説明

床版、プラットホーム及びプラットホームの構築方法

【課題】床版のみを取り替えるだけで容易にドア装置を設置することが可能になる床版を使用して構築されるプラットホームを提供する。
【解決手段】プラットホーム1に可動式ホーム柵2を設置するための高強度のコンクリート材料によって鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成された床版3を使用する。
プラットホーム1は、床版3と、架け渡される床版3を支持する支持部4と、床版3と支持部4とを連結させる連結ボルト5と、床版上に固定される可動式ホーム柵2とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動式ホーム柵やプラットホームスクリーンドアなどのドア装置をプラットホームに設置するための床版、それを使用して構築されるプラットホーム及びプラットホームの構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、線路側の縁部に沿って可動式ホーム柵が設置されたプラットホームが開示されている。また、特許文献1には、線路側に張り出された床版の上に腰壁程度の高さの可動式ホーム柵が取り付けられた構造が開示されている。さらに、特許文献2には、可動式ホーム柵を床版に打ち込まれたアンカーボルトによって固定する構造が開示されている。
【0003】
また、特許文献3には、床から天井までの高さのプラットホームスクリーンドアの柱を、線路側に張り出された床版にアンカーボルトを介して固定する構造が開示されている。
【0004】
特許文献1−3に開示された可動式ホーム柵やプラットホームスクリーンドアなどのドア装置は、金属製のドアや壁及びドアを開閉させるための駆動モータなどを備えているため重量が大きい。
【0005】
このため、最初からドア装置をプラットホームに設置する場合は、この重量に耐えられる強度の床版が鉄筋コンクリートによって構築される。また、ドア装置を固定するためのアンカーボルトが、床版に埋設された鉄筋やPC鋼線に当たることがないように設計がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−184021号公報
【特許文献2】特開2009−143567号公報
【特許文献3】特開平10−16766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、既存のプラットホームにドア装置を設置する場合は、床版がドア装置の荷重を考慮して設計されていないため、耐力の大きい床版に取り替える必要がある。
【0008】
この際、鉄筋コンクリート製の床版によって耐力を上げるようとすると、床版の厚さが既存のものより厚くなる。そして、床版のみを厚くすると、プラットホームの床面の位置が上がって列車との関係で支障が生じるようになる。
【0009】
そこで、この問題を解消するために、線路の高さを上げる又は床版を支える支持部の高さを低くするなどの調整用の工事が必要になるが、これらの工事を供用中の鉄道において実施するには多くの制約があるうえに、工費及び工期が増大するという問題もある。
【0010】
また、鉄筋コンクリートにおける鉄筋は、主構造部材になるため、鉄筋を損傷させたり、切断させたりすると、床版の耐力低下の原因になる。しかしながら、ドア装置を設置するためには、床版に支柱用の穿孔を行わなければならず、鉄筋やPC鋼線の位置を避けて穿孔を行うことが要求される。このため、所望する位置にドア装置を設置することができなくなったり、誤って鉄筋が切断されたりするおそれがある。
【0011】
そこで、本発明は、床版のみを取り替えるだけで容易にドア装置を設置することが可能になる床版、それを使用して構築されるプラットホーム及びプラットホームの構築方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の床版は、プラットホームにドア装置を設置するための床版であって、高強度のコンクリート材料によって鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のプラットホームは、上記床版と、架け渡される前記床版を支持する支持部と、前記床版と前記支持部とを連結させる連結材と、前記床版上に固定されるドア装置とを備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで、前記連結材を通す貫通部を、前記床版の縁部に設けることができる。また、前記支持部の上面はH形鋼材又は溝形鋼材のフランジによって形成され、前記床版の縁部が前記フランジ上に載置され、前記床版及び前記フランジに連続して通された前記連結材によって前記床版と前記支持部とが連結される構成であってもよい。
【0015】
さらに、本発明のプラットホームの構築方法は、上記プラットホームを構築するプラットホームの構築方法であって、前記支持部に前記床版を架け渡す工程と、前記床版の上から前記支持部に向けて連結材を配置して前記床版と前記支持部とを連結する工程と、前記床版に穴を開けて前記ドア装置をその穴を介して固定する工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された本発明の床版は、高強度のコンクリート材料によって形成される。このため、床版を既存の床版の厚さ以下にしてもドア装置の荷重に耐えることができるので、床面高さを変えることなくドア装置が設置されたプラットホームを容易に構築することができる。
【0017】
また、この床版には、鉄筋又はPC鋼線が配置されない。このため、床版の任意の箇所に穿孔することができ、プラットホームの所望する位置にドア装置を取り付けることができる。
【0018】
さらに、鉄筋コンクリートであれば、基準などによって定められた鉄筋のかぶり厚さを確保しなければならないために、床版の縁部に貫通部を設けることができないが、高強度のコンクリート材料によって鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成された床版であれば、縁部であっても貫通部を設けることができる。
【0019】
また、ボルト等の連結材を床版と支持部の上面を形成するフランジとに連続して通して連結させる構成であれば、連結材のせん断力によって床版とフランジとの間のせん断抵抗力を増加させることができる。
【0020】
さらに、鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成された床版であれば、床版を設置した後に鉄筋やPC鋼線の位置を気にすることなくドア装置を設置するための穴を穿孔することができるので、正確な位置に迅速にドア装置を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態のプラットホームの構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の床版の構成を説明する平面図である。
【図3】図1のA−A矢視方向で見た断面図である。
【図4】実施例1の床版と支持部のフランジとの連結構造を説明する図であって、(a)は断面図、(b)は(a)のB−B矢視方向で見た平面図である。
【図5】実施例2の床版と支持部のフランジとの連結構造を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のプラットホーム1の構成を説明する図である。プラットホーム1は、列車が走行する線路11に沿って構築される。
【0023】
このプラットホーム1は、下部構造体となる支持部4と、その上に敷設される複数の床版3,・・・とによって主に構成される。また、床版3,・・・の上にはアスファルトコンクリート等が敷き均された舗装部13が形成されるとともに、線路11側の上層にはノンスリップタイル12や点字ブロックが配置される。
【0024】
支持部4は、支持部4の基礎として設置されるブロック状の土台43,・・・と、その土台43に下部が固定される脚部42,・・・と、脚部42,42間に架け渡される桁部41とによって主に構成される。
【0025】
桁部41は、プラットホーム1の延伸方向に直交する方向に向けて架け渡される。また、桁部41は、図3に示すように、上側のフランジ41aと、それに平行な下側のフランジ41bと、フランジ41a,41b間を繋ぐウエブ41cとを有する断面視略H字形のH形鋼材によって形成される。
【0026】
本実施の形態では、H形鋼材によって形成された桁部41を使って説明するが、これに限定されるものではなく、断面視略C字形の溝形鋼材など別の鋼材によって桁部41を形成することもできる。
【0027】
そして、床版3は、図3に示すように、プラットホーム1の延伸方向に間隔を置いて設置された桁部41,41間に架け渡される。床版3は、平面視略長方形のパネル状に形成されたスラブである。
【0028】
ここで、床版3の外縁近傍を縁部3a,3bと呼ぶ。床版3の短辺側を縁部3a,3aと呼び、長辺側を縁部3b,3bと呼ぶ。そして、床版3の短辺側の縁部3a,3aが、それぞれ桁部41,41のフランジ41a,41a上に載せられる。
【0029】
この床版3は、繊維補強コンクリートやレジンコンクリートなどの高強度のコンクリート材料によって成形される。例えば、高強度の繊維補強コンクリートとしては、特許第3855511号に記載されている金属繊維強化コンクリートが使用できる。
【0030】
この金属繊維強化コンクリートは、セメントと、最大粒度が2mm以下の骨材粒子と、一次粒子粒度が1μm以下のポゾラン反応粒子と、長さが2mm以上で長さと径の比が20以上の金属繊維とを主に含有する。
【0031】
そして、このような金属繊維強化コンクリートの力学特性は、引張強度が12 MPa以上、曲げ強度が25 MPa以上、圧縮強度が150 MPa以上となり、非常に高い強度を示す。また、緻密な成形物になるため、耐久性の高い床版3を形成することができる。
【0032】
一方、レジンコンクリートは、セメントに代えて液状の樹脂を結合材として骨材を結合させたコンクリートである。レジンコンクリートは、樹脂と触媒による重合反応によって高い結合力で短時間に硬化することから、高強度で耐久性に優れた緻密な成形物にすることができる。レジンコンクリートの力学特性は、引張強度が10 MPa以上、曲げ強度が20 MPa以上、圧縮強度が100 MPa以上となる。
【0033】
このような金属繊維強化コンクリートやレジンコンクリートによって床版3を製作するに際しては、通常のコンクリートを使用する場合のように鉄筋を配置する必要がない。また、PC鋼線を配置してプレストレスを導入する必要もない。例えば、床版3は、長辺側の長さを3.0m程度、短辺側の長さを1.0m程度、厚さを100mm程度にしたパネルに成形できる。
【0034】
そして、床版3の短辺側の縁部3a,3aには、図2,3に示すように、桁部41と連結させるための貫通部31が設けられる。本実施の形態では、縁部3aの2箇所に間隔を置いて貫通部31,31が設けられる。
【0035】
この貫通部31は、連結材としての連結ボルト5を装着するための穴である。連結ボルト5は、ボルト51と、ゆるみ止めナット52と、バネ座金52aと、アンカープレート53とによって主に構成される。
【0036】
アンカープレート53及びボルト51の頭部は、貫通部31の上方に形成される平面視が半長円状の切欠部32に収容される。ここで、切欠部32の側方は、図3に示すように開放されている。
【0037】
一方、貫通部31は、切欠部32の下方にボルト51の軸より僅かに大きい内径の円柱状に穿孔される。床版3には、鉄筋又はPC鋼線が配置されていないので、切欠部32や貫通部31を設ける位置は、任意に選定することができる。
【0038】
また、床版3は、強度が高いコンクリート材料によって成形されるため、縁部3aに貫通部31を設けることができる。この貫通部31を設けることができる縁部3aとは、例えば床版3の側面から30mm以上内側の縁と呼べる範囲をいう。例えば、床版3の側面から30mmから70mmくらいの範囲に貫通部31を設けることができる。
【0039】
この貫通部31と連結ボルト5によって、床版3と桁部41とが連結される。図3に示すように床版3の縁部3aが桁部41のフランジ41a上に設置される。
【0040】
このフランジ41aには、ボルト51を通す穴(図示省略)が設けられる。このフランジ41aの穴は、貫通部31の中からそれに連続するように穿孔すればよい。なお、予め穿孔しておいたり、床版3を載せた後に貫通部31と同時に穿孔したりすることもできる。
【0041】
そして、切欠部32に設置されたアンカープレート53と、貫通部31及びフランジ41aの穴に通されたボルト51と、ボルト51に装着されたバネ座金52a及びゆるみ止めナット52とによって、床版3と桁部41とが連結される。
【0042】
次に、本実施の形態の床版3を使ったプラットホーム1の構築方法について説明する。以下では、既設の床版を取り外し、ドア装置としての可動式ホーム柵2の荷重に耐え得る床版3に取り替える場合について説明する。
【0043】
予め工場や作業ヤードなどで上述した金属繊維強化コンクリートを使って床版3を製作する。床版3は、交換される既存の床版と略同じ厚さ又はそれよりも薄く成形される。
【0044】
一方、現場となる駅では、支持部4上に設置されていた既設の床版を撤去する。この撤去作業は、一日又は一晩の作業で交換できる範囲でおこなう。そして、新たな床版3を支持部4の桁部41,41上に吊り降ろす。この際、床版3が交換する既設の床版よりも薄い場合は、スペーサを桁部41,41上に設置しておく。
【0045】
床版3の短辺側の縁部3aは、桁部41のフランジ41aの幅方向中央を越えない領域、図3の右側の桁部41でいえばフランジ41aの左半分の領域に設置される。
【0046】
続いて、床版3の貫通部31とフランジ41aの穴(図示省略)に連結ボルト5を装着する。ここで、貫通部31の穴は、予め設けておく。そして、床版3を設置した後で、その貫通部31からフランジ41aに穴を穿孔する。この方法であれば、床版3や桁部41に設置誤差などがあった場合でも穴が真っ直ぐに連続して形成されるので、ボルト51の挿入を容易におこなうことができる。
【0047】
そして、床版3の上から、縁部3aの切欠部32にアンカープレート53を設置し、貫通部31とフランジ41aの穴にボルト51を通す。一方、フランジ41aの下から、バネ座金52aとゆるみ止めナット52をボルト51の先端に装着し、所定のトルクに達するまで連結ボルト5を締め付ける。
【0048】
このような床版3と桁部41との連結は、図3の左側の桁部41上に示したように、フランジ41aの両側でおこなわれる。このフランジ41a上で側面が対向する二枚の床版3,3間には隙間が開いているので、そこにモルタルを充填して目地部15を形成する。また、モルタルは切欠部32にも充填され、連結ボルト5の頭部周辺に充填部14が形成される。
【0049】
さらに、線路11側の床版3上には、層状にモルタル部13が形成され、その上にノンスリップタイル12が貼り付けられる。そして、可動式ホーム柵2を設置する場所に合わせて支柱を固定するための穴が穿孔され、その穴を使用して可動式ホーム柵2が固定される。
【0050】
このように構成された本実施の形態の床版3は、上述した高強度の金属繊維強化コンクリート等によって形成される。このため、床版3を交換前の既存の床版の厚さ以下にしても可動式ホーム柵2の荷重に耐えることができる。よって、交換前と同じ床面高さのプラットホーム1に容易に可動式ホーム柵2を設置する改修をおこなうことができる。
【0051】
また、この床版3には、鉄筋又はPC鋼線が配置されない。このため、床版3の任意の箇所に穿孔をおこなうことができ、プラットホーム1の所望する位置に可動式ホーム柵2を設置することができる。
【0052】
さらに、鉄筋コンクリートであれば、コンクリート標準示方書(土木学会)などの基準によって定められた鉄筋のかぶり厚さを確保しなければならないために、床版の縁部に貫通部を設けることができないが、金属繊維強化コンクリートによって鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成された床版3であれば、縁部3aであっても貫通部31を設けることができる。
【0053】
また、ボルト51を床版3と桁部41の上面を形成するフランジ41aとに連続して通して締め付ける連結方法であれば、連結ボルト5の締結力によって床版3を強固に桁部41に固定することができる。さらに、ボルト51のせん断力によって床版3とフランジ41aとの間のせん断抵抗力を増加させることができる。
【0054】
また、鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成された床版3であれば、床版3を設置した後に可動式ホーム柵2を設置するための穴を鉄筋やPC鋼線の位置を気にすることなく開けることができるので、正確な位置に迅速に可動式ホーム柵2を配置することができる。すなわち、鉄筋コンクリート製の床版では、鉄筋やPC鋼線を切断しないように穿孔位置の制約を受けることになるが、本実施の形態の床版3を使用する場合には、そのような制約を受けることがない。
【実施例1】
【0055】
以下、前記実施の形態で説明した床版3とは別の形態の床版6について、図4を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
【0056】
この実施例1で説明する床版6は、前記実施の形態で説明した床版3よりも内側の位置に連結ボルト5を装着するための貫通部61が設けられる。なお、床版6の全体形状及び材質については、前記実施の形態の床版3と略同様であり、短辺側の縁部6aと長辺側の縁部6bを有する平面視略長方形のパネル状に形成される。
【0057】
実施例1の床版6にも、縁部6aに複数の貫通部61が設けられる。この貫通部61は、連結材としての連結ボルト5を装着するための穴である。また、貫通部61は、前記実施の形態で説明した貫通部31よりも床版6の側面から内側に離れた位置に設けられる。
【0058】
このため、前記実施の形態では側方が開放された切欠部32が貫通部31の上方に形成されたが、実施例1の貫通部61の上方には截頭円錐を逆さまにした凹部62が形成される。この凹部62には、アンカープレート53及びボルト51の頭部が収容される。
【0059】
このように構成された床版6は、貫通部61を任意の箇所に設けることができる。すなわち、鉄筋又はPC鋼線が配置されていない高強度の金属繊維強化コンクリートによって形成される床版6であれば、床版6の側面近くやそれよりも内部側などの任意の箇所に貫通部61を設けることができる。
【0060】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
【実施例2】
【0061】
以下、前記実施の形態又は実施例1で説明した床版3,6とは別の形態の床版7について、図5を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を付して説明する。
【0062】
前記実施の形態又は実施例1で説明した床版3,6は、内部がすべて金属繊維強化コンクリートで満たされた中実構造であったが、実施例2で説明する床版7には複数のボイド73,・・・が設けられる。ボイド73は、床版7の内部に形成される柱状の空隙である。
【0063】
このようにボイド73,・・・を設けることによって、床版7の厚さを大きくしてもそれに比例して重量が増加するのを抑えることができる。よって、交換前と略同じ厚さで軽量の床版7に形成することができる。
【0064】
このように交換前の厚さと略同じ厚さの床版7に成形すれば、桁部41との間にスペーサを介在させるなどの高さ調整をおこなう必要がない。なお、このような重量の増加を抑えた厚さの調整は、床版の上面や下面にスリットを設けることによってもおこなうことができる。
【0065】
また、この床版7は、縁部7aに設けられる貫通部71の位置が、実施例1で説明した貫通部61よりも床版7の側面からさらに内側に離れた位置に設けられる。
【0066】
さらに、連結材としての連結治具8は、L字形のL型ボルト81と、その頭部に装着されるナット82及び座金83とから主に構成される。L型ボルト81は、垂直に立った部分を下から貫通部71に通すと、水平に向いた部分がフランジ41aの下面に接触可能な形状に形成されている。
【0067】
L型ボルト81は、フランジ41aとの接触箇所において溶接部84によって接合させる。すなわち、床版7を真っ直ぐつき抜けたL型ボルト81は、曲折された水平部分においてフランジ41aに固着される。
【0068】
一方、凹部72内に突出したL型ボルト81の先端にはネジ溝が刻まれており、凹部72内で座金83及びナット82が装着され、ナット82を締め付けることによって床版7と桁部41とが連結される。
【0069】
このように構成された連結治具8を使用する場合は、桁部41に穴を開けなくても床版7と桁部41とを連結することができる。また、L型ボルト81とフランジ41aの接触箇所を溶接によって接合する構成であるため、床版7とフランジ41aとの相対的な位置関係に誤差があったとしても吸収させることが容易にできる。
【0070】
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0071】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0072】
例えば、前記実施の形態では、ドア装置として可動式ホーム柵2を設置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、プラットホームスクリーンドアをドア装置として設置する場合にも本発明は適用できる。
【符号の説明】
【0073】
1 プラットホーム
2 可動式ホーム柵(ドア装置)
3 床版
3a 縁部
31 貫通部
4 支持部
41 桁部
41a フランジ
5 連結ボルト(連結材)
6 床版
6a 縁部
61 貫通部
7 床版
7a 縁部
71 貫通部
8 連結治具(連結材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームにドア装置を設置するための床版であって、
高強度のコンクリート材料によって鉄筋又はPC鋼線を配置することなく形成されることを特徴とする床版。
【請求項2】
請求項1に記載の床版と、架け渡される前記床版を支持する支持部と、前記床版と前記支持部とを連結させる連結材と、前記床版上に固定されるドア装置とを備えたことを特徴とするプラットホーム。
【請求項3】
前記連結材を通す貫通部が、前記床版の縁部に設けられることを特徴とする請求項2に記載のプラットホーム。
【請求項4】
前記支持部の上面はH形鋼材又は溝形鋼材のフランジによって形成され、前記床版の縁部が前記フランジ上に載置され、前記床版及び前記フランジに連続して通された前記連結材によって前記床版と前記支持部とが連結されることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラットホーム。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載のプラットホームを構築するプラットホームの構築方法であって、
前記支持部に前記床版を架け渡す工程と、
前記床版の上から前記支持部に向けて連結材を配置して前記床版と前記支持部とを連結する工程と、
前記床版に穴を開けて前記ドア装置をその穴を介して固定する工程とを備えたことを特徴とするプラットホームの構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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