説明

座独立型ベンチ

【課題】ベンチ設置面に不陸があった場合でも、互いに隣り合う座の位置を平均化してベンチの外観品質を高く維持することにある。
【解決手段】互いに独立した複数の座1と、前記複数の座を横並びに整列させて支持する脚2とを具え、前記脚2が、前記複数の座の列の両端にそれぞれ位置する座の下面の左右方向側部のうち隣の座から遠い側の何れかの側部に固定される上端部3aと、前記座の前後方向および上下方向へ延在する中間部3bと、ベンチ設置面Sに固定される下端部3cとを一体に有する板状の二つの列端脚3と、前記複数の座の列の隣り合う座の下面の隣り合う左右方向側部にそれぞれ固定される二つの上端部4aと、前記座の前後方向および上下方向へそれぞれ延在する二つの中間部4bと、ベンチ設置面Sに固定される一つの下端部4cとを一体に有する板状の少なくとも一つの中間脚4とからなる、座独立型ベンチである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、互いに独立した複数の座と、前記複数の座を横並びに整列させて支持する脚と、を具える座独立型ベンチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スタジアムの階段状の観客席等に設けられた従来のベンチは通常、複数の人が同時に着座できる横長の座板を横長のフレームを介して脚で支持する構成とされているが、これらのベンチの老朽化による入れ替えに伴い、近年の個人志向および高級志向の高まりにより、一人一人が別個に着座できる互いに独立した複数の座を横並びに整列させて脚で支持するベンチが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、互いに独立した複数の座を従来のように横長のフレームを介して横並びに整列させて脚で支持する構成とすると、フレームおよび脚を丈夫なものにする必要があるためコストが嵩むという問題がある。
【0004】
そこで、複数の座に対応させて複数の脚を設け、各座をその下方の位置で脚によって支持し、それらの脚同士を貫材で連結することで複数の座を横並びに整列させてベンチを構成することも考えられるが、このようにすると、階段状の観客席等の、一般にコンクリートでできている略水平なベンチ設置面に不陸があった場合に、所々で隣り合う座の高さが異なったり水平でない座ができたりして、ベンチの外観品質が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、この発明の座独立型ベンチは、互いに独立した複数の座と、前記複数の座を横並びに整列させて支持する脚と、を具える座独立型ベンチにおいて、前記脚が、前記複数の座の列の両端にそれぞれ位置する座の下面の左右方向側部のうち隣の座から遠い側の何れかの側部に固定される上端部と、前記座の前後方向および上下方向へ延在する中間部と、ベンチ設置面に固定される下端部とを一体に有する板状の二つの列端脚と、前記複数の座の列の隣り合う座の下面の隣り合う左右方向側部にそれぞれ固定される二つの上端部と、前記座の前後方向および上下方向へそれぞれ延在する二つの中間部と、ベンチ設置面に固定される一つの下端部とを一体に有する板状の少なくとも一つの中間脚と、からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
かかる座独立型ベンチによれば、各々板状の二つの列端脚と、板状の少なくとも一つの中間脚とから脚が構成されているので、脚をプレス成形等で形成し得て、コストが嵩まず安価にベンチを製造することができる。しかも互いに隣り合う座を支持する中間脚の、互いに隣り合う二つの中間部を一体に結合する下端部がベンチ設置面に固定されることから、ベンチ設置面に不陸があった場合でも、互いに隣り合う座の位置を平均化し得て、ベンチの外観品質を高く維持することができる。
【0007】
なお、この発明の座独立型ベンチにおいては、前記列端脚の下端部と前記中間脚の下端部とは各々水平に延在していても良く、このようにすれば、ベンチ設置面が水平な場合に適用することができる。
【0008】
また、この発明の座独立型ベンチにおいては、前記列端脚の下端部と前記中間脚の下端部とは各々上下方向に延在していても良く、このようにすれば、ベンチ設置面が上下方向に延在している場合に適用することができる。
【0009】
さらに、この発明の座独立型ベンチにおいては、前記複数の座の整列方向へ延在する貫材を具え、前記各中間部には、前記貫材を挿通され、その貫材と嵌合して前記複数の座をそれぞれ位置決めする貫材受け孔が形成されていても良く、このようにすれば、複数の座をより正確に横並びに整列させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、この発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明の座独立型ベンチの一実施例の左右方向の半部を示す正面図、図2は、上記実施例の座独立型ベンチの左右方向の半部を示す平面図、そして図3は、上記実施例の座独立型ベンチを示す側面図である。
【0011】
この実施例の座独立型ベンチは、階段状の観客席等の概略水平なベンチ設置面Sに設置されるもので、互いに独立した複数の座1(図示例では半部として4.5個を図示しているので、全体としては9個の座1)と、それら複数の座1を横並びに整列させて支持する脚2とを具えており、この実施例では各座1は、樹脂を中空成形することで、中央部が僅かに窪んだ概略矩形の厚板状に形成されている。
【0012】
またこの実施例では脚2は、二つの列端脚3と、少なくとも一つの中間脚4(図示例では半部として4個を図示しているので、全体としては8個の中間脚4)とからなり、ここにおける各列端脚3は、複数の座1の列の両端(図1,2では左端がベンチの中央であるので右端)にそれぞれ位置する座1の下面の左右方向側部のうち隣の座1から遠い側の何れか(図1,2では右側)の側部に沿って水平に延在し、その側部に固定される上端部3aと、その座1の前後方向および鉛直な上下方向へ延在する中間部3bと、ベンチ設置面Sに沿って水平に延在し、そのベンチ設置面Sに固定される下端部3cとを一体に有して例えば断面コ字状をなすように、金属板を折曲して形成されている。
【0013】
また、ここにおける各中間脚4は、複数の座1の列の隣り合う座1の下面の隣り合う左右方向側部にそれぞれ固定される二つの上端部4aと、その座1の前後方向および僅かに斜め上下方向へそれぞれ延在する二つの中間部4bと、ベンチ設置面Sに固定される一つの下端部4cとを一体に有して例えば断面逆ハット状をなすように、金属板を折曲して形成されている。
【0014】
かかるこの実施例の座独立型ベンチによれば、各々板状の二つの列端脚3と、板状の少なくとも一つの中間脚4とから脚2が構成されているので、脚2をプレス成形等で形成し得て、コストが嵩まず安価にベンチを製造することができる。しかも互いに隣り合う座1を支持する中間脚4の、互いに隣り合う二つの中間部4bを一体に結合する下端部4cがベンチ設置面Sに固定されることから、概略水平なベンチ設置面Sに高さや傾斜のばらつきによる不陸があった場合でも、互いに隣り合う座1の高さや傾きを平均化し得て、ベンチの外観品質を高く維持することができる。
【0015】
しかもこの実施例の座独立型ベンチによれば、列端脚3の下端部3cと中間脚4の下端部4cとは各々水平に延在しているので、ベンチ設置面Sが水平な場合に適用し得て、上記効果を奏することができる。
【0016】
図4は、この発明の座独立型ベンチの他の一実施例の左右方向の半部を示す正面図、図5は、上記実施例の座独立型ベンチを示す側面図であり、図中先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この実施例の座独立型ベンチは、複数の座1の整列方向へ延在する貫材5を具え、列端脚3と中間脚4との各中間部3b,4bには、貫材5を挿通され、その貫材5と嵌合して複数の座1をそれぞれ位置決めする貫材受け孔3d,4dが形成されている点のみ、先の実施例と異なっており、他の点では先の実施例と同一の構成を具えている。
【0017】
この実施例の座独立型ベンチによれば、先の実施例と同様の効果が得られるのに加え、各中間部3b,4bの貫材受け孔3d,4dが貫材5と嵌合して複数の座1をそれぞれ位置決めするので、複数の座をより正確に横並びに整列させることができる。なお、貫材5は直線状でなく例えば円弧状でも良く、その場合には複数の座を正確に円弧状に整列させることができる。
【0018】
図6は、この発明の座独立型ベンチのさらに他の一実施例を示す側面図であり、図中先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この実施例の座独立型ベンチは、階段状の観客席等の概略鉛直なベンチ設置面Sに設置されるもので、列端脚3の中間部3bと中間脚4の中間部4bとが各々下方へ円弧状に伸びて、列端脚3の下端部3cと中間脚4の下端部4cとが各々上下方向に延在している点のみ、先の実施例と異なっており、他の点では先の実施例と同一の構成を具えている。
【0019】
かかるこの実施例の座独立型ベンチによれば、各々板状の二つの列端脚3と、板状の少なくとも一つの中間脚4とから脚2が構成されているので、脚2をプレス成形等で形成し得て、コストが嵩まず安価にベンチを製造することができる。しかも互いに隣り合う座1を支持する中間脚4の、互いに隣り合う二つの中間部4bを一体に結合する下端部4cがベンチ設置面Sに固定されることから、概略鉛直なベンチ設置面Sに前後方向位置や傾斜のばらつきによる不陸があった場合でも、互いに隣り合う座1の前後方向位置や傾きを平均化し得て、ベンチの外観品質を高く維持することができる。
【0020】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、座1は樹脂製でなく木製でも良く、また中間脚4の中間部4bは列端脚3の中間部3bと同様鉛直に延在しても良く、逆に列端脚3の中間部3bは中間脚4の中間部4bと同様僅かに傾斜して上下方向へ延在しても良い。そして列端脚3は中間脚4の半部と同様板を上下端部で逆方向へZ字状に折曲して形成しても良い。さらに、列端脚3および中間脚4はそれぞれ樹脂で形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0021】
かくしてこの発明の座独立型ベンチによれば、各々板状の二つの列端脚と、板状の少なくとも一つの中間脚とから脚が構成されているので、脚をプレス成形等で形成し得て、コストが嵩まず安価にベンチを製造することができる。しかも互いに隣り合う座を支持する中間脚の、互いに隣り合う二つの中間部を一体に結合する下端部がベンチ設置面に固定されることから、ベンチ設置面に不陸があった場合でも、互いに隣り合う座の位置を平均化し得て、ベンチの外観品質を高く維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の座独立型ベンチの一実施例の左右方向の半部を示す正面図である。
【図2】上記実施例の座独立型ベンチの左右方向の半部を示す平面図である。
【図3】上記実施例の座独立型ベンチを示す側面図である。
【図4】この発明の座独立型ベンチの他の一実施例の左右方向の半部を示す正面図である。
【図5】上記実施例の座独立型ベンチを示す側面図である。
【図6】この発明の座独立型ベンチのさらに他の一実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 座
2 脚
3 列端脚
3a,4a 上端部
3b,4b 中間部
3c,4c 下端部
3d,4d 貫材受け孔
4 中間脚
5 貫材
S ベンチ設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立した複数の座と、前記複数の座を横並びに整列させて支持する脚と、を具える座独立型ベンチにおいて、
前記脚が、
前記複数の座の列の両端にそれぞれ位置する座の下面の左右方向側部のうち隣の座から遠い側の何れかの側部に固定される上端部と、前記座の前後方向および上下方向へ延在する中間部と、ベンチ設置面に固定される下端部とを一体に有する板状の二つの列端脚と、
前記複数の座の列の隣り合う座の下面の隣り合う左右方向側部にそれぞれ固定される二つの上端部と、前記座の前後方向および上下方向へそれぞれ延在する二つの中間部と、ベンチ設置面に固定される一つの下端部とを一体に有する板状の少なくとも一つの中間脚と、
からなることを特徴とする、座独立型ベンチ。
【請求項2】
前記列端脚の下端部と前記中間脚の下端部とは各々水平に延在していることを特徴とする、請求項1記載の座独立型ベンチ。
【請求項3】
前記列端脚の下端部と前記中間脚の下端部とは各々上下方向に延在していることを特徴とする、請求項1記載の座独立型ベンチ。
【請求項4】
前記複数の座の整列方向へ延在する貫材を具え、
前記各中間部には、前記貫材を挿通され、その貫材と嵌合して前記複数の座をそれぞれ位置決めする貫材受け孔が形成されていることを特徴とする、請求項1から3までの何れか記載の座独立型ベンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−88787(P2010−88787A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264118(P2008−264118)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(391004919)株式会社コトブキ (27)
【Fターム(参考)】