説明

床面の改修工法およびトイレ改修工法

【課題】工期の短縮化を図ることができる、あるいは床面に設置するプレートの材料を比較的自由に選択することができる床面の改修工法およびトイレ改修工法を提供することを目的とする。
【解決手段】床面に凹部を形成し、前記凹部の底面に高さ調整可能な複数の脚体を設置し、前記脚体の上面と同じ位置又は前記脚体の上面よりも高い位置まで硬化性を有する第1の充填材を前記凹部に敷き詰め、前記敷き詰めた前記第1の充填材の上にプレートを設置し、前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させることを特徴とする床面の改修工法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、床面の改修工法およびトイレ改修工法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンクリートなどにより形成された床面の改修工事を行うために、床面のハツリ作業を行う場合がある。また、例えば和風両用便器などと呼ばれる大小便兼用の和風便器が設けられたトイレ室には、一般的に、段差が床面に設けられている。そのため、例えば段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するために、段差部のハツリ作業を行う場合がある。
このような改修工事においては、ハツリ作業を行った部分(ハツリ部分)の壁や床の補修に時間がかかるため、改修工事の工期が比較的長期化する。
【0003】
これに対して、伸縮自在の脚ボルトを有するユニットトイレパンをコンクリート打設箇所上面に直接載置するのではなく、床スラブの下段部上面及び脚ボルト受けアングル部材に支持し、浮いた状態で敷き込む水洗トイレの改修工法がある(特許文献1)。特許文献1に記載された水洗トイレの改修工法によれば、打設されたコンクリートの乾燥固化とは全く関係なくユニットトイレパンを敷き込むことが出来る。コンクリートの乾燥固化を待つ必要がなく、工事を進めることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された水洗トイレの改修工法では、ユニットトイレパンの枠体の四隅及び中間部から下方に向かって伸縮可能な脚ボルトがそれぞれ突設されているため、ユニットトイレパンの下方には、空洞が存在する。そのため、ユニットトイレパンを形成する材料は、比較的高強度を有するものに限定される。例えばタイルや石材などのような衝撃で割れるおそれがある材料を用いることは、困難である。
【0005】
また、和風便器の上部内に蓋材を嵌め込み、この蓋材の上側に高強度板を配置し、高強度板周囲の床の自硬性材料を供給するトイレの和洋改修方法がある(特許文献2)。特許文献2に記載されたトイレの和洋改修方法によれば、和風便器内に充填物を充填しないため、和風便器が重量物とならず、和風便器を支持している床スラブへの負荷を少なくすることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されたトイレの和洋改修方法では、高強度板の下方に蓋材を介して空洞が存在する。そのため、高強度板および蓋材の材料は、比較的高強度を有するものに限定される。例えばタイルや石材などのような衝撃で割れるおそれがある材料を用いることは、困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−271409号公報
【特許文献2】特開2008−223382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、工期の短縮化を図ることができる、あるいは床面に設置するプレートの材料を比較的自由に選択することができる床面の改修工法およびトイレ改修工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、床面に凹部を形成し、前記凹部の底面に高さ調整可能な複数の脚体を設置し、前記脚体の上面と同じ位置又は前記脚体の上面よりも高い位置まで硬化性を有する第1の充填材を前記凹部に敷き詰め、前記敷き詰めた前記第1の充填材の上にプレートを設置し、前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させることを特徴とする床面の改修工法である。
【0010】
この床面の改修工法によれば、脚体は、第1の充填材が硬化していなくとも、プレートにかかる荷重を支えることができる。そのため、第1の充填材が硬化していなくとも、プレートを第1の充填材の上に設置した後すぐに、作業者は、プレートの上に載って作業を行うことができる。また、第1の充填材が硬化していなくとも、作業者は、プレートの上に載って作業を進めることができるため、床面の改修工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0011】
また、プレートの下には第1の充填材が敷き詰められ充填されている。そのため、第1の充填材は、硬化した後にはプレートにかかる荷重を面全体で支えることができる。そのため、プレートは第1の充填剤が硬化する前に作業者が上に載って作業可能な強度を有していればよく、プレートを形成する材料を比較的高強度を有する材料に限定せず、比較的自由に選択することができる。
【0012】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記プレートは、所定位置に形成された開口部を有し、前記開口部の位置に前記第1の充填材を前記凹部の底面まで取り除いた除去部を形成し、硬化性を有し硬化時間が前記第1の充填材の硬化時間よりも短い第2の充填材を前記除去部に流し込むことを特徴とする床面の改修工法である。
【0013】
この床面の改修工法によれば、除去部に流し込んだ第2の充填材が硬化すると、硬化した第2の充填材は、プレートに対して垂直方向だけでなく横方向(水平方向)にかかる荷重も支えることができる。そのため、プレートの位置がずれることを防止することができる。また、プレートを第1の充填材の上に設置した後に、プレートの開口部を介して除去部に第2の充填材を流し込む場合には、第1の充填材および第2の充填材と、プレートと、をより確実に密着させることができる。そして、流し込んだ第2の充填材の上面の位置がプレートの上面の位置と略同じとなるようにすることができる。これにより、プレートをより強固に固定することができる。
【0014】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記床面は、トイレ室の床面であり、前記開口部が形成された前記所定位置は、前記トイレ室に設置される便器を前記床面に固定するための固定具取り付け位置であることを特徴とする床面の改修工法である。
【0015】
この床面の改修工法によれば、プレートを第1の充填材の上に設置した後すぐに、便器をプレートの上に取り付けることができる。そのため、改修工事の工期の短縮化を図ることができる。また、プレートの開口部は、便器を床面に固定するための固定具取り付け位置に設けられている。そのため、プレートに新たに別の穴を設ける必要はなく、除去部に流し込んだ第2の充填材の部分に固定具を取り付けることができる。
【0016】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記プレートは、陶磁器質タイル、石材、およびセメント材パネルの少なくともいずれかにより形成され、前記プレートの下に設けられた前記第1の充填材が硬化する前に前記プレートの上に載って作業可能な強度を有することを特徴とする床面の改修工法である。
【0017】
この床面の改修工法によれば、プレートの下には第1の充填材が敷き詰められ充填されている。そのため、例えば、タイルや石材などのようにプレートの下に空洞が存在すると衝撃で割れるおそれがあるような材料であっても、プレートの材料として使用することができる。
【0018】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記プレートは、テーパ部が形成された端部を有し、前記端部を既設の床面に載置することを特徴とする床面の改修工法である。
【0019】
この床面の改修工法によれば、床面の全体を撤去することなく、ハツリ部分をより小さくすることができる。そのため、改修工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0020】
また、第6の発明は、段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するトイレ改修工法であって、前記和風便器を除去し、前記和風便器の排水管を残したままで前記段差部を除去して前記床面に凹部を形成し、前記凹部の底面に高さ調整可能な複数の脚体を設置し、前記脚体の上面と同じ位置又は前記脚体の上面よりも高い位置まで硬化性を有する第1の充填材を前記凹部に敷き詰め、前記敷き詰めた前記第1の充填材の上にプレートを設置し、前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させ、前記和風便器の前記排水管と前記洋風便器の排水口とを接続部材を介して接続し、前記プレートの上に前記洋風便器を載置することを特徴とするトイレ改修工法である。
【0021】
このトイレ改修工法によれば、脚体は、第1の充填材が硬化していなくとも、プレートにかかる荷重を支えることができる。そのため、第1の充填材が硬化していなくとも、プレートを第1の充填材の上に設置した後すぐに、作業者は、プレートの上に載って作業を行うことができる。また、第1の充填材が硬化していなくとも、作業者は、プレートの上に載って作業を進めることができるため、段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するトイレ改修工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0022】
また、プレートの下には第1の充填材が敷き詰められ充填されている。そのため、第1の充填材は、硬化した後にはプレートにかかる荷重を面全体で支えることができる。そのため、プレートは第1の充填剤が硬化する前に作業者が上に載って作業可能な強度を有していればよく、プレートを形成する材料を比較的高強度を有する材料に限定せず、比較的自由に選択することができる。
【0023】
また、第7の発明は、第6の発明において、前記プレートにおける前記洋風便器または前記接続部材の固定具の位置に開口部を形成し、前記開口部の位置に前記第1の充填材を前記凹部の底面まで取り除いた除去部を形成し、前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させた後に、硬化性を有し硬化時間が前記第1の充填材の硬化時間よりも短い第2の充填材を前記除去部に流し込み、前記第2の充填材の上面の位置を前記プレートの下面と前記プレートの上面との間の位置とし、前記第2の充填材が硬化した後に、前記洋風便器の前記固定具を前記第2の充填材に固定することを特徴とするトイレ改修工法である。
【0024】
このトイレ改修工法によれば、除去部に流し込んだ第2の充填材が硬化すると、硬化した第2の充填材は、プレートに対して垂直方向だけでなく横方向(水平方向)にかかる荷重も支えることができる。そのため、プレートの位置がずれることを防止することができる。また、プレートを第1の充填材の上に設置した後に、プレートの開口部を介して除去部に第2の充填材を流し込むので、第1の充填材および第2の充填材と、プレートと、をより確実に密着させることができる。そして、流し込んだ第2の充填材の上面の位置がプレートの下面とプレートの上面との間の位置となるようにすることができる。これにより、プレートをより強固に固定することができる。
【0025】
また、段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するトイレ改修工事において、プレートの開口部は、洋風便器の固定具の位置に設けられている。そのため、プレートに新たに別の穴を設ける必要はなく、除去部に流し込んだ第2の充填材の部分に固定具を取り付けることができる。
【0026】
また、第8の発明は、第6または第7の発明において、前記プレートは、陶磁器質タイル、石材、およびセメント材パネルの少なくともいずれかにより形成され、前記プレートの下に設けられた前記第1の充填材が硬化する前に前記プレートの上に載って作業可能な強度を有することを特徴とするトイレ改修工法である。
【0027】
このトイレ改修工法によれば、プレートの下には第1の充填材が敷き詰められ充填されている。そのため、例えば、タイルや石材などのようにプレートの下に空洞が存在すると衝撃で割れるおそれがあるような材料であっても、プレートの材料として使用することができる。
【0028】
また、第9の発明は、第6〜第8のいずれか1つの発明において、前記プレートは、テーパ部が形成された端部を有し、前記端部を既設の床面に載置することを特徴とするトイレ改修工法である。
【0029】
このトイレ改修工法によれば、床面の全体を撤去することなく、段差部だけを撤去することにより、段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するトイレ改修工事を実施することができる。そのため、段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するトイレ改修工事の工期の短縮化を図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の態様によれば、工期の短縮化を図ることができる、あるいは床面に設置するプレートの材料を比較的自由に選択することができる床面の改修工法およびトイレ改修工法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態にかかる床面の改修工法を表すフローチャート図である。
【図2】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図3】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図4】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図5】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図6】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図7】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図8】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図9】本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
【図10】本実施形態の変形例にかかる床面の改修工法を表すフローチャート図である。
【図11】本変形例にかかる床面の改修工法の一部を表す断面模式図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかるトイレ改修工法を表すフローチャート図である。
【図13】本実施形態にかかるトイレ改修工法を表す模式図である。
【図14】本実施形態にかかるトイレ改修工法を表す模式図である。
【図15】本実施形態にかかるトイレ改修工法を表す模式図である。
【図16】本実施形態にかかるトイレ改修工法を表す模式図である。
【図17】本実施形態にかかるトイレ改修工法を表す模式図である。
【図18】本実施形態のプレートの設置形態の具体例を例示する平面模式図である。
【図19】本実施形態の脚体の設置形態の具体例を例示する平面模式図である。
【図20】本実施形態の脚体の設置形態の他の具体例を例示する平面模式図である。
【図21】速硬性モルタルの打設範囲の具体例を例示する平面模式図である。
【図22】速硬性モルタルの打設範囲の他の具体例を例示する平面模式図である。
【図23】洋風便器の設置形態の具体例を例示する平面模式図である。
【図24】図23に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
【図25】図23に表した切断面D−Dにおける断面模式図である。
【図26】本実施形態のプレートの設置形態の他の具体例を例示する平面模式図である。
【図27】図26に表した切断面E−Eにおける断面模式図である。
【図28】本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
【図29】本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
【図30】本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
【図31】図30に表した切断面F−Fにおける断面模式図である。
【図32】本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
【図33】図32(a)に表した切断面H−Hにおける断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる床面の改修工法を表すフローチャート図である。 また、図2〜図9は、本実施形態にかかる床面の改修工法を表す模式図である。
なお、図2〜図5(a)は、床面の改修箇所を斜め上方から眺めた斜視模式図である。図5(b)〜図9は、図5(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図に相当する。
【0033】
本実施形態にかかる床面の改修工法では、まず、図2に表したように、床面に凹部101を形成する(ステップS101)。既設の床面103は、例えばタイルや石材やコンクリートなどにより形成されている。そのため、凹部101は、例えば既設の床面103のハツリ作業を行った部分(ハツリ部分)に相当する。但し、既設の床面103の材料は、これだけに限定されるわけではない。
【0034】
ハツリ作業を行った後の凹部101の底面は、不陸な状態となっている。そのため、図3に表したように、凹部101の不陸調整のために、捨打ちモルタル104を凹部101に打設する(ステップS103)。これにより、捨打ちモルタル104を打設する前と比較して、凹部101の底面を平らにすることができる。捨打ちモルタル104が速硬性モルタルの場合には、捨打ちを完了してから例えば約30分〜1時間程度が経過すると、作業者は、打設した速硬性モルタル105の上に載って作業を行うことができる。なお、捨打ちモルタル104の材料は、速硬性モルタルに限定されるわけではない。捨打ちモルタル104の材料は、例えば樹脂などであってもよい。
【0035】
図3に表したように、捨打ちモルタル104が凹部101に打設された後でも、捨打ちモルタル104の上面は、既設の床面103よりも低い位置に存在する。そのため、凹部101の形状は、捨打ちモルタル104が打設された後でも維持されている。これにより、本願明細書においては、凹部101の底面という範囲には、凹部101に打設された捨打ちモルタル104の上面が含まれるものとする。
【0036】
続いて、図4に表したように、高さを調整可能な複数の脚体107を凹部101の底面(本実施形態では凹部101に打設された捨打ちモルタル104の上面)に設置する(ステップS105)。本実施形態では、4つの脚体107を設置する。但し、脚体107の設置数は、これだけに限定されるわけではない。脚体107は、後述するプレート113(図7参照)の高さ調整を行うことができる。なお、脚体107は、例えばエポキシ系接着剤などにより凹部101の底面に接着され固定される。
【0037】
続いて、例えばレーザ墨出し器などにより脚体107のレベル(水平)出しを適宜実施する。そして、凹部101に打設された捨打ちモルタル104の上面にプライマを塗布する(ステップS107)。これにより、後に打設するモルタル(第1の充填材)109や速硬性モルタル(第2の充填材)105の接着性を向上させることができる。なお、プライマの塗布(ステップS107)については、接着性が確保できる場合には省略することができる。
第2充填材105の硬化時間は、第1の充填材109の硬化時間よりも短い。つまり、第1の充填材109および第2の充填材105は、硬化性を有する。
【0038】
続いて、図5(a)および図5(b)に表したように、凹部101に打設された捨打ちモルタル104の上面にモルタル109を敷き詰める(ステップS109)。このとき、図5(b)に表したように、脚体107の上面107aよりも例えば約2mm〜3mm程度高い位置までモルタル109を敷き詰める。但し、モルタル109は、脚体107の上面107aの高さと同じ高さあるいは上面107aよりも高く敷き詰められ、プレート113を下方に押しつけるように設置したときに圧縮され、プレート113の下面が脚体107の上面に接することができる高さを有していればよい。
【0039】
モルタル109が速硬性モルタル105などと比較するとより少ない量の水を含んだバサバサモルタルである場合には、硬化した後であっても、器具(例えば洋風便器など)を設置し固定するために必要なアンカ固定材を設置できない場合がある。
そこで、図6に表したように、例えば洋風便器などの器具を設置するときの器具固定具の位置に相当する部分のモルタル109をステップS103において凹部101に打設した捨打ちモルタル104の上面まで除去し、除去部111を形成する(ステップS111)。後述するように、除去部111には、速硬性モルタル105が打設される。また、図6に表したように、脚体107の上面107aを覆うモルタル109を除去し、脚体107の上面107aを露出させる。これにより、後に設置するプレート113と脚体107の上面107aとの間にモルタル109が介在することを防止し、プレート113のレベルを確保することができる。
【0040】
続いて、モルタル109がバサバサモルタルである場合には、モルタル109の表面にセメントペーストを塗布する。このとき、脚体107の上面107aには、セメントペーストを塗布しない。なお、モルタル109が後に設置するプレート113との充分な接着性能を有する場合には、セメントペーストを塗布しなくてもよい。続いて、図7に表したように、敷き詰めたモルタル109の上にプレート113を設置する(ステップS113)。このとき、図7に表したように、プレート113の下面113aが脚体107の上面107aと接触するように、プレート113を設置する。プレート113は、例えば陶磁器質タイルや石材やセメント系パネルなどにより形成されている。プレート113は、プレート113の下に敷き詰められたモルタル109が硬化する前において、作業者がプレート113の上に載って作業を行うことができる強度を有する。
【0041】
ステップS109に関して前述したように、モルタル109は、脚体107の上面107aの高さよりも例えば約2mm〜3mm程度高い位置まで敷き詰められている一方で、モルタル109を形成する材料同士の間に隙間を有する。また、プレート113を設置した際には、モルタル109は、まだ硬化していない。そのため、敷き詰めたモルタル109の上にプレート113を設置した後、そのプレート113を下方へ押すことによりモルタル109を圧縮し、プレート113の下面113aを脚体107の上面107aに当接させることができる。
【0042】
また、図7に表したように、プレート113は、開口部113bを有する。開口部113bは、器具を床面に設置するときに固定するための固定具取り付け位置に設けられている。そして、プレート113に形成された開口部113bの位置がモルタル109の除去部111の位置に合うようにする。
【0043】
続いて、図8に表したように、プレート113の開口部113bを介してモルタル109の除去部111に速硬性モルタル105を流し込み充填させる(ステップS115)。このとき、除去部111に流し込んだ速硬性モルタル105の上面105aの高さがプレート113の上面113cの高さと略同じとなるようにする。また、プレート113の外周と、凹部101の側面101aと、の間の隙間に速硬性モルタル105を流し込み充填させる(ステップS115)。このときにも、プレート113の外周と、凹部101の側面101aと、の間の隙間に流し込んだ速硬性モルタル105の上面105aの高さがプレート113の上面113cの高さと略同じとなるようにする。
【0044】
続いて、図9に表したように、床面に設置する器具が例えば洋風便器である場合には、洋風便器301をプレート113の上に載置する。そして、速硬性モルタル105が硬化した後、除去部111に流し込んだ速硬性モルタル105に洋風便器301の固定具303や接続部材の固定具323(図23参照)を固定する。なお、器具は洋風便器に限定されるわけではない。
【0045】
本実施形態によれば、脚体107は、モルタル109が硬化していなくとも、プレート113にかかる荷重を支えることができる。そのため、モルタル109が硬化していなくとも、プレート113をモルタル109の上に設置した後すぐに、作業者は、プレート113の上に載って作業を行うことができる。また、モルタル109が硬化していなくとも、作業者は、プレート113の上に載って作業を進めることができるため、床面の改修工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0046】
また、図7に表したように、プレート113の下にはモルタル109が充填されている。そのため、モルタル109は、硬化した後にはプレート113にかかる荷重を面全体で支えることができる。そのため、プレート113は、第1の充填材109が硬化する前に作業者が上に載って作業可能な強度を有していればよく、プレート113を形成する材料を比較的高強度を有する材料に限定せず、比較的自由に選択することができる。
【0047】
また、ステップS115において、除去部111に流し込んだ速硬性モルタル105、およびプレート113の外周と凹部101の側面101aとの間の隙間に流し込んだ速硬性モルタル105が硬化すると、硬化した速硬性モルタル105は、プレート113に対して垂直方向だけでなく横方向(水平方向)にかかる荷重も支えることができる。そのため、プレート113の位置がずれることを防止することができる。また、ステップS113およびステップS115に関して前述したように、プレート113をモルタル109の上に設置した後に、プレート113の開口部113bを介してモルタル109の除去部111に速硬性モルタル105を流し込む。そのため、モルタル109および速硬性モルタル105と、プレート113と、をより確実に密着させることができる。そして、流し込んだ速硬性モルタル105の上面105aの高さがプレート113の上面113cの高さと略同じとなるようにすることができる。これにより、プレート113をより強固に固定することができる。但し、速硬性モルタル105の上面105aの高さは、プレート113の上面113cの高さと略同じに限定されるわけではなく、プレート113の下面113aと、プレート113の上面113cと、の間の位置であればよい。ここで、「プレート113の下面113aと、プレート113の上面113cと、の間の位置」という範囲には、プレート113の下面113aと同じ高さの位置、およびプレート113の上面113cと同じ高さの位置が含まれるものとする。
【0048】
さらに、プレート113をモルタル109の上に設置した後すぐに、例えば洋風便器301などの器具をプレート113の上に取り付けることができる。そのため、改修工事の工期の短縮化を図ることができる。また、プレート113の開口部113bは、器具の固定具取り付け位置に設けられている。そのため、プレート113に新たに別の穴を設ける必要はなく、除去部111に流し込んだ速硬性モルタル105の部分に固定具を取り付けることができる。
【0049】
次に、本実施形態の変形例にかかる床面の改修工法について、図面を参照しつつ説明する。
図10は、本実施形態の変形例にかかる床面の改修工法を表すフローチャート図である。
また、図11は、本変形例にかかる床面の改修工法の一部を表す断面模式図である。
なお、図11は、図5(a)に表した切断面A−Aにおける断面模式図に相当する。
【0050】
本変形例にかかる床面の改修工法では、図10に表したように、図1に関して前述した床面の改修工法に対して、ステップS111およびステップS113の順序が逆となっている。すなわち、本変形例にかかる床面の改修工法では、図11に表したように、まず先に、敷き詰めたモルタル109の上にプレート113を設置する(ステップS113)。その後、例えば洋風便器などの器具を設置するときの器具固定具の位置に相当する部分のモルタル109をプレート113の開口部113bを介して除去する(ステップS111)。プレート113の開口部113bを介してモルタル109を部分的に除去した状態は、図7に表した状態と同様である。本変形例のその他の床面の改修工法は、図1〜図9に関して前述した床面の改修工法と同様である。
【0051】
本変形例によれば、プレート113の開口部113bを介してモルタル109を部分的に除去するため、プレート113に形成された開口部113bの位置を速硬性モルタル105を流し込む除去部111の位置により容易に合わせることができる。また、図1〜図9に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0052】
次に、本発明の他の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図12は、本発明の他の実施の形態にかかるトイレ改修工法を表すフローチャート図である。
また、図13〜図17は、本実施形態にかかるトイレ改修工法を表す模式図である。
なお、図13〜図17(a)は、トイレ室の改修箇所を上方から眺めた斜視模式図である。図17(b)は、図17(a)に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
【0053】
本実施形態にかかるトイレ改修工法では、図13に表したように、段差部202を有する床面に設置された和風便器311を洋風便器301(図9参照)に改修する。本実施形態にかかるトイレ改修工法では、まず、段差部202を有する床面に設置された和風便器311を除去する(ステップS201)。続いて、図14に表したように、和風便器311の排水管315を残したままで段差部202を除去し凹部204を形成する(ステップS203)。上段床面201、段差部202、および下段床面(既設の床面)203は、例えばタイルや石材やコンクリートなどにより形成されている。但し、上段床面201、段差部202、および下段床面203の材料は、これだけに限定されるわけではない。
【0054】
ハツリ作業を行った後の凹部204の底面は、不陸な状態となっている。そのため、図15に表したように、凹部204の不陸調整のために捨打ちモルタル104を凹部204に打設する(ステップS205)。これは、図3に関して前述した如くである。
【0055】
図15に表したように、捨打ちモルタル104が凹部204に打設された後でも、捨打ちモルタル104の上面は、下段床面203よりも低い位置に存在する。そのため、凹部204の形状は、捨打ちモルタル104が打設された後でも維持されている。これにより、本願明細書においては、凹部204の底面という範囲には、凹部204に打設された捨打ちモルタル104の上面が含まれるものとする。
【0056】
続いて、排水管315が残っているため、排水管315の位置に合わせて、設置する洋風便器301の墨出しを行う。そして、図16に表したように、高さを調整可能な複数の脚体107を凹部204の底面(本実施形態では凹部204に打設された捨打ちモルタル104の上面)に設置する(ステップS207)。これは、図4に関して前述した如くである。
【0057】
続いて、例えばレーザ墨出し器などにより脚体107のレベル出しを適宜実施する。そして、凹部204に打設された捨打ちモルタル104の上面にプライマを塗布する(ステップS209)。これは、図1に表したステップS107に関して前述した如くである。
【0058】
続いて、図17(a)および図17(b)に表したように、凹部204に打設された捨打ちモルタル104の上面にモルタル109を敷き詰める(ステップS211)。このとき、図17(b)に表したように、脚体107の上面107aの高さよりも例えば約2mm〜3mm程度高い位置までモルタル109を敷き詰める。但し、モルタル109は、脚体107の上面107aの高さと同じ高さあるいは上面107aよりも高く敷き詰められ、プレート113を下方に押しつけるように設置したときに圧縮され、プレート113の下面が脚体107の上面に接することができる高さを有していればよい。これは、図5に関して前述した如くである。
【0059】
続いて、図12に表したステップS213〜ステップS217のトイレ改修工法は、図1に表したステップS111〜ステップS115に関して前述した床面の改修工法と同様である。
続いて、和風便器311の排水管315と洋風便器301の排水口とを例えば排水ソケットや排水接続管などの接続部材を介して接続し、洋風便器301をプレート113の上に載置する。そして、除去部111に流し込んだ速硬性モルタル105が硬化した後、速硬性モルタル105に洋風便器301の固定具303や接続部材の固定具323(図23参照)を固定する。
【0060】
本実施形態によれば、脚体107は、モルタル109が硬化していなくとも、プレート113にかかる荷重を支えることができる。そのため、モルタル109が硬化していなくとも、プレート113をモルタル109の上に設置した後すぐに、作業者は、プレート113の上に載って作業を行うことができる。これにより、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0061】
また、プレート113の開口部113bは、洋風便器301の固定具303や接続部材の固定具323(図23参照)の取り付け位置に設けられている。そのため、プレート113に新たに別の穴を設ける必要はなく、除去部111に流し込んだ速硬性モルタル105の部分に固定具を取り付けることができる。
さらに、プレート113の下にはモルタル109が充填されている。そのため、モルタル109は、硬化した後にはプレート113にかかる荷重を面全体で支えることができる。そのため、プレート113は、第1の充填材109が硬化する前に作業者が上に載って作業可能な強度を有していればよく、プレート113を形成する材料を比較的高強度を有する材料に限定せず、比較的自由に選択することができる。例えば、タイルや石材などのようにプレート113の下に空洞が存在すると衝撃で割れるおそれがあるような材料であっても、プレート113の材料として使用することができる。
また、図1〜図9に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0062】
次に、本実施形態のプレートの設置形態等の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図18は、本実施形態のプレートの設置形態の具体例を例示する平面模式図である。
また、図19は、本実施形態の脚体の設置形態の具体例を例示する平面模式図である。 また、図20は、本実施形態の脚体の設置形態の他の具体例を例示する平面模式図である。
なお、図18〜図20は、トイレ室を上方から眺めた平面模式図である。
【0063】
図18に表した具体例では、敷き詰められたモルタル109の上に、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、が設置されている。第1のプレート221は、第1の開口部221aと、第2の開口部221bと、第3の開口部221cと、を有する。第1の開口部221aおよび第3の開口部221cは、洋風便器301を第1のプレート221に設置するときに固定するための固定具取り付け位置に設けられている。第2の開口部221bは、残された和風便器311の排水管315が設置されている位置に設けられている。そして、第1のプレート221は、凹部204の略中央部に設置されている。
【0064】
第2のプレート222および第3のプレート223は、第1のプレート221の両側に設置されている。第2のプレート222および第3のプレート223の大きさは、トイレ室の大きさに合わせて適宜調整される。言い換えれば、第2のプレート222および第3のプレート223を用いることで、トイレ室の間口の調整を行うことができる。下段床面203の側に配置された第1〜第3のプレート221、222、223の端部は、下段床面203の上に載置されている。これについては、後に詳述する。
【0065】
図18に表した第1〜第3のプレート221、222、223の設置形態では、例えば図19に表したように、脚体107は、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、のそれぞれの四隅に配置される。これによれば、第1〜第3のプレート221、222、223のレベルを確保しつつ、モルタル109が硬化していなくとも、第1〜第3のプレート221、222、223をモルタル109の上に設置した後すぐに、作業者は、第1〜第3のプレート221、222、223の上に載って作業を行うことができる。
【0066】
あるいは、図18に表した第1〜第3のプレート221、222、223の設置形態では、例えば図20に表したように、脚体107は、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、のそれぞれの四隅および中央部に配置される。これによれば、モルタル109が硬化していない場合に、作業者が第1〜第3のプレート221、222、223の上に載って作業を行うときの第1〜第3のプレート221、222、223の変形や破損などをより確実に防止することができる。また、プレートの四隅に設置される脚体107は、2枚のプレートにまたがって設置されていてもよい。
【0067】
図21は、速硬性モルタルの打設範囲の具体例を例示する平面模式図である。
また、図22は、速硬性モルタルの打設範囲の他の具体例を例示する平面模式図である。
なお、図21および図22は、トイレ室を上方から眺めた平面模式図である。
【0068】
例えば図18〜図20に関して前述したように第1〜第3のプレート221、222、223を設置した後、第1のプレート221の第1の開口部221aおよび第2の開口部221bを介してモルタル109の除去部111(図6および図7参照)に速硬性モルタル105を打設する。これは、図1に表したステップS115あるいは図2に表したステップS217に関して前述した如くである。
【0069】
第1のプレート221の第1の開口部221aを介して打設される速硬性モルタル105の第1の打設範囲105bは、図21に表した如くである。つまり、速硬性モルタル105の第1の打設範囲105bについては、第1のプレート221の第1の開口部221aの開口範囲よりも広くすることもできる。
また、第1のプレート221の第2の開口部221bを介して打設される速硬性モルタル105の第2の打設範囲105cは、図21に表した如くである。つまり、速硬性モルタル105の第2の打設範囲105cについては、第1のプレート221の第2の開口部221bの開口範囲よりも広くすることもできる。
【0070】
速硬性モルタル105の第1の打設範囲105bについては、第1のプレート221の第1の開口部221aの開口範囲から約50ミリメートル(mm)程度周囲に広がった範囲とすることもできる。つまり、図21に表したように、速硬性モルタル105の第1の打設範囲105bの一端部と、その一端部に近い位置に設けられた第1のプレート221の第1の開口部221aの一端部と、の間の距離D1は、約50mm程度である。
【0071】
また、速硬性モルタル105の第2の打設範囲105cについては、第1のプレート221の第2の開口部221bの開口範囲から約50mm程度周囲に広がった範囲とすることもできる。つまり、図21に表したように、速硬性モルタル105の第2の打設範囲105cの一端部と、その一端部に近い位置に設けられた第1のプレート221の第2の開口部221bの一端部と、の間の距離D2は、約50mm程度である。
【0072】
図22に表したように、第1のプレート221の開口部の形状は、略円形であってもよい。すなわち、図22に表した第1のプレート221は、略円形の形状を有する第1の開口部221dと、略円形の形状を有する第2の開口部221eと、略円形の形状を有する第3の開口部221fと、を有する。
【0073】
そして、第1のプレート221の第1の開口部221dを介して打設される速硬性モルタル105の第1の打設範囲105dは、図22に表した如くである。速硬性モルタル105の第1の打設範囲105dについては、第1のプレート221の第1の開口部221dの開口範囲から約50mm程度周囲に広がった範囲とすることもできる。
また、第1のプレート221の第2の開口部221eを介して打設される速硬性モルタル105の第2の打設範囲105eは、図22に表した如くである。速硬性モルタル105の第2の打設範囲105eについては、第1のプレート221の第2の開口部221eの開口範囲から約50mm程度周囲に広がった範囲とすることもできる。
【0074】
その他の構造や第1〜第3のプレート221、222、223の設置形態などは、図21に関して前述した構造や第1〜第3のプレート221、222、223の設置形態などと同様である。
図22に表したように、第1のプレート221が略円形の形状を有する第1の開口部221dと、略円形の形状を有する第2の開口部221eと、を有する場合でも、後述するように、作業者は、第1のプレート221の上に洋風便器301を取り付けることができる。
【0075】
図23は、洋風便器の設置形態の具体例を例示する平面模式図である。
また、図24は、図23に表した切断面C−Cにおける断面模式図である。
また、図25は、図23に表した切断面D−Dにおける断面模式図である。
なお、図23は、トイレ室を上方から眺めた平面模式図である。
【0076】
第1のプレート221の第1の開口部221aを介して打設された速硬性モルタル105が硬化した後、洋風便器301の固定具303が第1のプレート221の第1の開口部221aを介して速硬性モルタル105に固定される。また、洋風便器301の固定具303が第1のプレート221の第3の開口部221cを介して下段床面203に固定される。また、第1のプレート221の第2の開口部221bを介して打設された速硬性モルタル105が硬化した後、排水接続部材のフランジ部321の固定具323が第1のプレート221の第2の開口部221bを介して速硬性モルタル105に固定される。
【0077】
図25に表したように、下段床面203の側に配置された第1のプレート221の端部は、下段床面203の上に載置されている。下段床面203の上に載置された第1のプレート221の端部は、例えばエポキシ系接着剤などにより下段床面203に接着され固定されている。下段床面203の側に配置された第1のプレート221の端部には、テーパ部221hが設けられている。これらは、第2のプレート222および第3のプレート223についても同様である。これによれば、トイレ室の既存の床面(下段床面203)を撤去することなく、段差部202(図13参照)を撤去することにより本実施形態にかかるトイレ改修工事を実施することができる。そのため、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0078】
図23および図24に表したように、第1〜第3のプレート221、222、223の外周と、凹部204の側面204aと、の間の隙間には、速硬性モルタル105が打設されている。これにより、第1〜第3のプレート221、222、223の位置がずれることを防止することができる。また、図24に表したように、捨打ちモルタル104の上面には、接着剤108を介して脚体107が設置されている。そして、脚体107の上面に接触するようにして第1のプレート221がモルタル109の上に設置されている。これは、第2のプレート222および第3のプレート223についても同様である。
【0079】
第1〜第3のプレート221、222、223の上、且つ洋風便器301の後方には、キャビネット231が設置されている。キャビネット231は、凹部204の側面204aすなわちハツリ部分を覆い隠すことができる。そのため、キャビネット231は、段差部202の撤去跡を覆い隠し、トイレ室内の見栄えをより良くすることができる。
【0080】
なお、本願明細書においては、第1〜第3のプレート221、222、223の上面あるいは下段床面203と平行な方向であって、洋風便器301に座った使用者からみて前方を「前方」とし、洋風便器301に座った使用者からみて後方を「後方」とする。
【0081】
次に、本実施形態のプレートの設置形態の他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図26は、本実施形態のプレートの設置形態の他の具体例を例示する平面模式図である。
また、図27は、図26に表した切断面E−Eにおける断面模式図である。
なお、図26は、トイレ室を上方から眺めた平面模式図である。
【0082】
図26に表したトイレ室の下段床面203には、凹部204の近傍に掃除口207が設けられている。掃除口207が下段床面203に設けられている場合において、図23〜図25に関して前述したように第1〜第3のプレート221、222、223の端部を下段床面203の上に載置させるときには、第1〜第3のプレート221、222、223の少なくともいずれかに穴などを形成し、掃除口207を露出させる必要がある。しかしながら、プレートの掃除口207の位置に開口を設けることは困難な場合がある。
【0083】
そこで、本具体例では、図27に表したように、第1のプレート221の端部を下段床面203の上に載置させることなく、第1のプレート221の端面221iと下段床面203の端面203aとを対向させる。そして、第1のプレート221の上面の高さが下段床面203の高さと略同じとなるようにする。第1のプレート221の端面221iと、下段床面203の端面203aと、の間の隙間には、目地材241を設置する。
【0084】
本具体例によれば、掃除口207が下段床面203に設けられている場合でも、本実施形態にかかるトイレ改修工事を実施することができる。そのため、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図ることができる。
【0085】
次に、本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図28は、本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
【0086】
図28に表した具体例では、キャビネット231(図23および図24参照)が洋風便器301の後方に設置される。本具体例では、敷き詰められたモルタル109の上に、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、第4のプレート224と、が設置されている。第4のプレート224は、第1〜第3のプレート221、222、223の後方に設置されている。キャビネット231は、第4のプレート224の上に設置される。なお、本具体例では、キャビネット231が設置される部分に第4のプレート224を設置することなく、モルタル109で仕上げ処理が行われていてもよい。つまり、モルタル109の上面が露出し、硬化したモルタル109の上にキャビネット231が設置されてもよい。
【0087】
下段床面203の側に配置された第1〜第3のプレート221、222、223の端部は、下段床面203の上にそれぞれ載置されている。下段床面203は、例えばタイルや石材やコンクリートなどにより形成されている。そして、下段床面203の側に配置された第1〜第3のプレート221、222、223の端部には、テーパ部221h、222h、223hがそれぞれ設けられている。
【0088】
図28に表した具体例では、トイレ室の既存の床面(下段床面203)を撤去しないため、ハツリ部分をより小さくすることができる。そのため、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図ることができる。図28に表した具体例では、例えば、約1日間程度でトイレ改修工事を完了することができる。
【0089】
図29は、本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
図29(a)および図29(b)に表した具体例では、トイレ室の既存の床面(下段床面203)の上に、例えば塩化ビニルなどにより形成されたシート材209が設置されている。図29(a)および図29(b)に表した具体例におけるプレートの設置形態は、図28(a)および図28(b)に関して前述した具体例におけるプレートの設置形態とそれぞれ同様である。
【0090】
すなわち、シート材209の側に配置された第1〜第3のプレート221、222、223の端部は、シート材209の上にそれぞれ載置されている。そして、シート材209の側に配置された第1〜第3のプレート221、222、223の端部には、テーパ部221h、222h、223hがそれぞれ設けられている。また、図29(b)に表した具体例では、キャビネット231が設置される部分に第4のプレート224を設置することなく、モルタル109で仕上げ処理が行われていてもよい。
【0091】
図29(a)および図29(b)に表した具体例では、トイレ室の既存の床面を撤去せず、下段床面203の上にシート材209を設置する。そのため、ハツリ部分をより小さくすることができる。これにより、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図りつつ、トイレ室の見栄えをより良くすることができる。図29(a)および図29(b)に表した具体例では、例えば、約1日間程度のトイレ改修工事を2週間に跨ぐことで完了することができる。つまり、図29(a)および図29(b)に表した具体例では、例えば、約2日間程度でトイレ改修工事を完了することができる。
【0092】
図30は、本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
また、図31は、図30に表した切断面F−Fにおける断面模式図である。
【0093】
図30に表した具体例では、トイレ室の既存の床面(下段床面203)の上に、例えば塩化ビニルなどにより形成されたシート材209が設置されている。具体的には、図31に表したように、速硬性モルタル105が下段床面203の上に打設されている。そして、その速硬性モルタル105の上に、シート材209が設置されている。
【0094】
第1のプレート221は、第1のプレート221の上面の高さがシート材209の上面の高さと略同じとなるように設置されている。第1のプレート221の端面と、シート材209の端面と、の間の隙間には、目地材241が設置されている。これらは、第2のプレート222および第3のプレート223についても同様である。
【0095】
図31に表したように、シート材209は、トイレ室の壁面205に沿って上方へ延在している。シート材209の上面から上方へ延在したシート材209の端部までの距離D3は、例えば約100mm程度である。これにより、トイレ室の床面の清掃性を向上させることができる。上方へ延在したシート材209の端部には、見切り材243が設けられている。
【0096】
図30に表した具体例では、敷き詰められたモルタル109の上に、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、が設置されている。
【0097】
図30に表した具体例では、トイレ室の既存の床面(下段床面203)を撤去せず、下段床面203の上に打設された速硬性モルタル105の上にシート材209を設置する。そのため、ハツリ部分をより小さくすることができる。これにより、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図りつつ、トイレ室の見栄えをより良くすることができる。図30に表した具体例では、例えば、約1.5日間程度でトイレ改修工事を完了することができる。
【0098】
図32は、本実施形態のプレートの設置形態のさらに他の具体例を例示する平面模式図である。
また、図33は、図32(a)に表した切断面H−Hにおける断面模式図である。
【0099】
図32(a)および図32(b)に表した具体例では、トイレ室の既存の床面(下段床面203)を除去した後、例えば陶磁器質タイルや石材やセメント系パネルなどにより形成されたプレートがトイレ室の床面全体に配置されている。
【0100】
具体的には、図33に表したように、下段床面203を除去し凹部204を形成する。続いて、凹部204の不陸調整のために、捨打ちモルタル104を凹部204に打設する。続いて、捨打ちモルタル104の上面に、接着剤108を介して脚体107を設置する。そして、脚体107の上面に接触するようにして第4のプレート224をモルタル109の上に設置する。これは、図32(a)に表した第1〜第3のプレート221、222、223および第5のプレート225、ならびに図32(b)に表した第1〜第4のプレート221、222、223、224についても同様である。
【0101】
トイレ室の壁面205には、第4のプレート224の上面からトイレ室の壁面205に沿って上方へ延在する第6のプレート226が設けられている。第4のプレート224の上面から第6のプレート226の端部までの距離D4は、例えば約100mm程度である。第4のプレート224と第6のプレート226との境界部には、目地材241が設けられている。これらにより、トイレ室の床面の清掃性を向上させることができる。
【0102】
図32(a)に表した具体例では、敷き詰められたモルタル109の上に、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、第4のプレート224と、第5のプレート225と、が設置されている。第4のプレート224および第5のプレート225は、第1〜第3のプレート221、222、223の前方に設置されている。
【0103】
図32(b)に表した具体例では、敷き詰められたモルタル109の上に、第1のプレート221と、第2プレート222と、第3のプレート223と、第4のプレート224と、が設置されている。第4のプレート224は、第1〜第3のプレート221、222、223の前方に設置されている。
【0104】
図32(a)および図32(b)に表した具体例では、下段床面203を除去し凹部204を形成する。そして、その凹部204に脚体107を設置し、脚体107の上面に接触するようにしてプレートをモルタル109の上に設置する。このようにして、トイレ室の床面全体にプレートを配置する。これによれば、段差部202に設置された和風便器311を洋風便器301に改修する工事の工期の短縮化を図りつつ、トイレ室の見栄えをさらに良くすることができる。図32(a)および図32(b)に表した具体例では、例えば、約1.5日間程度でトイレ改修工事を完了することができる。
【0105】
以上、図18〜図33を参照しつつ、トイレ改修工法を例に挙げてプレートの設置形態の具体例について説明した。これらの具体例については、床面の改修工法についても適用可能である。例えば、図7および図8に表したプレート113の端部は、既設の床面103(図8参照)の上に載置されていてもよい。また、既設の床面103の側に配置されたプレート113の端部には、テーパ部が設けられていてもよい。
【0106】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、プレート113や脚体107などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや脚体107あるいは第1〜第3のプレート221、222、223などの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0107】
101 凹部、 101a 側面、 103 床面、 104 捨打ちモルタル、 105 速硬性モルタル、 105a 上面、 105b、105c、105d、105e 打設範囲、 107 脚体、 107a 上面、 108 接着剤、 109 モルタル、 111 除去部、 113 プレート、 113a 下面、 113b 開口部、 113c 上面、 201 上段床面、 202 段差部、 203 下段床面、 203a 端面、 204 凹部、 204a 側面、 205 壁面、 207 掃除口、 209 シート材、 221 第1のプレート、 221a 第1の開口部、 221b 第2の開口部、 221c 第3の開口部、 221d 第1の開口部、 221e 第2の開口部、 221f 第3の開口部、 221h テーパ部、 221i 端面、 222 第2のプレート、 222h テーパ部、 223 第3のプレート、 223h テーパ部、 224 第4のプレート、 225 第5のプレート、 226 第6のプレート、 231 キャビネット、 241 目地材、 243 見切り材、 301 洋風便器、 303 洋風便器の固定具、 311 和風便器、 315 排水管、 321 フランジ部、 323 接続部材の固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に凹部を形成し、
前記凹部の底面に高さ調整可能な複数の脚体を設置し、
前記脚体の上面と同じ位置又は前記脚体の上面よりも高い位置まで硬化性を有する第1の充填材を前記凹部に敷き詰め、
前記敷き詰めた前記第1の充填材の上にプレートを設置し、前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させることを特徴とする床面の改修工法。
【請求項2】
前記プレートは、所定位置に形成された開口部を有し、
前記開口部の位置に前記第1の充填材を前記凹部の底面まで取り除いた除去部を形成し、
硬化性を有し硬化時間が前記第1の充填材の硬化時間よりも短い第2の充填材を前記除去部に流し込むことを特徴とする請求項1記載の床面の改修工法。
【請求項3】
前記床面は、トイレ室の床面であり、
前記開口部が形成された前記所定位置は、前記トイレ室に設置される便器を前記床面に固定するための固定具取り付け位置であることを特徴とする請求項2記載の床面の改修工法。
【請求項4】
前記プレートは、陶磁器質タイル、石材、およびセメント材パネルの少なくともいずれかにより形成され、前記プレートの下に設けられた前記第1の充填材が硬化する前に前記プレートの上に載って作業可能な強度を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の床面の改修工法。
【請求項5】
前記プレートは、テーパ部が形成された端部を有し、
前記端部を既設の床面に載置することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の床面の改修工法。
【請求項6】
段差部を有する床面に設置された和風便器を洋風便器に改修するトイレ改修工法であって、
前記和風便器を除去し、
前記和風便器の排水管を残したままで前記段差部を除去して前記床面に凹部を形成し、
前記凹部の底面に高さ調整可能な複数の脚体を設置し、
前記脚体の上面と同じ位置又は前記脚体の上面よりも高い位置まで硬化性を有する第1の充填材を前記凹部に敷き詰め、
前記敷き詰めた前記第1の充填材の上にプレートを設置し、前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させ、
前記和風便器の前記排水管と前記洋風便器の排水口とを接続部材を介して接続し、前記プレートの上に前記洋風便器を載置することを特徴とするトイレ改修工法。
【請求項7】
前記プレートにおける前記洋風便器または前記接続部材の固定具の位置に開口部を形成し、
前記開口部の位置に前記第1の充填材を前記凹部の底面まで取り除いた除去部を形成し、
前記プレートの下面を前記脚体の上面に接触させた後に、硬化性を有し硬化時間が前記第1の充填材の硬化時間よりも短い第2の充填材を前記除去部に流し込み、前記第2の充填材の上面の位置を前記プレートの下面と前記プレートの上面との間の位置とし、
前記第2の充填材が硬化した後に、前記洋風便器の前記固定具を前記第2の充填材に固定することを特徴とする請求項6記載のトイレ改修工法。
【請求項8】
前記プレートは、陶磁器質タイル、石材、およびセメント材パネルの少なくともいずれかにより形成され、前記プレートの下に設けられた前記第1の充填材が硬化する前に前記プレートの上に載って作業可能な強度を有することを特徴とする請求項6または7に記載のトイレ改修工法。
【請求項9】
前記プレートは、テーパ部が形成された端部を有し、
前記端部を既設の床面に載置することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載のトイレ改修工法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2013−92027(P2013−92027A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236323(P2011−236323)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】