説明

床板の防音防振構造体

【目的】本発明は、一般住宅、体育館、講堂等の床面に敷詰める木製床板に関するものであって、木材の振動、騒音を確実に吸収して、床面全体に伝播しないようにすることで、防音防振効果を一層高めることのできる構成簡単な床板の防音防振構造体を得ることを目的としたものである
【構成】木製の平坦な床板部材の裏面側全面に亘り間隔を置いて均一に小孔を多数穿設し、該小孔内にゴム、合成樹脂等よりなる弾性ボールを嵌入配設して先端を床板部材の裏面より突出させ、その裏面全体に上記弾性ボールの先端が食込むように防音防振用のフエルト等の緩衝部材を貼着し、さらには上記床板部材と緩衝部材との間に配設した弾性ボールの突出した先端を覆う不織布を貼着してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般住宅、体育館、講堂等の床面に敷詰める木製床張り用の床板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の木製の床板は帯状の長尺の板部材を合板状に貼合せ、その下面にフエルト等の緩衝部材を貼着し、板部材の側面に形成した接合用の凹凸条で別の床板とを互いに嵌合して床面に敷詰めるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の敷詰められた木製床板は、飛び跳ねたり、物を落したりすると、木製の床板および下面に直接貼着されているフエルト等の緩衝部材でその振動、騒音を吸収するものであるが、完全に吸収できず、かえって床面全体に広がって防音防振効果が十分でなかった。そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、これを解決すべくなされたものであって、木材の振動、騒音を確実に吸収して、床面全体に伝播しないようにすることで、防音防振効果を一層高めることのできる構成簡単な床板の防音防振構造体を得ることを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】これを解決する手段として、本発明は、木製の平坦な床板部材の裏面側全面に亘り間隔を置いて均一に小孔を多数穿設し、該小孔内にゴム、合成樹脂等よりなる弾性ボールを嵌入配設して先端を床板部材の裏面より突出させ、その裏面全体に上記弾性ボールの先端が食込むように防音防振用のフエルト等の緩衝部材を貼着し、さらには上記床板部材と緩衝部材との間に配設した弾性ボールの突出した先端を覆う不織布を貼着してなるものである。
【0005】
【実施例】本発明の構成を図面で示す実施例について以下詳細に説明する。床板部材1は平坦な木製の板材2をベニヤ板状に重ね合わせて厚手の合板とした帯状に形成し、その表面側には平滑面を形成するために仕上げ塗料層3が塗布されている。またその四周側面には床板接合用の凹溝4と凸条5とを夫々対向する側面に形成し、さらに床板部材1の裏面側には全面に亘り間隔を置いて均一の小孔6(例えば12mmφとし、その深さを8mmとする)を多数穿設する。7は弾性ボールであって、ゴム、合成樹脂等よりなり比較的硬質の小径球体(例えば10mmφ)に形成され、上記床板部材1の小孔6に嵌入する。これによりその先端を床板部材1の裏面より2mm程度突出させる。8は不織布であって、上記弾性ボール7が小孔6から脱落しないように床板部材1の裏面全面に接着する。9は防音防振用の緩衝部材であって、比較的厚手のフエルト等よりなり、上記突出した弾性ボール7の先端が食込むように構成され、上記不織布に接着る。
【0006】この様に構成されてるので、この床板部材1を側面に形成した床板接合用の凹溝4と凸条5によって別の床板部材1を互いに接合し、緩衝部材9を下面側にしてコンクリート等の床面10上に敷詰める。これによって、床板部材1上で飛び跳ね或いは物を落す等の衝撃力Pを受けると、まず床板部材1は裏面に突出している弾性ボール7と下面の不織布8を介在して緩衝部材9を押圧するようにさらに食込み、図3の如く上下に圧縮変形してその接合面で衝撃力Pを吸収緩衝すると同時に、緩衝部材9の押圧変形によって吸収緩衝する2段吸収構造で床張り全面に亘って衝撃力が伝播するのを極力阻止され、振動騒音を確実に防止することができる。
【0007】なお、上記実施例に代え、下記の如く構成しても良い。
a.床板部材は帯状の長尺のものに代わり、正方形状、矩形状のものを用いても良い。
b.床板部材は一枚板であっても良い。
c.弾性ボールを嵌入する小孔は升目状に代り、千鳥状等であっても良い。
d.小孔内に不織布を詰めた後、弾性ボールを嵌入して、ボール先端を3mm程度突出することにより、小孔内の不織布によって衝撃力の吸収緩和をさらに高めるようにしても良い。
e.弾性ボールは球状の代わりに円筒状のものであっても良い。
f.小孔内に嵌入する弾性ボールは1個に限らず、複数個連珠状に嵌入しても良い。
【0008】
【発明の効果】以上、実施例について詳述したように、本発明は振動、騒音を伝播し易い木製の床板部材であっても、緩衝部材に食込むように弾性ボールの先端を床板部材より突出させて裏面側全面に亘って均一に配設したので、床板部材の受ける衝撃力は突出した弾性ボールと不織布を介して緩衝部材による2段吸収構造の採用で振動、騒音を吸収し、床張り全面に亘って伝播するのを阻止して防振防音効果を確実に防止することができ、構成簡単な床板を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一部2段に切断した斜視図
【図2】同じく縦断側面図
【図3】同じく作用時の拡大縦断側面図
【符号の説明】
1 床板部材
2 板材
3 塗料層
4 凹溝
5 凸条
6 小孔
7 弾性ボール
8 不織布
9 緩衝部材
10 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】 木製の平坦な床板部材の裏面側全面に亘り間隔を置いて均一に小孔を多数穿設し、該小孔内にゴム、合成樹脂等よりなる弾性ボールを嵌入配設して先端を床板部材の裏面より突出させ、その裏面全体に上記弾性ボールの先端が食込むように防音防振用のフエルト等の緩衝部材を貼着してなることを特徴とする床板の防音防振構造体。
【請求項2】 上記床板部材と緩衝部材との間に配設した弾性ボールの突出した先端を覆う不織布を貼着したことを特徴とする請求項1記載の床板の防音防振構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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