説明

床材

【課題】表面に凹凸が存在する基材を用いた場合にでも、化粧シートの表面を略面一とすることを可能とした床材を提供することである。
【解決手段】基材2の表面10に化粧シート4を設けてなる床材1であって、基材2の表面10には略面一の平滑層3が設けられ、化粧シート4は接着層7を介して平滑層3に接着されており、平滑層3は、接着層7を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤を固化させてなるものである。基材2は表面10に凹凸11を有し、接着層7を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤は、凹凸11に隙間なく充填されて、固化している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材に関し、さらに詳細には、表面に凹凸が存在する基材を用いた場合にでも、化粧シートの表面を略面一とすることを可能とした床材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅用の床材として、木質床材が利用されている。木質床材には、1枚の木で構成された単層フローリングと呼ばれるものや、合板等の基材に化粧板を貼付した複合フローリングと呼ばれるもの等がある。複合フローリングは、単層フローリングに比べて安価であり、高品質の製品を大量生産できるという優れた特徴を有している。特許文献1には、合板に化粧板を貼付した床材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−118337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された床材では、化粧板は、硬質の木質単板で構成されている。しかし、最近では、化粧板に代わって化粧シートや化粧フィルムが用いられることがある。化粧シートは、フィルム状のシートであり、塩化ビニル樹脂等で構成されている。塩化ビニル樹脂等は、自由に着色することが可能であり、所望する図柄の印刷も容易である。塩化ビニル樹脂等を利用した化粧シートでは、多種多様な模様や色の複合フローリングの製造が可能である。
【0005】
ところが、化粧シートは、薄いフィルム状であることから、基材の平坦度に左右され易いという欠点がある。つまり、基材の表面に凹凸が有ると、基材に貼付した化粧シートの表面も凸凹したものとなり、フローリング製品としての見栄えが悪い。
【0006】
基材として用いられる合板は、表面に細かな凹凸が存在していることが多い。これは、合板が、ロータリーレースと呼ばれる皮むき器のような装置で、回転する原木を剥いで製造されることによって、細かな凹凸が生じるためである。このため、化粧シートは、合板を用いた複合フローリングへは一般に不適である。
【0007】
そこで、本発明は、表面に凹凸が存在する基材を用いた場合にでも、化粧シートの表面を略面一とすることを可能とした床材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基材の表面に化粧シートを設けてなる床材であって、基材の表面には略面一の平滑層が設けられ、化粧シートは接着層を介して前記平滑層に接着されており、前記平滑層は、前記接着層を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤を固化させてなるものであることを特徴とする床材である。
【0009】
接着層を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤は、流動性に優れており、隅々まで行き渡り易く、且つ平滑性に優れており、面一に整え易い。つまり、基材の表面が凸凹していても、接着層を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤で、基材の凸凹を埋めることができる。さらに、基材の化粧シート側を略面一とすることができる。すなわち、化粧シートの表面が凸凹することを防止できる。
【0010】
また、平滑層と接着層とは、同一素材の接着剤で構成されているため、両者の親和性が高く、接着性に優れている。つまり、基材と化粧シートとを強固に接合することができる。
【0011】
本発明の床材によれば、表面に凹凸が存在する基材を用いた場合にでも、化粧シートの表面を略面一とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の床材によれば、表面に凹凸が存在する基材を用いた場合にでも、化粧シートの表面を略面一とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る床材を示す正面図および一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の床材の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0015】
図1に示すように、床材1は、基材2と、平滑層3と、接着層7と、化粧シート4とを有している。
【0016】
基材2は、合板で形成されており、図示しない単板が複数積層されている。基材2の表面10には、製造過程で生じた凹凸11が一様に存在している。
【0017】
接着層7は、接着剤を固化させてなるものである。接着層7に用いられる接着剤の例としては、酢酸ビニル系樹脂、変成ゴム系樹脂、メラミン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等からなる接着剤が挙げられる。これらの樹脂については、1種類のみを用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
【0018】
平滑層3は、接着層7を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤(以下、「低粘度接着剤」と称する)を固化させてなるものである。低粘度接着剤は凹凸11に隙間なく埋められて固化している。基材2側の平滑層3は、凹凸11に合致している。また、化粧シート4側の平滑層3は略面一である。なお、低粘度接着剤は、接着剤を溶剤等で2〜5倍に希釈したものであることが好ましい。
【0019】
化粧シート4は、フィルム状のシートである。化粧シート4は、塩化ビニル樹脂等で構成されることが好ましい。
【0020】
図1において、基材2の表面10に平滑層3が設けられている。平滑層3の上には接着層7が設けられ、さらに接着層7の上には化粧シート4が設けられている。
【0021】
基材2の表面10の凹凸11は、低粘度接着剤で埋められて、固化している。すなわち、基材2側の平滑層3は凹凸11に合致しており、化粧シート4側の平滑層3は略面一となっている。このため、平滑層3の上に設けられた化粧シート4も、略面一となっている。
【0022】
つぎに、本発明の実施形態に係る床材1の製造方法について説明する。
【0023】
まず、基材2の表面10を、研磨紙や、サンダと呼ばれる研磨装置等でサンディング(研磨)し、表面10を滑らかにする。サンディングされた表面10は、細かな凹凸11を有することとなる。なお、あらかじめサンディングされた合板等を基材2として用いることが好ましい。
【0024】
続いて、基材2の表面10に、低粘度接着剤を、スプレッダと呼ばれる接着剤塗布ロール装置で塗布する。低粘度接着剤は、流動性と平滑性に優れており、表面10の凹凸11が隙間なく埋められ、凹凸11を略面一とする。
【0025】
続いて、低粘度接着剤が塗布された表面10を、熱プレス装置で、40〜60秒程度、押圧する。押圧後、一定時間が経過して表面10が冷却されると、低粘度接着剤が固化し、表面10の上に平滑層3が形成される。形成された平滑層3は、略面一である。
【0026】
なお、熱プレス装置の温度は、摂氏100〜130度程度であることが好ましい。また、熱プレス装置の圧力は、0.5〜0.8MPa(メガパスカル)程度であることが好ましい。
【0027】
そして、平滑層3の上に接着剤を塗布し、その上に化粧シート4をラミネータと呼ばれるフィルム貼付装置で貼付する。なお、平滑層3の上に塗布された接着剤は、硬化して、接着層7となる。平滑層3は略面一であるので、貼付された化粧シート4は、基材2の凹凸11の影響を受けず、略面一となる。その結果、略面一の床材1が完成する。
【0028】
以上のように本発明の実施形態に係る床材1では、表面10に凹凸11が存在する基材2を用いた場合にでも、化粧シート4の表面を略面一とすることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 床材
2 基材
3 平滑層
4 化粧シート
7 接着層
10 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に化粧シートを設けてなる床材であって、基材の表面には略面一の平滑層が設けられ、化粧シートは接着層を介して前記平滑層に接着されており、前記平滑層は、前記接着層を構成する接着剤を希釈して得られる接着剤を固化させてなるものであることを特徴とする床材。

【図1】
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