説明

床面埋設型誘導灯装置

【課題】導光板の上面側に配置した透光性部材の全体に均一な光量の光を照射できるようにする。
【解決手段】透光性部材2の下方に配置されるホルダ3に、導光板保持部31及び1対の光源ユニット保持部32,33を形成した。光源ユニット保持部32,33は、導光板保持部31の左右で導光板保持部31を挟んで回転対称となる形状に形成した。光源ユニット保持部32,33の各々に収納された1対の光源ユニット5は、導光板保持部31に収納された導光板を挟んで互いに回転対称となる位置に配置される。1対の光源ユニット5,5の各々から、長手方向の一方に偏った位置に光量のピークがある状態の光が照射されても、導光板4の内部では端面4A,4Bの長手方向の各位置で補完し合い、導光板4の全面について略均一な入射光量が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、避難口の所在を表示する誘導灯装置であって、特に、床面に埋設される床面埋設型誘導灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
施設に設置されて避難口の所在を表示する誘導灯装置として、床面に埋設される床面埋設型誘導灯装置がある。床面埋設型誘導灯装置は、避難口の所在を示す情報が表記された透光性部材を床面に略面一に配置し、透光性部材を下方から照射する光源を備えている。
【0003】
近年、誘導灯装置の光源として、冷陰極管よりも長寿命で消費電力の少ないLEDが使用されている。床面埋設型誘導灯装置についても、光源としてLEDの使用が考えられる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
誘導灯装置では、透光性部材に表記された情報を視認し易くするために、透光性部材の全面について均一な照度となるように光源から光を照射すべきである。ところが、LEDの発光部は透光性部材の表示面に比較して十分に小さいため、誘導灯装置の光源にLEDを使用する場合には、透光性部材の全面についてLEDの光源イメージを生じないようにする必要がある。このため、LEDを光源とする床面埋設型誘導灯装置に、一般的なLED面発光装置に使用されている技術を適用することが考えられる。
【0005】
LEDを光源とする床面埋設型誘導灯装置に適用可能な従来のLED面発光装置としては、端面から入射した光を拡散させる光拡散体を内部又は背面に備えた矩形の導光板と、光板の一端面に対向する複数のLEDと、を備えたものがある(例えば、特許文献2〜4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−111104号公報
【特許文献2】特許第3267119号公報
【特許文献3】特許第4221816号公報
【特許文献4】特許第4411732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、床面埋設型誘導灯装置に適用可能な従来のLED面発光装置では、LEDを導光板の端面に対向させて配置していたため、端面の長手方向に沿って複数のLEDを備える必要がある。また、導光板の一方の端面(入射端面)のみから導光板内に光を入射させており、入射端面に平行な他方の端面側の光量が入射端面側の光量よりも少なくなる。このため、導光板の全面について均一な光量を確保するためには、導光板内の光拡散体の量や導光板の背面に配置する反射体の量を入射端面に直交する方向について調整する必要が生じる。
【0008】
この発明の目的は、導光板の互いに平行な第1及び第2の端面の各々に、光量のピーク位置が偏った光を照射する1対の光源ユニットを互いに回転対称となるように配置することで、導光板の上面側に配置した透光性部材の全体に均一な光量の光を照射できる床面埋設型誘導灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の床面埋設型誘導灯装置は、上記の課題を解決するために、透光性部材、導光板、1対の光源ユニット、ホルダを備えている。透光性部材は、避難口の所在を示す情報が表記され、上面を床面に面一にして配置される。導光板は、互いに平行な第1及び第2の端面から入射した光を上面から出射させる。1対の光源ユニットの各々は、光量のピークを第1及び第2の端面の長手方向について一端側に偏った位置に配置している。ホルダは、導光板保持部、1対の光源ユニット保持部を有する。導光板保持部は、透光性部材の下方で導光板の上面が透光性部材の底面に対向するように導光板を保持する。1対の光源ユニット保持部は、1対の光源ユニットの各々を第1及び第2の端部に対向させた状態で導光板を挟んで互いに回転対称となる位置に保持する。
【0010】
この構成によれば、1対の光源ユニットの各々から導光板の第1及び第2の端面の各々に入射した光が、導光板の上面から出射して透光性部材を底面側から上面側に向かって通過し、透光性部材に表記された情報が床面の上方から視認される。1対の光学ユニットから照射された光は、第1及び第2の端面の長手方向について一端側に偏って光量のピークが位置する。1対の光学ユニットは導光板の第1及び第2の端面で導光板を挟んで互いに回転対称となる位置に配置されるため、第1の端面と第2の端面とで長手方向の反対の位置に光量のピークが位置し、全面について均一な光量の光が導光板に入射する。
【0011】
この構成において、光源ユニットを筐体、反射板及びLED基板から構成することが好ましい。筐体は、第1及び第2の端面の各々より短い開口部を有し、内部に反射板及びLED基板を収納する。反射板は、筐体の長手方向に沿って開口部の反対側に凸となる形状の反射面を有する。LED基板は、筐体の長手方向における反射板の一端側から筐体の長手方向に沿って反射面に光を照射するLED、及びLEDに電気的に接続された端子を筐体の長手方向に直交する面に実装し、端子を実装した端子部を筐体の外部に露出させる。
【0012】
これによって、各々が単一のLEDを有する1対の光源ユニットの各々から導光板の全面に均一な光量の光を導光板の内部に入射させることができる。
【0013】
また、ホルダは、1対の光源ユニット保持部の各々の一端部で端子部を収納する1対の端子収納部であって底面が開放した1対の端子部収納部と、を有するものとすることが好ましい。
【0014】
これによって、ホルダの底面側にLED基板の端子部を露出させることができ、導光板の下方に配置した電源部からLEDへの電源ラインがホルダの外側に露出することがなく、装置を埋設するためのスペースを小型化できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、導光板の上面側に配置した透光性部材の全体に均一な光量の光を照射できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施形態に係る床面埋設型誘導灯装置の平面図である。
【図2】同床面埋設型誘導灯装置の断面図である。
【図3】同床面埋設型誘導灯装置の内部構造を示す平面図である。
【図4】同床面埋設型誘導灯装置の要部の組立図である。
【図5】同床面埋設型誘導灯装置のホルダの底面図である。
【図6】(A)及び(B)は、ホルダに対する光源ユニットの装着時及び取外し時の作業を説明する図である。
【図7】同床面埋設型誘導灯装置の導光板に入射した光の光量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明の実施形態に係る床面埋設型誘導灯装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1〜図3に示すように、床面埋設型誘導灯装置10は、施設の床面100に埋設されて避難口の所在を表示する。このため、床面埋設型誘導灯装置10は、ケース1、透光性部材2、ホルダ3、導光板4、光源ユニット5、シャシー6、電源回路7、枠体8を備えている。
【0019】
ケース1は、上面が開口した偏平直方体形状を呈する筐体であり、一例として金属平板をプレス加工して形成されている。ケース1は、内部に透光性部材2、ホルダ3、導光板4、光源ユニット5、シャシー6、電源回路7を収納し、上面の開口の周縁部に枠体8が固定される。
【0020】
透光性部材2は、一例として矩形の強化ガラス2Aと表示板2Bとからなる。表示板2Bは、一例として透光性樹脂からなり、表面又は裏面に避難口の所在を示す情報として図形21,22が遮光性塗料によって表記されている。強化ガラス2Aは、縁部を弾性体のパッキン9を挟んで枠体8によって下方に押圧された状態で、上面が床面100に面一になるようにケース1の開口内に配置される。
【0021】
なお、強化ガラス2Aの下面に図形21,22を遮光性塗料によって表記することで、表示板2Bを省略してもよい。また、透光性部材2は、透光性を有し、十分な強度を有することを条件に、強化ガラス以外の材料を用いることができる。
【0022】
ホルダ3は、ケース1の内部における透光性部材2の下方でシャシー6の上方の位置に、導光板4及び一対の光源ユニット5を保持する。
【0023】
導光板4は、一位として透明樹脂材料中に光拡散体を均一に分散させた矩形の板状体である。導光板4は、端面から入射した光を光拡散体によって拡散させ、上面側に出射させる。表示板2Bは、導光板4の上面に密着させて配置される。
【0024】
光源ユニット5は、一例として単一のLED及び湾曲面で構成された反射板を樹脂製の長尺状の筐体内に収納しており、反射板で反射したLEDの光を筐体の開口面から外部に照射する。
【0025】
シャシー6は、一例として金属平板をプレス加工して形成され、電源回路7等の電気部品を搭載してケース1の内部底面に固定される。
【0026】
電源回路7は、光源ユニット5のLEDに電源を供給する。電源回路7は、電源のオン/オフや供給電力量の調整を赤外光や電波を介して外部から受け付けるものであってもよい。
【0027】
枠体8は、ケース1の鍔部にネジ止めされる。枠体8を透光性部材2の縁部の上方に位置するようにケース1に固定することで、ケース1内でシャシー8の上端にホルダ3の底面が当接するとともに、ホルダ3の上端に透光性部材2の底面が当接する。ケース1内におけるホルダ3及び透光性部材2の上下方向の位置が固定される。
【0028】
図4〜図6に示すように、ホルダ3は、一例として白色樹脂を素材とする樹脂成形により、上面が開放した矩形の偏平筐体形状に形成されている。ホルダ3は、導光板4を保持する導光板保持部31、導光板保持部31の左右の各々で光源ユニット5を保持する光源ユニット保持部32,33を有している。光源ユニット保持部32,33は、導光板保持部31の左右で導光板保持部31を挟んで回転対称となる形状に形成されている。
【0029】
導光板4及び一対の光源ユニット5,5をホルダ3の導光板保持部31及び光源ユニット保持部32,32に収納すると、導光板4の第1の端面4A及び第2の端面4Bの各々に1対の光源ユニット5,5の各々の開口部51が近接して対向する。1対の光源ユニット5,5は、導光板4を挟んで互いに回転対称となる状態で配置される。
【0030】
導光板保持部31の4隅には、楔形状の突起311が延出片312の内側面から突出している。延出片312は、導光板4を導光板保持部31内に上方から収納する際に、導光板4と突起311との当接によって外側に弾性変形する。導光板4の下面が導光板維持部31の底面に当接した際に、突起311が導光板4の上面に形成された凹部411に嵌入するように延出片312が元の位置に復帰する。
【0031】
光源ユニット保持部32,33の各々には、長手方向の第1の端部側の1か所に楔形状の突起321が形成されており、第2の端部側の2か所に楔形状の突起322が形成されている。突起321は、ホルダ3の壁面から突出している。突起322は、延出片323の内側面から突出している。
【0032】
図5に示すように、光源ユニット保持部32,33の第2の端部側には、端子収納部34,35が形成されている。端子収納部34,35は、底面がホルダ3の底面側に開放している。光源ユニット5の第2の端部5Bには、基板53の端子部53Aが下方に露出している。端子収納部34,35には、光源ユニット保持部32,33に収納された光源ユニット5,5の各々の端子部53Aが収納される。端子部53Aには、端子収納部34,35内で図示しないソケットが装着される。このソケットは、電源回路7に電源ラインを介して接続されている。
【0033】
図6(A)に示すように、光源ユニット5を光源ユニット保持部32に収納する際には、光源ユニット5の第1の端部5Aを突起321の下方に挿入した後、光源ユニット5の第2の端部5Bを突起322の上面に当接させて下方に押し込む。この際、延出片323が外側に弾性変形する。延出片323は、光源ユニット4の下面が光源ユニット保持部32の底面に当接した際に、突起322の下面が光源ユニット5の第2の端部5Bの上面に当接するように元の位置に復帰する。光源ユニット保持部33に光源ユニット5を収納する際にも同様の作業を行う。
【0034】
光源ユニット5の交換時に、光源ユニット5をホルダ3から取り外す際には、図6(B)に示すように、光源ユニット保持部32の側面に形成された凹部324から、光源ユニット保持部32の底面と光源ユニット5の下面との間にドライバ200等の工具を挿入する。光源ユニット5の上面と突起322との当接によって延出片322を外側に弾性変形させ、光源ユニット5の上面と突起322との当接を解除すると、光源ユニット5が光源ユニット保持部32から離脱する。光源ユニット保持部33から光源ユニット5を取り外す際にも同様の作業を行う。
【0035】
図7に示すように、光源ユニット5の筐体51内には、LED52、反射板54が収納されている。LED52は、第2の端部5B側で基板53に実装されており、基板53の端子部53Aに実装された端子に接続されている。反射板54は、筐体51の長手方向に沿って開口部5Cから離間する側に凸となる形状に湾曲した反射面を備えている。
【0036】
基板53の実装面は、筐体51の長手方向に直交する方向に配置されている。LED52は、筐体51の長手方向に光を照射する。LED52から照射された光は、反射板54の反射面で反射した後に開口部5Cから導光板4の第1の端面4A及び第2の端面4Bを経由して導光板4内に入射する。
【0037】
光源ユニット5は、長手方向の第2の端部5B側に配置された単一のLED52から照射された光を長手方向に沿って出射する。開口部5Cから出射される光の光量は、長手方向について一様とならず、LED52の配置位置に近い第2の端部5B側にピークが位置する。
【0038】
そこで、1対の光源ユニット5を導光板4を挟んで回転対称となる位置に配置することで、1対の光源ユニット5,5から導光板4に入射する光の光量を端面4A,4Bの長手方向の各位置で補完し合う。導光板4の全面について略均一な入射光量を確保することができ、導光板4の上面から透光性部材2の全面に略均一な光量の光を照射することができる。
【0039】
端面4A,4Bの各々から導光板4に入射する光が端面4A,4Bの長手方向の中央部に光量のピークを有する場合には、導光板4内における端面4A,4Bの長手方向の中央部の光量が両端の光量に比較して大きくなる。また、1対の光源ユニット5,5の各々が導光板4を挟んで互いに左右対称となるように配置された場合には、導光板4内における端面4A,4Bの長手方向の一端側の光量が他端側の光量に比較して大きくなる。
【0040】
床面埋設型誘導灯装置10のように、端面4A,4Bの長手方向における一端側に光量のピークが位置する光を照射する光源ユニット5を、導光板4を挟んで回転対称となるように配置することで、導光板4内に全面に均一な光量の光を入射させることができる。
【0041】
導光板4の内部に入射した光は、導光板4内の光拡散体によって全方向に拡散される。導光板4内の光拡散体で拡散された光のうち、端面4A,4Bに直交する端面、並びに底面に向かう光は、白色のホルダ3の側面及び底面で反射される。結果的に、導光板4の内部に入射した光は、上面から透光性部材2の下面に向かって出射する。
【0042】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1…ケース
2…透光性部材
3…ホルダ
4…導光板
4A…第1の端面
4B…第2の端面
5…光源ユニット
5A…第1の端部
5B…第2の端部
5C…開口部
10…床面埋設型誘導灯装置
31…導光板保持部
32,33…光源ユニット保持部
51…筐体
52…LED
53…基板
53A…端子部
54…反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難口の所在を示す情報が表記され、上面を床面に面一にして配置される透光性部材と、
互いに平行な第1及び第2の端面から入射した光を上面から出射させる導光板と、
各々が単一のLEDの光を前記第1及び第2の端面の各々に向けて照射する1対の光源ユニットであって、各々が前記第1及び第2の端面の長手方向について一端側に偏った位置に光量のピークを配置した1対の光源ユニットと、
前記透光性部材の下方で前記導光板の上面が前記透光性部材の底面に対向するように前記導光板を保持する導光板保持部、及び前記1対の光源ユニットの各々を前記第1及び第2の端部に対向させた状態で前記導光板を挟んで互いに回転対称となる位置に保持する1対の光源ユニット保持部と、を有するホルダと、
を備えた床面埋設型誘導灯装置。
【請求項2】
前記光源ユニットは、筐体、反射板及びLED基板からなり、
前記筐体は、前記第1及び第2の端面の各々より短い開口部を有し、内部に反射板及びLED基板を収納しており、
前記反射板は、前記筐体の長手方向に沿って前記開口部の反対側に凸となる形状の反射面を有し、
前記LED基板は、前記筐体の長手方向における前記反射板の一端側から前記筐体の長手方向に沿って前記反射面に光を照射するLED、及び前記LEDに電気的に接続された端子を前記筐体の長手方向に直交する面に実装し、前記端子を実装した端子部を前記筐体の外部に露出させた請求項1に記載の床面埋設型誘導灯装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記1対の光源ユニット保持部の各々の一端部で前記端子部を収納する1対の端子収納部であって底面が開放した1対の端子部収納部と、を有する請求項1又は2に記載の床面埋設型誘導灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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