが低減するという利点があるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−172988号公報
【特許文献2】特開平9−273162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記第1及び第2の従来技術においては、例えば、オフイスビルやマンションなどのPC柱やPC梁を使用又は鉄筋コンクリート造であって、いずれも基礎構造物上に免震装置を取り付け、該免震装置の上に上部構造物の柱や下部大梁を取り付けて上部構造物を構築するものであり、免震装置によって地震時の揺れ又は衝撃を吸収し、上部建造物に対する地震の揺れ又は衝撃が伝達しないようにしている。
【0009】
ところで、前記したような免震装置を使用して免震構造にするためには、免震装置自体のコストが高いばかりでなく、建設現場における設置に手間が掛かり作業性が悪いこと、特に、平屋及び2〜3階建の低層建物では、建物としての鉛直荷重が小さいため、通常使用の積層ゴム免震装置においては必要な垂直方向の軸力が足りないので、免震機能が実質的に働かないという問題点を有しており、低層建物には適用できないのである。
【0010】
従って、従来技術においては、構成が簡単であって安価に提供でき且つ作業現場での設置作業を容易にすること、垂直方向の軸力とは無関係に免震機能が発揮されるようにして、高層や低層に関係なくいずれの建造物にでも適用できるようにすることに解決課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の従来例の課題を解決する具体的手段として、建造物における少なくとも基礎と該基礎の上に構築された柱と梁とからなるフレームは耐震構造とし、建造物における床スラブは前記耐震構造と縁切りして免震構造とするものであって、水平方向において、床スラブと周辺の耐震構造との間に所要の隙間を設け、該隙間に弾性材を配設して縁切り状態を維持し、鉛直方向において、床スラブの下面と周辺の耐震構造の上面との間に滑り材を設けて縁切り状態を維持して敷設することを特徴とする床スラブの免震構造を提供するものである。
【0012】
この発明においては、前記床スラブは、耐震構造で区画された各区画範囲毎にユニット化して縁切り状態で敷設すること;および前記床スラブは、各フロア毎に一連化して縁切り状態で敷設すること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る床スラブの免震構造によれば、要するに、建造物における基礎及び柱と梁とからなる骨組み構造部分は耐震構造とし、床スラブ部分は耐震構造と鉛直方向と水平方向とにおいて縁切りし、滑り材を介して水平方向にスライド自在の免震構造としたことにより、地震発生時には地盤から伝わる揺れがそのまま耐震構造に伝達されて耐震フレームは揺れるが、耐震構造と縁切りされている床スラブは、滑り材の存在によってスリップし、耐震構造からの揺れが直接伝わらないので、優れた免震効果が得られる。
【0014】
また、免震のために使用される滑り材としては、テフロン(登録商標)板または鋼球を対向面に配設した上・下部滑り鋼板を耐震構造と免震にする床スラブとの間に配設するだけであるから、構造的に極めて簡単で安価に施工でき、従来使用されていた建造物全体を支える垂直方向の大きな軸力を必要としていた大げさで高価な免震装置を使用しなくても、免震機能に優れた建造物が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る床スラブの免震構造であって、柱と梁とから形成されるラーメン構造における中間階層の一部を略示的に示した面図である。
【図2】同実施の形態に係る免震構造の要部を示した平面図である。
【図3】同実施の形態に係る免震構造の中間階層における床スラブの敷設状態を略示的に示した一部の平面図である。
【図4】同実施の形態に係る免震構造であって図3のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図5】同実施の形態に係る免震構造であって図3のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る床スラブの免震構造であって、フーチング基礎と基礎梁とからなる一例の基礎部分を略示的に示した平面図である。
【図7】(A)は同実施の形態に係る基礎部分に第1の例の免震構造の床スラブを敷設した状況の一部を示した説明図であり、(B)は第2の例の免震構造の床スラブを敷設した状況の一部を示した説明図である。
【図8】同実施の形態に係る床スラブの免震構造であって、図7(A)のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図9】同実施の形態に係る床スラブの免震構造であって、図7(A)のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図10】同実施の形態に係る床スラブの免震構造であって、図7(A)のC−C線に沿う拡大断面図である。
【図11】同実施の形態に係る床スラブの免震構造であって、図7(B)のD−D線に沿う拡大断面図である。
【図12】本発明に係る床スラブの免震構造に使用される滑り材の第1の例を示す側面図である。
【図13】同第1の例の滑り材の取り付け状態を示す説明図である。
【図14】本発明に係る床スラブの免震構造に使用される滑り材の第2の例を示す側面図である。
【図15】同第2の例の滑り材の取り付け状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳しく説明する。まず、図1〜5は、本発明に係る第1の実施の形態に係る床スラブ免震構造を示すものであって、柱1と梁2とから形成されたラーメン構造の耐震構築物に係る中間階層を示し、梁2の上面に滑り材3を介在させて床スラブ4が敷設され、該床スラブ4は、要するに、鉛直方向において梁2とは縁切り状態に敷設されるのである。
【0017】
この場合に、床スラブ4は、図2に示したように、各柱1の周囲に所要の隙間5をもって敷設され、該隙間5には鋼製ばね等の弾性材6を複数個配設して敷設位置を確保し、隙間5の範囲内で前後・左右方向に水平移動可能な状態に配設してある。要するに、床スラブ4は、水平方向においても柱1と縁切り状態で敷設されるのである。つまり、建造物の柱1と梁2とからなる耐震構造のフレーム(骨組み構造)とは鉛直方向と水平方向とが縁切り状態で敷設された免震構造の床スラブ4となるのである。
【0018】
床スラブ4の敷設について具体的に説明すると、図3に示したように、床スラブ4は、リブ7付のプレキャストコンクリート床版4aを縦方向と横方向とに複数枚をそれぞれ隣接状態に敷設して、その上面にトップコンクリート4bが形成される合成床版とする。これに限定されるものではなく、床スラブ4としては、現場打ちコンクリート、プレキャストコンクリート、または合成床版等から適宜選択されるものである。
【0019】
実施例として示したプレキャストコンクリート床版4aの下面側には補強用の複数本のリブ7が長さ方向に突設形成されると共に、床版4aの両端部側に連結用肉厚部8が形成されており、縦方向の隣接配置については、図4に示したように、連結用肉厚部8内に挿通したPC鋼材などの連結部材9により、縦方向に隣接するプレキャストコンクリート床版4aの端部同士を連結し、その連結された連結用肉厚部8が滑り材3を介して梁2上に載置または当接状態に位置付けされるのである。
【0020】
さらに、横方向の隣接配置については、図5に示したように、プレキャストコンクリート床版4aにおける両側面の端部を突き合わせて隣接状態に多数枚敷設し、該突き合わせた端部が梁2上に載置されるようにし、その載置位置に滑り材3を介在させて縁切り状態で敷設するのである。このようにプレキャストコンクリート床版4aを敷設することで、合成床版とした床スラブ4は、柱1と梁2とは実質的に鉛直方向と水平方向とに縁切り状態で敷設されるのである。
【0021】
このように床スラブ4を構築することにより、平常時においては配設された弾性材6によって、設定された位置に無理なく位置付けされるように構成されており、地震が発生したときに、滑り材3の存在によって隙間5の間隔の範囲内でスリップし、柱1及び梁2が揺れても、床スラブ4はあまり揺れないのである。因みに、隙間5の間隔は地震時の層間変形角による水平変形量より大きく設定すれば良い。
【0022】
次に、図6〜11に示した第2の実施の形態に係る床スラブ免震構造について説明する。なお、前記第1の実施の形態と共通する部位には同一符号を付して説明する。
まず、図6は、平屋を含む2〜3階建ての低層階の建造物における基礎構造10の一部を示すものであり、地盤に設けた建造物を支持する基礎構造10がフーチング基礎11と、該フーチング基礎11間に掛け渡した基礎梁12とから構成されるものとし、これらフーチング基礎11と基礎梁12と、その上部に立設される柱1と梁(図示せず)とで構成されるフレームが耐震構造として形成されている。
【0023】
この基礎構造10におけるフーチング基礎11上に、基礎梁12と上部構造物である柱1とが構築されるのであるが、これら基礎梁12と柱1とがフーチング基礎11上に占める所要面積以外の部分を、縁切りして敷設する床スラブ4との関係で、滑り材3の設置範囲とすると共に、床スラブ4と接触する基礎梁12の上面部位も滑り材3の設置範囲とするのである。この床スラブ4の敷設には、概ね、区画毎にユニット化して敷設するか、各階層またはフロア毎に一連化して敷設するかの2つのやり方がある。
【0024】
そのやり方の第1の例として、図7(A)に示したように、床スラブ4における1つの区画内毎に床スラブ4を敷設する場合である。この場合の1つの区画というのは、例えば、基礎構造10のフーチング基礎11間に掛け渡した基礎梁12によって囲まれた領域または範囲であって、その1つの区画内に敷設される床スラブ4は、下面の周縁部寄りにフレーム状に小梁13を取り付けてユニット化し、その中では、適宜な間隔で小梁13を配置してスラブが所定の厚さでスパンを飛ばせるように、即ち、小梁付きスラブとする。そのユニット化された床スラブ4は、1つの区画内毎に、フーチング基礎11及び基礎梁12との間で、鉛直方向と水平方向とに縁切り状態で敷設するのである。
【0025】
また、やり方の第2の例として、図7(B)に示したように、床スラブ4を柱1の周りの隙間5を除いて、フロア全面または大半を一体的に繋げて一連化して敷設するのであり、1つの区画毎に床スラブ4の区分はしないが、床スラブ4の下面側には各区画を画成する基礎梁12に近接して沿うようにフレーム状の小梁13が取り付けられると共に、前記第1の例も含めてフレーム内には必要に応じて複数本の小梁が取り付けられる。
【0026】
前記やり方の第1の例に係る床スラブ4の敷設は、図8に示したように、上部建造物における外周部においては、フーチング基礎11上に柱1が立設され、フレーム状に小梁13が取り付けられた床スラブ4は、フーチング基礎11上に滑り材3を介して載置すると共に、基礎梁12との間の隙間5には弾性材6を介在させて配設する。そして、その隙間5の上方位置、即ち、基礎梁12及び柱1の周囲と床スラブ4との間に、床スラブ4と略同じ厚みの伸縮または可変部材、例えば、板状のゴムや樹脂などで形成された緩衝材14を配設して隙間を塞ぐようにする。基礎梁12及び柱1の周囲と床スラブ4との隙間を緩衝材14で塞ぐ点については前記第1の実施の形態においても同様に行うのである。
【0027】
また、中間部における隣接する区画では、図9に示したように、フーチング基礎11と柱1が有る位置については、床スラブ4の両端部側に位置するフレーム状小梁13をフーチング基礎11上に滑り材3を介して配設すると共に、両側のフレーム状小梁13と基礎梁12との間の隙間5には弾性材6を介在させて配設する。そして、隣接する床スラブ4間と柱1の周囲に生じている隙間5の上方位置には、床スラブ4の上面位置に合わせて所要厚みの緩衝材14を配設して隙間を塞ぐようにする。
【0028】
フーチング基礎11のない中間位置においては、図10に示したように、フレーム状小梁13が取り付けられた床スラブ4は、基礎梁12との間に隙間5を設けてあり、隣接する床スラブ4との間に生じている隙間5の上方位置には、床スラブ4の上面位置に合わせて所要厚さの緩衝材14を配設して隙間を塞ぐようにする。
【0029】
前記やり方の第2の例に係る床スラブ4の敷設は、図11に示したように、フーチング基礎11のない中間位置においては、基礎梁12上に滑り材3を介して隣接する区画を跨いで床スラブ4が配設されるのである。この場合には、基礎梁12と床スラブ4の小梁13との間の隙間5には弾性材6を介在させないのである。
これらの説明からして、床スラブ4と基礎構造10とは縁切り状態で構築されること、それによって基礎構造10と上部構造フレームとを耐震構造に構成し、該耐震構造で滑り材3を介して支持される床スラブ4は免震構造となるのである。
【0030】
本発明で使用される滑り材3については、二つの例を図12〜15に示してある。第1の例として示した図12と図13について説明すると、滑り材3は、それぞれ対向面に所要厚さのテフロン(登録商標)板15、16を配設した上部滑り鋼板17と下部滑り鋼板18とからなり、各鋼板には複数の取付用のビス孔17a、18aが設けてある。この場合の上下滑り鋼板17、18の大きさは基礎梁12の幅またはフーチング基礎11の幅と同じか、それよりもやや狭い幅の矩形(角形)形状または長方形状に形成したものである。そして、図13に示したように、下部滑り鋼板18は基礎梁12またはフーチング基礎11(図9参照)の上面に取り付けられ、該下部滑り鋼板18に対向させて、床スラブ4または小梁13(図9参照)の下面に、上部滑り鋼板17を取り付けるのである。
【0031】
図14と図15に示した第2の例の滑り材3は、それぞれ対向面に所要深さの凹部19、20を設けた上部滑り鋼板21と下部滑り鋼板22と、該凹部19、20内に転動自在に収納した複数の鋼球23とからなり、各鋼板には複数の取付用のビス孔21a、22aが設けてある。この場合の上下滑り鋼板21、22の大きさ・形状は前記第1の例として示し説明したものと略同じでありが、例えば、形状については円形状であっても良いし、また、取り付け状態についても前記第1の例と略同じである。なお、滑り材3の幅や長さについては、使用態様によってそれぞれ異なるので、図示の例に限定されることはないのである。
【0032】
なお、本発明で使用される弾性材6として、鋼製ばねを挙げたが、これに限定されず、例えば、ゴム等も使用できるし、隙間を塞ぐ緩衝材14としてゴムや樹脂などを挙げたが、これに限らず、例えば、スライドできる状態に形成された鋼板であっても良いのである。
また、床スラブと周辺の耐震構造との隙間に弾性材だけでなく、ダンパーと併用して設置することにより、地震時の建造物の揺れを軽減して揺れを早く止めるにはより一層効果的である。
【0033】
このように構成された本発明に係る床スラブ免震構造は、建造物における基礎および柱と梁とからなるフレーム部分は耐震構造とし、床スラブ部分は耐震構造とは縁切りし滑り材を介して水平方向にスライド自在の免震構造としたことにより、地震発生時には地盤から伝わる揺れがそのまま耐震構造に伝達されて耐震フレームは揺れるが、耐震構造と縁切りされている床スラブは、滑り材の存在でスリップし、耐震構造からの揺れが直接伝わらないので、優れた免震効果が得られるのである。
【0034】
そして、免震のために使用される滑り材としては、テフロン(登録商標)板または鋼球を対向面に配設した上・下部滑り鋼板を耐震構造と免震にする床スラブとの間に配設するだけであるから、構造的に極めて簡単で安価に施工できるので、従来使用されていた建造物全体を支える大げさで高価な免震装置を使用しなくても、優れた免震建造物が得られるのである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るいずれの実施例における床スラブ免震構造は、要するに、建造物における基礎および柱と梁とからなる骨組み構造部分は耐震構造とし、床スラブ部分は耐震構造と鉛直方向と水平方向とにおいて縁切りし、滑り材を介して水平方向にスライド自在の免震構造としたことにより、構造的に極めて簡単で安価に施工できるばかりでなく、垂直方向の大きな軸力を必要としていた従来の大げさで高価な免震装置を使用しなくても免震機能に優れた建造物が得られるので、平屋を含む5階建て以下の低層階の建造物における免震構造として広く利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 柱
2 梁
3 滑り材
4 床スラブ
4a プレキャストコンクリート床版
4b トップコンクリート
5 隙間
6 弾性材
7 リブ状凸部
8 肉厚部
9 連結部材
10 基礎構造
11 フーチング基礎
12 基礎梁
13 小梁
14 緩衝材
15、16 フテロン板
17、21 上部滑り鋼板
18、22 下部滑り鋼板
17a、18a、21a、22a ビス孔
19、20 凹部
23 鋼球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物における少なくとも基礎と該基礎の上に構築された柱と梁とからなるフレームは耐震構造とし、
建造物における床スラブは前記耐震構造と縁切りして免震構造とするものであって、
水平方向において、床スラブと周辺の耐震構造との間に所要の隙間を設け、該隙間に弾性材を配設して縁切り状態を維持し、
鉛直方向において、床スラブの下面と周辺の耐震構造の上面との間に滑り材を設けて縁切り状態を維持して敷設すること
を特徴とする床スラブの免震構造。
【請求項2】
前記床スラブは、
耐震構造で区画された各区画範囲毎にユニット化して縁切り状態で敷設すること
を特徴とする請求項1に記載の床スラブの免震構造。
【請求項3】
前記床スラブは、
各フロア毎に一連化して縁切り状態で敷設すること
を特徴とする請求項1に記載の床スラブの免震構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−92166(P2013−92166A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232753(P2011−232753)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000170772)黒沢建設株式会社 (57)
【Fターム(参考)】