説明

床構造の構築方法

【課題】技術的に容易でかつ床下地材を簡単に設置できる床構造の構築方法を提供することである。
【解決手段】床構造の構築方法は、コンクリートスラブの上面における配管1を覆うように適宜幅の上板7と、該上板7の下面に適宜間隔ごとに設置した支持脚8とからなる被覆体6を不陸調整材10aを介して設置した後、該被覆体6の上面に薄い床下地材11を設置するとともに、該薄い床下地材11の両側に密接させて他の床下地材12をコンクリートスラブ2の上面に不陸調整材10を介して設置することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は床構造の構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集合住宅における床構造は、図7に示すように、コンクリートスラブ17の上面にモルタルなどの不陸調整材18を介して発泡プラスチックス製の床下地材19が密接状に敷き詰められて構成されている。この床下地材19を配管20が設置されたコンクリートスラブ17に設置するには、床下地材19の底面を切り欠いていた。また、その他の床構造としては、例えば特開2006−45887号の発明が知られている。
【特許文献1】特開2006−45887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の床構造は、配管が設置されたコンクリートスラブに床下地材を設置するのに現場で底面を切り欠いていたため、この切り欠きに技術を要し、かつ配管部の床下地材の設置に手間がかかるという問題があった。
【0004】
本願発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、技術的に容易でかつ床下地材を簡単に設置できる床構造の構築方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するための床構造の構築方法は、コンクリートスラブの上面における配管を覆うように適宜幅の上板と、該上板の下面に適宜間隔をもって設置した支持脚とからなる被覆体を設置した後、該被覆体の上面に薄い床下地材を不陸調整材を介して設置するとともに、該薄い床下地材の両側に密接させて他の床下地材をコンクリートスラブの上面に不陸調整材を介して設置することを特徴とする。また被覆体は薄い床下地材の下面に設置されていることを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
床下地材の下面を切り欠くことがないので施工効率が良くなる。また配管設置部だけを独立させたピット仕様とし、上部に施工される床下地材の厚みを考慮したレベル出しができるため被覆体の上部に床下地材を直接張る施工ができる。また被覆体が薄い床下地材の下面に設置されていることから、配管の上に薄い床下地材を設置するだけで、配管部における床下地材の設置ができるので施工が簡単にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明の床構造の構築方法の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。この床構造は集合住宅におけるものであり、コンクリートスラブの上面にモルタルなどの不陸調整材を介して発泡プラスチックス製の床下地材を密接状に敷き詰めて構成されたものである。
【0008】
はじめに、図1に示すように、排水管などの配管1が施工されたコンクリートスラブ2の壁面3にレベル調整のための際根太4を束材5により設置する。次に、図2に示すように、コンクリートスラブ2における配管部に被覆体6を設置して配管1を覆う。
【0009】
この被覆体6は、図3に示すように、合板などの平面矩形の上板7と、この上板7の下面に適宜間隔ごとに設置した支持脚8とからなり、これらの支持脚8間に連結材9が設置され、該連結材9に上板7が接合されている。したがって、この被覆体6が配管1を跨ぐようにして(支持脚8が配管1の両側に位置するように)設置されると、上板7で配管1が覆われて保護される。この被覆体6も支持脚8の下側における不陸調整材10aを介してコンクリートスラブ2の上面に設置され、この不陸調整材10aによって不陸が調整される。この不陸調整材10aはスポンジに接着剤を染み込またものであり、このスポンジで不陸を調整してレベルをとった後に接着剤を固化させて固定するものである。この不陸調整材10aはスポンジなので調整が簡単でかつ何度でも行える。なお、被覆体6の連結材9は支持脚8の内側ではなく、外側にも設置することができる。
【0010】
次に、図4に示すように、この被覆体6の上面に薄い床下地材11を設置して接着剤などで接着する。そして、この薄い床下地材11の両側におけるコンクリートスラブ2に不陸調整材10を介して他の床下地材12を設置して薄い床下地材11に密接させて際根太4によってレベル調整をする。
【0011】
上記の床下地材11、12は発泡樹脂複合体であり、ポリスチレン系樹脂、ポリレオフィン系樹脂、ウレタン系樹脂などの発泡樹脂からなる下部材13と、この下部材13の上面に設置された硬質熱可塑性発泡樹脂の桟木(図示せず)から構成されている。
【0012】
次に、レベル調整されたこれらの床下地材11、12の上面に仕上げ板14を敷き詰めて床構造15を構築すると、配管1が施されたコンクリートスラブ2であっても床下地材11、12の設置が簡単にできる。
【0013】
また図6は他の実施の形態の被覆体16であり、上記の被覆体16が薄い床下地材11の下面に一体的に接着されて形成されたものである。このように被覆体16が薄い床下地材11に一体的に接着されると、被覆体16の設置と同時に床下地材11も設置されるため効率的な施工をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】配管が施工されかつ際根太が設置されたコンクリートスラブの断面図である。
【図2】(1)は配管を覆うように被覆体を設置したコンクリートスラブの断面図、(2)は同平面図である。
【図3】被覆体の斜視図である。
【図4】コンクリートスラブの上面に床下地材を設置した断面図である。
【図5】床下地材の上面に仕上げ板を敷き詰めた断面図である。
【図6】他の実施の形態の被覆体の断面図である。
【図7】従来の床構造の断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1、20 配管
2、17 コンクリートスラブ
3 壁面
4 際根太
5 束材
6、16 被覆体
7 上板
8 支持脚
9 連結材
10、10a、18 不陸調整材
11、12、19 床下地材
13 下部材
14 仕上げ板
15 床構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートスラブの上面における配管を覆うように適宜幅の上板と、該上板の下面に適宜間隔をもって設置した支持脚とからなる被覆体を不陸調整材を介して設置した後、該被覆体の上面に薄い床下地材を設置するとともに、該薄い床下地材の両側に密接させて他の床下地材をコンクリートスラブの上面に不陸調整材を介して設置することを特徴とする床構造の構築方法。
【請求項2】
被覆体は薄い床下地材の下面に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の床構造の構築方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−327290(P2007−327290A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−160772(P2006−160772)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(303059990)油化三昌建材株式会社 (29)
【出願人】(591110333)孝和建商株式会社 (6)
【Fターム(参考)】