説明

床面清掃用の防護体及びその製造方法

【課題】防護フェンスに用いる簡易最適な床面清掃用の防護体及びその製造方法を提供せんとする
【解決手段】床面清掃用の防護体は、袋体1内に液体吸収材2が収容された棒状体3である。袋体1は液が浸透する折曲可能な素材で形成されていること、液体吸収材2は棒状体3が折曲可能な状態で袋体1内に収容されていること、液体吸収材2には中和剤液5が含浸されている。袋体1内に、液体吸収材2を折曲可能な状態で収容した棒状体3を、両端面が閉鎖された樋状容器4へ注入した中和剤液5に浸し、中和剤液5を液体吸収材2に吸収させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は床面清掃用の防護体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は床面の清掃方法について、登録第4729084号の特許を有する。
当該発明は、床面の清掃範囲外に洗剤が流出することを防止する防護フェンスを床面の清掃範囲の端部に沿って設置する第一工程と、清掃する床面に洗剤を散布する第二工程と、洗剤を払拭し床面の汚れを除去する第三工程と、床面の清掃範囲内に残留する洗剤を中和するための中和剤を散布する第四工程と、防護フェンスを撤収する第五工程と、床面を水ですすぎ洗う第六工程とを有するものである。
【0003】
そして、第一工程で防護フェンスを設置することによって、清掃する床面に散布した洗剤が清掃範囲外に流出すること防止し、床面の清掃範囲内にマットを着設し残留する洗剤を吸収することができる。
したがって、洗剤による床面以外の腐食や土壌が酸性化を防止することができるものである。
【0004】
また、防護フェンスが吸水素材の折曲可能な棒状体からなることによって、清掃範囲の端部に沿って曲線状に設置することもでき、防護フェンスに到達した洗剤を吸水素材で吸収することができ、防護フェンスが洗剤を吸収することより、確実に清掃範囲外に洗剤が流出することを防止できる。
さらに、防護フェンスは、洗剤を中和するための中和剤を含んでいることにより、洗剤は防護フェンスに吸収されるとともに中和されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4729084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記防護フェンスに用いる簡易最適な床面清掃用の防護体及びその製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の床面清掃用の防護体は、袋体内に液体吸収材が収容された棒状体であって、袋体は液が浸透する折曲可能な素材で形成されていること、液体吸収材は棒状体が折曲可能な状態で袋体内に収容されていること、液体吸収材には中和剤液が含浸されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の床面清掃用の防護体において、中和剤液の含浸量が、液体吸収材の吸収可能な量の2分の1以下であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の床面清掃用の防護体において、中和剤液を含浸させた液体吸収材内の水分を蒸発させて取り除いたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の床面清掃用の防護体の製造方法の発明は、液が浸透する折曲可能な素材で形成した袋体内に、液体吸収材を折曲可能な状態で収容した棒状体を、両端面が閉鎖された樋状容器へ注入した中和剤液に浸し、中和剤液を液体吸収材に吸収させたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の床面清掃用の防護体の製造方法において、中和剤液の量が、液体吸収材の吸収可能な量の2分の1以下であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4の床面清掃用の防護体の製造方法において、中和剤液を液体吸収材に吸収した後に、水分を蒸発させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の床面清掃用の防護体は、袋体内に液体吸収材が収容された棒状体であって、袋体は液が浸透する折曲可能な素材で形成されていること、液体吸収材は棒状体が折曲可能な状態で袋体内に収容されていること、液体吸収材には中和剤液が含浸されているため、清掃範囲の端部に沿って曲線状に設置することもでき、防護体に到達した洗剤を液体吸収材で吸収することができ、確実に清掃範囲外に洗剤が流出することを防止できると共に、洗剤を中和するための中和剤を含んでいることにより、中和される効果を発揮するものである。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、中和剤液の含浸量が、液体吸収材の吸収可能な量の2分の1以下としたため、液体吸収材の吸収可能な量の2分の1以上の吸水量が可能であり、吸収した洗剤の殆どを中和又は希釈する効果を有する。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、中和剤液を含浸させた液体吸収材内の水分を蒸発させて取り除いたものであるから、中和剤の残留量を充分にしておけば、液体吸収材の吸収能力の極限まで発揮させる効果を有する。
【0016】
請求項4の発明は、液が浸透する折曲可能な素材で形成した袋体内に、液体吸収材を折曲可能な状態で収容した棒状体を、両端面が閉鎖された樋状容器へ注入した中和剤液に浸し、中和剤液を液体吸収材に吸収させた床面清掃用の防護体の製造方法であるから、目的の防護体を簡単容易に得られる効果を発揮する。
【0017】
請求項5の発明又は請求項6の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、請求項2又は請求項3の目的の防護体を簡単容易に得られる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態を示す防護体の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】液体吸収材に中和剤液を含浸させている正面図である。
【図3】液体吸収材に中和剤液を含浸させている断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の防護体は、床面の清掃範囲外に洗剤が流出することを防止するため、床面の清掃範囲の端部に沿って設置するものであり、図1は本発明の一実施の形態を示す床面清掃用の防護体の一部を切り欠いた斜視図であり、袋体1内に液体吸収材2が収容された棒状体3に形成されている。
【0020】
袋体1は液が浸透する折曲可能な素材で形成され、図面の実施の形態例では綿の不織布を用いて、帯状布の長手端同士を縫合11すると共に、内部に液体吸収材2を挿入し、両端部も縫合12して収容したものである。
液体吸収材2はパルプの繊維状態を軽く結束させて綿状となし、棒状体3が折曲可能な状態で袋体1内に収容されている。
【0021】
袋体1を形成する素材は、パルプ、綿やポリエステル等の天然繊維や化学繊維の織編物或いは不織布等液が浸透するシートであれば任意に選択でき、また、液体吸収材2も同様の素材をチップ状や繊維状とし、或いはシート状として積層又は巻いたものであってもよい。
【0022】
図2及び図3は、液体吸収材2に中和剤液5を含浸させている正面図及び断面図である。
前記の液が浸透する折曲可能な素材で形成した袋体1内に、液体吸収材2を折曲可能な状態で収容した棒状体3を、両端面41、41が閉鎖された樋状容器4へ注入した中和剤液5に浸し、中和剤液5を液体吸収材2に吸収させるものである。
【0023】
例えば、洗剤が二弗化水素アンモニウムと硫酸を含む酸性洗剤である場合は、中和剤液5は炭酸水素ナトリウムを主成分とするアルカリ性中和剤が選択され、塩酸を主成分とする酸性洗剤に対しては、中和剤はケイ酸ソーダを主成分とするアルカリ性中和剤であって、塩酸はケイ酸ソーダと反応することによってケイ酸と食塩に分解して中和される。
また、洗剤がスルファミン酸やリン酸等を主成分とする酸性洗剤の使用も考えられ、洗剤に応じた中和剤が選択される。
さらに、酸性の洗剤に限定されることなく、洗剤がアルカリ性で中和剤が酸性であってもよい。
【0024】
樋状容器4へ中和剤液5の注入量は棒状体3内の液体吸収材2が吸収可能な液量の範囲内とし、注入した中和剤液5の吸収後、そのままの状態で水分を蒸発させて乾燥させれば、中和剤を液体吸収材2に含有した棒状体3と成り、運搬・保存が容易で洗剤の吸収量も最大限となり、中和能力が優れたものと成る。
【0025】
一方、清掃現場において中和剤液5を液体吸収材2に含浸させ、そのまま使用する場合は、液体吸収材2に洗剤液を吸収する余裕が必要であるから、中和剤液5の量が、液体吸収材2の吸収可能な量の2分の1以下であることが望ましい。
また、中和剤液5中の中和剤の溶解量(濃度)も使用する洗剤の非中和剤の濃度との関係があり、樋状容器4へ望ましい中和剤液5の注入量を決定することになる。
【符号の説明】
【0026】
1 袋体
2 液体吸収材
3 棒状体
4 樋状容器
5 中和剤液
11、12 縫合
41 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体内に液体吸収材が収容された棒状体であって、袋体は液が浸透する折曲可能な素材で形成されていること、液体吸収材は棒状体が折曲可能な状態で袋体内に収容されていること、液体吸収材には中和剤液が含浸されていることを特徴とする床面清掃用の防護体。
【請求項2】
中和剤液の含浸量が、液体吸収材の吸収可能な量の2分の1以下であることを特徴とする請求項1記載の床面清掃用の防護体。
【請求項3】
中和剤液を含浸させた液体吸収材内の水分を蒸発させて取り除いたことを特徴とする請求項1記載の床面清掃用の防護体。
【請求項4】
液が浸透する折曲可能な素材で形成した袋体内に、液体吸収材を折曲可能な状態で収容した棒状体を、両端面が閉鎖された樋状容器へ注入した中和剤液に浸し、中和剤液を液体吸収材に吸収させたことを特徴とする床面清掃用の防護体の製造方法。
【請求項5】
中和剤液の量が、液体吸収材の吸収可能な量の2分の1以下であることを特徴とする請求項4記載の床面清掃用の防護体の製造方法。
【請求項6】
中和剤液を液体吸収材に吸収した後に、水分を蒸発させたことを特徴とする請求項4記載の床面清掃用の防護体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−99417(P2013−99417A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244596(P2011−244596)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(508260197)
【Fターム(参考)】