説明

座標入力装置、座標入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】ペン入力と指入力を同時に行う場合に、誤入力を低減して、操作効率を向上させることが可能な座標入力装置、座標入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】表示画面に設けられ、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する手指検出部21と、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力するペン検出部22と、ペンが使用されている場合は、第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、第2検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する検出信号処理部23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標入力装置、座標入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
座標入力装置としては、従来、抵抗膜方式、電磁誘導方式、静電結合方式、超音波方式、赤外線方式などが考えられている。
【0003】
従来の座標入力装置においては、一方でペンによって文字や図形などを手書き入力しながら、同時に他方で指によってウインドウ操作やスクロール操作などの操作を行う、というような、ペンと指による協調操作ないし入力を行うことができず、情報処理装置などにおいて操作入力のスピードないし効率を上げることができないという問題があった。
【0004】
図11は、従来の座標入力装置が、ペン入力と手・指入力を検出するタイミングの一例を説明するためのタイミングチャートである。図11に示すように、従来の座標入力装置では、ペンが使用されている期間は、手指検出をOFFとして、ペンを持つ手による誤入力を防止している。
【0005】
上記問題を解決するため、特許文献1では、ペン入力と指入力とを同時に行う方法を提案している。かかる特許文献1では、液晶表示部の上面に、指の幅より小さい検出単位領域がxy方向に配列された、ペン、ペンを持つ手、あるいは指によって押下された座標位置を検出する押下座標検出層を配置する。無効領域(キャンセルエリア)設定部では、あらかじめ、ペンを持つ手によって押下される座標位置の領域を、ペン座標値に対して相対的な位置が定められた無効領域として設定する。識別判定部は、押下座標算出部によって算出された押下座標値から、ペン座標値を判定するとともに、そのペン座標値に対する無効領域を算出し、ペン座標値以外無効領域内の座標値は、ペンを持つ手によって押下された座標位置と判定し、算出した無効領域外の座標値は、操作入力のために指によって押下された座標位置と判定する。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、設計時の想定に無いペンの持ち方をした時(例えば、ペンの後端を持った場合や、ペンを持った手指で別の操作を行った場合等)に、タッチ面上の無効領域外に手が触れて、誤入力する可能性があるという問題がある。また、右手・左手の初期設定が必要であるため、その設定作業が煩わしいという問題がある。また、無効領域内での指入力ができないという問題がある。さらに、ペンを持った手でコマンド入力すると、誤入力する可能性があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−172441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ペン入力と指入力を同時に行う場合に、誤入力を低減して、操作効率を向上させることが可能な座標入力装置、座標入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示画面に設けられ、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する手指検出手段と、前記表示画面に設けられ、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力するペン検出手段と、前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する信号処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記所定のジェスチャは、一本指シングルタップ、一本指ダブルタップ、二本指ダブルタップ、二本指スワイプ、一本指での細かいドラッグ、指のピンチ、および三本指タップのうちの少なくとも1つであることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ペン検出手段は、前記表示画面の下側に配置された電磁誘導式の検出デバイスであり、前記手指検出手段は、前記表示画面の上側に静電誘導方式の検出デバイスであることが望ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示画面に設けられた手指検出手段が、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する工程と、前記表示画面に設けられたペン検出手段が、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力する工程と、前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示画面に設けられた手指検出手段が、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する工程と、前記表示画面に設けられたペン検出手段が、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力する工程と、前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示画面に設けられ、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する手指検出手段と、前記表示画面に設けられ、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力するペン検出手段と、前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する信号処理手段と、を備えているので、ペン入力と指入力を同時に行う場合に、誤入力を低減して、操作効率を向上させることが可能な座標入力装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1−1】図1−1は、本発明の実施の形態に係る座標入力装置を適用したタブレットPCの概略の外観図である。
【図1−2】図1−2は、本発明の実施の形態に係る座標入力装置を適用したタブレットPCの概略の外観図である。
【図1−3】図1−3は、本発明の実施の形態に係る座標入力装置を適用したタブレットPCの概略の外観図である。
【図1−4】図1−4は、タブレットPCのディスプレイ側筐体の部分断面図である。
【図2】図2は、タブレットPCの本体側筐体およびディスプレイ側筐体に内蔵されたハードウェアの構成を示す概略図である。
【図3】図3は、検出信号処理部の信号検出を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】図4は、一本指シングルタップの操作例を説明するための図である。
【図5】図5は、一本指ダブルタップの操作例を説明するための図である。
【図6】図6は、二本指ダブルタップの操作例を説明するための図である。
【図7】図7は、二本指スワイプの操作例を説明するための図である。
【図8】図8は、一本指での細かいドラッグの操作例を説明するための図である。一本指での細かいドラッグを検出した場合は、その範囲の描画オブジェクトを消去する。
【図9】図9は、指のピンチの操作例を説明するための図である。
【図10】図10は、三本指タップの操作例を説明するための図である。
【図11】図11は、従来の座標入力装置が、ペン入力と手・指入力を検出するタイミングの一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、この発明にかかる情報処理装置、そのページめくり方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
(実施の形態)
図1−1〜図1−3は、本発明の実施の形態に係る座標入力装置を適用したタブレットPCの概略の外観図である。図1−4は、タブレットPCのディスプレイ側筐体の部分断面図である。図1−1に示すように、タブレットPC1はコンバーチブル型であり、いずれも略直方体である本体側筐体14およびディスプレイ側筐体15を備える。本体側筐体14は、キーボードおよびスライスパッドを備えた入力部10を備える。
【0018】
ディスプレイ側筐体15は、図1−4に示すように、表示デバイス11と、表示デバイス11の上面に配置された手指検出部21と、表示部10の下面側に配置されたペン検出部22とを備えている。手指検出部21は、操作者が指や手等をタッチ面にタッチして情報入力を行うためのものである。ペン検出部22は、操作者がペン30をタッチ面にタッチして情報入力を行うためのものである。
【0019】
さらに、本体側筐体14およびディスプレイ側筐体15は、それぞれの端部の中央で連結部13によって連結されており、連結部13は、これらの筐体を互いに開閉する方向に回動自在にしている。さらに、本体側筐体14に対してディスプレイ側筐体15を開いた状態で、ディスプレイ側筐体15を少なくとも180度回転させることが可能である。タブレットPC1は、図1−1に示すPC使用モードでは、通常のノートPCとして、入力部10による操作および指示体によるタッチ面の操作で使用することができる。さらに、図1−2に示すように連結部13を回転させて、本体側筐体14の上にディスプレイ側筐体15を重ねるように折り畳み、ディスプレイ11が表を向くようにすれば、図1−3に示すタブレット使用モードとなる。タブレット使用モードでは、ペン30や指等の指示体によるタッチ面の操作で、入力部10による操作と同じように使用することが可能である。
【0020】
本実施の形態では、ペン入力と手・指入力の同時入力が可能なっており、ペン30の使用時には、ペン30のみをポインティング入力に使用し、指・手入力はコマンド入力に使用する。具体的には、ペンを持つ手では入力不可能なジェスチャ(コマンド)を他方の手で入力させることにより、ペンを持つ手をタッチ面に置いてしまうことによる誤入力を排除し、ペン入力と手・指入力を同時に行う場合の操作効率を向上させる。例えば、図1−3において、右手でペン30を持ってポインティング入力し、左手で、ペン30を持つ右手では入力できないジェスチャ(コマンド)を入力する。
【0021】
図2は、タブレットPC1の本体側筐体14およびディスプレイ側筐体15に内蔵されたハードウェアの構成を示す概略図である。タブレットPC1は、同図に示すように、CPU101、ROM102、メモリ103、HDD(ハードディスク)104、表示デバイス11と、グラフィクスアダプタ105と、座標入力装置20と、入力部10と、ディスクドライブ106と、電源回路108とを備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0022】
CPU101は、バスを介して接続されたHDD104に格納されたOS111によりタブレットPC1全体の制御を行うとともに、HDD104に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM102は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)102aやデータ等を格納している。
【0023】
メモリ103は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU101の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0024】
HDD(ハードディスク)104は、例えば、Windows(登録商標) OS等のタブレットPC1全体の制御を行うためのOS111、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ(表示ドライバ112a、座標検出装置用ドライバ112b等)112、座標検出装置20の入力指示に従って、表示デバイス11の表示画面の表示処理や他の処理を実行するためのアプリケーションプログラム(以下、「アプリケーションプログラム」を「アプリ」と称する)113と、特定の業務を目的とした他のアプリ114等を記憶する機能を有する。
【0025】
グラフィクスアダプタ105は、CPU101の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号を表示デバイス11に出力する。表示デバイス11は、例えば、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットディスプレイであり、CPU101の制御に従って、各種情報を表示する機能を有している。
【0026】
入力部10は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するスライスパッド等を備えている。
【0027】
ディスクドライブ106は、CD−ROMやDVD等のディスク107が挿入され、ディスク107のデータをリード/ライトする。
【0028】
電源回路108は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、およびDC/DCコンバータ等を備えており、CPU101の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
【0029】
座標入力装置20は、表示デバイス11の表示画面に設けられており、操作者が指・手やペン30等の指示体をタッチ面にタッチして、ポインティングやコマンド等の情報入力を行うためのものであり、指示体でタッチされた座標位置を検出して、ポインティング指示やコマンドをCPU101に出力する。なお、座標入力装置20の各機能を、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することにしてもよい。以下、CPU101が、プログラムを実行して実現する機能を、プログラムを動作主体として説明する。
【0030】
座標入力装置20は、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力するための手指検出部21と、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力するためのペン検出部22と、第1検出信号および第2検出信号からポインティングおよび所定のジェスチャを検出して、ポインティング指示および所定のジェスチャに対応するコマンドをアプリ113に出力する検出信号処理部23とを備えている。
【0031】
ペン検出部22は、電磁誘導方式の検出デバイスであり、電磁誘導方式のペン30によって指示された座標位置を検出するためのものである。ペン検出部22は、ループコイルがX方向およびY方向に交差して配置され、ループコイルに電流を流し、ペン30のLC回路に得られる誘導電圧を検出することにより、ペン30によってタッチ面上で指示された座標位置を検出して第2検出信号として検出信号処理部23に出力する。また、ペン検出部22は、ペン30がタブレットPC1に近接した位置にあるか否かを示すペン検出信号(例えば、ペン30が近接した位置にある場合「1」、ペン30が近接した位置にない場合「0」)を検出信号処理部30に出力する。ペン検出部22では、ペン30がペン検出部22の近傍にある場合は、誘導電圧が検出されるため、ペン30が近接した位置にあるか否かの検出が可能となっている。
【0032】
手指検出部21は、静電容量方式の検出デバイスである。手指検出部21は、透明なライン状の導電体がX方向およびY方向に配列されており、タッチ面上で、操作入力のために指・手によって押下された座標位置、ペン30によって押下された座標位置、ペン30を持つ手によって押下された座標位置、すなわち、タッチ面に接触した指示体の座標位置をすべて検出して、第2検出信号として検出信号処理部23に出力する。
【0033】
検出信号処理部23は、手指検出部21から入力される第1検出信号およびペン検出部22から入力される第2検出信号からポインティング入力および所定のジェスチャ入力を検出して、ポインティング指示および所定のジェスチャに対応したコマンドをCPU101に出力する。
【0034】
アプリ113は、検出信号処理部23から入力されるポインティング指示に応じて、表示デバイス11に文字や図形などの一部を構成する線や点などを表示させて、文字や図形などの手書き入力の処理を行ったり、検出信号処理部23から入力されるコマンドに応じて、表示デバイス11に表示されている文字・図形の拡大、縮小、画面のスクロール、モード切替等の表示の編集・変更等の処理を行う。
【0035】
図3は、検出信号処理部23の信号検出を説明するためのタイミングチャートである。検出信号処理部23は、ペン30を検出しない期間(ペン検出信号「0」)は、手指検出部21から入力される第1検出信号からポインティングおよび所定のジェスチャを検出して、ポインティング指示および検出した所定のジェスチャに対応したコマンドをアプリ113に出力する。すなわち、ペンを検出しない期間は、手指によりポインティングおよび所定のジェスチャを入力することができる。
【0036】
また、検出信号処理部23は、ペン30を検出している期間(ペン検出信号「1」)は、ペン検出部22から入力される第2検出信号からポインティングを検出して、ポインティング指示をアプリ113に出力する。また、検出信号処理部23は、ペン30を検出している期間(ペン検出信号「1」)は、手・指のポインティングの入力を無効として、手指検出部21から入力される第1検出信号から所定のジェスチャのみを検出して、対応するコマンドをアプリ113に出力する。すなわち、ペン30を検出している期間は、手指により所定のジェスチャのみが入力可能となる。
【0037】
ここで、所定のジェスチャは、例えば、(1)一本指シングルタップ、(2)一本指ダブルタップ、(3)二本指ダブルタップ、(4)二本指スワイプ、(5)一本指での細かいドラッグ、(6)指のピンチ、(7)三本指タップ等である。かかる所定のジェスチャは、ペン30を持っている手では入力できないものを定義しており、ペン30を持っている手が触れても誤入力とならないようにしている。すなわち、ペン30を持っている手が触れても、所定のジェスチャとして検出されないため、誤入力を防止することができ、ペン入力と手・指入力により操作効率を向上することができる。
【0038】
図4〜図10は、所定のジェスチャと操作例との関係を説明するための説明図である。
検出信号処理部23は、所定のジェスチャを検出した場合に、対応するコマンドをアプリ13に発行し、アプリ113は、コマンドに応じた処理を行う。
【0039】
(1)一本指シングルタップ
図4は、一本指シングルタップの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、一本指シングルタップを検出した場合には、メニュー表示ON/OFFコマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、メニュー表示ON/OFFコマンドが入力されると、メニュー表示のON/OFFを切り替える。例えば、ユーザは、普段はメニューを表示せずに、画面を最大限に活用し、必要な時に一本指シングルタップを行って、メニュー表示をONとする。不要になったら、一本指シングルタップを行って、メニュー表示をOFFとする。
【0040】
(2)一本指ダブルタップ
図5は、一本指ダブルタップの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、一本指ダブルタップを検出した場合には、キャンバス縮小コマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、キャンバス縮小コマンドが入力されるとキャンバスを縮小(例えば、50%)する。
【0041】
(3)二本指ダブルタップ
図6は、二本指ダブルタップの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、二本指ダブルタップを検出した場合には、キャンバス拡大コマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、キャンバス拡大コマンドが入力されると、キャンバスを拡大(例えば、200%)する。ユーザは、一本指ダブルタップと二本指ダブルタップを繰り返すことで、縮小・拡大を繰り返すことができる。
【0042】
(4)二本指スワイプ
図7は、二本指スワイプの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、二本指スワイプを検出した場合は、スクロールコマンドをアプリ113に出力する。アプリは、スクロールコマンドが入力されると、スワイプ方向にキャンバスをスクロールさせる。
【0043】
(5)一本指での細かいドラッグ
図8は、一本指での細かいドラッグの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、一本指での細かいドラッグを検出した場合は、消去コマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、消去コマンドが入力されると、その範囲の描画オブジェクトを消去する。
【0044】
(6)指のピンチ
図9は、指のピンチの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、指のピンチを検出した場合は、拡大/縮小コマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、拡大/縮小コマンドが入力されると、その方向に応じて、拡大・縮小を行う。同図では、拡大を示しており、逆方向に指をピンチすることで縮小することができる。
【0045】
(7)三本指タップ
図10は、三本指タップの操作例を説明するための図である。検出信号処理部23は、三本指タップを検出した場合には、モード切替コマンドをアプリ113に出力する。アプリ113は、モード切替コマンドが入力されると、フリーハンドモード(書いたものをそのまま描画するモード)と定規モード(描画オブジェクトのうち似ている図形を描画するモード)の切替を行う。ユーザは、三本指タップで、フリーハンドモードと定規モードを切り替えることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示画面に設けられ、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する手指検出部21と、ペン30によりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力するペン検出部22と、ペン30が使用されている場合は、第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、第2検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する検出信号処理部23とを備えているので、ペン入力と指入力を同時に行う場合に、誤入力を低減して、操作効率を向上させることが可能となる。付言すると、ペンを持つ手がタッチ面に触れた場合でも、ポインティング入力またはコマンド入力されないため、その誤入力を防止することができる。右手・左手の初期設定が不要であるため、ユーザ操作が簡単となる。ペン近傍のタッチ面に対しても、ペンを持っていない手でコマンド入力することが可能となる。
【0047】
また、本実施の形態では、所定のジェスチャは、ペン30を持っている手では入力が不可能なもの、例えば、(1)一本指シングルタップ、(2)一本指ダブルタップ、(3)二本指ダブルタップ、(4)二本指スワイプ、(5)一本指での細かいドラッグ、(6)指のピンチ、(7)三本指タップ等としたので、ペン30を持っている手による誤入力を排除することが可能となる。
【0048】
また、上記実施の形態では、座標入力装置をタブレットPCに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、手指検出とペン検出が可能な全てのスクリーンデバイスに適用可能であり、例えば、タッチパネルの付いたノートPC、スレート型のPC、ALL−in−oneタイプのPCにも適用可能である。また、上記実施の形態では、本発明に係る座標入力装置を搭載した情報入力装置として、タブレットPCを例示して説明したが、本実施の形態に係る情報入力装置は、タブレットPCに限られるものではなく、例えば、ディスクトップ型PC、携帯電話、PDA、デジタルカメラ等の各種の情報入力装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる座標入力装置、座標入力方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、ペン入力と指入力を同時に行う場合に有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 タブレットPC
10 入力部
11 表示デバイス
14 本体側筐体
15 ディスプレイ側筐体
20 座標入力装置
21 手指検出部
22 ペン検出部
23 検出信号処理部
101 CPU
102 ROM
103 メモリ
104 HDD(ハードディスク)
105 グラフィクスアダプタ
106 ディスクドライブ
107 ディスク
108 電源回路
111 OS
112 ドライバ
113 アプリ
114 他のアプリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に設けられ、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する手指検出手段と、
前記表示画面に設けられ、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力するペン検出手段と、
前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する信号処理手段と、
を備えたことを特徴とする座標入力装置。
【請求項2】
前記所定のジェスチャは、一本指シングルタップ、一本指ダブルタップ、二本指ダブルタップ、二本指スワイプ、一本指での細かいドラッグ、指のピンチ、および三本指タップのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の座標入力装置。
【請求項3】
前記ペン検出手段は、前記表示画面の下側に配置された電磁誘導式の検出デバイスであり、前記手指検出手段は、前記表示画面の上側に配置された静電容量方式の検出デバイスであることを特徴とする請求項1または2に記載の座標入力装置。
【請求項4】
表示画面に設けられた手指検出手段が、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する工程と、
前記表示画面に設けられたペン検出手段が、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力する工程と、
前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する工程と、
を含むことを特徴とする座標入力方法。
【請求項5】
表示画面に設けられた手指検出手段が、指・手によりタッチされた座標を検出して第1検出信号を出力する工程と、
前記表示画面に設けられたペン検出手段が、ペンによりタッチされた座標を検出して第2検出信号を出力する工程と、
前記ペンが使用されている場合は、前記第2検出信号からポインティングを抽出して、ポインティング指示を発行し、かつ、前記第1検出信号から所定のジェスチャのみを抽出して対応するコマンドを発行する工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−186550(P2011−186550A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48281(P2010−48281)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】