説明

床材及び床材の製造方法

【課題】 湿式化粧単板とシートとの接着強度が高く、湿式化粧単板の剥離が起こりにくい床材を提供すること。
【解決手段】 非透水性のシート(2)と合板(1)とを貼り合わせた基材のシート(2)表面に水溶性接着剤(3)層を形成し、木粉(4)を該水溶性接着剤(4)層上に散布し、水溶性接着剤(4)層及び木粉(3)を介して湿式化粧単板(5)をシート(2)表面に接着する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床材及び床材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、図2(a)に示すように、非透水性のシート(2)と合板(1)とを貼り合わせた基材を用意し、次に、図2(b)のようにシート(2)表面に水溶性接着剤(3)を塗布し、その後、図2(c)のように水溶性接着剤(3)を介して湿式化粧単板(5)をシート(2)表面に接着し、その後、図2(d)のように合板(1)の側面に実(7)と溝(8)を形成する実加工を施した後、塗装して床材として仕上げていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、湿式化粧単板(5)を接着するには水溶性接着剤(3)を用いることが通常であり、また、合板(1)に水がしみこむのを防ぐために非透水性のシート(2)を合板(1)の上面に貼り合わせているが、非透水性のシート(2)は水溶性接着剤(3)の水分を吸わないため、シート(2)に湿式化粧単板(5)を水溶性接着剤(3)で接着はできるが、接着強度が弱く、剥離が起こりやすいものであった。
【0004】本発明は上記事由に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、湿式化粧単板と非透水性のシートとの接着強度が高く、湿式化粧単板の剥離が起こりにくい床材及び床材の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る床材は、非透水性のシートと合板とを貼り合わせた基材のシート表面に水溶性接着剤層を形成し、木粉を該水溶性接着剤層上に散布し、水溶性接着剤層及び木粉を介して湿式化粧単板をシート表面に接着してなるものである。こうすることにより、木粉が水溶性接着剤の水分を吸収するため、水溶性接着剤が乾燥し易くなり、接着強度が高くなり、湿式化粧単板の剥離が起こりにくくなる。また、非透水性のシートを合板の上面に貼り合わせているので、合板に水がしみこまないようになる。
【0006】本発明の請求項2に係る床材は、請求項1において、上記シートが軟質樹脂中に高比重物質を配合した遮音性に優れた軟質のシートであることを特徴とするものである。こうすることにより、上記効果に加えて、遮音性の優れた床材となる。
【0007】本発明の請求項3に係る床材は、請求項1又は、2において、湿式化粧単板側からシートの肉厚範囲内で溝状の彫りを設けたことを特徴とするものである。こうすることにより、上記効果に加えて、溝状の彫りの深さがシートの下部にある合板にまで達していないので、彫りを入れても耐水性のあるものとなり、また、床材に表れる彫りの面はシートとなるので、彫りの面にささくれだちがないものとなる。
【0008】本発明の請求項4に係る床材は、非透水性のシートと合板とを貼り合わせた基材のシート表面に水溶性接着剤を塗布し、その後、木粉を水溶性接着剤上に散布し、水溶性接着剤及び木粉を介して湿式化粧単板をシート表面に接着する床材の製造方法である。こうすることにより、木粉が水溶性接着剤の水分を吸収するため、水溶性接着剤が乾燥し易くなり、接着強度が高くなり、湿式化粧単板の剥離が起こりにくい床材を製造できるようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に沿って説明していく。図1は請求項1から4に係る本発明の一実施形態における床材及び床材の製造方法を示す工程図である。本発明の一実施形態は、軟質樹脂中に高比重物質を配合した遮音性に優れた軟質で非透水性のシート(2)と合板(1)とを貼り合わせた基材のシート(2)表面に水溶性接着剤(3)層を形成し、木粉(4)を該水溶性接着剤(3)層上に散布し、水溶性接着剤(3)層及び木粉(4)を介して湿式化粧単板(5)をシート(2)表面に接着し、湿式化粧単板(5)側からシート(2)の肉厚範囲内で溝状の彫り(6)を設けた床材であり、その床材を上記工程によって製造する方法である。
【0010】更に詳しく説明すると、図1(a)に示すように、まず厚さ11mmの合板(1)の一面に非透水性のシート(2)を貼り合わせた基材を用意する。ここでは塩化ビニル樹脂中に高比重物質を配合した厚さ1mmの遮音性に優れた遮音シートと呼ばれる非透水性のシート(2)を用いている。次に、図1(b)のようにメラミン−EVA系の水溶性接着剤(3)を基材のシート(2)側の面に塗布した後、図1(c)のようにその上に粒径10〜100μmの木粉(4)を900平方センチメートル当たり1〜5g散布し、次に図1(d)のようにその上に厚さ0.3mmのナラ材湿式化粧単板(5)を積層した後、温度摂氏115度、1平方センチメートル当たり6Kgの圧力で60秒間プレスする。次に、図1(e)のように合板(1)の側面に実(7)と溝(8)を形成する実加工を施した後、床材に彫り(6)を設ける彫り加工を行い、その後塗装を施して床材として仕上げている。このように、水溶性接着剤(3)の上に木粉(4)を散布した後、シート(2)に湿式化粧単板(5)を接着する方法を行うことにより、木粉(4)が水溶性接着剤(3)の水分を吸収するために接着強度が高くなり、湿式化粧単板(5)がシート(2)から剥離しにくくなる。また、遮音性の優れたシート(2)を合板(1)に貼り合わせているので、遮音性の優れた床材ともなっている。また、非透水性のシート(2)を合板(1)の上面に貼り合わせているので、合板(1)に水がしみこまないようになっている。
【0011】また、彫り加工は、湿式化粧単板(5)側からシート(2)の下部にある合板にまで彫り(6)が達しないように設けられているので、床材に表れる彫り(6)の面はシート(2)となり、彫り(6)の面ににささくれだちがないものとなって、歩行時にストッキング等がささくれによって破損するようなことがなくなり、また、彫りを入れても、非透水性のシート(2)しか床材に表れてこないので、耐水性のあるものとなる。
【0012】なお、本実施形態で紹介したシート(2)、水溶性接着剤(3)及び各数字は具体的に示すために表した好ましいものであり、何等上記シート(2)、水溶性接着剤(3)及び各数字に限定されるものではなく、また、実加工の代わりに相決り加工等他の矧加工を施したものでも本発明の効果を奏するものである。
【0013】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、請求項1記載の床材によると、木粉が水溶性接着剤の水分を吸収するため、水溶性接着剤が乾燥し易くなり、接着強度が高くなり、湿式化粧単板の剥離が起こりにくくなる。また、非透水性のシートを合板の上面に貼り合わせているので、合板に水がしみこまないようになる。
【0014】また、請求項2記載の床材によると、上記効果に加えて、遮音性の優れた床材となる。
【0015】また、請求項3記載の床材によると、上記効果に加えて、溝状の彫りの深さがシートの下部にある合板にまで達していないので、彫りを入れても耐水性のあるものとなり、また、床材に表れる彫りの面はシートとなるので、彫りの面にささくれだちがないものとなる。
【0016】また、請求項4記載の床材によると、木粉が水溶性接着剤の水分を吸収するため、水溶性接着剤が乾燥し易くなり、接着強度が高くなり、湿式化粧単板の剥離が起こりにくい床材を製造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る床材の一実施形態の製造方法を示す工程図であり、(a)から(f)はそれぞれ各工程の状態を示す側面図である。
【図2】従来の床材の製造方法を示す工程図であり、(a)から(d)はそれぞれ各工程の状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 合板
2 シート
3 水溶性接着剤
4 木粉
5 湿式化粧単板
6 彫り
7 実
8 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 非透水性のシートと合板とを貼り合わせた基材のシート表面に水溶性接着剤層を形成し、木粉を該水溶性接着剤層上に散布し、水溶性接着剤層及び木粉を介して湿式化粧単板をシート表面に接着してなる床材。
【請求項2】 上記シートが軟質樹脂中に高比重物質を配合した遮音性に優れた軟質のシートであることを特徴とする請求項1記載の床材。
【請求項3】 湿式化粧単板側からシートの肉厚範囲内で溝状の彫りを設けたことを特徴とする請求項1又は、2記載の床材。
【請求項4】 非透水性のシートと合板とを貼り合わせた基材のシート表面に水溶性接着剤を塗布し、その後、木粉を水溶性接着剤上に散布し、水溶性接着剤及び木粉を介して湿式化粧単板をシート表面に接着する床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平9−310469
【公開日】平成9年(1997)12月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−125365
【出願日】平成8年(1996)5月21日
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)