説明

床化粧材

【課題】 床化粧材が受ける風の影響を最小限に抑えて床化粧材が捲れ上がるのを防ぎ、安全性および意匠性の高い優れた床化粧材を提供する。
【解決手段】 床化粧材1の床化粧材本体11には、嵩比重の高い重量物13が側面のカバー部材18に内装されている。カバー部材18は、床化粧材本体11の側面に嵌め込み可能に形成されている。重量物13は、ブロック体、複合成形体、又は砂等がパッキングされた袋体などからなり、カバー部材18の収納部20に収納されている。これにより、風の影響によって床化粧材1の捲れ上がったり吹き上がったりするのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダ、バルコニー、または屋上等の風の影響を受けやすい床面に敷設して使用する床化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
ベランダやバルコニー、屋上等に床材を敷設してデッキを形成する技術には、従来、係止溝を備えた固定基板を根太上に複数個ねじ止めするとともに、バルコニー等の寸法に合わせて切断した長尺のデッキ材の裏面側の突条を固定基板の係止溝に圧入嵌合するなどの構造が提案されていた。
【0003】
これに対し、近年では、例えば特許文献1に記載されているように、コンクリート等のスラブ上に床材を敷設して床面を覆う構成の床材として、硬質合成樹脂を矩形状に成形した部材で、裏面側とスラブ面との間に排水空間を形成するための複数本の脚が一体形成されてなる床材があり、上面に樹脂またはタイル等の表面材を係止接着固定または一体成形した構造のユニット式床化粧材も実用化されている。
【0004】
このようなユニット式床化粧材は、バルコニーやベランダ等の屋外に敷設した場合、床化粧材の下面側に風が吹き込むと、床化粧材の全体が捲れ上がってしまうことがあった。そこで、このような捲れ上がりを解消するために、例えば特許文献2に記載されているように、タイルユニットを敷設して床面を形成する際に、その床面周囲の少なくとも一部に透水性開口を有する樹脂製フロアマットを敷設して風の影響を軽減するという、タイルユニットの敷設構造も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−85929号公報
【特許文献2】特開平7−10191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の床材の敷設構造は、立ち上がり壁で囲われたバルコニー等の床面に、表面材がタイル等の比較的重い床化粧材を敷設する場合には、ある程度有効である。しかし、立ち上がり壁ではなく、手すりだけが設けられたバルコニーに、このような床化粧材を敷設した場合には、手すりを通り抜けた風が床化粧材の下面側に入り込んで床化粧材の全体が捲れ上がる、吹き上がり現象を起こしてしまうおそれがあった。また、このような問題は、高さのないパラペットのある屋上などに床化粧材を敷設する場合にも発生する可能性があった。
【0007】
また、かかる床化粧材の敷設作業にあたっては、専門の施工業者が作業をする場合もあるが、住宅等の小規模の建物においては専門の施工業者ではなく個人で敷設作業をする場合も考えられるため、その施工性のよさや、メンテナンスや掃除の際の床化粧材の取り外し作業のしやすさ等も配慮する必要があった。
【0008】
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、バルコニーやベランダ等の床面をユニット式の床化粧材を敷設して形成するにあたり、その床材が受ける風の影響を最小限に抑えて床材が捲れ上がるのを防ぎ、安全性および意匠性の高い優れた床化粧材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、複数枚の床化粧材本体を、屋外に設けられる床面または屋上スラブに敷きつめて床を構成する床化粧材を前提とする。この床化粧材に対し、少なくとも、構成された床の周縁部に配置されている床化粧材本体の側面に、カバー部材を装着し、前記カバー部材には、前記床化粧材本体の側面部に装着する装着部と、該装着部に沿って形成する収納部とを備えさせ、前記収納部に、嵩比重の高い重量物を内装した構成としている。
【0010】
この特定事項により、床化粧材本体に重量物を容易に添設することができ、床化粧材が受ける風の影響を最小限に抑えて、吹き上がり現象を防止することが可能となる。
【0011】
前記床化粧材のより具体的な構成として次のものが挙げられる。
【0012】
前記重量物は、無機質系材料からなるブロック体、無機質系材料からなる充填材をセメント、石膏あるいは合成樹脂に練り混ぜて硬化させた複合成形体であることが好ましい。
【0013】
また、前記重量物は、砂、砂利、金属片、あるいは金属粉、またはこれらの混成物であってもよい。
【0014】
また、前記重量物は、砂、砂利、金属片、あるいは金属粉、またはこれらの混成物がパッキングされて前記カバー部材の収納部に収納可能とされた袋体であってもよい。
【0015】
また、前記カバー部材は、装着部に、前記床化粧材本体の下部に敷設可能な下敷部が延設された構成であることが好ましい。
【0016】
また、前記カバー部材は、装着部に庇部と下敷部とを備え、前記下敷部は庇部よりも前方へ延出して前記床化粧材本体の下部に敷設可能な構成であってもよい。
【0017】
また、前記下敷部は、複数枚の床化粧材本体にわたって、その下部に敷設されうる平板状に形成されてもよい。
【0018】
また、前記下敷部は、棒状、溝形状、または帯板状に形成されて、前記床化粧材本体の裏面に設けられた複数本の脚部の間に保持可能とされてもよい。
【0019】
さらに、前記下敷部には、該下敷部の延設方向と直交する方向に延びる係止部が設けられていてもよい。
【0020】
また、前記下敷部は、棒状、溝形状、または帯板状に形成されて、前記床化粧材本体の裏面に設けられた複数本の脚部を保持可能な複数の固定部を備えた構成であってもよい。
【0021】
さらに、前記カバー部材は、前記収納部の天面側が開口して形成され、該収納部の天面側を被覆する蓋部材を備えていることが好ましい。
【0022】
上記の構成を備えた床化粧材とすることにより、床化粧材本体の形状にかかわらず、重量物を容易に装着し、また取り外すことが可能であり、良好な施工性のもと、床化粧材を敷設した床面を安定的に保持して、風による吹き上がり現象を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
上述のように構成される本発明の床化粧材によれば、嵩比重が高く取り扱いを容易に行うことのできる重量物を簡単な作業で床化粧材本体に添設することができ、またその取り外しも容易に行うことができる。これにより、床化粧材を敷設することによって形成した床を、風の影響を最小限に抑えて、床化粧材が捲れ上がるのを防ぎ、床化粧材を安定的に保持しつつ、安全性および意匠性に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1に係る床化粧材を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係る床化粧材の他の変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る床化粧材におけるカバー部材を示す斜視図である。
【図5】実施形態2の床化粧材におけるカバー部材の他の形態を示す斜視図である。
【図6】実施形態2の床化粧材におけるカバー部材の他の形態を示す斜視図である。
【図7】実施形態2の床化粧材におけるカバー部材の他の形態を示す斜視図である。
【図8】実施形態2の床化粧材におけるカバー部材の他の形態を示す斜視図である。
【図9】床化粧材の参考例1を示す斜視図である。
【図10】図9の床化粧材において重量物を添設した状態を示す斜視図である。
【図11】図9の床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【図12】図11の床化粧材において重量物を添設した状態を示す斜視図である。
【図13】床化粧材の参考例2示す斜視図である。
【図14】図13の床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【図15】床化粧材の参考例3示す斜視図である。
【図16】図15の床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る床化粧材について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
本発明に係る床化粧材は、住宅のベランダ、バルコニー、またはテラスなどの屋外に設けられる床面や、屋上スラブなどにおける床材として、複数枚を敷設して使用可能な床化粧材である。この床化粧材には嵩比重の高い重量物が備えられて、床化粧材の重量を増すことにより、風の影響からの吹き上がり現象を防止するように構成されている。かかる床化粧材において、前記重量物は多様な形態で設けることが可能である。以下では、そのうちの2つの実施形態について説明する。
【0027】
本発明の実施形態に係る床化粧材の説明に先立ち、参考例としての床化粧材について説明する。
【0028】
先ず、床化粧材の参考例1について図面を参照しつつ説明する。図9〜図12は、床化粧材の参考例1を示し、図9は床化粧材の斜視図、図10は床化粧材本体に重量物を添設した状態を示す斜視図、図11は図9の床化粧材の変形例を示す斜視図、図12は図11における床化粧材本体に重量物を添設した状態を示す斜視図である。
【0029】
床化粧材10は、合成樹脂製の床材基材(30cm角)の上面に樹脂製の表面材(約10cm角)を一体に成形した部材で形成される床化粧材本体11を有し、この床化粧材本体11の裏面側には、複数本の脚部12が一体的に備えられている。また、床化粧材本体11は、合成樹脂製の床材基材(30cm角)の上面に木質、レンガ、磁器タイル等の表面材を接着したものでもよい。そして、複数枚の床化粧材10が各辺の端縁部に設けられた雌雄連結部で連結されて敷設され、床を構成するようになっている。
【0030】
床化粧材10の床化粧材本体11には、床化粧材10が風の影響による吹き上がるのを防止するため、嵩比重の高い重量物13が裏面に添設される。この形態の重量物13は、1枚の床化粧材本体11に対して1個が添設され、それぞれブロック体となっている。
【0031】
例示の重量物13は、無機質系材料からなるブロック体(無機質ブロック体)、あるいは無機質系材料からなる充填材(無機質充填材)をセメントや石膏または合成樹脂に練り混ぜて固めた複合成形体で構成されている。
【0032】
より具体的には、無機質系材料としては、鉄、アルミニウム、銅、鉛などの金属あるいはその酸化物や、石膏、または粘土等を含むことが好ましい。また、無機質充填材としては、前記の金属またはその酸化物や、砂、ガラス等であることが好ましく、かかる充填材をセメントや石膏または熱硬化性樹脂等の合成樹脂で成形して複合成形体を形成することが好ましい。また、無機質充填材の形状は粒状や棒状などいかなる形状でもかまわない。
【0033】
重量物13の嵩比重は、概ね1.5g/cm3以上で、重ければ重いほど風飛び防止および吹き上がり現象防止効果を大きくすることができる。また、重量物13を添設する面積や、現実的に実用可能な材料を勘案すると、重量物13の嵩比重は、1.7g/cm3〜12.0g/cm3の範囲であることがより好ましい。
【0034】
また、重量物の重量は500g以上/30cm角であることが好ましく、施工性や耐風圧性能を考えると、750g〜2000g/30cm角の範囲であることがより好ましい。
【0035】
図示するように、無機質ブロック体または複合成形体からなる重量物13には、床化粧材本体11の脚部12の配置に対応するように配置された取付穴14が設けられている。
【0036】
例示の形態では、脚部12が円柱形状に形成されているので、これに対応する取付穴14も円柱状の貫通穴として形成されている。また、1個の重量物13に取付穴14が14個形成されており、床化粧材本体11の14本の脚部12がそれぞれ嵌挿させることができるようになっている。そして、図10に示すように、脚部12を取付穴14に嵌挿して、床化粧材本体11に重量物13を添設することにより、床化粧材10が構成されている。
【0037】
また、図11,12に示すように、重量物13の底面側に溝13aが形成されていてもよい。このように重量物13に溝13aが形成されていることにより、床化粧材本体11の下部空間に流入した雨水等の水を排水することが容易になる。
【0038】
また、重量物13は、複数枚の床化粧材10が敷き詰められた床面の少なくとも周縁部に配置される床化粧材本体11に対して添設されることが好ましい。これにより、周縁部から床化粧材本体11の下部空間に吹き込まれる風の影響を、重量物13によって抑えることができ、より重量の軽い重量物でも吹き上がり現象を防止することが可能になる。
【0039】
また、かかる床化粧材10は施工性も良好である。すなわち、床化粧材本体11は、比較的軽量であり、重量物13は現場にて必要箇所に添設すればよいので、搬入および敷設作業も容易に行うことができるものである。これに加えて、重量物13を脚部12に嵌挿させた床化粧材10を配設する範囲は、広範囲とするほど吹き上がり現象を防止する効果を高めることができる。
【0040】
次に、床化粧材の参考例2について図面を参照しつつ説明する。図13は参考例2に係る床化粧材を示す斜視図、図14は図13の床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【0041】
なお、以下に説明する参考例2、3の形態に係る床化粧材10は、床化粧材本体11の構成が参考例1とほぼ同様であり、重量物13の取付構造が相違しているものであるので、重量物13の構成について詳細に説明し、他の部分については参考例1と共通の符号を用いて説明を省略する。
【0042】
この床化粧材10は、床化粧材本体11の裏面に嵌入穴15が形成されており、重量物13の天面に設けられた取付凸部131が、裏面の嵌入穴15に嵌挿されることで、床化粧材本体11に重量物13が添設された構成となっている。
【0043】
図13に例示する床化粧材10の場合、床化粧材本体11は、天面側に設けられているタイル様の表層部16と、脚部12が垂設された基板部17とが一体に組み付けられて形成されている。基板部17には、底面側に貫通する嵌入穴15が複数個設けられている。各嵌入穴15は、矩形状に穿設されており、内側に段部151が形成されている。
【0044】
これに対し、重量物13は、帯状ブロック体に形成されて、ちょうど基板部17の脚部12同士の間に嵌め込むことが可能なようになっている。また重量物13の天面には、複数の取付凸部131が立設されている。取付凸部131は、床化粧材本体11の嵌入穴15に対応させた個数および配置で形成されており、先端部に係止片132が設けられている。
【0045】
この取付凸部131の係止片132は、床化粧材本体11に設けられた嵌入穴15の段部151に係止するように形成されており、例示の形態では、側面視略台形状に突設されている。そして、かかる重量物13の係止片132が、基板部17の嵌入穴15に嵌入されて段部151に係止し、重量物13が床化粧材本体11に添設される構成となっている。
【0046】
また、重量物13は、図14に示すように、床化粧材本体11の脚部12を嵌挿しうる取付穴14が配設されて、かつ、天面側に取付凸部131が立設された形態であってもよい。すなわち、図13に例示した床化粧材10の重量物13と比較して、この重量物13は幅方向に拡大されて形成されており、その重量を増すことが可能となっている。これらの取付凸部131にも係止片132が突設されている。この場合も前記と同様に、重量物13の取付凸部131を床化粧材本体11の裏面の嵌入穴15に嵌挿して、係止片132を段部151に係止させて固定される構成である。
【0047】
かかる床化粧材10の重量物13に関しても、複数枚の床化粧材10が敷き詰められた床面の少なくとも周縁部に位置する床化粧材本体11に対して添設されることが好ましい。これにより、周縁部から床化粧材本体11の下部空間に吹き込まれる風の影響を、重量物13によって抑えることができ、吹き上がり現象を防止することが可能になる。また、取付凸部131が重量物13に形成されていることにより、床化粧材本体11への装着および取り外しが容易であり、施工性も良好なものとすることができる。
【0048】
次に、床化粧材の参考例3について図面を参照しつつ説明する。図15は本発明の参考例3に係る床化粧材を示す斜視図、図16は図15の床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【0049】
この形態の床化粧材10は、重量物13に立設されている取付凸部131は、2本が対になって形成されている。図15に示すように、取付凸部131は帯状ブロック体に形成された重量物13の天面において側縁部に立設されており、一対の取付凸部131に対してそれぞれ外向きの係止片132が突設されている。
【0050】
このような対をなす取付凸部131は、床化粧材本体11の嵌入穴15に嵌挿されて、嵌入穴15の内側に形成されている段部151にそれぞれの係止片132が係止して固定されるようになっている。
【0051】
また、重量物13は、図16に示すように、床化粧材本体11の脚部12を嵌挿しうる取付穴14が配設されて、かつ、天面側に一対の取付凸部131が複数箇所に立設された形態であってもよい。この場合も前記と同様に、一対の取付凸部131を床化粧材本体11の裏面の嵌入穴15に嵌挿して、係止片132を段部151にそれぞれ係止させて重量物13を床化粧材本体11に固定する構成である。
【0052】
これにより、床化粧材10は、周縁部から床化粧材本体11の下部空間に吹き込まれる風の影響を、重量物13によって抑えることができ、吹き上がり現象を防止することが可能になる。また、取付凸部131が重量物13に形成されていることにより、床化粧材本体11への装着および取り外しが容易であり、施工性も良好なものとすることができる。
【0053】
(実施形態1)
次に、本発明の実施形態1に係る床化粧材について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態1に係る床化粧材を示す斜視図であり、図2、3は前記床化粧材の変形例を示す斜視図である。
【0054】
実施形態1に係る床化粧材1は、複数枚が配設されることにより構成される床の周縁部に配置される床化粧材本体11の側面部に、嵩比重の高い重量物13が添設されている。床化粧材本体11は、前記実施例1〜3に示した構成と同様に脚部を有するもの、あるいは脚部のないブロック状のものなど、どのような形態の床化粧材本体11であってもよい。
【0055】
重量物13は、合成樹脂製のカバー部材18に備えられている。カバー部材18は、床化粧材本体11の側面部に装着される装着部19と、この装着部19の外周に設けられた収納部20を有する。
【0056】
図示するように、装着部19は、断面形状が略コ字形で形成されて内側に床化粧材本体11を嵌め込み可能となされている。この装着部19の天面側は、床化粧材本体11により形成される床面の周縁部に被さる庇部191として延設されている。
【0057】
また、装着部19の底面側は、床化粧材本体11の下部に敷設しうるように、庇部191よりも前方へ延設されて下敷部192となされている。例示するように、この下敷部192は庇部191と同等の長さでも良いが、複数枚の床化粧材本体11に対して敷設されることが好ましく、下敷部192の延設方向に少なくとも2枚の床化粧材本体11を配設しうる大きさで、床化粧材本体11の下部に敷設されうる平板状に形成されている。
【0058】
これにより、カバー部材18の装着部19は、下敷部192に作用する床化粧材本体11の自重によって押さえられて装着状態が維持され、さらに、庇部191が床化粧材本体11の浮き上がりを防止することができるようになっている。
【0059】
カバー部材18の収納部20は、装着部19の外側面に沿う中空部として形成されている。重量物13は、この収納部20には収納されている。重量物13は、図1に例示するように、棒状体で形成された嵩比重の高い無機質ブロック体あるいは無機質充填材をセメントや石膏または合成樹脂で固めた複合成形体が、収納部20に挿入される。なお、重量物13は、嵩比重が高く、収納部20に納まる形状であれば、どのような形状のものであってもよく、例えば物干し竿を収納するようにしてもよい。また、パッキングされて収納部20に収納可能な状態とされた砂、砂利や金属片または金属粉の袋体であってもよい。
【0060】
これにより、カバー部材18を介して床化粧材本体11に重量物13を添設することができ、風の影響による吹き上がり現象を防止することが可能となっている。
【0061】
図2、3に示す床化粧材1では、カバー部材18の収納部20が、装着部19の外側面に沿って、天面側が開口した溝状に形成されている。
【0062】
図2の床化粧材1の場合は、溝状の収納部20に対して、収納部20の天面側を被覆する蓋部材21が備えられている。収納部20には内側面に掛止部201が突設されている。また、蓋部材21は延設された庇部211を有し、収納部20の掛止部201に掛止する突片212が垂設されている。これにより、収納部20に重量物13を納めて、蓋部材21によって閉止して床化粧材1の吹き上がり現象を抑えることができるようになっている。また、収納部20に延設されて床化粧材本体11の下部に敷設される下敷部22が形成されている。
【0063】
また、図3に示すように、溝状の収納部20の開口した側面が蓋部材21によって閉止される構成であってもよく、天面側が開口した収納部20に対して上方から重量物13を納め、側方への流出を抑えるように構成されている。従って、この場合には特に砂、砂利や金属片または金属粉等をパッキングする必要が無い。
【0064】
したがって、床化粧材本体11に添設される重量物13の形態および材質等によって、カバー部材18の収納部20の形態が適宜選択されることが好ましい。
【0065】
また、図1、図2および図3において、庇部または下敷部のどちらか一方がない略L字形であってもかまわない。
【0066】
また、収容部20の底面および下敷部192および22には雨等の水を排出する孔を適宜設けてもよい。
【0067】
このような構成のカバー部材18を床化粧材本体11に備えた床化粧材1により、重量物13を容易に添設することができ、装着および取り外しも簡単に行うことができ、床化粧材1を敷設することによって形成した床面を、風の影響を最小限に抑えて床化粧材1が捲れ上がるのを防ぎ、安定的に保持しつつ、安全性および意匠性に優れたものとすることができる。
【0068】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る床化粧材について、図面を参照しつつ説明する。図4は、実施形態2の床化粧材1について示し、床化粧材1におけるカバー部材18を示す斜視図である。また、図5は、実施形態2の床化粧材1の変形例を示す斜視図である。
【0069】
なお、この形態に係る床化粧材1は、特にカバー部材18に特徴を有するので、カバー部材18について詳細に説明し、床化粧材1のその他の構成要素については前記と同様の符号を用いることにより説明を省略する。
【0070】
この床化粧材1は、図9に参考例として示したように、床化粧材本体11の裏面側に複数本の脚部12が一体的に備えられたものについて適用することができるものである。また、重量物13は、合成樹脂製のカバー部材18に備えられる。カバー部材18は、図4、5では簡略化して示しているが、前記実施例4と同様に、床化粧材本体11の側面部に装着される装着部19と、この装着部19の外周に収納部20を有することが好ましい。
【0071】
図4、5に示すように、装着部19の底面側には、床化粧材本体11の下部に敷設しうるように、下敷部192が延設されている。下敷部192は、床化粧材本体11の側面部に沿う収納部20(装着部19)の配設方向に対し、直交する方向(図4における矢符A方向)に延設されている。例示の形態では、下敷部192は、その一部分が下敷部192の延設方向に延びた細長の帯板状に形成されている。
【0072】
下敷部192は、その延設方向に、少なくとも2枚の床化粧材本体11を配設しうる長さで形成されている。また、下敷部192の幅は、床化粧材本体11に設けられた脚部12と脚部12との間に挿入しうる幅、すなわち隣接する脚部12の間隔と同等かやや小さい幅で形成されている。
【0073】
これにより、カバー部材18の装着部19は、床化粧材本体11の脚部12間に保持されて装着状態が維持される。さらに、図5に係る形態においては、庇部191が床化粧材本体11の浮き上がりを防止することができるようになっている。
【0074】
図6〜図8は、実施形態2の床化粧材1におけるカバー部材18の他の形態をそれぞれ示す斜視図である。
【0075】
床化粧材1のカバー部材18では、図6に示すように、下敷部192に、この下敷部192の延設方向と直交する方向に延びる係止部193が設けられていてもよい。この係止部193は、下敷部192の長さに比して短く形成されている。このような係止部193を有することにより、下敷部192が床化粧材本体11の脚部12間に配置されたとき、さらに係止部193も下敷部192と直交する方向において脚部12間に保持されて、カバー部材18の位置ずれや抜けを防止して良好な装着状態を維持することができるようになる。すなわち、この下敷部192と係止部193の交差部の周囲に4本の脚部12…12が位置することで、カバー部材18が床化粧材本体11に対して固定される。
【0076】
また、図7に示すように、下敷部192に脚部12を固定する複数の固定孔194…194が設けられていてもよい。これらの固定孔194…194は、床化粧材本体11の脚部12の配置形態および脚部12の断面形状に対応させて形成されており、例示の形態では、略円柱状の脚部12に対して円形状の固定孔(固定部)194が、脚部12の配置間隔に合わせた均等間隔で下敷部192に穿設されている。これにより、カバー部材18を床化粧材本体11の側面部に沿って配置するとき、下敷部192を床化粧材本体11の下部に敷設するとともに、脚部12…12を固定孔194…194に嵌挿させて、両者を一体化させて固定することが可能になる。また、下敷部192は複数本設けられてもよい。
【0077】
このように脚部12に下敷部192を固定する手段としては、図8に例示するように、棒状(溝形状)に形成した下敷部192に、複数の仕切板195…195を配設して、固定部196を形成する方法もある。この場合、下敷部192において、仕切板195と仕切板195との間に形成された固定部196に、床化粧材本体11の脚部12…12をそれぞれ納めて保持することにより、カバー部材18の位置ずれや抜けを防止し、良好な装着状態を維持することができる。
【0078】
このように、カバー部材18の下敷部192に、床化粧材本体11に対してカバー部材18を固定するための種々の固定手段を設けることで、より一層安定した設置状態を維持することができ、床化粧材本体11の浮き上がりを長期的かつ効果的に防止することができる。そして、床化粧材1を敷設することによって形成した床面を、風の影響を最小限に抑えて床化粧材1が捲れ上がるのを防ぎ、安定的に保持しつつ、安全性および意匠性に優れたものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、住宅等の建物におけるバルコニーやベランダ等の風の影響を受けやすい床面に敷設して好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 床化粧材
11 床化粧材本体
12 脚部
13 重量物
131 取付凸部
132 係止片
14 取付穴
15 嵌入穴
151 段部
16 表層部
17 基板部
18 カバー部材
19 装着部
191 庇部
192 下敷部
20 収納部
21 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の床化粧材本体を、屋外に設けられる床面または屋上スラブに敷きつめて床を構成する床化粧材において、
少なくとも、構成された床の周縁部に配置されている床化粧材本体の側面にカバー部材が装着され、
このカバー部材は前記床化粧材本体の側面部に装着される装着部と、該装着部に沿って形成された収納部とを備えており、
前記収納部に、嵩比重の高い重量物が内装されていることを特徴とする床化粧材。
【請求項2】
前記重量物は、無機質系材料からなるブロック体、無機質系材料からなる充填材をセメント、石膏あるいは合成樹脂に練り混ぜて硬化させた複合成形体であることを特徴とする請求項1に記載の床化粧材。
【請求項3】
前記重量物は、砂、砂利、金属片、あるいは金属粉、またはこれらの混成物であることを特徴とする請求項1に記載の床化粧材。
【請求項4】
前記重量物は、砂、砂利、金属片、あるいは金属粉、またはこれらの混成物がパッキングされて前記カバー部材の収納部に収納可能とされた袋体であることを特徴とする請求項1に記載の床化粧材。
【請求項5】
前記カバー部材は、装着部に、前記床化粧材本体の下部に敷設可能な下敷部が延設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の床化粧材。
【請求項6】
前記カバー部材は、装着部に庇部と下敷部とを備え、前記下敷部は庇部よりも前方へ延出して前記床化粧材本体の下部に敷設可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の床化粧材。
【請求項7】
前記下敷部は、複数枚の床化粧材本体にわたって、その下部に敷設されうる平板状に形成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の床化粧材。
【請求項8】
前記下敷部は、棒状、溝形状、または帯板状に形成されて、前記床化粧材本体の裏面に設けられた複数本の脚部の間に保持可能とされていることを特徴とする請求項5または6に記載の床化粧材。
【請求項9】
前記下敷部には、該下敷部の延設方向と直交する方向に延びる係止部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の床化粧材。
【請求項10】
前記下敷部は、棒状、溝形状、または帯板状に形成されて、前記床化粧材本体の裏面に設けられた複数本の脚部を保持可能な複数の固定部を備えていることを特徴とする請求項5または6に記載の床化粧材。
【請求項11】
前記カバー部材は、前記収納部の天面側が開口して形成され、該収納部の天面側を被覆する蓋部材を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つの請求項に記載の床化粧材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−47039(P2012−47039A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266032(P2011−266032)
【出願日】平成23年12月5日(2011.12.5)
【分割の表示】特願2007−131636(P2007−131636)の分割
【原出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】