説明

床用伸縮継手装置および床用伸縮継手製造方法

【課題】 隣合う2つの建物の2つの各躯体が相対的変位しても2つの各躯体間の空隙を塞がれた状態に維持することができ、かつ任意の幅方向寸法でパネルを容易に構築することのできる床用伸縮継手装置および床用伸縮継手製造方法を提供することである。
【解決手段】 床用伸縮継手装置10は、第1縁材13と、第2縁材14と、組立パネル体16とを含んで構成される。組立パネル体16は、複数の連結パネル部材18を有し、連結パネル部材18は、中間基部19と、嵌合凸部21および嵌合凹部22とを有する。中間基部19は、水平方向Xに延びて形成される。嵌合凸部21および嵌合凹部22は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部21および嵌合凹部22は、中間基部19に関して互いに幅方向反対側に、中間基部19に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣合う2つの建物の2つの各躯体間に目地空間などとして存在する空隙を塞がれた状態に維持する床用伸縮継手装置および床用伸縮継手製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な従来技術は、たとえば特許文献1にアルミニウム製中空パネル連結装置として開示されている。この従来技術では、相互に嵌合可能な嵌合構造を有する嵌合凸部と嵌合凹部とが、中空の基部の幅方向両側部にそれぞれ設けられる複数のパネル部材が提案されている。
【0003】
嵌合凸部は、前記基部の幅方向一側部から突出し、一対の第1の接続脚を有する。各第1の接続脚は、先端部に係止爪が形成される。
【0004】
嵌合凹部は、前記基部の幅方向他側部から突出し、一対の第2の接続脚と、係止突起とを有する。一対の第2の接続脚は、前記第1の接続脚よりも厚み方向の外側で、前記基部から幅方向他側に突出する。係止突起は、各第2の接続脚の基端部から、基部の厚み方向の内側に向けて突出する。
【0005】
隣接する2つのパネル部材が互いに嵌合するときには、嵌合凸部が嵌合凹部に嵌合した状態で、第1の接続脚の先端部に設けられる各係止爪が、隣接するパネル部材の第2の接続脚の基端部に形成される各係止突起に内側から係合して係止される。これによって、複数のパネル部材が幅方向に平行に整列した状態で、隣接する嵌合凸部と嵌合凹部とが互いに嵌合し、抜け止めされた状態となり、幅方向に所定の長さを有する平坦なパネル本体を構築する。
【0006】
このような従来技術に類似するパネル部材を幅方向に連結した状態で、互いに嵌合した嵌合凸部と嵌合凹部との間のがたつきを防止するために、第1の接続脚の先端部に設けられる係止爪には、幅方向に垂直または幅方向に対して垂直に近い角度を成す係止面を形成し、第2の接続脚の基端部に設けられる係止突起には、幅方向に垂直または幅方向に対して垂直に近い角度を成す急斜面を形成する技術が提案されている(たとえば特許文献2参照)。係止爪における係止面は、およそ幅方向一方に臨み、係止突起に形成される急斜面は、およそ幅方向他方に臨み、急斜面と係止面とは、互いに対向する。これによって嵌合状態のがたつきを防止し、パネルの縦方向および横方向の動きを完全に阻止する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭61−2141号公報
【特許文献2】実公平2−4171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術では、パネルの縦方向および横方向の動きは完全に阻止され、パネルは緊結されるので、たとえば地震などによって2つの建物が互いに相対変位し、2つの各躯体間の空隙の離隔方向寸法が変化した場合に、床用伸縮継手が破損する危険を低減することができないという問題点がある。また床用伸縮継手の機械的強度を確保するために、パネルを一体成形すると、パネルの材料の搬入が困難になり、パネルの構築を容易に行うことができないという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、隣合う2つの建物の2つの各躯体が相対的変位しても2つの各躯体間の空隙を塞がれた状態に維持することができ、かつ任意の幅方向寸法でパネルを容易に構築することのできる床用伸縮継手装置および床用伸縮継手製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、空隙をあけて水平方向に隣合う2つの建物における、前記建物の互いに対向する2つの各躯体の一方に固定され、前記水平方向に垂直かつ水平な幅方向に延びて設けられる第1縁材と、
前記2つの各躯体の他方に、前記第1縁材と平行に固定され、前記幅方向に延びて設けられる第2縁材と、
前記第1および第2縁材間にわたる水平方向一端部が、前記第1縁材に、幅方向に平行な回動軸線まわりに角変位自在に係止され、前記水平方向他端部が、前記第2縁材に対して水平方向に移動自在に、前記第2縁材上に支持される組立パネル体とを含み、
前記組立パネル体は、
前記水平方向に延びて形成される中間基部と、相互に嵌合可能な嵌合凸部および嵌合凹部とを有する連結パネル部材であって、
前記嵌合凸部および前記嵌合凹部が、前記中間基部に関して互いに幅方向反対側に、前記中間基部に設けられる複数の連結パネル部材を有することを特徴とする床用伸縮継手装置である。
【0011】
また本発明は、前記組立パネル体は、前記中間基部の幅方向寸法が互いに異なる複数種類の連結パネル部材を有することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記組立パネル体は、
前記連結パネル部材に連結可能な凸部側パネル部材であって、前記水平方向に延びて形成される凸部側基部と、前記嵌合凸部に嵌合可能な凸部側凹部とを有し、凸部側基部と凸部側凹部とが幅方向に互いに連続して形成される凸部側パネル部材と、
前記連結パネル部材に連結可能な凹部側パネル部材であって、前記水平方向に延びて形成される凹部側基部と、前記嵌合凹部に嵌合可能な凹部側凸部とを有し、凹部側基部と凹部側凸部とが幅方向に互いに連続して形成される凹部側パネル部材を有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記凸部側パネル部材は、前記凸部側基部に関して凸部側凹部とは反対側に、凸部側基部に連続して設けられ、内部空間を形成する凸部側空間形成部をさらに有し、
前記組立パネル体は、
前記凸部側空間形成部に挿入可能に形成され、凸部側空間形成部に少なくとも一部が挿入された状態で凸部側パネルに対して幅方向に変位可能な凸部側挿入部材をさらに有することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記凸部側パネル部材および前記凹部側パネル部材のうち少なくともいずれか一方は、前記水平方向に垂直な断面形状が上方に開口する凹形状に形成される溝部を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記凸部側挿入部材は、前記水平方向に垂直な断面形状が上方に開口する凹形状に形成される排水溝部を有することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、空隙をあけて水平方向に隣合う2つの建物における、前記建物の互いに対向する2つの各躯体の一方に固定され、前記水平方向に垂直かつ水平な幅方向に延びて形成される第1縁材を位置決めする第1縁材位置決め工程と、
前記2つの各躯体の他方に前記第1縁材と平行に固定され、前記幅方向に延びて形成される第2縁材を設置する第2縁材設置工程と、
前記第1および第2縁材間にわたる水平方向一端部が、前記第1縁材に、幅方向に平行な回動軸線まわりに角変位自在に係止され、前記水平方向他端部が、前記第2縁材に対して水平方向に移動自在に、前記第2縁材上に支持される組立パネル体を設置する組立パネル体設置工程と、
組立パネル体が第1縁材に係合した状態で第1縁材を形成する第1縁材形成工程とを含み、
前記組立パネル体設置工程では、
前記水平方向に延びて形成される中間基部と、相互に嵌合可能な嵌合凸部および嵌合凹部とを有する組立用連結パネル部材であって、
前記嵌合凸部および前記嵌合凹部が、前記中間基部に関して互いに幅方向反対側に、前記中間基部に設けられ、
前記中間基部の幅方向寸法が互いに異なる複数種類の組立用連結パネル部材のうちから選択された連結パネル部材によって、組立パネル体を構成することを特徴とする床用伸縮継手製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、組立パネル体は、複数の連結パネル部材を有し、連結パネル部材は、中間基部と、嵌合凸部および嵌合凹部とを有する。中間基部は、水平方向に延びて形成される。嵌合凸部および嵌合凹部は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部および嵌合凹部は、中間基部に関して互いに幅方向反対側に、中間基部に設けられる。
【0018】
これによって、たとえば地震などによって2つの建物が互いに相対変位し、2つの各躯体間の空隙の水平方向寸法が変化しても、2つの各躯体の相対変位を許容しながら、組立パネル体による2つの各躯体間の連結を維持することができる。したがって、組立パネル体が破損することを防止することができる。また連結パネル部材の個数を変更することで、幅方向寸法の異なる組立パネル体とすることができる。さらに組立パネル体を1つの部材によって形成する場合に比べて、組立パネル体の材料の搬入を容易にすることができる。
【0019】
また本発明によれば、組立パネル体は、複数種類の連結パネル部材を有し、複数種類の連結パネル部材は、中間基部の幅方向寸法が互いに異なる。これによって、任意の幅方向寸法の組立パネルを容易に構築することができる。
【0020】
また本発明によれば、組立パネル体は、凸部側パネル部材と、凹部側パネル部材とを有する。凸部側パネル部材は、連結パネル部材に連結可能であり、凸部側基部と、凸部側凹部とを有する。凸部側基部は、水平方向に延びて形成され、凸部側凹部は、嵌合凸部に嵌合可能である。凸部側パネル部材では、凸部側基部と凸部側凹部とが幅方向に互いに連続して形成される。凹部側パネル部材は、連結パネル部材に連結可能であり、凹部側基部と凹部側凸部とを有する。凹部側基部は、水平方向に延びて形成され、凹部側凸部は、嵌合凹部に嵌合可能である。凹部側パネル部材では、凹部側基部と凹部側凸部とが幅方向に互いに連続して形成される。
【0021】
これによって、組立パネル体のうち、幅方向両端に向けて開口する連結パネル部材の嵌合凸部および嵌合凹部を塞ぐことができる。またこれによって、組立パネル体のうち、幅方向両端部の位置に、連結パネル部材とは形状または寸法の異なる部材を配置することができる。
【0022】
また本発明によれば、凸部側パネル部材は、凸部側空間形成部をさらに有する。凸部側空間形成部は、凸部側基部に関して凸部側凹部とは反対側に、凸部側基部に連続して設けられ、内部空間を形成する。組立パネル体は、凸部側挿入部材をさらに有する。凸部側挿入部材は、凸部側空間形成部に少なくとも一部が挿入された状態で、凸部側パネルに対して幅方向に変位可能である。これによって、組立パネル体の幅方向寸法を、微調整することができる。
【0023】
また本発明によれば、凸部側パネル部材および凹部側パネル部材のうち少なくともいずれか一方は、溝部を有する。溝部は、水平方向に垂直な断面形状が上方に開口する凹形状に形成される。これによって、溝部に規定される空間に流れ込む液体を流し去る流路を構成することができ、排水することができる。
【0024】
また本発明によれば、凸部側挿入部材は、排水溝部を有する。排水溝部は、水平方向に垂直な断面形状が上方に開口する凹形状に形成される。これによって、排水溝部に規定される空間に流れ込む液体を流し去る流路を構成することができ、排水することができる。
【0025】
また本発明によれば、組立パネル体設置工程では、複数種類の組立用連結パネル部材のうちから選択された連結パネル部材によって、組立パネル体を構成する。組立用連結パネル部材は、中間基部と嵌合凸部および嵌合凹部とを有する。中間基部は、水平方向に延びて形成され、嵌合凸部および嵌合凹部は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部および嵌合凹部は、中間基部に関して互いに幅方向反対側に、中間基部に設けられる。複数種類の組立用連結パネル部材は、中間基部の幅方向寸法が互いに異なる。
【0026】
これによって、たとえば地震などによって2つの建物が互いに相対変位し、2つの各躯体間の空隙の水平方向寸法が変化しても、2つの各躯体の相対変位を許容しながら、2つの各躯体間の連結を維持することのできる床用伸縮継手装置を提供することができる。したがって、床用伸縮継手装置が破損することを防止することができる。また連結パネル部材の個数および種類を変更することで、幅方向寸法の異なる組立パネル体とすることができる。また組立パネル体を1つの部材によって形成する場合に比べて、組立パネル体の材料の搬入を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10の幅方向Yに垂直な断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10の隔離方向Xに垂直な断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10の平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態における第1縁材13を幅方向Yに垂直な仮想平面で切断して見た断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態における第2縁材14を幅方向Yに垂直な仮想平面で切断して見た断面図である。
【図6】本発明の実施形態における組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部の、幅方向Yに垂直な断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態における連結パネル部材18の断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態における他の種類の連結パネル部材18の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態における嵌合凸部21および嵌合凹部22の断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態における組立パネル体16の幅方向他方Y2の端部の断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手製造方法の工程を表すフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態における凸部側パネル部材86および凸部側挿入部材93の断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態における凹部側パネル部材81の断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態における凸部側パネル部材86から、凸部側挿入部材93が引き出された状態を表す断面図である。
【図15】本発明の第3実施形態における凸部側連結部材111の断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態における凹部側連結部材118の断面図である。
【図17】本発明の第4実施形態における凹部側パネル部材81の断面図である。
【図18】本発明の第4実施形態における凸部側パネル部材86の断面図である。
【図19】本発明の第5実施形態における凸部側パネル部材86から、凸部側挿入部材93が引き出された状態を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態について、説明する。以下の説明においては、各形態に先行する形態ですでに説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略す場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。またそれぞれの実施形態は、本発明に係る技術を具体化するために例示するものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明に係る技術内容は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。以下の説明は、床用伸縮継手装置10、床用伸縮継手製造方法についての説明をも含む。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10の幅方向Yに垂直な断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10の隔離方向Xに垂直な断面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10の平面図である。図1は、図3に示す、幅方向Yに垂直な切断面線S1−S1で床用伸縮継手装置10を切断して見た断面図であり、図2は、図3に示す、離隔方向Xに垂直な切断面線S2−S2で床用伸縮継手装置10を切断して見た断面図である。
【0030】
本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10は、隣合う2つの建物の2つの各躯体間に目地空間などとして存在する空隙を塞がれた状態に維持する。2つの躯体は、互いに数十センチメートル(centimeters, 略号「cm」)〜1メートル(meter, 略号「m」)程度離れており、これらの躯体は、空隙に臨んで配置され、2つの躯体のうち一方の躯体11と他方の躯体12とは、互いに対向している。これら互いに対向する2つの各躯体を結ぶ直線の方向を「離隔方向」(X)と称する。
【0031】
これら躯体間の空隙には、床用伸縮継手装置10が渡され、これによって2つの建物間は、利用者が移動可能となる。換言すれば、床用伸縮継手装置10は、2つの建物間を結ぶ廊下の床を形成し、床用伸縮継手装置10の上面、具体的には組立パネル体16の上面が、建物としての床面を成す。
【0032】
床用伸縮継手装置10は、第1縁材13と、第2縁材14と、組立パネル体16とを含んで構成される。第1縁材13は、空隙をあけて水平方向に隣合う2つの建物において、これら建物の互いに対向する2つの各躯体の一方に固定され、前記水平方向に垂直かつ水平な幅方向Yに延びて設けられる。第2縁材14は、2つの躯体の他方に、第1縁材13と平行に固定され、幅方向Yに延びて設けられる。本実施形態において、「水平」は略水平を含むものとし、「略水平」は平滑なアルミニウム板材の表面上に大量の水が付着した場合に、水の自重に基づいて、表面の面方向のいずれかの向きに水が移動可能な程度の、最小限度の角度を成す範囲を含むものとする。具体的には、1度以内の角度を「水平」とする。2つの建物が離隔している前記水平方向は、すなわち離隔方向Xである。
【0033】
組立パネル体16は、第1および第2縁材13,14間にわたる離隔方向一端部が、第1縁材13に、幅方向Yに平行な回動軸線17まわりに角変位自在に係止され、前記離隔方向他端部が、第2縁材14上で離隔方向Xに移動自在に、第2縁材14に支持される。また組立パネル体16は、複数の連結パネル部材18を有し、連結パネル部材18は、中間基部19と、嵌合凸部21および嵌合凹部22とを有する。中間基部19は、離隔方向Xに延びて形成される。嵌合凸部21および嵌合凹部22は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部21および嵌合凹部22は、中間基部19に関して互いに幅方向Y反対側に、中間基部19に設けられる。
【0034】
2つの躯体間の空隙には、床用伸縮継手装置10とともに、床用伸縮継手装置10とは垂直に設けられる壁材が設けられる。組立パネル体16の離隔方向X中間部には、組立パネル体16の過大な上昇および角変位などの浮き上がりを防止する浮き上がり防止部材24が、図示しない壁材に取付けて設けられる。これによって、たとえば床用伸縮継手装置10および壁材よりも外方からの風などによって、組立パネル体16に対して下方から圧力が付与された場合にも、組立パネル体16が浮き上がることが防止される。
【0035】
組立パネル体16に含まれる各連結パネル部材18は、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの押出し成形材によって長手形状に形成され、長手方向を離隔方向Xに一致させて配置される。複数の連結パネル部材18は、幅方向Yに並んで配置され、幅方向Yに隣合う2つの連結パネル部材18は、互いに連結されている。各連結パネル部材18の嵌合凸部21および嵌合凹部22は、連結パネル部材18の離隔方向Xの長さ全体にわたって形成され、嵌合凸部21および嵌合凹部22の離隔方向Xに垂直な断面形状は、離隔方向Xの長さ全体にわたって一様に形成される。
【0036】
各連結パネル部材18の嵌合凸部21は、中間基部19よりも幅方向Yのいずれの側に向けられてもよいけれども、1つの組立パネル体16に含まれる全ての連結パネル部材18において各嵌合凸部21は、各中間基部19よりも幅方向Y同じ側に向けられる。本実施形態では、各嵌合凸部21は各中間基部19よりも幅方向一方Y1に向けて配置されるものとする。したがって、各嵌合凹部22は、各中間基部19よりも幅方向他方Y2に向けて配置される。
【0037】
組立パネル体16は、複数種類の連結パネル部材18を有し、複数種類の連結パネル部材18は、中間基部19の幅方向寸法が互いに異なる。連結パネル部材18の離隔方向Xの寸法は、いずれも同じ寸法に設定され、建物間の間隔よりも長く、たとえば1250ミリメートル(millimeters, 略号「mm」)に設定される。連結パネル部材18のうち嵌合凸部21および嵌合凹部22は、いずれの連結パネル部材18においても同じ形状および同じ寸法に形成される。また連結パネル部材18は、中空の部材として形成され、中間基部19の内方には内部空間が形成される。隣接する連結パネル部材18は、嵌合凸部21および嵌合凹部22が互いに嵌合することによって、一体的に連結される。
【0038】
第1縁材13および第2縁材14は、一方および他方のいずれの建物に設けられてもよいけれども、第1縁材13が設けられる建物と第2縁材14が設けられる建物とは、互いに離隔している。本実施形態では、第1縁材13は一方の躯体11に、第2縁材14は他方の建物の躯体に、それぞれアンカーボルト26によって締結され、設けられるものとする。離隔方向Xのうち、他方の躯体12から一方の躯体11に向かう向きを「離隔方向一方」(X1)と称し、離隔方向Xのうち離隔方向一方X1とは反対の向きを「離隔方向他方」(X2)と称する。
【0039】
第1縁材13は、一方の躯体11のうち、離隔方向他方X2の端部近傍に設けられる。これに対し第2縁材14は、他方の躯体12のうち、離隔方向一方X1の端部から離隔方向他方X2に数十cm奥まった位置に設けられる。他方の躯体12の離隔方向一方X1の端部から第2縁材14までの躯体の上方Z1表面は、下地材27および補助支持材28によって覆われる。下地材27は、複数のライニングプレートから成り、補助支持材28は、複数の補助支持部材から成る。各補助支持部材は、中空の角パイプとフランジ32が一体化した形状の部材である。下地材27および各補助支持部材は、アンカーボルト26によって躯体に締結されており、たとえばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの押出し成形材によって形成されている。
【0040】
補助支持材28は、他方の躯体12のうち最も離隔方向一方X1の端部近傍に設けられ、幅方向Yに延びて形成され、連結パネル部材18の離隔方向X中間部を補助的に支持する幅方向支持部材33と、中間補助支持部材の直近から第2縁材14の直近まで離隔方向Xに延びて形成される複数の離隔方向支持部材34とを含む。複数の連結パネル部材18を含む組立パネル体16は、基本的にはその離隔方向X両端部の近傍に配置される第1および第2縁材13,14によって支持され、幅方向支持部材33および離隔方向支持部材34を含む補助支持材28は、組立パネル体16を補助的に支持する。これによって、組立パネル体16に対して上方Z1から荷重が作用した場合にも、組立パネル体16がたわむことを防止することができる。
【0041】
組立パネル体16の離隔方向Xの長さは、2つの建物間の離隔距離L、すなわち離隔方向Xの空隙の大きさのおよそ2倍であるので、幅方向支持部材33は、連結パネル部材18のおよそ中央部を補助的に支持する。離隔方向支持部材34は、本実施形態では、組立パネル体16の幅方向Y両端部近傍と、これらの間にさらに2つ配置され、したがって、4つの離隔方向支持部材34が設けられる。
【0042】
地震などによって一方および他方の建物の離隔距離Lが拡大し、組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部が第2縁材14よりも離隔方向一方X1に移動した場合にも、組立パネル体16は、補助支持材28によって支持される。これによって、組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部の高さ方向の位置は、2つの建物間の離隔距離Lに関わらず、組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部が第2縁材14上に位置しているときの高さ方向の位置と同じに保たれる。
【0043】
図4は、本発明の第1実施形態における第1縁材13を幅方向Yに垂直な仮想平面で切断して見た断面図である。第1縁材13のうち離隔方向一方X1の部分は、上面が建物内の床面を成しており、この上面と組立パネル体16の上面とは、一平面内に配置される。第1縁材13のうち離隔方向他方X2の一部には、係合部が形成され、係合部には、組立パネル体16の離隔方向一方X1の端部が係合する。係合部には、離隔方向他方X2に向けてくぼむ係合凹部38が形成され、係合凹部38の内部空間を上方Z1は、係合凹部38のうち離隔方向一方X1に突出する突出片によって規定される。組立パネル体16の離隔方向一方X1の端部には、係合凹部38に係合するための係止部39が形成される。係止部39は、係止片を含んで形成され、係止片は、離隔方向他方X2に向けて突出して形成され、係合凹部38の内部空間内に配置される。この状態で係合凹部38と係止部39とが係合する。
【0044】
係合凹部38は、幅方向Yに延びる第1縁材13の全体にわたって形成される。係止部39は、連結パネルの離隔方向一方X1の端部に接続して設けられ、本実施形態では、組立パネル体16の幅方向Yの長さ全体にわたって1つの部材として形成されるけれども、2つ以上の部材によって形成されてもよい。
【0045】
第1縁材13は、蓋体42を有し、蓋体42は、第1縁材13のうち上方Z1の表面部を成しており、係合凹部38を成す部材に対してねじ部材44によって着脱可能である。蓋体42の少なくとも一部は、係合凹部38に係止部39が進入した状態で、係止部39に対して離隔方向一方X1側から近接して配置される。これによって、第1縁材13と連結パネルとが幅方向Yに垂直な仮想平面内で相対変位するときには、係止部39と係合凹部38との係合は、はずれることはない。このような構成によって、一方の躯体11に固定される第1縁材13に対して組立パネル体16は、係合凹部38および係止片を中心に角変位することが許容され、かつ組立パネル体16が第1縁材13から外れることを防止することができる。
【0046】
図5は、本発明の第1実施形態における第2縁材14を幅方向Yに垂直な仮想平面で切断して見た断面図である。図5には、組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部も合わせて示している。組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部には、組立パネル体16の幅方向Yの長さ全体にわたってヒンジ部46および補助カバー体48が設けられる。補助カバー体48は、ヒンジ部46を介して連結パネル部材18に接続されており、連結パネル部材18に対して角変位可能に設けられる。補助カバー体48は、ヒンジ片49を有し、ヒンジ片49およびヒンジ部46は、幅方向Yに延びる共通した角変位軸線51を有し、補助カバー体48は、この角変位軸線51まわりに角変位自在である。補助カバー体48の重心は、角変位軸線51の離隔方向Xの位置よりも、離隔方向他方X2に位置している。
【0047】
ヒンジ片49は、補助カバーおよびヒンジ部46のように長尺の部材として形成されてもよいけれども、本実施形態では、幅方向寸法が組立パネル体16の幅方向寸法よりも短い短尺の部材として形成される。このヒンジ片49は、幅方向Yに延びる補助カバー体48において、複数設けられ、いずれのヒンジ片49も幅方向Yに延びる共通した角変位軸線51まわりに角変位が許容される。
【0048】
組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部は、ヒンジ部46が第2縁材14に上方Z1から接触することによって、第2縁材14に支持される。第2縁材14は、通常の状態でヒンジ部46に接触する当接部52と、水平な平面に対して傾斜する傾斜部54とを有する。当接部52には上方Z1に臨む水平な載置面56が形成され、傾斜部54には、当接部52から離隔方向他方X2に向かうにつれて上方Z1に傾斜する傾斜面57が形成される。載置面56と傾斜面57とは、隣合って連続している。
【0049】
たとえば地震などが起こらず、2つの建物の離隔距離Lが予め定める距離で安定しているときには、ヒンジ部46は、第2縁材14の当接部52の載置面56上に載置されている。この状態でヒンジ部46は、当接部52に直接接触してもよいけれども、載置面上には、フィルム66を配置し、ヒンジ部46がフィルム66を介して載置面56上に載置される構成とすることも可能である。
【0050】
この状態から、たとえば地震などによって2つの建物間の離隔距離Lが拡大したときには、ヒンジ部46は、当接部52よりも離隔方向一方X1に移動し、再度2つの建物の離隔距離Lが通常の状態に戻るときには、ヒンジ部46は再び当接部52に乗る。ヒンジ部46が当接部52よりも離隔方向一方X1に変位したときには、離隔方向支持部材34によって、ヒンジ部46が下方Z2に変位することは阻止され、たわみなどによって、ヒンジ部46が載置面56よりも下方Z2に変位することはない。
【0051】
図6は、本発明の実施形態における組立パネル体16の離隔方向他方X2の端部の、幅方向Yに垂直な断面図である。図6には、2つの建物間の離隔距離Lが予め定める距離よりも短くなったときの様子を示している。2つの建物間の離隔距離Lが予め定める距離よりも短くなったときには、ヒンジ部46は当接部52よりも離隔方向他方X2に変位する。この場合には、ヒンジ部46が傾斜部54に形成される傾斜面57に接触し、これに乗り上げることによって組立パネル体16は、傾斜部54に乗り上げる。
【0052】
これによって、地震などによって2つの建物間の離隔距離Lが予め定める距離よりも短くなったときにはヒンジ部46が傾斜部54よりも上方Z1に移動するので、組立パネル体16が、離隔方向Xに圧縮する向きの外力によって曲がったり座屈したりすることは防止される。また組立パネル体16は、その離隔方向一方X1の端部に位置する回動軸線17まわりに角変位が許容されるので、組立パネル体16の一部が傾斜部54よりも上方Z1に乗り上げることによって、組立パネル体16が破損することはない。
【0053】
組立パネル体16のヒンジ部46が第2縁材14の傾斜部54よりも上方Z1に変位した場合には、第2縁材14よりも離隔方向他方X2に位置する床面に対し、ヒンジ部46が浮き上がった状態となる。第2縁材14よりも離隔方向他方X2の、他方の躯体12の床面を、「躯体床面」(58)と称すると、ヒンジ部46が傾斜部54に乗り上げた状態では、ヒンジ部46と躯体床面58との間には、段差が生じる。補助カバー体48は、ヒンジ部46と躯体床面58との間に生じる段差を塞ぐ。補助カバー体48は、ヒンジ片49を介して自重に基づいて角変位し、ヒンジ部46の上方Z1から躯体床面58に至るまでの範囲に斜面を形成する。斜面は、離隔方向他方X2に向かうにつれて下方Z2に傾斜しており、これによって段差に基づく通行障害を緩和する。
【0054】
補助カバー体48が自重に基づいて角変位したときに、段差が小さければ補助カバー体48の離隔方向他方X2の端部が躯体床面58に接触することによって、それ以上の角変位は阻止される。段差が大きい場合には、ヒンジ片49の一部が、ヒンジ部46またはヒンジ部46を連結パネル部材18に取り付けているねじ部材44などに接触することによって、補助カバー体48のそれ以上の角変位は阻止される。これによって補助カバー体48が鉛直となる状態にまで角変位することはない。したがって、地震などによって2つの建物間の離隔距離Lが拡大および縮小を繰返し、ヒンジ部46と建物床面との段差が拡大および縮小しても、補助カバー体48が連結パネル部材18よりも下方Z2に巻き込まれた状態となってしまうことを防止することができる。
【0055】
図7は、本発明の第1実施形態における連結パネル部材18の断面図である。図8は、本発明の第1実施形態における他の種類の連結パネル部材18の断面図である。図7および図8には、連結パネル部材18の離隔方向Xに垂直な断面を示している。連結パネル部材18において中間基部19の幅方向寸法は、連結パネル部材18の種類によって異なる。図7には、中間基部19と嵌合凹部22とを合わせた幅方向寸法Wが125mmである種類の連結パネル部材18を示しており、図8には、中間基部19と嵌合凹部22とを合わせた幅方向寸法Wが150mmである種類の連結パネル部材18を示している。
【0056】
中間基部19には内部空間が形成され、内部空間は1つまたは複数の仕切壁62によって幅方向Yに仕切られている。仕切壁62は、中間基部19の離隔方向Xの全体の長さにわたって形成されており、中間基部19の上方Z1の平板状の部分から下方Z2の平板状の部分までを連結する形状に形成されている。これによって仕切壁62は、中間基部19の曲げに対する機械的強度を補強している。中間基部19には、少なくとも1つのねじ孔突起63が形成される。ねじ孔突起63は、本実施形態では、断面がおよそC形に形成され、中間基部19の内部空間内に幅方向一方Y1に突出して形成され、離隔方向Xに延びる内部空間を形成する。
第1縁材13の係合凹部38に係合する組立パネル体16の係止部39を、連結パネル部材18に取り付けるとき、および組立パネル体16の離隔方向他方X2においてヒンジ部46を連結パネル部材18に取り付けるときには、ビス、木ねじなどのねじ部材44をねじ孔突起63に螺合させることによって、取り付けが行われる。中間基部19の幅方向寸法が小さい種類の連結パネル部材18を用意すれば、最も小さく設定される中間基部19の幅方向寸法が小さければ小さいほど、組立パネル体16の幅方向寸法として多くの種類の幅方向寸法を実現することができる。複数種類の連結パネル部材18のうち、最も小さく設定される中間基部19の幅方向寸法は、100mm以下に設定される。
【0057】
図7に示すように、補助支持材28の上面には、樹脂製のフィルム66が形成される。これによって、組立パネル体16が補助支持材28に接触するときには、衝突を緩和し、組立パネル体16が補助支持材28に対して摺動するときには、摩擦を緩和する。補助支持材28のうち幅方向支持部材33は、幅方向Yにわたって全ての連結パネル部材18の下方Z2に配置されるけれども、離隔方向支持部材34は、全ての連結パネル部材18に対応して配置される必要はない。連結パネル部材18は、嵌合凸部21および嵌合凹部22によって隣接する部材に連結された状態では、隣接する部材によって堅固に位置決めされるので、必ずしもすべての連結パネル部材18の下方Z2に離隔方向支持部材34が必要ではない。
【0058】
組立パネル体16の上面は、連結パネル部材18の上面が露出した状態で形成されてもよいけれども、建物床面の色および材質と統一を図るために1枚または複数枚のシート状部材68によって被覆されて形成されてもよい。本実施形態では、連結パネル部材18の上面は、樹脂製の厚み方向に重なる2枚のシート状部材68によって被覆される。面方向において隣合うシート状部材68の枚数は、シート状部材68の広さと組立パネル体16全体の面方向の広さとに応じて、1枚であってもよく、複数枚であってもよい。
【0059】
図9は、本発明の第1実施形態における嵌合凸部21および嵌合凹部22の断面図である。図9には、嵌合凸部21および嵌合凹部22の離隔方向Xに垂直な断面を表しており、連結パネル部材18の厚み方向の半分を拡大して示している。嵌合凸部21および嵌合凹部22の形状は、連結パネル部材18の厚み方向中央を通る中央平面に関して厚み方向に対称である。この中央平面は、厚み方向に垂直な平面である。
【0060】
嵌合凸部21は、中間基部19から幅方向一方Y1に向けて突出して形成され、一対の凸部形成脚部69と、一対の突縁72とを有する。各凸部形成脚部69は、先端部に係止爪74が形成され、各突縁72は、中間基部19よりも幅方向一方Y1において、凸部形成脚部69の基端部よりも厚み方向外方に配置される。凸部形成脚部69の幅方向寸法は、突縁72の幅方向寸法に比べて長く形成され、凸部形成脚部69および突縁72は、ともに中間基部19から突出して形成される。
【0061】
嵌合凹部22は、中間基部19から幅方向他方Y2に向けて突出して形成され、一対の凹部形成脚部75と、一対の差込突縁76と、係止突起78とを有する。厚み方向における一対の凹部形成脚部75の位置は、一対の凸部形成脚部69の厚み方向の位置よりも、厚み方向外方に配置される。一対の差込突縁76は、凹部形成脚部75の先端部からさらに幅方向他方Y2に突出して形成される。一対の差込突縁76は、凹部形成脚部75の先端部に連続するけれども、凹部形成脚部75の先端部よりもわずかに厚み方向内方に配置して形成される。差込突縁76の幅方向Yの長さは、凸部形成脚部69の突縁72の幅方向Yの長さとほぼ同じかわずかに短く形成される。
【0062】
嵌合凸部21と嵌合凹部22とが互いに嵌合するときには、差込突縁76は、凸部形成脚部69の基端部と、突縁72との間に嵌まり込む。係止突起78は、各凹部形成脚部75の基端部から、厚み方向内方に向けて突出して形成される。
【0063】
嵌合凸部21と嵌合凹部22とが互いに嵌合した状態では、凸部形成脚部69の先端部に設けられる係止爪74は、凹部形成脚部75の基端部に形成される各係止突起78に対し、内側から係合して係止される。またこの状態で、凹部形成脚部75の先端部に設けられる差込突縁76は、凸部形成脚部69の基端部と突縁72との間に挿入される。これによって、複数の連結パネル部材18が、幅方向Yに平行に整列した状態で、隣接する嵌合凸部21と嵌合凹部22とが互いに嵌合し、幅方向Yに抜け止めされた状態となる。これによって、隣接する連結パネル部材18が互いに連結された状態では、突縁72の厚み方向外方の表面と、凹部形成脚部75の厚み方向外方の表面とは、およそ一平面内に配置される。
【0064】
図10は、本発明の第1実施形態における組立パネル体16の幅方向他方Y2の端部の断面図である。図10には、組立パネル体16を、離隔方向Xに垂直な仮想平面で切断して見た図を示している。組立パネル体16は、凹部側パネル部材81を有する。凹部側パネル部材81は、連結パネル部材18に連結可能であり、凹部側基部82と凹部側凸部84とを有する。凹部側基部82は、離隔方向Xに延びて形成され、凹部側凸部84は、嵌合凹部22に嵌合可能である。凹部側パネル部材81では、凹部側基部82と凹部側凸部84とが幅方向Yに互いに連続して形成される。
【0065】
凹部側凸部84は、連結パネル部材18の嵌合凸部21と同一の形状および大きさに形成される。凹部側基部82は、予め定める形状および大きさに形成される。本実施形態において凹部側基部82は、中空に形成され、第1縁材13、第2縁材14、および最も幅方向他方Y2に位置する離隔方向支持部材34の上に載置される。凹部側パネル部材81と、組立パネル体16よりも幅方向Y外方に位置する建物の床材または壁材とは、間隙が形成されていてもよいけれども、たとえば、車椅子のタイヤなどが進入できない程度に小さい間隙とすることが好ましい。
【0066】
組立パネル体16は、凸部側パネル部材86をさらに有する。凸部側パネル部材86は、連結パネル部材18に連結可能であり、凸部側基部87と、凸部側凹部88とを有する。凸部側基部87は、離隔方向Xに延びて形成され、凸部側凹部88は、嵌合凸部21に嵌合可能である。凸部側パネル部材86では、凸部側基部87と凸部側凹部88とが幅方向Yに互いに連続して形成される。
【0067】
凸部側凹部88は、連結パネル部材18の嵌合凹部22と同一の形状および大きさに形成される。凸部側基部87は、予め定める形状および大きさに形成される。本実施形態において凹部側基部82は、中空に形成され、第1縁材13、第2縁材14、および最も幅方向一方Y1に位置する離隔方向支持部材34の上に載置される。凸部側パネル部材86と、組立パネル体16よりも幅方向Y外方に位置する建物の床材または壁材とは、間隙が形成されていてもよいけれども、たとえば、車椅子のタイヤなどが進入できない程度に小さい間隙とすることが好ましい。
【0068】
第1実施形態によれば、床用伸縮継手装置10は、第1縁材13と、第2縁材14と、組立パネル体16とを含んで構成される。第1縁材13は、空隙をあけて水平な離隔方向Xに隣合う2つの建物において、これら建物の互いに対向する2つの躯体の一方に固定され、離隔方向Xに垂直かつ水平な幅方向Yに延びて設けられる。第2縁材14は、2つの躯体の他方に、第1縁材13と平行に固定され、幅方向Yに延びて設けられる。組立パネル体16は、第1および第2縁材13,14間にわたる離隔方向一端部が、第1縁材13に、幅方向Yに平行な回動軸線17まわりに角変位自在に係止され、前記離隔方向他端部が、第2縁材14上で離隔方向Xに移動自在に、第2縁材14に支持される。また組立パネル体16は、複数の連結パネル部材18を有し、連結パネル部材18は、中間基部19と、嵌合凸部21および嵌合凹部22とを有する。中間基部19は、離隔方向Xに延びて形成される。嵌合凸部21および嵌合凹部22は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部21および嵌合凹部22は、中間基部19に関して互いに幅方向Y反対側に、中間基部19に設けられる。
【0069】
これによって、たとえば地震などによって2つの建物が互いに相対変位し、2つの躯体間の空隙の離隔方向寸法が変化しても、2つの躯体の相対変位を許容しながら、組立パネル体16による2つの躯体間の連結を維持することができる。したがって、組立パネル体16が破損することを防止することができる。また連結パネル部材18の個数を変更することで、幅寸法の異なる組立パネル体16とすることができる。さらに組立パネル体16を1つの部材によって形成する場合に比べて、組立パネル体16の材料の搬入を容易にすることができる。
【0070】
第1実施形態によれば、組立パネル体16は、複数種類の連結パネル部材18を有し、複数種類の連結パネル部材18は、中間基部19の幅方向寸法が互いに異なる。これによって、任意の幅寸法の組立パネルを容易に構築することができる。
【0071】
第1実施形態によれば、組立パネル体16は、凸部側パネル部材86と、凹部側パネル部材81とを有する。凸部側パネル部材86は、連結パネル部材18に連結可能であり、凸部側基部87と、凸部側凹部88とを有する。凸部側基部87は、離隔方向Xに延びて形成され、凸部側凹部88は、嵌合凸部21に嵌合可能である。凸部側パネル部材86では、凸部側基部87と凸部側凹部88とが幅方向Yに互いに連続して形成される。凹部側パネル部材81は、連結パネル部材18に連結可能であり、凹部側基部82と凹部側凸部84とを有する。凹部側基部82は、離隔方向Xに延びて形成され、凹部側凸部84は、嵌合凹部22に嵌合可能である。凹部側パネル部材81では、凹部側基部82と凹部側凸部84とが幅方向Yに互いに連続して形成される。
【0072】
これによって、組立パネル体16のうち、幅方向Y両端に向けて開口する連結パネル部材18の嵌合凸部21および嵌合凹部22を塞ぐことができる。またこれによって、組立パネル体16のうち、幅方向Y両端部の位置に、連結パネル部材18とは形状または寸法の異なる部材を配置することができる。
【0073】
図11は、本発明の第1実施形態に係る床用伸縮継手製造方法の工程を表すフローチャートである。床用伸縮継手製造方法は、隣合う2つの建物の2つの躯体間に目地空間などとして存在する空隙を塞がれた状態に維持する床用伸縮継手装置10の製造方法である。床用伸縮継手製造方法は、第1縁材位置決め工程と、第2縁材設置工程と、組立パネル体設置工程と第1縁材形成工程とを含んで構成される。第1縁材位置決め工程では、第1縁材13を位置決めする。第1縁材13は、空隙をあけて水平な離隔方向Xに隣合う2つの建物において、これら建物の互いに対向する2つの躯体の一方に固定され、離隔方向Xに垂直かつ水平な幅方向Yに延びて形成される。第2縁材設置工程では、第2縁材14を設置する。第2縁材14は、2つの躯体の他方に第1縁材13と平行に固定され、幅方向Yに延びて形成される。
【0074】
組立パネル体設置工程では、組立パネル体16を設置する。組立パネル体16は、第1および第2縁材13,14間にわたる離隔方向一端部が、第1縁材13に、幅方向Yに平行な回動軸線17まわりに角変位自在に係止され、離隔方向他端部が第2縁材14上で離隔方向Xに移動自在に、第2縁材14に支持される。また組立パネル体設置工程では、複数種類の組立用連結パネル部材のうちから選択された連結パネル部材18によって、組立パネル体16を構成する。したがって、連結パネル部材18は、すべて複数種類の組立用連結パネル部材のうちに含まれる。
【0075】
組立用連結パネル部材は、中間基部19と嵌合凸部21および嵌合凹部22とを有する。中間基部19は、離隔方向Xに延びて形成され、嵌合凸部21および嵌合凹部22は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部21および嵌合凹部22は、中間基部19に関して互いに幅方向Y反対側に、中間基部19に設けられる。複数種類の組立用連結パネル部材は、中間基部19の幅方向寸法が互いに異なる。第1縁材形成工程では、組立パネル体16が係合凹部38に係合した状態で第1縁材13を形成する。
【0076】
本処理は、床用伸縮継手装置10の製造に必要な材料および道具が、床用伸縮継手装置10を設置する現場に搬入された状態で開始される。図11に示すように、本処理開始後、ステップa1の第1縁材位置決め工程に移行し、第1縁材13を成す複数の部材のうち蓋体42を除く残余の部材を設置する。これは、アンカーボルト26などによる一方の躯体11への締結によって行われる。
【0077】
次にステップa2の第2縁材設置工程に移行し、第2縁材14の設置を行う。この工程では、下地材27および補助支持材28の設置も行う。第2縁材14、下地材27および補助支持材28を成す各部材は、他方の躯体12に対してアンカーボルト26などによる締結によって固定される。
【0078】
次にステップa3の組立パネル体設置工程に移行し、組立パネル体16の設置を行う。この工程では、利用する連結パネル部材18を、複数種類の組立用連結パネル部材の中から選択し、各種類の組立用連結パネル部材の個数を決定する段階と、凸部側パネル部材86、連結パネル部材18および凹部側パネル部材81を幅方向Yに隣接させ、これらを嵌合によって一体化する段階と、一体化された複数のパネル部材に対して係止片、ヒンジ部46および補助カバー体48をねじ部材44などによって固定する段階とを行う。
【0079】
次にステップa4の第1縁材形成工程に移行し、第1縁材13の蓋体42を設置する。蓋体42の設置は、蓋体42を除く第1縁材13の他の部材に対して蓋体42をねじ止めすることによって行われる。第1縁材13の蓋体42を設置することによって、第1縁材13は形成される。その後、本処理は終了する。
【0080】
組立パネル体16および第1縁材13の上方Z1に臨む表面部に、シート状部材68などを形成する場合には、ステップa3の組立パネル体設置工程およびステップa4の第1縁材形成工程においてシート状部材68の接着が行われてもよく、またステップa4の第1縁材形成工程が終了した後、組立パネル体16および第1縁材13の上方Z1に臨む表面部に、シート状部材68などを形成する工程を行ってもよい。
【0081】
組立パネル体16を形成するときに必要となる凸部側パネル部材86、連結パネル部材18および凹部側パネル部材81の長手方向の長さが、搬入された組立用連結パネル部材の離隔方向寸法よりも長い場合には、ステップa2の組立パネル体設置工程において、各パネル部材を切断する段階をさらに行ってもよい。
【0082】
第1実施形態によれば、組立パネル体設置工程では、複数種類の組立用連結パネル部材のうちから選択された連結パネル部材18によって、組立パネル体16を構成する。組立用連結パネル部材は、中間基部19と嵌合凸部21および嵌合凹部22とを有する。中間基部19は、離隔方向Xに延びて形成され、嵌合凸部21および嵌合凹部22は、相互に嵌合可能である。また嵌合凸部21および嵌合凹部22は、中間基部19に関して互いに幅方向Y反対側に、中間基部19に設けられる。複数種類の組立用連結パネル部材は、中間基部19の幅方向寸法が互いに異なる。
【0083】
これによって、たとえば地震などによって2つの建物が互いに相対変位し、2つの躯体間の空隙の離隔方向寸法が変化しても、2つの躯体の相対変位を許容しながら、2つの躯体間の連結を維持することのできる床用伸縮継手装置10を提供することができる。したがって、床用伸縮継手装置10が破損することを防止することができる。また連結パネル部材18の個数および種類を変更することで、幅方向寸法の異なる組立パネル体16とすることができる。また組立パネル体16を1つの部材によって形成する場合に比べて、組立パネル体16の材料の搬入を容易にすることができる。
【0084】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態における凸部側パネル部材86および凸部側挿入部材93の断面図を表す。図14は、本発明の第2実施形態における凸部側パネル部材86から、凸部側挿入部材93が引き出された状態を表す断面図である。第2実施形態に係る床用伸縮継手装置10は、第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10に類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。
【0085】
第2実施形態において、凸部側パネル部材86は、凸部側空間形成部92をさらに有する。凸部側空間形成部92は、凸部側基部87に関して凸部側凹部88とは反対側に、凸部側基部87に連続して設けられ、内部空間を形成する。組立パネル体16は、凸部側挿入部材93をさらに有する。凸部側挿入部材93は、凸部側空間形成部92に少なくとも一部が挿入された状態で、凸部側パネルに対して幅方向Yに変位可能である。
【0086】
凸部側空間形成部92に形成される内部空間は、凸部側基部87に関して凸部側凹部88とは反対側に開口しており、この開口を規定する開口部側から、凸部側挿入部材93が挿入される。凸部側空間形成部92のうち内部空間を厚み方向両側から規定する部分は、およそ厚み方向に垂直な平板状に形成される。これによって図12および図14に示すように、凸部側空間形成部92の厚み方向の内寸は、面方向の位置に関わらず一様に設定される。
【0087】
凸部側挿入部材93は、中空の部材として形成され、凸部側挿入部材93のうち凸部側空間形成部92の内部に挿入される部分は、厚み方向の寸法が一様な形状に形成される。この部分の厚み方向の寸法は、凸部側空間形成部92の厚み方向の内寸とほぼ等しく、かつわずかに小さく設定される。これによって、凸部側空間形成部92に対し、凸部側挿入部材93が深く挿入された状態においても浅く挿入された状態においても、凸部側空間形成部92の開口部近傍は、厚み方向両側から凸部側挿入部材93に対して接触する。凸部側空間形成部92および凸部側挿入部材93は、これらの厚み方向を上下方向Zに一致させて配置される。
【0088】
凸部側空間形成部92に少なくとも一部が挿入された状態における凸部側挿入部材93の凸部側パネル部材86に対する相対位置は、複数種類の連結パネル部材18のうち幅方向寸法が最も小さい連結パネル部材18の幅方向寸法以下の範囲において、幅方向Yに変更可能である。以下、凸部側空間形成部92に対して凸部側挿入部材93の少なくとも一部の挿入を維持した状態で、凸部側パネルに対する凸部側挿入部材93の、幅方向Yに相対変位可能な範囲の長さを、「凸部側挿入位置可変量」と称する。連結パネル部材18のうち、中間基部19の幅方向寸法が最も小さい連結パネル部材18の、中間基部19と嵌合凹部22とを合わせた幅方向寸法を、「最小幅寸法」と称すると、凸部側挿入位置可変量は、最小幅寸法以上である。
【0089】
凸部側空間形成部92に凸部側挿入部材93の少なくとも一部が挿入された状態で、凸部側空間形成部92と凸部側挿入部材93とは、凸部側空間形成部92よりも厚み方向外方からねじ部材44によって互いに固定される。これによって、凸部側空間形成部92と凸部側挿入部材93との連結は終了する。
【0090】
図13は、本発明の第2実施形態における凹部側パネル部材81の断面図である。凹部側パネル部材81は、凹部側空間形成部94をさらに有する。凹部側基部82に関して凹部側凸部84とは反対側に、凹部側基部82に連続して設けられ、内部空間を形成する。組立パネル体16は、凹部側挿入部材96をさらに有する。凹部側挿入部材96は、凹部側空間形成部94に少なくとも一部が挿入された状態で、凹部側パネルに対して幅方向Yに変位可能である。
【0091】
凹部側空間形成部94に形成される内部空間は、凹部側基部82に関して凹部側凸部84とは反対側に開口しており、この開口を規定する開口部側から、凹部側挿入部材96が挿入される。凹部側空間形成部94のうち内部空間を厚み方向両側から規定する部分は、およそ厚み方向に垂直な平板状に形成される。これによって、凹部側空間形成部94の厚み方向の内寸は、面方向の位置に関わらず一様に設定される。
【0092】
凹部側挿入部材96は、中空の部材として形成され、凹部側挿入部材96のうち凹部側空間形成部94の内部に挿入される部分は、厚み方向の寸法が一様な形状に形成される。この部分の厚み方向の寸法は、凹部側空間形成部94の厚み方向の内寸とほぼ等しく、かつわずかに小さく設定される。これによって、凹部側空間形成部94に対し、凹部側挿入部材96が深く挿入された状態においても浅く挿入された状態においても、凹部側空間形成部94の開口部近傍は、厚み方向両側から凹部側挿入部材96に対して接触する。凹部側空間形成部94および凹部側挿入部材96は、これらの厚み方向を上下方向Zに一致させて配置される。
【0093】
凹部側空間形成部94に少なくとも一部が挿入された状態における凹部側挿入部材96の凹部側パネル部材81に対する相対位置は、複数種類の連結パネル部材18のうち幅方向寸法が最も小さい連結パネル部材18の幅方向寸法以下の範囲において、幅方向Yに任意に変更可能である。以下、凹部側空間形成部94に対して凹部側挿入部材96の少なくとも一部の挿入を維持した状態で、凹部側パネルに対する凹部側挿入部材96の、幅方向Yに相対変位可能な範囲の長さを、「凹部側挿入位置可変量」と称する。
【0094】
本実施形態では、凹部側挿入位置可変量は、最小幅寸法以上とするけれども、ただし他の実施形態においては、凸部側挿入位置可変量と凹部側挿入位置可変量とを合わせた合計の長さが、最小幅寸法以上と設定することも可能である。
【0095】
凹部側空間形成部94に凹部側挿入部材96の少なくとも一部が挿入された状態で、凹部側空間形成部94と凹部側挿入部材96とは、凹部側空間形成部94よりも厚み方向外方からねじ部材44によって互いに固定される。これによって、凹部側空間形成部94と凹部側挿入部材96との連結は終了する。
【0096】
第2実施形態によれば、凸部側挿入部材93は、凸部側空間形成部92に少なくとも一部が挿入された状態で、凸部側パネルに対して幅方向Yに変位可能である。これによって、組立パネル体16の幅方向寸法を、微調整することができる。
【0097】
さらに、凹部側挿入部材96は、凹部側空間形成部94に少なくとも一部が挿入された状態で、凹部側パネルに対して幅方向Yに変位可能である。これによって、組立パネル体16の幅方向寸法を微調整することができる。
【0098】
さらに、凸部側空間形成部92に少なくとも一部が挿入された状態における凸部側挿入部材93の凸部側パネル部材86に対する相対位置は、複数種類の連結パネル部材18のうち幅方向寸法が最も小さい連結パネル部材18の幅方向寸法以下の範囲において、幅方向Yに変更可能である。これによって、幅方向Yに並ぶ連結パネル部材18を1つ追加すれば組立パネル体16の幅方向寸法が、必要とされる寸法を超える場合に、凸部側パネル部材86に対する凸部側挿入部材93の相対位置を変更することによって、組立パネル体16の幅方向寸法を必要とされる寸法に設定することができる。したがって、任意の幅寸法の組立パネルを容易に構築することができる。
【0099】
さらに、凸部側挿入位置可変量および凹部側挿入位置可変量の、いずれか一方または両方の合計を、最小幅寸法以上と設定すれば、組立パネル体16の幅方向寸法を、任意の寸法に設定することが可能となる。
【0100】
(第3実施形態)
図15は、本発明の第3実施形態における凸部側連結部材111の断面図である。第3実施形態に係る床用伸縮継手装置10は、第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10に類似しており、以下、第1実施形態に対する第2実施形態の相違点を中心に説明する。
【0101】
第3実施形態において、組立パネル体16は、凸部側連結部材111を有する。凸部側連結部材111は、凸部側連結基部112と、第1挿入連結部114と、凹部側嵌合凸部116とを有する。凸部側連結基部112は、離隔方向Xに延びて形成される。第1挿入連結部114は、凸部側空間形成部92に挿入可能である。凹部側嵌合凸部116は、嵌合凹部22に嵌合可能である。凹部側嵌合凸部116は、連結パネル部材18の嵌合凸部21と同じ形状および同じ大きさに形成される。
【0102】
凸部側連結基部112の幅方向寸法は、最小幅寸法よりもさらに小さい寸法に設定されることが好ましい。凸部側連結部材111は、現場に搬入した材料の制限または過誤に起因して、凸部側空間形成部92に対してさらに幅方向Yにパネル部材を連結したいという要望が生じたときに、幅方向Yにわずかに寸法を延長することによって、すでに一体的に連結されたパネル部材の、幅方向一方Y1の端部を、嵌合凸部21と同じ形状とすることができる。凸部側空間形成部92に対する第1挿入連結部114の位置決めが終了すれば、凸部側空間形成部92と凸部側連結部材111とは、ねじ部材44によって、互いに固定する。
【0103】
図16は、本発明の第3実施形態における凹部側連結部材118の断面図である。第3実施形態において、組立パネル体16は、凹部側連結部材118を有する。凹部側連結部材118は、凹部側連結基部121と、第2挿入連結部122と、凸部側嵌合凹部124とを有する。凹部側連結基部121は、離隔方向Xに延びて形成される。第2挿入連結部122は、凹部側空間形成部94に挿入可能である。凸部側嵌合凹部124は、嵌合凸部21に嵌合可能である。凸部側嵌合凹部124は、連結パネル部材18の嵌合凹部22と同じ形状および同じ大きさに形成される。凹部側連結部材118の第2挿入連結部122は、凸部側連結部材の第1挿入連結部114と同じ形状および同じ大きさに形成される。
【0104】
凹部側連結基部121の幅方向寸法は、最小幅寸法よりもさらに小さい寸法に設定されることが好ましい。凹部側連結部材118は、現場に搬入した材料の制限または過誤に起因して、凹部側空間形成部94に対してさらに幅方向Yにパネル部材を連結したいという要望が生じたときに、幅方向Yにわずかに寸法を延長することによって、すでに一体的に連結されたパネル部材の、幅方向一方Y1の端部を、嵌合凹部22と同じ形状とすることができる。凹部側空間形成部94に対する第2挿入連結部122の位置決めが終了すれば、凹部側空間形成部94と凹部側連結部材118とは、ねじ部材44によって、互いに固定する。
【0105】
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態における凹部側パネル部材81の断面図である。第4実施形態に係る床用伸縮継手装置10は、第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10に類似しており、以下、第1実施形態に対する第4実施形態の相違点を中心に説明する。
【0106】
凸部側パネル部材86および凹部側パネル部材81のうち少なくともいずれか一方は、溝部126を有する。溝部126は、離隔方向Xに垂直な断面形状が上方Z1に開口する凹形状に形成される。凹部側パネル部材81において溝部126を形成する場合には、凹部側基部82に関して凹部側凸部84とは反対側に設けられ、厚み方向一方に開口する。凹部側パネル部材81を設置するときには、この厚み方向一方に開口する開口部が上方Z1を向く姿勢で設置される。凹部パネル部材において凹部側凸部84と凹部側基部82と溝部126とは、一体成形によって形成される。これによって、溝部126に規定される空間に流れ込む液体を流し去る流路を構成することができ、排水することができる。
【0107】
凸部側パネル部材86において溝部126が形成される場合には、凸部側基部87に関して凸部側凹部88とは反対側に設けられ、厚み方向一方に開口する。凸部側パネル部材86を設置するときには、この厚み方向一方に開口する開口部が上方Z1を向く姿勢で設置される。凸部パネル部材において凸部側凹部88と凸部側基部87と溝部126とは、一体成形によって形成される。これによって、溝部126に規定される空間に流れ込む液体を流し去る流路を構成することができ、排水することができる。溝部126を設ける場合には、組立パネル体16は、鉛直方向に対して90度を成して設けられてもよいけれども、好ましくは、略水平な範囲でわずかに傾斜して設けられる。
【0108】
(第5実施形態)
図18は、本発明の第5実施形態における凸部側パネル部材86の断面図である。図19は、本発明の第5実施形態における凸部側パネル部材86から、凸部側挿入部材93が引き出された状態を表す断面図である。第5実施形態に係る床用伸縮継手装置10は、第1実施形態に係る床用伸縮継手装置10に類似しており、以下、第1実施形態に対する第5実施形態の相違点を中心に説明する。
【0109】
凸部側挿入部材93は、排水溝部128を有する。排水溝部128は、離隔方向Xに垂直な断面形状が上方Z1に開口する凹形状に形成される。これによって、排水溝部128に規定される空間に流れ込む液体を流し去る流路を構成することができ、排水することができる。凸部側パネル部材86から、凸部側挿入部材93を引き出すことによって、凸部側パネル部材86の上方Z1の表面部と、これよりもさらに幅方向一方Y1側に位置する凸部側挿入部材93との段差が好ましくない場合には、凸部側パネル部材86において凸部側空間形成部92を成す部材と同一の厚みのシート材129を段差に配置することによって、凸部側パネル部材86と凸部側挿入部材93との段差を解消することができる。排水溝部128を設ける場合には、組立パネル体16は、鉛直方向に対して90度を成して設けられてもよいけれども、好ましくは、略水平な範囲でわずかに傾斜して設けられる。
【0110】
他の実施形態において排水溝部128は、凸部側挿入部材93および凹部側挿入部材96のいずれか一方に形成されてもよい。凸部側挿入部材93に排水溝部128が形成される場合には、凸部側空間形成部92に対する凸部側挿入部材93の挿入方向のうち、凸部側挿入部材93の挿入部分に関して凸部側空間形成部92とは反対側に、排水溝部128が形成される。排水溝部128と挿入部分とは一体成形される。
【0111】
凹部側挿入部材96に排水溝部128が形成される場合には、凹部側空間形成部94に対する凹部側挿入部材96の挿入方向のうち、凹部側挿入部材96の挿入部分に関して凹部側空間形成部94とは反対側に、排水溝部128が形成される。排水溝部128と挿入部分とは一体成形される。これによって、排水溝部128に規定される空間に流れ込む液体を流し去る流路を構成することができ、排水することができる。
【符号の説明】
【0112】
10 床用伸縮継手装置
11 一方の躯体
12 他方の躯体
13 第1縁材
14 第2縁材
16 組立パネル体
17 回動軸線
18 連結パネル部材
19 中間基部
21 嵌合凸部
22 嵌合凹部
81 凹部側パネル部材
82 凹部側基部
84 凹部側凸部
86 凸部側パネル部材
87 凸部側基部
88 凸部側凹部
92 凸部側空間形成部
93 凸部側挿入部材
111 凸部側連結部材
112 凸部側連結基部
114 第1挿入連結部
116 凹部側嵌合凸部
126 溝部
128 排水溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空隙をあけて水平方向に隣合う2つの建物における、前記建物の互いに対向する2つの各躯体の一方に固定され、前記水平方向に垂直かつ水平な幅方向に延びて設けられる第1縁材と、
前記2つの各躯体の他方に、前記第1縁材と平行に固定され、前記幅方向に延びて設けられる第2縁材と、
前記第1および第2縁材間にわたる水平方向一端部が、前記第1縁材に、幅方向に平行な回動軸線まわりに角変位自在に係止され、前記水平方向他端部が、前記第2縁材に対して水平方向に移動自在に、前記第2縁材上に支持される組立パネル体とを含み、
前記組立パネル体は、
前記水平方向に延びて形成される中間基部と、相互に嵌合可能な嵌合凸部および嵌合凹部とを有する連結パネル部材であって、
前記嵌合凸部および前記嵌合凹部が、前記中間基部に関して互いに幅方向反対側に、前記中間基部に設けられる複数の連結パネル部材を有することを特徴とする床用伸縮継手装置。
【請求項2】
前記組立パネル体は、前記中間基部の幅方向寸法が互いに異なる複数種類の連結パネル部材を有することを特徴とする請求項1に記載の床用伸縮継手装置。
【請求項3】
前記組立パネル体は、
前記連結パネル部材に連結可能な凸部側パネル部材であって、前記水平方向に延びて形成される凸部側基部と、前記嵌合凸部に嵌合可能な凸部側凹部とを有し、凸部側基部と凸部側凹部とが幅方向に互いに連続して形成される凸部側パネル部材と、
前記連結パネル部材に連結可能な凹部側パネル部材であって、前記水平方向に延びて形成される凹部側基部と、前記嵌合凹部に嵌合可能な凹部側凸部とを有し、凹部側基部と凹部側凸部とが幅方向に互いに連続して形成される凹部側パネル部材を有することを特徴とする請求項1または2に記載の床用伸縮継手装置。
【請求項4】
前記凸部側パネル部材は、前記凸部側基部に関して凸部側凹部とは反対側に、凸部側基部に連続して設けられ、内部空間を形成する凸部側空間形成部をさらに有し、
前記組立パネル体は、
前記凸部側空間形成部に挿入可能に形成され、凸部側空間形成部に少なくとも一部が挿入された状態で凸部側パネルに対して幅方向に変位可能な凸部側挿入部材をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の床用伸縮継手装置。
【請求項5】
前記凸部側パネル部材および前記凹部側パネル部材のうち少なくともいずれか一方は、前記水平方向に垂直な断面形状が上方に開口する凹形状に形成される溝部を有することを特徴とする請求項3または4に記載の床用伸縮継手装置。
【請求項6】
前記凸部側挿入部材は、前記水平方向に垂直な断面形状が上方に開口する凹形状に形成される排水溝部を有することを特徴とする請求項4に記載の床用伸縮継手装置。
【請求項7】
空隙をあけて水平方向に隣合う2つの建物における、前記建物の互いに対向する2つの各躯体の一方に固定され、前記水平方向に垂直かつ水平な幅方向に延びて形成される第1縁材を位置決めする第1縁材位置決め工程と、
前記2つの各躯体の他方に前記第1縁材と平行に固定され、前記幅方向に延びて形成される第2縁材を設置する第2縁材設置工程と、
前記第1および第2縁材間にわたる水平方向一端部が、前記第1縁材に、幅方向に平行な回動軸線まわりに角変位自在に係止され、前記水平方向他端部が、前記第2縁材上で水平方向に移動自在に、前記第2縁材に支持される組立パネル体を設置する組立パネル体設置工程と、
組立パネル体が第1縁材に係合した状態で第1縁材を形成する第1縁材形成工程とを含み、
前記組立パネル体設置工程では、
前記水平方向に延びて形成される中間基部と、相互に嵌合可能な嵌合凸部および嵌合凹部とを有する組立用連結パネル部材であって、
前記嵌合凸部および前記嵌合凹部が、前記中間基部に関して互いに幅方向反対側に、前記中間基部に設けられ、
前記中間基部の幅方向寸法が互いに異なる複数種類の組立用連結パネル部材のうちから選択された連結パネル部材によって、組立パネル体を構成することを特徴とする床用伸縮継手製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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