説明

廃棄物の処理装置

【課題】廃棄物に含まれる有機系の有害物質を効果的に分解処理することができる廃棄物の処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄物の処理装置は、ボイラ1で生成した水蒸気を、フラーレン45に通電して発熱するヒータ42によって過熱水蒸気にする過熱水蒸気生成手段4を備える。前記過熱水蒸気を、分解処理手段5の密閉容器51の内部に供給しつつ、過熱水蒸気と廃棄物とを、液体を吸着可能な粒状またはチップ状の多孔質物質の存在下で撹拌手段56により攪拌させて、廃棄物に含まれる有機系の有害物質を分解処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療系廃棄物や産業廃棄物等に含まれる有機系廃棄物の量は、ますます増大する傾向にある。しかしながら、かかる有機系廃棄物には、有害物質が含まれていることが多いために、資源として再利用することが困難である。
そこで、有機系廃棄物を収容する密閉容器と、この密閉容器内に高温高圧の水蒸気を噴出する過熱水蒸気噴出部とを備えた有機系廃棄物の処理装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の処理装置は、密閉容器に収容した有機系廃棄物に対して、ボイラで発生させた高温高圧の水蒸気を直接噴出させ、この有機系廃棄物を撹拌しながら炭化させるとともに、自然流下により固形状の成分と液体成分とに分離するものである。
この有機系廃棄物の処理装置は、有機系廃棄物に含まれる有害物質であるポリ塩化ビフェニル(PCB)を分解させて、当該ポリ塩化ビフェニルの濃度を低減させることができるというものである(特許文献1[0042]段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/126273号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の処理装置は、廃棄物中のポリ塩化ビフェニルの濃度をある程度まで低減させることができるものの、その低減効果が十分でないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、廃棄物中の有害物質の濃度をより効果的に低減させることができる廃棄物の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の廃棄物の処理装置は、水蒸気を生成する水蒸気生成手段と、
フラーレンに通電することによって発熱するヒータにより前記水蒸気を加熱して、過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成手段と、
有機系の有害物質を含む廃棄物を収容する密閉容器と、前記密閉容器の内部に前記過熱水蒸気を噴出させる過熱水蒸気噴出部と、前記密閉容器に収容した廃棄物を撹拌させる撹拌手段とを有し、前記過熱水蒸気噴出部によって密閉容器の内部に過熱水蒸気を噴出させながら、液体を吸着可能な粒状またはチップ状の多孔質物質の存在下で前記攪拌手段によって前記廃棄物を撹拌して、前記有害物質を分解させる分解処理手段と、
を備えていることを特徴とする。
【0008】
前記構成を備えた廃棄物の処理装置によれば、前記水蒸気生成手段によって生成した水蒸気を、前記過熱水蒸気生成手段によって加熱することにより、過熱水蒸気を生成することができる。また、前記過熱水蒸気噴出部によって前記密閉容器の内部に過熱水蒸気を噴出させながら、前記多孔質物質の存在下で、密閉容器に収容された廃棄物を攪拌手段によって撹拌させることにより、当該廃棄物中の有機系の有害物質を分解処理することができる。
【0009】
特に、前記廃棄物の処理装置においては、過熱水蒸気生成手段が、通電したフラーレンの発熱によって水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成するものであるので、密閉容器内の廃棄物に含まれる有害物質をより効果的に加熱して分解させることができる。すなわち、本願発明者は、鋭意研究の結果、通電したフラーレンの発熱によって水蒸気を加熱することにより過熱水蒸気を生成して、廃棄物に供給すると、ボイラで生成した水蒸気をそのまま廃棄物に供給する場合に比べて、廃棄物中の有機系の有害物質をより効果的に分解処理することができるとの知見を得、かかる知見に基づいて本願発明を完成したものである。
【0010】
前記撹拌手段は、前記廃棄物と前記多孔質物質との混合物を、密閉容器の軸方向中央部に向かって加圧しながら撹拌させるものであるのが好ましい。
この場合、前記撹拌手段によって、前記混合物を軸方向中央部に向かって加圧するので、当該中央部において混合物の摩擦熱を上昇させることができる。このため、前記廃棄物中の有機系の有害物質をより迅速かつ効果的に分解させることができる。
【0011】
前記撹拌手段は、前記廃棄物と前記多孔質物質との混合物を、密閉容器の軸方向中央部に向かって移動させることにより、当該廃棄物および当該多孔質物質を加圧しながら攪拌する螺旋状の攪拌翼を有することが好ましい。
この場合、前記密閉容器の内部の混合物を、簡単な構成で軸方向中央部に向かって加圧しながら撹拌させることができる。
【0012】
本発明の廃棄物の処理装置は、前記密閉容器に供給された余剰の過熱水蒸気を、前記過熱水蒸気生成手段に戻す蒸気還流路をさらに備えているのが好ましい。
これにより、前記余剰の過熱水蒸気を、過熱水蒸気生成手段に戻し、再び加熱して密閉容器内に供給することができる。このため、過熱水蒸気を生成するためのエネルギーコストを低減することができる。
【0013】
前記有機系の有害物質としては、ポリ塩化ビフェニルであってもよく、この場合には、ポリ塩化ビフェニルを確実に分解処理することができる。
【0014】
前記液体を吸着可能な粒状の多孔質物質は、おが屑であることが好ましい。この場合、安価なコストでより効率よく有機系の有害物質を分解処理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の廃棄物の処理装置によれば、廃棄物に含まれる有機系の有害物質をより効果的に分解処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る廃棄物の処理装置の構成を示す概略図である。
【図2】過熱水蒸気生成手段の内部構成を示す断面図である。
【図3】過熱水蒸気生成手段の他の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(廃棄物の処理装置の構成)
以下、本発明に係る廃棄物の処理装置について添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る廃棄物の処理装置の構成を示す概略図である。
以下、有機系廃棄物として、有機系の有害物質であるポリ塩化ビフェニルを含むトランス油を処理する場合の処理装置を例として挙げて説明する。
【0018】
図1に示される処理装置は、水蒸気生成手段としてのボイラ1と、水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成手段4と、収容した廃棄物を処理する分解処理手段5とによって主要部が構成されている。
本実施形態に係る処理装置では、ボイラ1として、例えば、最大使用圧力が1.9〜3MPa程度(例えば、2MPa)の蒸気ボイラを用いる。この蒸気ボイラ1により1.9〜3MPa(例えば、2MPa)の水蒸気が生成される。
【0019】
ボイラ1の水蒸気排出口11には、ステンレス等の金属製の管からなる水蒸気搬送流路21を介して前記過熱水蒸気生成手段4が接続されている。
水蒸気搬送流路21の途中には、減圧弁71が設けられており、ボイラ1で生成した水蒸気の圧力を適宜調整する。通常、減圧弁71では、例えば、ボイラ1で生成した水蒸気が2MPaである場合、水蒸気の圧力を1.5MPa程度に調整する。
【0020】
前記過熱水蒸気生成手段4は、中空ケース40の内部に過熱水蒸気生成部41を構成している。この過熱水蒸気生成部41は、密閉されたケーシング43の内部に、ヒータ42を配置したものである。前記ケーシング43の底部には、水蒸気搬送流路21の下流端が接続されており、この水蒸気搬送流路21を通してケーシング43の内部に水蒸気が供給される。
【0021】
前記ヒータ42は、セラミックスからなる板状の支持体44の表面に、フラーレン層45が形成された積層体46を、それぞれ鉛直に起立させた状態で、所定の隙間を設けて複数列並べたものである(図2参照)。
前記フラーレン層45を構成するフラーレンとしては、C60フラーレン、C70フラーレンなどを用いることができる。フラーレン層45は、例えば、バインダーによって固められた状態で支持体44に焼き付けすることにより接合されている。
このヒータ42は、フラーレン層45を支持する支持体44が耐熱性に優れるセラミックにより構成されているので、熱に対して優れた耐久性を有する。
ただし、前記支持体44としては、セラミック製のものに代えて、耐食性などに優れたステンレス鋼(例えば、SUS304)製のものを用いることもできる。
【0022】
前記ヒータ42のフラーレン層45は、通電することにより発熱する。過熱水蒸気生成部41の内部に導入された水蒸気は、このフラーレン層45によって、例えば、350〜1200℃に加熱されて、無酸素状態の過熱水蒸気を生成する。そして、この過熱水蒸気は、ケーシング43の天井部に接続された金属管からなる過熱水蒸気搬送流路24に導入される。
【0023】
図1を参照して、過熱水蒸気生成手段4の下流側には、過熱水蒸気搬送流路24を介して、分解処理手段5が接続されている。
過熱水蒸気搬送流路24の途中には、圧力調整弁72が設けられており、当該過熱水蒸気搬送流路24を通って搬送される過熱水蒸気の圧力を適宜調整することができるようになっている。
【0024】
前記分解処理手段5は、密閉容器51の内部に、過熱水蒸気噴出部54および撹拌手段56を備えている。この分解処理手段5では、過熱水蒸気と前記トランス油とを、液体(水、油など)を吸着可能な粒状の多孔質物質であるおが屑の存在下で攪拌しながら接触させて、ポリ塩化ビフェニルを分解処理する。
【0025】
密閉容器51は、円筒部51aの両端をドーム上の蓋体51b,51cで閉塞したものである。この密閉容器51は、耐熱性や耐食性を有するステンレス鋼等から形成されている。
前記密閉容器51の一方の端部の蓋体51bは、開閉可能に設けられている。
この蓋体51bを開けることにより、密閉容器51から処理産物を搬出したり、密閉容器51の内部のメンテナンス作業を行なったりすることができる。
【0026】
密閉容器51の上部側の略中央には、ポリ塩化ビフェニルを含むトランス油を投入するためのホッパー52が形成されている。このホッパー52は、漏斗状のものであり、その底部の開口が密閉容器51の内部に対してバルブ53を介して密閉可能に連通されている。
廃棄物であるポリ塩化ビフェニルを含むトランス油は、前記ホッパー52から密閉容器51の内部に投入される。このとき、おが屑もホッパー52から密閉容器51の内部に投入される。但し、このおが屑は、密閉容器51に投入する前に予め廃棄物と混合しておいてもよい。
おが屑の使用量は、前記トランス油の量などに応じて適宜設定することができる。例えば、おが屑は、前記トランス油の体積の1/4〜1/3の体積となるように混合する。
【0027】
過熱水蒸気噴出部54には、複数個の噴出口54aが形成されている。これにより、過熱水蒸気噴出部54内を搬送される過熱水蒸気は、これら噴出口54aから密閉容器51の内部に噴出される。
なお、前記トランス油中に悪臭成分が含まれる場合には、前記混合物に過熱水蒸気を接触させることにより、当該悪臭成分を過熱水蒸気に移すことができる。これにより、得られる処理産物の脱臭を図ることができる。
前記過熱水蒸気噴出部54により噴出される過熱水蒸気は、例えば、温度が200℃程度、圧力が1.5MPa程度である。
【0028】
撹拌手段56は、軸方向に沿って直列に配列された一対の撹拌翼56a,56bを有している。この一対の撹拌翼56a,56bは、密閉容器51に挿通させた回転軸55に対して一体回転可能に取り付けられている。前記回転軸55は図示しない駆動手段により回転駆動される。
各撹拌翼56a,56bは、密閉容器51の軸方向略中央位置で互いに逆巻きになっている。また、各撹拌翼56a,56bの外周部と密閉容器51の内壁との間には、廃棄物の流通を許容する隙間が設けられている。さらに、各撹拌翼56a,56bの外径は、過熱水蒸気噴出部54に対して干渉しない値に設定されている。
【0029】
前記撹拌手段56は、前記トランス油とおが屑との混合物を密閉容器51の軸方向両端壁側より軸方向中央部に向かって移動させながら撹拌する。このとき、トランス油とおが屑との混合物は、密閉容器51の軸方向中央部において互いに押し合って加圧され、撹拌時に生じる摩擦熱が上昇する。
なお、前記密閉容器51の容量は、処理対象の廃棄物の種類や量、処理装置の用途などに応じて適宜設定される。
【0030】
過熱水蒸気噴出部54の下流側には、密閉容器51の内部で生じた水蒸気を含む排ガスを排出する金属管からなる排ガス流路25が接続されている。
排ガス流路25の途中には、密閉容器51の内部における圧力が所定圧力を超えた場合に、所定圧力まで降圧するための安全弁73と、排ガス流路25内を搬送される排ガスの圧力を適宜調整する圧力調整弁74とが設けられている。これにより、密閉容器51の内部の圧力を所定圧力に維持するとともに、排ガス流路25内を所定圧力に維持することができる。
【0031】
排ガス流路25の途中には、過熱水蒸気噴出部54に供給された過熱水蒸気のうちの余剰の過熱水蒸気を回収して過熱水蒸気生成手段4に戻す蒸気還流路26が、開閉バルブ34を介して接続されている。この蒸気還流路26を通して過熱水蒸気生成手段4に戻された過熱水蒸気は、当該過熱水蒸気生成手段4で再び加熱されて再利用される。
【0032】
また、排ガス流路25の下流側には、騒音の発生を抑制しつつ、密閉容器51から排出される排ガスを浄化する浄化装置6が、開閉バルブ35を介して接続されている。
前記浄化装置6は、ケーシング60の内部に、積層した活性炭層61を有し、この活性炭層61に排ガスを下方から上方に向けて通過させることにより、排ガス中の悪臭成分や不純物を活性炭層61に吸着させる。したがって、前記密閉容器51内でポリ塩化ビフェニルを含むトランス油を処理することにより生じる悪臭や不純物を排ガスから除去した状態で、浄化装置6の下流側の排出口62から排気することができる。
また、浄化装置6に導入された水蒸気のうち、自然冷却されて液体となったものは、浄化装置6の下側に設けられたバルブドレン63より排出される。
これら蒸気還流路26への蒸気の供給と、浄化装置6側への排ガスの供給は、各開閉バルブ34,35をそれぞれ選択的に開閉させることにより制御されている。
【0033】
以上の構成の廃棄物の処理装置によれば、ボイラ1で生成した水蒸気を、水蒸気搬送流路21を介して過熱水蒸気生成手段4の過熱水蒸気生成部41に供給し、この過熱水蒸気生成部41において、前記水蒸気をヒータ42によって加熱して過熱水蒸気を生成することができる。この際、前記ヒータ42が、通電したフラーレン層45の発熱によって水蒸気を加熱するものであるので、当該過熱水蒸気を効率よく生成することができる。
そして、過熱水蒸気生成手段4で生成した過熱水蒸気を、過熱水蒸気搬送流路24を介して分解処理手段5の過熱水蒸気噴出部54に供給し、この過熱水蒸気噴出部54から密閉容器51内に過熱水蒸気を噴出することができる。
【0034】
分解処理手段5においては、廃棄物としてのポリ塩化ビフェニルを含むトランス油とおが屑との混合物が、前記過熱水蒸気に晒されながら、撹拌手段56によって撹拌される。この密閉容器51内への過熱水蒸気の供給と廃棄物の撹拌とを一定時間継続することによって、当該廃棄物中のポリ塩化ビフェニルを分解させることができる。
【0035】
この際、前記過熱水蒸気がフラーレン層45の発熱によって生成されているので、密閉容器51の内部においてポリ塩化ビフェニルを分解するのに十分な高エネルギーの状態が形成されていると考えられ、撹拌手段56によって廃棄物とおが屑との混合物に対して摩擦による熱エネルギーが加えられる点と相まって、非常に効果的にポリ塩化ビフェニルを分解処理することができる。
したがって、本実施形態の処理装置では、ポリ塩化ビフェニルの分解温度よりも低い温度の過熱水蒸気をポリ塩化ビフェニルに接触させているにもかかわらず、当該ポリ塩化ビフェニルを効果的に分解処理することができる。
【0036】
例えば、ボイラで生成した水蒸気をそのまま用い、ポリ塩化ビフェニル濃度80ppmのトランス油を処理した場合には、日本国環境庁告示第13号による溶出試験で測定したポリ塩化ビフェニル濃度を0.005ppmまでしか低減させることができないのに対して、本実施形態の処理装置によれば、ポリ塩化ビフェニル濃度を検出限界(0ppm)まで低減させ得ることが確認されている。
また、本実施形態の処理装置は、分解処理手段5においてポリ塩化ビフェニルを分解処理するのに要する時間を、従来のボイラで生成した水蒸気をそのまま用いる場合に比べて1/2から2/3程度まで短縮できることが確認されている。
【0037】
(他の実施の形態)
本発明を適用する有機系の廃棄物としては、ポリ塩化ビフェニルを含むトランス油以外に、ダイオキシンや溶剤等の有機系の有害物質を含むものを挙げることができる。
【0038】
本発明においては、前記おが屑に代えて、例えば、液体(水、油など)を吸着可能なチップ状の多孔質物質である木材チップや、紙の小片などを用いることができる。なお、廃棄物に前記多孔質物質が含まれる場合、前記多孔質物質を新たに密閉容器51の内部に投入することを省略してもよい。
廃棄物と混合する前記多孔質物質の量は、廃棄物の量や、廃棄物が水分を含むものである場合には廃棄物の含水率などに応じて適宜設定することができる。
【0039】
また、ヒータ42は、図3に示されるように、支持体44の両面にフラーレン層45を形成した複数個の積層体46を用い、当該積層体46のそれぞれに、支持体44およびフラーレン層45を貫通する複数の貫通孔47を形成した構造であってもよい。前記積層体46は、水蒸気の流れる方向に直交し、かつ貫通孔47が入れ子状に配置されるように設けている。これにより、水蒸気がフラーレン層45に接触する度合いを高め、過熱水蒸気をより効率的に生成できる。
【0040】
なお、本発明において、廃棄物として、固形状の廃棄物を用いた場合には、密閉容器51の内部において、攪拌翼56a,56bにより、当該固形状の廃棄物を破砕することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ボイラ(水蒸気生成手段)
4 過熱水蒸気生成手段
5 分解処理手段
26 蒸気還流路
42 ヒータ
46 積層体
44 支持体
45 フラーレン層
51 密閉容器
54 過熱水蒸気噴出部
56 撹拌手段
56a,56b 撹拌翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気を生成する水蒸気生成手段と、
フラーレンに通電することによって発熱するヒータにより前記水蒸気を加熱して、過熱水蒸気を生成する過熱水蒸気生成手段と、
有機系の有害物質を含む廃棄物を収容する密閉容器と、前記密閉容器の内部に前記過熱水蒸気を噴出させる過熱水蒸気噴出部と、前記密閉容器に収容した廃棄物を撹拌させる撹拌手段とを有し、前記過熱水蒸気噴出部によって密閉容器の内部に過熱水蒸気を噴出させながら、液体を吸着可能な粒状またはチップ状の多孔質物質の存在下で前記攪拌手段によって前記廃棄物を撹拌して、前記有害物質を分解させる分解処理手段と、
を備えていることを特徴とする廃棄物の処理装置。
【請求項2】
前記撹拌手段が、前記廃棄物と多孔質物質との混合物を、密閉容器の軸方向中央部に向かって加圧しながら撹拌させる請求項1に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項3】
前記撹拌手段が、前記廃棄物と多孔質物質との混合物を、密閉容器の軸方向中央部に向かって移動させることにより、当該混合物を加圧しながら攪拌する螺旋状の攪拌翼を有する請求項2に記載の廃棄物の処理装置。
【請求項4】
前記過熱水蒸気噴出部に供給された余剰の過熱水蒸気を、前記過熱水蒸気生成手段に戻す蒸気還流路をさらに備えている請求項1〜3のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。
【請求項5】
前記有機系の有害物質が、ポリ塩化ビフェニルである請求項1〜4のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。
【請求項6】
前記液体を吸着可能な粒状の多孔質物質が、おが屑である請求項1〜5のいずれかに記載の廃棄物の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−83749(P2011−83749A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240622(P2009−240622)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【特許番号】特許第4445034号(P4445034)
【特許公報発行日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(507415222)
【Fターム(参考)】