説明

床材

【課題】施工時における位置決めを容易にし得るとともに位置ズレを防止し得る床材を提供する。
【解決手段】相対向する両側端部1a,1bに実部2,3を有した床材1であって、矩形状の基板10と、この基板の裏面側に設けられた遮音シート20とを備え、前記基板の相対向する両側端部の一方の側端部11aから前記遮音シートの一側端部21を外方側に向けて突出させる一方、前記基板の他方の側端部12bよりも前記遮音シートの他側端部22を内方側に向けて後退させることで、前記実部を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対向する両側端部に実部を有した床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の床材としては、合板等の基材の表面に表面化粧材を積層し、相対向する両側端部に実部を形成したものが知られている。
例えば、下記特許文献1では、シート状の表層材の裏面に、アクリル系粘着剤を用いた粘着テープを介してポリエチレンの発泡体からなる柔軟なバッカー材を貼着した薄型床材が提案されている。また、この薄型床材は、表層材とバッカー材とをずらせて貼着することで、雄実及び雌実を形成し、また、バッカー材の裏面に剥離紙を有した粘着テープを設けた構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−116004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された薄型床材では、裏面側のバッカー材が軽量であるため、施工時に位置ズレし易く位置決めが困難となる傾向があり、そのため、粘着テープによって床下地に施工する態様とされており、更なる改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、施工時における位置決めを容易にし得るとともに位置ズレを防止し得る床材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る床材は、相対向する両側端部に実部を有した床材であって、矩形状の基板と、この基板の裏面側に設けられた遮音シートとを備え、前記基板の相対向する両側端部の一方の側端部から前記遮音シートの一側端部を外方側に向けて突出させる一方、前記基板の他方の側端部よりも前記遮音シートの他側端部を内方側に向けて後退させることで、前記実部を形成したことを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記基板の前記一方の側端部の表面側縁部に外方側に向けて突出する突片部を形成し、この突片部と前記遮音シートの突出した前記一側端部とによって当該床材の一方の側端部に雌実部を形成する一方、前記基板の前記他方の側端部の表面側縁部に切欠凹所を形成し、この切欠凹所と前記遮音シートの後退した前記他側端部とによって当該床材の他方の側端部に雄実部を形成するようにしてもよい。
また、本発明においては、前記基板を、合成樹脂系材料を主材とする材料で成形してもよい。
また、本発明においては、前記遮音シートの表面に、略全体に亘って強化繊維シートを積層し、この強化繊維シートを介して当該遮音シートを前記基板の裏面に貼着するようにしてもよい。
また、本発明においては、当該床材の厚さ寸法を1.0mm〜3.0mmとしてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る床材は、上述のような構成としたことで、施工時における位置決めが容易に行え、位置ズレを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(c)は、いずれも本発明の一実施形態に係る床材を模式的に示し、(a)は、概略斜視図、(b)は、概略平面図、(c)は、(b)におけるX1−X1線矢視に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
【図2】(a)、(b)は、いずれも本発明の他の実施形態に係る床材を模式的に示し、(a)は、概略平面図、(b)は、(a)におけるX2−X2線矢視に対応させた一部破断概略拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る床材について説明するための概念的な説明図である。
【0011】
本実施形態に係る床材1は、図1(a)、(b)に示すように、平面視して略長方形状とされており、例えば、1尺(303mm)×3尺(909mm)〜6尺(1818mm)程度の略矩形板状体とされている。
この床材1の相対向する幅方向の両側端部1a,1b及び長手方向の両側端部1c,1dには、施工下地4(図1(c)参照)に施工された際に、隣接する床材1同士を連結接合するための接合部としての実部2,3が相対向する側端部のそれぞれに形成されている。
また、この床材1は、矩形状の基板10と、この基板10の裏面側に設けられた遮音シート20とを備えている。
【0012】
一方の実部3は、本実施形態では、基板10の相対向する両側端部の一方の側端部11aから遮音シート20の一側端部21を外方側に向けて突出させて、その一部が形成されている。
他方の実部2は、本実施形態では、基板10の他方の側端部12bよりも遮音シート20の他側端部22を内方側に向けて後退させて、その一部が形成されている。
この実部2,3は、本実施形態では、図1(c)に示すように、隣接する床材1同士が本実接合される実構造とされている。図例では、幅方向の一方の側端部1a(長手方向の一方の側端部1c)に雌実部3を形成し、幅方向の他方の側端部1b(長手方向の他方の側端部1d)に雄実部2を形成した例を示している。
なお、図1(c)では、当該床材1の幅方向の断面形状を図示しているが、長手方向の断面形状も概ね同様の断面形状であるので、括弧内に参照符号を付してその説明を省略する。
【0013】
雄実部2は、基板10の他方の側端部12bの表面側縁部に切欠凹所12aを形成するとともに、遮音シート20の他側端部22を後退させることで形成されている。この雄実部2は、当該床材1の厚さ方向略中央部において、幅方向(長手方向)外方側に向けて突出する突条形状とされている。換言すれば、基板10の他端部12の表面側に切欠凹所12aを形成する一方、その裏面側に他方の側端部12bとなる突片部12bを形成し、後退した遮音シート20の他側端部22と切欠凹所12aとによって、当該床材1の他方の側端部1b(1d)に雄実部2を形成している。
【0014】
雌実部3は、基板10の一方の側端部11aの表面側縁部に外方側に向けて突出する突片部11bを形成するとともに、遮音シート20の一側端部21を突出させることで形成されている。この雌実部3は、当該床材1の厚さ方向略中央部において、幅方向(長手方向)外方側に向けて開口する凹溝形状とされている。換言すれば、基板10の一端部11の裏面側に、一方の側端部11aとなる切欠凹所11aを形成し、この切欠凹所11aと、突出した遮音シート20の一側端部21とによって当該床材1の一方の側端部1a(1c)に雌実部3を形成している。
【0015】
図例では、床材1の一方の側端部1a(1c)の雌実部3は、基板10の一端部11の突片部11bの外方側端面と遮音シート20の一側端部21の外方側端面とを概ね同一平面状とした例を示している。つまり、これら各端面を水平方向(当該床材1の幅方向または長手方向)において概ね一致するような位置関係とした例を示している。また、床材1の他方の側端部1b(1d)の雄実部2は、基板10の他端部12の切欠凹所12aの略垂直状の端面と遮音シート20の他側端部22の外方側端面とを概ね同一平面状とした例を示している。つまり、上記同様、これら各端面を水平方向において概ね一致するような位置関係とした例を示している。これら各端面の位置関係は、このような態様に限られず、本実接合可能なものであれば、これら各端面が水平方向にずれた位置関係とされたものとしてもよい。
【0016】
基板10は、合成樹脂系材料を主材とする材料で成形されており、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉(木質)・プラスチック複合材(WPC)を加工して形成された複合基板とされている。
上記合成樹脂系材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、AS(アクリロニトリルスチレン)、アクリルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
上記木粉としては、例えば、製材工場等で排出される製材屑や、廃木材を破砕、粉砕して得られたもの、合板、MDF、パーティクルボード等のサンダー粉等を用いるようにしてもよい。このような木粉としては、成形性及び分散性の観点から、その平均粒径が、10〜150メッシュ程度のものとしてもよい。
【0017】
上記無機フィラーとしては、アスペクト比(粒子状無機物の直径を厚みで除した値)が10以上の鱗片状の微粒子としてもよく、無機物の種類としては、マイカ、アルミナ、タルク等としてもよい。
上記相溶化剤としては、上記熱可塑性樹脂や上記無機フィラー等の物性に応じて、適宜、選択可能であるが、オレフィン系の熱可塑性樹脂を採用した場合には、マレイン酸変性オレフィン樹脂としてもよい。例えば、ポリプロピレン樹脂を採用した場合には、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂としてもよい。
【0018】
複合基板10は、上記各種の材料を混練して、押出成形によって形成するようにしてもよい。その成形方法としては、例えば、公知の二軸混練押出機を用いて、混練と押出しとを同時に行う押出成形によって成形するようにしてもよく、混練した後に、押出成形によって成形するようにしてもよい。または、カレンダー加工により複合基板10を成形するようにしてもよく、さらには、射出成形によって成形するようにしてもよい。
この複合基板10の厚さ寸法T2(図1(c)参照)は、0.5mm〜2.5mm程度とされている。
なお、複合基板10の表面を化粧面としてもよい。この場合、突板や樹脂化粧シート、紙化粧シート等を貼着したり、または印刷(転写)や塗装を施したりすることで、表面を化粧面とするようにしてもよい。また、表面に凹溝(化粧溝)を形成したり、表面側縁部に面取りを形成したりしてもよい。
【0019】
遮音シート20は、柔軟性を有し、高比重で滑り難いシートであり、例えば、ポリオレフィン系樹脂や塩化ビニル系樹脂、合成ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂等の各種樹脂材料をシート状に加工したものが挙げられる。また、これら各種の樹脂材料に比重を高めるために、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属粉、金属酸化物等の無機粉末(無機フィラー)を混入させてシート状に加工したものが挙げられる。上記のような樹脂材料をシート状に加工したものに限られず、アスファルト系シートとしてもよく、これに上記同様の無機フィラーを混入させたものとしてもよい。
この遮音シート20の厚さ寸法T3(図1(c)参照)は、0.5mm〜2.5mm程度とされたものとしてもよく、また、その面密度が1.7kg/m以上とされたものとしてもよい。このような面密度とされたものとすることで、後記するように比較的に薄型とされた当該床材1の比重を効率的に大きくすることができる。
なお、この遮音シート20は、押出成形やカレンダー加工等によってシート状に形成するようにしてもよい。
【0020】
この遮音シート20の表面23には、本実施形態では、図1(c)に示すように、その略全体に亘って強化繊維シート24が積層されており、この強化繊維シート24を介して当該遮音シート20が基板10の裏面13に貼着されている。
強化繊維シート24は、線膨張係数が比較的小さいガラス繊維や炭素繊維、アラミド繊維、テキサリウム繊維、セラミックス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、バサルト繊維(鉱物繊維)、ケナフ繊維、窒化硼素繊維等の強化繊維をシート状に加工したものとしてもよい。これら強化繊維の一種または二種以上を組み合わせて使用し、シート状に加工したものとしてもよい。また、強化繊維シート24は、このような強化繊維をシート状に形成した不織布としてもよく、または、平織、綾織、朱子織、多軸配向編等により編み込み形成したクロスシートとしてもよい。さらには、編み込み形成したクロスシートに限らず、例えば、ストランドを所定の長さに切断して、ランダム方向に分散させて積層し、結合剤等によってマット状に形成した異方向性(多方向性)のマットシートとしてもよい。このような異方向性のマットシートとする場合は、長繊維の強化繊維とすることが好ましい。または、強化繊維のフィラメント若しくはストランドを一方向若しくは直交する二方向等に方向を揃えて積層して結合剤等でマット状に形成した一方向性若しくは二方向性のマットシートとしてもよい。
【0021】
上記構成とされた複合基板10、遮音シート20及び強化繊維シート24を、適宜の接着剤等によって積層一体化することで、本実施形態に係る床材1が形成される。この際、強化繊維シート24を表面23に積層した遮音シート20と複合基板10とを接着剤等を介して積層一体化するようにしてもよい。または、強化繊維シート24に接着剤等を含浸させ、この強化繊維シート24を、複合基板10と遮音シート20とを積層一体化させる接合手段として機能させるようにしてもよい。
【0022】
このように積層一体化された床材1は、本実施形態では、その厚さ寸法T1(図1(c)参照)が、1.0mm〜3.0mmとされている。図例では、複合基板10の厚さ寸法T2よりも遮音シート20の厚さ寸法T3を小さくした例を示しており、複合基板10の厚さ寸法T2を遮音シート20の厚さ寸法T3の概ね二倍程度とした例を示している。
また、複合基板10の各端部11,12に形成された各突片部11b,12bの厚さ寸法と、各切欠凹所11a,12aの高さ寸法とを概ね同寸法とした例を示している。換言すれば、遮音シート20の厚さ寸法T3を、これら突片部11b,12b及び切欠凹所11a,12aの厚さ寸法(高さ寸法)と概ね同寸法とした例を示している。
なお、強化繊維シート24の厚さ寸法は、複合基板10及び遮音シート20の各厚さ寸法T2,T3よりも小さい寸法とされており、図例では、これらよりも厚さ寸法が十分に小さい寸法とされた例を示している。
【0023】
上記構成とされた本実施形態に係る床材1は、図1(c)に示すように、複数枚の床材1同士を相互に実接合(本実接合)させて、施工下地4に敷設されるようにして施工される。
この床材1の施工下地4への固定は、当該床材1の裏面及び施工下地4の表面の両方または一方に、ウレタン系やエポキシ系の接着剤等を塗布し、接着施工することで固定するようにしてもよい。または、これに代えて若しくは加えて、粘着テープ等の粘着材や、釘等の固定止具によって固定するようにしてもよい。
施工下地4としては、捨て張り合板やコンクリート下地等の床下地に限られず、本実施形態に係る床材1は、上記したように比較的に薄型であるため、既設の床材表面や、床暖房パネルの表面を施工下地4とした場合にも、後記するように好適である。
【0024】
上記構成とされた本実施形態に係る床材1によれば、施工時における位置決めが容易に行え、位置ズレを防止することができる。つまり、床材1の裏面側の遮音シート20は、比較的、高比重であり、また、滑り難いので、位置決めが容易となる。また、これにより、接着剤の硬化前における位置ズレ等を防止できるため、見栄え良く接着施工することができる。
また、実部2,3は、基板10の一方の側端部11aから遮音シート20の一側端部21を外方側に向けて突出させる一方、基板10の他方の側端部12bよりも遮音シート20の他側端部22を内方側に向けて後退させることで形成されている。従って、例えば、積層した後に切削等によって実部を形成する場合と比べて、実部2,3を容易に形成することができる。また、このように実部2,3の一部が遮音シート20によって構成されるため、隣接する床材1同士の実部2,3を接合させる際に、その柔軟性を利用して容易に実接合することができる。
さらに、床材1の裏面側に遮音シート20を設けているので、その柔軟性により施工下地4の凹凸や波打ち等の不陸を吸収できる。
【0025】
また、本実施形態では、実部2,3を本実接合の実構造としている。従って、あいじゃくりの実部とした場合と比べて、施工後における隣接する床材1同士の接合強度を向上させることができ、接合部位における突き上げ等を防止することができる。
さらに、本実施形態では、基板10を、合成樹脂系材料を主材とする材料で成形している。従って、射出成形や押出成形、カレンダー加工等により基板10を容易に成形することができる。特に、本実施形態のように、本実接合の実部2,3を形成するための基板10の各切欠凹所11a,12aを形成する場合においては、射出成形や押出成形等によって基板10の成形時にこれらの両方または一方を形成できるので、加工コストを低減させることができる。
さらにまた、本実施形態では、基板10を、合成樹脂系材料に、木粉等を含有させた木粉(木質)・プラスチック複合材(WPC)から成形されたものとしている。従って、加工性を向上させながらも、木質感を付与することができる。
【0026】
また、本実施形態では、遮音シート20の表面23の略全体に亘って強化繊維シート24を積層している。従って、温湿度の変化等による当該床材1の伸縮等を防止でき、施工後に突き上げが生じたり、床材1同士の接合部位に隙間(いわゆる目スキ)が生じたり、床鳴りが生じたりすることを防止できる。また、温湿度の変化等による伸縮等を防止できるので、床暖房パネル上に仕上げ材として敷設される床材1として好適なものとなる。
【0027】
さらに、本実施形態では、床材1の厚さ寸法T1を、1.0mm〜3.0mmとしている。従って、薄型の床材となり、リフォーム用として、既設の床材上に重ね貼り(重ね施工)することができる。当該床材の厚さ寸法を、上記よりも薄くすれば、実部の形成が困難となる傾向があり、また、施工後における隣接する床材同士の接合強度が低くなる傾向がある。一方、当該床材の厚さ寸法を、上記よりも厚くすれば、既設の床材上に施工した際に、敷居やサッシ枠等の端面に突き付けて施工することが困難となる傾向がある。本実施形態に係る床材1によれば、このようなことがなく、既設の床材上にも見栄え良く施工することができる。
また、上記のような薄型の床材とした場合にも、基板10と遮音シート20との積層により実部2,3を容易に形成することができるので、従来の薄型床材に比べて、施工後における隣接する床材同士の接合強度を向上させることができ、突き上げ等を防止することができる。
さらに、このような薄型の床材1とすることで、床暖房パネルからの伝熱効率を向上させることができ、床暖房パネルの仕上げ材として敷設される床材1としてより好適なものとなる。
【0028】
つまり、本実施形態では、当該床材1を、薄型のものとし、基板10を、合成樹脂系材料を主材とする材料で成形されたものとし、さらに強化繊維シート24を介在させたものとしている。従って、床暖房パネルの仕上げ材として敷設される床材1としてより好適なものとなる。すなわち、木質系材料からなるものとした場合と比べて、伝熱効率を向上させることができる一方、熱膨張が大きくなる傾向があるが、強化繊維シート24によって熱膨張を防止できる。従って、上記構成によれば、伝熱効率を向上させることができるとともに、熱膨張を防止できるので、床暖房パネルの仕上げ材として敷設される床材1としてより好適なものとなる。
【0029】
次に、本発明に係る他の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図2は、第2実施形態に係る床材について説明するための概念的な説明図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
【0030】
本実施形態に係る床材1Aは、実部2A,3A及び基板(複合基板)10Aの形状が上記第1実施形態とは異なる。
実部2A,3Aは、本実施形態では、隣接する床材1A同士があいじゃくり接合される実構造とされている。図例では、幅方向の一方の側端部1Aa(長手方向の一方の側端部1Ac)に雄実部2Aを形成し、幅方向の他方の側端部1Ab(長手方向の他方の側端部1Ad)に雌実部3Aを形成した例を示している。
【0031】
雄実部2Aは、複合基板10Aの一方の側端部11Aから遮音シート20の一側端部21を外方側に向けて突出させることで形成されている。つまり、本実施形態では、この遮音シート20の一側端部21が雄実部2Aとされている。
雌実部3Aは、複合基板10Aの他方の側端部12Aよりも遮音シート20の他側端部22を内方側に向けて後退させることで形成されている。つまり、本実施形態では、この遮音シート20の後退させた他側端部22とその表面側の複合基板10Aの他方の側端部12Aとによって切欠状の雌実部3Aを形成している。
つまり、本実施形態では、複合基板10Aに切欠凹所等を形成しておらず、略平板形状とされた複合基板10Aと遮音シート20とを幅方向及び長手方向にずらすようにしてこれらを積層一体化することで、実部2A,3Aを形成している。
また、図例では、複合基板10Aの厚さ寸法T2と遮音シート20の厚さ寸法T3とを概ね同寸法とした例を示している。
【0032】
上記構成とされた床材1Aは、上記第1実施形態と同様にして、複数枚の床材1A同士を相互に実接合(あいじゃくり接合)させて、施工下地4に敷設されるようにして施工される。
本実施形態に係る床材1Aによれば、上記第1実施形態と概ね同様の効果を奏し、また、上記第1実施形態に係る床材1に比べて、加工コストをより低減できるとともに、効率的に薄型化を図ることができる。
【0033】
なお、上記各実施形態では、合成樹脂系材料を主材とする材料で成形された基板10(10A)として、木粉等を含有する木粉(木質)・プラスチック複合材(WPC)から成形されたものを例示しているが、このような態様に限られない。例えば、木粉等を含有させずに、上記した合成樹脂系材料を板状に加工したものとしてもよい。さらには、基板としては、合板やLVL等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、またはインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板などの木質系材料を板状に加工したものとしてもよい。
また、上記各実施形態では、遮音シート20の表面23の略全体に亘って強化繊維シート24を積層した例を示しているが、このような強化繊維シート24を設けずに、遮音シート20を基板10の裏面13に直接的に貼着する態様としてもよい。さらには、強化繊維シート24に代えて、または加えて、防湿紙等の紙材を基板と遮音シートとの間に介在させるようにしてもよい。
【0034】
さらに、上記各実施形態では、床材1(1A)の厚さ寸法T1を、1.0mm〜3.0mmとした例を示しているが、例えば、0.5mm〜30mm程度としてもよく、さらには、これよりも小さい厚さ寸法または大きい厚さ寸法とされたものとしてもよい。
さらにまた、上記各実施形態では、床材1(1A)の相対向する幅方向及び相対向する長手方向の各両側端部に、実部2,3(2A,3A)を設けた例を示しているが、幅方向両側端部及び長手方向両側端部の一方のみに実部を設けるようにしてもよい。つまり、相対向する二組の両側端部のうちの少なくとも一組の相対向する両側端部に実部を設けるようにすればよい。
また、上記各実施形態では、平面視して略長方形状とされた床材1(1A)を例示しているが、略正方形状とされたものとしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1,1A 床材
1a,1Aa 幅方向の一方の側端部(相対向する側端部)
1b,1Ab 幅方向の他方の側端部(相対向する側端部)
1c,1Ac 長手方向の一方の側端部(相対向する側端部)
1d,1Ad 長手方向の他方の側端部(相対向する側端部)
2,2A 雄実部(実部)
3,3A 雌実部(実部)
10,10A 基板
11a,11A 基板の一方の側端部
11b 突片部
12b,12A 基板の他方の側端部
12a 切欠凹所
13 基板の裏面
20 遮音シート
21 遮音シートの一側端部
22 遮音シートの他側端部
23 遮音シートの表面
24 強化繊維シート
T1 厚さ寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する両側端部に実部を有した床材であって、
矩形状の基板と、この基板の裏面側に設けられた遮音シートとを備え、前記基板の相対向する両側端部の一方の側端部から前記遮音シートの一側端部を外方側に向けて突出させる一方、前記基板の他方の側端部よりも前記遮音シートの他側端部を内方側に向けて後退させることで、前記実部を形成したことを特徴とする床材。
【請求項2】
請求項1において、
前記基板の前記一方の側端部の表面側縁部に外方側に向けて突出する突片部を形成し、この突片部と前記遮音シートの突出した前記一側端部とによって当該床材の一方の側端部に雌実部を形成する一方、
前記基板の前記他方の側端部の表面側縁部に切欠凹所を形成し、この切欠凹所と前記遮音シートの後退した前記他側端部とによって当該床材の他方の側端部に雄実部を形成したことを特徴とする床材。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記基板は、合成樹脂系材料を主材とする材料で成形されていることを特徴とする床材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記遮音シートの表面には、略全体に亘って強化繊維シートが積層されており、この強化繊維シートを介して当該遮音シートが前記基板の裏面に貼着されていることを特徴とする床材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
厚さ寸法が1.0mm〜3.0mmとされていることを特徴とする床材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−7356(P2012−7356A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143493(P2010−143493)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】