床暖房用のコントローラを備えた家具および電気式床暖房構造
【課題】システムキッチンKの足元のみのように、その近くの限られた領域のみを床暖房することが求められる場合に、その施工を容易にしかつ施工コストも低減した状態で、求められる電気式床暖房構造を構築する。
【解決手段】床面に設置される家具として、床面に配置した床暖房用電気加熱手段1に電気的に接続可能でありかつ床暖房用電気加熱手段1への電力供給を制御するコントローラ20を備える家具(例えばシステムキッチンK)を用いる。電気式床暖房構造は、家具の近傍に配置された床暖房用電気加熱手段1と、床暖房用電気加熱手段1を覆う木質床材2と、家具に備えられたコントローラ20と床暖房用電気加熱手段1を電気的に接続する二次側配線6とで構成される。コントローラ20には配電盤から一次側電力を供給する。電気接続はコンセントによる接続でよい。
【解決手段】床面に設置される家具として、床面に配置した床暖房用電気加熱手段1に電気的に接続可能でありかつ床暖房用電気加熱手段1への電力供給を制御するコントローラ20を備える家具(例えばシステムキッチンK)を用いる。電気式床暖房構造は、家具の近傍に配置された床暖房用電気加熱手段1と、床暖房用電気加熱手段1を覆う木質床材2と、家具に備えられたコントローラ20と床暖房用電気加熱手段1を電気的に接続する二次側配線6とで構成される。コントローラ20には配電盤から一次側電力を供給する。電気接続はコンセントによる接続でよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房用のコントローラを備えた家具とそれを備えた電気式床暖房構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通電することにより発熱する面状あるいは線状の床暖房用電気加熱手段を床下地面に配置して床暖房を行うことは知られている。また、必要とされる狭い領域のみに電気加熱手段を配置して、部分的な床面加熱を行うことも知られている。ヒータ付パネルのような電気加熱手段を床下地面に配置した後、その上を木質床材のような床仕上げ材で覆うことで電気式暖房床構造とする場合もあり、床仕上げ材が木質床材である場合には、電気加熱手段と木質床材とを予め一体化したヒータ一体型木質床材を床下地面に敷設することで、電気式暖房床構造とする場合もある。
【0003】
家屋に床暖房を施工するにあたっては、ヒータ付パネルやヒータ一体型木質床材を床下地面に配置する作業に加えて、壁に床暖房用のコントローラを設置する工事、家屋の配電盤から床暖房用の一次側配線を引き出す工事、床暖房用電気加熱手段から壁に設置した床暖房用コントローラまでの二次側配線を行う工事、コントローラと一次側配線および二次側配線とを接続する工事、等の電気的な工事が必要となる。この電気工事は電気工事士の資格を持ったものによって行われ、床面全面を電気式床暖房構造とする場合も、床面の一部のみを電気式床暖房構造とする場合も、同じように行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−57964号公報
【特許文献2】特開2001−336773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地域によって、または顧客の要望に応じて、例えばシステムキッチンの足元のみのようにごく限られた領域にのみ電気式床暖房構造を施工することが求められる場合がある。その場合でも、現在の施工法では、床面の全域を電気式床暖房構造とする場合と同様、図20に示すように、システムキッチンKの足元にヒータ線等の床暖房用電気加熱手段1を床下地面に敷設する工事、敷設した床暖房用電気加熱手段1の上に木質床材2のような床仕上げ材を配置する工事に加えて、システムキッチンKの近くにある壁に床暖房用のコントローラ3を設置する工事、家屋の配電盤4から床暖房用の一次側配線5を引き出す工事、床暖房用電気加熱手段1からコントローラ3までの二次側配線6を行う工事、コントローラ3と一次側配線5および二次側配線6とを接続する工事、等の多くの電気工事を行う必要があり、施工が複雑であるとともに、施工面積のわりには電気工事に占める費用の割合が高くなっているのが現状である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、例えばシステムキッチンの足元のみのように、家具類の近くの限られた領域のみを床暖房することが求められるときに、その施工を容易化しかつ施工コストを低減することを課題とし、より具体的には、その施工で用いるのに好適な家具と、その家具を用いて構築する電気式床暖房構造を開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による家具は、床面に設置される家具であって、床面に配置した床暖房用電気加熱手段に電気的に接続可能でありかつ該床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明による家具は、床暖房のために床面に配置される電気ヒータのような床暖房用電気加熱手段に対するコントローラをあらかじめ備えている。そのために、床暖房の施工現場では、例えば、当該家具を設置すべき位置近傍の限られた領域に床暖房用電気加熱手段を配置する作業、床仕上げ材を敷設する作業、所定の位置に当該家具を設置する作業等を行い、また、必要な場合には、当該家具を設置する前に、配電盤からの一次側配線に接続するコンセントを当該家具の近傍に用意する作業を行い、その後あるいは当該家具を設置するときに、床暖房用電気加熱手段からの二次側配線側のコネクタを当該家具に取り付けてあるコントローラの二次側コネクタに接続し、また、配電盤からの一次側配線に接続するコンセントと該コントローラの一次側コンセントプラグとを接続するだけで、床暖房に必要な電気接続は終了する。施工現場での電気接続は、コネクタとコネクタおよびコンセントとコンセントプラグの接続のみであり、施工に資格を備えた電気工事士を必要としない。
【0009】
すなわち、本発明による床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備えた家具を用いることにより、その足元等に電気式床暖房構造を構築する作業を、従来行っていた施工方法と比較して大きく簡素化することができ、短い時間で容易に行うことが可能となる。結果として、施工コストを低減することができる。
【0010】
本発明において、家具に取り付ける前記コントローラは、従来の電気式床暖房フロアで用いられているコントローラと同じものであってよい。しかし、狭い面積での床暖房が前提となることから、限られた機能を備えたコントローラであっても、安全性は確保できる。例えば、ON/OFF機能のみを備えたコントローラであってもよい。また、ON/OFF機能に加えて一定時間経過後に床暖房用電気加熱手段への電力供給を自動的に遮断する手段などを備えたコントローラであってもよい。
【0011】
本発明において家具は、床面に設置されるものであることを条件に限定はない。限られた領域での床暖房を構築することが目的であることを考慮すると、システムキッチン構成部材、化粧台、洗面化粧台、リビング用収納家具、または掘りごたつ等を例示することができる。
【0012】
本発明は、さらに、上記家具を用いる電気式床暖房構造として、床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された前記家具と、前記床面上であって前記家具の近傍に配置された面状発熱体を備えた床暖房用電気加熱手段と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造(以下、「第1形態の電気式床暖房構造」という)をも開示する。
【0013】
本発明は、さらに、上記家具を用いる電気式床暖房構造として、床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された前記家具と、前記床下地面上であって前記家具の近傍に配置された床暖房用電気加熱手段と、前記床暖房用電気加熱手段を覆う前記床仕上げ材と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造(以下、「第2形態の電気式床暖房構造」という)をも開示する。
【0014】
この第1形態および第2形態の電気式床暖房構造は、前記したコントローラを備えた家具を用いることにより、短時間でかつ容易に施工することができ、施工コストの低減を図ることができる。施工に当たり、配電盤からの一次側配線に接続するコンセントは前記家具に近い適宜の場所に設置され、該コンセントと前記コントローラの一次側コンセントプラグとを接続する。また、前記コントローラの二次側コネクタと床暖房用電気加熱手段からの二次側配線側のコネクタとを、前記接続手段を用いて接続する。その際に、施工の容易性から、前記接続手段は、少なくともその一部が前記床仕上げ材の上方に位置するようにして配置されるが、可能であれば、全部を床仕上げ材の下方に配線するようにしてもよい。
【0015】
また、システムキッチン等の構成部材によっては、皿洗い機のようなモータを駆動原とする機器に対するコンセントをあらかじめ組み込んでいるものがあるが、その場合には、当該モータへの電力供給用コンセントを、コントローラの一次側配線の接続用コンセントとして利用することもできる。
【0016】
前記した第1形態および第2形態の電気式床暖房構造の一態様において、前記床暖房用電気加熱手段として、ヒータ付パネル、すなわち、布材や合成樹脂材などの耐熱性および絶縁性を有する面状基材にニクロム線などの発熱体を敷設して絶縁処理したもの、あるいは前記発熱体としてニクロム線の代わりに絶縁性繊維を芯線として、当該芯線にカーボン粉末などの導電性材料を付着させた形態のヒータ付パネルを用いることもできる。さらには、面状ヒータ、例えば、カーボン粉末あるいはカーボンの短繊維を母材中に含ませた導電性の層を絶縁性基板の表面に形成したもの、特開平6−76926号公報に記載されるような、絶縁性繊維と導電性繊維とからなる布状体に樹脂材を含浸させ、導線性繊維に通電することによって発熱させるようにした1または2以上の発熱層と、絶縁性繊維からなる布状体に樹脂を含浸させた1又は2以上の絶縁層とを積層させて面状発熱体を構成したものを用いることもできる。他の従来知られたフィルムもしくはシート状ヒータも用いることができる。本発明では、これらの面状ヒータやフィルムもしくはシート状ヒータを、面状発熱体と総称する。
【0017】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の一態様において、前記床暖房用電気加熱手段の周縁の全部または一部は見切り材によって覆われている。この態様では、床仕上げ材の上に配置される床暖房用電気加熱手段の姿勢を安定させることができる。
【0018】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段の一部は前記床仕上げ材が除去されて形成された溝内を通って前記家具に達しているか、または、前記床下地面の下部空間を通って前記家具に達している。この態様では、電源線等の電気的接続手段に邪魔されることなく、前記家具を所定の位置に設置することができる。
【0019】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段は、周囲に面状発熱体が配置されていない領域を備えており、該面状発熱体が配置されていない領域の一部は前記家具の下に入り込んでいる。この態様では、一部を家具の下に入り込ませることで、床仕上げ材の上に配置される床暖房用電気加熱手段の姿勢を、見切り材を用いなくても、不用意に移動しないように安定させることができる。もちろん、同時に見切り材を用いるようにしてもよい。また、人が入り込まない箇所を加熱することがなくなるので、熱エネルギーの無駄も排除できる。さらに、床暖房用電気加熱手段における面状発熱体の配置されていない領域が、他の領域と比較して薄くなっている場合には、特に段差調整材を用いなくても、前記家具の設置姿勢は安定する。
【0020】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段は裏面に電源線接続部を突出させて有しており、前記床仕上げ材には前記電源線接続部が入り込むことのできる穴が形成されている。この態様では、床仕上げ材の上に敷設した床暖房用電気加熱手段が前記電源線接続部の部位において膨らんだ状態となるのを、確実に回避することができる。
【0021】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段は、使用時に前記床仕上げ材の上に配置される形態のマット状の床暖房用電気加熱手段であることを特徴とする。この態様では、用いる床暖房用電気加熱手段は、従来の電気ヒータ式のホットカーペットやキッチンマットのようにそれ自体でコントローラ部を備える必要がないので、床仕上げ材の上に配置したときに、歩行時に邪魔になる隆起部のない平坦な加熱面が得られる利点がある。
【0022】
上記マット状の床暖房用電気加熱手段を用いる態様において、好ましくは、前記家具に、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部が備えられる。また、好ましくは、前記床面に、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部が形成される。これらの形態では、床暖房用電気加熱手段を使用しないときにおいて、家具周囲の整理整頓を図ることができる。
【0023】
前記した第1形態および第2形態の電気式床暖房構造において、前記ヒータ付パネルを床暖房用電気加熱手段として用いる場合には、当該床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ一体型木質床材(ただし、第2形態の電気式床暖房構造の場合)として、また前記面状発熱体を床暖房用電気加熱手段として用いる場合には、該面状発熱体として、その横幅が、共に配置する前記家具の横幅に合わせてモジュール化した複数のヒータ一体型木質床材または床暖房用電気加熱手段(面状発熱体)から選択した1種または複数種を組み合わせて用いることは好ましく、それにより、用いる家具のサイズの間口幅に合わせた床暖房を容易に構築することができる。この態様において、前記家具が所定の寸法にモジュール化した部材の組み合わせによって構成されるような場合には、家具構成部材のモジュール寸法とヒータ一体型木質床材または床暖房用電気加熱手段(面状発熱体)のモジュール寸法とを一致させることにより、より施工を容易化することができる。
【0024】
前記第2形態の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として、並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されている構成を備えた床暖房用電気加熱手段を用いることもできる。
【0025】
この形態の床暖房用電気加熱手段は、並列に配置した複数本のヒータ線によって必要な発熱量を確保することができるので、並列に配置した各ヒータ線の長さを短いものとすることができる。そのために、本発明による電気式床暖房構造のように、例えば足元のみのような狭い領域の床暖房を構築するのに、特に適した床暖房用電気加熱手段となる。また、ヒータ線を短くすることで、電磁波(磁界)発生量を少なくする利点もある。
【0026】
前記第2形態の電気式床暖房構造において、好ましくは、床下地面上に配置された前記床暖房用電気加熱手段における前記電源線側の下方には表面側に電源線側を収容する凹溝を備えた受けパネルが配置され、該受けパネルを覆うようにして前記家具が配置されており、前記ヒータ線部分を覆うようにして別部材である前記木質床材がその上から配置されている構成を備える。
【0027】
この態様の電気式床暖房構造では、床暖房用電気加熱手段における前記電源線側である二次配線側コネクタと家具に取り付けたコントローラの二次側コネクタとの接続をさらに容易に行うことができることに加え、受けパネルを用いることから、床下地面への床暖房用電気加熱手段の配置も容易に行うことができる。
【0028】
前記第2形態の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として前記した面状発熱体を用いる場合には、当該床暖房用電気加熱手段と前記家具に備えられたコントローラとを電気的に接続する接続手段の一方端を、床暖房用電気加熱手段側に安定的に接続するための絶縁性材料からなる結線パネルを付設することが好ましい。前記結線パネルは好ましくは接着剤あるいは両面粘着テープ等により、床暖房用電気加熱手段の適所に一体に固定される。結線パネルの構成材には、所用の剛性を備えた木質材あるいは樹脂材が例として挙げられる。剛性を備えた材料で結線パネルを製造することにより、面状発熱体である床暖房用電気加熱手段の取り扱いが容易となる。
【0029】
上記の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの横幅が面状発熱体の横幅よりも広い床暖房用電気加熱手段を用いることは好ましい。この態様では、2枚の床暖房用電気加熱手段(ヒータ付パネル)を並置するときに、その繋ぎ目に隙間が形成されるので、その隙間を接着剤の塗布領域あるいは釘打ち領域として利用することができ、床面に対して一層安定した状態で床暖房用電気加熱手段を配置することができる。
【0030】
より好ましくは、床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの両端に係合溝が形成されている床暖房用電気加熱手段を用いる。この態様では、該係合溝を利用して、隣接する床暖房用電気加熱手段同士を正しい位置にかつ正しい姿勢で配置することが容易となり、施工性が向上する。
【0031】
前記結線パネルは、当該面状発熱体である床暖房用電気加熱手段を床下地面上に配置して電気式床暖房構造とするときに、前記家具が位置することとなる箇所において、面状発熱体の上に固定することが好ましい。それにより、施工後に結線パネルは前記家具によって隠されるとともに、前記接続手段の家具への接続が容易になる。さらに、フロア面の他の領域はすべて前記床仕上げ材で覆うことが可能となり、全体の美観が損なわれることもない。
【0032】
前記結線パネルの厚みは、同時に使用する床仕上げ材の厚みと同じかそれよりも薄いことが好ましい。また、その短手方向の幅は同時に使用する前記家具の奥行き幅よりも狭いことが好ましい。この態様とすることにより、前記結線パネルが前記家具の下に位置するようにして電気式床暖房構造を施工するときに、前記家具の前縁部と後縁部を同時に使用する前後に配置する床仕上げ材で支持させ、前後の床仕上げ材の間に前記結線パネルを位置させるようにすることにより、結線パネルの厚みに影響されることなく、前記家具を所定の水平姿勢に確実に配置することができる。
【0033】
前記第2形態の電気式床暖房構造さらに他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段として裏面に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段を用いる。そして、床下地面に配置した前記断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段と、それを覆うようにしてその上に配置される前記床仕上げ材との合計厚さが、周囲に配置される木質床材とほぼ同じ厚さとなるようにされる。
【0034】
この態様では、床下地の上に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段を配置するようにしており、床下地の上に厚さの薄いヒータを配置し、その上に周囲の木質床材とほぼ同じ厚さの床仕上げ材を配置する場合と比較して、断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段の上に配置する床仕上げ材の厚さを薄くすることができる。それにより、床仕上げ材表面の昇温速度を、本発明による他の態様の電気式床暖房構造と比較して、速くすることができ、熱効率が向上する。この態様において、断熱材には、従来の電気式床暖房構造などで用いられている任意の断熱材を用いることができる。例として、ウレタン系樹脂発泡体、フェノール系樹脂発泡体あるいはスチレン系樹脂発泡のような樹脂発泡体、さらには真空断熱材などが挙げられる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、システムキッチンの足元のみのように、家具の近くの限られた領域のみを床暖房することが求められる場合に、その施工を容易にしかつ施工コストも低減した状態で、求められる電気式床暖房構造を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による第2形態の電気式床暖房構造の一例を説明する図。
【図2】家具に備えられる、床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを説明するための図。
【図3】床暖房用電気加熱手段の一例である、ヒータ付パネルとその上に配置する木質床材を説明する図。
【図4】床暖房用電気加熱手段の一例である、ヒータ一体型木質床材を説明する図。
【図5】床暖房用電気加熱手段の一例である、並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されているヒータ線ユニットを説明する図。
【図6】本発明による第2形態の電気式床暖房構造の他の例を説明する図。
【図7】図6に示す電気式床暖房構造で用いる床暖房用電気加熱手段を説明する図。
【図8】床暖房用電気加熱手段のさらに他の例を示す5つの図。
【図9】図8に示した床暖房用電気加熱手段を用いて施工した電気式床暖房構造の一例を示す概略断面図。
【図10】従来からある寸法のヒータ付パネルを用いて電気式床暖房構造を施工する場合を説明する図。
【図11】本発明による寸法のヒータ付パネルを用いて施工された本発明による電気式床暖房構造のさらに他の例を説明する図。
【図12】本発明による第2形態の電気式床暖房構造のさらに他の例を説明する斜視図。
【図13】図12に示す電気式床暖房構造を側面から見て示す図。
【図14】図12に示す電気式床暖房構造の施工手順の一例を説明する図。
【図15】本発明による第1形態の電気式床暖房構造の1態様を説明する図。
【図16】図15に示す電気式床暖房構造で好適に用いられる床暖房用電気加熱手段の2つの例を説明する図。
【図17】図15に示す電気式床暖房構造での床暖房用電気加熱手段の収納部の2つの例を説明する図。
【図18】本発明による第1形態の電気式床暖房構造の他の態様を施工手順とともに説明する図。
【図19】本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明する図。
【図20】本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明する図。
【図21】システムキッチンの足元のみのようにごく限られた領域にのみ電気式床暖房構造を施工する場合での従来の施工法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。
図1において、Kはシステムキッチンであり、本発明でいう「床面に設置される家具」の一例である。この例において、システムキッチンKは、シンク11およびガスグリル12等の従来のシステムキッチンが備えている設備に加えて、床暖房用のコントローラ20を備えている。システムキッチンKは、例えば750mm幅のボックスと900mm幅のボックスのようにモジュール化されたボックスを適宜組み合わせることにより、間口幅の異なる複数種のシステムキッチンKとされる。場合によっては、150mm幅のボックスを組み合わせることもある。
【0038】
床暖房用のコントローラ20は、従来の電気式床暖房構造で用いられているコントローラと同じものであってよいが、この例では、図2に示すように、ON/OFFスイッチ21、温度表示部22、床温設定キー23等を備えた従来公知の床温設定手段、および、一定時間経過後に床暖房用電気加熱手段への電力供給を自動的に遮断する従来公知の遮断手段等、を備えている。さらに、コントローラ20は、100Vあるいは130Vである一次側配線のコンセントに接続するための一次側コンセントプラグ24と、システムキッチンKの近傍に配置した床暖房用電気加熱手段1からの二次側配線6に接続する二次側コネクタ25とを備えている。
【0039】
[主に第2形態の電気式床暖房構造について]
上記のシステムキッチンKを用いて、その足元の限られた領域のみを電気式床暖房構造とするときの、施工手順の一例を説明する。最初に、床面におけるシステムキッチンKの配置位置を決定し、その近傍に、床暖房用電気加熱手段1の一例である、図3に示すような形態のヒータ付パネル1aを配置し、その上に図3に示すようにして、床仕上げ材の一例である木質床材2を配置した後、システムキッチンKを配置する。そして、ヒータ付パネル1aに接続する二次側配線6に接続する二次側コネクタ7をシステムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25と接続する。その際に、二次側配線6の一部(二次側コネクタ7側)を木質床材2の上に引き出し、そして、コントローラ20の二次側コネクタ25に接続する。それにより、電気式床暖房構造に必要な施工は終了する。施工した電気式床暖房構造の周囲に、必要に応じて従来知られた木質床材を敷設することにより、当該床面全体のフロア施工は終了する。
【0040】
施工した電気式床暖房構造を使用するに当たっては、システムキッチンKに取り付けたコントローラ20の前記一次側コンセントプラグ24を、システムキッチンK近傍まで配線されている100Vあるいは130Vである一次側配線に接続するコンセントに接続する。そして、コントローラ20のON/OFFスイッチ21をONとし、床温設定キー23を操作して適温を設定する。
【0041】
上記のように、あらかじめコントローラ20を備えた本発明によるシステムキッチンKを用いることにより、システムキッチンKの足元のみのようにごく限られた領域に電気式床暖房構造を施工する作業をきわめて容易化することができる。また、電気的施工はコネクタとコネクタおよびコンセントとコンセントプラグの接続のみであり、施工に電気工事士が立ち会う必要もない。それにより、施工期間の短縮とコストの低減が可能となる。
【0042】
図3は、前記したヒータ付パネル1aと木質床材2を示している。このヒータ付パネル1aは、従来公知のものであり(例えば、特開2006−145178号公報等参照)、ヒータ線31を基材32の上に所定パターンに配線している。基材32には適数の貫通孔33が形成されている。ヒータ付パネル1aは、前記したように、システムキッチンKの足元である例えばコンクリート床である床下地35の上に配置され、前記貫通孔33には適宜の接着剤36が塗布される。一方、前記木質床材2は裏面に前記ヒータ線31が入り込む凹溝41を有しており、凹溝41内にヒータ線31が入り込むようにして、木質床材2をヒータ付パネル1aに押し付ける。それにより、木質床材2は接着剤36によってヒータ付パネル1aとともに床下地35に固定される。必要に応じて、釘打ち固定を併用してもよい。なお、図3ではヒータ線31としてPTC発熱線を示しているが、単なる発熱線であってもよいことは当然である。複数枚のヒータ付パネル1aを用いる場合には、それらを、直列接続してもよく、並列接続してもよい。さらに、前記した面状発熱体を用いる場合、接着剤透過孔を有する面状発熱体であることは好ましい。また、この場合にも、木質床材の固定に釘打ち固定を併用してもよく、その場合には、面状発熱体には適宜の釘打ち代が好ましくは形成される。さらに、面状発熱体を用いる場合には、裏面に凹溝を備えない木質床材を床仕上げ材として用いることもできる。
【0043】
図4は、本発明の電気式床暖房構造で用いる床暖房用電気加熱手段1の他の形態を示している。ここでは、床暖房用電気加熱手段1であるヒータ線31は、木質床材2の裏面に形成した凹溝41内に一体に組み込まれていて、ヒータ一体型木質床材2aとされている。図示の例において、43は表面化粧材である。裏面には緩衝シート44が積層されている。また、図示されないが、ヒータ一体型木質床材2aの短手方向には遮音用凹溝が適宜間隔で設けられている。
【0044】
施工に当たっては、このヒータ一体型木質床材2aを必要枚数だけ電気的に接続しながら、コンクリートスラブのような床下地35に直貼りする。その後、前記したように、そこに接続する二次側配線6をシステムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25と接続するだけで、電気式床暖房構造の施工は完了する。この場合にも、各ヒータ一体型木質床材2aを直列接続してもよく並列接続してもよい。
【0045】
図5は、本発明の電気式床暖房構造で用いる床暖房用電気加熱手段1のさらに他の形態を示している。この床暖房用電気加熱手段1は、並列に配置した複数本のヒータ線45・・が一方端側で電源線46に並列接続されている構成を備えたヒータ線ユニット1bである。各ヒータ線45の長さ、すなわち電源線46からの突出長さは任意であるが、300〜600mmの範囲が施工性の点から好ましい。また、各ヒータ線45間の間隔は床暖房能力の設計値に応じて接されるが、100〜60mm程度が好ましい。ヒータ線45は、従来の電気式床暖房で用いられている通常のヒータ線でもよく、PTCヒータ線でもよい。また、好ましくは、各ヒータ線45と電源線46との接続部には、防水性を確保する目的で、樹脂によるコーティングもしくはポッティング47が施される。
【0046】
この形態のヒータ線ユニット1bは、並列に配置した複数本のヒータ線45によって必要な発熱量を確保することができるので、各ヒータ線の長さを短いものとすることができる。そのために、本発明による電気式床暖房構造のように、例えば足元のみのような狭い領域の床暖房を構築するのに、特に適した床暖房用電気加熱手段となる。また、ヒータ線45を短くすることで、電磁波(磁界)発生量が少なくなる利点もある。
【0047】
図6、図7は、ヒータ線ユニット1bを用いて電気式床暖房構造を施工する場合の一例を示している。施工に当たり、下面に断熱材を配置してある床下地の上に、直接または防湿性を備えたシートやフィルムを敷き詰めた後、ヒータ線ユニット1bを配置する。そして、ヒータ線ユニット1bの上から、裏面にヒータ線45および電源線46を収容できる凹溝を備えた所要数枚の木質床材2・・を配置し、その後に、電源線46に接続する二次側配線6に接続するコネクタ7を、システムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25に接続する。それにより、電気式床暖房構造に必要な施工は終了する。
【0048】
上記の施工法において、ヒータ線ユニット1bの電源線46側は、電源線46と直交するようにして多数本のヒータ線45が接続しており、その配線形状に沿った凹溝を裏面に持つ木質床材を、電源線46の上から正確な位置に配置していくことは容易でない。それを回避するために、図6、図7に示す例では、電源線46側の配線形状に沿った凹溝を表面側に形成した受けパネル50を用いるようにしている。図7(a)に示すように、前記受けパネル50は、電源線46を収容する長手方向凹溝51と、ヒータ線45が電源線46に接続する部分を収容する所要本数の短手方向凹溝52を有している。
【0049】
施工に当たっては、図7(b)に示すように、ヒータ線ユニット1bの電源線46側に前記した受けパネル50を、その凹溝内にヒータ線ユニット1bの電源線46側を収容するようにして取り付ける。好ましくは、取り付け後、受けパネル50の上面を防水用シート(不図示)で被覆する。
【0050】
なお、前記したカーボンヒータを内蔵したフィルム状ヒータのような面状発熱体あるいはPTCヒータのような面状発熱体の一枚または複数枚を並列に前記電源線46に接続して、ヒータ線ユニットとすることもできる。
【0051】
次に、図6に示すように、受けパネル50を取り付けたヒータ線ユニット1bを、システムキッチンKを設置すべき床下地の領域に配置する。配置後、ヒータ線ユニット1bにおけるいまだ露出した状態にあるヒータ線45を、裏面に収容溝を有する木質床材2で覆うとともに、前記受けパネル50の部分を覆うようにしてシステムキッチンKを配置する。なお、前記のような面状発熱体を前記電源線46に接続した形態のヒータ線ユニットを用いる場合には、裏面に収容溝を有しない木質床材で覆うこともできる。そして、電源線46に接続する二次側配線6に接続するコネクタ7をシステムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25と接続することにより、電気式床暖房構造が完成する。なお、この施工法において、前記受けパネル50から延出するヒータ線45と床下地面との間に無視できない落差が形成される場合には、前記した発泡シートのような断熱機能を備えたシートやフィルムあるいは防湿性を備えたシートやフィルムなどによって、その落差をなくすようにすることが望ましい。
【0052】
特に図示しないが、受けパネル50に替えて、裏面側に同様な長手方向凹溝51と短手方向凹溝52を形成した木質床材を用いることもできる。その場合に、木質床材の具体例としては、設置すべきシステムキッチンKの奥行き長さにほぼ適合する奥行き長さの、当該システムキッチン受け用の木質板が挙げられる。また、木質床材には、ヒータ線ユニット1bの電源線46に接続する二次側配線6を上方に取り出すための取り出し部(例えば、取り出し孔)が好ましくは形成される。
【0053】
図8は面状発熱体を備えた床暖房用電気加熱手段のいくつかの例を示し、図9は図8に示す床暖房用電気加熱手段を用いて施工される電気式床暖房構造の一態様を示している。ここにおいて、面状発熱体は従来知られたものであってよいが、前記した特開平6−67926号公報に記載のような面状発熱体あるいは面状PTCヒータ等が例として挙げられる。図8(a)において、床暖房用電気加熱手段1cは、導線性繊維を備えた発熱層とそれを挟持する絶縁層とで構成される面状発熱体60を備え、面状発熱体60の一端には木材あるいは樹脂材からなる結線パネル65が全幅方向に接着剤等適宜の手段で固定されている。結線パネル65の側面から前記二次側配線6が延出しており、その先端に二次側コネクタ7が取り付けてある。二次側配線6の他端は面状発熱体60を構成する発熱層からのリード線に前記結線パネル65内で結線している。図8(b)に示す床暖房用電気加熱手段1cは、面状発熱体60は図8(a)のものと同じであるが、結線パネル65の側方、図では上方に前記絶縁層61のみが所要長さだけ延出している。
【0054】
図8(c)に示す床暖房用電気加熱手段1dは、面状発熱体が従来知られた面状PTCヒータ60aであり、この例では、その複数枚(図示の例では6枚)が、適宜の隙間pをおいて配置しており、各面状PTCヒータ60aは電気的に並列接続となるように、そのリード線を前記二次側配線6に対して前記結線パネル65内で結線している。この場合、前記隙間pは、床暖房用電気加熱手段1dを床下地面上に配置し、その上に床仕上げ材を取り付けるときの、接着剤等および釘打ち領域として、利用される。
【0055】
なお、図8(c)に示す床暖房用電気加熱手段1dにおいて、結線パネル65の横幅Wは面状発熱体60の横幅wよりもわずかに広くされている。床暖房用電気加熱手段(ヒータ付パネル)の床面への配置作業を容易にするために、比較的横幅が小さいものを横方向に必要枚数だけ連続させて配置することが行われる場合があるが、図8(c)に示す床暖房用電気加熱手段1dのように、結線パネル65の横幅Wを面状発熱体60の横幅wよりもわずかに広く設定しておくことにより、その繋ぎ目に、前記した接着剤の塗布領域あるいは釘打ち領域として利用される隙間pと同等の隙間を形成することが可能となる。
【0056】
上記の場合において、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1dを床面上に配置するときに、各結線パネル65、65の端面同士を当接させることとなるが、作業の仕方によっては、該当接面に上下方向のわずかな位置ずれが生じたり、当接面が全面で密着せずに、わずかにハ字上に拡開した状態で、隣接する2枚の床暖房用電気加熱手段1d、1dが配置されることが起こり得る。それを避けるためには、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1dを配置すべき床面上に、位置決めのための正確な墨出しを行うことが必要となる。
【0057】
図8(d)は、墨出し作業をすることなく、所定の位置にかつ所定の状態で隣接する床暖房用電気加熱手段同士を床面上に配置することができる、床暖房用電気加熱手段1dを示している。図8(d)に示す床暖房用電気加熱手段1dでは、前記した結線パネル65の両端に、互いに嵌め合うことができる形状の第1サネ部68と第2サネ部69が係合溝として形成されている。図8(e)は、2枚の床暖房用電気加熱手段1dを横方向に並置した状態を示しており、隣接する2枚の床暖房用電気加熱手段1d、1dにおける、一方の結線パネル65の一方端に形成した第1サネ部68と、他方の結線パネル65の他方端に形成した第2サネ部69とを嵌め合い接合させることによって、作業者は、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1d同士を正しい位置にかつ正しい姿勢で配置することが、容易にできるようになる。
【0058】
なお、図8(d)に示す床暖房用電気加熱手段1dは、前記隙間pの一方端が閉鎖している点で、図8(c)に図示したものと相違するが、隙間pの一方端が開放していても差し支えない。ただし、図8(d)に示すように、隙間pの一方端が閉鎖している形状の方が、床面への配置作業が容易化できる利点がある。また、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1dを電気的に接続するために、必要に応じて、結線パネル65の端部にコネクタを形成してもよく、また、各床暖房用電気加熱手段1dから、図8(c)に示すように、結線パネル65の側面から二次側配線6を延出させるようにしてもよい。
【0059】
いずれの床暖房用電気加熱手段1c、1dにおいても、前記結線パネル65の厚みは、望ましくは、施工時に同時に用いられる床仕上げ材(例えば、木質床材2)と同じ厚みかそれよりも薄くされる。また、その短手方向の幅は、その上に置かれる家具(この実施の形態においてはシステムキッチンK)の奥行き幅よりも狭くされる。その理由を、図9を参照して説明する。
【0060】
図9(a)は、前記図8(b)に示した床暖房用電気加熱手段1cを用いて電気式床暖房構造とした場合の一例を側面からみて示す概略図であり、床下地面における、システムキッチンKを配置しようとする位置に前記した結線パネル65が位置するようにして、床暖房用電気加熱手段1cが配置されている。結線パネル65の図で左方には面状発熱体60が展開しており、結線パネル65の図で右方には前記絶縁層61が展開している。面状発熱体60の上には床仕上げ材である木質床材2が敷設されており、前記絶縁層61の上にも同じ木質床材2が敷設されている。
【0061】
前記システムキッチンKの前縁部は、面状発熱体60の上に配置された木質床材群の最も結線パネル65に近い木質床材2aの上に乗っており、後縁部は、前記絶縁層61の上に配置され木質床材2bの上に乗っている。この例において、結線パネル65の厚みは、木質床材2よりも薄く、その短手方向の幅は、システムキッチンKの奥行き幅よりも狭くされている。そのために、システムキッチンKは、結線パネル65の影響を受けることなく、所定の水平姿勢に保った状態で、木質床材の上に置くことができる。なお、図9で13は、システムキッチンKに設けられている排給水管立ち上げスペースであり、前記結線パネル65の側方から延出する二次側配線6は、システムキッチンKの下方に形成される空間を利用し、容易に前記排給水管立ち上げスペース13内に容易に引き込むことができ、かつそこから、システムキッチンKに備えられたコントローラ20の二次側コネクタ25に確実に接続することができる。
【0062】
図9(b)は、他の形態の床暖房用電気加熱手段1eを用いる場合での電気式床暖房構造を示している。ここでは、結線パネル65として、厚みは木質床材2(2a)の厚みより薄く、短手方向の幅がシステムキッチンKの奥行き幅よりわずかに狭いものを用いている。この場合には、システムキッチンKの前縁部は、木質床材群の最も結線パネル65に近い木質床材2aの上に乗った姿勢となるが、後縁部は、結線パネル65の上に乗る姿勢となりやすい。その場合、図示のように、システムキッチンKは傾斜が生じるという不都合が生じる恐れがある。結線パネル65の厚みを木質床材2(2a)の厚みと同じにすることにより、傾斜が生じるのを回避することができる。しかし、その場合も、システムキッチンKには空間が形成されないので、結線パネル65の側方から延出する二次側配線6を前記した排給水管立ち上げスペース13にまで引き出すことができず、別途取り出し孔14等を設けて、前記コントローラまで案内する作業が必要となるという不都合が生じる。それを回避するため、図9(a)の構成とすることは、実用上きわめて望ましい。
【0063】
本発明による電気式床暖房構造を施工するに際して、床面に設置される家具(例えば、前記したシステムキッチンK)の間口サイズ、すなわち当該家具の横幅のサイズにあったサイズの床暖房用電気加熱手段1を用いることは、狭い範囲での効率的な電気式床暖房を行うという趣旨からいって、きわめて好ましい。しかし、現在、床暖房に用いる床暖房用電気加熱手段(前記したヒータ付パネル1a、フィルムもしくはシート状ヒータ、ヒータ線ユニット1b等)、および床暖房用電気加熱手段を木質床材内に一体に組み込んだヒータ一体型木質床材(前記したヒータ一体型木質床材2a等)は、従来使用されてきたフローリング用の木質床材を基準として作られており、主に、1800mm,900mm,600mmの長さのものである。一方、家具類にも従来から慣用されてきた間口寸法があり、それは、フローリング用の木質床材の寸法とはほとんどの場合、一致していない。
【0064】
例えば、上記したシステムキッチンKの場合、前記したように、標準品として、例えば750mm幅のボックスと900mm幅のボックスのようにモジュール化されたボックスを適宜組み合わせることにより、場合によっては、150mm幅の特注ボックスを組み合わせることにより、間口幅が2700mm,2550mm,2400mm,2250mmとしたものが多く製造されている。図10に示すように、一例として、間口2550mmのシステムキッチンKaの場合、木質床材の長さを基準とする1800mm長さのヒータ付パネル1x(またはヒータ一体型木質床材)を使用すると、図10(a)に示すように、幅750mm(=2550mm−1800mm)のヒータのない領域S1が残るようになる。その領域S1を900mm長さのヒータ付パネル1y(またはヒータ一体型木質床材)で暖房しようとすると、1800mm長さのヒータ付パネル1x(またはヒータ一体型木質床材)における幅150mmの部分が、システムキッチンKaの間口からはみ出るようになり、無駄な加熱スペースが生じる。
【0065】
それを解消するために、本発明による電気式床暖房構造の好ましい態様では、床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)として、その横幅が共に配置する家具(例えば、システムキッチンK)の横幅に合わせた横幅寸法である複数のモジュール化したヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)を用い、そこから選択した1種または複数種のヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)を選択し組み合わせて用いるようにしている。
【0066】
例えば、システムキッチンKが、単位モジュールを組み合わせて、2700mm,2550mm,2400mm,2250mmの間口であると仮定し、ヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)として、長さ1350mm(モジュール1),900mm(モジュール2),750mm(モジュール3)の3種のモジュールを用意しておく。
【0067】
図11(a)に示すように、施工現場で設置するシステムキッチンK1が間口2250mmのものである場合には、前記長さ1350mmのモジュール1であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a1と、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2を選択することで、システムキッチンK1の間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。また、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2の2枚と、長さ750mmのモジュール3であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)を用いることによっても、システムキッチンK1の間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0068】
図11(b)に示すように、システムキッチンK2が間口2700mmのものである場合には、前記長さ1350mmのモジュール1であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a1を2枚選択して用いることにより、システムキッチンK2の間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0069】
図示しないが、システムキッチンKが間口2400mmのものである場合には、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2の1枚と、長さ750mmのモジュール3であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)2枚とで、システムキッチンKの間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0070】
さらに、システムキッチンKが間口2250mmのものである場合には、長さ1350mmのモジュール1であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a1の1枚と、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2の1枚とで、システムキッチンKの間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0071】
そのようにして施工したシステムキッチンKの間口にぴったり合った電気式床暖房構造の周囲に従来から用いられている木質床材を敷設することにより、意匠的にも優れたフローリングを得ることができる。ヒータ一体型木質床材ではなく、ヒータ付パネル1aのみをシステムキッチンKの足元に配置する場合には、その上に敷設する木質床材には、従来用いられてきた寸法の木質床材を用いることができる。なお、上記図10および図11に基づき説明した態様は、第2形態の電気式床暖房構造のみでなく、第1形態の電気式床暖房構造にも適用できることは、当然である。
【0072】
図12〜図14は、本発明による第2形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を示す。ここでも、床下地面の上に床仕上げ材の一例である木質床材2が配置されて床面が形成され、その上の適所に、床暖房用のコントローラ20を備えた前記したシステムキッチンKが設置される。ただし、システムキッチンKに近接した床暖房を施そうとする領域には、木質床材2が配置されないか、配置した後、所定の面積だけ木質床材2が切除されて、木質床材2がない領域70が形成される。そして、この形態では、前記木質床材2がない領域70内に入り込む大きさである、裏面に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段72が用いられる。
【0073】
図13に示すように、床暖房用電気加熱手段72は、例えば発泡樹脂体である所要厚さの断熱材73と、その表面に貼り付けた例えばカーボンヒータやPTCヒータのような面状の発熱体74とからなる。なお、発熱体74は面状発熱体に限ることはなく、コード状ヒータであってもよい。なお、裏面に断熱材73を備えた床暖房用電気加熱手段72の厚さは、周囲に配置されている木質床材2の厚さよりも薄い。
【0074】
施工に当たっては、図14(a)に示すように、前記木質床材2がない領域70内に前記床暖房用電気加熱手段72を、断熱材73を下面側として配置し、木ねじなどの手段で、床下地に固定する。床暖房用電気加熱手段72として周囲に見切り部材75を取り付けたものを用いることもできる。床暖房用電気加熱手段72を床下地に固定した後、図14(b)に示すように、床仕上げ材76をその上に配置し、接着剤あるいは両面粘着テープなどを用いて、または、接着剤と接着剤硬化までの仮固定手段として両面粘着テープと双方を用いて、両者を一体に固定する。なお、床仕上げ材76には、木質床材、タイル、クッションシート材、不燃板、人工大理石、畳等を用いることができる。また、床暖房用電気加熱手段72の上に床仕上げ材76を積層した状態で、その厚さが周囲の木質床材2と同じ厚さとなるように、床暖房用電気加熱手段72および床仕上げ材76の厚さを設定する。一例として、周囲の木質床材2の厚さが12mmの場合、強度的な面から、床仕上げ材76の厚さは3〜5mm程度が好適である。
【0075】
なお、前記見切り部材75は、木質床材2がない領域70と床暖房用電気加熱手段72および床仕上げ材76との間に形成される隙間を埋めるために用いられるが、見切り部材75は床暖房用電気加熱手段72にではなく、床仕上げ材76の周囲に取り付けられていてもよい。また、図14(c)に示すように、独立した見切り部材75を、見切り材を有しない床暖房用電気加熱手段72および床仕上げ材76を取り付けた後で、隙間に埋め込むようにしてもよい。
【0076】
また、この例において、発熱体74に接続する二次側配線6は、図13に示すように、木質床材2に形成した通路を通過して、システムキッチンKに取り付けた二次側コネクタ25に接続しているが、発熱体74に接続する二次側配線6をシステムキッチンKに備えられたコントローラ20に接続する態様は、これに限ることはない。
【0077】
この態様の電気式床暖房構造では、例えば図8に示したような、面状発熱体60を床下地面に配置し、その上に、床仕上げ材として、例えば厚さ12mmの木質床材2を配置する形態の電気式床暖房構造と比べて、床仕上げ材76の厚さを薄くすることができる。また、発熱体74の裏面には断熱材73が位置している。そのために、床仕上げ材76の表面の昇温速度を速くすることができ、熱効率が大きく向上する。
【0078】
また、床暖房用電気加熱手段が木質床材に一体に組み込まれているヒータ一体型木質床材を用いる場合には、周囲の木質床材とヒータ一体型木質床材との色柄合わせを考慮して、ヒータ一体型木質床材を製造することが必要となるが、上記した形態の電気式床暖房構造では、床仕上げ材76の色柄合わせするだけであり、コストの低減も期待できる。見切り部材75を用いる場合には、見切り部材75によって色柄の連続性を積極的に遮断することも考えられ、色柄合わせに対する考慮を一層軽減することができる。
【0079】
[主に第1形態の電気式床暖房構造について]
図15〜図17は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造の一態様を示す。上記した第2形態の電気式床暖房構造では、床下地17の上に床暖房用電気加熱手段1が配置され、その上に、木質床材2などの床仕上げ材を配置するようにしたが、ここでは、床仕上げ材の上に床暖房用電気加熱手段1が配置される。
【0080】
図15において、2は床下地面に配置される床仕上げ材としての木質床材であり、従来公知のものである。木質床材2により床面が形成され、その上の適所に、床暖房用のコントローラ20を備えた前記したシステムキッチンKが設置される。床暖房用電気加熱手段1は、この態様において、電気ヒータ式のホットカーペットやキッチンマットとして知られている、マット状の床暖房用電気加熱手段1fであり、床暖房が必要なときに、システムキッチンKの近くの床面上に置かれるとともに、その二次側配線6がシステムキッチンKの蹴込み部に取り付けた二次側コネクタ25に接続される。二次側コネクタ25はシステムキッチンKに備えられたコントローラ20に接続している。また、床暖房を必要としないときには、マット状の床暖房用電気加熱手段1fは、システムキッチンKから取り外される。
【0081】
ここで用いるマット状の床暖房用電気加熱手段1fは、図16(a)に示すように、面状PTCヒータ60aを樹脂シート66と不織布67とで包み込んだもの、あるいは図16(b)に示すように、前記したコード状のヒータ線45を樹脂シート66と不織布67とで挟み込むようにしたもの、など、従来ホットカーペットやキッチンマットとして知られているなどとして知られているものを適宜用いることができる。ただし、マット状の床暖房用電気加熱手段1fは、コントローラ部を備える必要はない。
【0082】
このマット状の床暖房用電気加熱手段1fは、前記のように、コントローラ部を備えないので、従来のマット状の床暖房用電気加熱手段のようにコントローラ部に起因する凸部がなく、床仕上げ面上に配置したときに、全体として平坦な面となる。そのために、歩行時の違和感をなくすことができる。
【0083】
さらに、マット状の床暖房用電気加熱手段1fは使用しないときに、折りたたむことあるいは丸め込むことで、小さな形とすることができる。図17(a)に示すように、システムキッチンKの一部に収納用引き出し15を形成することにより、使用しないときのマット状の床暖房用電気加熱手段1fをその中に収容しておくことができ、システムキッチンKの周囲をすっきりとした状態に保っておくことができる。
【0084】
図17(b)は、収納部の他の例であり、ここでは、根太16の上に合板のような床下地材17を設置し、その上に床仕上げ材(例えは、木質床材2)を配置した床構成である。そして、床暖房時にマット状の床暖房用電気加熱手段1fが配置される位置に、図示のように、床仕上げ材(例えは、木質床材2)と床下地材17とを貫通する開口18を形成し、その開口18に、前記したマット状の床暖房用電気加熱手段1fを収容できる大きさの収納袋19を取り付けている。18aは、前記開口18を閉じる蓋であり、通常は、開口18は蓋18aにより閉じられている。この態様でも、使用しないときのマット状の床暖房用電気加熱手段1fを収納袋19内に収容しておくことができ、システムキッチンKの周囲をすっきりとした状態に保っておくことができる。
【0085】
図18は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造の他の態様をその施工手順とともに示している。この態様では、図18(a)に示すように、最初に、例えば木質床材2である床仕上げ材が床下地材17の上に貼り付けられている床面の所定位置に、キッチン施工位置aを確定する。また、図18(b)に示すように、表面化粧シートと面ヒータとからなる暖房シート(ヒータパネル)1gの配置位置を設定する。この例で、暖房シート1gは、裏面に電源線接続ボックス80を突出させており、そこに二次側配線である電源ケーブル6を接続している(図18(f)も参照)。なお、暖房シート(ヒータパネル)1gとして、表面化粧シートと面ヒータとの間に熱伝導性の良好な材料からなる補強シートを介在させたものを用いることもできる。
【0086】
次に、図18(c)に示すように、電源線接続ボックス80および電源線6を納めるための切り欠き81を木質床材2の適所に切り欠く。そして、図18(d)に示すように、その切り欠き81に電源線接続ボックス80および電源ケーブル6を納めながら、暖房シート1gを前記設定した位置に両面粘着テープを用いて、または粘着テープと接着剤とを併用して、固定するとともに、電源ケーブル6を給排水管の立ち上げ位置82まで配線する。
【0087】
その状態で、図18(e)に示すように、システムキッチンKを仮置きし、必要な場合には、段差調整プレート83を用いて、システムキッチンKの水平レベルを調整する。そして、図18(f)に示すように、システムキッチンKを所定位置に配置し、電源ケーブル6をシステムキッチンK内に引き込み、システムキッチンK内に備えられた床暖房用のコントローラ20のON/OFFスイッチ21から出ているヒータ側電源ケーブルのコネクタ25と前記電源ケーブル6のコネクタ7とを接続する。また、必要に応じて、暖房シート1gの周囲を見切り材84を取り付ける。最後に、図18(g)に示すように、前記ON/OFFスイッチ21から出ている一次側電源ケーブルのコンセントプラグ24を適所にある100Vコンセントに接続する。それにより、図18(h)に示す、本発明による第1形態の電気式床暖房構造が完成する。
【0088】
上記形態の電気式床暖房構造は、図15〜図17に基づき説明したホットカーペットのようなマット状の床暖房用電気加熱手段1fを用いる電気式床暖房構造と比較して、マットの床の間にごみが溜まることや、夏場での収納スペースを要しないことなどで利点がある。図示のように、電源ケーブル等はすべてシステムキッチンKの下に納められていて、見た目にすっきりした電気式床暖房構造が得られる。好ましくは、暖房シート(ヒータパネル)1gは、例えば厚さ0.1〜0.5mm程度のカーボン繊維ヒータ(面ヒータ)をエポキシ樹脂(基材シート)でサンドイッチした構造のものが好ましく、暖房シート1gとしての全体厚みは、床面との間の段差を小さくするために、3mm程度以下であることが望ましい。
【0089】
図19は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明している。ここでは、暖房シート1hとして、図18に基づき説明した暖房シート1gと同様のものを用いているが、図19(a)に示すように、面ヒータ1iが基材シート1jの一方辺側に偏位した場所に取り付けてある点で、異なっている。また、電源線接続ボックス80は、前記基材シート1jにおける面ヒータ1iが偏在している側とは反対側の縁部85の裏面側に設けてある。なお、図示される暖房シート1hは、面ヒータ1iの一方面側にのみ基材シート1jが取り付けてあるが、実際は、両面側に基材シート1jが取り付けられる。
【0090】
施工手順は、図18に基づき説明したものと同様であってよいが、暖房シート1hの位置決めに際しては、図19(b)(c)に示すように、前記した暖房シート1hにおける面ヒータ1iが存在しない基材シート1jの領域の全部または一部が、設置しようとするシステムキッチンKの下に入り込むようにして位置決めする。その際に、前記した電源線接続ボックス80は、暖房シート1hの一方の側縁に近接して位置しているので、木質床材2に電源線接続ボックス80が入り込むための切り込み81を形成するときの作業が容易となる。ちなみに、図18に示した暖房シート1gのように、電源線接続ボックス80が暖房シート1gの辺にではなく、内側に設けられている場合には、電源線接続ボックス80が入り込むための切り込み81を木質床材2に形成するのに、寸法出し(墨だし)が必要であり、やや作業手間がかかる場合が起こる。
【0091】
さらに、この態様では、図19(c)に示すように、暖房シート1hにおける面ヒータ1iが配置されていない領域が、他の領域と比較して薄くなっている場合には、特に高さ調節のために調整プレート83等を配置しなくても、システムキッチンKの安定した設置姿勢が得られる。また、人が入り込まない箇所(すなわち、ステムキッチンKの下となる領域)を加熱することがない分だけ、熱エネルギーの無駄を無くすことができる。さらに、この態様では、暖房シート1hの一部を家具の下に入り込ませることで、床仕上げ材2の上に配置した暖房シート1hの姿勢を、見切り材を用いなくても、不用意に移動しないように安定させることができる。もちろん、図示のように、同時に見切り材81を用いることは、より好ましい。
【0092】
図20(a)(b)は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明している。ここでは、図18に基づき説明した暖房シート1gを、その一部をシステムキッチンKの下方に入り込ませることなく、縁部がシステムキッチンKに接するようにして配置している点に特徴がある。図20(a)に示す例においては、その点を除いて、施工手順は図18に示したものと同じであってよい。この態様では、システムキッチンKを据え付けるときに、高さ調整がまったく不要になる利点がある。また、暖房シート1g側に不具合が生じたときに、簡単な手順で暖房シート1gを交換できる利点もある。
【0093】
図20(b)に示す例では、暖房シート1gの一部がシステムキッチンKの下方に入り込んでいないことに加えて、電源線6が床下地材17の下方を通過して、システムキッチンK側に引き込まれている点で、図18に示した電気式床暖房構造と相違する。この態様でも、暖房シート1g側に不具合が生じたときに、簡単な手順で暖房シート1gを交換できる利点がある。また、木質床材2に、電源ケーブル6を埋め込むための切り込みを形成する作業を省略することができる。ただし、木質床材2に電源線接続ボックス80収容用の切り込みを形成すること、床下地材17に電源ケーブル通過孔を形成する作業は必要となる。
【0094】
なお、上記の説明において、システムキッチンKは、本発明でいう「家具」の一例であって、床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備える家具の種類がこれに限らないことは、前記したとおりである。
【符号の説明】
【0095】
K…家具の一例としてのシステムキッチン
1…床暖房用電気加熱手段、
1a…ヒータ付パネル、
1b…並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されている構成を備えたヒータ線ユニット
1e、1d…面状ヒータと結線パネルを備えた床暖房用電気加熱手段
1f…マット状の床暖房用電気加熱手段、
1g,1h…薄手のマット状の床暖房用電気加熱手段である暖房シート、
1i…暖房シートを構成する面ヒータ、
1j…暖房シートを構成する基材シート、
2…木質床材、
2a…ヒータ一体型木質床材、
5…一次側配線、
6…二次側配線、
15…収納用引き出し、
16…根太、
17…床下地材、
18…開口、
18a…開口を閉じる蓋、
19…収納袋、
20…家具に備えられた床暖房用のコントローラ、
21…ON/OFFスイッチ
22…温度表示部
23…床温設定キー、
24…一次側コンセントプラグ、
25…二次側コネクタ、
50…ヒータ線ユニットと共に用いる受けパネル、
60…面状発熱体、
60a…面状PTCヒータ、
61…面状発熱体の絶縁層、
65…結線パネル、
70…木質床材がない領域、
72…床暖房用電気加熱手段、
73…断熱材、
74…発熱体、
75…見切り部材、
76…床仕上げ材、
80…電源線接続ボックス、
81…木質床材に形成した切り込み、
82…給排水管の立ち上げ位置、
83…段差調整用プレート、
84…見切り材、
85…基材シートにおける面ヒータが偏在している側とは反対側の縁部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房用のコントローラを備えた家具とそれを備えた電気式床暖房構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通電することにより発熱する面状あるいは線状の床暖房用電気加熱手段を床下地面に配置して床暖房を行うことは知られている。また、必要とされる狭い領域のみに電気加熱手段を配置して、部分的な床面加熱を行うことも知られている。ヒータ付パネルのような電気加熱手段を床下地面に配置した後、その上を木質床材のような床仕上げ材で覆うことで電気式暖房床構造とする場合もあり、床仕上げ材が木質床材である場合には、電気加熱手段と木質床材とを予め一体化したヒータ一体型木質床材を床下地面に敷設することで、電気式暖房床構造とする場合もある。
【0003】
家屋に床暖房を施工するにあたっては、ヒータ付パネルやヒータ一体型木質床材を床下地面に配置する作業に加えて、壁に床暖房用のコントローラを設置する工事、家屋の配電盤から床暖房用の一次側配線を引き出す工事、床暖房用電気加熱手段から壁に設置した床暖房用コントローラまでの二次側配線を行う工事、コントローラと一次側配線および二次側配線とを接続する工事、等の電気的な工事が必要となる。この電気工事は電気工事士の資格を持ったものによって行われ、床面全面を電気式床暖房構造とする場合も、床面の一部のみを電気式床暖房構造とする場合も、同じように行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−57964号公報
【特許文献2】特開2001−336773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
地域によって、または顧客の要望に応じて、例えばシステムキッチンの足元のみのようにごく限られた領域にのみ電気式床暖房構造を施工することが求められる場合がある。その場合でも、現在の施工法では、床面の全域を電気式床暖房構造とする場合と同様、図20に示すように、システムキッチンKの足元にヒータ線等の床暖房用電気加熱手段1を床下地面に敷設する工事、敷設した床暖房用電気加熱手段1の上に木質床材2のような床仕上げ材を配置する工事に加えて、システムキッチンKの近くにある壁に床暖房用のコントローラ3を設置する工事、家屋の配電盤4から床暖房用の一次側配線5を引き出す工事、床暖房用電気加熱手段1からコントローラ3までの二次側配線6を行う工事、コントローラ3と一次側配線5および二次側配線6とを接続する工事、等の多くの電気工事を行う必要があり、施工が複雑であるとともに、施工面積のわりには電気工事に占める費用の割合が高くなっているのが現状である。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、例えばシステムキッチンの足元のみのように、家具類の近くの限られた領域のみを床暖房することが求められるときに、その施工を容易化しかつ施工コストを低減することを課題とし、より具体的には、その施工で用いるのに好適な家具と、その家具を用いて構築する電気式床暖房構造を開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による家具は、床面に設置される家具であって、床面に配置した床暖房用電気加熱手段に電気的に接続可能でありかつ該床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明による家具は、床暖房のために床面に配置される電気ヒータのような床暖房用電気加熱手段に対するコントローラをあらかじめ備えている。そのために、床暖房の施工現場では、例えば、当該家具を設置すべき位置近傍の限られた領域に床暖房用電気加熱手段を配置する作業、床仕上げ材を敷設する作業、所定の位置に当該家具を設置する作業等を行い、また、必要な場合には、当該家具を設置する前に、配電盤からの一次側配線に接続するコンセントを当該家具の近傍に用意する作業を行い、その後あるいは当該家具を設置するときに、床暖房用電気加熱手段からの二次側配線側のコネクタを当該家具に取り付けてあるコントローラの二次側コネクタに接続し、また、配電盤からの一次側配線に接続するコンセントと該コントローラの一次側コンセントプラグとを接続するだけで、床暖房に必要な電気接続は終了する。施工現場での電気接続は、コネクタとコネクタおよびコンセントとコンセントプラグの接続のみであり、施工に資格を備えた電気工事士を必要としない。
【0009】
すなわち、本発明による床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備えた家具を用いることにより、その足元等に電気式床暖房構造を構築する作業を、従来行っていた施工方法と比較して大きく簡素化することができ、短い時間で容易に行うことが可能となる。結果として、施工コストを低減することができる。
【0010】
本発明において、家具に取り付ける前記コントローラは、従来の電気式床暖房フロアで用いられているコントローラと同じものであってよい。しかし、狭い面積での床暖房が前提となることから、限られた機能を備えたコントローラであっても、安全性は確保できる。例えば、ON/OFF機能のみを備えたコントローラであってもよい。また、ON/OFF機能に加えて一定時間経過後に床暖房用電気加熱手段への電力供給を自動的に遮断する手段などを備えたコントローラであってもよい。
【0011】
本発明において家具は、床面に設置されるものであることを条件に限定はない。限られた領域での床暖房を構築することが目的であることを考慮すると、システムキッチン構成部材、化粧台、洗面化粧台、リビング用収納家具、または掘りごたつ等を例示することができる。
【0012】
本発明は、さらに、上記家具を用いる電気式床暖房構造として、床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された前記家具と、前記床面上であって前記家具の近傍に配置された面状発熱体を備えた床暖房用電気加熱手段と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造(以下、「第1形態の電気式床暖房構造」という)をも開示する。
【0013】
本発明は、さらに、上記家具を用いる電気式床暖房構造として、床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された前記家具と、前記床下地面上であって前記家具の近傍に配置された床暖房用電気加熱手段と、前記床暖房用電気加熱手段を覆う前記床仕上げ材と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造(以下、「第2形態の電気式床暖房構造」という)をも開示する。
【0014】
この第1形態および第2形態の電気式床暖房構造は、前記したコントローラを備えた家具を用いることにより、短時間でかつ容易に施工することができ、施工コストの低減を図ることができる。施工に当たり、配電盤からの一次側配線に接続するコンセントは前記家具に近い適宜の場所に設置され、該コンセントと前記コントローラの一次側コンセントプラグとを接続する。また、前記コントローラの二次側コネクタと床暖房用電気加熱手段からの二次側配線側のコネクタとを、前記接続手段を用いて接続する。その際に、施工の容易性から、前記接続手段は、少なくともその一部が前記床仕上げ材の上方に位置するようにして配置されるが、可能であれば、全部を床仕上げ材の下方に配線するようにしてもよい。
【0015】
また、システムキッチン等の構成部材によっては、皿洗い機のようなモータを駆動原とする機器に対するコンセントをあらかじめ組み込んでいるものがあるが、その場合には、当該モータへの電力供給用コンセントを、コントローラの一次側配線の接続用コンセントとして利用することもできる。
【0016】
前記した第1形態および第2形態の電気式床暖房構造の一態様において、前記床暖房用電気加熱手段として、ヒータ付パネル、すなわち、布材や合成樹脂材などの耐熱性および絶縁性を有する面状基材にニクロム線などの発熱体を敷設して絶縁処理したもの、あるいは前記発熱体としてニクロム線の代わりに絶縁性繊維を芯線として、当該芯線にカーボン粉末などの導電性材料を付着させた形態のヒータ付パネルを用いることもできる。さらには、面状ヒータ、例えば、カーボン粉末あるいはカーボンの短繊維を母材中に含ませた導電性の層を絶縁性基板の表面に形成したもの、特開平6−76926号公報に記載されるような、絶縁性繊維と導電性繊維とからなる布状体に樹脂材を含浸させ、導線性繊維に通電することによって発熱させるようにした1または2以上の発熱層と、絶縁性繊維からなる布状体に樹脂を含浸させた1又は2以上の絶縁層とを積層させて面状発熱体を構成したものを用いることもできる。他の従来知られたフィルムもしくはシート状ヒータも用いることができる。本発明では、これらの面状ヒータやフィルムもしくはシート状ヒータを、面状発熱体と総称する。
【0017】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の一態様において、前記床暖房用電気加熱手段の周縁の全部または一部は見切り材によって覆われている。この態様では、床仕上げ材の上に配置される床暖房用電気加熱手段の姿勢を安定させることができる。
【0018】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段の一部は前記床仕上げ材が除去されて形成された溝内を通って前記家具に達しているか、または、前記床下地面の下部空間を通って前記家具に達している。この態様では、電源線等の電気的接続手段に邪魔されることなく、前記家具を所定の位置に設置することができる。
【0019】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段は、周囲に面状発熱体が配置されていない領域を備えており、該面状発熱体が配置されていない領域の一部は前記家具の下に入り込んでいる。この態様では、一部を家具の下に入り込ませることで、床仕上げ材の上に配置される床暖房用電気加熱手段の姿勢を、見切り材を用いなくても、不用意に移動しないように安定させることができる。もちろん、同時に見切り材を用いるようにしてもよい。また、人が入り込まない箇所を加熱することがなくなるので、熱エネルギーの無駄も排除できる。さらに、床暖房用電気加熱手段における面状発熱体の配置されていない領域が、他の領域と比較して薄くなっている場合には、特に段差調整材を用いなくても、前記家具の設置姿勢は安定する。
【0020】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段は裏面に電源線接続部を突出させて有しており、前記床仕上げ材には前記電源線接続部が入り込むことのできる穴が形成されている。この態様では、床仕上げ材の上に敷設した床暖房用電気加熱手段が前記電源線接続部の部位において膨らんだ状態となるのを、確実に回避することができる。
【0021】
前記した第1形態の電気式床暖房構造の他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段は、使用時に前記床仕上げ材の上に配置される形態のマット状の床暖房用電気加熱手段であることを特徴とする。この態様では、用いる床暖房用電気加熱手段は、従来の電気ヒータ式のホットカーペットやキッチンマットのようにそれ自体でコントローラ部を備える必要がないので、床仕上げ材の上に配置したときに、歩行時に邪魔になる隆起部のない平坦な加熱面が得られる利点がある。
【0022】
上記マット状の床暖房用電気加熱手段を用いる態様において、好ましくは、前記家具に、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部が備えられる。また、好ましくは、前記床面に、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部が形成される。これらの形態では、床暖房用電気加熱手段を使用しないときにおいて、家具周囲の整理整頓を図ることができる。
【0023】
前記した第1形態および第2形態の電気式床暖房構造において、前記ヒータ付パネルを床暖房用電気加熱手段として用いる場合には、当該床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ一体型木質床材(ただし、第2形態の電気式床暖房構造の場合)として、また前記面状発熱体を床暖房用電気加熱手段として用いる場合には、該面状発熱体として、その横幅が、共に配置する前記家具の横幅に合わせてモジュール化した複数のヒータ一体型木質床材または床暖房用電気加熱手段(面状発熱体)から選択した1種または複数種を組み合わせて用いることは好ましく、それにより、用いる家具のサイズの間口幅に合わせた床暖房を容易に構築することができる。この態様において、前記家具が所定の寸法にモジュール化した部材の組み合わせによって構成されるような場合には、家具構成部材のモジュール寸法とヒータ一体型木質床材または床暖房用電気加熱手段(面状発熱体)のモジュール寸法とを一致させることにより、より施工を容易化することができる。
【0024】
前記第2形態の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として、並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されている構成を備えた床暖房用電気加熱手段を用いることもできる。
【0025】
この形態の床暖房用電気加熱手段は、並列に配置した複数本のヒータ線によって必要な発熱量を確保することができるので、並列に配置した各ヒータ線の長さを短いものとすることができる。そのために、本発明による電気式床暖房構造のように、例えば足元のみのような狭い領域の床暖房を構築するのに、特に適した床暖房用電気加熱手段となる。また、ヒータ線を短くすることで、電磁波(磁界)発生量を少なくする利点もある。
【0026】
前記第2形態の電気式床暖房構造において、好ましくは、床下地面上に配置された前記床暖房用電気加熱手段における前記電源線側の下方には表面側に電源線側を収容する凹溝を備えた受けパネルが配置され、該受けパネルを覆うようにして前記家具が配置されており、前記ヒータ線部分を覆うようにして別部材である前記木質床材がその上から配置されている構成を備える。
【0027】
この態様の電気式床暖房構造では、床暖房用電気加熱手段における前記電源線側である二次配線側コネクタと家具に取り付けたコントローラの二次側コネクタとの接続をさらに容易に行うことができることに加え、受けパネルを用いることから、床下地面への床暖房用電気加熱手段の配置も容易に行うことができる。
【0028】
前記第2形態の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として前記した面状発熱体を用いる場合には、当該床暖房用電気加熱手段と前記家具に備えられたコントローラとを電気的に接続する接続手段の一方端を、床暖房用電気加熱手段側に安定的に接続するための絶縁性材料からなる結線パネルを付設することが好ましい。前記結線パネルは好ましくは接着剤あるいは両面粘着テープ等により、床暖房用電気加熱手段の適所に一体に固定される。結線パネルの構成材には、所用の剛性を備えた木質材あるいは樹脂材が例として挙げられる。剛性を備えた材料で結線パネルを製造することにより、面状発熱体である床暖房用電気加熱手段の取り扱いが容易となる。
【0029】
上記の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの横幅が面状発熱体の横幅よりも広い床暖房用電気加熱手段を用いることは好ましい。この態様では、2枚の床暖房用電気加熱手段(ヒータ付パネル)を並置するときに、その繋ぎ目に隙間が形成されるので、その隙間を接着剤の塗布領域あるいは釘打ち領域として利用することができ、床面に対して一層安定した状態で床暖房用電気加熱手段を配置することができる。
【0030】
より好ましくは、床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの両端に係合溝が形成されている床暖房用電気加熱手段を用いる。この態様では、該係合溝を利用して、隣接する床暖房用電気加熱手段同士を正しい位置にかつ正しい姿勢で配置することが容易となり、施工性が向上する。
【0031】
前記結線パネルは、当該面状発熱体である床暖房用電気加熱手段を床下地面上に配置して電気式床暖房構造とするときに、前記家具が位置することとなる箇所において、面状発熱体の上に固定することが好ましい。それにより、施工後に結線パネルは前記家具によって隠されるとともに、前記接続手段の家具への接続が容易になる。さらに、フロア面の他の領域はすべて前記床仕上げ材で覆うことが可能となり、全体の美観が損なわれることもない。
【0032】
前記結線パネルの厚みは、同時に使用する床仕上げ材の厚みと同じかそれよりも薄いことが好ましい。また、その短手方向の幅は同時に使用する前記家具の奥行き幅よりも狭いことが好ましい。この態様とすることにより、前記結線パネルが前記家具の下に位置するようにして電気式床暖房構造を施工するときに、前記家具の前縁部と後縁部を同時に使用する前後に配置する床仕上げ材で支持させ、前後の床仕上げ材の間に前記結線パネルを位置させるようにすることにより、結線パネルの厚みに影響されることなく、前記家具を所定の水平姿勢に確実に配置することができる。
【0033】
前記第2形態の電気式床暖房構造さらに他の態様において、前記床暖房用電気加熱手段として裏面に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段を用いる。そして、床下地面に配置した前記断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段と、それを覆うようにしてその上に配置される前記床仕上げ材との合計厚さが、周囲に配置される木質床材とほぼ同じ厚さとなるようにされる。
【0034】
この態様では、床下地の上に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段を配置するようにしており、床下地の上に厚さの薄いヒータを配置し、その上に周囲の木質床材とほぼ同じ厚さの床仕上げ材を配置する場合と比較して、断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段の上に配置する床仕上げ材の厚さを薄くすることができる。それにより、床仕上げ材表面の昇温速度を、本発明による他の態様の電気式床暖房構造と比較して、速くすることができ、熱効率が向上する。この態様において、断熱材には、従来の電気式床暖房構造などで用いられている任意の断熱材を用いることができる。例として、ウレタン系樹脂発泡体、フェノール系樹脂発泡体あるいはスチレン系樹脂発泡のような樹脂発泡体、さらには真空断熱材などが挙げられる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、システムキッチンの足元のみのように、家具の近くの限られた領域のみを床暖房することが求められる場合に、その施工を容易にしかつ施工コストも低減した状態で、求められる電気式床暖房構造を構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による第2形態の電気式床暖房構造の一例を説明する図。
【図2】家具に備えられる、床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを説明するための図。
【図3】床暖房用電気加熱手段の一例である、ヒータ付パネルとその上に配置する木質床材を説明する図。
【図4】床暖房用電気加熱手段の一例である、ヒータ一体型木質床材を説明する図。
【図5】床暖房用電気加熱手段の一例である、並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されているヒータ線ユニットを説明する図。
【図6】本発明による第2形態の電気式床暖房構造の他の例を説明する図。
【図7】図6に示す電気式床暖房構造で用いる床暖房用電気加熱手段を説明する図。
【図8】床暖房用電気加熱手段のさらに他の例を示す5つの図。
【図9】図8に示した床暖房用電気加熱手段を用いて施工した電気式床暖房構造の一例を示す概略断面図。
【図10】従来からある寸法のヒータ付パネルを用いて電気式床暖房構造を施工する場合を説明する図。
【図11】本発明による寸法のヒータ付パネルを用いて施工された本発明による電気式床暖房構造のさらに他の例を説明する図。
【図12】本発明による第2形態の電気式床暖房構造のさらに他の例を説明する斜視図。
【図13】図12に示す電気式床暖房構造を側面から見て示す図。
【図14】図12に示す電気式床暖房構造の施工手順の一例を説明する図。
【図15】本発明による第1形態の電気式床暖房構造の1態様を説明する図。
【図16】図15に示す電気式床暖房構造で好適に用いられる床暖房用電気加熱手段の2つの例を説明する図。
【図17】図15に示す電気式床暖房構造での床暖房用電気加熱手段の収納部の2つの例を説明する図。
【図18】本発明による第1形態の電気式床暖房構造の他の態様を施工手順とともに説明する図。
【図19】本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明する図。
【図20】本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明する図。
【図21】システムキッチンの足元のみのようにごく限られた領域にのみ電気式床暖房構造を施工する場合での従来の施工法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。
図1において、Kはシステムキッチンであり、本発明でいう「床面に設置される家具」の一例である。この例において、システムキッチンKは、シンク11およびガスグリル12等の従来のシステムキッチンが備えている設備に加えて、床暖房用のコントローラ20を備えている。システムキッチンKは、例えば750mm幅のボックスと900mm幅のボックスのようにモジュール化されたボックスを適宜組み合わせることにより、間口幅の異なる複数種のシステムキッチンKとされる。場合によっては、150mm幅のボックスを組み合わせることもある。
【0038】
床暖房用のコントローラ20は、従来の電気式床暖房構造で用いられているコントローラと同じものであってよいが、この例では、図2に示すように、ON/OFFスイッチ21、温度表示部22、床温設定キー23等を備えた従来公知の床温設定手段、および、一定時間経過後に床暖房用電気加熱手段への電力供給を自動的に遮断する従来公知の遮断手段等、を備えている。さらに、コントローラ20は、100Vあるいは130Vである一次側配線のコンセントに接続するための一次側コンセントプラグ24と、システムキッチンKの近傍に配置した床暖房用電気加熱手段1からの二次側配線6に接続する二次側コネクタ25とを備えている。
【0039】
[主に第2形態の電気式床暖房構造について]
上記のシステムキッチンKを用いて、その足元の限られた領域のみを電気式床暖房構造とするときの、施工手順の一例を説明する。最初に、床面におけるシステムキッチンKの配置位置を決定し、その近傍に、床暖房用電気加熱手段1の一例である、図3に示すような形態のヒータ付パネル1aを配置し、その上に図3に示すようにして、床仕上げ材の一例である木質床材2を配置した後、システムキッチンKを配置する。そして、ヒータ付パネル1aに接続する二次側配線6に接続する二次側コネクタ7をシステムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25と接続する。その際に、二次側配線6の一部(二次側コネクタ7側)を木質床材2の上に引き出し、そして、コントローラ20の二次側コネクタ25に接続する。それにより、電気式床暖房構造に必要な施工は終了する。施工した電気式床暖房構造の周囲に、必要に応じて従来知られた木質床材を敷設することにより、当該床面全体のフロア施工は終了する。
【0040】
施工した電気式床暖房構造を使用するに当たっては、システムキッチンKに取り付けたコントローラ20の前記一次側コンセントプラグ24を、システムキッチンK近傍まで配線されている100Vあるいは130Vである一次側配線に接続するコンセントに接続する。そして、コントローラ20のON/OFFスイッチ21をONとし、床温設定キー23を操作して適温を設定する。
【0041】
上記のように、あらかじめコントローラ20を備えた本発明によるシステムキッチンKを用いることにより、システムキッチンKの足元のみのようにごく限られた領域に電気式床暖房構造を施工する作業をきわめて容易化することができる。また、電気的施工はコネクタとコネクタおよびコンセントとコンセントプラグの接続のみであり、施工に電気工事士が立ち会う必要もない。それにより、施工期間の短縮とコストの低減が可能となる。
【0042】
図3は、前記したヒータ付パネル1aと木質床材2を示している。このヒータ付パネル1aは、従来公知のものであり(例えば、特開2006−145178号公報等参照)、ヒータ線31を基材32の上に所定パターンに配線している。基材32には適数の貫通孔33が形成されている。ヒータ付パネル1aは、前記したように、システムキッチンKの足元である例えばコンクリート床である床下地35の上に配置され、前記貫通孔33には適宜の接着剤36が塗布される。一方、前記木質床材2は裏面に前記ヒータ線31が入り込む凹溝41を有しており、凹溝41内にヒータ線31が入り込むようにして、木質床材2をヒータ付パネル1aに押し付ける。それにより、木質床材2は接着剤36によってヒータ付パネル1aとともに床下地35に固定される。必要に応じて、釘打ち固定を併用してもよい。なお、図3ではヒータ線31としてPTC発熱線を示しているが、単なる発熱線であってもよいことは当然である。複数枚のヒータ付パネル1aを用いる場合には、それらを、直列接続してもよく、並列接続してもよい。さらに、前記した面状発熱体を用いる場合、接着剤透過孔を有する面状発熱体であることは好ましい。また、この場合にも、木質床材の固定に釘打ち固定を併用してもよく、その場合には、面状発熱体には適宜の釘打ち代が好ましくは形成される。さらに、面状発熱体を用いる場合には、裏面に凹溝を備えない木質床材を床仕上げ材として用いることもできる。
【0043】
図4は、本発明の電気式床暖房構造で用いる床暖房用電気加熱手段1の他の形態を示している。ここでは、床暖房用電気加熱手段1であるヒータ線31は、木質床材2の裏面に形成した凹溝41内に一体に組み込まれていて、ヒータ一体型木質床材2aとされている。図示の例において、43は表面化粧材である。裏面には緩衝シート44が積層されている。また、図示されないが、ヒータ一体型木質床材2aの短手方向には遮音用凹溝が適宜間隔で設けられている。
【0044】
施工に当たっては、このヒータ一体型木質床材2aを必要枚数だけ電気的に接続しながら、コンクリートスラブのような床下地35に直貼りする。その後、前記したように、そこに接続する二次側配線6をシステムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25と接続するだけで、電気式床暖房構造の施工は完了する。この場合にも、各ヒータ一体型木質床材2aを直列接続してもよく並列接続してもよい。
【0045】
図5は、本発明の電気式床暖房構造で用いる床暖房用電気加熱手段1のさらに他の形態を示している。この床暖房用電気加熱手段1は、並列に配置した複数本のヒータ線45・・が一方端側で電源線46に並列接続されている構成を備えたヒータ線ユニット1bである。各ヒータ線45の長さ、すなわち電源線46からの突出長さは任意であるが、300〜600mmの範囲が施工性の点から好ましい。また、各ヒータ線45間の間隔は床暖房能力の設計値に応じて接されるが、100〜60mm程度が好ましい。ヒータ線45は、従来の電気式床暖房で用いられている通常のヒータ線でもよく、PTCヒータ線でもよい。また、好ましくは、各ヒータ線45と電源線46との接続部には、防水性を確保する目的で、樹脂によるコーティングもしくはポッティング47が施される。
【0046】
この形態のヒータ線ユニット1bは、並列に配置した複数本のヒータ線45によって必要な発熱量を確保することができるので、各ヒータ線の長さを短いものとすることができる。そのために、本発明による電気式床暖房構造のように、例えば足元のみのような狭い領域の床暖房を構築するのに、特に適した床暖房用電気加熱手段となる。また、ヒータ線45を短くすることで、電磁波(磁界)発生量が少なくなる利点もある。
【0047】
図6、図7は、ヒータ線ユニット1bを用いて電気式床暖房構造を施工する場合の一例を示している。施工に当たり、下面に断熱材を配置してある床下地の上に、直接または防湿性を備えたシートやフィルムを敷き詰めた後、ヒータ線ユニット1bを配置する。そして、ヒータ線ユニット1bの上から、裏面にヒータ線45および電源線46を収容できる凹溝を備えた所要数枚の木質床材2・・を配置し、その後に、電源線46に接続する二次側配線6に接続するコネクタ7を、システムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25に接続する。それにより、電気式床暖房構造に必要な施工は終了する。
【0048】
上記の施工法において、ヒータ線ユニット1bの電源線46側は、電源線46と直交するようにして多数本のヒータ線45が接続しており、その配線形状に沿った凹溝を裏面に持つ木質床材を、電源線46の上から正確な位置に配置していくことは容易でない。それを回避するために、図6、図7に示す例では、電源線46側の配線形状に沿った凹溝を表面側に形成した受けパネル50を用いるようにしている。図7(a)に示すように、前記受けパネル50は、電源線46を収容する長手方向凹溝51と、ヒータ線45が電源線46に接続する部分を収容する所要本数の短手方向凹溝52を有している。
【0049】
施工に当たっては、図7(b)に示すように、ヒータ線ユニット1bの電源線46側に前記した受けパネル50を、その凹溝内にヒータ線ユニット1bの電源線46側を収容するようにして取り付ける。好ましくは、取り付け後、受けパネル50の上面を防水用シート(不図示)で被覆する。
【0050】
なお、前記したカーボンヒータを内蔵したフィルム状ヒータのような面状発熱体あるいはPTCヒータのような面状発熱体の一枚または複数枚を並列に前記電源線46に接続して、ヒータ線ユニットとすることもできる。
【0051】
次に、図6に示すように、受けパネル50を取り付けたヒータ線ユニット1bを、システムキッチンKを設置すべき床下地の領域に配置する。配置後、ヒータ線ユニット1bにおけるいまだ露出した状態にあるヒータ線45を、裏面に収容溝を有する木質床材2で覆うとともに、前記受けパネル50の部分を覆うようにしてシステムキッチンKを配置する。なお、前記のような面状発熱体を前記電源線46に接続した形態のヒータ線ユニットを用いる場合には、裏面に収容溝を有しない木質床材で覆うこともできる。そして、電源線46に接続する二次側配線6に接続するコネクタ7をシステムキッチンKに取り付けてあるコントローラ20の二次側コネクタ25と接続することにより、電気式床暖房構造が完成する。なお、この施工法において、前記受けパネル50から延出するヒータ線45と床下地面との間に無視できない落差が形成される場合には、前記した発泡シートのような断熱機能を備えたシートやフィルムあるいは防湿性を備えたシートやフィルムなどによって、その落差をなくすようにすることが望ましい。
【0052】
特に図示しないが、受けパネル50に替えて、裏面側に同様な長手方向凹溝51と短手方向凹溝52を形成した木質床材を用いることもできる。その場合に、木質床材の具体例としては、設置すべきシステムキッチンKの奥行き長さにほぼ適合する奥行き長さの、当該システムキッチン受け用の木質板が挙げられる。また、木質床材には、ヒータ線ユニット1bの電源線46に接続する二次側配線6を上方に取り出すための取り出し部(例えば、取り出し孔)が好ましくは形成される。
【0053】
図8は面状発熱体を備えた床暖房用電気加熱手段のいくつかの例を示し、図9は図8に示す床暖房用電気加熱手段を用いて施工される電気式床暖房構造の一態様を示している。ここにおいて、面状発熱体は従来知られたものであってよいが、前記した特開平6−67926号公報に記載のような面状発熱体あるいは面状PTCヒータ等が例として挙げられる。図8(a)において、床暖房用電気加熱手段1cは、導線性繊維を備えた発熱層とそれを挟持する絶縁層とで構成される面状発熱体60を備え、面状発熱体60の一端には木材あるいは樹脂材からなる結線パネル65が全幅方向に接着剤等適宜の手段で固定されている。結線パネル65の側面から前記二次側配線6が延出しており、その先端に二次側コネクタ7が取り付けてある。二次側配線6の他端は面状発熱体60を構成する発熱層からのリード線に前記結線パネル65内で結線している。図8(b)に示す床暖房用電気加熱手段1cは、面状発熱体60は図8(a)のものと同じであるが、結線パネル65の側方、図では上方に前記絶縁層61のみが所要長さだけ延出している。
【0054】
図8(c)に示す床暖房用電気加熱手段1dは、面状発熱体が従来知られた面状PTCヒータ60aであり、この例では、その複数枚(図示の例では6枚)が、適宜の隙間pをおいて配置しており、各面状PTCヒータ60aは電気的に並列接続となるように、そのリード線を前記二次側配線6に対して前記結線パネル65内で結線している。この場合、前記隙間pは、床暖房用電気加熱手段1dを床下地面上に配置し、その上に床仕上げ材を取り付けるときの、接着剤等および釘打ち領域として、利用される。
【0055】
なお、図8(c)に示す床暖房用電気加熱手段1dにおいて、結線パネル65の横幅Wは面状発熱体60の横幅wよりもわずかに広くされている。床暖房用電気加熱手段(ヒータ付パネル)の床面への配置作業を容易にするために、比較的横幅が小さいものを横方向に必要枚数だけ連続させて配置することが行われる場合があるが、図8(c)に示す床暖房用電気加熱手段1dのように、結線パネル65の横幅Wを面状発熱体60の横幅wよりもわずかに広く設定しておくことにより、その繋ぎ目に、前記した接着剤の塗布領域あるいは釘打ち領域として利用される隙間pと同等の隙間を形成することが可能となる。
【0056】
上記の場合において、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1dを床面上に配置するときに、各結線パネル65、65の端面同士を当接させることとなるが、作業の仕方によっては、該当接面に上下方向のわずかな位置ずれが生じたり、当接面が全面で密着せずに、わずかにハ字上に拡開した状態で、隣接する2枚の床暖房用電気加熱手段1d、1dが配置されることが起こり得る。それを避けるためには、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1dを配置すべき床面上に、位置決めのための正確な墨出しを行うことが必要となる。
【0057】
図8(d)は、墨出し作業をすることなく、所定の位置にかつ所定の状態で隣接する床暖房用電気加熱手段同士を床面上に配置することができる、床暖房用電気加熱手段1dを示している。図8(d)に示す床暖房用電気加熱手段1dでは、前記した結線パネル65の両端に、互いに嵌め合うことができる形状の第1サネ部68と第2サネ部69が係合溝として形成されている。図8(e)は、2枚の床暖房用電気加熱手段1dを横方向に並置した状態を示しており、隣接する2枚の床暖房用電気加熱手段1d、1dにおける、一方の結線パネル65の一方端に形成した第1サネ部68と、他方の結線パネル65の他方端に形成した第2サネ部69とを嵌め合い接合させることによって、作業者は、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1d同士を正しい位置にかつ正しい姿勢で配置することが、容易にできるようになる。
【0058】
なお、図8(d)に示す床暖房用電気加熱手段1dは、前記隙間pの一方端が閉鎖している点で、図8(c)に図示したものと相違するが、隙間pの一方端が開放していても差し支えない。ただし、図8(d)に示すように、隙間pの一方端が閉鎖している形状の方が、床面への配置作業が容易化できる利点がある。また、隣接する床暖房用電気加熱手段1d、1dを電気的に接続するために、必要に応じて、結線パネル65の端部にコネクタを形成してもよく、また、各床暖房用電気加熱手段1dから、図8(c)に示すように、結線パネル65の側面から二次側配線6を延出させるようにしてもよい。
【0059】
いずれの床暖房用電気加熱手段1c、1dにおいても、前記結線パネル65の厚みは、望ましくは、施工時に同時に用いられる床仕上げ材(例えば、木質床材2)と同じ厚みかそれよりも薄くされる。また、その短手方向の幅は、その上に置かれる家具(この実施の形態においてはシステムキッチンK)の奥行き幅よりも狭くされる。その理由を、図9を参照して説明する。
【0060】
図9(a)は、前記図8(b)に示した床暖房用電気加熱手段1cを用いて電気式床暖房構造とした場合の一例を側面からみて示す概略図であり、床下地面における、システムキッチンKを配置しようとする位置に前記した結線パネル65が位置するようにして、床暖房用電気加熱手段1cが配置されている。結線パネル65の図で左方には面状発熱体60が展開しており、結線パネル65の図で右方には前記絶縁層61が展開している。面状発熱体60の上には床仕上げ材である木質床材2が敷設されており、前記絶縁層61の上にも同じ木質床材2が敷設されている。
【0061】
前記システムキッチンKの前縁部は、面状発熱体60の上に配置された木質床材群の最も結線パネル65に近い木質床材2aの上に乗っており、後縁部は、前記絶縁層61の上に配置され木質床材2bの上に乗っている。この例において、結線パネル65の厚みは、木質床材2よりも薄く、その短手方向の幅は、システムキッチンKの奥行き幅よりも狭くされている。そのために、システムキッチンKは、結線パネル65の影響を受けることなく、所定の水平姿勢に保った状態で、木質床材の上に置くことができる。なお、図9で13は、システムキッチンKに設けられている排給水管立ち上げスペースであり、前記結線パネル65の側方から延出する二次側配線6は、システムキッチンKの下方に形成される空間を利用し、容易に前記排給水管立ち上げスペース13内に容易に引き込むことができ、かつそこから、システムキッチンKに備えられたコントローラ20の二次側コネクタ25に確実に接続することができる。
【0062】
図9(b)は、他の形態の床暖房用電気加熱手段1eを用いる場合での電気式床暖房構造を示している。ここでは、結線パネル65として、厚みは木質床材2(2a)の厚みより薄く、短手方向の幅がシステムキッチンKの奥行き幅よりわずかに狭いものを用いている。この場合には、システムキッチンKの前縁部は、木質床材群の最も結線パネル65に近い木質床材2aの上に乗った姿勢となるが、後縁部は、結線パネル65の上に乗る姿勢となりやすい。その場合、図示のように、システムキッチンKは傾斜が生じるという不都合が生じる恐れがある。結線パネル65の厚みを木質床材2(2a)の厚みと同じにすることにより、傾斜が生じるのを回避することができる。しかし、その場合も、システムキッチンKには空間が形成されないので、結線パネル65の側方から延出する二次側配線6を前記した排給水管立ち上げスペース13にまで引き出すことができず、別途取り出し孔14等を設けて、前記コントローラまで案内する作業が必要となるという不都合が生じる。それを回避するため、図9(a)の構成とすることは、実用上きわめて望ましい。
【0063】
本発明による電気式床暖房構造を施工するに際して、床面に設置される家具(例えば、前記したシステムキッチンK)の間口サイズ、すなわち当該家具の横幅のサイズにあったサイズの床暖房用電気加熱手段1を用いることは、狭い範囲での効率的な電気式床暖房を行うという趣旨からいって、きわめて好ましい。しかし、現在、床暖房に用いる床暖房用電気加熱手段(前記したヒータ付パネル1a、フィルムもしくはシート状ヒータ、ヒータ線ユニット1b等)、および床暖房用電気加熱手段を木質床材内に一体に組み込んだヒータ一体型木質床材(前記したヒータ一体型木質床材2a等)は、従来使用されてきたフローリング用の木質床材を基準として作られており、主に、1800mm,900mm,600mmの長さのものである。一方、家具類にも従来から慣用されてきた間口寸法があり、それは、フローリング用の木質床材の寸法とはほとんどの場合、一致していない。
【0064】
例えば、上記したシステムキッチンKの場合、前記したように、標準品として、例えば750mm幅のボックスと900mm幅のボックスのようにモジュール化されたボックスを適宜組み合わせることにより、場合によっては、150mm幅の特注ボックスを組み合わせることにより、間口幅が2700mm,2550mm,2400mm,2250mmとしたものが多く製造されている。図10に示すように、一例として、間口2550mmのシステムキッチンKaの場合、木質床材の長さを基準とする1800mm長さのヒータ付パネル1x(またはヒータ一体型木質床材)を使用すると、図10(a)に示すように、幅750mm(=2550mm−1800mm)のヒータのない領域S1が残るようになる。その領域S1を900mm長さのヒータ付パネル1y(またはヒータ一体型木質床材)で暖房しようとすると、1800mm長さのヒータ付パネル1x(またはヒータ一体型木質床材)における幅150mmの部分が、システムキッチンKaの間口からはみ出るようになり、無駄な加熱スペースが生じる。
【0065】
それを解消するために、本発明による電気式床暖房構造の好ましい態様では、床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)として、その横幅が共に配置する家具(例えば、システムキッチンK)の横幅に合わせた横幅寸法である複数のモジュール化したヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)を用い、そこから選択した1種または複数種のヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)を選択し組み合わせて用いるようにしている。
【0066】
例えば、システムキッチンKが、単位モジュールを組み合わせて、2700mm,2550mm,2400mm,2250mmの間口であると仮定し、ヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)として、長さ1350mm(モジュール1),900mm(モジュール2),750mm(モジュール3)の3種のモジュールを用意しておく。
【0067】
図11(a)に示すように、施工現場で設置するシステムキッチンK1が間口2250mmのものである場合には、前記長さ1350mmのモジュール1であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a1と、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2を選択することで、システムキッチンK1の間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。また、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2の2枚と、長さ750mmのモジュール3であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)を用いることによっても、システムキッチンK1の間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0068】
図11(b)に示すように、システムキッチンK2が間口2700mmのものである場合には、前記長さ1350mmのモジュール1であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a1を2枚選択して用いることにより、システムキッチンK2の間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0069】
図示しないが、システムキッチンKが間口2400mmのものである場合には、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2の1枚と、長さ750mmのモジュール3であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)2枚とで、システムキッチンKの間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0070】
さらに、システムキッチンKが間口2250mmのものである場合には、長さ1350mmのモジュール1であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a1の1枚と、長さ900mmのモジュール2であるヒータ付パネル(または、ヒータ一体型木質床材)1a2の1枚とで、システムキッチンKの間口にぴったり合った電気式床暖房構造を構築することができる。
【0071】
そのようにして施工したシステムキッチンKの間口にぴったり合った電気式床暖房構造の周囲に従来から用いられている木質床材を敷設することにより、意匠的にも優れたフローリングを得ることができる。ヒータ一体型木質床材ではなく、ヒータ付パネル1aのみをシステムキッチンKの足元に配置する場合には、その上に敷設する木質床材には、従来用いられてきた寸法の木質床材を用いることができる。なお、上記図10および図11に基づき説明した態様は、第2形態の電気式床暖房構造のみでなく、第1形態の電気式床暖房構造にも適用できることは、当然である。
【0072】
図12〜図14は、本発明による第2形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を示す。ここでも、床下地面の上に床仕上げ材の一例である木質床材2が配置されて床面が形成され、その上の適所に、床暖房用のコントローラ20を備えた前記したシステムキッチンKが設置される。ただし、システムキッチンKに近接した床暖房を施そうとする領域には、木質床材2が配置されないか、配置した後、所定の面積だけ木質床材2が切除されて、木質床材2がない領域70が形成される。そして、この形態では、前記木質床材2がない領域70内に入り込む大きさである、裏面に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段72が用いられる。
【0073】
図13に示すように、床暖房用電気加熱手段72は、例えば発泡樹脂体である所要厚さの断熱材73と、その表面に貼り付けた例えばカーボンヒータやPTCヒータのような面状の発熱体74とからなる。なお、発熱体74は面状発熱体に限ることはなく、コード状ヒータであってもよい。なお、裏面に断熱材73を備えた床暖房用電気加熱手段72の厚さは、周囲に配置されている木質床材2の厚さよりも薄い。
【0074】
施工に当たっては、図14(a)に示すように、前記木質床材2がない領域70内に前記床暖房用電気加熱手段72を、断熱材73を下面側として配置し、木ねじなどの手段で、床下地に固定する。床暖房用電気加熱手段72として周囲に見切り部材75を取り付けたものを用いることもできる。床暖房用電気加熱手段72を床下地に固定した後、図14(b)に示すように、床仕上げ材76をその上に配置し、接着剤あるいは両面粘着テープなどを用いて、または、接着剤と接着剤硬化までの仮固定手段として両面粘着テープと双方を用いて、両者を一体に固定する。なお、床仕上げ材76には、木質床材、タイル、クッションシート材、不燃板、人工大理石、畳等を用いることができる。また、床暖房用電気加熱手段72の上に床仕上げ材76を積層した状態で、その厚さが周囲の木質床材2と同じ厚さとなるように、床暖房用電気加熱手段72および床仕上げ材76の厚さを設定する。一例として、周囲の木質床材2の厚さが12mmの場合、強度的な面から、床仕上げ材76の厚さは3〜5mm程度が好適である。
【0075】
なお、前記見切り部材75は、木質床材2がない領域70と床暖房用電気加熱手段72および床仕上げ材76との間に形成される隙間を埋めるために用いられるが、見切り部材75は床暖房用電気加熱手段72にではなく、床仕上げ材76の周囲に取り付けられていてもよい。また、図14(c)に示すように、独立した見切り部材75を、見切り材を有しない床暖房用電気加熱手段72および床仕上げ材76を取り付けた後で、隙間に埋め込むようにしてもよい。
【0076】
また、この例において、発熱体74に接続する二次側配線6は、図13に示すように、木質床材2に形成した通路を通過して、システムキッチンKに取り付けた二次側コネクタ25に接続しているが、発熱体74に接続する二次側配線6をシステムキッチンKに備えられたコントローラ20に接続する態様は、これに限ることはない。
【0077】
この態様の電気式床暖房構造では、例えば図8に示したような、面状発熱体60を床下地面に配置し、その上に、床仕上げ材として、例えば厚さ12mmの木質床材2を配置する形態の電気式床暖房構造と比べて、床仕上げ材76の厚さを薄くすることができる。また、発熱体74の裏面には断熱材73が位置している。そのために、床仕上げ材76の表面の昇温速度を速くすることができ、熱効率が大きく向上する。
【0078】
また、床暖房用電気加熱手段が木質床材に一体に組み込まれているヒータ一体型木質床材を用いる場合には、周囲の木質床材とヒータ一体型木質床材との色柄合わせを考慮して、ヒータ一体型木質床材を製造することが必要となるが、上記した形態の電気式床暖房構造では、床仕上げ材76の色柄合わせするだけであり、コストの低減も期待できる。見切り部材75を用いる場合には、見切り部材75によって色柄の連続性を積極的に遮断することも考えられ、色柄合わせに対する考慮を一層軽減することができる。
【0079】
[主に第1形態の電気式床暖房構造について]
図15〜図17は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造の一態様を示す。上記した第2形態の電気式床暖房構造では、床下地17の上に床暖房用電気加熱手段1が配置され、その上に、木質床材2などの床仕上げ材を配置するようにしたが、ここでは、床仕上げ材の上に床暖房用電気加熱手段1が配置される。
【0080】
図15において、2は床下地面に配置される床仕上げ材としての木質床材であり、従来公知のものである。木質床材2により床面が形成され、その上の適所に、床暖房用のコントローラ20を備えた前記したシステムキッチンKが設置される。床暖房用電気加熱手段1は、この態様において、電気ヒータ式のホットカーペットやキッチンマットとして知られている、マット状の床暖房用電気加熱手段1fであり、床暖房が必要なときに、システムキッチンKの近くの床面上に置かれるとともに、その二次側配線6がシステムキッチンKの蹴込み部に取り付けた二次側コネクタ25に接続される。二次側コネクタ25はシステムキッチンKに備えられたコントローラ20に接続している。また、床暖房を必要としないときには、マット状の床暖房用電気加熱手段1fは、システムキッチンKから取り外される。
【0081】
ここで用いるマット状の床暖房用電気加熱手段1fは、図16(a)に示すように、面状PTCヒータ60aを樹脂シート66と不織布67とで包み込んだもの、あるいは図16(b)に示すように、前記したコード状のヒータ線45を樹脂シート66と不織布67とで挟み込むようにしたもの、など、従来ホットカーペットやキッチンマットとして知られているなどとして知られているものを適宜用いることができる。ただし、マット状の床暖房用電気加熱手段1fは、コントローラ部を備える必要はない。
【0082】
このマット状の床暖房用電気加熱手段1fは、前記のように、コントローラ部を備えないので、従来のマット状の床暖房用電気加熱手段のようにコントローラ部に起因する凸部がなく、床仕上げ面上に配置したときに、全体として平坦な面となる。そのために、歩行時の違和感をなくすことができる。
【0083】
さらに、マット状の床暖房用電気加熱手段1fは使用しないときに、折りたたむことあるいは丸め込むことで、小さな形とすることができる。図17(a)に示すように、システムキッチンKの一部に収納用引き出し15を形成することにより、使用しないときのマット状の床暖房用電気加熱手段1fをその中に収容しておくことができ、システムキッチンKの周囲をすっきりとした状態に保っておくことができる。
【0084】
図17(b)は、収納部の他の例であり、ここでは、根太16の上に合板のような床下地材17を設置し、その上に床仕上げ材(例えは、木質床材2)を配置した床構成である。そして、床暖房時にマット状の床暖房用電気加熱手段1fが配置される位置に、図示のように、床仕上げ材(例えは、木質床材2)と床下地材17とを貫通する開口18を形成し、その開口18に、前記したマット状の床暖房用電気加熱手段1fを収容できる大きさの収納袋19を取り付けている。18aは、前記開口18を閉じる蓋であり、通常は、開口18は蓋18aにより閉じられている。この態様でも、使用しないときのマット状の床暖房用電気加熱手段1fを収納袋19内に収容しておくことができ、システムキッチンKの周囲をすっきりとした状態に保っておくことができる。
【0085】
図18は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造の他の態様をその施工手順とともに示している。この態様では、図18(a)に示すように、最初に、例えば木質床材2である床仕上げ材が床下地材17の上に貼り付けられている床面の所定位置に、キッチン施工位置aを確定する。また、図18(b)に示すように、表面化粧シートと面ヒータとからなる暖房シート(ヒータパネル)1gの配置位置を設定する。この例で、暖房シート1gは、裏面に電源線接続ボックス80を突出させており、そこに二次側配線である電源ケーブル6を接続している(図18(f)も参照)。なお、暖房シート(ヒータパネル)1gとして、表面化粧シートと面ヒータとの間に熱伝導性の良好な材料からなる補強シートを介在させたものを用いることもできる。
【0086】
次に、図18(c)に示すように、電源線接続ボックス80および電源線6を納めるための切り欠き81を木質床材2の適所に切り欠く。そして、図18(d)に示すように、その切り欠き81に電源線接続ボックス80および電源ケーブル6を納めながら、暖房シート1gを前記設定した位置に両面粘着テープを用いて、または粘着テープと接着剤とを併用して、固定するとともに、電源ケーブル6を給排水管の立ち上げ位置82まで配線する。
【0087】
その状態で、図18(e)に示すように、システムキッチンKを仮置きし、必要な場合には、段差調整プレート83を用いて、システムキッチンKの水平レベルを調整する。そして、図18(f)に示すように、システムキッチンKを所定位置に配置し、電源ケーブル6をシステムキッチンK内に引き込み、システムキッチンK内に備えられた床暖房用のコントローラ20のON/OFFスイッチ21から出ているヒータ側電源ケーブルのコネクタ25と前記電源ケーブル6のコネクタ7とを接続する。また、必要に応じて、暖房シート1gの周囲を見切り材84を取り付ける。最後に、図18(g)に示すように、前記ON/OFFスイッチ21から出ている一次側電源ケーブルのコンセントプラグ24を適所にある100Vコンセントに接続する。それにより、図18(h)に示す、本発明による第1形態の電気式床暖房構造が完成する。
【0088】
上記形態の電気式床暖房構造は、図15〜図17に基づき説明したホットカーペットのようなマット状の床暖房用電気加熱手段1fを用いる電気式床暖房構造と比較して、マットの床の間にごみが溜まることや、夏場での収納スペースを要しないことなどで利点がある。図示のように、電源ケーブル等はすべてシステムキッチンKの下に納められていて、見た目にすっきりした電気式床暖房構造が得られる。好ましくは、暖房シート(ヒータパネル)1gは、例えば厚さ0.1〜0.5mm程度のカーボン繊維ヒータ(面ヒータ)をエポキシ樹脂(基材シート)でサンドイッチした構造のものが好ましく、暖房シート1gとしての全体厚みは、床面との間の段差を小さくするために、3mm程度以下であることが望ましい。
【0089】
図19は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明している。ここでは、暖房シート1hとして、図18に基づき説明した暖房シート1gと同様のものを用いているが、図19(a)に示すように、面ヒータ1iが基材シート1jの一方辺側に偏位した場所に取り付けてある点で、異なっている。また、電源線接続ボックス80は、前記基材シート1jにおける面ヒータ1iが偏在している側とは反対側の縁部85の裏面側に設けてある。なお、図示される暖房シート1hは、面ヒータ1iの一方面側にのみ基材シート1jが取り付けてあるが、実際は、両面側に基材シート1jが取り付けられる。
【0090】
施工手順は、図18に基づき説明したものと同様であってよいが、暖房シート1hの位置決めに際しては、図19(b)(c)に示すように、前記した暖房シート1hにおける面ヒータ1iが存在しない基材シート1jの領域の全部または一部が、設置しようとするシステムキッチンKの下に入り込むようにして位置決めする。その際に、前記した電源線接続ボックス80は、暖房シート1hの一方の側縁に近接して位置しているので、木質床材2に電源線接続ボックス80が入り込むための切り込み81を形成するときの作業が容易となる。ちなみに、図18に示した暖房シート1gのように、電源線接続ボックス80が暖房シート1gの辺にではなく、内側に設けられている場合には、電源線接続ボックス80が入り込むための切り込み81を木質床材2に形成するのに、寸法出し(墨だし)が必要であり、やや作業手間がかかる場合が起こる。
【0091】
さらに、この態様では、図19(c)に示すように、暖房シート1hにおける面ヒータ1iが配置されていない領域が、他の領域と比較して薄くなっている場合には、特に高さ調節のために調整プレート83等を配置しなくても、システムキッチンKの安定した設置姿勢が得られる。また、人が入り込まない箇所(すなわち、ステムキッチンKの下となる領域)を加熱することがない分だけ、熱エネルギーの無駄を無くすことができる。さらに、この態様では、暖房シート1hの一部を家具の下に入り込ませることで、床仕上げ材2の上に配置した暖房シート1hの姿勢を、見切り材を用いなくても、不用意に移動しないように安定させることができる。もちろん、図示のように、同時に見切り材81を用いることは、より好ましい。
【0092】
図20(a)(b)は、本発明による第1形態の電気式床暖房構造のさらに他の態様を説明している。ここでは、図18に基づき説明した暖房シート1gを、その一部をシステムキッチンKの下方に入り込ませることなく、縁部がシステムキッチンKに接するようにして配置している点に特徴がある。図20(a)に示す例においては、その点を除いて、施工手順は図18に示したものと同じであってよい。この態様では、システムキッチンKを据え付けるときに、高さ調整がまったく不要になる利点がある。また、暖房シート1g側に不具合が生じたときに、簡単な手順で暖房シート1gを交換できる利点もある。
【0093】
図20(b)に示す例では、暖房シート1gの一部がシステムキッチンKの下方に入り込んでいないことに加えて、電源線6が床下地材17の下方を通過して、システムキッチンK側に引き込まれている点で、図18に示した電気式床暖房構造と相違する。この態様でも、暖房シート1g側に不具合が生じたときに、簡単な手順で暖房シート1gを交換できる利点がある。また、木質床材2に、電源ケーブル6を埋め込むための切り込みを形成する作業を省略することができる。ただし、木質床材2に電源線接続ボックス80収容用の切り込みを形成すること、床下地材17に電源ケーブル通過孔を形成する作業は必要となる。
【0094】
なお、上記の説明において、システムキッチンKは、本発明でいう「家具」の一例であって、床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備える家具の種類がこれに限らないことは、前記したとおりである。
【符号の説明】
【0095】
K…家具の一例としてのシステムキッチン
1…床暖房用電気加熱手段、
1a…ヒータ付パネル、
1b…並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されている構成を備えたヒータ線ユニット
1e、1d…面状ヒータと結線パネルを備えた床暖房用電気加熱手段
1f…マット状の床暖房用電気加熱手段、
1g,1h…薄手のマット状の床暖房用電気加熱手段である暖房シート、
1i…暖房シートを構成する面ヒータ、
1j…暖房シートを構成する基材シート、
2…木質床材、
2a…ヒータ一体型木質床材、
5…一次側配線、
6…二次側配線、
15…収納用引き出し、
16…根太、
17…床下地材、
18…開口、
18a…開口を閉じる蓋、
19…収納袋、
20…家具に備えられた床暖房用のコントローラ、
21…ON/OFFスイッチ
22…温度表示部
23…床温設定キー、
24…一次側コンセントプラグ、
25…二次側コネクタ、
50…ヒータ線ユニットと共に用いる受けパネル、
60…面状発熱体、
60a…面状PTCヒータ、
61…面状発熱体の絶縁層、
65…結線パネル、
70…木質床材がない領域、
72…床暖房用電気加熱手段、
73…断熱材、
74…発熱体、
75…見切り部材、
76…床仕上げ材、
80…電源線接続ボックス、
81…木質床材に形成した切り込み、
82…給排水管の立ち上げ位置、
83…段差調整用プレート、
84…見切り材、
85…基材シートにおける面ヒータが偏在している側とは反対側の縁部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置される家具であって、床面に配置した床暖房用電気加熱手段に電気的に接続可能でありかつ該床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備えることを特徴とする家具。
【請求項2】
前記コントローラは一定時間経過後に前記床暖房用電気加熱手段への電力供給を自動的に遮断する手段を少なくとも備えることを特徴とする請求項1に記載の家具。
【請求項3】
前記家具は、システムキッチン構成部材、化粧台、洗面化粧台、リビング用収納家具、または掘りごたつのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の家具。
【請求項4】
床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された請求項1ないし3のいずれか一項に記載の家具と、前記床面上であって前記家具の近傍に配置された面状発熱体を備えた床暖房用電気加熱手段と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項5】
請求項4に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段の周縁の全部または一部は見切り材によって覆われていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段の一部は前記床仕上げ材が除去されて形成された溝内を通って前記家具に達していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項7】
請求項4または5に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段の一部は前記床下地面の下部空間を通って前記家具に達していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は、周囲に面状発熱体が配置されていない領域を備えており、該面状発熱体が配置されていない領域の一部は前記家具の下に入り込んでいることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は裏面に電源線接続部を突出させて有しており、前記床仕上げ材には前記電源線接続部が入り込むことのできる穴が形成されていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項10】
請求項4に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は、使用時に前記床仕上げ材の上に配置される形態のマット状の床暖房用電気加熱手段であることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項11】
請求項10に記載の電気式床暖房構造であって、前記家具は、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項12】
請求項10に記載の電気式床暖房構造であって、前記床面には、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部が形成されていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項13】
床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された請求項1ないし3のいずれか一項に記載の家具と、前記床下地面上であって前記家具の近傍に配置された床暖房用電気加熱手段と、前記床暖房用電気加熱手段を覆う前記床仕上げ材と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項14】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記家具に備えられたコントローラと床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段は、少なくともその一部を前記床仕上げ材の上方に位置させていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項15】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床仕上げ材は木質床材であり、前記床暖房用電気加熱手段は前記木質床材に一体に組み込まれており、該床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ一体型木質床材が床下地面上に配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項16】
請求項15に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ一体型木質床材として、その横幅を共に配置する前記家具の横幅に合わせてモジュール化した複数のヒータ一体型木質床材から選択した1種または複数種のヒータ一体型木質床材を組み合わせて用いることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項17】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段は床下地面に配置されており、該床暖房用電気加熱手段を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項18】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段は並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されている構成を備えた床暖房用電気加熱手段であることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項19】
請求項18に記載の電気式床暖房構造において、床下地面上に配置された前記床暖房用電気加熱手段を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項20】
請求項18に記載の電気式床暖房構造において、床下地面上に配置された前記床暖房用電気加熱手段における前記電源線側の下方には表面側に電源線側を収容する凹溝を備えた受けパネルが配置され該受けパネルを覆うようにして前記家具が配置されており、前記ヒータ線部分を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項21】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段は面状発熱体であり、該床暖房用電気加熱手段を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項22】
請求項21に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段である面状発熱体は、前記家具に備えられたコントローラと接続する接続手段の一方端を面状発熱体側に接続するための絶縁性材料からなる結線パネルを所用位置に固定していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項23】
請求項22に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの横幅が面状発熱体の横幅よりも広い床暖房用電気加熱手段を用いていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項24】
請求項23に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの両端に係合溝が形成されている床暖房用電気加熱手段を用いていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項25】
請求項22ないし24のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造であって、前記結線パネルは、当該面状発熱体である床暖房用電気加熱手段を床下地面上に配置して電気式床暖房構造とするときに、前記家具が位置することとなる箇所において、当該面状発熱体の上に固定されていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項26】
請求項25に記載の電気式床暖房構造であって、前記結線パネルの厚みは、同時に使用する床仕上げ材の厚みと同じかそれよりも薄くされており、前記家具の前縁部と後縁部は同時に使用する前後の床仕上げ材で支持されており、前記前後の床仕上げ材の間に前記結線パネルを位置していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として、その横幅を共に配置する前記家具の横幅に合わせてモジュール化した複数の床暖房用電気加熱手段から選択した1種または複数種の床暖房用電気加熱手段を組み合わせて用いることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項28】
請求項17、請求項19または請求項21に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は裏面に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段であり、床下地面に配置した前記断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段と、それを覆うようにしてその上に配置した前記床仕上げ材との合計厚さが、周囲に配置される木質床材とほぼ同じ厚さとされていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項1】
床面に設置される家具であって、床面に配置した床暖房用電気加熱手段に電気的に接続可能でありかつ該床暖房用電気加熱手段への電力供給を制御するコントローラを備えることを特徴とする家具。
【請求項2】
前記コントローラは一定時間経過後に前記床暖房用電気加熱手段への電力供給を自動的に遮断する手段を少なくとも備えることを特徴とする請求項1に記載の家具。
【請求項3】
前記家具は、システムキッチン構成部材、化粧台、洗面化粧台、リビング用収納家具、または掘りごたつのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の家具。
【請求項4】
床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された請求項1ないし3のいずれか一項に記載の家具と、前記床面上であって前記家具の近傍に配置された面状発熱体を備えた床暖房用電気加熱手段と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項5】
請求項4に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段の周縁の全部または一部は見切り材によって覆われていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段の一部は前記床仕上げ材が除去されて形成された溝内を通って前記家具に達していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項7】
請求項4または5に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段の一部は前記床下地面の下部空間を通って前記家具に達していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は、周囲に面状発熱体が配置されていない領域を備えており、該面状発熱体が配置されていない領域の一部は前記家具の下に入り込んでいることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は裏面に電源線接続部を突出させて有しており、前記床仕上げ材には前記電源線接続部が入り込むことのできる穴が形成されていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項10】
請求項4に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は、使用時に前記床仕上げ材の上に配置される形態のマット状の床暖房用電気加熱手段であることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項11】
請求項10に記載の電気式床暖房構造であって、前記家具は、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項12】
請求項10に記載の電気式床暖房構造であって、前記床面には、前記床暖房用電気加熱手段を使用しないときにそれを収容できる収納部が形成されていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項13】
床面が床下地面の上に配置された木質床材、タイル、クッションシート材、畳等の床仕上げ材であり、前記床面に設置された請求項1ないし3のいずれか一項に記載の家具と、前記床下地面上であって前記家具の近傍に配置された床暖房用電気加熱手段と、前記床暖房用電気加熱手段を覆う前記床仕上げ材と、前記家具に備えられた前記コントローラと前記床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段と、を少なくとも備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項14】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記家具に備えられたコントローラと床暖房用電気加熱手段を電気的に接続する接続手段は、少なくともその一部を前記床仕上げ材の上方に位置させていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項15】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床仕上げ材は木質床材であり、前記床暖房用電気加熱手段は前記木質床材に一体に組み込まれており、該床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ一体型木質床材が床下地面上に配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項16】
請求項15に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段を一体に組み込んだヒータ一体型木質床材として、その横幅を共に配置する前記家具の横幅に合わせてモジュール化した複数のヒータ一体型木質床材から選択した1種または複数種のヒータ一体型木質床材を組み合わせて用いることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項17】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段は床下地面に配置されており、該床暖房用電気加熱手段を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項18】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段は並列に配置した複数本のヒータ線が一方端側で電源線に並列接続されている構成を備えた床暖房用電気加熱手段であることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項19】
請求項18に記載の電気式床暖房構造において、床下地面上に配置された前記床暖房用電気加熱手段を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項20】
請求項18に記載の電気式床暖房構造において、床下地面上に配置された前記床暖房用電気加熱手段における前記電源線側の下方には表面側に電源線側を収容する凹溝を備えた受けパネルが配置され該受けパネルを覆うようにして前記家具が配置されており、前記ヒータ線部分を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項21】
請求項13に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段は面状発熱体であり、該床暖房用電気加熱手段を覆うようにして別部材である前記床仕上げ材がその上から配置されている構成を備えることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項22】
請求項21に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段である面状発熱体は、前記家具に備えられたコントローラと接続する接続手段の一方端を面状発熱体側に接続するための絶縁性材料からなる結線パネルを所用位置に固定していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項23】
請求項22に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの横幅が面状発熱体の横幅よりも広い床暖房用電気加熱手段を用いていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項24】
請求項23に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段として、その結線パネルの両端に係合溝が形成されている床暖房用電気加熱手段を用いていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項25】
請求項22ないし24のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造であって、前記結線パネルは、当該面状発熱体である床暖房用電気加熱手段を床下地面上に配置して電気式床暖房構造とするときに、前記家具が位置することとなる箇所において、当該面状発熱体の上に固定されていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項26】
請求項25に記載の電気式床暖房構造であって、前記結線パネルの厚みは、同時に使用する床仕上げ材の厚みと同じかそれよりも薄くされており、前記家具の前縁部と後縁部は同時に使用する前後の床仕上げ材で支持されており、前記前後の床仕上げ材の間に前記結線パネルを位置していることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれか一項に記載の電気式床暖房構造において、前記床暖房用電気加熱手段として、その横幅を共に配置する前記家具の横幅に合わせてモジュール化した複数の床暖房用電気加熱手段から選択した1種または複数種の床暖房用電気加熱手段を組み合わせて用いることを特徴とする電気式床暖房構造。
【請求項28】
請求項17、請求項19または請求項21に記載の電気式床暖房構造であって、前記床暖房用電気加熱手段は裏面に断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段であり、床下地面に配置した前記断熱材を備えた床暖房用電気加熱手段と、それを覆うようにしてその上に配置した前記床仕上げ材との合計厚さが、周囲に配置される木質床材とほぼ同じ厚さとされていることを特徴とする電気式床暖房構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−27387(P2011−27387A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200145(P2009−200145)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】
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