説明

底部材の連結構造

【課題】底部が開放された本体と、底部を閉塞するための底部材を構成するトレーとを組合わせて成る組立体において、特殊な別部材から成る連結部材を用いることなく本体とトレーとの結合を図るとともに、トレー上に載置される物品の重量によって連結が外れることを防止する。
【解決手段】本体の短辺側側板11の下端側に挿入片40を形成し、この挿入片40の両側に切欠きによって段部45から成るロック部を形成する。これに対してトレー側には、その側壁52の根元部分と内側側壁54の先端側とにそれぞれ凸状切込み55、56を形成しておき、これらの切込み55、56によって形成される挿入孔57に上記挿入片40を挿入する。そして挿入片40の下側からロック板88を挿入することによって、トレーの側壁52の凸状切込み55および内側側壁54の凸状切込み56の段部から成るロック部59、60に上記挿入片40のロック部45を係合させてロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は底部材の連結構造に係り、とくに4辺の側板を備えるとともに底部が開放された本体の下側に底部材を組合わせるようにした底部材の連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2009−241937号公報には、底部を備えない包装箱本体の下側の部分にトレーを組合わせるようにした梱包装置が開示されている。この梱包装置は、例えば陶器製の便器等の被梱包物品をトレー上に配置して、その上に外装箱を組合わせて梱包する場合における、底部側の部分の緩衝効果を改善するようにし、これによって被梱包物品を確実に保護するとともに、緩衝体の管理を容易にしたものであって、複数の板状部を連結部を有する切断線および半切線によって互いに交互に折曲げ可能に連結し、板状部を重合わせるようにし、しかも段目の方向に延びる2本の切断線のところで3分割し、このような3分割された緩衝体をトレー上に配し、トレー側に設けられている保持片を緩衝体の係止部に係止して位置保持するようにしたものであって、これらの緩衝体によって陶器製の便器の底部を緩衝するようにしている。
【0003】
このような梱包装置によると、被梱包物品を予めトレー上に載置して固定するとともに、その後に外装箱を上からトレー上に被せるようにして組合わせることによって、梱包を行なうことができる。すなわち、外装箱の上部開口を開いてその中に被梱包物品を上から挿入する操作が必要でなくなり、梱包作業の改善が可能になる。とくに被梱包物品の重量が大きい場合や、被梱包物品が破損し易い場合には、被梱包物品の破損を防止できるようになる。
【0004】
ところがこのような包装形態は、例えばパイプモールド製のジョイント部材を用い、このようなジョイント部材を外装箱とトレーの連結のために用いるようにしている。従って予め別部材から成るジョイント部材を用意しておき、トレー上に外装箱を組合わせた後にジョイント部材によって包装箱とトレーとを結合しなければならない。とくに環境保護の観点から、ジョイント部材としてパルプモールド製の部材を用いると、コストが上昇する。またジョイント部材を複数個組付けて外装箱とトレーとの結合を行なわなければならないために、梱包作業も面倒になる欠点がある。さらに使用後に分別廃棄する際に、段ボール製の外装箱およびトレーとモールド製のジョイント部材とを分けなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−241937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明の課題は、パルプモールド製のジョイント部材のような特別な部材を予め容易することなく、しかも本体と底部の底部材とを確実に連結することが可能な底部材の連結構造を提供することである。
【0007】
本願発明の別の課題は、本体に連設された連結手段によって、この本体を底部材と結合してロックするようにした底部材の連結構造を提供することである。
【0008】
本願発明のさらに別の課題は、底部材上に載置される被梱包物の重量によって本体と底部材との結合が離脱することがないようにした底部材の連結構造を提供することである。
【0009】
本願発明のさらに別の課題は、本体の側板の下端側に設けられた挿入片を底部材の対応する側壁の下部に形成された挿入孔に挿入して本体と底部材とを結合するとともに、挿入片が内容物の重量によってずり抜けないように挿入されたロック板によってロックするようにした底部材の連結構造を提供することである。
【0010】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の主要な発明は、4辺の側板を備えるとともに底部が開放された本体と、前記底部の開口を閉塞するように前記本体に取付けられる底部材とを具備し、前記本体の4辺の側板の内の少なくとも対向する2辺の側板の下端に挿入片を連設し、該挿入片を前記底部材の対応する側壁の下端部に形成された挿入孔に挿入し、しかも前記挿入片の下側に位置するように前記挿入孔を通して前記挿入片と前記底部材の底板との間にロック板を挿入し、該ロック板によって前記挿入片を挿入した状態でロックすることを特徴とする底部材の連結構造に関するものである。
【0012】
ここで、前記本体の側板の下端に折返し片が連設され、該折返し片が前記側板の内側に折返され、しかも前記折返し片が内側に重合わされた前記側板の内側に前記側壁が位置するように前記側板の下端の内側に前記底部材が組合わされてよい。また前記本体の側板から前記折返し片にかけてU字状の切込みが形成され、該切込みによって前記挿入片が形成され、該挿入片の中間位置に横方向に延びる折曲げ線が形成され、該折曲げ線よりも先端側が前記挿入孔に挿入されてよい。また前記挿入片の横方向の両側に切欠きが形成され、該切欠きの前記挿入片の先端側の終端の段部が被ロック部になっており、該被ロック部が前記底部材側のロック部と係合されて前記挿入片がロックされてよい。また前記底部材の挿入孔が横長の凸字型であって、上側の幅の狭い部分の段部がロック部を構成し、前記挿入孔に前記挿入片を挿入した後にその下側にロック板を挿入すると前記挿入片の両側の切欠きの終端の被ロック部が前記底部材の挿入孔のロック部と係合して前記挿入片のロックが行なわれてよい。
【発明の効果】
【0013】
本願の主要な発明は、4辺の側板を備えるとともに底部が開放された本体と、前記底部の開口を閉塞するように前記本体に取付けられる底部材とを具備し、前記本体の4辺の側板の内の少なくとも対向する2辺の側板の下端に挿入片を連設し、該挿入片を前記底部材の対応する側壁の下端部に形成された挿入孔に挿入し、しかも前記挿入片の下側に位置するように前記挿入孔を通して前記挿入片と前記底部材の底板との間にロック板を挿入し、該ロック板によって前記挿入片を挿入した状態でロックするようにしたものである。
【0014】
従って、このような底部材の連結構造によると、本体の側板の下端の挿入片を底部材の対応する側壁の下部の挿入孔に挿入し、さらに挿入孔にロック板を挿入片の下側に位置するように挿入し、このロック板によって挿入片を挿入した状態でロックすることが可能になり、このようなロックによって挿入片が、底部材上の物品の重さによってずり抜けることが防止され、本体と底部材とを確実に連結することが可能になる。このような構成は、本体の側板に連設された挿入片を用いて本体と底部材との連結を行なうようにしているために、例えばパルプモールドから成るジョイント部材等の専用の連結部材を組込む必要がなくなり、例えば本体を打抜く際に、その形状を少しだけ工夫しておくことによって挿入片を形成し、この挿入片によって連結を図ることが可能になり、特別な連結手段が必要でなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】包装箱本体を構成する段ボールの展開平面図である。
【図2】同段ボールによって組立てられた包装箱本体の組立て斜視図である。
【図3】包装箱本体の底部に組合わされるトレーの展開平面図である。
【図4】同トレーの組立て動作を示す斜視図である。
【図5】組立てられたトレーの外観斜視図である。
【図6】包装箱本体とトレーとの結合動作を示す斜視図である。
【図7】梱包を完了した状態の包装箱の外観斜視図である。
【図8】包装箱本体とトレーとの連結を行なうための挿入片のロックを行なうロック板の平面図である。
【図9】挿入片による包装箱本体とトレーとの連結およびロック板によるロックの機構を示す側板の要部正面図である。
【図10】同挿入片による挿入とロック板によるロックの構造を示す縦断面図である。
【図11】ロック板が挿入されて挿入片がトレーの被ロック部によってロックされた状態を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。本実施の形態は、段ボール製の包装箱本体と、この包装箱本体の底部開口を覆うように上記包装箱本体に組合わされる底部材を構成するトレーとから構成される(図6参照)。
【0017】
まず包装箱本体の構成について説明すると、包装箱本体は図1に示すような段ボールから組立てられる。この段ボールは一対の短辺側側板11と一対の長辺側側板12とを互いに交互に配列した構造になっており、折曲げ線13によって互いに折曲げ可能に連結されている。そして左側の短辺側側板11の端部には折曲げ線14を介して接合片15が折曲げ可能に連設されている。また長辺側側板12の上端側には折曲げ線16を介して蓋板17が折曲げ可能に連結されている。これに対して短辺側側板11の上端には、折曲げ線18を介してフラップ19が折曲げ可能に連設されている。
【0018】
短辺側側板11の上部側には、横長の取手穴24が形成されている。この取手穴24はこの取手の打抜き部分が上側の連結部25によって連結された状態で残されている。また長辺側側板12の下端側には一対の取手穴26が横方向に並置するように配置されている。そしてこのような取手穴26に対応して、後述する折返し片32には、一対の取手穴27が形成されている。
【0019】
短辺側側板11の下端側には、折返し片31が折曲げ可能に連設され、長辺側側板12の下端側には折返し片32が折曲げ可能に連設されている。短辺側側板11の下端の折返し片31は、間欠的に形成された一対の互いに平行な折曲げ線33と短い切断線34とによって短辺側側板11の下端に折曲げ可能に連結されている。これに対して折返し片32は、間欠的に形成された一対の互いに平行な短い折曲げ線35と、短い切断線36とによって長辺側側板12の下端側に折曲げ可能に連結されている。
【0020】
短辺側側板11から折返し片32にかけて、U字状の切込みによって挿入片40が形成されている。この挿入片40は、その中間位置に円形孔41を備えるとともに、両側には切欠き42が形成されている。そして挿入片40の根元部分と円形孔41を横切る部分にそれぞれ折曲げ線43、44が形成されている。また上記切欠き42の下端側の部分が段部45になっており、この部分が被ロック部を構成している。
【0021】
図1に示す段ボールによって、図2に示すように包装箱本体が組立てられる。すなわち折曲げ線13によって一対の短辺側側板11と一対の長辺側側板12とを順次折曲げて角筒状にする。そして接合片15を反対側の長辺側側板12の端部に糊付け接合することによって、四角筒状に組立てられる。ここで包装箱本体の上部開口は、一対の蓋板17と一対のフラップ19とによって閉じられるようになっている(図7参照)。また短辺側側板11の下端の折返し片31と長辺側側板12の下端の折返し片32とは、それぞれ短辺側側板11の内側および長辺側側板12の内側に折返されるようになっている(図6参照)。
【0022】
次に上記トレーを組立てるための段ボールについて図3により説明する。この段ボールはほぼ長方形の形状をなし、その中央部に矩形の底板50が設けられている。そして底板50の両側であって短辺側には、折曲げ線51を介して側壁52が形成されている。側壁52の先端側には互いに平行に段ボール2枚分の厚さの間隔を隔てて一対の折曲げ線53が形成されている。そして折曲げ線53の先端側にはさらに内側側壁54が形成されている。そして上記側壁52の根元部分であって折曲げ線51に沿う部分には凸状切込み55が形成されている。また内側側壁54の先端部には凸状切込み56が形成されている。これらの凸状切込み55、56は互いに同一の形状になっている。そして上記側壁52および内側側壁54を折込むことによって、挿入孔57が形成されることになる(図4、図5参照)。なお上記凸状切込み55、56の上端側の幅の狭い部分の両側がそれぞれ段部59、60を形成するようになっており、これらの段部59、60が、上記挿入片40の切欠き42の終端の段部45から成る被ロック部をロックするロック部を構成している。
【0023】
次に底板50の長辺の部分には折曲げ線63を介して側壁64が折曲げ可能に連結されている。そして側壁64の上端には互いにほぼ平行な一対の折曲げ線65を介して内側側壁66が連設されている。なお側壁64には一対の取手穴67が横長開口によって形成されている。取手穴67の打抜き部分が上側の連結部68によって連結された状態になっている。これに対して内側側壁66には連結部を有しない取手穴69が形成されている。また内側側壁66の先端には一対の突片70が形成されている。この突片70を受入れるために、上記底板50の側壁64の下端側に係止孔71が形成されている。
【0024】
上記底板50の長辺の両側に形成されている側壁64には、その右側または左側の部分に折曲げ線75を介して補強板76が形成されている。補強板76の先端側が円形係合部77になっている。これに対して側壁64の反対側の端部には折曲げ線78が形成されるとともに、この折曲げ線78の先端側が補強板79になっており、この補強板79には円形被係合部80が形成されている。なおここで、底板50の長辺の両側にそれぞれ形成される側壁64の補強板76、79の関係は、図3における上側の側壁64と下側の側壁64とで、左右の位置関係が逆転しており、上側の側壁においてはその右側に円形係合部77が、左側に円形被係合部80が形成されている。これに対して底板50の下端側の側壁64においては、その左側に円形係合部77が、円形被係合部80が形成されている。
【0025】
側壁64の先端側の内側側壁66の両側にはそれぞれ折曲げ線81を介して補強板82が形成されている。そして上記内側側壁66の折曲げ線81の近傍には係止用切込み83が形成されており、この係止用切込み83を上記短辺側の内側側壁54の両端の係止用突部58を受入れてロックするようにしている。
【0026】
次に図3に示す段ボールによるトレーの組立て動作を図4および図5によって説明する。トレーを組立てる場合には、折曲げ線63によって側壁64を折曲げるとともに、さらに2本の折曲げ線65によって内側側壁66を折曲げるようにする。側壁64を底板50に対して折曲げたならば、その両端の折曲げ線75、78をそれぞれ折曲げる。これによって両側の補強板76、79を折曲げるようにし、これらの補強板76、79の先端側の円形係合部77と円形被係合部80とを互いに図4に示すように組合わせる。そしてこの後に2本の折曲げ線65によって内側側壁66を側壁64の内側に重合わせるように折曲げる。このときに両側の折曲げ線81によって、両端の補強板82をそれらの先端が互いに突合されるようにし、しかも側壁64の両端の補強板76、79の内側に重なるように組合わせる。
【0027】
このようにして底板50の長辺の部分に側壁64と内側側壁66とを重合わせるように組立てたならば、次に底板50の短辺側の部分の組立てを行なう。すなわち折曲げ線51によって側壁52を折曲げるとともに、先端側の一対の折曲げ線53を介して内側側壁54を、上記補強板76、79および82を包むように、側壁52が外側になり内側側壁54が内側になるように折曲げる。そして内側側壁54の先端側であってその両側の係止用突部58を、長辺側の内側側壁66の根元部分に形成されている係止用切込み83に係合させて内側側壁66を固定する。これによって図5に示すようなトレーが組立てられる。このトレーは、底板50の短辺側の部分において、側壁52と内側側壁54との部分にそれぞれ形成されている凸状切込み55、56によって挿入孔57が形成される。このような挿入孔57は、上記包装箱本体の挿入片40を挿入するためのものである(図6、図9、図10参照)。
【0028】
次に上記挿入片40を挿入した状態でロックするためのロック板88について説明する。ロック板88は図8に示すように、段ボールを打抜いたほぼ長方形の板状体であって、コーナーの部分が円弧状に切欠かれ、指を入れるための一対の円形孔89が形成されている。このようなロック板88は、上記挿入孔57の部分に、挿入片40の下側から挿入されるようになっている。
【0029】
次に以上のようにして組立てられたトレーを、包装箱本体の下側に組合わせ、これによって包装箱本体の底部を閉塞する動作を説明する。図6および図7に示すように、トレーを被せるように包装箱本体を上からトレーに対して装着する。なおこのときに、包装箱本体の短辺側側板11および長辺側側板12の下端にそれぞれ形成されている折返し片31、32については、予め内側に折返しておく。このような状態で、包装箱本体をトレーに組合わせる。そしてこの後に、図7に示すように、包装箱本体の短辺側側板11の下端部に形成されている挿入片40を一対の折曲げ線43、44によって図6に示すようにくの字状に折曲げ、この挿入片40の下端側の先端部をトレーの挿入孔57の部分に挿入する(図9、図10参照)。挿入片40が完全に挿入されると、折曲げ線44の上側の部分が垂直な姿勢をとるとともに、折曲げ線44の先端側の部分が水平な状態で挿入孔57内に挿入されることになる(図10参照)。そしてこの後に、上記挿入片40の下側に、図8に示すロック板88を図6および図7に示すように挿入し、これによって挿入片40の折曲げ線44よりも先端側の部分を上に押圧する。従ってロック板88が図10に示すように、挿入片40とトレーの底板50との間に位置することになり、挿入片40はトレーの側壁52の凸状切込み55と内側側壁54の凸状切込み56に下から上方に向かって押付けられるようになる。
【0030】
ここで図11に示すように、挿入片40の両側の切欠き42の終端の段部45から成る被ロック部が、トレーの側壁52の凸状切込み55および内側側壁54の凸状切込み56の段部59、60から成る被ロック部に係合される。従って挿入片40が離脱方向、すなわち図10および図11において左方に引抜くような力が作用しても、上記段部45から成る被ロック部が、トレー側の凸状切込み55、56の段部59、60から成る被ロック部によってロックされ、これによって挿入片40の離脱が防止される。従って、大きな荷重がかかって挿入片40がずり抜けることがなくなる。
【0031】
なお本実施の形態においては、挿入片40を包装箱本体の短辺側側板11の下端側の部分のみに形成しているが、長辺側側板12の下端側の部分にも同様に連設してもよい。また短辺側側板11の下端側に単一の挿入片40を形成するとともに、長辺側側板12の下端側には一対の挿入片40を設けるようにしてもよい。
【0032】
上記のような構成に係る包装箱は、底部開口が開放された包装箱本体と、底部開口を閉塞するために設けられるトレーとを組合わせるようにした包装箱であって、包装箱本体の短辺側側板11の下端側の挿入片40を用いてトレーと結合するようにしたものである。ここで図1から明らかな如く、挿入片40は、短辺側側板11と折返し片31にかかる領域にU字型の切込みを形成することによって作られるようになっており、このために図1に示す段ボールの中で挿入片40を形成することができる。すなわち別部材から成る連結手段を予め用意しておき、これによって包装箱本体とトレーとを結合する必要がなくなる。従って包装箱の低コスト化が図られる。また組立てに際しても、挿入片40を挿入孔57に挿入し、その下側にロック板88を挿入するだけでよく、梱包作業の合理化が可能になる。
【0033】
ここでとくに挿入片40の段部45から成る被ロック部が、トレー側の凸状切込み55、56の段部59、60と係合し、これによってロックが行なわれるために、トレー上に重い被梱包物を載置して梱包しても、その重量によって挿入片40がずり抜けることが確実に防止できる。
【0034】
またこのような包装箱は、包装箱本体およびトレーのみならずロック板88もまた段ボールから構成されており、すべての部材が段ボールから作られることになる。すなわちパルプモールド製のジョイント部材を用いないために、分別廃棄するためにモールド製の部品を分ける必要がなくなる。よって包装箱本体、トレー、およびロック板88を一緒にそのままリサイクルして再利用することが可能になる。
【0035】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態における包装箱には、各種の物品を収納することができ、特定の物品の梱包に限定されるものではない。また具体的な構造についても、図示の構造に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内において各種の設計変更が可能である。
【0036】
また本願発明は、必ずしも実施例のような包装箱本体とトレーとの連結構造に限定されることなく、その他各種の連結構造に適用することができ、4辺が側板から成る底部が開放されたケースと、このケースの底部開口を閉塞するパレットとの組合わせにおけるパレットの連結構造に適用することが可能である。また本願発明は、4辺がそれぞれ側板から成るケースと、このケースの底部開口を閉塞する有底の底ケースから成る底部材とを組合わせて成る結合構造における上記有底の底ケースの連結構造に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本願発明は、各種の物品を収納するための梱包用の包装箱として広く用いることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
11 短辺側側板
12 長辺側側板
13、14 折曲げ線
15 接合片
16 折曲げ線
17 蓋板
18 折曲げ線
19 フラップ
24 取手穴
25 連結部
26、27 取手穴
31、32 折返し片
33 一対の折曲げ線
34 切断線
35 一対の折曲げ線
36 切断線
40 挿入片
41 円形孔
42 切欠き
43、44 折曲げ線
45 段部
50 底板
51 折曲げ線
52 側壁
53 折曲げ線
54 内側側壁
55、56 凸状切込み
57 挿入孔
58 係止用突部
59、60 段部
63 折曲げ線
64 側壁
65 折曲げ線
66 内側側壁
67 取手穴
68 連結部
69 取手穴
70 突片
71 係止孔
75 折曲げ線
76 補強板
77 円形係合部
78 折曲げ線
79 補強板
80 円形被係合部
81 折曲げ線
82 補強板
83 係止用切込み
88 ロック板
89 円形孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4辺の側板を備えるとともに底部が開放された本体と、前記底部の開口を閉塞するように前記本体に取付けられる底部材とを具備し、前記本体の4辺の側板の内の少なくとも対向する2辺の側板の下端に挿入片を連設し、該挿入片を前記底部材の対応する側壁の下端部に形成された挿入孔に挿入し、しかも前記挿入片の下側に位置するように前記挿入孔を通して前記挿入片と前記底部材の底板との間にロック板を挿入し、該ロック板によって前記挿入片を挿入した状態でロックすることを特徴とする底部材の連結構造。
【請求項2】
前記本体の側板の下端に折返し片が連設され、該折返し片が前記側板の内側に折返され、しかも前記折返し片が内側に重合わされた前記側板の内側に前記側壁が位置するように前記側板の下端の内側に前記底部材が組合わされることを特徴とする請求項1に記載の底部材の連結構造。
【請求項3】
前記本体の側板から前記折返し片にかけてU字状の切込みが形成され、該切込みによって前記挿入片が形成され、該挿入片の中間位置に横方向に延びる折曲げ線が形成され、該折曲げ線よりも先端側が前記挿入孔に挿入されることを特徴とする請求項2に記載の底部材の連結構造。
【請求項4】
前記挿入片の横方向の両側に切欠きが形成され、該切欠きの前記挿入片の先端側の終端の段部が被ロック部になっており、該被ロック部が前記底部材側のロック部と係合されて前記挿入片がロックされることを特徴とする請求項1に記載の底部材の連結構造。
【請求項5】
前記底部材の挿入孔が横長の凸字型であって、上側の幅の狭い部分の段部がロック部を構成し、前記挿入孔に前記挿入片を挿入した後にその下側にロック板を挿入すると前記挿入片の両側の切欠きの終端の被ロック部が前記底部材の挿入孔のロック部と係合して前記挿入片のロックが行なわれることを特徴とする請求項4に記載の底部材の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−76820(P2012−76820A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226177(P2010−226177)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(593004108)株式会社日栄紙工社 (11)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】